(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インターポーザと、前記インターポーザの第1面に搭載された半導体素子と、前記インターポーザの第2面に形成されたバンプと、前記インターポーザの前記第2面に搭載されたチップ部品と、を備え、
前記インターポーザはシリコンインターポーザであり、
前記半導体素子は前記インターポーザの第1面に実装され、
前記チップ部品は、シリコン基板上に薄膜プロセスで素子が形成され、単一面にパッドが形成される薄膜素子であり、
前記チップ部品の前記パッドは、前記インターポーザの第2面に形成されたランドに導電性接合材を介して接続される、
ことを特徴とする半導体パッケージ。
前記チップ部品は、平面視で四角形の外形を有し、前記四角形の4辺が前記バンプの配列方向に対して斜めになる向きに搭載されている、請求項1から5のいずれかに記載の半導体パッケージ。
前記チップ部品の前記パッドは平面視で矩形であり、前記矩形の各辺が前記バンプの配列方向に沿う向きに形成されている、請求項1から6のいずれかに記載の半導体パッケージ。
【背景技術】
【0002】
デジタル回路のようなクロック信号に基づいて動作する半導体デバイスや高周波回路のような高周波信号を扱う半導体デバイスにおいては、これら半導体デバイスがプリント配線板に実装された状態で、電流変動に起因するノイズが電源ラインに重畳され、半導体デバイスに悪影響が及ぶことがある。このノイズを除去するために、半導体デバイスの電力供給端子の近傍にバイパスコンデンサ(デカップリングコンデンサ)が設けられる。
【0003】
一方、プリント配線板に表面実装される、パッケージ化された半導体デバイス(以下、「半導体パッケージ」)の一つに、インターポーザを備えたBGA(Ball Grid Array)型の半導体パッケージがある。
【0004】
図13は、上記半導体パッケージおよび上記バイパスコンデンサの従来の実装構造の幾つかの例を示す断面図である。
図13において(1)(2)(3)に示すいずれの例でも、インターポーザ1の上面に半導体素子2が実装され、半導体素子2が封止樹脂4で樹脂封止され、インターポーザの下面にバンプ3が形成される。(1)に示す例では、半導体素子2はインターポーザ1の上面にワイヤーボンディングされ、プリント配線板6にバイパスコンデンサ5が実装され、その上部に半導体パッケージが実装される。(2)に示す例では、半導体素子2はインターポーザ1の上面にフリップチップ実装される。(3)に示す例では、インターポーザ1の下面にバイパスコンデンサ5が実装される。すなわち半導体パッケージ側にバイパスコンデンサ5が実装される。
【0005】
BGA型半導体パッケージの下面にバイパスコンデンサが実装される例は特許文献1に示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図13に示される従来の半導体パッケージの実装構造において、(1)(2)の半導体パッケージの実装構造では、半導体素子2からバイパスコンデンサ5までの距離が長いため、等価直列インダクタンス(ESL)が大きい。(3)の半導体パッケージの実装構造では、半導体素子2からバイパスコンデンサ5までの電流経路長が短いので、ESLは小さく、ノイズ低減効果が高い。
【0008】
しかし、特許文献1に開示されるBGA型半導体パッケージにおいては次のような解決すべき課題がある。
【0009】
(a)特許文献1に開示されるBGA型半導体パッケージが備えるインターポーザは、通常、ガラスエポキシ基板である。また、バイパスコンデンサは、両端の5面にそれぞれ電極が形成された、いわゆるドッグボーン型の端子構造を有する、積層型セラミックコンデンサ(MLCC)である。ガラスエポキシ基板とMLCCとは線膨張係数が大きく離れているので、熱履歴によっては、接合部にクラックを生じてしまうおそれがある。
【0010】
(b)MLCCは素体がセラミックであり、硬くて脆い。そのため、BGA型半導体パッケージが撓んだ際に、接合部に応力が集中し、接合部にクラックを生じやすい。
【0011】
