特許第5994976号(P5994976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5994976
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】車両の表示制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20160908BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   B60R16/02 640K
   B60K35/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-130699(P2012-130699)
(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2013-252825(P2013-252825A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080056
【弁理士】
【氏名又は名称】西郷 義美
(72)【発明者】
【氏名】内藤 修一
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−126341(JP,A)
【文献】 特開2009−101861(JP,A)
【文献】 特開平09−323567(JP,A)
【文献】 特開2001−078304(JP,A)
【文献】 特開2010−083276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の実走行に基づく燃料消費に応じて低燃費の度合いをエコ運転度として表示する車両の表示制御装置において、並びによって特定の用語を示すキャラクタを表示する複数のキャラクタエリアを有する表示部を備え、前記表示制御装置は、車両のドライビングサイクルの開始および終了を判定するドライビングサイクル判定部と、今回のドライビングサイクルにおける燃料消費に応じてエコ運転度を点数として演算するエコ運転度演算部と、過去のドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数を記憶保存するエコ運転度記憶部と、前記複数のキャラクタエリアの各キャラクタの完成された表示を一定回数だけ点滅させて前記表示部に表示させ、前記複数のキャラクタエリアの並びに対して今回から過去にわたるドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数を時系列に割り当て、各点数を前記複数のキャラクタエリアの各キャラクタの完成度に当て嵌めて前記表示部に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする車両の表示制御装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記特定の用語を、経済性を表す用語あるいは自然や環境保護を示し、あるいは想起させる用語に設定し、前記複数のキャラクタエリアを前記設定された特定の用語の各キャラクタを示すドット表示またはセグメント表示とし、前記各キャラクタの完成度をドットの数またはセグメントの数に対応させて表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記特定の用語をECOに設定したことを特徴とする請求項2に記載の車両の表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両の表示制御装置に係り、特に、燃費を重視した車両全般において、運転者に燃費向上の運転を促すことができる車両の表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時は、燃費に関する意識が高まってきており、低燃費の度合いをエコ運転度として表示する車両の表示制御装置が提案されている。
従来の車両の表示制御装置には、エコ運転を継続すると若葉の絵が次第に増えるように表示する技術(特開2010−85483号公報)、エコ運転をどれだけ累積したかを表示する技術(特開2008−55963号公報)、燃料消費量の大小の変化を相対的に表示する技術(特許第2961660号公報)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−85483号公報
【特許文献2】特開2008−55963号公報
【特許文献3】特許第2961660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の車両の表示制御装置には、複数のドライビングサイクル(エンジン始動、運行状態及びエンジン停止状態を各1回含む期間)にわたる中長期間の平均燃費を表示するものはある。また、従来の車両の表示制御装置には、実際の運転における燃費判定結果の表示をインジケータの点灯・消灯やレベル表示としたものがある。
しかし、表示がインジケータの点灯・消灯の切り替えだけの形態では、判定結果は明確にわかるが、判定基準が複数の条件の総合判断であるというように単純明快でない場合は結果から要因が類推できないため、運転者がエコ運転を継続するというモチベーションを保ち難いという不都合がある。
また、表示をレベル表示にした場合、短時間の逐次判定とすればエコ運転の向上・低下の傾向を把握し易くできるが、悪い状態があっても短持間で良い状態に更新されることもある為、実際の結果としての燃費とエコ運転を行っているイメージとのギャップが生じ易い不都合がある。一方、長時間にわたる判定とした場合、短時間で悪い状態から良い状態に更新された要因が結果から類推できないため、運転者がエコ運転のモチベーションを保ち難いという不都合がある。
よって、履歴を含めて要因を類推し易くし、モチベーションを保てるような表示が望ましい。また、利便性を高める表示であるので、過度に趣味的な意匠を凝るよりも、表示内容の意味を把握し易い表示が望ましい。さらに、保安に関わる必須機能の表示ではないので、過度なパフォーマンスを与える必要もない。
