(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主電極領域を形成する工程は、前記チャネル形成領域に第1導電型の不純物イオンを選択的に注入する工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
前記第1絶縁膜は前記半導体基板の熱酸化により作製されており、前記第2絶縁膜はHTO、有機シリコン化合物、PSG、BPSGの何れかであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置の低消費電力化が進む中で、その電力変換装置の中で中心的な役割を果たすパワーデバイスへの低消費電力化に対する期待は大きい。そのパワーデバイスの中でも伝導度変調効果により、低オン電圧を達成でき、また電圧駆動のためゲート制御が容易である絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下IGBTと称する)の使用は定着してきている。このIGBTの構造について、
図24に一例を示す。
図24では、図面を見易くするため、断面を表すハッチングを一部省略している。
図24(a)の要部断面図に示すプレーナゲート型IGBT100では、ウエハ表面に沿ってゲート電極101aが設けられることによりプレーナゲート構造を形成する。
図24(b)の要部断面図に示すトレンチゲート型IGBT200では、ウエハ表面のストライプ状の平面パターンから深さ方向に垂直に延びる形状のトレンチ201内部に酸化膜202を介してゲート電極203が埋設されることによりトレンチゲート構造を形成する。また、トレンチゲート型IGBT200は、トレンチ201の内部の両側壁のp型ベース領域204に沿って、すなわち基板面に垂直方向にnチャネル(図示せず)が形成されるので、トレンチ開口幅および間隔を狭くし易くなる。この結果、チャネル密度をプレーナゲート型IGBTよりも高くすることが容易となる。また、チャネルの高密度化とともに、オン電圧のいっそうの低減が可能になるため、近年トレンチゲート型IGBTの適用が増えつつある。
【0003】
前述のようなチャネル密度を高くしてオン電圧を低減することのできるトレンチゲート構造に関し、トレンチ内面に形成されるゲート電極膜をトレンチ底部で分離する構成を記載したトレンチゲート構造の図面が開示されている(特許文献1)。また、特許文献1には、トレンチ内に一様に形成したポリシリコン膜を異方性エッチングによりエッチバックする、ゲート電極の分割方法が開示されている。さらに、特許文献2には、トレンチ内部に充填されたポリシリコン層を底部で分割し、n
+型エミッタ領域とp型ベース領域側(活性メサ領域側)に近い側壁側のポリシリコン層のみをゲート電極として分離分割し、フローティングメサ領域側のポリシリコン層はゲート電極には接続せずエミッタ電極に接続する構造が開示されている。さらに、この特許文献2では、そのようなポリシリコン層の分割方法も開示している。すなわち、トレンチ内を完全に充填しない程度の厚さのポリシリコン層を形成する。基板表面のポリシリコン層を残した状態で酸化膜をマスクに用いてトレンチ底部のポリシリコン層を切断する。トレンチ内のポリシリコン層間を酸化膜等で充填して両側壁のポリシリコン層を相互に絶縁分離をした後に、基板表面のポリシリコン層との引き出し部を形成する方法である。
【0004】
図25〜
図34は、従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスをステップ順に示す要部断面図である。
まず、
図25に示すように、シリコン基板301の表面から垂直方向に公知の反応性イオンエッチング(RIE)などによる異方性プラズマエッチングによりトレンチ302を形成する。シリコン基板301の表面にトレンチ302を形成することにより、トレンチ
302で区画された活性メサ領域305およびフローティングメサ領域306が形成される。その後、
図26に示すように、トレンチ302の内部にゲート酸化膜303aを形成する。
【0005】
次に、
図27に示すように、トレンチ302内にドープドポリシリコン層304をトレンチ302が埋まらない程度の厚さで例えば化学的気相堆積(CVD)法により形成する。例えば、2μmのトレンチ幅に対して、厚さ0.5μm程度のドープドポリシリコン層304を形成する。
次に、このドープドポリシリコン層304を異方性エッチングによってエッチバックすることによって、
図28に示すように、シリコン基板301の表面上およびトレンチ302の底部のドープドポリシリコン層304が除去されて、トレンチ
302の両側壁部分に沿って張り付いた形状で分離されたドープドポリシリコン層304が残る。この工程において、トレンチ302の内壁面に沿って形成されたドープドポリシリコン層304は、トレンチ302の幅方向の側壁に間隙を介して対向する2つのドープドポリシリコン電極304a,304bに分離分割される。
【0006】
次に、
図29に示すように、シリコン基板301の表面上のゲート酸化膜303aを例えば化学的機械研磨(CMP)法で選択的に除去する。
次に、隣接するトレンチ302間のメサ状シリコン基板部分にp型ベース領域307を形成するため、