(c)MLCCはドッグボーン型の端子構造を持つため、隣接するはんだボールとのギャップを小さくすることは難しい。BGA型半導体パッケージの実装先であるプリント配線板の配線とMLCCとの間でショートのリスクがある。また、プリント配線板の配線とMLCCとの間に生じる浮遊容量が大きくなりやすい。つまり、高密度にはんだボールを配置したパッケージには適合しにくい。
【0012】
このように、チップコンデンサと半導体パッケージのインターポーザとの間の接合信頼性を確保しにくい上に、小型・高密度で電気的特性に優れたものにはなり得ない。
【0013】
本発明の目的は、半導体パッケージのインターポーザとチップ部品との間の接合信頼性を確保し、小型・高密度で電気的特性に優れた半導体パッケージおよびその実装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明の半導体パッケージは、
インターポーザと、前記インターポーザの第1面に搭載された半導体素子と、前記インターポーザの第2面に形成されたバンプと、前記インターポーザの前記第2面に搭載されたチップ部品と、を備え、
前記インターポーザはシリコンインターポーザであり、
前記半導体素子は前記インターポーザの第1面に実装され、
前記チップ部品は、シリコン基板上に薄膜プロセスで素子が形成され、単一面にパッドが形成される薄膜素子であり、
前記チップ部品の前記パッドは、前記インターポーザの第2面に形成されたランドに導電性接合材を介して接続される、
ことを特徴とする。
【0015】
上記構成により、インターポーザとチップ部品との間の接合信頼性を確保でき、且つ小型・高密度で電気的特性に優れた半導体パッケージが構成される。
【0016】
(2)上記(1)において、
前記半導体素子はプロセッサユニットであり、前記チップ部品はバイパスコンデンサ(デカップリングコンデンサ)であり、前記インターポーザは、前記半導体素子と前記チップ部品とを導通させるスルーホールを備えることが好ましい。この構成により、半導体素子からバイパスコンデンサまでの電流経路長が短いので、ESLが小さく、ノイズ低減効果が高い。また、その分、コンデンサ単体でのESLがそれほど小さくなくてよい。
【0017】
(3)上記(1)または(2)において、
前記バンプは格子状に配列されており、前記チップ部品は、前記バンプの配列範囲内の一部(前記バンプの一部を取り除いたような領域)に配置されていることが好ましい。この構成により、半導体パッケージのバンプの格子状配列を乱すことなく、および実装先であるプリント配線板のパッドの格子状配列を乱すことなく、チップ部品を配置できる。特に、チップ部品は単一面にパッドが形成された端子構造を有しているので、チップ部品の側面に電極は無く、また、薄膜プロセスで形成される部品であるので、チップ部品の外形寸法はインターポーザのバンプの配列寸法精度を下回ることはなく、バンプの抜き個数(格子状配列されるバンプの一部を取り除いた配置パターンの、その取り除くバンプの数)を減らすことができる。
【0018】
(4)上記(1)から(3)にいずれかにおいて、
前記チップ部品は、前記パッドの形成面に樹脂層を有することが好ましい。これにより、チップ部品のパッド形成面の緩衝性や弾性が高いので、半導体パッケージが撓んでも、チップ部品の接合部に加わる応力を抑制できる。
【0019】
(5)上記(4)において、
前記半導体素子は、前記インターポーザ上で樹脂封止されることが好ましい。この構成により、半導体素子の保護構造が容易に実現できる。特に、インターポーザを構成するシリコン基板と封止樹脂との線膨張率は一般に大きく異なるので、半導体パッケージは撓み易いが、チップ部品のパッド形成面の緩衝性や弾性が高いので、チップ部品の接合部の安定性は保たれる。
【0020】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、
前記チップ部品は、平面視で四角形の外形を有し、前記四角形の4辺が前記バンプの配列方向に対して斜めになる向きに搭載されていることが好ましい。これにより、インターポーザに形成されるバンプの数を大きく減らすことなく、チップ部品付きの半導体パッケージを構成できる。
【0021】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかにおいて、
