特許第5995024号(P5995024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5995024
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】配管支持具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/14 20060101AFI20160908BHJP
   F16L 3/133 20060101ALI20160908BHJP
   F16L 3/00 20060101ALI20160908BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   F16L3/14 Z
   F16L3/133
   F16L3/00 F
   F16B2/10 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-226242(P2015-226242)
(22)【出願日】2015年11月19日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591021958
【氏名又は名称】株式会社アカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 隆次郎
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−89748(JP,A)
【文献】 特開2015−34608(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3153187(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/14
F16B 2/10
F16L 3/00
F16L 3/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を抱持するバンド抱持部と該バンド抱持部の上端部に連接されたバンド端部を有する配管支持具であって、抱持した配管を、天井スラブ・壁面・床面の如き取付面から吊下支持又は立上支持する配管支持具において、
2つのバンド抱持部によって配管を抱持可能であり、該2つのバンド抱持部の下端部分を組式又は蝶番式の如き接続部により拡開可能に接続され、前記バンド端部がタンバックル・T足の如き接続部材に接続されることにより前記取付面からの吊下又は立上が可能な構成の配管支持バンドから成り、
前記2つのバンド抱持部のいずれか一方又は両方について、
該バンド抱持部の略中央部より上方部分を該略中央部を基点として切起された状態で横方向外側に延伸する上方側取付部が形成され、
且つ、該バンド抱持部の略中央部より下方部分を該略中央部を基点として切起された状態で横方向外側に延伸する下方側取付部が形成され、
この横方向外側に切起された上方側取付部と下方側取付部とが重合された状態で重合取付部が形成された構成を有する配管支持具本体と、
更に、この配管支持具本体の重合取付部に別なる配管支持具である第2配管支持具が接続取付された状態で、該第2配管支持具に別なる配管である第2配管の抱持支持を可能とした構成であることを特徴とする配管支持具。
【請求項2】
前記配管支持具本体が、1枚の板状材を加工して形成された構成であることを特徴とする請求項1に記載の配管支持具。
【請求項3】
前記重合取付部の各々が、前記した略中央部の基点から外側水平方向に向かって延伸した形状を有する構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管支持具。
【請求項4】
前記上方側取付部と前記下方側取付部の各々が、その基点部分から前記バンド抱持部の外周面に沿って折り返し横方向外側に延伸するように折曲された状態で重合された構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管支持具に関し、詳しくは、1〜3本の給水管、給湯管、排水管等の種々配管類を天井スラブ等から吊下支持したり、壁面や床面等から立上支持する配管支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
給水管、給湯管、排水管等の種々配管類を支持固定するために抱持バンドを有する配管支持具が用いられている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
この種の配管支持具は、半割状の環状部材から成るバンド部と該バンド部の端部に連設された接続部にタンバックルを接続固定し、このタンバックルを天井スラブ等から垂設された吊りボルトや壁面スラブ等から立設された立ちボルトに緊締することにより固定支持する構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−126216号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
種々の配管類は、近年、鋼管に代わって合成樹脂管(ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブデン管、塩化ビニル管、プロピレン管、ABS管等)が用いられるようになってきており、今後、大部分の配管類が鋼管から合成樹脂管に代わることが予想されている。
【0006】
合成樹脂管は、高い耐蝕性を有し、しかも鋼管と同等乃至同等以上の耐熱性及び耐衝撃性を有するのに鋼管に比して軽量であり、更に加工が容易であるため、取扱性等の点で優れている。
【0007】
本発明者は、かかる合成樹脂管の配管支持技術について鋭意研究を続けたところ、合成樹脂管は上記したように軽量であるため、従来の鋼管用の支持具が求められるほどの堅牢度・強度等が不要であることを見出した。また、複数本の並列状態で支持する場合においても同様である。
【0008】
そこで本発明の課題は、軽量な合成樹脂管の抱持支持に適しており、しかも複数本の配管を並列状態で支持する場合であっても有効な配管支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0010】
