(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抑制制御抑制部は、交差点を検出してからの自車両の走行距離が前記第1走行距離閾値以下となる走行距離範囲において前記駐車枠線候補検出部が検出した前記駐車枠線候補を、前記加速抑制制御の制御対象から除外することで前記加速抑制制御を抑制することを特徴とする請求項2に記載の車両用加速抑制装置。
前記交差点検出部は、自車両の前方の路面上に存在する横断歩道及び予め設定した曲折条件を満足するカーブ線のうち少なくとも1つを検出した場合に、自車両の前方に存在する交差点を検出したと判定することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の車両用加速抑制装置。
前記抑制制御抑制部は、前記加速抑制制御を停止する、または前記加速抑制制御における前記加速の低減量を通常よりも低減することで前記加速抑制制御を抑制することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用加速抑制装置。
自車両周囲の路面を含む領域を撮像した撮像画像から検出した路面上に位置する線から駐車枠を抽出し、抽出した駐車枠に基づき、運転者が加速を指示するために操作する加速操作子の加速操作量に応じて自車両に発生させる加速を低減する制御である加速抑制制御を実施し、
前記撮像画像から自車両の前方に存在する交差点を検出し、
さらに、前記交差点を含む所定の領域内では前記加速抑制制御を抑制する処理を実施することを特徴とする車両用加速抑制方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、
図1を用いて、本実施形態の車両用加速抑制装置を備える車両の構成を説明する。
図1は、本実施形態の車両用加速抑制装置1を備える車両Vの構成を示す概念図である。
図1中に示すように、自車両Vは、車輪W(右前輪WFR、左前輪WFL、右後輪WRR、左後輪WRL)と、ブレーキ装置2と、流体圧回路4と、ブレーキコントローラ6を備える。これに加え、自車両Vは、エンジン8と、エンジンコントローラ12を備える。
ブレーキ装置2は、例えば、ホイールシリンダを用いて形成し、各車輪Wにそれぞれ設ける。なお、ブレーキ装置2は、流体圧で制動力を付与する装置に限定するものではなく、電動ブレーキ装置等を用いて形成してもよい。
【0009】
流体圧回路4は、各ブレーキ装置2に接続する配管を含む回路である。
ブレーキコントローラ6は、上位コントローラである走行制御コントローラ10から入力を受けた制動力指令値に基づき、各ブレーキ装置2で発生する制動力を、流体圧回路4を介して、制動力指令値に応じた値に制御する。すなわち、ブレーキコントローラ6は、減速制御装置を形成する。なお、走行制御コントローラ10に関する説明は、後述する。
したがって、ブレーキ装置2、流体圧回路4及びブレーキコントローラ6は、制動力を発生する制動装置を形成する。
【0010】
エンジン8は、自車両Vの駆動源を形成する。
エンジンコントローラ12は、走行制御コントローラ10から入力を受けた目標スロットル開度信号(加速指令値)に基づき、エンジン8で発生するトルク(駆動力)を制御する。すなわち、エンジンコントローラ12は、加速制御装置を形成する。なお、目標スロットル開度信号に関する説明は、後述する。
したがって、エンジン8及びエンジンコントローラ12は、駆動力を発生する駆動装置を形成する。
なお、自車両Vの駆動源は、エンジン8に限定するものではなく、電動モータを用いて形成してもよい。また、自車両Vの駆動源は、エンジン8と電動モータを組み合わせて形成してもよい。
【0011】
次に、
図1を参照しつつ、
図2を用いて、車両用加速抑制装置1の概略構成を説明する。
図2は、本実施形態の車両用加速抑制装置1の概略構成を示すブロック図である。
車両用加速抑制装置1は、
図1及び
図2中に示すように、周囲環境認識センサ14と、車輪速センサ16と、操舵角センサ18と、シフトポジションセンサ20と、ブレーキ操作検出センサ22と、アクセル操作検出センサ24を備える。これに加え、車両用加速抑制装置1は、ナビゲーション装置26と、走行制御コントローラ10を備える。
周囲環境認識センサ14は、自車両Vの周囲の画像を撮像し、撮像した各画像に基づき、複数の撮像方向に対応した個別の画像を含む情報信号(以降の説明では、「個別画像信号」と記載する場合がある)を生成する。そして、生成した個別画像信号を、走行制御コントローラ10へ出力する。
【0012】
なお、本実施形態では、一例として、周囲環境認識センサ14を、前方カメラ14Fと、右側方カメラ14SRと、左側方カメラ14SLと、後方カメラ14Rを用いて形成した場合を説明する。ここで、前方カメラ14Fは、自車両Vの車両前後方向前方を撮像するカメラであり、右側方カメラ14SRは、自車両Vの右側方を撮像するカメラである。また、左側方カメラ14SLは、自車両Vの左側方を撮像するカメラであり、後方カメラ14Rは、自車両Vの車両前後方向後方を撮像するカメラである。
【0013】
また、本実施形態では、周囲環境認識センサ14は、例えば、自車両Vの周囲の路面が入る画角で各カメラの最大撮影範囲(例えば100[m])の距離範囲を撮像する。
車輪速センサ16は、例えば、車輪速パルスを計測するロータリエンコーダ等のパルス発生器を用いて形成する。
また、車輪速センサ16は、各車輪Wの回転速度を検出し、この検出した回転速度を含む情報信号(以降の説明では、「車輪速信号」と記載する場合がある)を、走行制御コントローラ10に出力する。
操舵角センサ18は、例えば、ステアリングホイール28を回転可能に支持するステアリングコラム(図示せず)に設ける。
【0014】
また、操舵角センサ18は、操舵操作子であるステアリングホイール28の現在の回転角度(操舵操作量)である現在操舵角を検出し、この検出した現在操舵角を含む情報信号(以降の説明では、「現在操舵角信号」と記載する場合がある)を、走行制御コントローラ10に出力する。なお、操向輪の転舵角を含む情報信号を、操舵角を示す情報として検出してもよい。
また、操舵操作子は、運転者が回転させるステアリングホイール28に限定するものではなく、例えば、運転者が手で傾ける操作を行うレバーとしてもよい。この場合、中立位置からのレバーの傾斜角度を、現在操舵角信号に相当する情報信号として出力する。
【0015】
シフトポジションセンサ20は、シフトノブやシフトレバー等、自車両Vのシフト位置(例えば、「P」、「D」、「R」等)を変更する部材の現在位置を検出する。そして、検出した現在位置を含む情報信号(以降の説明では、「シフト位置信号」と記載する場合がある)を、走行制御コントローラ10に出力する。
ブレーキ操作検出センサ22は、制動力指示操作子であるブレーキペダル30に対し、その開度を検出する。そして、検出したブレーキペダル30の開度を含む情報信号(以降の説明では、「ブレーキ開度信号」と記載する場合がある)を、走行制御コントローラ10に出力する。
ここで、制動力指示操作子は、自車両Vの運転者が操作可能であり、且つ開度の変化により自車両Vの制動力を指示する構成である。なお、制動力指示操作子は、運転者が足で踏込み操作を行うブレーキペダル30に限定するものではなく、例えば、運転者が手で操作するレバーとしてもよい。
【0016】
アクセル操作検出センサ24は、駆動力指示操作子であるアクセルペダル32に対し、その開度を検出する。そして、検出したアクセルペダル32の開度を含む情報信号(以降の説明では、「アクセル開度信号」と記載する場合がある)を、走行制御コントローラ10に出力する。
ここで、駆動力指示操作子は、自車両Vの運転者が操作可能であり、且つ開度の変化により自車両Vの駆動力を指示する構成である。なお、駆動力指示操作子は、運転者が足で踏込み操作を行うアクセルペダル32に限定するものではなく、例えば、運転者が手で操作するレバーとしてもよい。
ナビゲーション装置26は、GPS(Global Positioning System)受信機、地図データベースと、表示モニタ等を有する情報呈示装置を備え、経路探索及び経路案内等を行う装置である。
【0017】
また、ナビゲーション装置26は、GPS受信機を用いて取得した自車両Vの現在位置と、地図データベースに格納された道路情報に基づいて、自車両Vが走行する道路の種別や幅員等の道路情報を取得することが可能である。
また、ナビゲーション装置26は、GPS受信機を用いて取得した自車両Vの現在位置を含む情報信号(以降の説明では、「自車位置信号」と記載する場合がある)を、走行制御コントローラ10に出力する。これに加え、ナビゲーション装置26は、自車両Vが走行する道路の種別や道路幅員等を含む情報信号(以降の説明では、「走行道路情報信号」と記載する場合がある)を、走行制御コントローラ10に出力する。
【0018】
情報呈示装置は、走行制御コントローラ10からの制御信号に応じて、警報その他の呈示を音声や画像によって出力する。また、情報呈示装置は、例えば、ブザー音や音声により運転者への情報提供を行うスピーカと、画像やテキストの表示により情報提供を行う表示ユニットを備える。また、表示ユニットは、例えば、ナビゲーション装置26の表示モニタを流用してもよい。
走行制御コントローラ10は、CPUと、ROM及びRAM等のCPU周辺部品から構成される電子制御ユニットである。
【0019】
また、走行制御コントローラ10は、駐車のための運転支援処理を行う駐車運転支援部を備える。
走行制御コントローラ10の処理のうち駐車運転支援部は、機能的に、
図2中に示すように、周囲環境認識情報演算部10A、自車両車速演算部10B、操舵角演算部10C、操舵角速度演算部10Dの処理を備える。これに加え、駐車運転支援部は、機能的に、シフトポジション演算部10E、ブレーキペダル操作情報演算部10F、アクセル操作量演算部10G、アクセル操作速度演算部10H、加速抑制制御内容演算部10Iの処理を備える。さらに、駐車運転支援部は、機能的に、加速抑制指令値演算部10J、目標スロットル開度演算部10Kの処理を備える。これらの機能は、一または二以上のプログラムで構成される。
【0020】
周囲環境認識情報演算部10Aは、周囲環境認識センサ14から入力を受けた個別画像信号に基づき、自車両Vの上方から下方を見た自車両Vの周囲の画像(俯瞰画像)を形成する。そして、形成した俯瞰画像を含む情報信号(以降の説明では、「俯瞰画像信号」と記載する場合がある)を、加速抑制制御内容演算部10Iへ出力する。
ここで、俯瞰画像は、例えば、各カメラ(前方カメラ14F、右側方カメラ14SR、左側方カメラ14SL、後方カメラ14R)で撮像した画像を合成して形成する。また、俯瞰画像には、例えば、路面上に表示された駐車枠の線(以降の説明では、「駐車枠線」と記載する場合がある)等の道路標示を示す画像を含む。
【0021】
自車両車速演算部10Bは、車輪速センサ16から入力を受けた車輪速信号に基づき、車輪Wの回転速度から自車両Vの速度(車速)を演算する。そして、演算した速度を含む情報信号(以降の説明では、「車速演算値信号」と記載する場合がある)を、加速抑制制御内容演算部10Iへ出力する。
操舵角演算部10Cは、操舵角センサ18から入力を受けた現在操舵角信号に基づき、ステアリングホイール28の現在の回転角度から、ステアリングホイール28の中立位置からの操作量(回転角)を演算する。そして、演算した中立位置からの操作量を含む情報信号(以降の説明では、「操舵角信号」と記載する場合がある)を、加速抑制制御内容演算部10Iへ出力する。
【0022】
操舵角速度演算部10Dは、操作角センサ18から入力を受けた現在操舵角信号が含む現在操舵角を微分処理することにより、ステアリングホイール28の操舵角速度を演算する。そして、演算した操舵角速度を含む情報信号(以降の説明では、「操舵角速度信号」と記載する場合がある)を、加速抑制制御内容演算部10Iへ出力する。
シフトポジション演算部10Eは、シフトポジションセンサ20から入力を受けたシフト位置信号に基づき、現在のシフト位置を判定する。そして、演算した現在のシフト位置を含む情報信号(以降の説明では、「現在シフト位置信号」と記載する場合がある)を、加速抑制制御内容演算部10Iへ出力する。
【0023】
ブレーキペダル操作情報演算部10Fは、ブレーキ操作検出センサ22から入力を受けたブレーキ開度信号に基づき、踏込み量が「0」である状態を基準とした、ブレーキペダル30の踏込み量を演算する。そして、演算したブレーキペダル30の踏込み量を含む情報信号(以降の説明では、「制動側踏込み量信号」と記載する場合がある)を、加速抑制制御内容演算部10Iへ出力する。
【0024】
アクセル操作量演算部10Gは、アクセル操作検出センサ24から入力を受けたアクセル開度信号に基づき、踏込み量が「0」である状態を基準とした、アクセルペダル32の踏込み量を演算する。そして、演算したアクセルペダル32の踏込み量を含む情報信号(以降の説明では、「駆動側踏込み量信号」と記載する場合がある)を、加速抑制制御内容演算部10Iと、加速抑制指令値演算部10Jと、目標スロットル開度演算部10Kへ出力する。
【0025】
アクセル操作速度演算部10Hは、アクセル操作検出センサ24から入力を受けたアクセル開度信号が含むアクセルペダル32の開度を微分処理することにより、アクセルペダル32の操作速度を演算する。そして、演算したアクセルペダル32の操作速度を含む情報信号(以降の説明では、「アクセル操作速度信号」と記載する場合がある)を、加速抑制指令値演算部10Jへ出力する。
【0026】
加速抑制制御内容演算部10Iは、上述した各種の情報信号(俯瞰画像信号、車速演算値信号、操舵角信号、操舵角速度信号、現在シフト位置信号、制動側踏込み量信号、駆動側踏込み量信号、自車位置信号、走行道路情報信号)の入力を受ける。そして、入力を受けた各種の情報信号に基づいて、後述する加速抑制作動条件判断結果、加速抑制制御開始タイミング、加速抑制制御量を演算する。さらに、これらの演算したパラメータを含む情報信号を、加速抑制指令値演算部10Jへ出力する。
なお、加速抑制制御内容演算部10Iの詳細な構成と、加速抑制制御内容演算部10Iで行う処理については、後述する。
【0027】
加速抑制指令値演算部10Jは、上述した駆動側踏込み量信号及びアクセル操作速度信号の入力と、後述する加速抑制作動条件判断結果信号、加速抑制制御開始タイミング信号及び加速抑制制御量信号の入力を受ける。そして、アクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)に応じて自車両Vに発生させる加速を低減するための指令値である加速抑制指令値を演算する。さらに、演算した加速抑制指令値を含む情報信号(以降の説明では、「加速抑制指令値信号」と記載する場合がある)を、目標スロットル開度演算部10Kへ出力する。
【0028】
また、加速抑制指令値演算部10Jは、入力を受けた加速抑制作動条件判断結果信号の内容に応じて、後述する加速抑制制御を抑制する制御である抑制有加速抑制制御で用いる指令値である抑制有加速抑制指令値を演算する。さらに、演算した抑制有加速抑制指令値を含む情報信号(以降の説明では、「抑制有加速抑制指令値信号」と記載する場合がある)を、目標スロットル開度演算部10Kへ出力する。
また、加速抑制指令値演算部10Jは、入力を受けた加速抑制作動条件判断結果信号の内容に応じて、通常の加速制御で用いる指令値である通常加速指令値を演算する。さらに、演算した通常加速指令値を含む情報信号(以降の説明では、「通常加速指令値信号」と記載する場合がある)を、目標スロットル開度演算部10Kへ出力する。
なお、加速抑制指令値演算部10Jで行う処理については、後述する。
