(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、
図4に示すように、ドアフレーム102の上辺には、日差しや雨水を防ぐためにサイドバイザー150が取付けられている。その取付は、金属製のドアフレーム102の車外側面103に、両面接着テープ140と金属フック151でサイドバイザー150の先端部152を係合するものである例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この場合には、金属フック151を嵌め込むため、剛性の大きな金属製のドアフレーム102が必要であり、金属フック151が車外側から目立たなくするために、金属フック151を挿入する挿入孔153をサイドバイザー150の先端部152に形成することが必要であった。
【0004】
一方、ドアフレーム102が設けられているドアの自動車の車体ドア開口縁106とドアとの間をシールするシール構造においては、例えば、車体ドア開口縁106のフランジにオープニングトリムウエザストリップ(図示せず)を取り付け、ドアフレーム102の外周にドアウエザストリップ160を取り付け、ドア閉時にオープニングトリムウエザストリップの中空シール部がドアフレーム102の膨出部に当接し、ドアウエザストリップ160の中空シール部161およびシールリップ162が車体ドア開口縁106のアウターパネルに当接してドアとの間をシールしていた。
【0005】
このとき、ドアの内部において昇降するドアガラス105は、その周囲をドアフレーム102の内周側に取付けられたガラスラン120によって保持され、ガラスラン120の断面略コ字状の溝部内を昇降しており、このドアガラス105とドアフレーム102との間のシールは、このガラスラン120によりなされている。
【0006】
また、
図3に示すように、サッシュレスドアタイプの自動車車体として、ドアサッシュの車外側の面をなくしてフランジのみとして、ドア1のベルトライン部位よりも上部では、ドアガラス5だけを自由に昇降させることが行われている。これによって、自動車の側面では、ドア1のベルトライン部位から上の部分では、ドアガラス5のみの外観とすることができる。
【0007】
この場合に、
図5に示すように、ドアガラス5とドアフレーム2の間をシールするガラスラン部220と、ガラスラン210をドアフレーム2の先端のドアフレームフランジ部3に取付けるトリム部230から構成されているガラスラン210において、トリム部230を硬質部材である熱可塑性樹脂で形成し、ガラスラン部220を軟質部材である熱可塑性エラストマーで形成したものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
ガラスラン部220は、車外側側壁221、車内側側壁222及び底壁223からなる断面略コ字状の本体と、車外側側壁221及び車内側側壁222の先端からそれぞれ断面略コ字状の内部斜め方向に延設される車外側シールリップ224と車内側シールリップ225から構成されている。そして、車外側シールリップ224と車内側シールリップ225とでドアガラス5をシールしている。
【0009】
トリム部230は、ガラスラン部220の底壁223と一体に形成されるガラスラン側側壁231と、ボディー側側壁232と、トリム部底壁233からなる断面略コ字状に形成され、ボディー側側壁232の外面には、ドア閉時に車体開口部周縁6に当接してシールするトリム部シールリップ234が形成されている。そして、インサートを有しないため、車外側側壁221、底壁223、ガラスラン側側壁231と、ボディー側側壁232とトリム部底壁233は硬質部材である合成樹脂で形成されている。
【0010】
この様な構成にすることにより、サンバイザーを保持するに足りる剛性を得ることができる。しかし、車外側側壁221とトリム部底壁233は、車外側からの外観上光沢を有する表面が必要となり、この面に両面接着テープを使用してサイドバイザーを取付けると充分な接着力が得られなくなる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このため、本発明は、ドアフレームに取付けられたガラスランにサイドバイザーを取付けることが容易で、強固に取付けられるサイドバイザーの取付構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、ドアフレームの上辺部に取付けられ、ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスランとガラスランに取付けられるサイドバイザーの取付構造において、
