(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0018】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るセパレータ接合装置100によってセパレータ30同士が接合される電気デバイス1の構成について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、セパレータ接合装置100によってセパレータ30を接合した電気デバイス1を示す斜視図である。
図2は、セパレータ接合装置100によってセパレータ30を接合した電気デバイス1を示す分解斜視図である。
図3は、セパレータ接合装置100によって正極10を一対のセパレータ30で袋詰めして形成した袋詰電極50の両端に負極20をそれぞれ積層した状態を示す斜視図である。
図4は、
図3に示した4−4線における断面図である。
【0020】
電気デバイス1は、
図1に示すように、たとえば、リチウムイオン二次電池、ポリマーリチウム電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池に相当する。電気デバイス1は、
図2に示すように、充放電が行われる発電要素60を外装材40で封止している。発電要素60は、正極10を一対のセパレータ30で挟持して接合した袋詰電極50と、負極20とを交互に積層して構成している。
【0021】
正極10は、第1電極に相当し、
図2に示すように、導電体である正極集電体11の両面に正極活物質12を結着して形成している。電力を取り出す正極電極端子11aは、正極集電体11の一端の一部から延在して形成している。複数積層された正極10の正極電極端子11aは、溶接または接着によって互いに固定している。
【0022】
正極10の正極集電体11の材料には、たとえば、アルミニウム製エキスパンドメタル、アルミニウム製メッシュ、またはアルミニウム製パンチドメタルを用いている。正極10の正極活物質12の材料には、電気デバイス1がリチウムイオン二次電池である場合、種々の酸化物(LiMn
2O
4のようなリチウムマンガン酸化物;二酸化マンガン;LiNiO
2のようなリチウムニッケル酸化物;LiCoO
2のようなリチウムコバルト酸化物;リチウム含有ニッケルコバルト酸化物;リチウムを含む非晶質五酸化バナジウム)またはカルコゲン化合物(二硫化チタン、二硫化モリブテン)等を用いている。
【0023】
負極20は、第1電極(正極10)とは極性の異なる第2電極に相当し、
図2に示すように、導電体である負極集電体21の両面に負極活物質22を結着して形成している。負極電極端子21aは、正極10に形成した正極電極端子11aと重ならないように、負極集電体21の一端の一部から延在して形成している。負極20の長手方向の長さは、正極10の長手方向の長さよりも長い。負極20の短手方向の長さは、正極10の短手方向の長さと同様である。複数積層された負極20の負極電極端子21aは、溶接または接着によって互いに固定している。
【0024】
負極20の負極集電体21の材料には、たとえば、銅製エキスパンドメタル、銅製メッシュ、または銅製パンチドメタルを用いている。負極20の負極活物質22の材料には、電気デバイス1がリチウムイオン二次電池である場合、リチウムイオンを吸蔵して放出する炭素材料を用いている。このような炭素材料には、たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、または有機前駆体(フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、またはセルロース)を不活性雰囲気中で熱処理して合成した炭素を用いている。
【0025】
セパレータ30は、
図2に示すように、正極10と負極20の間に設けられ、その正極10と負極20とを電気的に隔離している。セパレータ30は、正極10と負極20との間に電解液を保持して、イオンの伝導性を担保している。セパレータ30は、矩形状に形成している。セパレータ30の長手方向の長さは、負極電極端子21aの部分を除いた負極20の長手方向の長さよりも長い。
【0026】
このセパレータ30は、