【0029】
目標スロットル開度演算部10Kは、駆動側踏込み量信号と、加速抑制指令値信号または通常加速指令値信号の入力を受ける。そして、アクセルペダル32の踏込み量と、加速抑制指令値または通常加速指令値に基づいて、アクセルペダル32の踏込み量または加速抑制指令値に応じたスロットル開度である目標スロットル開度を演算する。さらに、演算した目標スロットル開度を含む情報信号(以降の説明では、「目標スロットル開度信号」と記載する場合がある)を、エンジンコントローラ12へ出力する。
また、目標スロットル開度演算部10Kは、加速抑制指令値または抑制有加速抑制指令値が後述する加速抑制制御開始タイミング指令値を含む場合、後述する加速抑制制御開始タイミングに基づいて、目標スロットル開度信号をエンジンコントローラ12へ出力する。
なお、目標スロットル開度演算部10Kで行う処理については、後述する。
【0030】
(加速抑制制御内容演算部10Iの構成)
次に、
図1及び
図2を参照しつつ、
図3及び
図4を用いて、加速抑制制御内容演算部10Iの詳細な構成について説明する。
図3は、加速抑制制御内容演算部10Iの構成を示すブロック図である。
図3中に示すように、加速抑制制御内容演算部10Iは、加速抑制作動条件判断部34と、駐車枠確信度設定部36と、駐車枠進入確信度設定部38と、総合確信度設定部40を備える。これに加え、加速抑制制御内容演算部10Iは、加速抑制制御開始タイミング演算部42と、加速抑制制御量演算部44を備える。
【0031】
加速抑制作動条件判断部34は、加速抑制制御を作動させる条件が成立するか否かを判断し、その判断結果を含む情報信号(以降の説明では、「加速抑制作動条件判断結果信号」と記載する場合がある)を、加速抑制指令値演算部10Jへ出力する。ここで、加速抑制制御とは、アクセルペダル32の踏込み量に応じて車両Vを加速させる加速指令値を、通常よりも加速を低減した値に設定する制御である。本実施形態では、加速指令値が大きいほど車両Vに発生させる加速が大きくなるため、加速抑制制御は、アクセルペダル32の踏込み量に応じて車両Vを加速させる加速指令値を低減する制御となる。
【0032】
本実施形態では、加速抑制制御を作動させる条件が成立するか否かに加えて、抑制有加速抑制制御を作動させる条件が成立するか否かを判定する。ここで、抑制有加速抑制制御とは、加速抑制制御を停止する(通常の加速制御を行う)か、または、加速抑制制御における加速指令値の低減量を抑制する(通常よりも小さくする)制御である。本実施形態では、加速抑制制御を停止する停止モードと、加速抑制制御の低減量を抑制する抑制モードとのいずれか一方を運転者が予め選択して設定できることとする。なお、この構成に限らず、いずれか一方を固定的に設定する構成としてもよい。
【0033】
また、加速抑制作動条件判断部34が加速抑制制御を作動させる条件が成立するか否かを判断する処理、および抑制有加速抑制制御を作動させる条件が成立するか否かを判断する処理については、後述する。
駐車枠確信度設定部36は、自車両Vの進行方向に駐車枠が存在する確信度である駐車枠確信度を設定する。そして、設定した駐車枠確信度を含む情報信号(以降の説明では、「駐車枠確信度信号」と記載する場合がある)を、総合確信度設定部40へ出力する。
ここで、駐車枠確信度設定部36は、俯瞰画像信号、車速演算値信号、現在シフト位置信号、自車位置信号及び走行道路情報信号が含む各種情報を参照して、駐車枠確信度を設定する。
【0034】
また、駐車枠確信度設定部36が確信度の設定対象とする駐車枠には、例えば、
図4中に示すように、複数のパターンがある。なお、
図4は、駐車枠確信度設定部36が駐車枠確信度の設定対象とする駐車枠のパターンを示す図である。
また、駐車枠確信度設定部36は、自車両Vの車両前後方向の前方に存在する交差点を検出する。駐車枠確信度設定部36は、交差点を検出すると、該検出してからの自車両Vの走行距離を検出する。駐車枠確信度設定部36は、例えば、車速演算値信号に基づき、交差点を検出した時点からの車速を積分することで走行距離を検出する。そして、交差点を検出した時点からの自車両Vの予め設定した閾値車速以下の車速での走行距離に基づき、俯瞰画像から検出した路面上に位置する線を、駐車枠線の候補(以降の説明では、駐車枠線候補と記載する場合がある)から除外する処理を行う。加えて、加速抑制制御処理を停止する、または抑制する処理を行うか否かを判断するための抑制制御抑制フラグの設定処理等を行う。
なお、駐車枠確信度設定部36が駐車枠確信度を設定する処理についての詳細は、後述する。
【0035】
駐車枠進入確信度設定部38は、自車両Vが駐車枠へ進入する確信度である駐車枠進入確信度を設定する。そして、設定した駐車枠進入確信度を含む情報信号(以降の説明では、「駐車枠進入確信度信号」と記載する場合がある)を、総合確信度設定部40へ出力する。
ここで、駐車枠進入確信度設定部38は、俯瞰画像信号、車速演算値信号、現在シフト位置信号及び操舵角信号が含む各種情報を参照して、駐車枠進入確信度を設定する。
なお、駐車枠進入確信度設定部38が駐車枠進入確信度を設定する処理については、後述する。
【0036】
総合確信度設定部40は、駐車枠確信度信号及び駐車枠進入確信度信号の入力を受け、駐車枠確信度及び駐車枠進入確信度に対応する確信度である総合確信度を設定する。そして、設定した総合確信度を含む情報信号(以降の説明では、「総合確信度信号」と記載する場合がある)を、加速抑制制御開始タイミング演算部42及び加速抑制制御量演算部44へ出力する。
なお、総合確信度設定部40が総合確信度を設定する処理については、後述する。
【0037】
加速抑制制御開始タイミング演算部42は、加速抑制制御を開始するタイミングである加速抑制制御開始タイミングを演算する。そして、演算した加速抑制制御開始タイミングを含む情報信号(以降の説明では、「加速抑制制御開始タイミング信号」と記載する場合がある)を、加速抑制指令値演算部10Jへ出力する。
ここで、加速抑制制御開始タイミング演算部42は、総合確信度信号、制動側踏込み量信号、車速演算値信号、現在シフト位置信号及び操舵角信号が含む各種情報を参照して、加速抑制制御開始タイミングを演算する。
なお、加速抑制制御開始タイミング演算部42が加速抑制制御開始タイミングを演算する処理については、後述する。
【0038】
加速抑制制御量演算部44は、アクセルペダル32の踏込み量に応じた加速指令値を低減するための制御量である加速抑制制御量を演算する。そして、演算した加速抑制制御量を含む情報信号(以降の説明では、「加速抑制制御量信号」と記載する場合がある)を、加速抑制指令値演算部10Jへ出力する。
ここで、加速抑制制御量演算部44は、総合確信度信号、制動側踏込み量信号、車速演算値信号、現在シフト位置信号及び操舵角信号が含む各種情報を参照して、加速抑制制御量を演算する。
なお、加速抑制制御量演算部44が加速抑制制御量を演算する処理については、後述する。
【0039】
(加速抑制制御内容演算部10Iで行う処理)
次に、
図1から
図4を参照しつつ、
図5から
図13を用いて、加速抑制制御内容演算部10Iで行う処理について説明する。
・加速抑制作動条件判断部34が行う処理
図1から
図4を参照しつつ、
図5及び
図6を用いて、加速抑制作動条件判断部34が加速抑制制御を作動させる条件(以降の説明では、「加速抑制作動条件」と記載する場合がある)が成立するか否かを判断する処理について説明する。
図5は、加速抑制作動条件判断部34が、加速抑制作動条件が成立するか否かを判断する処理を示すフローチャートである。なお、加速抑制作動条件判断部34は、予め設定したサンプリング時間(例えば、10[msec])毎に、以下に説明する処理を行う。
図5中に示すように、加速抑制作動条件判断部34が処理を開始(START)すると、まず、ステップS100において、駐車枠確信度設定部36が設定した駐車枠確信度を取得する処理(図中に示す「駐車枠確信度取得処理」)を行う。ステップS100において、駐車枠確信度を取得する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS102へ移行する。
【0040】
ステップS102では、ステップS100で取得した駐車枠確信度に基づいて、駐車枠の有無を判断する処理(図中に示す「駐車
枠有無判断処理」)を行う。
本実施形態において、駐車枠の有無を判断する処理は、駐車枠確信度に基づいて行う。具体的に、駐車枠確信度が、予め設定した最低値(レベル0)であると判定すると、例えば、自車両Vを基準として予め設定した距離や領域(エリア)内に、駐車枠が無い(図中に示す「No」)と判断する。この場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS12
8へ移行する。
【0041】
一方、駐車枠確信度が、予め設定した最低値以外の値であると判定すると、自車両Vを基準として予め設定した距離や領域(エリア)内に、駐車枠が有る(図中に示す「Yes」)と判断する。この場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS104へ移行する。
ステップS104では、自車両車速演算部10Bから入力を受けた車速演算値信号を参照して、自車両Vの車速を取得する処理(図中に示す「自車両車速情報取得処理」)を行う。ステップS104において、自車両Vの車速を取得する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS106へ移行する。
【0042】
ステップS106では、ステップS104で取得した車速に基づいて、自車両Vの車速が、予め設定した閾値車速未満である条件が成立しているか否かを判断する処理(図中に示す「自車両車速条件判断処理」)を行う。
なお、本実施形態では、一例として、閾値車速を15[km/h]とした場合について説明する。
ステップS106において、自車両Vの車速が閾値車速未満である条件が成立している(図中に示す「Yes」)と判断した場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS108へ移行する。
【0043】
一方、ステップS106において、自車両Vの車速が閾値車速未満である条件が成立していない(図中に示す「No」)と判断した場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS12
8へ移行する。
ステップS108では、ブレーキペダル操作情報演算部10Fから入力を受けた制動側踏込み量信号を参照して、ブレーキペダル30の踏込み量(制動力操作量)の情報を取得する処理(図中に示す「ブレーキペダル操作量情報取得処理」)を行う。ステップS108において、ブレーキペダル30の踏込み量(制動力操作量)の情報を取得する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS110へ移行する。
【0044】
ステップS110では、ステップS108で取得したブレーキペダル30の踏込み量に基づいて、ブレーキペダル30が操作されているか否かを判断する処理(図中に示す「ブレーキペダル操作判断処理」)を行う。
ステップS110において、ブレーキペダル30が操作されていない(図中に示す「No」)と判断した場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS112へ移行する。
【0045】
一方、ステップS110において、ブレーキペダル30が操作されている(図中に示す「Yes」)と判断した場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS12
8へ移行する。
ステップS112では、アクセル操作量演算部10Gから入力を受けた駆動側踏込み量信号を参照して、アクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)の情報を取得する処理(図中に示す「アクセルペダル操作量情報取得処理」)を行う。ステップS112において、アクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)の情報を取得する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS114へ移行する。
【0046】
ステップS114では、アクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)が、予め設定した閾値アクセル操作量以上である条件が成立しているか否かを判断する処理(図中に示す「アクセルペダル操作判断処理」)を行う。ここで、ステップS114の処理は、ステップS112で取得したアクセルペダル32の踏込み量に基づいて行う。
なお、本実施形態では、一例として、閾値アクセル操作量を、アクセルペダル32の開度の3[%]に相当する操作量に設定した場合について説明する。
ステップS114において、アクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)が閾値アクセル操作量以上である条件が成立している(図中に示す「Yes」)と判断した場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS116へ移行する。
【0047】
一方、ステップS114において、アクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)が閾値アクセル操作量以上である条件が成立していない(図中に示す「No」)と判断した場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS12
8へ移行する。
ステップS116では、自車両Vが駐車枠へ進入するか否かを判断するための情報を取得する処理(図中に示す「駐車枠進入判断情報取得処理」)を行う。ここで、本実施形態では、一例として、ステアリングホイール28の操舵角と、自車両Vと駐車枠とのなす角度と、自車両Vと駐車枠との距離に基づいて、自車両Vが駐車枠へ進入するか否かを判断する場合を説明する。ステップS116において、自車両Vが駐車枠へ進入するか否かを判断するための情報を取得する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS118へ移行する。
【0048】
ここで、ステップS116で行う処理の具体例を説明する。
ステップS116では、操舵角演算部10Cから入力を受けた操舵角信号を参照して、ステアリングホイール28の回転角(操舵角)を取得する。これに加え、周囲環境認識情報演算部10Aから入力を受けた俯瞰画像信号が含む自車両Vの周囲の俯瞰画像に基づき、自車両Vと駐車枠L0とのなす角度αと、自車両Vと駐車枠L0との距離Dを取得する。
【0049】
ここで、角度αは、例えば、
図6中に示すように、直線Xと、枠線L1及び駐車枠L0側の線との交角の絶対値とする。なお、
図6は、自車両Vと、駐車枠L0と、自車両Vと駐車枠L0との距離Dを説明する図である。
また、直線Xは、自車両Vの中心を通る自車両Vの前後方向の直線(進行方向に延びる直線)であり、枠線L1は、駐車枠L0に駐車が完了した際に自車両Vの前後方向と平行または略平行になる駐車枠L0部分の枠線である。また、駐車枠L0側の線とは、L1の延長線からなる駐車枠L0側の線である。
【0050】
また、距離Dは、例えば、