前記チップ部品の前記パッドは平面視で矩形であり、前記矩形の各辺が前記バンプの配列方向に沿う向きに形成されていることが好ましい。これにより、インターポーザの複数のランドのうち、チップ部品のパッドが接続されるランドと、バンプが設けられるランドとの間隔を確保しやすく、且つチップ部品のパッドが接続されるランドの面積を確保しやすい。
【0022】
(8)上記
(6)において、
前記チップ部品の前記パッドは平面視で前記外形の角部に配置されていることが好ましい。これにより、チップ部品の外形サイズが小さくても、パッド間の距離を確保でき、インターポーザへの搭載が容易である。
【0023】
(9)本発明の半導体パッケージの実装構造は、
プリント配線板と前記プリント配線板に実装される半導体パッケージとを含み、
前記半導体パッケージは、
インターポーザと、前記インターポーザの第1面に搭載された半導体素子と、前記インターポーザの第2面に形成されたバンプと、前記インターポーザの前記第2面に搭載されたチップ部品と、
を備え、
前記インターポーザはシリコンインターポーザであり、
前記半導体素子は前記インターポーザの第1面にフリップチップ実装され、
前記チップ部品は、シリコン基板上に薄膜プロセスで素子が形成され、単一面にパッドが形成される薄膜受動素子であり、
前記チップ部品の前記パッドは、前記インターポーザの第2面に形成されたランドに導電性接合材を介して接続され、
前記チップ部品と前記プリント配線板との間で、前記プリント配線板に実装される表面実装部品を備える、
ことを特徴とする。
【0024】
上記構成により、インターポーザとチップ部品との間の接合信頼性を確保でき、且つ小型・高密度で電気的特性に優れた回路が構成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、半導体パッケージのインターポーザとチップ部品との間の接合信頼性を確保し、小型・高密度で電気的特性に優れた半導体パッケージおよび半導体パッケージの実装構造が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係る半導体パッケージ101およびその実装構造201を示す断面図である。
【0028】
半導体パッケージ101は、インターポーザ1と、インターポーザ1の第1面(
図1に示す向きで上面)に搭載された半導体素子2と、インターポーザ1の第2面に形成されたバンプ3と、インターポーザ1の第2面に搭載されたチップ部品10と、を備える。
【0029】
インターポーザ1はシリコン製のインターポーザである。例えばSi単結晶体またはSiガラスで構成されている。このインターポーザ1の第1面には半導体素子2を実装するためのランドが形成される。
【0030】
半導体素子2はウエハーから切り分けられたダイである。この半導体素子2はインターポーザ1の第1面に例えばフリップチップ実装される。また、半導体素子2はインターポーザ1の第1面を覆う封止樹脂4で封止される。封止樹脂4は例えばエポキシ樹脂である。
【0031】
インターポーザ1の第2面には、はんだボールを設けるための複数のランドが形成され、これらランドにはんだボールがはんだボールマウンタにより実装されることで、バンプ3が形成される。また、インターポーザ1の第2面には、チップ部品10を搭載するためのランドが形成され、これらランドにチップ部品10が搭載される。
【0032】
半導体パッケージ101は、そのバンプ3がプリント配線板6上のランド7に接合されることで実装される。
【0033】
図2は、インターポーザ1に対するチップ部品10の搭載部の構造を示す断面図である。チップ部品10は表面実装可能に構成された薄膜受動素子である。本実施形態では薄膜キャパシタであり、バイパスコンデンサ(デカップリングコンデンサ)として使用される。チップ部品10はシリコン基板上に薄膜プロセスでキャパシタが形成され、単一面(実装面)の外径寸法内にパッド43,44が形成される。チップ部品10のパッド43,44は、はんだ等の導電性接合材9を介して、インターポーザ1の第2面に形成されるランド53,54に接続される。
【0034】