図4に示すように、たとえば、溶融材31と耐熱材32とを積層して形成する。耐熱材32は、溶融材31よりも溶融温度が高い。隣接したセパレータ30は、耐熱材32同士が対面した状態で接合している。したがって、耐熱材32が、たとえば、溶融材31に塗布して乾燥させた飛散し易い粉体であっても、その粉体を隣接したセパレータ30の内部に閉じ込めて封止することができる。すなわち、電気デバイス1が振動したり衝撃を受けたりしても、その電気デバイス1内において、セパレータ30の耐熱材32の飛散を防止することができる。
【0027】
ここで、セパレータ30の耐熱材32と、正極10の正極活物質12とは、当接している。この耐熱材32と正極活物質12の間には、摩擦力が発生する。したがって、電気デバイス1が振動したり衝撃を受けたりしても、正極10をセパレータ30で袋詰めした袋詰電極50内において、正極10の移動を抑制することができる。すなわち、電気デバイス1内において、正極10の積層ずれを抑制することにより、電気デバイス1の損傷を防止し、電気的特性を維持することができる。
【0028】
セパレータ30の溶融材31の材料には、たとえば、ポリプロピレンを用いている。溶融材31には、非水溶媒に電解質を溶解することによって調製した非水電解液を含浸させている。非水電解液を保持するために、ポリマーを含有させている。セパレータ30の耐熱材32の材料には、たとえば、無機化合物を高温で成形したセラミックスを用いる。セラミックスは、シリカ、アルミナ、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物等のセラミック粒子とバインダーの結合により形成された多孔質からなる。耐熱材32の材料は、セラミックスに限定されることはなく、溶融材31よりも溶融温度が高ければよい。
【0029】
外装材40は、
図2に示すように、たとえば、内部に金属板を備えたラミネートシート41および42から構成し、発電要素60を両側から被覆して封止している。ラミネートシート41および42で発電要素60を封止する際は、そのラミネートシート41および42の周囲の一部を開放して、その他の周囲を熱溶着などによって封止する。ラミネートシート41および42の開放されている部分から電解液を注入し、セパレータ30等に電荷液を含浸させる。ラミネートシート41および42の開放部から内部を減圧することで空気を抜きつつ、その開放部も熱融着して完全に密封する。
【0030】
ラミネートシート41および42の材料には、たとえば、積層した3種類の材料を用いている。具体的には、負極20に隣接する1層目の熱融着性樹脂の材料には、たとえば、ポリエチレン(PE)、アイオノマー、またはエチレンビニルアセテート(EVA)を用いている。2層目の金属箔には、たとえば、Al箔またはNi箔を用いている。3層目の樹脂フィルムには、たとえば、剛性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)またはナイロンを用いている。
【0031】
上述した本実施形態に係るセパレータ接合装置100によってセパレータ30同士を接合した電気デバイス1によれば、以下の作用効果を奏する。
【0032】
電気デバイス1は、発電要素60を有している。発電要素60は、第1電極(正極10)と、第1電極(正極10)とは極性の異なる第2電極(負極20)とを、セパレータ30を介して積層している。セパレータ30は、溶融材31と、溶融材31の片面のみに積層し溶融材31よりも溶融温度が高い耐熱材32と、を含んでいる。隣接したセパレータ30は、耐熱材32同士を対面させて接合している。
【0033】
このように構成した電気デバイス1によれば、耐熱材32を隣接したセパレータ30の内部に閉じ込めて封止することができる。したがって、電気デバイス1は、振動したり衝撃を受けたりしてもセパレータ30の耐熱材32の飛散を防止することができる。したがって、電気デバイス1の電気的特性を維持することができる。
【0034】
さらに、電気デバイス1によれば、第1電極(正極10)と第2電極(負極20)のうち、耐熱材32との摩擦力が相対的に高い方の電極を隣接したセパレータ30で挟持して接合するように構成してもよい。
【0035】
このように構成した電気デバイス1によれば、たとえば、セパレータ30の耐熱材32と、正極10の正極活物質12とは、当接しており摩擦力が発生する。したがって、電気デバイス1が振動したり衝撃を受けたりしても、正極10をセパレータ30で袋詰めした袋詰電極50内において、正極10の移動を抑制することができる。すなわち、電気デバイス1内において、正極10の積層ずれを抑制することにより、電気デバイス1の損傷を防止し、電気的特性を維持することができる。
