特許第5995113号(P5995113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995113
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20160908BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20160908BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   H02G3/16
   H05K7/06 C
   B60R16/02 610A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-136487(P2014-136487)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2016-15822(P2016-15822A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2016年7月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慶一
(72)【発明者】
【氏名】愛知 純也
(72)【発明者】
【氏名】金 京佑
(72)【発明者】
【氏名】山根 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 健人
(72)【発明者】
【氏名】北 幸功
(72)【発明者】
【氏名】大井 智裕
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−259594(JP,A)
【文献】 特開2006−050754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁板に導電路が形成された絶縁基板と、
前記絶縁基板に貼り付けられ、導電路を形成するバスバーと、
前記絶縁基板における前記バスバーが貼り付けられない領域に貼り付けられ、ネジの軸部を通す通し孔が形成された補強板と、
前記絶縁基板に半田付けされる端子と、
前記補強板における前記絶縁基板とは反対側の面に重ねられ、前記ネジでネジ留めするためのネジ孔が形成された放熱部材と、
前記絶縁基板、前記バスバー及び前記補強板の位置を保持する保持部材と、を備え、
前記補強板は、前記保持部材に係合することで前記通し孔と前記ネジ孔との位置合わせがされる係合部を備える電気接続箱。
【請求項2】
前記係合部は、前記通し孔の近傍に設けられている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記係合部は、前記補強板における周縁を切り欠いて形成されている請求項1又は請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記保持部材は、前記係合部に係合する係合ピンを備えている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記放熱部材は、前記係合ピンが挿通される受け部を有する請求項4に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記補強板は、前記通し孔の近傍に前記保持部材に嵌め入れられる突片を備えている請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項7】
前記絶縁基板は、前記端子が挿通されて半田付けされる端子挿通孔を備え、
前記補強板は、前記絶縁基板における前記端子挿通孔を含む領域で前記バスバーが重ならない基板露出領域の端縁沿うように配されている請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【請求項8】
前記端子は複数であって、前記複数の端子が連結部材で連結された端子モジュールを備え、
前記連結部材は、前記絶縁基板における前記補強板が重なる面とは反対側の面に当接している請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁基板とバスバー基板とが重ねられ、放熱部材に対して固定された電気接続箱が知られている。特許文献1は、複数のバスバーからなるバスバー構成板とプリント基板とが積層された回路構成体と、この回路構成体を内蔵したケースとを備えている。プリント基板上にはリレー等の電気部品が実装されており、ケースの底部には放熱板が配置されている。バスバー構成板は、導電路の形状に応じた多数のバスバーからなる。バスバー構成板が板厚の薄いプリント基板に重ねられているため、プリント基板の強度が補強されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−164039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プリント基板のうちバスバー構成板が重なっていない領域はその強度を充分に確保し難いため、半田付けの熱で変形することが懸念される。