特許第5994857号(P5994857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994857
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】無人搬送車のバッテリユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20160908BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M2/10 A
   B60K1/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-528193(P2014-528193)
(86)(22)【出願日】2013年7月31日
(86)【国際出願番号】JP2013070739
(87)【国際公開番号】WO2014021379
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年1月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-171715(P2012-171715)
(32)【優先日】2012年8月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100148231
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 謙治
(72)【発明者】
【氏名】福井 敏人
(72)【発明者】
【氏名】平山 満
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/145304(WO,A1)
【文献】 特開2008−277050(JP,A)
【文献】 特開2007−250515(JP,A)
【文献】 特開2006−24445(JP,A)
【文献】 実開平2−26936(JP,U)
【文献】 特開2010−102896(JP,A)
【文献】 特開2007−287494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送車のバッテリユニットであって、
前記無人搬送車の車体に取付けられるケースと、
前記ケースに収容され、上下方向に貫通する孔を有するバッテリと
記バッテリの底面が前記ケースの底面から離間するように前記バッテリの底面と前記ケースの底面との間に配置される離間部材と、
前記バッテリの孔と前記離間部材を通過した状態で、前記バッテリを前記ケースに固定するボルトと、
を備える無人搬送車のバッテリユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の無人搬送車のバッテリユニットであって、
前記バッテリは、リチウムイオン電池からなる複数の電池モジュールを積層して構成されており、
隣接する前記電池モジュール間には、隙間が形成されるようにスペーサが介装される、
無人搬送車のバッテリユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無人搬送車のバッテリユニットであって、
前記ケースに収容され、前記バッテリに電気的に接続される電気部品をさらに備え、
前記ケースは、ケース側壁面が外部に露出するように前記無人搬送車に配置され、
前記ケース内には、前記ケース側壁面に対向するようにケース底面から立設する縦壁ブラケットが設けられ、
前記バッテリは、前記ケース側壁面から離れた位置であって、前記縦壁ブラケットよりも前記ケースの奥側に配置され、
前記電気部品は、前記ケース側壁面に近い位置であって、前記縦壁ブラケットよりも前記ケースの手前側に配置される、
無人搬送車のバッテリユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の無人搬送車のバッテリユニットであって、
前記ケースに収容され、前記バッテリの充放電状態を監視する充放電モニタを構成する制御基板と、
前記縦壁ブラケットの上部に固定される横梁ブラケットと、
前記横梁ブラケットに設けられ、前記バッテリの上方を覆うように配置される支持板材と、をさらに備え、
前記制御基板は、前記支持板材の上面に配設される、
無人搬送車のバッテリユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の無人搬送車のバッテリユニットであって、