このため、従来の表示制御装置においては、エコ運転を促すために重要であるエコ運転のモチベーションを保つことが難しく、また、エコ運転ができているイメージをわかりやすくするためには、表示に要するパネルの面積が広くなってしまう欠点がある。
【0005】
この発明は、運転者にエコ運転度を容易に認識させることができ、運転者にエコ運転度を過去を合めた履歴として容易に認識させることができ、数回のドライビンダサイクルにわたって自ら改善させることもでき、運転者のエコ運転に対するモチベーションを高めて継続させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車両の実走行に基づく燃料消費に応じて低燃費の度合いをエコ運転度として表示する車両の表示制御装置において、並びによって特定の用語を示すキャラクタを表示する複数のキャラクタエリアを有する表示部を備え、前記表示制御装置は、車両のドライビングサイクルの開始および終了を判定するドライビングサイクル判定部と、今回のドライビングサイクルにおける燃料消費に応じてエコ運転度を点数として演算するエコ運転度演算部と、過去のドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数を記憶保存するエコ運転度記憶部と、前記複数のキャラクタエリアの各キャラクタの完成された表示を一定回数だけ点滅させて前記表示部に表示させ、前記複数のキャラクタエリアの並びに対して今回から過去にわたるドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数を時系列に割り当て、各点数を前記複数のキャラクタエリアの各キャラクタの完成度に当て嵌めて前記表示部に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、車両の低燃費の度合いを用語のキャラクタの完成度として表示するので、運転者にエコ運転度を容易に認識させることができ、同時にエコ運転度の点数を時系列で表示するので、運転者にエコ運転度を過去を合めた履歴として容易に認識させることができる。
このため、運転者にそのようなエコ運転度の評価や履歴を認識させた上で、各キャラクタの完成度だけでなく用語の完成度を高めるような意識を働かさせることができ、数回のドライビンダサイクルにわたって自ら改善させることもでき、改善が容易に理解できる為、運転者のエコ運転に対するモチベーションを高めて継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は車両の表示制御装置のシステム構成図である。(実施例)
図2図2はキャラクタエリアのドット表示を示す図である。(実施例)
図3図3はキャラクタエリアのドット表示遷移を説明する図である。(実施例)
図4図4は車両の表示制御装置の制御フローチャートである。(実施例)
図5図5はキャラクタエリアの7セグメント表示を示す図である。(実施例)
図6図6はキャラクタエリアの7セグメント表示遷移を説明する図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
図1図4は、この発明の実施例を示すものである。図1において、1は車両の表示制御装置である。表示制御装置1は、車両の実走行に基づく燃料消費に応じて低燃費の度合いをエコ運転度として表示する表示部2を備えている。表示部2は、車両の表示装置3に設けられている。車両の表示装置3は、車速表示部4や機関回転数表示部5などを備えている。
表示制御装置1の表示部2は、並びによって特定の用語を示すキャラクタ(文字)を表示する複数のキャラクタエリアを有している。この実施例の表示部2は、前記特定の用語を、経済性を表す用語あるいは自然や環境保護を示し、あるいは想起させる用語として、「ECO」に設定している。これより、表示部2は、並びによって特定の用語を示す「ECO」の、各キャラクタ「E」、「C」、「O」をそれぞれ表示する複数のキャラクタエリア6、7、8を有している。表示部2は、図2に示すように、複数のキャラクタエリア6、7、8をドット表示とし、設定された特定の用語「ECO」の各キャラクタ「E」、「C」、「O」をドットで表示する。
前記表示制御装置1は、ドライビングサイクル判定部9と、エコ運転度演算部10と、エコ運転度記憶部11と、表示制御部12と、を備えている。
前記ドライビングサイクル判定部9は、イグニッションスイッチ13から入力するON・OFF信号により車両のドライビングサイクルの開始および終了を判定する。ここで言うドライビングサイクルの開始とは、イグニッションスイッチ13がOFFかつエンジンが冷機状態から、イグニッションスイッチ13がONかつエンジンが暖機されて一定以上のエンジン冷却水温になったときを示す。なお、ドライビングサイクルは、イグニッションスイッチ13のON・OFFの経験や、車両ドアの開閉、車両の走行した距離などから、任意に判定しても良い。
【0011】
前記エコ運転度演算部10は、例えば、エンジン制御装置や車両制御装置など演算情報保持部14から燃料消費量や走行距離、あるいは燃料消費率などのエコ運転度演算情報を取得し、ドライビングサイクル判定部9によりドライビングサイクルの終了が判定された時点で、今回のドライビングサイクルにおける燃料消費に応じてエコ運転度を点数として演算する。
このエコ運転度演算部10は、実際の走行に対するエコ運転度を、燃料消費から経済性の高さ、即ち、より低燃費であることによって判定する。エコ運転度の採点は、良好とみなせる目標平均燃費に対する実燃費の偏差を、予め偏差に応じた点数として設定してテーブル化しておき、実際の走行時に、目標平均燃費に対する実燃費の偏差を、テーブル参照して点数を算出する。あるいは、長短時間の評価などを含む複数の条件を設定して個別に採点し、総合評価の採点をすることも可能である。