図30に示すように、フォトリソグラフィで形成したフォトレジスト314aをマスクとしてシリコン基板301の表面からその内部にボロン(B)をイオン注入する。その後、フォトレジスト314aを除去した後、イオン注入されたボロンを活性化させる熱処理を施すことにより、p型ベース領域307(
図31参照)が形成される。
【0007】
次に、n
+型エミッタ領域308を形成するため、
図31に示すように、フォトリソグラフィで形成したフォトレジスト314bをマスクとしてシリコン基板301の表面からその内部にリン(P)をイオン注入する。その後、フォトレジスト314bを除去した後、イオン注入されたリンを活性化させる熱処理を施すことにより、
図32に示すように、n
+型エミッタ領域308が形成される。
このように従来のトレンチゲート型IGBTの製造方法では、2回のイオン注入により、
図32に示すように、隣接するトレンチ302間のメサ状シリコン基板部分にp型ベース領域307とn
+型エミッタ領域308を形成する。この2回のイオン注入において、トレンチ302の内部をレジスト(フォトレジスト314a,314b)で埋めることで、ゲート酸化膜303aが露出しているトレンチ302の底部へのイオン注入を防止している。
【0008】
次に、
図33に示すように、高温酸化膜(HTO)やテトラ・エトキシ・シラン(TEOS)のような埋め込み性の高い酸化膜303cでトレンチ
302内部、すなわち、2つのドープドポリシリコン電極間の間隙を充填する。
次に、
図34に示すように、p型ベース領域307上およびn
+型エミッタ領域308上の酸化膜303cを選択的に除去して開口し、エミッタ電極310を接触させる。この結果、
図34に示すように、トレンチ302内の両側壁にゲート酸化膜303aを介してドープドポリシリコン層304がそれぞれ活性メサ領域305側のドープドポリシリコン電極304aとフローティングメサ領域306側のドープドポリシリコン電極304bとに分離分割されたトレンチゲート構造が形成される。
【0009】
しかしながら、前述したように、従来のトレンチゲート型IGBTの製造方法では、トレンチゲート構造の作成プロセス中の
図30と
図31において、p型ベース領域307とn
+型エミッタ領域308を選択的イオン注入によりシリコン基板301の表面の所定の領域に形成するために、フォトリソグラフィ工程が行われる。その際、幅の狭いトレンチ302の凹部内にフォトレジスト314a,314bが入り込むことになる。トレンチ302中のフォトレジスト314a,314bはイオン注入後に除去する必要があるが、トレンチ302の幅が2μm程度と狭いので、硬化したフォトレジスト314a,314bの完全な除去は容易とは言えない。残存したフォトレジスト314a,314bは後工程で汚染源となり、良品率低下の原因の一つとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置(トレンチゲート型IGBT)の要部拡大断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置(トレンチゲート型IGBT)の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図15】本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の要部斜視図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置(トレンチゲート型IGBT)の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図18】本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図19】本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図20】本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図21】本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図22】本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図23】本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図24】従来のIGBTの概略構成を示す要部断面図((a)はプレーナゲート型IGBT,(b)はトレンチゲート型IGBT)である。
【
図25】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図26】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図27】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図28】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図29】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図30】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図31】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図32】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図33】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【