図1に表れる半導体素子2は例えばCPU(Central Processing Unit)やAPU(Application Processing Unit)等のプロセッサユニットである。インターポーザ1は、半導体素子2とチップ部品10とを直接的に導通させるスルーホール8を備える。つまり、本実施形態では、半導体素子2側の端子とチップ部品10側の端子が、引回し用の面内パターンを介さずに、接続されている。このスルーホール8は、例えば反応性イオンエッチング(RIE)(特に深掘りRIE)で貫通孔を形成し、その内面にCuスパッタリングおよびCuめっきすることにより形成される。
【0035】
上記導電性接合材9をはんだで構成する場合は、インターポーザ1の第2面に形成されるランド53,54等は、Ti/Cu/Tiの配線層の表面にNiめっき膜、Auめっき膜を順次設けた構成であり、インターポーザ1のランド53,54またはチップ部品10のパッド43,44にはんだボールを搭載し、リフロー工程によりはんだ付けする。また、導電性接合材9をAuバンプで構成する場合も、インターポーザ1の第2面に形成されるランド53,54等は、Ti/Cu/Tiの配線層の表面にNiめっき膜、Auめっき膜を順次設けた構成(ただしAuめっき膜は上記のめっき膜より厚い)であり、インターポーザ1に対してチップ部品10を超音波接合法によりAu-Au接合する。チップ部品10は、ランド53等を介さず、スルーホール8の端面に直接的に接続してもよい。
【0036】
上記構成により、半導体素子2からチップ部品(バイパスコンデンサ)10までの電流経路長が短いので、ESLが小さく、ノイズ低減効果が高い。また、比較的低容量のコンデンサでよく、コンデンサ単体でのESLがそれほど小さくなくてよい。
【0037】
上記チップ部品10を備えることにより、ドッグボーン型の端子構造を持つMLCCを用いる場合に比べて、隣接するバンプ(はんだボール)3とのギャップを小さくできるので、高密度にバンプ(はんだボール)を配置したパッケージに適合する。また、チップ部品10のパッド43,44はインターポーザ1に対向する面にのみ形成されるので、半導体パッケージ101の実装先であるプリント配線板6の配線とチップ部品10との間でショートのリスクは無い。また、MLCCに比べて、チップ部品10は素体がシリコン基板であるので、素体の誘電率は低く(比誘電率10〜11程度)、プリント配線板6の配線とチップ部品10との間に生じる浮遊容量は小さい。
【0038】
図3はインターポーザ1の第2面の平面図である。インターポーザ1の第2面にはバンプ3が格子状に配列形成される。また、インターポーザ1の第2面には、バンプ3の配列範囲内の一部(バンプ3の一部を取り除いたような領域)にチップ部品搭載用のランド53,54が配置される。このランド53,54にチップ部品10のパッド43,44が導電性接合材9を介して接続される。この構成により、半導体パッケージ101の(インターポーザ1の)バンプの格子状配列を乱すことなく、および実装先であるプリント配線板のパッドの格子状配列を乱すこともなく、チップ部品10を配置できる。そして半導体パッケージ101は通常のBGA型の半導体パッケージとして扱うことができる。
【0039】
次に、上記チップ部品10の構成について
図4〜6を参照して説明する。
【0040】
図4はチップ部品10のパッド形成面側の外観斜視図である。チップ部品10は、単一面(
図4に示す向きで上面)に入出力用のパッド43,44が形成される。つまり、このチップ部品はLGA型の端子電極を持った表面実装部品である。
【0041】
図5はチップ部品10のパッド形成面側の平面図である。
図6は
図5に示すA−A部分の断面図である。
【0042】
チップ部品10は、薄膜キャパシタ素子であり、基板11と、密着層13と、容量部20と、保護層30と、を備える。
【0043】
基板11の材質として例えばSi単結晶基板が挙げられる。基板11の表面には酸化物層12が形成されることが好ましい。酸化物層12は基板11と密着層13の相互拡散を防ぐ目的で設けられる。酸化物層12は、例えば基板11を熱処理することによって形成される。
【0044】
密着層13は基板11の一方の主面の上に形成される。密着層13は、基板11の酸化物層12と下部電極層21との密着性を確保する。
【0045】
容量部20は下部電極層21、誘電体層22、上部電極層23を有する。下部電極層21は密着層13上に形成される。誘電体層22は下部電極層21上に形成される。また、上部電極層23は誘電体層22上に形成される。