一方、プリント基板の変形等を抑制するために、プリント基板のうちバスバー構成板が重ならない位置に補強板を重ねることでプリント基板を補強することが考えられる。この場合、プリント基板の補強だけでなく、放熱板に対するプリント基板の位置決めを容易にできることが望ましい。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、絶縁基板を補強しつつ放熱部材に対する絶縁基板の位置決めを容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気接続箱は、絶縁板に導電路が形成された絶縁基板と、前記絶縁基板に貼り付けられ、導電路を形成するバスバーと、前記絶縁基板における前記バスバーが貼り付けられない領域に貼り付けられ、ネジの軸部を通す通し孔が形成された補強板と、前記絶縁基板に半田付けされる端子と、前記補強板における前記絶縁基板とは反対側の面に重ねられ、前記ネジでネジ留めするためのネジ孔が形成された放熱部材と、前記絶縁基板、前記バスバー及び前記補強板の位置を保持する保持部材と、を備え、前記補強板は、前記保持部材に係合することで前記通し孔と前記ネジ孔との位置合わせがされる係合部を備える。
【0007】
本構成によれば、補強板の係合部が保持部材に係合することで通し孔とネジ孔との位置合わせがされるため、この状態で、補強板を放熱部材にネジ留めすれば放熱部材に対する絶縁基板の位置を補強板を介して固定することができる。よって、絶縁基板を補強しつつ放熱部材に対する絶縁基板の位置決めを容易に行うことができる。
【0008】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
・前記係合部は、前記通し孔の近傍に設けられている。
このようにすれば、位置合わせの精度を高めることができる。
【0009】
・前記係合部は、前記補強板における周縁を切り欠いて形成されている。
このようにすれば、係合部の形状を簡素化することができる。
【0010】
・前記保持部材は、前記係合部に係合する係合ピンを備えている。
このようにすれば、係合部を保持部材に容易に係合させることができる。
【0011】
・前記放熱部材は、前記係合ピンが挿通される受け部を有する。
このようにすれば、係合ピンが放熱部材の受け部に挿通されることで、係合ピンの突出寸法を大きくしても係合ピンが放熱部材に当接しないようにすることができるため、係合ピンの突出寸法を大きくして係合ピンが係合部に係合しやすいようにすることが可能になる。
【0012】
・前記補強板は、前記通し孔の近傍に前記保持部材に嵌め入れられる突片を備えている。
【0013】
・前記絶縁基板は、前記端子が挿通されて半田付けされる端子挿通孔を備え、前記補強板は、前記絶縁基板における前記端子挿通孔を含む領域で前記バスバーが重ならない基板露出領域の端縁沿うように配されている。
外部と絶縁するためにバスバーを絶縁基板に重ねることができない基板露出領域の端縁の沿う位置を補強板で補強することができる。

【0014】
・前記端子は複数であって、前記複数の端子が連結部材で連結された端子モジュールを備え、前記連結部材は、前記絶縁基板における前記補強板が重なる面とは反対側の面に当接している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、絶縁基板を補強しつつ放熱部材に対する絶縁基板の位置決めを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の電気接続箱を示す斜視図
図2】電気接続箱を示す底面図
図3図2のA−A断面図
図4】電気接続箱のシールドカバーを外した状態を示す斜視図
図5】制御回路基板の保持部材への組み付けを示す斜視図
図6】放熱部材に回路基板及び保持部材が装着された状態を示す平面図
図7】回路基板を示す斜視図
図8】回路基板を示す背面図
図9】回路基板を示す平面図
図10】保持部材を示す底面図
図11】保持部材に回路基板が嵌め入れられた状態を示す底面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
実施形態を図1ないし図11を参照しつつ説明する。
電気接続箱10は、例えば電気自動車やハイブリット自動車等の車両のバッテリ等の電源とランプ等の車載電装品や駆動モータ等からなる負荷との間の電力供給経路に配され、例えばDC−DCコンバータやインバータ等に用いることができる。以下では、上下方向(Z軸)及び左右方向(Y軸)については、図3の方向を基準とし、前後方向(X軸)については図6の左方を前方、右方を後方として説明する。
【0018】
(電気接続箱10)
電気接続箱10は、図1図4に示すように、回路基板11と、回路基板11に間隔を空けて対向配置された制御回路基板33と、回路基板11が載置され、外部に放熱するための放熱部材42と、回路基板11及び制御回路基板33を放熱部材42との間に収容するケース45と、を備えている。
【0019】
(回路基板11)