図34】従来のトレンチゲート型IGBTの製造プロセスフローを説明するための要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1および第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を、図面を参照して詳細に説明する。
本明細書において、「主電極領域」とは、IGBTにおいてエミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる低比抵抗の半導体領域を意味する。電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)においてはソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味するので「半導体装置」に依拠した名称となる。より具体的に、上記の「一方となる半導体領域」を「第1主電極領域」として定義すれば、「他方の半導体領域」は、「第2主電極領域」となる。すなわち、「第2主電極領域」とは、IGBTにおいては第1主電極領域とはならないエミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる半導体領域、FET,SITにおいては上記第1主電極領域とはならないソース領域又はドレイン領域の何れか一方となる半導体領域を意味する。以下の第1および第2の実施の形態では、「第1主電極領域」にのみ着目して説明するので、「第1主電極領域」を便宜上「主電極領域」と呼ぶ。
【0016】
以下の第1および第2の実施形態の説明では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合について例示的に説明するが、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をp型、第2導電型をn型としても構わない。
また、本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、+および−の付記されていない半導体領域に比してそれぞれ相対的に不純物濃度が高いまたは低い半導体領域であることを意味する。
【0017】
なお、以下の第1および第2の実施形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
また、第1および第2の実施形態で説明される添付図面は、見易くまたは理解し易くするために正確なスケール、寸法比で描かれていない。本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する第1および第2の実施形態の記載に限定されるものではない。
以下の第1および第2の実施形態では、本発明の「半導体装置」の代表例としてトレンチゲート型IGBTの製造方法に着目して例示的に説明する。また、以下の第1および第2の実施形態では、トレンチ内に分割して形成される2の電極の導電層として便宜上ドープドポリシリコン層を用いた場合について説明するが、導電層はドープドシリコン層に限定されるものではない。導電層としては、タングステン(W),モリブデン(Mo)などの高融点金属、これらの高融点金属のシリサイド、又はシリサイドとドープドポリシリコンとの複合膜のポリサイド膜などでもかまわない。
【0018】
(第1の実施形態)
図1および
図15に示すように、本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置は、例えば単結晶シリコンからなる第1導電型(n
−型)の半導体基板1を主体にしたトレンチゲート型IGBTである。
半導体基板1の表面には、トレンチ2で区画された活性メサ領域5とフローティングメサ領域6とが形成されている。活性メサ領域5およびフローティングメサ領域6は、トレンチ2の長手方向と直交する幅方向(短手方向)に交互にそれぞれ複数配置されている。
【0019】
また、本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置は、詳細に図示していないが、活性メサ領域5に形成されたトランジスタセルを電気的に複数個並列に接続して大電力を得る構成になっている。
図1には、1つのトランジスタセルが示されている。
トランジスタセルは、主に、トレンチ2、第1絶縁膜としてのゲート絶縁膜3a、ゲート電極4a、第
2導電型(p型)のチャネル形成領域7、第1導電型(n
+型)の主電極領域8、第1導電型(n
+型)のバッファ層11、第2導電型(p
