【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、樹脂製や金属製のブラシを遮蔽具とするものでは、
・それらブラシによるスリット状開口の遮蔽で得られる気密性や水密性が低い
・移動する貫通部材の当接に対してブラシの耐久性が低くて破断し易く、ブラシの頻繁な交換が必要になる
・貫通部材の繰り返しの当接でブラシに形状的なクセが付き易くてクセが付くと元の形状に戻らず、そのことでスリット状開口の遮蔽が不完全になり易い
・破断したブラシ片がごみになる
などの問題があった。
【0008】
また、樹脂製の布材やシート材を遮蔽具とするものでは、
・移動する貫通部材の当接に対する耐久性が低くて破断し易く、頻繁な交換が必要になる
・貫通部材の繰り返しの当接で形状的なクセが付き易くてクセが付くと元の形状に戻らず、そのことでスリット状開口の遮蔽が不完全になり易い
などの問題があった。
【0009】
さらに、金属箔を遮蔽具とするものでは、
・移動する貫通部材の当接に対して金属箔の耐久性が低くて破断し易く、頻繁な交換が必要になる
・隣り合う金属箔どうしの重なりの関係で、貫通部材の移動を一方向きにしか許容することができない
・金属箔が損傷したとき、その損傷した金属箔が障害となり貫通部材の移動に支障を来し易い
・金属箔の製作や組み付けに高い精度が要求される
などの問題があった。
【0010】
そしてまた、隣り合うものをリンク機構により連動させる可動板を遮蔽具とするものでは、
・可動板が損傷したとき、その損傷した可動板が障害となり貫通部材の移動に支障を来し易い
・スリット状開口が水平方向に対して傾斜した斜め方向に延びる部分では、リンク機構により連結された可動板どうしが円滑に開閉動作せず使用することができない
・可動板の製作や組み付けに高い精度が要求される
などの問題があった。
【0011】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、垂下遮蔽具の合理化により上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1特徴構成は貫通部遮蔽構造に係り、その特徴は、
貫通部材を横向き姿勢で貫通させる開口を、水平方向に延びる又は水平方向に対して傾斜する斜め方向に延びるスリット状開口にし、
このスリット状開口の上縁部から垂下する遮蔽具を前記スリット状開口の延び方向に密に並べて配置することで、前記スリット状開口を前記遮蔽具により遮蔽した状態にするとともに、
この遮蔽状態において、前記スリット状開口に貫通させた前記貫通部材を、前記遮蔽具に対する当接により前記遮蔽具を順次に押し開きながら前記スリット状開口の延び方向に移動させる貫通部遮蔽構造であって、
前記遮蔽具としてゴム材製の短冊状シート部材を用い、
このゴム材製の短冊状シート部材を垂下状態で前記スリット状開口の延び方向に並べて配置するのに、
各短冊状シート部材を前記スリット状開口の開口面に沿う姿勢で前記スリット状開口の上縁部から垂下するとともに、各短冊状シート部材の横幅方向における左右一方側部分の表面に、その左右一方側の隣に位置する短冊状シート部材の横幅方向における左右他方側部分の裏面が重なる状態にして、それら短冊状シート部材を前記スリット状開口の延び方向に並べて配置してある点にある。
【0013】
この構成によれば、
図5に示すように、移動する貫通部材6aの当接に対して遮蔽具としてのゴム材製の短冊状シート部材8を、ゴム材が備える柔軟性と弾性とにより、しなやかにねじれ変形させて面接触状態ないしそれに近い接触状態(即ち、局部的に大きな力を受けない状態)で貫通部材6aに接触させることができ、これにより、移動する貫通部材6aと短冊状シート部材8との摺接に伴う摩擦抵抗を軽減した状態で、貫通部材6aの移動に伴い短冊状シート部材8を貫通部材6aにより円滑に持ち上げさせて貫通部材6aを円滑に通過移動させることができる。
【0014】
そして、この摩擦抵抗の軽減による円滑化と、ゴム材が備える弾性により短冊状シート部材8そのものが引きちぎりに対して高い耐性を備えることとが相俟って、短冊状シート部材8の破損を効果的に防止することができ、これにより、短冊状シート部材8の遮蔽具としての耐久性を高めることができる。