1.配管を抱持するバンド抱持部と該バンド抱持部の上端部に連接されたバンド端部を有する配管支持具であって、抱持した配管を、天井スラブ・壁面・床面の如き取付面から吊下支持又は立上支持する配管支持具において、
2つのバンド抱持部によって配管を抱持可能であり、該2つのバンド抱持部の下端部分を組式又は蝶番式の如き接続部により拡開可能に接続され、前記バンド端部がタンバックル・T足の如き接続部材に接続されることにより前記取付面からの吊下又は立上が可能な構成の配管支持バンドから成り、
前記2つのバンド抱持部のいずれか一方又は両方について、
該バンド抱持部の略中央部より上方部分を該略中央部を基点として切起された状態で横方向外側に延伸する上方側取付部が形成され、
且つ、該バンド抱持部の略中央部より下方部分を該略中央部を基点として切起された状態で横方向外側に延伸する下方側取付部が形成され、
この横方向外側に切起された上方側取付部と下方側取付部とが重合された状態で重合取付部が形成された構成を有する配管支持具本体と、
更に、この配管支持具本体の重合取付部に別なる配管支持具である第2配管支持具が接続取付された状態で、該第2配管支持具に別なる配管である第2配管の抱持支持を可能とした構成であることを特徴とする配管支持具。
【0011】
2.前記配管支持具本体が、1枚の板状材を加工して形成された構成であることを特徴とする上記1に記載の配管支持具。
【0012】
3.前記重合取付部の各々が、前記した略中央部の基点から外側水平方向に向かって延伸した形状を有する構成であることを特徴とする上記1又は2に記載の配管支持具。
【0013】
4.前記上方側取付部と前記下方側取付部の各々が、その基点部分から前記バンド抱持部の外周面に沿って折り返し横方向外側に延伸するように折曲された状態で重合された構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の配管支持具。
【0014】
本明細書において、「上方」、「上端」、「下方」、「下端」の上下位置を示す語は、本発明の配管支持バンドが取り付けられる取付面を基準にして、該取付面に近い位置を「上」とし、該取付面から離れた位置を「下」としている。
即ち、吊下支持に用いる場合の「上方」「上端」は文字通りの「上」であり、「下方」「下端」は文字通りの「下」であるが、床面からの立上支持に用いる場合の「上方」「上端」は文字通りとは正反対の「下」となり、「下方」「下端」は文字通りとは正反対の「上」となる。また、壁面からの立上支持に用いる場合の「上方」「上端」は壁面に近い側であり、「下方」「下端」は壁面から遠い位置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に示す発明によれば、軽量な合成樹脂管の抱持支持に適しており、しかも複数本の配管を並列状態で支持する場合であっても有効な配管支持具を提供することができる。
【0016】
特に、重合取付部は、バンド抱持部を切り起こすだけで加工可能であるため、別部材を付加することもないし、切取加工等によって廃棄が必要となる部材も生じることもなく、低コスト化が可能な上に環境適性にも優れている。
【0017】
更に、重合取付部は、上方側取付部と下方側取付部とを重合させた2枚構成を有するので1枚構成に比して強度が増すことになり、別なる配管である第2配管を安定した状態で抱持支持することができる。
【0018】
請求項2に示す発明によれば、1枚の板状材を打ち抜き・プレス・折曲等の簡易な加工手段により形成することが可能なので極めて低コストで提供が可能である。
【0019】
請求項3に示す発明によれば、複数本の配管を取付面から同距離での並列状態の支持が可能である。
【0020】
請求項4に示す発明によれば、重合取付部の基点部分の強度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る配管支持具の使用状態の第1実施例を示す概略正面図
図2】第2配管支持具を取り外した状態の配管支持具を示す5面図(正面図、平面図、底面図、左側面図、A−A断面図)
図3】本発明に係る配管支持具の使用状態の第2実施例を示す概略正面図
図4】重合取付部の一例を示す要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付の図面に従って本発明を詳細に説明する。
【0023】
本発明に係る配管支持具は、給水管、給湯管、排水管等の種々配管を、天井スラブから吊下げた状態で、或いは床面や壁面等から立上げた状態で固定支持するものである。
この配管支持具の取付構成としては、天井スラブからの吊下支持の場合は該天井スラブから垂設固定された吊りボルトにタンバックルを介して接続取付することにより吊下支持され、また壁面や床面からの立上支持の場合は該壁面や床面に立設固定されたT足等に接続取付することにより立上支持される構成である。
【0024】
固定支持する種々の配管としては、従来一般的であった鋼管に代わって近年多く用いられるようになった合成樹脂管(ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブデン管、塩化ビニル管、プロピレン管、ABS管等)の固定支持に本発明は特に有効である。尚、本発明は合成樹脂管の固定支持に特に有効であるが、従来の鋼管の固定支持も可能であり、固定支持する配管として鋼管を排除するものではない。
【0025】
本発明の配管支持具は、図1に示すように天井スラブからの吊下支持に用いたり、図3に示すように壁面や床面からの立上支持に用いることができ、その具体的構成例としては、
配管Pを抱持するバンド抱持部11・11と該バンド抱持部11・11の上端部に連接されたバンド端部13・13を有し、抱持した配管Pを、天井スラブ・壁面・床面の如き取付面2から吊下支持又は立上支持する構成において、
図2に示すように、2つのバンド抱持部11・11によって配管Pを抱持可能であり、該2つのバンド抱持部11・11の下端部分を組式又は蝶番式の如き接続部12により拡開可能に接続され、前記バンド端部13・13がタンバックル・T足の如き接続部材3に接続されることにより前記取付面2からの吊下又は立上が可能な構成の配管支持バンドから成り、