図6中に示すように、自車両Vの前端面の中心点PFと駐車枠L0の入り口L2の中心点PPとの距離とする。ただし、距離Dは、自車両Vの前端面が駐車枠L0の入り口L2を通過した後は、負の値とする。なお、距離Dは、自車両Vの前端面が駐車枠L0の入り口L2を通過した後は、ゼロに設定してもよい。
ここで、距離Dを特定するための自車両V側の位置は、中心点PFに限定するものではなく、例えば、自車両Vに予め設定した位置と、入り口L2の予め設定した位置としてもよい。この場合、距離Dは、自車両Vに予め設定した位置と、入り口L2の予め設定した位置との距離とする。
【0051】
以上説明したように、ステップS116では、自車両Vが駐車枠L0へ進入するか否かを判断するための情報として、操舵角、自車両Vと駐車枠L0の角度α、自車両Vと駐車枠L0の距離Dを取得する。
ステップS118では、ステップS116で取得した情報に基づいて、自車両Vが駐車枠へ進入するか否かを判断する処理(図中に示す「駐車枠進入判断処理」)を行う。
ステップS118において、自車両Vが駐車枠へ進入しない(図中に示す「No」)と判断した場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS12
8へ移行する。
【0052】
一方、ステップS118において、自車両Vが駐車枠へ進入する(図中に示す「Yes」)と判断した場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS12
0へ移行する。
ここで、ステップS118で行う処理の具体例を説明する。
ステップS118では、例えば、以下に示す三つの条件(A1〜A3)を全て満足した場合に、自車両Vが駐車枠へ進入すると判断する。
条件A1.ステップS116で検出した操舵角が予め設定した設定舵角値(例えば、45[deg])以上の値となってから経過した時間が、予め設定した設定時間(例えば、20[sec])以内である。
条件A2.自車両Vと駐車枠L0の角度αが、予め設定した設定角度(例えば、40[deg])以下である。
条件A3.自車両Vと駐車枠L0の距離Dが、予め設定した設定距離(例えば3[m])以下である。
なお、自車両Vが駐車枠へ進入するか否かを判断する処理としては、駐車枠進入確信度設定部38が駐車枠進入確信度を設定する際に行う処理を用いてもよい。
【0053】
また、自車両Vが駐車枠へ進入するか否かの判断に用いる処理は、上記のように複数の条件を用いた処理に限定するものではなく、上述した三つの条件のうち一つ以上の条件で判断する処理を用いてもよい。また、自車両Vの車速を用いて、自車両Vが駐車枠へ進入するか否かを判断する処理を用いてもよい。
ステップS120では、加速抑制制御を抑制する処理を行うか否かを判断するための情報を取得する処理(図中に示す「抑制判断情報取得処理」)を行う。ステップS120において、加速抑制制御を抑制する処理を行うか否かを判断するための情報を取得する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS122へ移行する。
本実施形態では、駐車枠確信度設定部36が設定した、抑制制御抑制フラグの設定情報を取得する。
【0054】
ステップS122では、ステップS120で取得した抑制制御抑制フラグの設定情報に基づいて、加速抑制制御を抑制する処理を行うか否かを判断する処理(図中に示す「抑制実行判断処理」)を行う。
本実施形態において、加速抑制制御を抑制する処理を行うか否かを判断する処理は、抑制制御抑制フラグの設定値(ON,OFF)に基づいて行う。
具体的に、設定値がONを示す値(例えば「1」)であると判定すると、加速抑制制御を抑制する処理を行う(図中に示す「Yes」)と判断する。この場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS124へ移行する。
【0055】
一方、設定値がOFFを示す値(例えば「0」)であると判定すると、加速抑制制御を抑制する処理を行わない(図中に示す「No」)と判断する。この場合、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS126へ移行する。
ステップS124では、加速抑制作動条件判断結果信号を、抑制有加速抑制作動条件が成立する判断結果を含む情報信号として生成する処理(図中に示す「抑制有加速抑制作動条件成立」)を行う。ステップS124において、抑制有加速抑制作動条件が成立する判断結果を含む情報信号として生成する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS130へ移行する。
【0056】
ステップS126では、加速抑制作動条件判断結果信号を、加速抑制制御作動条件が成立する判断結果を含む情報信号として生成する処理(図中に示す「加速抑制作動条件成立」)を行う。ステップS126において、加速抑制制御作動条件が成立する判断結果を含む加速抑制作動条件判断結果信号を生成する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS130へ移行する。
ステップS128では、加速抑制作動条件判断結果信号を、加速抑制制御作動条件が成立しない判断結果を含む情報信号として生成する処理(図中に示す「加速抑制作動条件非成立」)を行う。ステップS128において、加速抑制制御作動条件が成立しない判断結果を含む加速抑制作動条件判断結果信号を生成する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS130へ移行する。
【0057】
ステップS130では、ステップS124、ステップS126またはステップS128で生成した加速抑制作動条件判断結果信号を、加速抑制指令値演算部10Jへ出力する処理(図中に示す「加速抑制作動条件判断結果出力」)を行う。ステップS130において、加速抑制作動条件判断結果信号を加速抑制指令値演算部10Jへ出力する処理を行うと、加速抑制作動条件判断部34が行う処理は、ステップS100の処理へ復帰(RETURN)する。
【0058】
・駐車枠確信度設定部36が行う処理
図1から
図6を参照しつつ、
図7から
図9を用いて、駐車枠確信度設定部36が駐車枠確信度を設定する処理について説明する。
図7は、駐車枠確信度設定部36が駐車枠確信度を設定する処理を示すフローチャートである。
図7中に示すように、駐車枠確信度設定部36が処理を開始(START)すると、まず、ステップS200において、駐車枠確信度のレベルを最低値(レベル0)に設定する処理(図中に示す「レベル0に設定」)を行う。ステップS200において、駐車枠確信度をレベル0に設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS202へ移行する。
【0059】
ステップS202では、周囲環境認識情報演算部10Aから入力を受けた俯瞰画像信号が含む自車両Vの周囲の俯瞰画像を取得する処理(図中に示す「周囲画像取得処理」)を行う。ステップS202において、自車両Vの周囲の俯瞰画像を取得する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS204へ移行する。
ステップS204では、自車両Vの前方に存在する交差点を検出する処理(図中に示す「交差点検出処理」)を行う。ステップS204において、交差点を検出する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS206へ移行する。
【0060】
ここで、
図8を用いて、ステップS204で行う処理の具体例を説明する。なお、
図8は、駐車枠確信度設定部36が交差点を検出する処理を示すフローチャートである。
ステップS206において、駐車枠確信度設定部36が処理を開始(START)すると、
図8中に示すように、まず、ステップS2000において、交差点を検出するための情報を取得する処理(図中に示す「交差点検出情報取得処理」)を行う。ステップS2000において、交差点を検出するための情報を取得する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2010へ移行する。
【0061】
ここで、ステップS2000で行う処理の具体例を説明する。
ステップS2000では、例えば、以下に示す三つの情報を取得する。
1つ目は、自車両Vの前方の俯瞰画像内の路面上に横断歩道を標示する標示線が存在するか否かを画像処理によって解析する。そして、この解析結果に基づき、自車両Vの前方に横断歩道が存在するか否かを示す情報(以降の説明では、「横断歩道有無情報」と記載する場合がある)を取得する。この解析処理は、例えば、パターンマッチングなどの公知の画像処理技術を用いて行う。具体的に、この解析結果に基づき、自車両Vの前方に横断歩道が存在すると判定した場合、横断歩道が存在することを示す情報を含む横断歩道有無情報を生成する。一方、この解析結果に基づき、自車両Vの前方に横断歩道が存在しないと判定した場合、横断歩道が存在しないことを示す情報を含む横断歩道有無情報を生成する。
【0062】
2つ目は、自車両Vの前方の俯瞰画像内の路面上に、予め設定した曲折条件を満たす道路標示線や路肩のエッジ線(以降の説明では、区別せずに「カーブ線」と記載する場合がある)が存在するか否かを画像処理によって解析する。そして、この解析結果に基づき、カーブ線が存在するか否かを示す情報(以降の説明では、「カーブ線有無情報」と記載する場合がある)を取得する。この解析処理は、例えば、画像から抽出できるカーブ線の曲率等を数値解析したり、パターンマッチングなどの公知の画像処理技術を用いたりして行う。具体的に、この解析結果に基づき、自車両Vの前方にカーブ線が存在すると判定した場合、カーブ線が存在することを示す情報を含むカーブ線有無情報を生成する。一方、この解析結果に基づき、自車両Vの前方にカーブ線が存在しないと判定した場合、カーブ線が存在しないことを示す情報を含むカーブ線有無情報を生成する。
ここで、曲折条件とは、例えば、予め設定した曲率範囲内のカーブなどの交差点に存在するカーブと一致するか否かを判定するためのカーブの特徴を規定した条件である。
【0063】
3つ目は、ブレーキペダル操作情報演算部10Fから入力を受けた制動側踏込み量信号を参照して、自車両Vのブレーキペダル30の操作パターン(以降の説明では、「制動操作パターン」と記載する場合がある)を検出する。そして、検出した制動操作パターンが予め設定した交差点における車両のブレーキペダル30の操作パターンと一致するか否かを判定する。そして、この判定結果に基づき、自車両Vの制動操作パターンが交差点における制動操作パターンと一致しているか否かを示す情報(以降の説明では、「制動操作パターン一致判定情報」と記載する場合がある)を取得する。具体的に、この判定結果に基づき、一致していると判定した場合、一致していることを示す情報を含む制動操作パターン一致判定情報を生成する。一方、この判定結果に基づき、一致していないと判定した場合、一致していないことを示す情報を含む制動操作パターン一致判定情報を生成する。
【0064】
ここで、予め設定した交差点における制動操作パターンは、例えば、自車両Vが停止状態となる操作量以上のブレーキペダル30の操作量が予め設定した時間(例えば、10秒)以上継続する制動操作パターンなどが該当する。なお、運転者毎の交差点における制動操作パターンを学習して、運転者毎に適切な制動操作パターンを設定する構成としてもよい。
ステップS2010では、ステップS2000で取得した交差点を検出するための情報に基づき、交差点を検出したか否かを判定するための処理(図中に示す「交差点検出判定処理」)を行う。ステップS2010において、交差点を検出したか否かを判定するための処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2020へ移行する。
【0065】
ここで、ステップS2010で行う処理の具体例を説明する。
ステップS2010では、ステップS2000で取得した、「横断歩道有無情報」、「カーブ線有無情報」および「制動操作パターン一致判定情報」に基づき、交差点を検出したか否かを判定するための処理を行う。
例えば、「横断歩道有り」、「カーブ線有り」及び「制動操作パターンが一致」の少なくとも1つを満足しているか否かを判定する。
ステップS2020では、ステップS2010の判定結果に基づき、交差点を検出したか否かを判定する処理(図中に示す「交差点検出?」)を行う。
ステップS2020において、交差点を検出した(図中に示す「Yes」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2030へ移行する。
【0066】
一方、ステップS2020において、交差点を検出していない(図中に示す「No」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS20
60へ移行する。
ステップS2030では、自車両Vが走行している領域が予め設定された駐車領域か、該駐車領域以外の領域(以降の説明では、「非駐車領域」と記載する場合がある)か、を判定するための処理(図中に示す「走行路判定処理」)を行う。ステップS2030において、自車両Vが非駐車領域を走行しているかを判定するための処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2040へ移行する。
【0067】
ここで、ステップS2030で行う処理の具体例を説明する。
例えば、自車両Vが非駐車領域を走行している否かを判定するための処理として、以下の五つの判定処理を行う。
1つ目は、自車両Vの車速が30[km/h]以上となっているか否かを判定する。
2つ目は、自車両Vの連続走行距離が100[m]以上となっているか否かを判定する。
3つ目は、駐車枠線の候補として抽出された線の中に、予め設定した第1線長距離閾値(例えば、実距離15[m]に相当する長さ)以上の長さを有する線が含まれているか否かを判定する。
4つ目は、駐車枠線の候補として抽出された線のうち、予め設定した第1線間距離範囲(例えば、実距離3〜5[m]に相当する長さ)以内の隣接した二本の線の組の中に、予め設定した第2線長距離閾値(例えば、実距離7[m]に相当する長さ)以上の長さを有する線の組が含まれているか否かを判定する。
5つ目は、駐車枠線の候補として抽出された線のうち、予め設定した第2線間距離範囲(例えば、実距離2.5〜5[m]に相当する長さ)以内の隣接した二本の線の組の中に、予め設定した第3線長距離閾値(例えば、実距離15[m]に相当する長さ)以上の長さを有する線の組が含まれているか否かを判定する。
【0068】
ステップS2040では、ステップS2030の判定結果に基づき、自車両Vが非駐車領域を走行しているか否かを判定する処理(図中に示す「非駐車領域を走行中?」)を行う。
ステップS2040において、自車両Vが非駐車領域を走行している(図中に示す「Yes」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2050へ移行する。
【0069】
一方、ステップS2040において、自車両Vが非駐車領域を走行していない(図中に示す「No」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2060へ移行する。
ここで、ステップS2040で行う処理の具体例を説明する。
例えば、以下に示す五つの条件(B1〜B5)の少なくとも1つを満足した場合に、自車両Vが、非駐車領域(例えば、公道など)を走行していると判定する。
条件B1.自車両Vの車速が30[km/h]以上である。
条件B2.自車両Vの連続走行距離が100[m]以上である。