ガラスランは、ドアフレームの先端に形成されるドアフレームフランジ部に取付けられるトリム部と、トリム部と一体的に形成され、ドアフレームの内周に取付け、ドアガラスとの間をシールするガラスラン部とから構成され、
ガラスラン部は、車外側側壁、車内側側壁及びガラスラン部底壁からなる断面略コ字状をなし、トリム部は、ガラスラン側側壁、ボディー側側壁及びトリム部底壁からなる断面略コ字状をなし、トリム部底壁と車外側側壁は、一体的又は同一部材として形成され、
トリム部底壁と車外側側壁の外面に表皮膜を形成し、表皮膜に両面接着テープを貼着し、両面接着テープでサイドバイザーとガラスランを接着し、表皮膜は、スチレン系成分を含有する動的架橋型熱可塑性エラストマーであることを特徴とするサイドバイザーの取付構造である。
【0014】
請求項1の本発明では、ガラスランは、ドアフレームの先端に形成されるドアフレームフランジ部に取付けられるトリム部と、トリム部と一体的に形成され、ドアフレームの内周に取付け、ドアガラスとの間をシールするガラスラン部とから構成される。このため、ドアフレームにガラスラン部を保持するため、チャンネルを形成することが不要で、トリム部をドアフレームフランジ部に取付けると、ガラスラン部をドアフレームに取付けることができ、ガラスランの取付けが容易である。また、ドアフレームが車外側から見えなくなり、外観が向上する。
【0015】
ガラスラン部は、車外側側壁、車内側側壁及びガラスラン部底壁からなる断面略コ字状をなしているため、車外側側壁、車内側側壁及びガラスラン部底壁からなる断面略コ字状の内部でドアガラスの先端をシールし、ドアガラスを保持することができる。
【0016】
トリム部は、トリム部は、ガラスラン側側壁、ボディー側側壁及びトリム部底壁からなる断面略コ字状をなし、トリム部底壁と車外側側壁は、一体的又は同一部材として形成されている。このため、ドアフレームの先端のドアフレームフランジ部をトリム部で挟持することができ、ガラスランをドアフレームに保持することができる。また、ガラスラン部とトリム部の車外側面が一体的に形成されて、ガラスランの外観を向上させることができる。
【0017】
トリム部底壁と車外側側壁の外面に表皮膜を形成し、表皮膜に両面接着テープを貼着し、両面接着テープでサイドバイザーをガラスランに取付けている。このため、両面接着テープを貼着するのみで、サイドバイザーを容易にガラスランのトリム部底壁と車外側側壁の外面に取付けることができる。
【0018】
表皮膜は、スチレン系成分をふくむ動的架橋型熱可塑性エラストマーである。このため、表皮膜と両面接着テープとの接着力を強化させることができ、接着性向上のために、表皮膜の表面を処理する必要がなく、サイドバイザーの取付が確実に、容易にできる。スチレン系成分をふくむ動的架橋型熱可塑性エラストマーは、ポリスチレンと動的架橋型熱可塑性エラストマーのブレンドでもよく、スチレンコポリマーとして熱可塑性エラストマーの中に存在してもよい。
表皮膜が、ポリスチレン(PS)と動的架橋型熱可塑性エラストマーとのブレンドの場合には、ブレンド比が動的架橋型熱可塑性エラストマー100重量部に対してポリスチレン(PS)が10〜50重量部である。
【0019】
請求項2の本発明は、トリム部底壁と車外側側壁は、ヤング率が0.8〜1.4GPaである材料で形成されたサイドバイザーの取付構造である。
【0020】
請求項2の本発明では、トリム部底壁と車外側側壁は、ヤング率が0.8〜1.4GPaであるため、ガラスランをドアフレームに取付けて、サイドバイザーを取付けても変形することなく、ガラスランのトリム部がドアフレームフランジ部を強固に挟持することができる。ヤング率が0.8GPa未満では、トリム部底壁と車外側側壁がサイドバイザー保持する力が低下し、ヤング率が1.4GPaを超える場合には、ドアフレームに取付けるときの挿入荷重が増加して、取付け難くなる。
【0021】
請求項3の本発明は、トリム部のガラスラン側側壁とガラスラン部底壁は、一体的又は同一部材として形成されたサイドバイザーの取付構造である。
【0022】
請求項3の本発明では、トリム部のガラスラン側側壁とガラスラン部底壁は、一体的又は同一部材として形成されたため、ガラスラン部とトリム部が強固に一体的に形成されて、ガラスラン部を保持することができる。
【発明の効果】
【0023】
トリム部底壁と車外側側壁の外面に表皮膜を形成し、表皮膜に両面接着テープを貼着し、両面接着テープでサイドバイザーをガラスランに取付けているため、両面接着テープを貼着するのみで、サイドバイザーを容易にガラスランのトリム部底壁と車外側側壁の外面に取付けることができる。