前記エコ運転度記憶部11は、イグニッションスイッチ13のOFF時に、ドライビングサイクル判定部9によりドライビングサイクルの終了が判定されると、エコ運転度演算部10により演算された今回のドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数を記憶保存するとともに、前回、前々回に当たる過去のドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数を記憶保存する。
【0012】
前記表示制御部12は、複数のキャラクタエリア6、7、8の並びに対して、今回から過去にわたるドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数を時系列に割り当て、図3に示すように、時系列に割り当てた各点数を、キャラクタエリア6、7、8の各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度に当て嵌めて表示部2に表示させる。表示部2は、各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度を、ドットの数に対応させて表示する。
表示制御部12は、この特定の用語の「ECO」を構成するキャラクタ(文字)の、「E」と「C」と「O」とに対して、それぞれ今回ドライビングサイクル燃費判定時点数、前回ドライビングサイクル燃費判定時点数、前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数を割り当て、それらの並び順に時系列の意味を与えている。キャラクタの「E」と「C」と「O」とのそれぞれについては、各ドライビングサイクル燃費の評価をキャラクタの完成度で示すことになる。
【0013】
図3において、(A)は、
・前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数が30点
・前回ドライビングサイクル燃費判定時点数が60点
・今回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
の場合を示している。
図3において、(B)は、
・前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・前回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・今回ドライビングサイクル燃費判定時点数が20点
の場合を示している。
図3において、(C)は、
・前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・前回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・今回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
の場合を示している。
図3において、(D)は、
・前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・前回ドライビングサイクル燃費判定時点数が0点
・今回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
の場合を示している。
【0014】
図3に示すように、一番左のキャラクタ「E」は、今回のドライビングサイクル中の現時点までの積算エコ運転度を示すものであり、エコ運転ができていればキャラクタ「E」が全て表示される。逆に、全くエコ運転ができていなければ、キャラクタ「E」が表示されない。また、中央のキャラクタ「C」は、前回のドライビンクサイクルにおけるエコ運転度を示し、一番右のキャラクタ「O」は、更にその前(前々回)のドライビングサイクルにおけるエコ運転度を示している。
図3においては、エコ運転度を100点満点の点数に換算した後、各キャラクタ「E」、「C」、「O」におけるドット数に応じて切り分ける。例えば、キャラクタ「E」の表示に使用されているドット(図中の黒丸)数が100個の場合、ドット1個が1点を示すこととなる。これより、100÷(ドット数)に相当する点数を超える毎に、ドットの表示を一つ増やすことになる。
表示制御装置1は、時系列の意味を持つ各キャラクタ「E」、「C」、「O」の並びと各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度とによって、比較的長い時間となる3回のドライビングサイクルにおけるエコ運転度の履歴を、前記表示部2の各キャラクタエリア6、7、8に総合的にかつ時系列により表示する。
表示制御装置1は、図2に示すように、現在のドライビングサイクルの時点において、今回のドライビングサイクル中の現時点までの積算エコ運転度から今回ドライビングサイクル燃費判定時点数をキャラクタ「E」に割り当てて表示し、前回ドライビングサイクル燃費判定時点数をキャラクタ「C」に割り当てて表示し、前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数をキャラクタ「O」に割り当て割り当てて表示する。
次回のドライビングサイクルの時点においては、それぞれ次回のドライビングサイクル中の現時点までの積算エコ運転度から今回ドライビングサイクル燃費判定時点数をキャラクタ「E」に割り当てて表示し、前回における今回ドライビングサイクル燃費判定時点数を前回ドライビングサイクル燃費判定時点数としてキャラクタ「C」に割り当てて表示し、前回における前回ドライビングサイクル燃費判定時点数を前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数としてキャラクタ「O」に割り当てて表示する。
【0015】
次に、車両の表示制御装置1による特定の用語の表示制御を説明する。
図4に示すように、表示制御装置1は、制御のプログラムがスタートすると(S01)、各種情報を表示制御部12に入力し(S02)、今回ドライビングサイクル燃費判定時点数の算出条件が成立したかを判断する(S03)。