【0036】
さらに、電気デバイス1によれば、耐熱材32は、溶融材31に塗布して乾燥させた粉体を含む構成としてもよい。
【0037】
このように構成した電気デバイス1によれば、耐熱材32が、特に、粉体のように飛散し易い粉体であっても、その粉体を隣接したセパレータ30の内部に閉じ込めて封止することができる。すなわち、電気デバイス1が振動したり衝撃を受けたりしても、その電気デバイス1内において、粉体からなる耐熱材32の飛散を、セパレータ30の溶融材31で効果的に遮蔽することができる。
【0038】
さらに、電気デバイス1によれば、粉体をセラミックスで形成してもよい。
【0039】
このように構成した電気デバイス1によれば、耐熱材32が、特に、無機化合物を高温で成形したセラミックスのように飛散し易い多孔質であっても、そのセラミックスを隣接したセパレータ30の内部に閉じ込めて封止することができる。すなわち、電気デバイス1が振動したり衝撃を受けたりしても、その電気デバイス1内において、粒子とバインダーの結合により形成された多孔質のセラミックスからなる耐熱材32の飛散を、セパレータ30の溶融材31で効果的に遮蔽することができる。
【0040】
つぎに、電気デバイス1のセパレータ30同士を接合する接合方法、およびその接合方法を具現化したセパレータ接合装置100について、
図5〜
図10を参照しながら説明する。
【0041】
図5は、電気デバイス1のセパレータ30を接合するセパレータ接合装置100を示す斜視図である。
図6は、電気デバイス1のセパレータ30を接合するセパレータ接合装置100の真空吸引搬送ドラム540近傍を示す側面図である。
図7は、電気デバイス1のセパレータ30を接合するセパレータ接合装置100のサクションコンベア310近傍を示す側面図である。
図8は、電気デバイス1のセパレータ30を接合するセパレータ接合装置100の袋詰電極吸着パッド810近傍を示す側面図である。
図9は、電気デバイス1のセパレータ30を接合するセパレータ接合装置100の加熱加圧部材710近傍を示す斜視図である。
図10は、
図9の10−10線における断面図である。
【0042】
ここで、セパレータ30同士を加熱加圧部材710で加圧しながら加熱することによって互いに接合させた後に、その一対のセパレータ30の間に正極10を挿入してもよい。しかしながら、量産性や品質の観点から、正極10を挟持したセパレータ30同士を加熱加圧部材710で加熱しながら加圧することによって互いに接合させる構成で説明する。
【0043】
図5に示すように、セパレータ接合装置100において、正極10は、正極巻付ローラ210にロール状に巻き付けて保持している。正極巻付ローラ210は、円柱形状からなり、後述するサクションコンベア310の回転に従動して、時計方向に回転する。正極巻付ローラ210から搬出された正極10は、搬送ローラ220を介して、後述する真空吸引搬送ドラム540および640の方向に向かって搬送される。
【0044】
搬送装置に相当するサクションコンベア310は、無端状のベルトからなり、表面に吸引口を複数設けている。サクションコンベア310の内周面には、複数の回転ローラ320を設けている。複数の回転ローラ320のうち、一つが動力を設けた駆動ローラであり、その他は従動ローラである。複数の回転ローラ320で時計方向に回転されるサクションコンベア310は、たとえば、真空吸引搬送ドラム540および640よりも正極10の搬送方向下流側と上流側とに、2組ずつ配設している。
【0045】
正極10を切断する切断部材410および420は、真空吸引搬送ドラム540および640よりも正極10の搬送方向下流側に配設した2組のサクションコンベア310の間に配設している。切断部材410は、先端に直線状の鋭利な切断刃を設けており、連続した正極10の一端を切断する。切断部材420は、先端に屈折した鋭利な切断刃を設けており、一端を切断された直後の正極10の他端を切断する。切断部材420の屈折した切断刃の形状は、正極電極端子11aの形状に対応している。
【0046】