条件B3.駐車枠線の候補として抽出された線の中に、第1線長距離閾値以上の長さの線が含まれている。
条件B4.駐車枠線の候補として抽出された線のうち、第1線間距離範囲以内の二本の線の組の中に、第2線長距離閾値以上の線の組が含まれている。
条件B5.駐車枠線の候補として抽出された線のうち、第2線間距離範囲以内の二本の線の組の中に、第3線長距離閾値以上の線の組が含まれている。
【0070】
つまり、上記条件B1〜B5のうちいずれか1つでも満足している場合に、自車両Vが予め設定された駐車を行う領域(例えば、駐車場等)以外の非駐車領域を走行していると判定する。
ステップS2050では、ステップS2040の自車両Vが非駐車領域を走行しているという判定結果に応じて、交差点検出フラグをONに設定する処理(図中に示す「交差点検出フラグをONに設定」)を行う。ステップS2050において、交差点検出フラグをONに設定する処理を行うと、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0071】
具体的に、交差点検出フラグの値を、ONを示す値(例えば「1」)に設定する。
ステップS2060では、ステップS2040の自車両Vが非駐車領域を走行していないという判定結果に応じて、交差点検出フラグをOFFに設定する処理(図中に示す「交差点検出フラグをOFFに設定」)を行う。ステップS2060において、交差点検出フラグをOFFに設定する処理を行うと、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
具体的に、交差点検出フラグの値を、OFFを示す値(例えば「0」)に設定する。
図7に戻って、ステップS206では、ステップS202で取得した俯瞰画像から、駐車枠確信度を設定するために用いる判定要素を抽出する処理(図中に示す「判定要素抽出処理」)を行う。ステップS206において、俯瞰画像から判定要素を抽出する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS208へ移行する。
【0072】
ここで、判定要素とは、駐車枠線等、路面上に標示されている線(白線等)であり、その状態が、例えば、以下に示す三つの条件(C1〜C3)を全て満足した場合に、その線を、判定要素(以降の記載において、「駐車枠線候補」と言う場合がある)として抽出する。
条件C1.路面上に標示されている線に破断部分がある場合、その破断部分が、標示されていた線がかすれている部分(例えば、線よりも明瞭度が低く、且つ路面よりも明瞭度が高い部分)である。
条件C2.路面上に標示されている線の幅が、予め設定した設定幅(例えば、10[cm])以上である。
条件C3.路面上に標示されている線の長さが、予め設定した設定標示線長さ(例えば、2.5[m])以上である。
【0073】
ステップS208では、ステップS204の交差点検出処理の処理結果に基づき、交差点検出フラグがONか否かを判定する処理(図中に示す「交差点検出フラグはON?」)を行う。
ステップS208において、交差点検出フラグがONである(図中に示す「Yes」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS210へ移行する。
【0074】
一方、ステップS208において、交差点検出フラグがOFFである(図中に示す「No」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS216へ移行する。
ステップS210では、加速抑制制御を抑制する処理を行うか否かを決定するための抑制フラグを設定する処理(図中に示す「抑制フラグ設定処理」)を行う。ステップS210において、抑制フラグを設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS212へ移行する。
ここで、
図9を用いて、ステップS210で行う処理の具体例を説明する。なお、
図9は、駐車枠確信度設定部36が抑制フラグを設定する処理を示すフローチャートである。
【0075】
ステップS210において、駐車枠確信度設定部36が処理を開始(START)すると、
図9中に示すように、まず、ステップS2200において、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離を検出するための情報と自車両Vの旋回動作を検出するための情報を取得する処理(図中に示す「車両走行情報取得処理」)を行う。ステップS2200において、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離を検出するための情報と自車両Vの旋回動作を検出するための情報を取得する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2210へ移行する。
【0076】
具体的に、ステップS2200では、自車両車速演算部10Bから入力を受けた車速演算値信号を参照して、自車両Vの車速を取得する。そして、取得した車速を積分することで自車両Vの走行距離の情報を取得する。また、操舵角演算部10Cから入力を受けた操舵角信号を参照して、ステアリングホイール28の回転角(操舵角)を取得する。
ステップS2210では、ステップS2200で取得した自車両Vの走行距離が、予め設定した第1走行距離閾値(例えば、20[m])以下であるか否かを判定する処理(図中に示す「第1走行距離閾値以下?」)を行う。
ステップS2210において、自車両Vの走行距離が、第1走行距離閾値以下である(図中に示す「Yes」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2220へ移行する。
【0077】
一方、ステップS2210において、自車両Vの走行距離が、第1走行距離閾値以下ではない(図中に示す「No」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2250へ移行する。
ステップS2220では、ステップS206において駐車枠線候補として抽出された線を駐車枠線候補から除外するか否かを判定するための枠線候補除外フラグをONに設定する処理(図中に示す「枠線候補除外フラグをONに設定」)を行う。ステップS2220において、枠線候補除外フラグをONに設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2230へ移行する。
【0078】
ステップS2230では、ステップS2200で取得した自車両Vの操舵角に基づき、自車両Vが旋回動作を行ったか否かを判定する処理(図中に示す「旋回動作を行った?」)を行う。
ステップS2230において、自車両Vが旋回動作を行った(図中に示す「Yes」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2240へ移行する。
【0079】
一方、ステップS2230において、自車両Vが旋回動作を行っていない(図中に示す「No」)と判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
ステップS2240では、ステップS206において駐車枠線の候補として抽出された線を駐車枠線候補から除外する走行距離範囲を延長する処理(図中に示す「除外範囲を延長」)を行う。具体的に、枠線候補除外フラグの判定に用いる走行距離閾値として、第1走行距離閾値よりも大きい予め設定した第2走行距離閾値(例えば、30[m])を設定する。ステップS2240において、走行距離範囲を延長する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0080】
ステップS2250では、ステップS206において駐車枠線の候補として抽出された線を駐車枠線候補から除外する走行距離範囲が延長中であるか否かを判定する処理(図中に示す「除外範囲は延長中?」)を行う。
ステップS2250において、除外範囲が延長中であると判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2260へ移行する。
【0081】
一方、ステップS2250において、除外範囲が延長中では無いと判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2280へ移行する。
ステップS2260では、交差点を検出した時点からの自車両Vの走行距離が第2走行距離閾値以下であるか否かを判定する処理(図中に示す「第2走行距離閾値以下?」)を行う。
ステップS2260において、自車両Vの走行距離が第2走行距離閾値以下であると判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2270へ移行する。
【0082】
一方、ステップS2260において、自車両Vの走行距離が第2走行距離閾値以下では無いと判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2280へ移行する。
ステップS2270では、枠線候補除外フラグをONのまま継続する処理(図中に示す「枠線候補除外フラグをONのまま継続」)を行う。ステップS2270において、枠線候補除外フラグをONのまま継続する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
ステップS2280では、枠線候補除外フラグをOFFに設定する処理(図中に示す「枠線候補除外フラグをOFFに設定」)を行う。ステップS2280において、枠線候補除外フラグをOFFに設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2290へ移行する。
【0083】
ステップS2290では、交差点を検出した時点からの自車両Vの走行距離が第2走行距離閾値よりも大きい予め設定した第3走行距離閾値(例えば、40[m])以下であるか否かを判定する処理(図中に示す「第3走行距離閾値以下?」)を行う。
ステップS2290において、第3走行距離閾値以下であると判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2300へ移行する。
【0084】
一方、ステップS2290において、第3走行距離閾値以下では無いと判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2310へ移行する。
ステップS2300では、加速抑制制御を抑制するか否かを判定するための抑制制御抑制フラグをONに設定する処理(図中に示す「抑制制御抑制フラグをONに設定」)を行う。ステップS2300において、抑制制御抑制フラグをONに設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
ステップS2310では、抑制制御抑制フラグをOFFに設定する処理(図中に示す「抑制制御抑制フラグをOFFに設定」)を行う。ステップS2310において、抑制制御抑制フラグをOFFに設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2320へ移行する。
【0085】
ステップS2320では、交差点検出フラグをOFFに設定する処理(図中に示す「交差点検出フラグをOFFに設定」)を行う。ステップS2320において、交差点検出フラグをOFFに設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
図7に戻って、ステップS212では、枠線候補除外フラグはONか否かを判定する処理(図中に示す「枠線候補除外フラグはON?」)を行う。
ステップS212において、枠線候補除外フラグはONであると判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS214へ移行する。
【0086】
一方、ステップS212において、枠線候補除外フラグはOFFであると判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS216へ移行する。
ステップS214では、ステップS206で駐車枠線候補として抽出した線を、駐車枠線候補から除外する処理(図中に示す「枠線候補除外処理」)を行う。具体的に、駐車枠線候補として抽出した線の情報をメモリから削除する。ステップS214において、駐車枠線候補として抽出した線を駐車枠線候補から除外する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS216へ移行する。
【0087】
ステップS216では、ステップS206で抽出した駐車枠線候補が、駐車枠を形成する線の条件に適合しているか否かを判断する処理(図中に示す「駐車枠条件適合?」)を行う。
ステップS216において、ステップS206で抽出した駐車枠線候補が、駐車枠を形成する線の条件に適合していない(図中に示す「No」)と判断した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS202へ移行する。
【0088】
一方、ステップS216において、ステップS206で抽出した駐車枠線候補が、駐車枠を形成する線の条件に適合している(図中に示す「Yes」)と判断した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS218へ移行する。なお、ステップS216で行う処理は、例えば、周囲環境認識情報演算部10Aから入力を受けた俯瞰画像信号を参照して行う。
ここで、
図10を用いて、ステップS216で行う処理の具体例を説明する。なお、
図10は、駐車枠確信度設定部36が行う処理の内容を示す図である。また、
図10中には、俯瞰画像のうち前方カメラ14Fで撮像した画像を示す領域を、符号「PE」と示す。
ステップS216では、まず、ステップS206で抽出した駐車枠線候補である路面上に標示されている線から、同一画面上に表示されている隣接した二本の線を一つの組として特定(以降の説明では、「ペアリング」と記載する場合がある)する。なお、同一画面上に三本以上の線が表示されている場合は、三本以上の線に対し、それぞれ、隣接した二本の線により、二つ以上の組を特定する。
【0089】
次に、ペアリングした二本の線に対し、例えば、以下に示す四つの条件(D1〜D4)を全て満足した場合に、ステップS206で抽出した駐車枠線候補が、駐車枠を形成する線の条件に適合していると判断する。
条件D1.
図10(a)中に示すように、ペアリングした二本の線(図中では、符合「La」、符合「Lb」で示す)間の幅WLが、予め設定した設定ペアリング幅(例えば、2.5[m])以下である。
条件D2.
図10(b)中に示すように、線Laと線Lbとのなす角度(平行度合い)が、予め設定した設定角度(例えば、3[°])以内である。
【0090】
なお、
図10(b)中には、基準線(領域PEの垂直方向に延在する線)を、符合「CLc」を付した点線で示し、線Laの中心軸線を、符合「CLa」を付した破線で示し、線Lbの中心軸線を、符合「CLb」を付した破線で示す。また、基準線CLcに対する中心軸線CLaの傾斜角を符号「θa」で示し、基準線CLcに対する中心軸線CLbの傾斜角を符号「θb」で示す。
したがって、|θa−θb|≦3[°]の条件式が成立すると、条件
D2を満足することとなる。
【0091】
条件D3.
図10(c)中に示すように、線Laの自車両V側の端部(図中では、下方側の端部)と線Lbの自車両V側の端部を結ぶ直線と、自車両Vに近い側の線Lとのなす角度θが、予め設定した設定ずれ角度(例えば、45[°])以上である。
条件D4.