表皮膜は、スチレン系成分を含有する動的架橋型熱可塑性エラストマーであるため、表皮膜と両面接着テープとの接着力を強化させることができ、サイドバイザーを両面接着テープのみで取付けることができる。接着性向上のために、表皮膜の表面を処理する必要がなく、サイドバイザーの取付が確実に、容易にできる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を
図1〜
図3に基づき説明する。
図1〜
図2は、本発明の実施の形態を示すものである。
図3は、自動車の側面図である。
図3に示すように、ドア1の上部にはドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。すなわち、ドアフレーム2の内周には、ガラスラン10が取付けられ、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。サイドバイザー50は、ドアフレーム2の上辺に沿って取付けられている。
まず、ドアフレーム2とガラスラン10について説明し、その後、サイドバイザー50の取付構造について説明する。
【0026】
図1に示すように、ガラスラン10が取付けられるドアフレーム2は、ドアアウターパネル2aとドアインナーパネル2bから形成され、ガラスラン10が取付けられる先端の部分は、ドアインナーパネル2bの先端部分が屈曲して、後述するガラスラン部20の車内側側壁22が取付けられるドアフレーム取付面4を形成している。ドアフレーム取付面4の先端部分は、略直角に屈曲して、ドアアウターパネル2aと合わせてドアフレームフランジ部3を形成している。
【0027】
ドアフレームフランジ部3は、ドアインナーパネル2bの屈曲した先端をヘヤピン状に包み込むようにドアアウターパネル2aの先端が折り曲げられて形成されている。このため、ドアフレーム取付面4とドアフレームフランジ部3は互いに略直角に屈曲して形成されている。ドアフレームフランジ部3の根元部分において、ドアアウターパネル2aのドアインナーパネル2bを包み込んだ先端部分は、下方に折り曲げられてドアフレームフランジ部フック3aを形成している。
【0028】
ドアフレーム取付面4には、後述する車内側側壁22の車内側側壁係合部28が係合される断面略コ字形のドアフレーム取付凹部4aが形成されている。ドアフレーム取付凹部4aは、ドアフレーム取付凹部上壁4b、ドアフレーム取付凹部側壁4d及びドアフレーム取付凹部下壁4cから構成される。ドアフレーム取付凹部4aで車内側側壁係合部28を係合して、車内側側壁22を確実にドアフレーム2に保持して、車内側側壁先端やシールリップの皺等の発生を防止することができる。
【0029】
図2に示すように、ガラスラン10の先端には、端末部12が形成されている。
なお、ガラスラン10のフロント側とリヤ側のコーナー部13には、ドアフレーム2の縦辺部に装着されるガラスラン部20が下方に接続されている。このため、ドアフレーム2の上辺ばかりでなく、ドアガラス5の側端の縦辺側の部分をガラスラン部20が保持してシールすることができる。ドアフレーム2の上辺と縦辺の接続部分に取付けられるガラスラン部20は、コーナー部13を構成し、ガラスラン部20の上辺部分と縦辺部分のそれぞれのコーナー部13を型成形により接続して形成される。
【0030】
図1に示すように、ガラスラン10は、ドアフレーム2の内周に取付けられるガラスラン部20と、ドアフレーム2の先端に形成されるドアフレームフランジ部3に取付けられるトリム部30とから構成される。まず、ガラスラン10全体の形状をガラスラン部20とトリム部30に分けて説明し、ドアフレーム2への取付けについては後述する。
【0031】
ガラスラン部20は、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の本体部と、車外側側壁21及び車内側側壁22の先端から断面略コ字状の内部方向斜めにそれぞれ車外側シールリップ24と車内側シールリップ25を延設している。このため、車外側側壁21、車内側側壁22及びガラスラン部底壁23からなる断面略コ字状の内部をドアガラス5の端部が摺動して、ドアガラス5を保持することができる。
【0032】