前記離間部材は、筒状のスリーブである、
無人搬送車のバッテリユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを電源として使用する無人搬送車のバッテリユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫内で使用される無人搬送車はモータによって走行し、モータの駆動源となるバッテリには一般的に鉛蓄電池が用いられている。JP1991−37967Aには、工場や倉庫内に設けられた充電ステーションにおいてバッテリを満充電にしてから使用される無人搬送車が開示されている。また、JP2007−74800Aには、満充電ではなく部分充電でも使用可能なリチウムイオン電池をバッテリとする無人搬送車が開示されている。
【0003】
JP2007−74800Aに開示された無人搬送車は、リチウムイオン電池からなるバッテリの電力により走行する。無人搬送車のバッテリの充電は、電池充放電管理システムを構成する充電ステーションにおいて行われる。充電ステーションでは、バッテリの残容量が充電開始容量になった時に充電が開始され、バッテリの残容量が充電停止容量になった時に充電が停止される。
【発明の概要】
【0004】
リチウムイオン電池をバッテリとして使用する無人搬送車では、バッテリや、バッテリの充放電状態を監視する充放電モニタ等の制御基板、その他の電気部品を一つにまとめてバッテリケース内に収容することで、バッテリユニットが構成される。このようなバッテリユニットでは、バッテリケース内の湿度や温度、気候条件等によっては、バッテリケースの内面に結露が生じることがある。この結露がバッテリケースの内面に沿って流れ落ちる等してバッテリに付着すると、電気的な不具合が発生するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、バッテリケース内の結露がバッテリに付着することを回避可能な無人搬送車のバッテリユニットを提供することである。
【0006】
本発明のある態様によれば、無人搬送車のバッテリユニットは、無人搬送車の車体に取付けられるケースと、ケースに収容され、上下方向に貫通する孔を有するバッテリと、バッテリの底面がケースの底面から離間するようにバッテリの底面とケースの底面との間に配置される離間部材と、バッテリの孔と離間部材を通過した状態で、バッテリをケースに固定するボルトと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施形態による無人搬送車の走行経路を例示する図である。
図2図2は、本実施形態による無人搬送車の概略構成図である。
図3図3は、充電時における無人搬送車のバッテリユニットと充電ステーションとの接続を示す図である。
図4図4は、無人搬送車に搭載されたバッテリユニットの平面図である。
図5図5は、バッテリユニットの側面図である。
図6図6は、バッテリユニットの平面図である。
図7図7は、図6のVII−VII線に沿う断面図である。
図8図8は、図6のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本実施形態による無人搬送車のバッテリユニットについて説明する。
【0009】
図1に示すように、無人搬送車1は、部品等が保管されているピッキングステーションPSと生産ラインの組立ステーションBSとを通過するように設定された周回軌道の走行ルートRに沿って走行する。無人搬送車1は車両に搭載された軌道センサによって走行ルートRを検出して走行するため、無人走行が可能となっている。
【0010】
ピッキングステーションPSでは、組立ステーションBSで必要とされる部品が無人搬送車1に積み込まれる。無人搬送車1は、走行ルートR上を走行し、積み込まれた部品を組立ステーションBSまで搬送する。組立ステーションBSでは、無人搬送車1に積載されている部品が積み降ろされる。その後、無人搬送車1は、再び走行ルートR上を走行し、ピッキングステーションPSまで戻る。このように無人搬送車1は、ピッキングステーションPSと組立ステーションBSとの間で循環走行する。周回軌道である走行ルートRの外側であって、ピッキングステーションPSと組立ステーションBSとの間には、充電ステーションCSが配置されている。
【0011】