図10(d)中に示すように、線Laの幅W0と線Lbの幅W1との差の絶対値(|W0−W1|)が、予め設定した設定線幅(例えば、10[cm])以下である。
なお、上述した四つの条件(D1〜D4)を満足するか否かを判定する処理では、線La,Lbのうち少なくとも一方の長さが、例えば、2[m]程度で途切れている場合、さらに、2[m]程度の仮想線を延長した4[m]程度の線として、処理を継続する。
【0092】
ステップS218では、駐車枠確信度のレベルを最低値(レベル0)よりも一段階上のレベル(レベル1)に設定する処理(図中に示す「レベル1に設定」)を行う。ステップS218において、駐車枠確信度をレベル1に設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS220へ移行する。
ステップS220では、ステップS216の処理を開始してから自車両Vの移動距離が予め設定した設定移動距離となるまでに、ステップS216の処理が連続して照合するか否かを判断する処理(図中に示す「連続照合適合?」)を行う。なお、設定移動距離は、自車両Vの諸元や、前進または後退の状態に応じて、例えば、1〜2.5[m]の範囲内に設定する。また、ステップS220で行う処理は、例えば、周囲環境認識情報演算部10Aから入力を受けた俯瞰画像信号と、自車両車速演算部10Bから入力を受けた車速演算値信号を参照して行う。
ステップS220において、ステップS216の処理が連続して照合していない(図中に示す「No」)と判断した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS202へ移行する。
【0093】
一方、ステップS220において、ステップS216の処理が連続して照合している(図中に示す「Yes」)と判断した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS222へ移行する。
ここで、ステップS220で行う処理では、例えば、
図11中に示すように、ステップS216の処理が照合された状態と、ステップS216の処理が照合されない状態に応じて、自車両Vの移動距離を仮想的に演算する。なお、
図11は、駐車枠確信度設定部36が行う処理の内容を示す図である。また、
図11中には、「照合状態」と記載した領域において、ステップS216の処理が照合された状態を「ON」と示し、ステップS216の処理が照合されない状態を「OFF」と示す。また、
図11中には、仮想的に演算した自車両Vの移動距離を、「仮想走行距離」と示す。
【0094】
図11中に示すように、ステップS216の処理が照合された状態が「ON」であると、仮想走行距離が増加する。一方、ステップS216の処理が照合された状態が「OFF」であると、仮想走行距離が減少する。
なお、本実施形態では、一例として、仮想走行距離が増加する際の傾き(増加ゲイン)を、仮想走行距離が減少する際の傾き(減少ゲイン)よりも大きく設定した場合について説明する。すなわち、「照合状態」が「ON」である状態と「OFF」である状態が同時間であれば、仮想走行距離は増加することとなる。
【0095】
そして、仮想走行距離が初期値(図中では、「0[m]」と示す)に戻ることなく、設定移動距離に達すると、ステップS216の処理が連続して照合していると判断する。
ステップS222では、駐車枠確信度のレベルを最低値(レベル0)よりも二段階上のレベル(レベル2)に設定する処理(図中に示す「レベル2に設定」)を行う。ステップS222において、駐車枠確信度をレベル2に設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS224へ移行する。
【0096】
ステップS224では、ステップS216の処理が連続して照合している線La,Lbに対し、それぞれ、自車両Vを基準として同じ側に位置する端点(近い側の端点、または、遠い側の端点)を検出する。そして、同じ側に位置する端点同士が、幅WLの方向に沿って対向しているか否かを判断する処理(図中に示す「遠近端点対向適合?」)を行う。なお、ステップS224で行う処理は、例えば、周囲環境認識情報演算部10Aから入力を受けた俯瞰画像信号と、自車両車速演算部10Bから入力を受けた車速演算値信号を参照して行う。
ステップS224において、同じ側に位置する端点同士が、幅WLの方向に沿って対向していない(図中に示す「No」)と判断した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2
02へ移行する。
【0097】
一方、ステップS224において、同じ側に位置する端点同士が、幅WLの方向に沿って対向している(図中に示す「Yes」)と判断した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS2
26へ移行する。
ステップS226では、駐車枠確信度のレベルを最低値(レベル0)よりも三段階上のレベル(レベル3)に設定する処理(図中に示す「レベル3に設定」)を行う。ステップS226において、駐車枠確信度をレベル3に設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS228へ移行する。
【0098】
ステップS228では、ステップS224の処理において、同じ側に位置する端点同士が幅WLの方向に沿って対向していると判断した線La,Lbに対し、さらに、他方の側に位置する端点を検出する。すなわち、ステップS224の処理において、線La,Lbに対して近い側(一方の側)の端点を検出した場合、ステップS228では、線La,Lbに対して遠い側(他方の側)の端点を検出する。そして、他方の側に位置する端点同士が、幅WLの方向に沿って対向しているか否かを判断する処理(図中に示す「両端端点対向適合?」)を行う。なお、ステップS228で行う処理は、例えば、周囲環境認識情報演算部10Aから入力を受けた俯瞰画像信号と、自車両車速演算部10Bから入力を受けた車速演算値信号を参照して行う。
【0099】
なお、線La,Lbの端点を検出する際には、例えば、
図4(a)中に示す線の端点のような直線の端点と、
図4(g)中に示す線の上端点のようなU字状の端点と、
図4(o)中に示す二重線と横線との交点を、全て、一本の直線の端点として処理する。同様に、
図4(h)中に示す線の上端点のような二重線の端点と、
図4(m)中に示す線の上端点のようなU字状の曲線に空隙部が形成されている端点も、全て、一本の直線の端点として処理する。
【0100】
また、線La,Lbの端点を検出する際には、例えば、
図4(n)中に示す上下方向に延在する傾斜した二重線と、左右方向に延在する一本の直線との交点は、端点として処理(認識)しない。これは、端点を検出する際には、撮像した画像を示す領域において、横方向への走査を行うことにより端点を検出するためである。また、例えば、
図4(p)中に白枠の四角形で示す領域は、柱等の路上物体を示しているため、この物体の端点も検出しない。
ステップS228において、他方の側に位置する端点同士が、幅WLの方向に沿って対向していない(図中に示す「No」)と判断した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS202へ移行する。
【0101】
一方、ステップS228において、他方の側に位置する端点同士が、幅WLの方向に沿って対向している(図中に示す「Yes」)と判断した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS230へ移行する。
ステップS230では、駐車枠確信度のレベルを最低値(レベル0)よりも四段階上のレベル(レベル4)に設定する処理(図中に示す「レベル4に設定」)を行う。ステップS230において、駐車枠確信度をレベル4に設定する処理を行うと、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS232へ移行する。
したがって、駐車枠確信度をレベル3に設定する処理では、
図4中に示す駐車枠のうち、(d),(e),(j),(k)のパターンに対し、駐車枠確信度を設定することとなる。また、駐車枠確信度をレベル4に設定する処理では、
図4中に示す駐車枠のうち、(d),(e),(j),(k)を除くパターンに対し、駐車枠確信度を設定することとなる。
【0102】
ステップS232では、予め設定した、駐車枠確信度設定部36が行う処理の終了条件が成立したか否かを判定する処理(図中に示す「終了条件成立?」)を行う。
具体的に、例えば、シフトポジションセンサ20から入力を受けたシフト位置信号に基づき、シフトポジションがパーキング(「P」)のシフト位置にあるか否か、イグニッションON→OFFの検出等に基づき終了条件を満足したか否かを判定する。
ステップS232において、終了条件を満足したと判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は終了(END)する。
一方、ステップS232において、終了条件を満足していないと判定した場合、駐車枠確信度設定部36が行う処理は、ステップS202へ移行する。
なお、駐車枠確信度設定部36が行う上記一連の処理は、開始条件が成立する毎に繰り返し実施される。
【0103】
・駐車枠進入確信度設定部38が行う処理
図1から
図11を参照しつつ、
図12及び
図13を用いて、駐車枠進入確信度設定部38が駐車枠進入確信度を設定する処理について説明する。
図12は、駐車枠進入確信度設定部38が駐車枠進入確信度を設定する処理を示すフローチャートである。なお、駐車枠進入確信度設定部38は、予め設定したサンプリング時間(例えば、10[msec])毎に、以下に説明する処理を行う。
図12中に示すように、駐車枠進入確信度設定部38が処理を開始(START)すると、まず、ステップS300において、自車両Vの予想軌跡と駐車枠とのずれ量を検出する処理(図中に示す「ずれ量検出」)を行う。ステップS300において、自車両Vの予想軌跡と駐車枠とのずれ量を検出する処理を行うと、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は、ステップS302へ移行する。なお、本実施形態では、一例として、ステップS300で検出するずれ量の単位を[cm]とした場合について説明する。また、本実施形態では、一例として、駐車枠の幅を2.5[m]とした場合について説明する。
【0104】
ここで、ステップS300で行なう処理では、例えば、
図13中に示すように、自車両Vの後輪予想軌跡TRを算出し、算出した後輪予想軌跡TRと駐車枠L0の入り口L2との交点TPを算出する。さらに、駐車枠L0の左側枠線L1lと交点TPとの距離Lflと、駐車枠L0の右側枠線L1rと交点TPとの距離Lfrを算出し、距離Lflと距離Lfrを比較する。そして、距離Lflと距離Lfrのうち長い方の距離を、自車両Vの後輪予想軌跡TRと駐車枠L0とのずれ量として検出する。なお、
図13は、自車両Vの後輪予想軌跡TRと駐車枠L0とのずれ量を検出する処理の内容を示す図である。
【0105】
また、自車両Vの後輪予想軌跡TRを算出する際には、自車両Vのうち、右後輪WRRと左後輪WRLとの車幅方向における中心点PRを、自車両Vの基準点として設定する。そして、俯瞰画像のうち前方カメラ14F及び左側方カメラ14SLで撮像した画像と、自車両Vの車速と、ステアリングホイール28の回転角(操舵角)を用いて、中心点PRの仮想移動経路を演算し、後輪予想軌跡TRを算出する。
ステップS302では、例えば、俯瞰画像のうち前方カメラ14Fで撮像した画像を用いて、直線Xと駐車枠L0の長さ方向(例えば、奥行き方向)との平行度を検出する処理(図中に示す「平行度検出」)を行う。ステップS302において、直線Xと駐車枠L0の長さ方向との平行度を検出する処理を行うと、駐車枠進入確信度設定部38が行なう処理は、ステップS304へ移行する。
【0106】
ここで、ステップS302で検出する平行度は、
図13中に示すように、駐車枠L0の中心線Yと直線Xとのなす角度θapとして検出する。
なお、ステップS302では、自車両Vが後退しながら駐車枠L0へ移動する場合、例えば、俯瞰画像のうち後方カメラ14Rで撮像した画像を用いて、直線Xと駐車枠L0の長さ方向との平行度を検出する処理を行う。ここで、自車両Vの移動方向(前進、後退)は、例えば、現在シフト位置信号を参照して検出する。
【0107】
ステップS304では、自車両Vの車速と、ステアリングホイール28の回転角(操舵角)を用いて、自車両Vの旋回半径を演算する処理(図中に示す「旋回半径演算」)を行う。ステップS304において、自車両Vの旋回半径を演算する処理を行うと、駐車枠進入確信度設定部38が行なう処理は、ステップS306へ移行する。
ステップS306では、ステップS302で検出した平行度(θap)が、予め設定した平行度閾値(例えば、15[°])未満であるか否かを判断する処理(図中に示す「平行度<平行度閾値?」)を行う。
ステップS306において、ステップS302で検出した平行度(θap)が平行度閾値以上である(図中に示す「No」)と判断した場合、駐車枠進入確信度設定部38が行なう処理は、ステップS308へ移行する。
【0108】
一方、ステップS306において、ステップS302で検出した平行度(θap)が平行度閾値未満である(図中に示す「Yes」)と判断した場合、駐車枠進入確信度設定部38が行なう処理は、ステップS310へ移行する。
ステップS308では、ステップS304で検出した旋回半径が、予め設定した旋回半径閾値(例えば、100[R])以上であるか否かを判断する処理(図中に示す「旋回半径≧旋回半径閾値?」)を行う。
ステップS308において、ステップS304で検出した旋回半径が旋回半径閾値未満である(図中に示す「No」)と判断した場合、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は、ステップS312へ移行する。
【0109】
一方、ステップS308において、ステップS304で検出した旋回半径が旋回半径閾値以上である(図中に示す「Yes」)と判断した場合、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は、ステップS310へ移行する。
ステップS310では、ステップS300で検出したずれ量が、予め設定した第一閾値(例えば、75[cm])以上であるか否かを判断する処理(図中に示す「ずれ量≧第一閾値?」)を行う。
ステップS310において、ステップS300で検出したずれ量が第一閾値以上である(図中に示す「Yes」)と判断した場合、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は、ステップS314へ移行する。
【0110】
一方、ステップS310において、ステップS300で検出したずれ量が第一閾値未満である(図中に示す「No」)と判断した場合、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は、ステップS316へ移行する。
ステップS312では、ステップS300で検出したずれ量が、予め設定した第二閾値(例えば、150[cm])以上であるか否かを判断する処理(図中に示す「ずれ量≧第二閾値?」)を行う。ここで、第二閾値は、上述した第一閾値よりも大きな値とする。
ステップS312において、ステップS300で検出したずれ量が第二閾値以上である(図中に示す「Yes」)と判断した場合、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は、ステップS318へ移行する。
【0111】
一方、ステップS312において、ステップS300で検出したずれ量が第二閾値未満である(図中に示す「No」)と判断した場合、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は、ステップS314へ移行する。
ステップS314では、駐車枠進入確信度を低いレベルに設定する処理(図中に示す「進入確信度=レベル低」)を行う。ステップS314において、駐車枠進入確信度を低いレベルに設定する処理を行うと、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は終了(END)する。
【0112】
ステップS316では、駐車枠進入確信度を高いレベルに設定する処理(図中に示す「進入確信度=レベル高」)を行う。ステップS316において、駐車枠進入確信度を高いレベルに設定する処理を行うと、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は終了(END)する。
ステップS318では、駐車枠進入確信度のレベルを最低値(レベル0)に設定する処理(図中に示す「進入確信度=レベル0」)を行う。ステップS318において、駐車枠進入確信度をレベル0に設定する処理を行うと、駐車枠進入確信度設定部38が行う処理は終了(END)する。