ガラスラン部20は、車内側側壁22、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25が軟質部材から形成されている。軟質部材として、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましい。軟質部材を使用するため、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25が柔軟に撓むことができ、ドアガラス5が上昇するときに、ドアガラス5の端部を確実に当接して、ドアガラス5とドアフレーム2の間をシールすることができる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用すると、トリム部30がオレフィン系合成樹脂を使用した場合に、両者が溶着し易く、リサイクルも容易である。なお、発泡体を使用することもできる。
【0033】
車外側側壁21とガラスラン部底壁23は、後述する硬質部材で形成されている。
車外側側壁21は、根元部が厚肉に形成され、先端に行くにつれて肉厚を薄くするように形成されて、車外側側壁21は、内面が湾曲して形成されている。このため、車外側側壁21の剛性が大きく、ドアフレーム2の湾曲が大きくても、車外側側壁21が、皺が寄ったり、波打ったりするような変形することがない。また、ドアガラス5が車外側に寄っても、ドアガラス5の先端を車外側側壁21が保持することができ、ドアガラス5がガラスラン部20から外れることがない。
【0034】
車外側側壁21と後述するトリム部底壁33の外面には、連続して表皮膜21aを取付けられている。本実施の形態では、表皮膜21aは、ポリスチレン(PS)と動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)とのブレンド材を使用する。ブレンド材は、ブレンド比が動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)100重量部に対してポリスチレン(PS)が10〜50重量部である。このため、表皮膜21aとサイドバイザー50を取付ける、後述する両面接着テープ40との接着力を強化させることができる。表皮膜21aの表面を処理する必要がなく、サイドバイザー50の取付けが確実に、容易にできる。
【0035】
この表皮層21aを使用した場合は、両面接着テープとの接着力は、以下のとおりである。表面を脱脂した後に、この表皮層21aに両面接着テープを常温で接着し、24時間常温で放置後、常温での剥離強度は、26.4N/10mmである。また、この表皮層21aに両面接着テープを80℃で接着し、24時間常温で放置後、80℃での剥離強度は、8.6N/10mmである。
一方、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)のみの材料を使用した場合の接着力は、以下のとおりである。表面を脱脂した後に、この表皮層21aに両面接着テープを常温で接着し、24時間常温で放置後、常温での剥離強度は、19.7N/10mmである。また、この表皮層21aに両面接着テープを80℃で接着し、24時間常温で放置後、80℃での剥離強度は、4.8N/10mmである。
【0036】
車内側側壁22と車内側シールリップ25を車外側側壁21と車外側シールリップ24よりも大きく、肉厚に形成することが好ましい。この場合には、ドアガラス5が上昇してガラスラン10内に位置したときに、ドアガラス5を車外側にシフトさせることができ、ドア1の車外側面の段差を小さくして、見栄えを良くし、風切り音を減少させることができる。また、車内側側壁22がドアフレーム2のドアフレーム取付面4に確実に取付けられることができる。
【0037】
車外側シールリップ24と車内側シールリップ25の表面(ドアガラス5と接触する面)には、低摺動部材を塗布することが好ましい。低摺動部材として、低摺動性のTPV(動的架橋型オレフィン系熱可塑性 エラストマー)を薄層に形成したり、シリコン塗料、ウレタン塗料等を塗布したりして使用することができる。これにより、ドアガラスの昇降をスムースにするとともに、異音の発生を防止できる。
【0038】
ガラスラン部底壁23の内面側に、車内側側壁22との連結部分から底壁リップ26を形成することができる。底壁リップ26は、ドアガラス5が上昇したときに、ドアガラス5の上端が底壁リップ26に当接して、ガラスラン部底壁23への衝撃を吸収することができる。底壁リップ26の表面にも低摺動部材を塗布することが好ましい。
【0039】
車内側側壁22の外面には、ドアフレーム取付凹部4aに係合する車内側側壁係合部28が形成されている。車内側側壁係合部28は、先端が略T字形に形成される。先端は、
図1における上側が上方向に延びて、車内側側壁係合部リップ28aを形成し、先端の下側が、下方向に延びて車内側側壁係合部突部28bを形成する。そして、車内側側壁係合部リップ28aは、ドアフレーム取付凹部上壁4bと当接して、車内側側壁係合部突部28bは、ドアフレーム取付凹部下壁4cと当接する。