前記情報の入力(S02)においては、イグニッションスイッチ13のON・OFF信号、ドライビングサイクル判定部9により判定されたドライビングサイクルの開始・終了の判定結果、エコ運転度演算部10により演算された今回のドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数、エコ運転度記憶部11に記憶された過去のドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数などを取得する。
前記算出条件成立の判断(S03)においては、ドライビングサイクル判定部9によりドライビングサイクルの開始が判定された場合に、算出条件成立と判断する。
この判断(S03)がYESの場合は、エコ運転度演算部10により今回のドライビングサイクル中の現時点までの積算エコ運転度から、今回のドライビングサイクルにおける燃料消費に応じたエコ運転度を点数として演算し(S04)、この演算(S04)により得たエコ運転度の点数とエコ運転度記憶部11に記憶された過去の前回ドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数と前々回ドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数とを、それぞれ表示部2の各キャラクタ「E」、「C」、「O」を表示するキャラクタエリア6、7、8に当て嵌めて表示する(S05)。
前記判断(S03)がNOの場合は、今回のドライビングサイクル中において現時点以前に演算されたエコ運転度の点数とエコ運転度記憶部11に記憶された過去の前回ドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数と前々回ドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数とを、それぞれ表示部2の各キャラクタ「E」、「C」、「O」を表示するキャラクタエリア6、7、8に当て嵌めて表示する(S05)。
次いで、今回ドライビングサイクル燃費判定時点数の算出の終了条件が成立したかを判断する(S06)。算出終了条件成立の判断(S06)においては、ドライビングサイクル判定部9によりドライビングサイクルの終了が判定された場合に、算出終了条件成立と判断する。
この判断(S06)がYESの場合は、エコ運転度演算部10により算出された最終の今回ドライビングサイクル燃費判定時点数を前回ドライビングサイクル燃費判定時点数にずらしてエコ運転度記憶部11に記憶し、前回ドライビングサイクル燃費判定時点数を前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数にずらしてエコ運転度記憶部11に記憶し、プログラムをエンドにする(S07)。
この判断(S06)がNOの場合は、各種情報の入力し(S02)に戻る。
【0016】
このように、表示制御装置1は、車両の低燃費の度合いを用語「ECO」の各キャラクタ「E」、「C」、「O」を表示する完成度として表示するので、運転者にエコ運転度を容易に認識させることができ、同時にエコ運転度の点数を時系列で表示するので、運転者にエコ運転度を過去を合めた履歴として容易に認識させることができる。
このため、表示制御装置1は、運転者にそのようなエコ運転度の評価や履歴を認識させた上で、各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度だけでなく用語「ECO」の完成度を高めるような意識を働かさせることができ、数回のドライビングサイクルにわたって自ら改善させることもでき、改善が容易に理解できる為、運転者のエコ運転に対するモチベーションを高めて継続させることができる。
また、表示部2は、特定の用語を、経済性を表す用語あるいは自然や環境保護を示し、あるいは想起させる用語「ECO」に設定し、複数のキャラクタエリア6、7、8を設定された特定の用語「ECO」の各キャラクタ「E」、「C」、「O」を示すドット表示とし、各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度をドットの数に対応させて表示している。
これにより、表示制御装置1は、エコ運転度の点数を経済性あるいは自然や環境保護を表す用語「ECO」の各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度に当て嵌めてドット表示するので、新たにエコ運転度を表示する専用の意匠を用意しなくても、既にドット表示のエリアを備えた表示装置を搭載する車両であれば、その表示装置の表示機能で対応して表示することができる。
さらに、表示部2は、特定の用語を経済性および自然や環境保護を示したり想起させたりする3文字の「ECO」に設定しているので、最小の文字数で特定の用語を表すことができ、表示に要する面積を狭くすることができ、省スペースである。
さらにまた、表示制御装置1は、時系列の意味を持つ各キャラクタ「E」、「C」、「O」の並びと各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度とによって、比較的長い時間となる3回のドライビングサイクルにおけるエコ運転度の履歴を、前記表示部2の各キャラクタエリア6、7、8に総合的にかつ時系列により表示する。
これにより、運転者は、この並びとキャラクタの完成度によって比較的長い時間となる3回のドライビングサイクルの履歴を、総合的にも時系列にも把握することができる。
また、表示制御装置1は、イグニッションスイッチ13のON信号入力時に表示部2の「ECO」のドット表示を一定回数だけ点滅させ、その後、前述のようにエコ運転度に応じて「ECO」を表示するものとする。これにより、表示制御装置1は、運転者のエコ運転に対するモチベーションを高めることができる。
【0017】
なお、表示制御装置1は、最初回の起動時はエコ運転度を示す今回ドライビングサイクル燃費判定時点数、前回ドライビングサイクル燃費判定時点数、前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数をいずれも有していないので、予め最初回起動時のデフォルト値を設定しておき表示する。デフォルト値の設定は、それぞれの点数を100点、0点、50点などや、他の任意の値のいずれでも良く、必ずしも統一しなくて良い。