【0015】
また、各短冊状シート部材8の横幅方向における左右一方側部分の表面に、その左右一方側の隣に位置する短冊状シート部材8の横幅方向における左右他方側部分の裏面が重なる状態にしてあるから、貫通部材6aとの当接により先にねじれ変形して持ち上がった短冊状シート部材8を案内として、隣に位置する次の短冊状シート部材8のねじれ変形及び持ち上がりが連鎖的に円滑に行われ、このことからも、貫通部材6aの通過移動を円滑化するとともに短冊状シート部材8の遮蔽具としての耐久性を高めることができる。
【0016】
さらに、この重ね合わせ状態にして短冊状シート部材8を並置することで、スリット状開口7を気密性や水密性の高い状態で良好に遮蔽することができるとともに、貫通部材6aをスリット状開口7の延び方向において一方向き及び逆向きのいずれにも円滑に移動させることができ、また、スリット状開口7が水平方向に対して傾斜した斜め方向に延びる部分でも、スリット状開口7を良好に遮蔽した状態で貫通部材6aを一方向き及び逆向きのいずれにも円滑に移動させることができる。
【0017】
そしてまた、貫通部材6aの繰り返しの当接に対してもゴム材が備える弾性により短冊状シート部材8に形状的なクセが付きにくく、このことからもスリット状開口7を長期にわたり良好に遮蔽することができる。
【0018】
しかも、ゴム材製の短冊状シート部材8を垂下状態で並置するだけであるから、製作及び組み付けを容易にすることができるとともに、コストも安価にすることができ、また、ゴム材製の短冊状シート部材8であるから、仮に、それが破断し損傷したとしても貫通部材6aの移動に支障を来すことがない。
【0019】
即ち、これらの点で前述した従来の貫通部遮蔽構造に比べ実用性の面で一層優れた貫通部遮蔽構造とすることができる。
【0020】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
ゴム材製の前記短冊状シート部材の主素材をクロロプレンゴムにしてある点にある。
【0021】
この構成によれば、短冊状シート部材の遮蔽具としての耐久性を高く確保しながら、貫通部材の繰り返しの当接よる短冊状シート部材の形状的なクセ付きを一層効果的に防止することができる。
【0022】
本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
ゴム材製の前記短冊状シート部材を樹脂製繊維により補強してある点にある。
【0023】
この構成によれば、貫通部材の当接に対して短冊状シート部材をしなやかにねじれ変形させる機能を維持しながら、短冊状シート部材の遮蔽具としての耐久性を一層高めることができる。
【0024】
本発明の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
互いに隣り合う前記短冊状シート部材の横幅方向における重なり代を、前記短冊状シート部材の横幅寸法の1/2にしてある点にある。
【0025】
この構成によれば、貫通部材との当接によりねじれ変形して持ち上がった短冊状シート部材を隣に位置する次の短冊状シート部材に対し効果的に案内機能させることができて、次の短冊状シート部材の連鎖的なねじれ変形及び持ち上がりを効果的に円滑化することができる。
【0026】
本発明の第5特徴構成は、第1〜第4特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記短冊状シート部材の厚みが0.7〜2.0mmの範囲内である点にある。
【0027】
この構成によれば、短冊状シート部材の遮蔽具としての耐久性を高く確保しながら、貫通部材の当接に対する短冊状シート部材のしなやかなねじれ変形及び持ち上がりを一層効果的に円滑化することができる。
【0028】
本発明の第6特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記短冊状シート部材の横幅寸法と垂下長との比が1:2〜1:8である点にある。
【0029】
この構成によれば、貫通部材との当接により短冊状シート部材を次々と連鎖的にねじれ変形させながら持ち上がらせて貫通部材を通過移動させる機能を一層効果的に高めることができる。