【0046】
下部電極層21および上部電極層23には、導電性を有する金属材料が用いられる。具体的には、導電性が良好で耐酸化性に優れた高融点の貴金属(例えば、AuやPt)が好ましい。
【0047】
誘電体層22には、誘電体材料が用いられる。誘電体材料の例としては、(Ba,Sr)TiO
3,SrTiO
3,BaTiO
3やPb(Zr,Ti)O
3,SrBi
4Ti
4O
15等のビスマス層状化合物が挙げられる。
【0048】
また、上部電極層23の上には、無機絶縁層24が設けられる。無機絶縁層24は、上部電極層23と保護層30との密着性を向上させるために設けられる。
【0049】
保護層30は、容量部20と無機絶縁層24を被覆するように形成される。保護層30は、容量部20への水分の浸入を防ぐために形成される。保護層30は、無機保護層31と有機保護層33とを有する。無機保護層31の材質の例としてSiNx,SiO
2,Al
2O
3,TiO
2が挙げられる。また、有機保護層33の材質の例としてポリイミド樹脂やエポキシ樹脂が挙げられる。
【0050】
本実施形態では、密着層13の端部が無機保護層31から露出する。すなわち、無機保護層31と基板11との間に密着層13が介在するため、密着層13は無機保護層31と基板11との剥離を防ぐ。
【0051】
パッド43は、引出電極41を介して下部電極層21と電気的に接続される。引出電極41は、誘電体層22、無機保護層31および有機保護層33を貫通して形成される。引出電極41は有機保護層33の上部に延伸される。また、パッド44は、引出電極42を介して上部電極層23と電気的に接続される。引出電極42は、無機絶縁層24、無機保護層31および有機保護層33を貫通して形成される。また、引出電極42は有機保護層33の上部に延伸される。
【0052】
パッド43,44は、例えば下層Niと上層Auの二層構造で構成される。また、引出電極41,42は、例えば下層Tiと上層Cuの二層構造で構成される。
【0053】
本実施形態では、金属膜45が保護層30の端部の少なくとも一部に形成される。金属膜45は密着層13と接触することが好ましい。すなわち、密着層13は金属膜45と接触する位置まで延伸する。この金属膜45の存在により、保護層30と基板11との間の欠陥への水分の浸入が防止される。
【0054】
また、金属膜45は、無機保護層31と有機保護層33との界面の外周部を被覆するように形成されることが好ましい。これにより、無機保護層31と有機保護層33との界面への外周部からの水分の浸入が防止される。
【0055】
金属膜45は、例えば下層Tiと上層Cuの二層構造で構成される。
【0056】
有機絶縁層34は、無機保護層31および有機保護層33と、引出電極41,42と、金属膜45と、を被覆するように形成される。そして、パッド43,44がチップ部品10の表面に露出するように形成される。有機絶縁層34の材質は例えばポリイミド樹脂やエポキシ樹脂である。
【0057】
このように、チップ部品10のパッド43,44の形成面に、樹脂層である有機絶縁層34を有する。これにより、チップ部品10のパッド43,44の形成面の緩衝性や弾性が高いので、半導体パッケージが撓んでも、チップ部品の接合部に加わる応力を抑制できる。特に、半導体素子2はインターポーザ1の第1面を覆う封止樹脂4で封止される場合に、インターポーザ1を構成するシリコン基板と封止樹脂であるエポキシ樹脂との線膨張率は一般に大きく異なるので、半導体パッケージ101は撓み易い。しかし、チップ部品10のパッド形成面の緩衝性や弾性が高いので、チップ部品10の接合部の安定性は保たれる。
【0058】
本実施形態では、チップ部品10を薄膜プロセスにより形成しているので、チップ部品10を低背化することができ、チップ部品をインターポーザ1とプリント配線板6との間のわずかなスペースに配置するのに好適である。つまり、チップ部品10の実装後の高さ(たとえば30〜90μm)をバンプ3の高さ寸法(たとえば100μm)以下にすることができる。
【0059】
また、チップ部品10はインターポーザ1と同様、シリコン基板を使用しているため、両者の線膨張係数が実質的に一致し、よって、熱サイクルに対してチップ部品10とインターポーザ1の膨張・収縮挙動が一致するので、実装信頼性が高い。