+型)のコレクタ領域(第2主電極領域)12、コレクタ電極(第2主電極)13などを有する構成になっている。「チャネル形成領域7」は、IGBTにおいてはベース領域を意味するが、IGBT以外の半導体装置においてはIGBTのベース領域に等価な表面にチャネルが形成される領域を意味する。また、「主電極領域8」は冒頭で述べたとおりIGBTのエミッタ領域を意味する。
【0020】
トレンチ2は、半導体基板1の表面から深さ方向に向かって延びている。トレンチ2は、例えば幅2μm、深さ5μm〜10μm程度のストライプ状平行平面パターンで形成されている。また、トレンチ2は、例えばRIEなどのドライエッチングにより形成される。ゲート電極4aにゲート絶縁膜3aを介して対向するトレンチ2の側壁の位置となるチャネル形成領域7の表
面はゲート電極4aに印加される電圧に制御されてチャネルが形成される。
ゲート絶縁膜3aは、トレンチ2の内壁に沿って形成され、例えば半導体基板1に熱酸化処理を施して作製された二酸化シリコン膜(SiO
2)で形成されている。ゲート絶縁膜3aとしては熱酸化法の他に化学的気相堆積(CVD)法による酸化シリコン膜や窒化シリコン(Si
3N
4)膜、或いはこれらの積層膜を用いることができるが、高耐圧が要求されるパワ
ーデバイス(電力用半導体装置)においては緻密性に有利な熱酸化法による酸化シリコン膜を用いることが好ましい。
【0021】
FETでは、ゲート絶縁膜が酸化膜からなるMOS型でも、ゲート絶縁膜が酸化シリコン膜や窒化シリコン膜、或いはこれらの積層膜などの絶縁膜からなるMIS型でもかまわない。
ゲート電極4aは、トレンチ2内において、活性メサ領域5
側の側壁にゲート絶縁膜3aを介して形成されている。チャネル形成領域7は、活性メサ領域5において、半導体基板1の表面に設けられている。主電極領域8は、活性メサ領域5において、チャネル形成領域7の一部となるトレンチ2の表面開口部に沿って接する領域に形成されている。バッファ層11およびコレクタ領域12は、半導体基板1の表面とは反対側の裏面に形成されている。コレクタ電極13は半導体基板1の裏面にコレクタ領域12と接するようにして形成されている。
【0022】
フローティングメサ領域6
において、活性メサ領域5と同様に
、半導体基板1の表面にチャネル形成領域7が形成されている。このフローティングメサ領域6のチャネル形成領域7には、活性メサ領域5とは異なり主電極領域8は形成されていない。フローティングメサ領域6のトレンチ2内における側壁には、ゲート絶縁膜3aを介してトレンチ内配線層4bが形成されている。このトレンチ内配線層4bは、帰還容量を低減する目的で後述するエミッタ電極10と電気的に接続されている。
ゲート電極4aおよびトレンチ内配線層4bは、導電層4として例えば不純物が添加された低比抵抗のドープドポリシリコン層で形成されている。このゲート電極4aおよびトレンチ内配線層4bは、トレンチ2内において、導電層4をトレンチ2の幅方向の側壁に間隙を介して対向する2つの導電体(配線層)に分離分割することによって形成される。
【0023】
ゲート電極4aおよびトレンチ内配線層4bは、これらの電極間の間隙に充填された第2絶縁膜としての酸化膜3eによって電気的に絶縁分離されている。酸化膜3eは、半導体基板1の表面上にも形成されている。
半導体基板1の表面上には、絶縁膜としての酸化膜3eを介してエミッタ電極10が形成されている。このエミッタ電極10は、酸化膜3eに形成された開口部3hを通してチャネル形成領域7および主電極領域8の各々と電気的に接続されている。
ここで、主電極領域8の表面パターンはトレンチ2の表面開口部に沿って接するパターンであるが、
図1および
図15に示すように、連続するパターンではなくトレンチ2間の基板表面に所定の間隔をおいて形成される構造とすることも好ましい。この構造では主電極領域8が形成される領域は活性メサ領域5となり、主電極領域8が形成されない領域はフローティングメサ領域6となる。これらの両領域5、6におけるチャネル形成領域7の深さは
図9、
図10に示すように同じ深さでもよいが、トレンチ2底部での電界強度を緩和するために、フローティングメサ領域6のチャネル形成領域7の深さをトレンチ2より深くすることも好ましい(図示せず)。
【0024】
次に、本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置(トレンチゲート型IGBT)の製造方法について、
図2乃至
図14を用いて説明する。
まず、
図2に示す半導体基板1を準備する。
次に、
図2に示すように、半導体基板1の表面から深さ方向、例えば垂直方向に延びるトレンチ2を形成する。トレンチ2は、例えばRIEなどのドライエッチングで形成する。この工程により、半導体基板1の表面に、トレンチ2で区画された活性メサ領域5およびフローティングメサ領域6が形成される。その後、
図3に示すように、トレンチ2の内部に第1絶縁膜として例えば熱酸化処理により二酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜3aを形成する。
【0025】
次に、
図4に示すように、トレンチ2内に導電層4として不純物を添加して比抵抗を低減したドープドポリシリコン層をトレンチ2が埋め尽くされる厚さで形成する。例えば2μmのトレンチ幅に対して、厚さ2.5μm程度の導電層4を形成する。導電層4は、例えばCVD法で形成される。