充電ステーションCSは、設備側制御装置2と、当該設備側制御装置2により制御される自動充電器3と、を備えている。また、走行ルートRの内側であって、組立ステーションBSの入口位置及び出口位置には、無人搬送車1と設備側制御装置2との信号授受を実行する地上局4が設置されている。
【0012】
図2に示すように、無人搬送車1は、車体6と、車体6の四隅の下部に配置されたキャスタ輪9と、車体6の前側下部及び後側下部から床面に向かって鉛直方向に延びる2本の支軸7と、支軸7に旋回可能に設けられる駆動ユニット8と、駆動ユニット8に隣接して配置される駆動輪10と、駆動ユニット8を制御するコントローラ(図示省略)と、を備える。
【0013】
キャスタ輪9は、車両の重量を支える車輪であって、車両の移動方向に追従して旋回するように構成されている。駆動ユニット8は支軸7の軸周りに回動するように設けられており、駆動ユニット8の左右両側には駆動輪10が配置されている。一つの駆動ユニット8に対して二つ配置される駆動輪10は、駆動ユニット8に内蔵された一対の駆動モータによりそれぞれ独立して駆動される。なお、駆動ユニット8の前側及び後側にはブラケットが設けられており、これらブラケットには走行ルートRを検出する軌道センサ(図示省略)が設置されている。
【0014】
駆動ユニット8の駆動モータを駆動させる電源としてのバッテリBは、バッテリユニット5のバッテリケースBC内に収容された状態で、車体6の中央位置に搭載されている。
【0015】
図3に示すように、バッテリケースBC内には、リチウムイオン二次電池よりなるバッテリB、及びバッテリBの電力を各駆動ユニット8の駆動モータへ供給するパワーリレー等の電気部品が収容されている。さらに、バッテリケースBC内には、バッテリBの状態を監視する充放電モニタ11、充放電モニタ11の制御基板11A(図7参照)、及び自動充電器3や設備側制御装置2の地上局4との間で信号を送受信する通信手段14等が収容されている。
【0016】
バッテリBは三つの電池モジュールBMから構成されており、これら電池モジュールBMはバスバーBBにより直列接続されている。電池モジュールBMの数は、三つに限られず、必要に応じて任意に設定される。電池モジュールBMは、複数の単位セルを直列接続することで構成されている。本実施形態ではバッテリBは三つの電池モジュールBMから構成されており、満充電状態でのバッテリBの出力電圧は25V程度となる。
【0017】
バッテリBの給電線12の端部には、受電コンタクタ13が設けられている。受電コンタクタ13は、外部に露出するように、バッテリケースBCのケース壁面に設置されている。充電ステーションCSの自動充電器3が備える給電コンタクタ23を受電コンタクタ13に接続することで、バッテリBは充電される。なお、給電コンタクタ23は、自動充電器3に対して伸縮自在に構成されている。
【0018】
充放電モニタ11は、バッテリBの充電容量(バッテリ電圧)、各単位セルの充電容量(セル電圧)、各電池モジュールBMの充電容量、バッテリBの入出力の電流量、バッテリBの異状履歴等の各種バッテリ状態情報を所定時間(例えば10msec)毎に監視して記憶するとともに、それらバッテリ状態情報を表示する。充放電モニタ11は、外部に露出するようにバッテリケースBCのケース壁面に設けられた通信手段14を介して、バッテリ状態情報を設備側制御装置2や自動充電器3に送信する。バッテリユニット5の通信手段14と、設備側制御装置2の地上局4及び自動充電器3の通信手段24とは、光通信等の通信方法を利用して情報の授受を行う。
【0019】
充放電モニタ11は、バッテリBを構成する各電池モジュールBMの充電容量(電圧)がシャットダウン閾値(例えば2.8〜3V)以下となり、過放電状態であると判断した場合に、バッテリBが異常状態であることを表示するとともに無人搬送車1を異常停止させる。シャットダウン閾値は、無人搬送車1の走行状態等に応じて変更される閾値であり、通常3.0Vに設定されている。しかし、無人搬送車1が走行ルートRの組立ステーションBSを通過している時は、シャットダウン閾値は3.0Vより低い設定値、例えば2.8Vに設定される。
【0020】
つまり、充放電モニタ11は、組立ステーションBSの入口位置に設置された地上局4から送信されたシャットダウン禁止コマンドを、通信手段14を介して受信した時に、シャットダウン閾値を3.0Vから2.8Vに変更する。また、充放電モニタ11は、組立ステーションBSの出口位置に設置された地上局4から送信されたシャットダウン禁止解除コマンドを、通信手段14を介して受信した時に、シャットダウン閾値を2.8Vから3.0Vに変更する。このようにシャットダウン閾値を変更することにより、組立ステーションBS領域内での無人搬送車1の異常停止の発生頻度を抑制することができる。