【0040】
車内側側壁係合部突部28bは、車内側側壁係合部リップ28aよりも短く形成され、車内側側壁係合部リップ28aは撓んでドアフレーム取付凹部上壁4bに当接する。このため、車内側側壁係合部突部28bは、車内側側壁係合部リップ28aの撓みにより、車内側側壁係合部リップ28aが車内側側壁係合部突部28bをドアフレーム取付凹部下壁4cに押圧して、確実に車内側側壁係合部28をドアフレーム取付凹部4aに保持させることができる。従って、車内側側壁22は、ドアフレーム取付面4に強く保持され、車内側側壁22の変形を防止できる。
【0041】
車内側側壁22の外面の先端には、ドアフレーム取付面4の下端(
図1におけるドアフレーム取付面4の下端であり、ドアフレーム取付面4が屈曲して折れ曲り、ドアインナーパネル2bに至る部分)に当接する車内側カバーリップ27を設けた。車内側カバーリップ27は、短く形成され、ドアインナーパネル2b側を覆うことなく、ドアフレーム取付面4の下端に当接する。
【0042】
このため、ドアフレーム2の湾曲が大きくても、車内側カバーリップ27が短く形成されるとともに、車内側側壁22が車内側側壁係合部28によりドアフレーム取付面4に強く保持され、車内側カバーリップ27がドアフレーム取付面4の下端に強く当接して、ドアフレーム2から離れることや皺が寄ることもない。
【0043】
車内側側壁22の外面の車内側側壁係合部28が形成された部分よりもガラスラン部底壁23側に車内側突条29が形成される。車内側突条29は、ドアフレーム取付面4のドアフレーム取付凹部4aよりもドアフレームフランジ部3側の部分に当接して、車内側カバーリップ27と合わせて車内側側壁22を保持する。
【0044】
車内側側壁22、車外側シールリップ24、車内側シールリップ25、車内側カバーリップ27、車内側側壁係合部28は、後述する軟質部材で形成されている。このため、車外側シールリップ24と車内側シールリップ25でドアガラス5の先端部分をシールすることができる。また、車内側側壁22は柔軟に曲がって、ドアフレーム2が湾曲していても、容易に取付けることができる。
【0045】
次に、トリム部30について説明する。トリム部30は、ガラスラン部底壁23と一体に形成されるガラスラン側側壁31と、車体開口部周縁6と対向するボディー側側壁32及びトリム部底壁33からなる断面略コ字状をなしている。
この断面略コ字状の内部に、ドアフレーム2の先端のドアフレームフランジ部3が挿入され、トリム部30で挟持し、ガラスラン10をドアフレーム2に保持する。本実施の形態では、ガラスラン部20のガラスラン部底壁23とトリム部30のガラスラン側側壁31は、同じ素材で同一の部材として一体的に形成されているが、ガラスラン部底壁23とのガラスラン側側壁31は、別の素材で両者を融着して一体的に形成してもよい。
【0046】
トリム部30のボディー側側壁32の外面(車体開口部周縁6と対向する面)には、2本のトリム部外側シールリップ34、34が形成されている。
図1に示すように、ドア閉時に、2本のトリム部外側シールリップ34、34が車体開口部周縁6に当接して、車体開口部周縁6とドアフレーム2の間を二重にシールする。
【0047】
ボディー側側壁32の断面略コ字状の内面には、2本のトリム部内側シールリップ35、35が形成され、ガラスラン側側壁31の断面略コ字状の内面には、3個のトリム部保持突条38、38、38が形成されている。
図1に示すように、ドアフレームフランジ部3がトリム部30の断面略コ字状の内部に挿入されたときに、ドアフレームフランジ部3の一方の面をトリム部内側シールリップ35、35で保持し、ドアフレームフランジ部3の他方の面をトリム部保持突条38、38、38で保持することができる。また、トリム部30が安定的にドアフレームフランジ部3に保持されることができる。
【0048】
ボディー側側壁32の先端の内面には、トリム部カバーリップ37が形成されている。
図1に示すように、ドアフレームフランジ部3がトリム部30の断面略コ字状の内部に挿入されたときに、ドアフレームフランジ部3の根元部分の屈曲した部分にトリム部カバーリップ37が当接して、トリム部30がドアフレームフランジ部3から外れることを防止している。
【0049】
ガラスラン側側壁31の先端に、トリム部30の内部方向に向かって、トリム部係止リップ36が形成されている。ドアフレームフランジ部3がトリム部30の断面略コ字状の内部に挿入されたときに、トリム部係止リップ36は、ドアフレームフランジ部フック3aに係合する。このため、トリム部30は、サイドバイザー50を接着しても、ドアフレームフランジ部3から外れ難くなっている。