以上説明したように、駐車枠進入確信度設定部38は、駐車枠進入確信度を、最低値の「レベル0」、レベル0よりも高いレベルの「レベル低」、レベル低よりも高いレベルの「レベル高」のうち、いずれかのレベルに設定する処理を行う。
【0113】
・総合確信度設定部40が行う処理
図1から
図13を参照しつつ、
図14を用いて、総合確信度設定部40が総合確信度を設定する処理について説明する。
総合確信度設定部40は、駐車枠確信度信号及び駐車枠進入確信度信号の入力を受け、駐車枠確信度信号が含む駐車枠確信度と、駐車枠進入確信度信号が含む駐車枠進入確信度を、
図14中に示す総合確信度設定マップに適合させる。そして、駐車枠確信度と駐車枠進入確信度に基づき、総合確信度を設定する。
なお、
図14は、総合確信度設定マップを示す図である。また、
図14中では、駐車枠確信度を「枠確信度」と示し、駐車枠進入確信度を「進入確信度」と示す。また、
図14中に示す総合確信度設定マップは、自車両Vの前進走行時に用いるマップである。
【0114】
総合確信度設定部40が総合確信度を設定する処理の一例として、駐車枠確信度が「レベル3」であり、駐車枠進入確信度が「レベル高」である場合では、
図14中に示すように、総合確信度を「高」に設定する。
なお、本実施形態では、一例として、総合確信度設定部40が、総合確信度を設定する処理を行うと、設定した総合確信度を、イグニッションスイッチをオフ状態としてもデータが消去されない記憶部に記憶する処理を行う場合について説明する。ここで、イグニッションスイッチをオフ状態としてもデータが消去されない記憶部とは、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリである。
【0115】
したがって、本実施形態では、自車両Vの駐車完了後にイグニッションスイッチをオフ状態とし、自車両Vの再発進時にイグニッションスイッチをオン状態とした時点では、直前に設定した総合確信度が記憶されている。このため、自車両Vの再発進時にイグニッションスイッチをオン状態とした時点から、直前に設定した総合確信度に基づく制御を開始することが可能となる。
【0116】
・加速抑制制御開始タイミング演算部42が行う処理
図1から
図14を参照しつつ、
図15を用いて、加速抑制制御開始タイミング演算部42が加速抑制制御開始タイミングを演算する処理について説明する。
加速抑制制御開始タイミング演算部42は、総合確信度信号の入力を受け、総合確信度信号が含む総合確信度を、
図15中に示す加速抑制条件演算マップに適合させる。そして、総合確信度に基づき、加速抑制制御開始タイミングを演算する。
なお、
図15は、加速抑制条件演算マップを示す図である。また、
図15中では、「加速抑制条件」の欄において、加速抑制制御開始タイミングを「抑制制御開始タイミング(アクセル開度)」と示す。
【0117】
加速抑制制御開始タイミング演算部42が行う処理の一例として、総合確信度が「高」である場合では、
図15中に示すように、加速抑制制御開始タイミングを、アクセルペダル32の開度が増加して「50%」に達したタイミングに設定する。なお、アクセルペダル32の開度は、アクセルペダル32を最大値まで踏み込んだ(操作した)状態を100%として設定する。
【0118】
・加速抑制制御量演算部44が行う処理
図1から
図15を参照して、加速抑制制御量演算部44が加速抑制制御量を演算する処理について説明する。
加速抑制制御量演算部44は、総合確信度信号の入力を受け、総合確信度信号が含む総合確信度を、
図15中に示す加速抑制条件演算マップに適合させる。そして、総合確信度に基づき、加速抑制制御量を演算する。なお、
図15中では、「加速抑制条件」の欄において、加速抑制制御量を「抑制量」と示す。
【0119】
加速抑制制御量演算部44が行う処理の一例として、総合確信度が「高」である場合では、図
15中に示すように、加速抑制制御量を、実際のアクセルペダル32の開度を、「中」レベルのスロットル開度に低減する制御量に設定する。なお、本実施形態では、一例として、「中」レベルのスロットル開度を、実際のアクセルペダル32の開度の25%の開度とする。同様に、「小」レベルのスロットル開度を、実際のアクセルペダル32の開度の50%の開度とし、「大」レベルのスロットル開度を、実際のアクセルペダル32の開度の10%の開度とする。
【0120】
また、加速抑制制御量演算部44は、総合確信度を加速抑制条件演算マップに適合させ、警告音を出力する制御の有無を設定する。なお、警告音を出力する場合、例えば、ナビゲーション装置26が備える表示モニタに、加速抑制制御を作動させている内容の文字情報や記号・発光等の視覚情報を表示してもよい。
【0121】
(加速抑制指令値演算部10Jで行う処理)
次に、
図1から
図15を参照しつつ、
図16を用いて、加速抑制指令値演算部10Jで行う処理について説明する。
図16は、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理を示すフローチャートである。なお、加速抑制指令値演算部10Jは、予め設定したサンプリング時間(例えば、10[msec])毎に、以下に説明する処理を行う。
図16中に示すように、加速抑制指令値演算部10Jが処理を開始(START)すると、まず、ステップS400において、加速抑制制御内容演算部10Iから入力を受けた加速抑制作動条件判断結果信号を参照する。そして、加速抑制作動条件判断結果を取得する処理(図中に示す「加速抑制作動条件判断結果取得処理」)を行う。ステップS400において、加速抑制作動条件判断結果を取得する処理を行うと、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS402へ移行する。
【0122】
ステップS402では、ステップS400において取得した加速抑制作動条件判断結果に加え、加速抑制指令値を演算するための情報を取得する処理(図中に示す「加速抑制指令値演算情報取得処理」)を行う。ステップS402において、加速抑制指令値を演算するための情報を取得する処理を行うと、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS404へ移行する。
なお、加速抑制指令値を演算するための情報とは、例えば、上述した加速抑制制御開始タイミング信号、加速抑制制御量信号、駆動側踏込み量信号、アクセル操作速度信号、抑制有加速抑制制御のモード設定情報を含む情報である。
【0123】
ステップS404では、ステップS400で取得した加速抑制作動条件判断結果が、抑制有加速抑制制御作動条件が成立する判断結果か否かを判断する処理(図中に示す「抑制有加速抑制作動条件成立?」)を行う。
ステップS404において、抑制有加速抑制制御作動条件が成立する判断結果である(図中に示す「Yes」)と判断した場合、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS406へ移行する。
【0124】
一方、ステップS404において、抑制有加速抑制制御作動条件が成立しない判断結果である(図中に示す「No」)と判断した場合、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS412へ移行する。
ステップS406では、ステップS402で取得した加速抑制指令値を演算するための情報に基づき、抑制モードを設定しているか否かを判定する処理(図中に示す「抑制モード?」)を行う。
ステップS406において、抑制モードを設定していると判定した場合、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS408へ移行する。
【0125】
一方、ステップS406において、抑制モードを設定していない(停止モードを設定している)と判定した場合、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS418へ移行する。
ステップS408では、ステップS402で取得した加速抑制指令値を演算するための情報に基づき、抑制有加速抑制制御を行うための加速指令値である抑制有加速抑制指令値を演算する処理(図中に示す「抑制有加速抑制制御用指令値演算」)を行う。ステップS408において、抑制有加速抑制指令値を演算する処理を行うと、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS410に移行する。
【0126】
ここで、抑制有加速抑制指令値を演算する処理では、駆動側踏込み量信号が含むアクセルペダル32の踏込み量と、加速抑制制御量信号が含む加速抑制制御量を参照する。そして、まず、スロットル開度を、実際のアクセルペダル32の開度に対して加速抑制制御量に応じた抑制度合い(
図15参照)とする加速抑制制御量指令値を演算する。加えて、演算した加速抑制制御量指令値を抑制する処理を行う。本実施形態では、演算した加速抑制制御量指令値に対して、予め設定した抑制係数(例えば、「0.7」などの1よりも小さい値)を乗算する。これにより、抑制有加速抑制制御量指令値を演算する。
【0127】
さらに、抑制有加速抑制指令値を演算する処理では、駆動側踏込み量信号が含むアクセルペダル32の踏込み量と、加速抑制制御開始タイミング信号が含む加速抑制制御開始タイミングを参照する。そして、加速抑制制御開始タイミングを、実際のアクセルペダル32の開度に応じたタイミング(
図15参照)とする加速抑制制御開始タイミング指令値を演算する。本実施形態では、抑制有加速抑制制御において、抑制有加速抑制制御の開始タイミングを加速抑制制御の開始タイミングと同じとしている。なお、開始タイミングについても、加速抑制制御開始タイミング指令値に対して抑制係数(例えば、タイミングが遅くなる値)を乗算して、抑制有加速抑制制御開始タイミング値を演算する構成としてもよい。
【0128】
そして、抑制有加速抑制指令値を演算する処理では、上記のように演算した抑制有加速抑制制御量指令値及び加速抑制制御開始タイミング指令値を含む指令値を、抑制有加速抑制指令値として演算する。
ステップS410では、ステップS408で演算した抑制有加速抑制指令値を含む抑制有加速抑制指令値信号を、目標スロットル開度演算部10Kに出力する処理(図中に示す「抑制有加速抑制指令値出力」)を行う。ステップS410において、抑制有加速抑制指令値信号を出力する処理を行うと、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は終了(END)する。
【0129】
ステップS412では、ステップS400で取得した加速抑制作動条件判断結果が、加速抑制制御作動条件が成立する判断結果か否かを判断する処理(図中に示す「加速抑制制御作動条件成立?」)を行う。
ステップS412において、加速抑制制御作動条件が成立する判断結果である(図中に示す「Yes」)と判断した場合、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS414へ移行する。
【0130】
一方、ステップS412において、加速抑制制御作動条件が成立しない判断結果である(図中に示す「No」)と判断した場合、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS418へ移行する。
ステップS414では、ステップS402で取得した加速抑制指令値を演算するための情報に基づき、加速抑制制御を行うための加速指令値である加速抑制指令値を演算する処理(図中に示す「加速抑制制御用指令値演算」)を行う。ステップS414において、加速抑制指令値を演算する処理を行うと、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS416に移行する。
【0131】
ここで、加速抑制指令値を演算する処理では、駆動側踏込み量信号が含むアクセルペダル32の踏込み量と、加速抑制制御量信号が含む加速抑制制御量を参照する。そして、スロットル開度を、実際のアクセルペダル32の開度に対して加速抑制制御量に応じた抑制度合い(
図15参照)とする加速抑制制御量指令値を演算する。
さらに、加速抑制指令値を演算する処理では、駆動側踏込み量信号が含むアクセルペダル32の踏込み量と、加速抑制制御開始タイミング信号が含む加速抑制制御開始タイミングを参照する。そして、加速抑制制御開始タイミングを、実際のアクセルペダル32の開度に応じたタイミング(
図15参照)とする加速抑制制御開始タイミング指令値を演算する。
【0132】
そして、加速抑制指令値を演算する処理では、上記のように演算した加速抑制制御量指令値及び加速抑制制御開始タイミング指令値を含む指令値を、加速抑制指令値として演算する。
ステップS416では、ステップS414で演算した加速抑制指令値を含む加速抑制指令値信号を、目標スロットル開度演算部10Kに出力する処理(図中に示す「加速抑制指令値出力」)を行う。ステップS416において、加速抑制指令値信号を出力する処理を行うと、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は終了(END)する。
【0133】
ステップS418では、加速抑制制御を行なわない駆動力制御、すなわち、通常の加速制御で用いる加速指令値である通常加速指令値を演算する処理(図中に示す「通常加速制御用指令値演算」)を行う。ステップS418において、通常加速指令値を演算する処理を行うと、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は、ステップS420に移行する。
ここで、通常加速指令値を演算する処理では、駆動側踏込み量信号が含むアクセルペダル32の踏込み量に基づいてスロットル開度を演算する指令値を、通常加速指令値として演算する。
ステップS420では、ステップS418で演算した通常加速指令値を含む通常加速指令値信号を、目標スロットル開度演算部10Kに出力する処理(図中に示す「通常加速指令値出力」)を行う。ステップS420において、通常加速指令値信号を出力する処理を行うと、加速抑制指令値演算部10Jが行う処理は終了(END)する。
【0134】
(目標スロットル開度演算部10Kで行う処理)
次に、
図1から
図16を参照しつつ、
図17を用いて、目標スロットル開度演算部10Kで行う処理について説明する。
図17は、目標スロットル開度演算部10Kが行う処理を示すフローチャートである。なお、目標スロットル開度演算部10Kは、予め設定したサンプリング時間(例えば、10[msec])毎に、以下に説明する処理を行う。
図17中に示すように、目標スロットル開度演算部10Kが処理を開始(START)すると、まず、ステップS500において、アクセル操作量演算部10
Gから入力を受けた駆動側踏込み量信号を参照する。そして、駆動側踏込み量信号が含むアクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)を取得する処理(図中に示す「アクセル操作量取得処理」)を行う。ステップS500において、アクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)を取得する処理を行うと、目標スロットル開度演算部10Kが行う処理は、ステップS502へ移行する。
【0135】
ステップS502では、加速抑制指令値演算部10Jから入力を受けた情報信号に基づき、抑制有加速抑制指令値(ステップ
S408参照)、加速抑制指令値(ステップS414参照)または通常加速指令値(ステップS418参照)を取得する処理(図中に示す「指令値取得処理」)を行う。ステップS502において、抑制有加速抑制指令値、加速抑制指令値または通常加速指令値を取得する処理を行うと、目標スロットル開度演算部10Kが行う処理は、ステップS504へ移行する。
【0136】
ステップS504では、ステップS500で取得したアクセルペダル32の踏込み量と、ステップS502で取得した指令値に基づき、目標スロットル開度の演算(図中に示す「目標スロットル開度演算」)を行う。ステップS504において、目標スロットル開度を演算すると、目標スロットル開度演算部10Kが行う処理は、ステップS506へ移行する。
ここで、ステップS504では、ステップS502で取得した指令値が通常加速指令値である場合(加速抑制作動条件が非成立である場合)は、アクセルペダル32の踏込み量に応じたスロットル開度を、目標スロットル開度として演算する。
【0137】
一方、ステップS502で取得した指令値が抑制有加速抑制指令値である場合(抑制有加速抑制作動条件が成立している場合)は、抑制有加速抑制指令値に応じたスロットル開度を、目標スロットル開度として演算する。
また、ステップS502で取得した指令値が加速抑制指令値である場合(加速抑制作動条件が成立している場合)は、加速抑制制御量指令値に応じたスロットル開度を、目標スロットル開度として演算する。
目標スロットル開度は、例えば、以下の式(1)を用いて演算する。
θ*=θ1−Δθ … (1)
上式(1)中では、目標スロットル開度を「θ*」で示し、アクセルペダル32の踏込み量に応じたスロットル開度を「θ1」で示し、加速抑制制御量を「Δθ」で示す。
【0138】