次に、この導電層4をRIEなどのドライエッチングでエッチバックすることによって、
図5に示すように、半導体基板1の表面上およびトレンチ2上の導電層4を選択的に除去する。その後、半導体基板1の表面上のゲート絶縁膜3aをウエットエッチングなどにより選択的に除去して半導体基板1の表面を露出させる。これにより、
図6に示すように、トレンチ2の内部だけにゲート絶縁膜3aと導電層4が選択的に埋め込まれ、半導体基板1の表面は略平坦面となる。
【0026】
次に、フォトリソグラフィとイオン注入により、隣接するトレンチ2間の半導体基板1の表面に第2導電型(p型)のチャネル形成領域7および第1導電型(n
+)の主電極領域8を形成する。最初に、チャネル形成領域7を形成するため、
図7に示すように、半導体基板1の表面の全面に第2導電型の不純物イオンとして例えばボロン(B)イオンを注入する。このイオン注入において、トレンチ2内がすでに導電層4にて充填されており、トレンチ2の内部や底面を保護する必要がないため、フォトレジストからなるマスクを用いることなく、半導体基板1の表面の全面にイオン注入できる。この後、イオン注入されたボロンイオンを活性化させる熱処理を施すことにより、イオン注入で第2導電型不純物が添加されたチャネル形成領域7が
図8に示すように形成され、トレンチ2とトレンチ2との間に活性メサ領域5が定義される。この工程において、チャネル形成領域7は、フローティングメサ領域6にも形成される。トレンチ2の側壁に面したチャネル形成領域7の表面がチャネルが形成される部分となる。
【0027】
次に、主電極領域8を形成するため、
図8に示すように、フォトリソグラフィで形成したフォトレジスト14を不純物イオン注入用マスクとして使用し、第1導電型の不純物イオンとして例えばリン(P)イオンを選択的に注入する。ここで、このイオン注入においては不純物イオン注入用マスクとしてフォトレジスト14を用いているが、トレンチ2内は導電層4ですべて埋められているので、トレンチ2内にフォトレジストが入り込み、イオン注入後にフォトレジストの除去が困難になることがない。次に、フォトレジスト14を除去した後、イオン注入されたリンイオンを活性化させる熱処理を施すことにより、
図9に示すように、リンが不純物として添加された主電極領域8が活性メサ領域5のチャネル形成領域7の内部に形成される。この工程において、主電極領域8は、フローティングメサ領域6には形成されない。
このようにして、チャネル形成領域7と主電極領域8とを形成することにより、トレンチ2内にフォトレジストの残渣を残すことなく活性メサ領域5の表面にチャネル形成領域7と主電極領域8とを形成することができる。主電極領域8は、チャネル形成領域7内の表層に形成される。
【0028】
次に、
図10に示すように、半導体基板1の表面に絶縁膜として例えばCVD法で酸化膜3bを堆積する。
次に、フォトリソグラフィにより、ストライプ状表面パターンのトレンチ2内に埋め込まれた導電層4上の酸化膜3bの中央に、換言すればトレンチ2の幅方向の中央に対応する部分に、トレンチ2のストライプ状パターンに沿って窓明けエッチングをして、
図11に示すように、酸化膜3bに開口部3dを形成する。開口部3dは、トレンチ2のストライプ状パターンと同様にストライプ状パターンで形成される。
【0029】
次に、残った酸化膜3bをエッチングマスクとして使用し、酸化膜3bのストライプ状パターンの開口部3dを通してトレンチ2に埋め込まれた導電層4の中央部を、換言すればトレンチ2に充填された導電層4をトレンチ2の幅方向の中央でRIEやイオンミリングなどの指向性の高いドライエッチングにより表面からトレンチ2の底部まで除去して、
図12に示すように、孔9を形成する。
この工程において、トレンチ2に充填された導電層4は、トレンチ2の幅方向の側壁に形成され、かつ孔9によって形成された間隙を介して互いに対向する2つの導電体、すなわちゲート電極4aとトレンチ内配線層4bとに分離分割される。ゲート電極4aは、活性メサ領域5のトレンチ2内における側壁にゲート絶縁膜3aを介して形成され、トレンチゲート型IGBTのゲート電極として使用される。トレンチ内配線層4bは、フローティングメサ領域6のトレンチ2内における側壁にゲート絶縁膜3aを介して形成され、ゲート電極4aと電気的に絶縁分離されると共に、帰還容量を低減する目的で後述するエミッタ電極10と電気的に接続される。
【0030】
次に、
図13に示すように、第2絶縁膜として、高温酸化膜(HTO),有機シリコン化合物,リンケイ酸ガラス(PSG),硼素添加リンケイ酸ガラス(BPSG)のような埋め込み性の高い酸化膜3cにより孔9の内部を充填する。有機シリコン化合物としては、テトラ・エトキシ・シラン(TEOS),オクタ・メチル・シクロ・テトラ・シロキサン(OMCTS),テトラ・プロポキシ・シラン(TPOS)や、テトラ・メチル・シクロ・シロキサン(TMCTS)などが使用可能である。すなわち、ゲート電極4aとトレンチ内配線層4bとの間(2つの導電体間)の間隙を流動性の高い酸化膜3cで充填する。この工程において、半導体基板1の表面上にも酸化膜3cが形成される。
【0031】