前記2つのバンド抱持部11・11のいずれか一方又は両方について、
該バンド抱持部11の略中央部より上方部分を該略中央部を基点として切起された状態で横方向外側に延伸する上方側取付部14Aが形成され、
且つ、該バンド抱持部11の略中央部より下方部分を該略中央部を基点として切起された状態で横方向外側に延伸する下方側取付部14Bが形成され、
この横方向外側に切起された上方側取付部14Aと下方側取付部14Bとが重合された状態で重合取付部14が形成されており、
更に、図1又は図3に示すように、この重合取付部14に別なる配管支持具である第2配管支持具5が接続取付された状態で、該第2配管支持具5に別なる配管である第2配管PPの抱持支持を可能とした構成である。
【0026】
以下、本発明の構成について更に詳説する。
【0027】
本発明の配管支持具を構成する配管支持バンド1及び第2配管支持具4の各々は、1枚の板状材を加工して形成されており、加工手段としては1枚の板状材を打ち抜き・プレス・折曲等の簡易な加工手段を挙げることができる。これらの加工手段によって、極めて低コストでの提供が可能である。また、用いられる材質としては、この種の配管支持具に用いられる材料として公知公用のものを特別の制限なく用いることができ、好ましくはステンレスやその他の金属である。
【0028】
図1に示す符号5は取付面2である天井スラブから垂設固定された吊りボルトである。
【0029】
図2に示す符号11A・11Bは重合取付部14が切り起こされることで該重合取付部14と同大同形の空隙部である孔部となったバンド抱持部11の被切起し孔部であり、符号16はバンド端部13・13と接続部材3との接続手段であるボルト・ナットであり、符号15は重合取付部14に第2配管支持具4を接続取付するための接続手段であるボルト・ナットが挿通される透孔である。
【0030】
尚、バンド端部13・13と接続部材3との接続は、図1に示すような吊下支持の場合には1組のボルト・ナット16によって接続可能であるが、図3に示すような立上支持の場合には2組(乃至は3組以上)のボルト・ナット16によって接続することが安定支持状態での接続の点で好ましい。
【0031】
重合取付部14・14を構成する上方側取付部14Aと下方側取付部14Bの各々は、バンド抱持部11の略中央部を基点として切起してから外側に方向に向かって立ち上げる際に、図4に示すように、各々の基点部分から前記バンド抱持部11・11の外周面に沿って折り返してから横方向外側に延伸するように折り曲げて重合される構成とすることが好ましい。図4に示す符号14Cは、バンド抱持部11の外周面に沿って折り返した折り返し部である。かかる構成によれば、重合取付部14・14の基点部分の強度低下を抑制することができる。
【0032】
更に、重合取付部14・14を構成する上方側取付部14Aと下方側取付部14Bの各々について、各々の切起した基点部分をスポット溶接の如き補強手段を用いて補強する構成が好ましく、かかる構成によれば、切起し部分の破断や裂けを抑制できるので、この切起した起点部分の強度を高くすることができる。
【0033】
更にまた、重合取付部14を構成する上方側取付部14Aと下方側取付部14Bとは、その重合部分をスポット溶接の如き接合手段を用いて接合する構成が好ましく、かかる構成によれば、重合切起し係止部14の重合部分の強度を高くすることができる。
【0034】
次に、重合取付部14の延伸方向構成について説明する。
図1図3に示す本実施例では、重合取付部14・14の各々が、バンド抱持部11・11の各々の略中央部の基点から外側水平方向に向かって延伸した形状を有する構成となっている。かかる構成によれば、配管支持バンド1に抱持する配管Pと、第2配管支持具4に抱持する第2配管PPの抱持支持位置を取付面2から等距離とすることができる。
【0035】
また重合取付部14の延伸方向については上記実施例の外側水平方向に限定されず、外側斜め下方方向、外側斜め上方方向等についても本発明に包含される。
【0036】
以上、本発明に係る配管吊下支持具の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において種々の他の態様を採ることもできる。
【0037】
上記実施例では、第2配管支持具4として一般的な提灯式構成の配管支持バンドを用いているが、重合取付部14に接続取付可能であれば公知公用の他の構成の配管支持具を用いることができ、例えば、組式構成や蝶番式構成等の他の構成の配管支持バンドを好ましい第2配管支持具として挙げることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 配管支持バンド
11 バンド抱持部
11A 被切起し孔部
11B 被切起し孔部
12 接続部
13 バンド端部
14 重合取付部
14A 上方側取付部
14B 下方側取付部
14C 折り返し部
15 透孔
16 ボルト・ナット
2 天井スラブ・壁面・床面の如き取付面
3 タンバックル・T足の如き接続部材
4 第2配管支持具
5 吊りボルト
P 配管
PP 第2配管
【要約】
【目的】軽量な合成樹脂管の抱持支持に適しており、しかも複数本の配管を並列状態で支持する場合であっても有効な配管支持具を提供する。
【構成】 2つのバンド抱持部によって配管類を抱持可能であり、端部が接続部材に接続されることにより取付面からの吊下又は立上が可能な配管支持バンドから成り、
バンド抱持部の略中央部より上方部分を該略中央部を基点として切起された状態で横方向外側に延伸する上方側取付部が形成され、
且つ、バンド抱持部の略中央部より下方部分を該略中央部を基点として切起された状態で横方向外側に延伸する下方側取付部が形成され、
上方側取付部と下方側取付部とが重合された状態で重合取付部が形成されており、
重合取付部に第2配管支持具が接続取付された状態で第2配管の抱持支持を可能とした構成である。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4