ステップS506では、ステップS504で演算した目標スロットル開度θ*を含む目標スロットル開度信号を、エンジンコントローラ12に出力(図中に示す「目標スロットル開度出力」)する。ステップS506において、目標スロットル開度信号をエンジンコントローラ12に出力する処理を行うと、目標スロットル開度演算部10Kが行う処理は終了(END)する。
ここで、ステップS506では、ステップS502で取得した指令値が抑制有加速抑制指令値または加速抑制指令値である場合は、アクセルペダル32の開度(踏み込み量)が加速抑制制御開始タイミングに応じた開度に達したタイミングで、目標スロットル開度信号を出力する。
【0139】
(動作)
次に、
図1から
図15を参照しつつ、
図18から
図20を用いて、本実施形態の車両用加速抑制装置1を用いて行う動作の一例を説明する。
まず、駐車場内を走行する自車両Vが、運転者の選択した駐車枠L0に進入する例を説明する。
駐車場内を走行する自車両Vの車速が、閾値車速である15[km/h]以上の状態では、加速抑制制御作動条件が成立しないため、自車両Vには加速抑制制御が作動することなく、運転者の加速意図を反映した通常の加速制御を行う。
車速が閾値車速未満となり、駐車枠L0を検出し、さらに、ブレーキペダル30が操作されておらず、アクセルペダル32の踏込み量が閾値アクセル操作量以上であると、自車両Vが駐車枠L0へ進入するか否かの判断を行う。
【0140】
また、自車両Vの走行中には、駐車枠確信度設定部36が駐車枠確信度を設定し、駐車枠進入確信度設定部38が駐車枠進入確信度を設定する。そして、総合確信度設定部40が、駐車枠確信度及び駐車枠進入確信度に基づく総合確信度を設定する。
さらに、自車両Vの走行中には、総合確信度設定部40が設定した総合確信度に基づき、加速抑制制御開始タイミング演算部42が加速抑制制御開始タイミングを演算し、加速抑制制御量演算部44が加速抑制制御量を演算する。
そして、自車両Vが駐車枠L0へ進入すると判断し、加速抑制制御作動条件が成立すると判断すると、加速抑制指令値演算部10Jが、加速抑制指令値信号を目標スロットル開度演算部10Kへ出力する。さらに、目標スロットル開度演算部10Kが、目標スロットル開度信号をエンジンコントローラ12へ出力する。
【0141】
このため、加速抑制制御作動条件が成立した状態で、運転者がアクセルペダル32を操作すると、アクセルペダル32の踏み込み量に応じたスロットル開度から、加速抑制制御量指令値が減算され、スロットル開度が、実際のスロットル開度の50[%]の開度に設定される。これにより、自車両Vに発生する加速が低減され車両Vの加速が抑制される。これに加え、アクセルペダル32の踏み込み量に応じたスロットル開度を低減(加速を抑制)する開始タイミングを、加速抑制制御開始タイミング指令値に応じたタイミングとする。
【0142】
したがって、自車両Vが駐車枠L0内で駐車に適した位置に近づいた状態等、制動操作が適切な運転操作である状況で、誤操作等によりアクセルペダル32が操作された場合であっても、総合確信度に応じてスロットル開度を低減することが可能となる。すなわち、総合確信度が低い状態では、加速抑制量(スロットル開度の低減度合い)が小さいため、運転性の低下を少なくすることが可能となり、総合確信度が高い状態では、加速抑制量が大きいため、自車両Vの加速抑制効果を高くすることが可能となる。
【0143】
以上説明したように、本実施形態では、駐車時において、駐車枠L0への進入を行う前には駐車場内における運転性低下を抑制することが可能であるとともに、アクセルペダル32の誤操作時における自車両Vの加速を抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、総合確信度が高いほど、加速抑制制御量を大きくすることにより、自車両Vの加速を抑制して、安全性を向上させる。また、総合確信度が低いほど、加速抑制制御開始タイミングを遅くして、運転性の低下を抑制する。これにより、以下に示す状況下において、安全性の向上と運転性低下の抑制が可能となる。
例えば、路上において、走行路の脇に縦列駐車用の駐車枠L0が標示されている付近に待機している自車両Vを発進させる状況では、ある程度の加速を許容する必要がある。
【0144】
また、以下に示す状況下においても、ある程度の加速を許容する必要がある。これは、自車両Vを駐車させる駐車枠L0の両脇(左右の駐車枠)に他車両が存在し、その向かい側(各駐車枠から離れた側)に多少のスペースに自車両Vを前側から進入させる。その後、自車両Vを駐車させる駐車枠L0に自車両Vを後側から進入させて駐車を行う状況である。
これらの状況に対し、総合確信度に基づいて加速抑制制御開始タイミングと加速抑制制御量を制御することにより、自車両Vの加速を抑制して、安全性を向上させることが可能となる。これに加え、自車両Vの加速を許容して、運転性低下を抑制することが可能となる。
【0145】
次に、自車両Vが駐車場を出て、時速30[km/h]以上の車速で公道(非駐車領域)を走行し、その後、交差点の手前(停止線)で停車した状態からの動作例を説明する。なお、説明の便宜上、時速15[km/h]以下から停車するまでは、15[m]以上の道路中央線を既に検出していたり、自車両Vの連続走行距離100[m]を既に検出していたりするなど、非駐車領域を走行している上記条件
B1〜
B5のいずれかを満たしているものとする。
【0146】
ここで、
図18は、横断歩道のある十字路の交差点における動作例を説明する図である。
図18に示すように、自車両Vの前方の停車位置のすぐ近くに横断歩道CW1が位置している。従って、駐車枠確信度設定部36は、横断歩道CW1を含む俯瞰画像を取得する(ステップS2000)。そして、取得した俯瞰画像に対してエッジ検出処理や、パターン認識処理等の画像処理を行って(ステップS2010)、横断歩道CW1を検出する(ステップS2020の「Yes」)。
【0147】
また、自車両Vは、現在、非駐車領域を走行しているので(ステップS2040の「Yes」)、駐車枠確信度設定部36は、交差点検出フラグをONに設定する(ステップS2050)。
その後、
図18の(1)に示すように、自車両Vが時速15[km]以下の車速で交差点を左折しようと進行すると、駐車枠確信度設定部36は、
図18に示すように、進行した先にある道路標示線(図中に示す破線BL1及びBL2)を含む俯瞰画像BV1を取得する。これにより、駐車枠確信度設定部36は、俯瞰画像BV1内にある破線BL1及びBL2を、駐車枠線候補として抽出する(ステップS206)。
【0148】
一方、駐車枠確信度設定部36は、交差点検出フラグがONとなっているので、自車両Vの車速に基づき交差点を検出してからの走行距離を検出する。そして、検出した走行距離が第1走行距離閾値(例えば、20[m])以下か否かを判定する。走行距離が第1走行距離閾値以下の場合(ステップS2210の「Yes」)、駐車枠確信度設定部36は、枠線候補除外フラグをONに設定する(ステップS2220)。
駐車枠確信度設定部36は、枠線候補除外フラグがONであるため(ステップS212の「Yes」)、駐車枠線候補として抽出した破線BL1及びBL2を駐車枠線候補から除外する(ステップS214)。つまり、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値以下である間は、駐車枠線候補として抽出する線を除外し続ける。
【0149】
従って、除外し続けている間は、駐車枠確信度が「0」となるので、加速抑制作動条件判断部34は、駐車枠が無いと判定し(ステップS102の「No」)、加速抑制制御作動条件が非成立となる(ステップS128)。これにより、車両用加速抑制装置1では、抑制有加速抑制制御及び加速抑制制御が作動することなく、運転者の加速意図を反映した通常の加速制御が作動する。
【0150】
また、駐車枠確信度設定部36は、自車両Vの操舵角に基づき自車両Vの旋回動作を検出する。自車両Vは左折をしているので、駐車枠確信度設定部36は、自車両Vの旋回動作を検出したと判定する(ステップS2230の「Yes」)。これにより、駐車枠確信度設定部36は、第1走行距離閾値(例えば、20[m])よりも大きい、第2走行距離閾値(例えば、30[m])を設定する(ステップS2240)。
【0151】
従って、以降は、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値を超えても(ステップS2210の「No」)、第2走行距離閾値以下であれば(ステップS2260の「Yes」)、枠線候補除外フラグがONのまま継続する(ステップS2270)。これにより、駐車枠線候補として抽出した線を除外する処理が継続する。
このように、自車両Vが旋回動作を行ったときに駐車枠線候補を除外する走行距離範囲を拡大するのは、比較的大きな交差点を自車両Vが右折するときなどに有効である。
【0152】
つまり、
図18の(2)に示すように、自車両Vが交差点を右折した場合、左折の場合と比較して、右折を行った先の車線に到達するまでの距離が長くなるため、自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値を超えてしまう可能性があるからである。
但し、本実施形態では、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が、第1走行距離閾値を超えても、第3走行距離閾値以下であれば(ステップS2290の「Yes」)、抑制制御抑制フラグをONに設定する(ステップS2300)。
これにより、車両用加速抑制装置1では、抑制有加速抑制制御が作動する。このとき、作動モードが抑制モードであれば、加速抑制指令値演算部10Jが、抑制有加速抑制指令値信号を目標スロットル開度演算部10Kへ出力する。さらに、目標スロットル開度演算部10Kが、目標スロットル開度信号をエンジンコントローラ12へ出力する。
【0153】
このため、抑制有加速抑制制御作動条件が成立した状態で、運転者がアクセルペダル32を操作すると、アクセルペダル32の踏み込み量に応じたスロットル開度を、抑制有加速抑制制御量指令値に応じた開度に抑制する。即ち、スロットル開度を、アクセルペダル32の踏み込み量に応じたスロットル開度から、抑制有加速抑制制御量指令値を減算した開度とする。これに加え、アクセルペダル32の踏み込み量に応じたスロットル開度を低減(加速を抑制)する開始タイミングを、加速抑制制御開始タイミング指令値に応じたタイミングとする。
【0154】
つまり、加速抑制制御作動条件が成立した場合と比較して、小さな低減量でスロットル開度を低減する。
したがって、自車両Vが交差点を進行中において、破線等の公道の道路標示を駐車枠として誤検知した場合でも、比較的小さい低減度合いでスロットル開度を低減するため、交差点における運転性の低下を比較的低減することが可能となる。
【0155】
一方、抑制有加速抑制制御の作動モードが停止モードであれば、車両用加速抑制装置1では、通常の加速制御が作動する。従って、自車両Vが交差点を進行中において、破線等の公道の道路標示を駐車枠として誤検知した場合でも、加速抑制制御による運転性の低下を防ぐことが可能である。
また、
図18の(3)に示すように、自車両Vが交差点を直進した場合、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値以下である間は、抽出した駐車枠線候補を除外し続けるので、車両用走行支援装置1では、通常の加速制御が作動する。その後、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値を超えると、第3走行距離閾値以下の間は、駐車枠を誤検知した場合でも抑制有加速抑制制御が作動して、設定した作動モードに応じた抑制制御が作動する。引き続き、自車両Vが直進して、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が第3走行距離閾値を超えると、抑制制御抑制フラグがOFFとなり(ステップS2310)、次いで交差点検出フラグもOFFとなる(ステップS2320)。これにより、交差点を検出していない状態に戻る。
【0156】
なお、
図18は、自車両Vの近くに横断歩道がある場合の例を示したが、例えば、
図19に示すように、横断歩道の無い交差点も存在する。ここで、
図19は、横断歩道の無いT字路の交差点における動作例を説明する図である。
図19に示すように、横断歩道の無い交差点では、自車両Vの前方の俯瞰画像が含む路肩のエッジ線や道路標示線を検出する。
図19に示す例では、図中に示すカーブ線C
L1を検出し、検出したカーブ線C
L1が予め設定した曲折条件を満たすか否かを判定する。この判定によって、カーブ線C
L1が、曲折条件を満たすと判定すると、自車両Vの前方に交差点を検出したと判定する(ステップS2020の「Yes」)。
【0157】
以降の動作は、上記
図18の動作例と同様となるので説明を省略する。
また、
図20は、横断歩道が無くかつ停止線の位置が交差点から離れている場合の動作例を説明する図である。
図20に示す例では、横断歩道が無い上に、自車両Vの停止位置から交差点までの距離が離れているため、カーブ線を含む俯瞰画像を得ることができない。そのため、このような場合、自車両Vのブレーキペダル30の操作量から、ブレーキペダル30の操作パターンを検出する。そして、この操作パターンが、予め設定した交差点判定用の制動操作パターンと一致するか否かを判定し、一致すると判定すると、自車両Vの前方に交差点を検出したと判定する(ステップS2020の「Yes」)。
【0158】
以降の動作は、上記
図18の動作例と同様となるので説明を省略する。
なお、
図20の例では、自車両Vが左折したすぐ先に消防署があるため、消防署の前の路上に停車禁止帯NSAの道路標示が存在する。この停車禁止帯NSAは、駐車枠に形状が類似しているため駐車枠線候補として誤検出しやすい。本実施形態では交差点を検出し、この場合は自車両Vが左折を行うので、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が第2走行距離閾値(30[m])以下となる走行距離範囲では、検出した停車禁止帯NSAの線を駐車枠線候補から除外する。従って、停車禁止帯NSAを、駐車枠線候補として誤検出したとしても、加速抑制制御が作動しない。そのため、加速抑制制御による運転性の低下を防ぐことが可能となる。
【0159】
なお、加速抑制制御として、車両Vを加速させる加速指令値を低減する制御を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、加速抑制制御は、車両Vを予め設定した車速以下の低車速で走行させる制御や、駆動力制御のみに限らず制動装置による車両Vを減速(停止も含む)させる制御なども含む。さらに、加速抑制制御は、クラッチの接続制御による動力の伝達制御(例えば、抑制時はクラッチをギアから切り離して動力を伝達させない)なども含む。
【0160】
ここで、上述したアクセル操作検出センサ24およびアクセル操作量演算部10Gは、加速操作量検出部に対応する。
また、上述した加速抑制指令値演算部10Jと、目標スロットル開度演算部10Kは、加速制御部に対応する。
また、上述した周囲環境認識センサ14は、撮像部に対応する。
また、上述した駐車枠確信度設定部36が行う判定要素抽出処理(ステップS206)は、駐車枠線候補検出部に対応する。
また、上述した駐車枠確信度設定部36が行う駐車枠を抽出して駐車枠確信度を設定する一連の処理(ステップS216〜S230)は、駐車枠抽出部に対応する。
また、上述した加速抑制制御開始タイミング演算部42と、加速抑制制御量演算部44と、加速抑制指令値演算部10Jと、目標スロットル開度演算部10Kは、加速抑制制御部に対応する。
【0161】
また、上述した駐車枠確信度設定部36が行う交差点検出処理(ステップS206)は、交差点検出部に対応する。
また、上述した駐車枠確信度設定部36が行う交差点検出情報取得処理(ステップS2000)で取得した制動力操作量の情報に基づく制動操作パターンの検出処理(ステップS2010)は、制動操作パターン検出部に対応する。
また、上述した駐車枠確信度設定部36が行う車両走行情報取得処理(ステップS2200)で取得した車速情報に基づく走行距離の検出処理は、走行距離検出部に対応する。
【0162】
また、上述した駐車枠確信度設定部36が行う抑制フラグ設定処理および枠線候補除外処理(ステップS208〜S214)、加速抑制作動条件判断部34が行う作動条件の判断処理(ステップS120〜S130)、ならびに、加速抑制制御量演算部44が行う作動モードに応じた加速抑制制御の抑制処理(ステップS406の「Yes」〜S410及びステップS406の「No」、S418およびS420)は、抑制制御抑制部に対応する。
【0163】
また、上述した駐車枠確信度設定部36が行う車両走行情報取得処理(ステップS2200)で取得した操舵角の情報に基づく自車両Vの旋回動作の検出処理は、旋回動作検出部に対応する。
また、上述した駐車枠確信度設定部36が行う走行路判定処理(ステップS2030)は、走行領域判定部に対応する。