次に、チャネル形成領域7上および主電極領域8上の絶縁膜、すなわち酸化膜3c、および酸化膜3bを選択的に除去して、
図14に示すように、開口部3hを形成する。
次に、開口部3h内を含む半導体基板1の表面上の全面にスパッタ蒸着などにより例えばアルミニウム(Al)膜、又はAl−Si,Al−Cu,Al−Cu−Siなどのアルミニウム合金膜などの金属膜を形成し、その後、この金属膜をパターンニングして、
図14に示すように、開口部3hを通してチャネル形成領域7および主電極領域8の各々に接触する、すなわち電気的にかつ機械的に接続される金属電極としてのエミッタ電極10を形成する。
【0032】
第1の実施形態にかかる半導体装置(トレンチゲート型IGBT)の製造方法では、
図14に示す酸化膜3bと酸化膜3cとの積層膜が
図1の絶縁膜としての酸化膜3eに相当している。また、主電極領域8が形成されないフローティングメサ領域6を構成するチャネル形成領域7の部分の表面は酸化膜3e(3b,3c)で覆われているので、フローティングメサ領域6を構成するチャネル形成領域7とエミッタ電極10とは電気的に絶縁される。エミッタ電極10の表面にさらにポリイミド樹脂膜をパッシベーション膜(図示せず)として形成することもできる。さらに、パワーデバイスとして完成させるには、前述のプロセス処理を終えた半導体基板1の表面側に保護テープを貼付した後、厚さ600μm以上の半導体基板1の反対面(裏面とする)をCMPなどにより研磨研削して耐圧に必要な厚さに薄くする。研削面を清浄処理後、半導体基板1の裏面にバッファ層11(またはフィールドストップ層、FP層)およびコレクタ領域(第2主電極領域)12を形成し、裏面の表面にコレクタ電極13を形成すると、
図1に示す本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置(トレンチゲート型IGBT)のウエハプロセスが終了する。
【0033】
ここで、従来のトレンチゲート型IGBTの製造方法では、
図28乃至
図33に示すように、トレンチ302内のドープドポリシリコン層304を、トレンチ302の側壁に間隙を介して対向する2つの導電体(ドープドポリシリコン電極304a,304b)に分離分割した後(
図28参照)であって、この2つの導電体(電極)間の間隙を酸化膜303cで充填する前(
図33参照)に、p型ベース領域307およびn
+型エミッタ領域308を形成するための2回のイオン注入を実施しているため(
図30および
図31参照)、イオン注入時にマスクとして使用するフォトレジスト314a,314bが2つの導電体(304a,304b)間の間隙に入り込んでしまう。
【0034】
これに対し、本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置(トレンチゲート型IGBT)の製造方法では、
図12および
図13に示すように、トレンチ2内の導電層4を、トレンチ2の側壁に間隙(孔9)を介して対向する2つの導電体(ゲート電極4a,トレンチ内配線層4b)に分離分割して、この2つの導電体間の間隙を酸化膜3cで充填しており、トレンチ2内の導電層4を2つの導電体(ゲート電極4a,トレンチ内配線層4b)に分割してから、この2つの導電体間の間隙(孔9)を酸化膜3cで充填するまでの間ではチャネル形成領域7および主電極領域8を形成するための2回のイオン注入を実施しないプロセスになっている。そして、本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、トレンチ2内の導電層4を2つの導電体(ゲート電極4a,トレンチ内配線層4b)に分離分割する前、すなわちトレンチ2内が導電層4で全て埋め尽くされている状態でチャネル形成領域7および主電極領域8を形成するための2回のイオン注入を実施してい
る(図7および
図8参照)。したがって、本発明の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法によれば、従来のトレンチゲート型IGBTの製造方法のように、イオン注入時にマスクとして使用するフォトレジストがトレンチ2内に入り込むことはない。
【0035】
(第2の実施形態)
前述の第1の実施形態では、
図4に示すようにトレンチ2内に導電層4をトレンチ2が完全に埋め尽くされる厚さで形成した。これに対し、第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、上述の
図25および
図26と同様の工程を施して、例えば単結晶シリコンからなる第1導電型(n
−型)の半導体基板21にトレンチ22および第1絶縁膜としてのゲート絶縁膜23a(
図16参照)を形成した後、上述の
図27、
図28と同様に、半導体基板21のトレンチ22内に導電層24として例えばドープドポリシリコン層をトレンチ22が埋め尽くされない程度の厚さ、換言すればトレンチ22内に空間が残るような厚さで例えばCVD法により形成する。例えば、2μmのトレンチ幅に対して、厚さ0.5μm程度の導電層24を形成する。この導電層24をRIEやイオンミリングなどの指向性の高いドライエッチングによってエッチバックすることにより、半導体基板21の表面上およびトレンチ22の底部における部分の導電層24が除去されて、