一対のセパレータ30のうちの一のセパレータ30は、セパレータ巻付ローラ510にロール状に巻き付けて保持している。セパレータ巻付ローラ510の軸心に、一のセパレータ30の溶融材31側が当接している。セパレータ巻付ローラ510は、円柱形状からなり、搬送装置に相当する真空吸引搬送ドラム540の回転に従動して、反時計方向に回転する。一のセパレータ30は、加圧ローラ520とニップローラ530で挟持され一定の張力が掛かった状態で搬送され、真空吸引搬送ドラム540に真空吸着された状態で反時計方向に回転される。真空吸引搬送ドラム540は、円柱形状からなり吸引口を複数設けている。一のセパレータ30は、真空吸引搬送ドラム540に近接して設けられ先端に鋭利な切断刃を設けた切断部材430によって、一定の幅で切断される。
【0047】
同様に、一対のセパレータ30のうちの他のセパレータ30は、セパレータ巻付ローラ610にロール状に巻き付けて保持している。セパレータ巻付ローラ610の軸心に、他のセパレータ30の溶融材31側が当接している。セパレータ巻付ローラ610は、円柱形状からなり、搬送装置に相当する真空吸引搬送ドラム640の回転に従動して、時計方向に回転する。他のセパレータ30は、加圧ローラ620とニップローラ630で挟持され一定の張力が掛かった状態で搬送され、真空吸引搬送ドラム640に真空吸着された状態で時計方向に回転される。真空吸引搬送ドラム640は、円柱形状からなり吸引口を複数設けている。他のセパレータ30は、真空吸引搬送ドラム640に近接して設けられ先端に鋭利な切断刃を設けた切断部材440によって、一定の幅で切断される。
【0048】
真空吸引搬送ドラム540および640の隙間の部位において、一対のセパレータ30が正極10を挟持するように、一のセパレータ30、正極10、および他のセパレータ30が積層された状態で搬送される。
【0049】
図9に示すように、加熱加圧部材710は、一対のセパレータ30の長手方向の両端の上方および下方に配設し、その一対のセパレータ30を挟み込んでから離間するように上下に移動する。なお、
図9において、本来、一のセパレータ30、正極10、および他のセパレータ30は積層された状態であるが、ここでは離間させた状態で図示している。正極10を挟持した一対のセパレータ30は、互いに接合され、袋詰電極50が形成される。一対のセパレータ30は、互いに耐熱材32が対面するように配設している。加熱加圧部材710は、たとえば、ステンレスや銅からなり、長方体形状に形成している。加熱加圧部材710は、図示せぬ駆動部によって上下に移動する。加熱加圧部材710は、たとえば、電熱線やヒータ電球により加熱している。
【0050】
図10(a)に示すように、複数の加熱加圧部材710を、一対のセパレータ30の長手方向の両端を上下方向から挟み込むように配設する。
図10(a)に断面図で示す構成は、
図9に斜視図で示す構成に相当する。なお、
図10(a)において、本来、一のセパレータ30、正極10、および他のセパレータ30は積層された状態であるが、ここでは離間させた状態で図示している。
【0051】
図10(b)に示すように、複数の加熱加圧部材710を図中のP1に示す方向に駆動することにより、加熱加圧部材710が一対のセパレータ30の長手方向の両端を上下方向から挟持して、その一対のセパレータ30を接合する。このとき、一対のセパレータ30が、加熱加圧部材710によって加熱および加圧され、接合する。
【0052】
図10(c)に示すように、複数の加熱加圧部材710は、図中のP2に示す方向に駆動し、接合済みの一対のセパレータ30から離間する。
図11および
図10を参照しながら上述したセパレータ接合方法では、加熱加圧部材710が、正極10を挟持した一対のセパレータ30を加熱しつつ加圧し、その一対のセパレータ30を接合している。このような一対のセパレータ30の接合工程は、量産性や品質の面から優れた、所謂、袋詰電極50を形成する工程に相当する。
【0053】
搬送装置に相当する袋詰電極吸着パッド810は、完成した袋詰電極50を一時的に所定の載置台850に載置する。袋詰電極吸着パッド810は、板状からなり、袋詰電極50と当接する面に吸引口を複数設けている。袋詰電極吸着パッド810は、たとえば図示せぬエアーコンプレッサー等を動力として伸縮自在な伸縮部820の一端に連結している。伸縮部820の他端は、板状の支持部材830に連結している。支持部材830は、たとえば図示せぬ回動モータにより、一対のレール840に沿って往復する。このように、袋詰電極吸着パッド810は、伸縮部820、支持部材830、および一対のレール840によって、サクションコンベア310で搬送されてきた袋詰電極50を吸引して移動させ、載置台850に載置する。