【0164】
(実施形態の効果)
本実施形態であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)アクセル操作検出センサ24およびアクセル操作量演算部10Gが、アクセルペダル32の操作量(加速操作量)を検出する。加速抑制指令値演算部10Jおよび目標スロットル開度演算部10Kが、アクセル操作検出センサ24およびアクセル操作量演算部10Gが検出した加速操作量に応じて、自車両Vに発生させる加速を制御する。周囲環境認識センサ14が、自車両周囲の路面を含む領域を撮像する。駐車枠確信度設定部36が、周囲環境認識センサ14が撮像した撮像画像から路面上に位置する線を駐車枠線の候補として検出し、検出した駐車枠線候補から駐車枠を抽出する。加速抑制制御開始タイミング演算部42と、加速抑制制御量演算部44と、加速抑制指令値演算部10Jと、目標スロットル開度演算部10Kが、駐車枠確信度設定部36で抽出した駐車枠に基づき、加速抑制指令値演算部10Jおよび目標スロットル開度演算部10Kが制御する、加速操作量に応じて自車両Vに発生させる加速を低減する(スロットル開度を低減する)制御である加速抑制制御を実施する。加速抑制作動条件判断部34と、駐車枠確信度設定部36と、加速抑制制御量演算部44とが、交差点を含む所定の領域内では加速抑制制御を抑制する。
【0165】
つまり、交差点を含む所定領域内では、加速抑制制御を抑制するようにした。これにより、自車両Vが交差点を含む所定領域内にある時は、加速を低減しない、または加速の低減量を低減する等の加速抑制制御を抑制する処理が実施されるので、加速抑制制御による過度の減速等が発生しない。そのため、交差点における加速抑制制御による運転性の低下を防止または低減することが可能となる。
【0166】
(2)駐車枠確信度設定部36が、自車両Vの前方に存在する交差点を検出し、この検出結果に基づき、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離を検出する。加速抑制作動条件判断部34と、駐車枠確信度設定部36と、加速抑制制御量演算部44が、走行距離の検出結果に基づき、該走行距離が予め設定した第1走行距離閾値以下であると判定すると加速抑制制御を抑制する。
【0167】
つまり、自車両Vの前方に交差点を検出すると、該交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値以下となる走行距離範囲では、加速抑制制御を抑制するようにした。これにより、自車両Vが交差点を進行時は、加速を低減しない、または加速の低減量を低減する等の加速抑制制御を抑制する処理が実施されるので、加速抑制制御による過度の減速等が発生しない。そのため、交差点における加速抑制制御による運転性の低下を防止または低減することが可能となる。
【0168】
(3)加速抑制作動条件判断部34と、駐車枠確信度設定部36と、加速抑制制御量演算部44が、交差点を検出してからの自車両の走行距離が第1走行距離閾値以下となる走行距離範囲において、駐車枠確信度設定部36が検出した駐車枠線候補を、加速抑制制御の制御対象から除外することで加速抑制制御を抑制する。
つまり、自車両Vの前方に交差点を検出すると、該交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値以下となる走行距離範囲では、駐車枠線候補を、加速抑制制御の制御対象から除外して、加速抑制制御を実施しないようにした。これにより、自車両Vが交差点を進行時は、加速の抑制が発生しないため、交差点における加速抑制制御による運転性の低下を防止することが可能となる。
【0169】
(4)駐車枠確信度設定部36が、自車両Vの旋回動作を検出する。加速抑制作動条件判断部34と、駐車枠確信度設定部36と、加速抑制制御量演算部44が、旋回動作の検出結果に基づき、交差点を検出してからの自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値以下となる走行距離範囲において自車両Vが旋回動作を行ったと判定すると、自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値(例えば、20[m])よりも大きい予め設定した第2走行距離閾値(例えば、30[m])を超えるまでは、駐車枠確信度設定部36が検出した駐車枠線候補を加速抑制制御の制御対象から除外する処理を引き続き実施する。
【0170】
つまり、自車両Vが交差点で例えば右折又は左折等の旋回動作を行った場合に、交差点を検出した時点からの自車両Vの走行距離が第1走行距離閾値を超えても、第2走行距離閾値を超えるまでは、引き続き、検出した駐車枠線候補を制御対象から除外する。
ここで、自車両Vの交差点での旋回動作、特に右折および左折は、車速が15[km/h]以下となりやすく、加えて、右折または左折した先には駐車枠線候補として誤検出しやすい道路標示も多く存在する。そのため、交差点の右折または左折後は、駐車枠の誤検知による加速抑制制御が発生しやすい状況となる。
このような状況に対して、検出した駐車枠線候補を制御対象から除外する走行距離範囲を延長するようにしたので、自車両Vが交差点を旋回後において、加速抑制制御の抑制を実施しやすくできる。これにより、交差点を右左折後において、加速抑制制御による運転性の低下を、より防止又は低減することが可能となる。
【0171】
(5)駐車枠確信度設定部36が、自車両Vが、予め設定した駐車領域以外の走行領域である非駐車領域を走行しているか否かを判定する。駐車枠確信度設定部36が、走行領域の判定結果に基づき、自車両Vが駐車領域を走行していると判定している期間に検出可能な交差点を、検出対象から除外する。
これにより、交差点を有する大きな駐車場などにおいて検出する交差点を、加速抑制制御を抑制する処理の対象外とすることができる。従って、駐車場内において、加速を低減すべき状況で低減を行わない、または低減量が不足する等の状況が発生するのを防ぐことが可能となる。
【0172】
(6)駐車枠確信度設定部36が、自車両Vの前方の路面上に存在する横断歩道及び予め設定した曲折条件を満足するカーブ線のうち少なくとも1つを検出した場合に、自車両Vの前方に存在する交差点を検出したと判定する。
自車両Vの前方に横断歩道がある場合、又は左折路を形成するカーブ線がある場合、自車両Vの前方に交差点がある確率が比較的高いので、このような場合に、交差点を検出するようにした。これにより、より確実に交差点を検出して、加速抑制制御を抑制することができるので、より適切に加速抑制制御を抑制することが可能となる。
(7)ブレーキ操作検出センサ22およびブレーキペダル操作情報演算部10Fが、ブレーキペダル30の踏込み操作量(制動力操作量)を検出する。駐車枠確信度設定部36が、ブレーキ操作検出センサ22およびブレーキペダル操作情報演算部10Fが検出した制動力操作量に基づきブレーキペダル30の操作パターンを検出する。駐車枠確信度設定部36が、ブレーキペダル30の操作パターンが、予め設定した操作パターンと一致していると判定すると、自車両Vの前方に存在する交差点を検出したと判定する。
【0173】
交差点の手前では、例えば、比較的長い時間(例えば、10秒以上)ブレーキペダル30を踏み込むといった、交差点の手前でよく発生するブレーキペダル30の操作パターンがある。このような操作パターンを、例えば、予め複数パターン用意しておき、実際の自車両Vの運転者が
ブレーキペダル30を操作したときの操作パターンを検出し、この操作パターンを用意したパターンと比較する。これにより、より確実に自車両Vの前方にある交差点を検出することが可能となる。
【0174】
(8)加速抑制作動条件判断部34と、駐車枠確信度設定部36と、加速抑制制御量演算部44が、加速抑制制御を停止する(停止モード)、または加速抑制制御における加速の低減量を通常よりも低減する(抑制モード)ことで加速抑制制御を抑制する。
つまり、加速抑制制御を停止するか、または加速抑制制御の加速の低減量を通常よりも低減することで加速抑制制御を抑制するようにしたので、交差点における加速抑制制御による運転性の低下を、より適切に防止又は低減することが可能となる。
【0175】
(変形例)
(1)本実施形態では、自車両Vの前方に横断歩道を検出したか否か、自車両Vの前方にカーブ線を検出したか否か、および自車両Vの運転者の制動操作パターンが予め設定した制動操作パターンと一致しているか否かを判定する。そして、これらの判定結果に基づき、交差点を検出する構成としたが、これに限定するものではない。例えば、自車両Vの前方にいる他車両によって、撮像画像(俯瞰画像でもよい)内の自車両V前方の路面上に存在する白線(道路標示線等)を検出できない状態にあるとする。その後、自車両Vが直進し、先行する他車両が右折又は左折を行って、急に路面上に存在する白線を検出できるようになった場合に、この検出結果に基づき交差点を検出する構成としてもよい。なお、先行車両の右左折の判定は、例えば、撮像画像又は俯瞰画像中の他車両のエッジ線を検出し、そのエッジ線が画像の中心位置から左右方向に移動して画像(又は画面)内から消失したことを検出することで行うことが可能である。また、先行車両によって、路面上に存在する白線(道路標示線等)を検出できない状態において、自車両Vの前方にいる先行車両が直進し、自車両Vが右折又は左折を行って、急に路面上に存在する線を検出できるようになったとする。この場合に、この検出結果に基づき交差点を検出する構成としてもよい。これらの検出方法は、本実施形態の検出方法に代えて行う構成、または加えて行う構成のいずれとしてもよい。
【0176】
(2)本実施形態では、自車両Vの前方に横断歩道を検出したか否か、自車両Vの前方にカーブ線を検出したか否か、および自車両Vの運転者の制動操作パターンが予め設定した制動操作パターンと一致しているか否かを判定する。そして、これらの判定結果に基づき、交差点を検出する構成としたが、これに限定するものではない。例えば、これらの検出方法に代えて、または加えて、ナビゲーション装置26によって測定される情報(例えば、リンク分岐情報等)に基づき、交差点を検出する構成としてもよい。
【0177】
(3)本実施形態では、自車両Vの前方に交差点を検出してからの走行距離に基づき、駐車枠線候補を制御対象から除外する処理、加速抑制制御の加速の低減量を低減する処理、および加速抑制制御を停止する処理のうちいずれか1つを実施して、加速抑制制御を抑制する構成とした。これに限定するものではなく、例えば、駐車枠確信度のレベル(または総合確信度のレベル)を低減することで、加速抑制制御を抑制するなど他の構成としてもよい。
【0178】
(4)本実施形態では、駐車枠確信度設定部36において、交差点検出処理(ステップS204)、抑制フラグ設定処理(ステップS210)を実施する構成としたが、これに限定するものではない。例えば、駐車枠確信度設定部36とは別に、交差点検出部、抑制フラグ設定部を設け、
図8の処理及び
図9の処理をそれぞれ別々の構成部にて行う構成としてもよい。
【0179】
(5)本実施形態では、総合確信度設定部40が設定した総合確信度に基づいて、加速抑制制御開始タイミングと加速抑制制御量を演算したが、これに限定するものではない。すなわち、駐車枠確信度設定部36が設定した駐車枠確信度のみに基づいて、加速抑制制御開始タイミングと加速抑制制御量を演算してもよい。この場合、加速抑制制御開始タイミングと加速抑制制御量は、駐車枠確信度を、例えば、
図21中に示す加速抑制条件演算マップに適合させて演算する。なお、
図21は、本実施形態の変形例を示す図である。
【0180】
(6)本実施形態では、駐車枠確信度設定部36の構成を、自車両Vの周囲の俯瞰画像(環境)と自車両Vの車速(走行状態)に基づいて、駐車枠確信度を設定する構成としたが、駐車枠確信度設定部36の構成は、これに限定するものではない。すなわち、駐車枠確信度設定部36の構成を、自車両Vの周囲の俯瞰画像と車速に加え、さらに、自車位置信号が含む自車両Vの現在位置と、走行道路情報信号が含む自車両Vが走行する道路の種別(道路種別)を用いて、駐車枠確信度を設定する構成としてもよい。
この場合、例えば、自車位置信号及び走行道路情報信号が含む情報に基づき、自車両Vの現在位置が公道上であることを検出すると、自車両Vの周囲に駐車枠L0が存在しないと判断し、駐車枠確信度を「レベル0」に設定する。
これにより、例えば、公道上で道路端に配置された駐車枠等、加速抑制制御の作動が好ましくない駐車枠へ自車両Vが進入する際に、自車両Vの運転性低下を抑制することが可能となる。
【0181】
(7)本実施形態では、駐車枠確信度設定部36が、線La,Lbに対し、それぞれ、端点同士が幅WLの方向に沿って対向していると判断すると、駐車枠確信度をレベル3またはレベル4に設定する処理を行う(ステップS230参照)。しかしながら、駐車枠確信度をレベル3またはレベル4に設定する処理は、これに限定するものではない。すなわち、線Lの端点形状が、例えば、U字状(
図4(g)〜(k)、(m)、(n)を参照)である場合等、公道上に標示されていない形状であることを認識すると、駐車枠確信度をレベル3またはレベル4に設定してもよい。
【0182】
(8)本実施形態では、駐車枠確信度設定部36の構成を、自車両Vの周囲の俯瞰画像(環境)と自車両Vの車速(走行状態)に基づいて、駐車枠確信度を設定する構成としたが、駐車枠確信度設定部36の構成は、これに限定するものではない。すなわち、自車両Vの構成が、例えば、運転者に対して駐車枠L0への操舵操作を支援する装置(駐車支援装置)を備える構成である場合、駐車支援装置がON状態であれば、駐車枠確信度のレベルが上がりやすくなる構成としてもよい。ここで、駐車枠確信度のレベルが上がりやすくなる構成とは、例えば、上述した設定移動距離を通常よりも短い距離に設定する等の構成である。
【0183】
(9)本実施形態では、総合確信度に基づいて、加速抑制制御量及び加速抑制制御開始タイミングを変化させ、加速指令値の抑制度合いを変化させるが、これに限定するものではない。すなわち、総合確信度に応じて、加速抑制制御開始タイミングのみ、または、加速抑制制御量のみを変化させ、加速指令値の抑制度合いを変化させてもよい。この場合、例えば、総合確信度が高いほど、加速抑制制御量を大きく設定し、加速抑制制御開始タイミングは変化させずに、加速指令値の抑制度合いを高くしてもよい。
【0184】
(10)本実施形態では、加速指令値を制御して、アクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)に応じた自車両Vの加速を抑制したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、アクセルペダル32の踏込み量(加速操作量)に応じたスロットル開度を目標スロットル開度とし、さらに、上述した制動装置により制動力を発生させて、加速操作量に応じた自車両Vの加速を抑制してもよい。
【0185】
(11)本実施形態では、駐車枠確信度を、最低値であるレベル0と、最低値よりも複数段階上のレベル(レベル1〜4)として算出したが、駐車枠確信度の段階は、これに限定するものではない。すなわち、駐車枠確信度を、最低値であるレベル(例えば、「レベル0」)と、最低値よりも上のレベル(例えば、「レベル100」)との二段階のみとして算出してもよい。
(12)本実施形態では、駐車枠進入確信度を、最低値の「レベル0」、レベル0よりも高いレベルの「レベル低」、レベル低よりも高いレベルの「レベル高」として算出したが、駐車枠進入確信度の段階は、これに限定するものではない。すなわち、駐車枠進入確信度を、最低値であるレベル(例えば、「レベル0」)と、最低値よりも高いレベル(例えば、「レベル100」)との二段階のみとして算出してもよい。
【0186】
(13)本実施形態では、総合確信度を、五段階のレベルのいずれかとして算出した駐車枠確信度と、三段階のレベルのいずれかとして算出した駐車枠進入確信度に応じて、四段階のレベル(「極低」、「低」、「高」、「極高」)のいずれかとして算出した。しかしながら、総合確信度の段階は、これに限定するものではない。すなわち、総合確信度を、最低値であるレベル(例えば、「レベル0」)と、最低値よりも高いレベル(例えば、「レベル100」)との二段階のみとして算出してもよい。
この場合、例えば、駐車枠確信度及び駐車枠進入確信度を最低値であるレベルとして算出すると、総合確信度を、最低値であるレベルとして算出する。また、例えば、駐車枠確信度及び駐車枠進入確信度を最低値よりも高いレベルとして算出すると、総合確信度を、最低値よりも高いレベルとして算出する。
【0187】
また、本実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、均等物等は本発明に含まれるものである。
以上、本願が優先権を主張する日本国特許出願P2012−259188(2012年11月27日出願)の全内容は、ここに引用例として包含される。
ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明のことである。