【0060】
更に、チップ部品10は単一面にパッドが形成された端子構造を有しているので、チップ部品10の側面に電極は無く、また、薄膜プロセスで形成される部品であるので、チップ部品10の外形寸法はインターポーザ1のバンプの配列寸法精度を下回ることはなく、バンプの抜き個数(格子状配列されるバンプの一部を取り除いた配置パターンの、その取り除くバンプの数)を減らすことができる。
【0061】
《第2の実施形態》
図7は第2の実施形態に係る半導体パッケージの実装構造202を示す断面図である。
図8は第2の実施形態に係る半導体パッケージの実装構造の主要部の断面図である。
図8に示す部分は第1の実施形態で示される
図2に対応する部分である。
【0062】
第1の実施形態で示される半導体パッケージの実装構造と異なり、第2の実施形態の半導体パッケージの実装構造は、チップ部品10とプリント配線板6との間で、プリント配線板6に表面実装部品60が実装される。
【0063】
この表面実装部品60は、
図8に表れるように、ドッグボーン型の端子構造を持つ積層型セラミックコンデンサ(MLCC)である。この表面実装部品60もバイパスコンデンサとして使用される。この表面実装部品60はチップ部品10に比べてESLは大きいが、高容量のキャパシタである。また、半導体素子2と表面実装部品60との間の経路長は比較的長いので、その経路を含めたESLは大きい。しかし、表面実装部品60は比較的高容量のキャパシタであるので、表面実装部品60は低周波数のノイズを効果的に抑制するバイパスコンデンサとして作用する。一方、チップ部品10は比較的低容量のキャパシタであっても、ESLが小さいので、高周波数のノイズを効果的に抑制するバイパスコンデンサとして作用する。この表面実装部品として、チップ部品10と同様に、薄膜キャパシタ素子を利用してもよい。
【0064】
チップ部品10は、そのプリント配線板6側の表面が絶縁体であるので、このチップ部品10と表面実装部品60の間隙が非常に狭くても、電気的には問題がない。また、チップ部品10および表面実装部品60を破損しない程度に当接しても短絡することはない。
【0065】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、特にチップ部品の構成および、そのチップ部品のインターポーザへの搭載構造について示す。
【0066】
図9(A)は、本実施形態に係る半導体パッケージ103のインターポーザ1の第2面の平面図である。
図9(B)は
図9(A)におけるA−A部分の断面図である。
【0067】
インターポーザ1の第2面にはバンプ3が格子状に配列形成される。また、インターポーザ1の第2面には、バンプ3の配列範囲内の一部(バンプ3の一部を取り除いたような領域)にチップ部品10搭載用のランド53,54が配置される。このランド53,54にチップ部品10のパッド43,44が導電性接合材9を介して接続される。
【0068】
チップ部品10は、平面視で四角形の外形を有し、この四角形の4辺がバンプ3の配列方向に対して斜めになる向きに搭載される。その他の構成は第1の実施形態で示したとおりである。
【0069】
図10(A)はチップ部品10の斜視図であり、
図10(B)はチップ部品10の平面図である。また、
図10(C)はチップ部品10を切り出す前のウエハーの平面図である。
【0070】
チップ部品10は、シリコン基板(ウエハー)から切り出されたものである。すなわち、シリコン基板10Wに、薄膜キャパシタ等の複数のチップ部品用の回路が薄膜プロセスで形成され、最終的にダイシングにより複数のチップ部品10に分離される。
【0071】
チップ部品10は、平面視で四角形の外形を有し、チップ部品10のパッド43,44は平面視で外形の角部に配置されている。
【0072】
図9において縦横に引いた複数の破線は、インターポーザのバンプ3の配列方向を示している。
図9に表れるように、チップ部品10は、平面視で四角形の外形を有し、この四角形の4辺がバンプ3の配列方向に対して斜めになる向きに搭載される。また、チップ部品10のパッド43,44は平面視で外形の角部に配置されている。さらに、チップ部品10のパッド43,44は平面視で矩形であり、この矩形の各辺がバンプ3の配列方向に沿う向きに形成されている。