回路基板11は、図7に示すように、長方形状であって、図示しない導電路に図示しない電子部品が実装される。電子部品は、FET(Field Effect Transistor)等のスイッチング素子やコンデンサ等からなる。回路基板11は、絶縁基板12と、絶縁基板12に重ねられるバスバー基板17と、絶縁基板12におけるバスバー基板17とは異なる位置に重ねられる補強板20と、を備えている。
【0020】
(絶縁基板12)
絶縁基板12は、長方形状であって、絶縁材料からなる絶縁板に銅箔等からなる導電路がプリント配線技術により形成されている。絶縁基板12は、端子モジュール37の端子38が挿通される複数の端子挿通孔13と、電子部品のリード端子をバスバー基板17に接続するため部品挿通孔(図示しない)と、放熱部材42にネジ留めするための金属製のネジ65の軸部を通す通し穴15と、が貫通形成されている。
【0021】
各端子挿通孔13は、絶縁基板12の導電路に連なっており、複数の端子挿通孔13が一列に並んで形成されている。部品挿通孔は、電子部品のリード端子38の位置に応じて複数形成されており、電子部品の底面を挿通可能な面積が大きい孔とリード端子のみを挿通可能な小さい孔とからなる。通し穴15は、複数(図7では1つの通し孔を図示し、他の図示は省略)であって、ネジ65の軸部を挿通可能な円形状であって、絶縁基板12の周縁部や角部の位置に配されている。
【0022】
(バスバー基板17)
バスバー基板17は、銅合金等からなる金属板材を導電路の形状に応じて打ち抜いて形成した複数の板状のバスバー17A(図11参照)から構成され、各バスバー17A間は間隔を空けて絶縁基板12の下面に貼り付けられて固定されている。バスバー基板17のうち、絶縁基板12の通し穴(図示しない)に重なるバスバー17Aには、ネジ留めするためのネジ(図示しない)を通す通し穴(図示しない)が貫通形成されている。バスバー基板17の端部は、図7に示すように、クランク状に屈曲されて外部の図示しない電源端子や出力端子やコイルに接続される接続端子19を形成している。
【0023】
(補強板20)
補強板20は、図11に示すように、絶縁基板12の後端部(図11の左端部)に重ねられた複数の端子挿通孔13の並び方向に長い板状であって、バスバー17Aとの間に絶縁基板12の裏面が露出した基板露出領域29を介して間隔を空けて配置されており、絶縁基板12の下面に接着剤で貼り付けられて固定されている。この補強板20は、端子38の並び方向の一方の端部側に配されて放熱部材42にネジ65でネジ留めされて固定される固定部21と、固定部21から幅寸法が縮径され、基板露出領域29の側縁に沿って延びる縮径部26と、端子38の並び方向の他方の端部側に配され、縮径部26から幅寸法が拡径された拡径部27とを有する。
【0024】
固定部21は、頭部と軸部を有するネジ65の軸部が挿通される円形状の通し孔22と、ケース45の底面の凹部50に嵌め入れられる突片23と、側縁が凹状に切り欠かれてケース45の係合ピン51に係合する係合部24とを備えている。
【0025】
通し孔22は、係合部24の近傍に形成されている。具体的には、通し孔22は、前後方向(X軸)については、係合部24とは反対側の前端縁寄りの位置で、左右方向(Y軸)には係合部24よりもやや突片23側(端子38の並び方向の一方の端部側)に配されている。突片23は、通し孔22の近傍に位置し、補強板20における端子38の並び方向の一方の端部に配されており、回路基板11がケース45に装着されると、突片23は、ケース45の底面に形成された凹部50に収容される。突片23の基端から係合部24に至る外縁部は、ケース45の底面形状に応じて切り欠かれている。
【0026】
係合部24は、固定部21の後端部を半円形状に切り欠いた形状とされており、係合部24の縁部のうち、突片23側は後方に突き出て係合ピン51を受ける受け部24Aとされている。縮径部26は、一定の幅寸法で左右方向に延びている。拡径部27は、ケース45に係止される被係止部28を備えている。被係止部28は、補強板20の板面からクランク状に起立して側方の一段高い位置に延びている。
【0027】
絶縁基板12の裏面における端子挿通孔13の周囲は、バスバー基板17や補強板20が重ねられず、絶縁基板12の裏面が露出して半田付けされる基板露出領域29とされている。基板露出領域29は、複数の端子38の並び方向に沿って延び、一定の幅寸法で形成されている。
【0028】
絶縁基板12は、バスバー基板17や補強板20に、絶縁性の接着剤31で貼り付けられている。接着剤31は、部品挿通孔や基板露出領域29を除いた全体に亘って絶縁基板12とバスバー基板17との間、及び、絶縁基板12と補強板20との間を接着している。
【0029】
(制御回路基板33)
制御回路基板33は、図5に示すように、回路基板11よりも面積が小さい長方形状であって、絶縁材料からなる絶縁板に銅箔等からなる導電路がプリント配線されている。制御回路基板33は、端子モジュール37の端子38の上端側がスルーホール62に挿通されて半田付けされ、制御用ハウジング34がネジ61でネジ留めされて固定されている。制御用ハウジング34は、合成樹脂製で、相手側のコネクタハウジングを嵌合可能な角筒状に開口しており、L字状の制御端子36が固定されている。回路基板11の導電路と制御回路基板33の導電路との間は、端子モジュール37の複数の端子38により接続される。