【0054】
図6、
図7、および
図8にそれぞれ示す、真空吸引搬送ドラム540、サクションコンベア310、および袋詰電極吸着パッド810は、それぞれセパレータ30を吸着した状態で搬送する搬送装置に相当する。ここで、セパレータ30の溶融材31は、たとえば、ポリプロピレンからなり、飛散することはない。一方、セパレータ30の耐熱材32は、たとえば、無機化合物を高温で成形したセラミックスからなり、粉体となって飛散し易い。したがって、真空吸引搬送ドラム540、サクションコンベア310、および袋詰電極吸着パッド810は、セパレータ30の耐熱材32ではなく、セパレータ30の溶融材31側を吸引するように構成する。このように構成した電気デバイス1によれば、セパレータ30の飛散し難い溶融材31側を吸引して搬送することから、セパレータ接合装置100内において、セパレータ30の耐熱材32が飛散することを防止できる。
【0055】
さらに、真空吸引搬送ドラム540、サクションコンベア310、および袋詰電極吸着パッド810の各搬送装置は、セパレータ30の飛散しない溶融材31側を吸引して搬送するため、その吸引力を一定に保つことができる。各搬送装置によるセパレータ30の吸引力が一定に保たれると、そのセパレータ30の送り寸法を一定にすることができる。さらに、各搬送装置は、飛散し易い耐熱材32側を吸引しないことから、その耐熱材32が飛散することがない。このため、各搬送装置の周辺に、飛散した粉体等を除去して清掃する機構を設ける必要がない。したがって、セパレータ接合装置100の構成を小型化し、かつコストを抑制することができる。さらに、各搬送装置は、飛散して剥離し易い耐熱材32側を吸引しないことから、その耐熱材32が溶融材31から剥離したり、吸引痕が生じたり、または接触傷が生じたりすることを防止できる。さらに、各搬送装置は、飛散し易い耐熱材32側を吸引しないことから、粉体で目詰まりすることがなく、その各搬送装置内に粉体除去用のフィルタ等を設けて定期的に交換清掃する必要がない。
【0056】
上述した電気デバイス1のセパレータ30同士を接合する接合方法、およびその接合方法を具現化したセパレータ接合装置100によれば、以下の作用効果を奏する。
【0057】
電気デバイス1のセパレータ接合方法、およびその接合方法を具現化したセパレータ接合装置100は、第1電極(正極10)と、第1電極(正極10)とは極性の異なる第2電極(負極20)とを、交互に積層するセパレータ30同士を接合するものである。溶融材31と、溶融材31の片面のみに積層し溶融材31よりも溶融温度が高い耐熱材32と、を含むセパレータ30を用いる。ここで、セパレータ30の溶融材31の側を保持して搬送し、隣接したセパレータ30の耐熱材32同士を対面させて隣接したセパレータ30同士を接合する。
【0058】
このように構成した電気デバイス1のセパレータ接合方法、およびそのセパレータ接合装置100によれば、セパレータ30の飛散し難い溶融材31側を搬送装置によって保持して搬送することから、セパレータ接合装置100内において、セパレータ30の耐熱材32が飛散することを防止できる。したがって、セパレータ接合装置100内を清浄に保ち、かつ、セパレータ30を接合した電気デバイス1の電気的特性を維持することができる。
【0059】
さらに、真空吸引搬送ドラム540、サクションコンベア310、および袋詰電極吸着パッド810の各搬送装置は、セパレータ30の飛散しない溶融材31側を吸引して搬送するため、その吸引力を一定に保つことができる。各搬送装置によるセパレータ30の吸引力が一定に保たれると、そのセパレータ30の送り寸法を一定にすることができる。
【0060】
さらに、各搬送装置は、飛散し易い耐熱材32側を吸引しないことから、その耐熱材32が飛散することがない。このため、各搬送装置の周辺に、飛散した粉体等を除去して清掃する機構を設ける必要がない。したがって、セパレータ接合装置100の構成を小型化し、かつコストを抑制することができる。
【0061】