図16に示すように、トレンチ22の両側壁部分に沿って張り付いた形状で分離された導電層24が残り、この導電層24からなる2つの導電体、すなわちゲート電極24aとトレンチ内配線層24bとが形成される。このゲート電極24aおよびトレンチ内配線層24bは、トレンチ22の内壁面に沿ってトレンチ22の幅方向の側壁に形成され、かつ膜厚を薄くすることによって形成された間隙を介して互いに対向して分離分割される。ゲート電極24aは、活性メサ領域25のトレンチ22内における側壁にゲート絶縁膜23aを介して形成され、トレンチゲート型IGBTのゲート電極を構成する。トレンチ内配線層24bは、フローティングメサ領域26のトレンチ22内における側壁にゲート絶縁膜23aを介して形成され、ゲート電極24aと電気的に分離されると共に、帰還容量を低減する目的で後述するエミッタ電極30と電気的に接続される。ゲート絶縁膜23aは、例えば半導体基板21に熱酸化処理を施して作製された二酸化シリコン膜からなる。
【0036】
次に、
図17に示すように、半導体基板21の表面上にトレンチ22が完全に埋め尽くされる厚さで第2絶縁膜としての酸化膜23bを例えばCVD法で形成する。酸化膜23bとしては、HTO,有機シリコン系化合物,TEOS,PSG,BPSGのような埋め込み性の高い酸化膜を用いてもよい。この工程において、ゲート電極24aとトレンチ内配線層24bとの間(2つの導電体間)の間隙は、酸化膜23bで充填される。
次に、
図18に示すように、半導体基板21の表面上の絶縁膜、すなわち酸化膜23bおよびゲート絶縁膜23aをエッチングにより選択的に除去して半導体基板21の表面を露出させる。これにより、トレンチ22の内部だけに、ゲート絶縁膜23aと、酸化膜23bと、この酸化膜23bを介して対向する2つの導電体(ゲート電極24a,トレンチ内配線層24b)とが選択的に埋め込まれ、半導体基板21の表面は略平坦面となる。
【0037】
次に、この状態で、フォトリソグラフィとイオン注入により、隣接するトレンチ22間の半導体基板
21の表面に第2導電型(p型)のチャネル形成領域(ベース領域)27および第1導電型(n
+)型の主電極領域(エミッタ領域)28を所要のパターンで形成する。最初に、チャネル形成領域27を形成するため、
図19に示すように、半導体基板21の表面の全面に第2導電型の不純物イオンとして例えばボロン(B)イオンを注入する(
図19)。このイオン注入においては、トレンチ22内が不純物濃度の高いドープドポリシリコン層からなる2つの導電体(ゲート電極24a,トレンチ内配線層24b)と、酸化膜23bとで充填されており、トレンチ22の内部や底面を保護する必要がないため、フォトレジストからなるマスクを用いることなく、半導体基板21の表面の
全面に不純物イオンを注入できる。この後、イオン注入されたボロンを活性化させる熱処理を施すことにより、イオン注入された第2導電型不純物が添加されたチャネル形成領域27(
図20参照)が形成され、トレンチ22とトレンチ22との間に活性メサ領域25が定義される。トレンチ22の側壁に面したチャネル形成領域27の表面がチャネルが形成される部分となる。この工程において、チャネル形成領域27は、フローティングメサ領域
26にも形成される。
【0038】
次に、主電極領域28を形成するため、
図20に示すように、フォトリソグラフィで形成したフォトレジスト14aを不純物イオン注入用マスクとして使用し、第1導電型の不純物イオンとして例えばリン(P)イオンを選択的に注入する。ここで、このイオン注入においては、不純物イオン注入用マスクとしてフォトレジスト14aを用いているが、トレンチ22内は2つの導電体(ゲート電極24a,トレンチ内配線層24b)と、酸化膜23bとで埋められているので、トレンチ22内にフォトレジストが入り込み、イオン注入後にその除去が困難になることがない。次に、フォトレジスト14aを除去した後、イオン注入されたリンを活性化させる熱処理を施すことにより、
図21に示すように、イオン注入された第1導電型不純物が添加された主電極領域 28が形成される。この工程において、主電極領域28は、フローティングメサ領域26には形成されない。
このようにして、フォトリソグラフィとイオン注入でチャネル形成領域27と主電極領域28とを形成することにより、トレンチ22内にレジストの残渣を残すことなく活性メサ領域25の表面にチャネル形成領域27と主電極領域28とを形成することができる。主電極領域28は、チャネル形成領域27内の表層に形成される。
【0039】
次に、
図22に示すように、半導体基板1の表面上の全面に第3絶縁膜としての酸化膜23cを例えばCVD法で形成する。
次に、
図23に示すように、フォトリソグラフィによって、
第1の実施形態と同様に、チャネル形成領域27上および主電極領域28上の絶縁膜、すなわち酸化膜23cを選択的に除去して開口部23h(
図23参照)を形成する。
次に、開口部23h内を含む半導体基板21の表面上の全面にスパッタ蒸着などにより例えばアルミニウム膜、又はアルミニウム合金膜などの金属膜を形成し、その後、この金属膜をパターンニングして、
図23に示すように、開口部23hを通してチャネル形成領域
27および主電極領域
28の各々に接触する、すなわち電気的にかつ機械的に接続される金属電極としてのエミッタ電極(第1主電極)30を形成する。