【0030】
(端子モジュール37)
端子モジュール37は、1列に並んだ複数の端子38と、複数の端子38を連結する連結部材39とを備えている。各端子38は、銅や銅合金等からなり、同一形状である。連結部材39は、絶縁性の合成樹脂からなり、複数の端子38が固定されるとともに、回路基板11に載置される脚部40を有する。
【0031】
(放熱部材42)
放熱部材42は、アルミニウム合金や銅合金等の熱伝導性が高い金属材料からなり、図2図3に示すように、上面側が平坦で、下面側に多数の放熱フィンが並んで配されている。放熱部材42の上面には、絶縁基板12の通し穴15や補強板20の通し孔22に連なる下方の位置にネジ65でネジ留め可能なネジ孔53が所定の深さで形成されている。ネジ65を絶縁基板12の上から絶縁基板12及び補強板20を挟んで放熱部材42に固定することで、絶縁基板12、補強板20及び放熱部材42間の位置が固定される。
また、放熱部材42には、保持部材46にネジ留めするための複数の挿通穴43が四隅の位置に貫通形成されている。
【0032】
(ケース45)
ケース45は、図1に示すように、放熱部材42の上面に載置される合成樹脂製の保持部材46と、保持部材46の上に装着される金属製のシールドカバー60とを備えている。
【0033】
(保持部材46)
保持部材46は、図5に示すように、放熱部材42の周縁部に沿うように設けられ、内側に回路基板11及び制御回路基板33を保持するフレーム状のフレーム部47と、シールドカバー60の外側に配され、外部の図示しない電源側に接続された電線の端末部を取付可能な取付部56とを備えている。フレーム部47は、チョークコイル66が収容される部分が仕切られている。
【0034】
フレーム部47の上部には、制御回路基板33の四隅が固定される基板固定部48,49を備えている。対角に配置された一対の基板固定部48は、制御回路基板33の貫通孔35に挿通される凸部を有し、他の一対の基板固定部49は、制御回路基板33の貫通孔35を介してネジ61でネジ留め可能なネジ孔が形成されている。
【0035】
フレーム部47の底面(裏面)側は、回路基板11が装着可能とされており、図10図11に示すように、補強板20の突片23が挿通される凹部50と、係合部24に係合する係合ピン51と、被係止部28を係止する係止部52とを備えている。
【0036】
凹部50は、突片23が突出する方向に延びる溝状をなす。係合ピン51は、フレーム部47の底面から直交する方向に起立する円柱の棒状をなす。係合ピン51は、円形の外周面が係合部24に摺接して位置決めできる。また、係合ピン51は、保持部材46の裏面における係合ピン51とは反対側の端部に形成された係合ピン51と同一形状の案内ピン59とともに、放熱部材42を貫通する(放熱部材42の上面に凹設でもよい)受け部44に挿通されるようになっており、保持部材46の組み付けの際に組み付け方向の移動をガイドすることができる。係止部52は、フレーム部47の底面で水平方向に板状に突設された底面部54の上面である(図6参照)。回路基板11における係止部52側の位置が保持される。
【0037】
保持部材46の裏面には、放熱部材42側から挿通穴43を通した図示しないネジを保持部材46にネジ留めするための複数のボス部46Aが四隅の位置に形成されている。ボス部46Aは、ネジ孔を有し、このボス部46Aにネジ留めすることで保持部材46と放熱部材42との相対的位置を固定する。
【0038】
取付部56は、図1に示すように、電源側と接続される端子を外部と仕切るものである。外部の電源からの電力は取付部56内の端子を介して回路基板11に供給される。制御用ハウジング34の隣には、接続端子19が配されるコネクタハウジング55が装着されている。
【0039】
(シールドカバー60)
シールドカバー60は、アルミニウム等からなる板状の金属に打ち抜き加工及び曲げ加工を施して形成されており、下端部は、ネジ64で放熱部材42にネジ留めすることで放熱部材42に固定されるとともに、放熱部材42を介してシールドカバー60がグランドに接続される。
【0040】
電気接続箱10の組み付けについて説明する。
絶縁基板12に接着剤31を塗布してバスバー基板17及び補強板20を重ねて回路基板11を形成するとともに、回路基板11に端子モジュール37を装着し、回路基板11の端子挿通孔13に挿通された複数の端子38の下端部をフロー半田付けする(図7)。
次に、保持部材46の係合ピン51を回路基板11の係合部24の位置を合わせて係合部24を係合ピン51に係合させるとともに、突片23を保持部材46の凹部50に嵌め入れると、回路基板11がフレーム部47の底面に嵌め合わされる(図11)。
【0041】
次に、回路基板11が嵌め入れられた保持部材46の裏側に放熱部材42を配し、係合ピン51及び案内ピン59を放熱部材42の受け部44に挿通し、放熱部材42を回路基板11及び保持部材46に嵌め合わせると、放熱部材42のネジ孔53が絶縁基板12の通し穴15及び補強板20の通し孔22に重なる。そして、回路基板11の上面側から通し穴15,通し孔22にネジ65を通して回路基板11を放熱部材42のネジ孔53にネジ留めするとともに(図3)、放熱部材42の裏面側から挿通穴43を通して放熱部材42を保持部材46にネジ留めする。