また、特定の用語の「ECO」とは、ここでは経済性を表すエコノミー(ECONOMY)の意味であるが、「ECO」には、エコノミーだけでなく、エコロジー(ECOLOGY)を含めた両方の意味が含まれる。低燃費ということは、走行距離に対する排出ガスが少なく環境負荷が少ないことに繋がるため、自然や環境保護を示したり想起させたりする別の用語を示すキャラクタ組を使用してもよい。例えば、別の特定の用語には、「GREEN」、「BLUE」、「LEAF」、「AQUA」、「SKY」、「WOODS」、「ECODRIVE」等があるが、これらに限らない。また、キャラクタ(文字)には、記号、アイコンを含めてもよい。
さらに、ドライビングサイクル判定部9は、他の制御装置(エンジン制御袋置や車両制御装置など)に搭載して相互通信等により受信することによって、ドライビングサイクルの開始・終了を判定するようにすることが可能である。
また、上述実施例では、特定の用語「ECO」の並びとキャラクタの完成度によってエコ運転度の点数を時系列で表示したが、特定の用語のキャラクタを色で表現することもできる。この場合、赤、橙、黄色、白、薄水色、水色、青色などの色並びに分け、赤色が最もエコ運転から遠く、青色がもっとエコ運転できていることを示すものとすることで、運転者に容易に認識させることができる。
【0018】
上述実施例においては、表示部2において、特定の用語「ECO」の各キャラクタ「E」、「C」、「O」をドット表示したが、図5図6に示すように、セグメント表示することもできる。
表示部2は、図5に示すように、複数のキャラクタエリア6、7、8を7セグメント表示とし、設定された特定の用語「ECO」の各キャラクタ「E」、「C」、「O」を7セグメントで表示する。
表示制御部12は、複数のキャラクタエリア6、7、8の並びに対して、今回から過去にわたるドライビングサイクルにおけるエコ運転度の点数を時系列に割り当て、図6に示すように、時系列に割り当てた各点数を、キャラクタエリア6、7、8の各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度に当て嵌めて、各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度を表示部2にセグメントの数に対応させて表示する。
【0019】
図6において、(A)は、
・前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数が30点
・前回ドライビングサイクル燃費判定時点数が60点
・今回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
の場合を示している。
図6において、(B)は、
・前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・前回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・今回ドライビングサイクル燃費判定時点数が20点
の場合を示している。
図6において、(C)は、
・前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・前回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・今回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
の場合を示している。
図6において、(D)は、
・前々回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
・前回ドライビングサイクル燃費判定時点数が0点
・今回ドライビングサイクル燃費判定時点数が100点
の場合を示している。
【0020】
図6に示すように、一番左のキャラクタ「E」は、今回のドライビングサイクル中の現時点までの積算エコ運転度を示すものであり、エコ運転ができていればキャラクタ「E」が全て表示される。逆に、全くエコ運転ができていなければ、キャラクタ「E」が表示されない。また、中央のキャラクタ「C」は、前回のドライビンクサイクルにおけるエコ運転度を示し、一番右のキャラクタ「O」は、更にその前(前々回)のドライビングサイクルにおけるエコ運転度を示している。
図6においては、エコ運転度を100点満点の点数に換算した後、各キャラクタ「E」、「C」、「O」におけるセグメントに応じて切り分ける。例えば、7セグメント表示では、例えば、「E」の場合、5セグメントあるため、1セグメントあたり20点の計算になる。従って、1〜20点までは1つのセグメント、21点から40点までは2つのセグメントを表示する。つまり、100÷(セグメント数)に相当する点数を超える毎に、セグメントの表示を一つ増やすことになる。
これにより、表示制御装置1は、時系列の意味を持つ各キャラクタ「E」、「C」、「O」の並びと各キャラクタ「E」、「C」、「O」の完成度とによって、比較的長い時間となる3回のドライビングサイクルにおけるエコ運転度の履歴を、前記表示部2の各キャラクタエリア6、7、8に総合的にかつ時系列により表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明は、運転者にエコ運転度を過去を合めた履歴として容易に認識させることができ、運転者のエコ運転に対するモチベーションを高めて継続させることができるものであり、駆動源としてエンジンやモータなどを搭載した車両全般(二輪車を含む)において利用することが可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 表示制御装置
2 表示部
3 表示装置
4 車速表示部
5 機関回転数表示部
6、7、8 キャラクタエリア
9 ドライビングサイクル判定部
10 エコ運転度演算部
11 エコ運転度記憶部
12 表示制御部
13 イグニッションスイッチ
14 演算情報保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6