これ以降のウエハプロセスは第1の実施形態と同様にすることにより、本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置(トレンチゲート型IGBT)のウエハプロセスとなる。
【0040】
ここで、本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置(トレンチゲート型IGBT)の製造方法では、
図16および
図17に示すように、トレンチ22内の導電層24を、トレンチ22の側壁に間隙を介して対向する2つの導電体(ゲート電極24a,トレンチ内配線層24b)に分離分割して、この2つの導電体間の間隙を酸化膜23bで充填しており、トレンチ22内の導電層24を2つの導電体(ゲート電極24a,トレンチ内配線層24b)に分割してから2つの導電体間の間隙を酸化膜23bで充填するまでの間ではチャネル形成領域27および主電極領域28を形成するための2回のイオン注入を実施しないプロセスになっている。そして、本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、トレンチ22内の2つの導電体(ゲート電極
24a,トレンチ内配線層
24b)間の間隙を酸化膜23bで充填した後、すなわちトレンチ
22内が2つの導電体(ゲート電極
24a,トレンチ内配線層
24b)および酸化膜23bで全て埋め尽くされている状態でチャネル形成領域27および主電極領域28を形成するための2回のイオン注入を実施している。したがって、本発明の第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法においても、前述の第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法と同様に、イオン注入時にマスクとして使用するフォトレジストがトレンチ22内に入る込むことはない。
【0041】
(その他の実施形態)
以上説明した本発明の第1および第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、主電極領域がn型で形成されたnpn型のトレンチゲート型IGBTについて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、主電極領域(第1主電極領域)がp型で形成されたpnp型のトレンチゲート型IGBTの製造に適用することができる。また、nチャネル導電型やpチャネル導電型のトレンチゲート型MISFETの製造に適用することができる。
【0042】
更には、デプリーション・モード・サイリスタ(DMT)や電界制御サイリスタ(FCT)などのMOS複合デバイスにも適用可能である。
また、半導体基板の裏面側のコレクタ領域を形成しないようにすれば、他の絶縁ゲート型半導体装置の例としてトレンチゲート型MOSFETやトレンチゲート型MOSSITとすることも容易である。
以上説明したように、本発明の第1および第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法によれば、いずれもトレンチ内にフォトレジストが残存しないプロセスを有する半導体装置の製造方法とすることができる。
【0043】
また、本発明の第1および第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法の何れも、チャネル形成領域を形成するための不純物を導入する際、フォトレジストを不純物の選択導入用マスクとして用いていないため、従来と比較してフォトレジスト用のマスク(レチクル)枚数を低減でき、低コスト化を実現することができる。すなわち、マスク枚数の低減は、マスクそのものの製作コストの低減のみならず、マスクを用いたフォトレジストパターン形成のためのフォトレジストの塗布、感光、現像および洗浄・乾燥の一連の処理を削減することができるので、半導体装置のプロセスコストを大幅に低減することができる。さらに、異物による不良発生率を低減でき、半導体装置の歩留まり、および信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、本発明の第1および第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法では、半導体基板としてシリコン半導体基板を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの半導体基板を用いたトレンチゲート型半導体装置の製造に適用することができる。
また、本発明の第1および第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法では、導電層としてドープドポリシリコン層を用いた場合について説明したが、冒頭で述べたとおり、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば白金(Pt)、タングステン、モリブデンなどの高融点金属層やシリサイド層、或いはシリサイド層とドープドポリシリコン層との複合層を導電層として用いたトレンチゲート型半導体装置に適用することができる。