次に、制御回路基板33を基板固定部48,49にネジ留めして複数の端子38の上端部をフロー半田付けする(図4)。そして、シールドカバー60を被せてネジ64で放熱部材42にネジ留めすることで電気接続箱10が形成される(図1)。
【0042】
本実施形態の作用、効果について説明する。
電気接続箱10は、絶縁板に導電路が形成された絶縁基板12と、絶縁基板12に貼り付けられ、導電路を形成するバスバー17Aと、絶縁基板12におけるバスバー17Aが貼り付けられない領域に貼り付けられ、ネジ65の軸部を通す通し孔22が形成された補強板20と、絶縁基板12に半田付けされる端子38と、補強板20における絶縁基板12とは反対側の面に重ねられ、ネジ65でネジ留めするためのネジ孔63が形成された放熱部材42と、絶縁基板12、バスバー17A及び補強板20の位置を保持する保持部材46と、を備え、補強板20は、保持部材46に係合することで通し孔22とネジ孔63との位置合わせがされる係合部24を備える。
【0043】
本実施形態によれば、補強板20により絶縁基板12を補強できるため、端子38を半田付けする際の熱による絶縁基板12の変形を抑制できる。また、補強板20の係合部24が保持部材46に係合することで通し孔22とネジ孔63との位置合わせがされるため、この状態で、補強板20を放熱部材42にネジ留めすれば放熱部材42に対する絶縁基板12の位置を補強板20を介して固定することができる。よって、絶縁基板12を補強しつつ放熱部材42に対する絶縁基板12の位置決めを容易に行うことができる。
【0044】
また、係合部24は、通し孔22の近傍に設けられているため、位置合わせの精度を高めることができる。
さらに、係合部24は、補強板20における周縁を切り欠いて形成されているため、係合部24の形状を簡素化することができる。
【0045】
また、保持部材46は、係合部24に係合する係合ピン51を備えているため、係合部24を保持部材46に容易に係合させることができる。
さらに、補強板20は、通し孔22の近傍に保持部材46に嵌め入れられる突片23を備えているため、複数の端子38の並び方向(左右方向)に対して直交する方向(前後方向)の位置決めを行うことができる。
【0046】
また、係合ピン51が放熱部材42の受け部44に挿通されることで、係合ピン51の突出寸法を大きくしても係合ピン51が放熱部材42に当接しないようにすることができるため、係合ピン51の突出寸法を大きくして係合ピン51が係合部24に係合しやすいようにすることが可能になる。
【0047】
さらに、絶縁基板12は、端子38が挿通されて半田付けされる端子挿通孔13を備え、補強板20は、絶縁基板12における端子挿通孔13を含む領域でバスバー17Aが重ならず絶縁基板12が露出した基板露出領域29の端縁に沿うように配されている。
このようにすれば、外部と絶縁するためにバスバー17Aを絶縁基板12に重ねることができない基板露出領域29の端縁の沿う位置を補強板20で補強することができる。
【0048】
また、端子38は複数であって、複数の端子38が連結部材39で連結された端子モジュール37を備え、連結部材39は、絶縁基板12における補強板20が重なる面とは反対側の面に当接している。
このようにすれば、複数の端子38を連結するための連結部材39を絶縁基板12に当接させることで、絶縁基板12における補強板20が重なる面とは反対側の面を連結部材39で支持することができる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)補強板20は、バスバー17Aと同じ材質としたが、異なる材質としてもよい。例えば、補強板を金属に限らず、樹脂で形成してもよい。
(2)保持部材46は、絶縁基板12、バスバー17A及び補強板20を直接保持していても、他の部材を介して間接的に保持していてもよい。
【0050】
(3)係合部24が保持部材46に係合するための形状や位置は上記実施形態に限られない。例えば、係合部24とは異なる位置に係合部を設けてもよい。さら、係合ピンのような突出する部材を設ける構成に限られず、突出しない部分に係合部24を係合させてもよい。
(4)補強板20におけるネジ65でネジ留めされる部分には、絶縁基板12が重ねられる構成としたが、ネジ留めされる部分(通し孔22の縁部)に絶縁基板12を重ねない構成とし、補強板20のみが放熱部材42にネジ留めされるようにしてもよい。この場合でも、補強板20が接着剤等で絶縁基板12に固定されていれば、放熱部材42に対する絶縁基板12の位置合わせをすることができる。
【符号の説明】
【0051】
10: 電気接続箱
11: 回路基板
12: 絶縁基板
17: バスバー基板
17A:バスバー
20: 補強板
22: 通し孔
21: 固定部
23: 突片
24: 係合部
28: 被係止部
37: 端子モジュール
38: 端子
39: 連結部材
42: 放熱部材
44: 受け部
45: ケース
46: 保持部材
51: 係合ピン
52: 係止部
65: ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11