【0021】
無人搬送車1はバッテリBの電力を利用して走行するため、走行するほどバッテリBの充電容量(バッテリ電圧)は低下する。そのため、無人搬送車1を充電ステーションCSに一時的に停止させ、自動充電器3によってバッテリBの充電が行われる。図3に示すように、自動充電器3は、電圧をバッテリBの上限電圧(例えば25.02V)まで昇圧可能な直流電源21と、直流電源21からバッテリBへ供給する充電電流値及び充電電圧値を制御する充電制御装置20と、無人搬送車1の通信手段14と通信可能な通信手段24と、を備える。通信手段24は、無人搬送車1の通信手段14との間で、各種バッテリ状態情報をやり取りする。
【0022】
充電を行うか否かは、無人搬送車1のバッテリBのバッテリ電圧に基づいて判断される。より具体的には、充電ステーションCSが、現在のバッテリBのバッテリ電圧が充電を必要としているか否か、つまりバッテリ電圧が充電不要しきい電圧より低下しているか否かを判定する。充電が必要であると判定された場合には、無人搬送車1のバッテリBが自動充電器3より充電される。
【0023】
充電不要しきい電圧は、バッテリBの過充電電圧と過放電電圧との間の電圧、例えば24.9Vに設定されている。このように設定された充電不要しきい電圧よりもバッテリBのバッテリ電圧が低い時にバッテリBの充電が必要と判定され、充電不要しきい電圧よりもバッテリ電圧が高い時にバッテリBの充電が不要と判定される。なお、過放電電圧と充電不要しきい電圧との電圧差を充分に大きくすることで、バッテリBが過放電状態となることを防止でき、バッテリBを保護することができる。
【0024】
バッテリBの充電時には、自動充電器3の給電コンタクタ23を無人搬送車1の受電コンタクタ13に向かって伸長させ、給電コンタクタ23と受電コンタクタ13とを接続する。このように給電コンタクタ23と受電コンタクタ13とが接続されることで、自動充電器3の直流電源21からバッテリBに充電電力が供給される。充電制御装置20は、定電流・定電圧方式の普通充電を実行可能に構成されるだけでなく、普通充電時の充電電流よりも大きな充電電流をバッテリBに供給する定電流・定電圧方式の急速充電を実行可能に構成される。急速充電は短時間の充電を必要とする無人搬送車1のバッテリ充電に適しており、本実施形態では充電制御装置20は急速充電を実行する。
【0025】
充電制御装置20は、バッテリBが満充電となる前に、充電を停止させることも可能となっている。例えば、充電制御装置20は、無人搬送車1のバッテリ電圧が充電不要しきい電圧まで上昇した時点でバッテリBへの充電を停止する部分充電を行う。また、充電制御装置20は、定電流・定電圧方式の充電を予め設定した所定時間だけ実行し、所定時間経過時にバッテリBへの充電を停止する部分充電を行う。
【0026】
ところで、無人搬送車1に搭載されるバッテリユニット5では、バッテリケースBC内の湿度や温度、気候条件等によっては、バッテリケースBCの内面に結露が生じることがある。この結露がバッテリケースBCの内面に沿って流れ落ちる等して、バッテリBに付着すると、電気的な不具合が発生するおそれがある。
【0027】
このため、本実施形態による無人搬送車1のバッテリユニット5は、バッテリケースBC内の結露がバッテリBに付着することを回避できるように構成されている。
【0028】
図4は、無人搬送車1の車体6に搭載されたバッテリユニット5の様子を示す平面図である。
【0029】
図4に示すように、無人搬送車1の車体6の中央位置には、車両前後方向等に延びる車体フレームによって仕切られた搭載スペース6Aが形成されており、この搭載スペース6A内にバッテリユニット5が収納されている。バッテリユニット5は、図示しない固定手段により、搭載スペース6Aに固定される。バッテリユニット5はバッテリケースBCを有しており、バッテリケースBCはケース壁によって箱状に形成されている。
【0030】
なお、充電時に自動充電器3と対向するバッテリケースBCの車両右側面側のケース壁(ケース側壁面)は、図5に示すように車体6の搭載スペース6Aから外部に露出している。バッテリケースBCのケース側壁面には、受電コンタクタ13と、通信手段14と、バッテリBの状態を表示する表示装置15が露出状態で配置されている。
【0031】