【0050】
トリム部30は、ガラスラン側側壁31と、ボディー側側壁32、トリム部底壁33、トリム部係止リップ36、トリム部カバーリップ37、トリム部保持突条38は、硬質部材で形成され、トリム部外側シールリップ34、34、トリム部内側シールリップ35、35は軟質部材で形成され、トリム部全体が硬質部材と軟質部材の同時成形により押出成形される。なお、ガラスラン部20の車外側側壁21は、上述のように硬質部材で形成されている。このため、サイドバイザー50を接着する部分の剛性を大きくすることができる。
【0051】
これにより、トリム部30の本体部分は剛性が強く、ドアフレームフランジ部3を保持することができるとともに、トリム部外側シールリップ34、34は、車体開口部周縁6の形状に合わせて、柔軟に当接してシールし、トリム部内側シールリップ35、35はドアフレームフランジ部3に柔軟に当接して、シールすることができる。
トリム部係止リップ36とトリム部カバーリップ37が硬質部材で形成されているため、トリム部30がドアフレームフランジ部3に強く係合される。
【0052】
次に、本件発明の実施の形態のガラスラン10で使用する軟質部材と硬質部材について説明する。
軟質部材は、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)を使用する。
硬質部材として、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)とポリプロピレン樹脂(PP)のブレンド材を使用する。そのブレンド比は、PP:TPVが7:3〜4:6のものを使用する。この場合における硬質部材のヤング率は0.8〜1.4GPaである。
例えば、ブレンド比がPP:TPVが7:3である硬質部材のヤング率は、0.8GPaであり、この硬質部材を使用することができる。
【0053】
本件発明の実施の形態で使用する硬質部材は、ヤング率が0.8〜1.4GPaであるため、ガラスラン10をドアフレーム2に取付けるときの挿入荷重の増加を防止するとともに、ガラスラン10のトリム部30がドアフレームフランジ部3を強固に挟持することができる。ヤング率が0.8GPa未満では、トリム部30がドアフレームフランジ部3を挟持する力が低下し、ヤング率が1.4GPaを超える場合には、ガラスラン10をドアフレーム2に取付けるときの挿入荷重が増加して、取付け難くなる。
【0054】
また、本件発明の実施の形態で使用する硬質部材は、ポリプロピレン(PP)と動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)とのブレンド比が4〜7:6〜3であるため、充分な剛性と、弾性を有する。また、いずれもオレフィン系ポリマーであり、耐候性とリサイクル性に優れている。ポリプロピレン(PP)と動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)とのブレンド比が4:6よりも動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)の量が多く、ポリプロピレン(PP)の量が少ない場合には、剛性が低くなり、トリム部30がドアフレームフランジ部3を挟持する力が低下する。
【0055】
ポリプロピレン(PP)と動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)とのブレンド比が7:3よりも動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)の量が少なく、ポリプロピレン(PP)の量が多い場合には、剛性が大きくなり、ガラスラン10をドアフレーム2に取付けるときの挿入荷重が増加して、取付け難くなる。
【0056】
次に、本発明の実施の形態のガラスラン10にサイドバイザー50を取付ける場合について説明する。
図1に示すように、ガラスラン10は、ドアフレーム2に取付けられている。
まず、サイドバイザー50の先端側にある取付部52の裏面に両面接着テープ40を貼着する。
【0057】
そして、サイドバイザー50の取付部52よりも先端にある湾曲した先端部51を、ガラスラン10のトリム部30のトリム部底壁33の上端に当接させて、位置決めを行い、トリム部30のトリム部底壁33とガラスラン部20の車外側側壁21の外面の表皮膜21aに対して、両面接着テープ40を押圧する。
なお、両面接着テープ40を先に表皮膜21aに貼着して、サイドバイザー50の取付部52を圧着することもできる。