さらに、各搬送装置は、飛散して剥離し易い耐熱材32側を吸引しないことから、その耐熱材32が溶融材31から剥離したり、吸引痕が生じたり、または接触傷が生じたりすることを防止できる。
【0062】
さらに、各搬送装置は、飛散し易い耐熱材32側を吸引しないことから、粉体で目詰まりすることがなく、その各搬送装置内に粉体除去用のフィルタ等を設けて定期的に交換清掃する必要がない。したがって、清掃に係る工数を削減することができる。
【0063】
さらに、電気デバイス1のセパレータ30の接合において、接合するセパレータ30の耐熱材32には、溶融材31に塗布して乾燥させた粉体を用いてもよい。
【0064】
このように構成すれば、耐熱材32が、特に、粉体のように飛散し易い粉体であっても、セパレータ接合装置100内において、セパレータ30の耐熱材32が飛散することを効果的に防止できる。また、各搬送装置は、粉体を吸引しないことから、その粉体で目詰まりすることがない。
【0065】
さらに、電気デバイス1のセパレータ30の接合において、接合するセパレータ30の耐熱材32には、セラミックスを用いてもよい。
【0066】
このように構成すれば、耐熱材32が、特に、無機化合物を高温で成形したセラミックスのように飛散し易い多孔質であっても、セパレータ接合装置100内において、セパレータ30の耐熱材32が飛散することを効果的に防止できる。また、各搬送装置は、セラミックスを吸引しないことから、そのセラミックスで目詰まりすることがない。
【0067】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る電気デバイスについて、
図11を参照しながら説明する。
【0068】
第2実施形態においては、第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0069】
図11は、負極20を一対のセパレータ30で袋詰めして形成した袋詰電極70の両端に正極10をそれぞれ積層した状態における電気デバイスの一部を示す断面図である。
【0070】
セパレータ30の耐熱材32と、負極20の負極活物質22とは、当接しており摩擦力が発生する。したがって、電気デバイスが振動したり衝撃を受けたりしても、負極20をセパレータ30で袋詰めした袋詰電極50内において、負極20の移動を抑制することができる。すなわち、電気デバイス内において、負極20の積層ずれを抑制することにより、電気デバイスの損傷を防止し、電気的特性を維持することができる。
【0071】
上述した第2実施形態に係る電気デバイスは、耐熱材32と負極20の負極活物質22との間に発生する摩擦力が、耐熱材32と正極10の正極活物質12との間に発生する摩擦力よりも、大きい場合に有効である。
【0072】
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
【0073】
第1実施形態では、一例として、セパレータ30の溶融材31側を搬送装置(真空吸引搬送ドラム540、サクションコンベア310、および袋詰電極吸着パッド810)で吸引して搬送する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。たとえば、セパレータ30の溶融材31側を搬送装置によって挟持して搬送したり、セパレータ30の溶融材31側を搬送装置によって載置して搬送したりする構成としても、耐熱材32を隣接したセパレータ30の内部に閉じ込めて封止することができる。
【0074】
また、実施形態では、一例として、セパレータ接合装置100によって正極10を一対のセパレータ30で袋詰めする構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。たとえば、セパレータ接合装置100によって負極20を一対のセパレータ30で袋詰めする構成としてもよい。このような構成は、耐熱材32と負極20の負極活物質22との間に発生する摩擦力が、耐熱材32と正極10の正極活物質12との間に発生する摩擦力よりも、大きい場合に有効である。
【0075】
本出願は、2012年12月28日に出願された日本特許出願番号2012−286988号および2012年12月28日に出願された日本特許出願番号2012−286993号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。