図6及び図7に示すように、バッテリケースBCの内部には、内部空間を仕切る縦壁としての縦壁ブラケット25が設けられている。縦壁ブラケット25は、バッテリケースBCの底面に対して鉛直方向に立設するように固定されるとともに、車両前後方向に沿って延在する壁部材である。バッテリケースBCの内部であって縦壁ブラケット25よりも奥側の領域(縦壁ブラケット25により仕切られる領域のうちケース側壁面から遠い側の領域)には、バッテリBを構成する電池モジュールBMが上下方向に並設されている。また、バッテリケースBCの内部であって縦壁ブラケット25よりも手前側の領域(縦壁ブラケット25により仕切られる領域のうちケース側壁面に近い側の領域)には、バッテリケースBCの底面から離れた位置に、受電コンタクタ13や通信手段14、表示装置15、パワーリレー26等の電気部品が配置されている。
【0032】
図7及び図8に示すように、縦壁ブラケット25の上部には、一対の横梁ブラケット27が設けられる。一対の横梁ブラケット27は車両前後方向に所定の間隔をあけて平行に配置されている。横梁ブラケット27の基端部は縦壁ブラケット25の上部に固定されており、横梁ブラケット27の先端はバッテリケースBCの奥側に延在している。一対の横梁ブラケット27の上面には一枚の支持板材28が設けられており、支持板材28の上面には充放電モニタ11を構成する制御基板11A等が載置されている。なお、横梁ブラケット27の下方に電池モジュールBMが配置されており、支持板材28はバッテリBの上方を覆うように構成されている。
【0033】
三つの電池モジュールBMは上下方向に積層されており、上下に隣接する電池モジュールBM同士の前側端の間及び後側端の間にはスペーサ29が介装されている。各電池モジュールBMはスペーサ29を介して積層されているため、隣接する電池モジュールBM間には隙間が形成されている。この隙間によって、電池モジュールBMの充電や放電による温度上昇に起因する積層方向の熱膨張が許容される。また、電池モジュールBM間の隙間を空気が通過するため、電池モジュールBMの温度上昇に伴う放熱を促進させることができる。
【0034】
最下部に配置される電池モジュールBMの下面(底面)とバッテリケースBCの底面との間にはカラースリーブ30が配置されており、最下部の電池モジュールBMの下面はバッテリケースBCの底面から浮いた状態となっている。これら三つの電池モジュールBMは上下方向に貫通する固定孔32を有しており、各電池モジュールBMの固定孔32及びカラースリーブ30を挿通する固定ボルト31によって電池モジュールBMとバッテリケースBCとが固定される。
【0035】
図8に示すように、積層された電池モジュールBMはバスバーBBによって電気的に連結されており、最上部及び最下部に位置する電池モジュールBMの出力端子に接続するバスバーBBは受電コンタクタ13に接続されている。なお、最上部及び最下部に位置する電池モジュールBMの出力端子と受電コンタクタ13とを接続するバスバーBBは、一部が図示されていないが、パワーリレー26を介して駆動ユニット8に電力を給電するように構成されている。
【0036】
上記した無人搬送車1のバッテリユニット5では、バッテリケースBCの周囲温度の変化やバッテリケースBC内の湿度等の条件によって、バッテリケースBCの内面に結露が生じることがある。そこで、バッテリユニット5では、バッテリケースBC内において最下部に設けられる電池モジュールBMは、カラースリーブ30を用いてケース底面から浮かせて配置している。そのため、バッテリケースBCの内面に生じた結露がバッテリケースBCの内面を伝わってケース底面に溜まったとしても、結露水が電池モジュールBMに付着することを防止できる。また、電池モジュールBMから発生する熱を利用して、ケース底面に溜まった結露水を乾燥させることができる。
【0037】
さらに、無人搬送車1のバッテリユニット5では、パワーリレー26、通信手段14、表示装置15等の電気部品や制御基板11AもバッテリケースBCの底面から離れた位置に配置されている。したがって、これらの電気部品等にも結露水が付着することを防止することができる。
【0038】
さらに、無人搬送車1のバッテリユニット5では、バッテリBを構成する電池モジュールBMは、縦壁ブラケット25、横梁ブラケット27、及び支持板材28により画成された空間内に配置されている。そのため、外部から、特にバッテリユニット5の側面側から衝撃が入力した場合であっても、縦壁ブラケット25に配置されたパワーリレー26や通信手段14、表示装置15等の電気部品、支持板材28に配置された制御基板11Aが電池モジュールBMに接触してしまうことを防止できる。このように、縦壁ブラケット25、横梁ブラケット27、及び支持板材28により電池モジュールBMを保護でき、電池モジュールBMの破損等を防止できる。