【0073】
なお、チップ部品10は薄膜キャパシタ等の受動素子に限らず、トランジスタ等の能動素子や、それらを含む集積回路であっても同様に適用できる。
【0074】
本実施形態によれば、半導体パッケージ103の(インターポーザ1の)バンプの格子状配列を乱すことなく、および実装先であるプリント配線板のパッドの格子状配列を乱すこともなく、チップ部品10を配置できる。そして半導体パッケージ103は通常のBGA型の半導体パッケージとして扱うことができる。特に、チップ部品10は、平面視で四角形の外形を有し、この四角形の4辺がバンプ3の配列方向に対して斜めになる向きに搭載されるので、インターポーザ1に配列されるバンプの数を大きく減らすことなく、チップ部品付きの半導体パッケージを構成できる。
【0075】
ここで、比較例に係る半導体パッケージの実装構造を
図12(A)(B)に示す。
図12(A)はインターポーザ1の第2面の平面図である。
図12(B)は
図12(A)におけるA−A部分の断面図である。
【0076】
この比較例では、両端の5面にそれぞれ電極が形成された、いわゆるドッグボーン型の端子構造を有するチップ部品90が搭載される。チップ部品の平面積は、
図9に示したチップ部員10の平面積と同じである。
図12(A)(B)に示す比較例では、6個分のバンプを取り除いて、その領域にチップ部品の搭載用のランド等を形成する必要がある。
【0077】
これに対し、
図9(A)(B)に示した本実施形態の半導体パッケージ103では、インターポーザ10の5個分のバンプを取り除いたような領域を設けるだけでよい。これにより、インターポーザに形成されるバンプの数を大きく減らすことなく、チップ部品付きの半導体パッケージを構成できる。
【0078】
また、本実施形態では、チップ部品10のパッド43,44は平面視で矩形であり、この矩形の各辺がバンプ3の配列方向に沿う向きに形成されている。これにより、インターポーザ1の複数のランドのうち、チップ部品10のパッド43,44が接続されるランド53,54と、バンプが設けられるランドとの間隔を確保しやすく、且つチップ部品10のパッド43,44が接続されるランド53,54の面積を確保しやすい。
【0079】
また、本実施形態では、チップ部品10のパッド43,44は平面視で外形の角部に配置されている。これにより、チップ部品10の外形サイズが小さくても、パッド43−44間の距離を確保でき、インターポーザ1への搭載が容易である。
【0080】
なお、チップ部品10のパッドは2つである場合には、
図9(A)(B)に示すように、対向する角部にそれぞれ配置されることが好ましい。しかし、チップ部品10のパッドは3つ以上であってもよい。
【0081】
《第4の実施形態》
図11(A)(B)は第4の実施形態に係る半導体パッケージ104の実装構造を示す図である。チップ部品10の形状が第3の実施形態と異なる。本実施形態では、チップ部品10の平面形状は菱形である。チップ部品は、半導体基板から切り出す際の面積効率を考慮すると、基本的に四角形であることが好ましいが、矩形であることに限らない。本実施形態のように、チップ部品の平面形状は菱形や平行四辺形であってもよい。本発明においてはチップ部品は薄膜素子であり、特に薄膜素子をウエハーから切り出す方法で形成する場合には、矩形に限らず様々な形状とすることができる。そのため、搭載するインターポーザのパッド配置等を考慮して、適切な形状を選択することができる。
【0082】
なお、
図1、
図7では、インターポーザ1に1つの半導体素子2が搭載された例を示したが、インターポーザ1上に複数の半導体素子が搭載されてもよい。
【0083】
また、以上に示した実施形態ではチップ部品10は薄膜キャパシタであったが、シリコン基板上に薄膜プロセスで素子が形成され、単一面にパッドが形成される薄膜受動素子であれば同様に適用できる。例えば、薄膜インダクタや薄膜抵抗素子でも同様に適用できる。
【0084】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能であることは明らかである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。