【0039】
さらに、無人搬送車1のバッテリユニット5では、縦壁ブラケット25、横梁ブラケット27、及び支持板材28は、電池モジュールBMが配置される空間と、パワーリレー26等の電気部品及び制御基板11Aが配置される空間とを分離する仕切壁として機能する。したがって、これら電気部品や制御基板11Aに、電池モジュールBMの温度変化による影響が及ぶことを防止することができる。
【0040】
上記した本実施形態による無人搬送車1のバッテリユニット5によれば、以下に示す効果を得ることができる。
【0041】
(I)無人搬送車1のバッテリユニット5は、バッテリBと、バッテリBの充放電状態を監視する充放電モニタ11を構成する制御基板11Aと、バッテリBに電気的に接続されたパワーリレー26等の電気部品と、これら構成部品等を収容するバッテリケースBCと、を備える。バッテリBは、その底面がバッテリケースBCの底面から離間するようにバッテリケースBC内に配置される。これにより、バッテリケースBC内に生じた結露がケース底面に溜まったとしても、結露水がバッテリB等に付着することを防止できる。また、バッテリBから発生する熱によって、ケース底面に溜まった結露水を乾燥させることができる。
【0042】
(II)バッテリBは複数の電池モジュールBMを積層して構成されており、上下方向に隣接する電池モジュールBM間には隙間が形成されるようにスペーサ29が介装される。これにより、電池モジュールBMの充電や放電による温度上昇に起因する積層方向の熱膨張が許容される。また、電池モジュールBM間の隙間を空気が通過するため、電池モジュールBMの温度上昇に伴う放熱を促進させることができる。
【0043】
(III)無人搬送車1の側部側のバッテリケースBCのケース壁(側壁面)は車体6の搭載スペース6Aから外部に露出しており、バッテリケースBC内には側壁面に対向するようにケース底面から立設する縦壁ブラケット25が設けられている。縦壁ブラケット25よりもバッテリケースBCの奥側にバッテリBが配置され、縦壁ブラケット25よりも手前側に電気部品が配置される。このため、外部に露出するバッテリケースBCの側壁面から衝撃が入力した場合であっても、縦壁ブラケット25に配置されたパワーリレー26等の電気部品が電池モジュールBMに接触してしまうことを防止できる。このため、電池モジュールBMが破壊されることを防止でき、電池モジュールBMを保護することができる。また、これら電気部品や制御基板11Aに、電池モジュールBMの温度変化による影響が及ぶことを防止することができる。
【0044】
(IV)縦壁ブラケット25の上部には横梁ブラケット27が設けられており、横梁ブラケット27にはバッテリBの上方を覆う支持板材28が配置されている。充放電モニタ11を構成する制御基板11Aは、支持板材28の上面に載置されている。このため、外部に露出するバッテリケースBCの側壁面から衝撃が入力した場合であっても、支持板材28上に配置された制御基板11Aが電池モジュールBMに接触してしまうことを防止できる。このため、電池モジュールBMが破壊されることを防止でき、電池モジュールBMを保護することができる。また、制御基板11Aに、電池モジュールBMの温度変化による影響が及ぶことを防止することができる。
【0045】
(V)充放電モニタ11は、バッテリBを構成する複数の電池モジュールBMの電圧を監視し、いずれかの電池モジュールBMの電圧が予め設定した設定電圧値以下となった場合、バッテリBが異常状態であることを表示するとともに無人搬送車1を異常停止させる。無人搬送車1が組立ステーションBSの領域内を走行している場合には、他の領域を走行する場合と比較して、設定電圧値を低下させる。このため、無人搬送車1が組立ステーションBSの領域内を走行している間は、無人搬送車1の異常停止の発生頻度を抑制することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0047】
本願は2012年8月2日に日本国特許庁に出願されたJP2012−171715に基づく優先権を主張し、これら出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8