特許第5995293号(P5995293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995293
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の動作制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20160908BHJP
   H04N 5/63 20060101ALI20160908BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20160908BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   H04N5/74 Z
   H04N5/63 Z
   G03B21/00 D
   G03B21/14 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-505919(P2014-505919)
(86)(22)【出願日】2012年3月23日
(86)【国際出願番号】JP2012057447
(87)【国際公開番号】WO2013140592
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2014年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】富家 修
【審査官】 益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−234107(JP,A)
【文献】 特開2012−047849(JP,A)
【文献】 特開2004−289361(JP,A)
【文献】 特開2010−010942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H04N 5/63
G03B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示装置から映像を投射することで提供映像を表示する表示システムを構成する表示装置であって、
制御信号を受信する通信手段と、
前記制御信号に応じた映像を投射する映像投射手段と、
前記制御信号に基づいて前記映像投射手段の動作を制御する第1の制御手段と、
前記通信手段及び前記第1の制御手段への電源供給を制御する第2の制御手段とを有し、
前記第1の制御手段は、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源が供給される第2の待機モードのときに、前記通信手段が、該通信手段及び前記第1の制御手段に電源が供給されていない第1の待機モードから前記第2の待機モードに移行するためのモード移行信号を受信した場合、トリガ信号を他の表示装置の前記第2の制御手段に出力し、
前記第2の制御手段は、前記第1の待機モードのときに、他の表示装置の前記第1の制御手段から前記トリガ信号を受信した場合、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源を供給することで、前記第2の待機モードに移行する表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記通信手段は、有線を介して信号を受信する表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、
前記通信手段は、無線を介して信号を受信する表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置において、
前記トリガ信号を赤外線によって送受信する赤外線送受信手段を有する表示装置。
【請求項5】
制御信号を受信する通信手段と、前記制御信号に応じた映像を投射する映像投射手段と、前記制御信号に基づいて前記映像投射手段の動作を制御する第1の制御手段と、前記通信手段及び前記第1の制御手段への電源供給を制御する第2の制御手段とを有し、複数の表示装置から映像を投射することで提供映像を表示する表示システムを構成する表示装置の動作制御方法であって、
前記第1の制御手段が、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源が供給される第2の待機モードのときに、前記通信手段が、該通信手段及び前記第1の制御手段に電源が供給されていない第1の待機モードから前記第2の待機モードに移行するためのモード移行信号を受信した場合、トリガ信号を他の表示装置の前記第2の制御手段に出力する処理と、
前記第2の制御手段が、前記第1の待機モードのときに、他の表示装置の前記第1の制御手段から前記トリガ信号を受信した場合、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源を供給することで、前記第2の待機モードに移行する処理とを有する、表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を投射する表示装置及び表示装置の動作制御方法に関し、特に、待機モードにおける消費電力を削減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プレゼンテーション等にて情報を表示する表示装置として、スクリーン等に映像を投射する投射型プロジェクタ装置が用いられている。投射型プロジェクタ装置は、有線LANや無線LANを介して制御を行うことが可能であり、映像を投射するための信号を有線LANや無線LANを介して投射型プロジェクタ装置に与えることにより、遠隔的に情報の表示制御を行うことができる。
【0003】
このような投射型プロジェクタ装置においては、複数の投射型プロジェクタ装置を用い、複数の投射型プロジェクタ装置から同一の映像を同一のスクリーンに投射することで輝度を高めるスタック投射方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。スタック投射方式を用いた場合、上述したように輝度を高めることができるとともに、複数の投射型プロジェクタ装置のうち1つの投射型プロジェクタ装置とスクリーンとの間に人等が介在した場合であっても、他の投射型プロジェクタ装置から投射された同一の映像がスクリーン上に表示されているため、映像が見えなくなってしまうことが回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−165949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した投射型プロジェクタ装置のような有線LANや無線LANを介して制御される表示装置においては、消費電力を削減するためにスタンバイモードが設定可能となっている。このスタンバイモードにおいては、映像を投射するための回路に電源を供給しないことによって消費電力を削減しているが、その場合でも、映像を投射するための信号を有線LANや無線LANを介して受信するための回路に電源を供給しておく必要がある。上述したように複数の表示装置を用いた場合、スタンバイモードでも複数台の電力が消費されてしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、受信した制御信号によって制御される表示装置を複数用いた表示システムにおいて、映像を投射しない待機モードにおける消費電力を削減することができる表示装置及び表示装置の動作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
複数の表示装置から映像を投射することで提供映像を表示する表示システムを構成する表示装置であって、
制御信号を受信する通信手段と、
前記制御信号に応じた映像を投射する映像投射手段と、
前記制御信号に基づいて前記映像投射手段の動作を制御する第1の制御手段と、
前記通信手段及び前記第1の制御手段への電源供給を制御する第2の制御手段とを有し、
前記第1の制御手段は、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源が供給されていない第1の待機モードから前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源が供給されている第2の待機モードに移行するモード移行信号を前記通信手段にて受信した場合にトリガ信号を出力し、
前記第2の制御手段は、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源を供給していない状態において前記トリガ信号が入力された場合に、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源を供給する。
【0008】
また、制御信号を受信する通信手段と、前記制御信号に応じた映像を投射する映像投射手段と、前記制御信号に基づいて前記映像投射手段の動作を制御する第1の制御手段と、前記通信手段及び前記第1の制御手段への電源供給を制御する第2の制御手段とを有し、複数の表示装置から映像を投射することで提供映像を表示する表示システムを構成する表示装置の動作制御方法であって、
前記第1の制御手段が、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源が供給されていない第1の待機モードから前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源が供給されている第2の待機モードに移行するモード移行信号を前記通信手段にて受信した場合にトリガ信号を出力する処理と、
前記第2の制御手段が、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源を供給していない状態において前記トリガ信号が入力された場合に、前記通信手段及び前記第1の制御手段に電源を供給する処理とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示システムを構成する複数の表示装置のうち1つを除いた表示装置の通信手段に電源が供給されていない状態においても、通信手段に電源が供給されている表示装置の通信手段にて、通信手段に電源が供給されていない第1の待機モードから通信手段に電源が供給されている第2の待機モードに移行するためのモード移行信号が受信された場合に、この表示装置から出力されるトリガ信号が、通信手段に電源が供給されていない表示装置に入力されることでこの表示装置においても通信手段に電源が供給されることとなるので、映像を投射しない待機モードにおいては、表示システムを構成する複数の表示装置のうち1つの表示装置の通信手段に電源を供給しておけばよい。それにより、受信した制御信号によって制御される表示装置を複数用いた表示システムにおいて、映像を投射しない待機モードにおける消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の表示装置を複数有してなる表示システムの実施の一形態を示す構成ブロック図である。
図2図1に示した3台の投射型プロジェクタ装置の裏面における接続状態を示す図である。
図3図1及び図2に示した投射型プロジェクタ装置の内部回路を模式的に示したブロック図である。
図4図1図3に示した表示システムにおいて消費電力を削減するための投射型プロジェクタ装置の動作制御方法を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の表示システムに用いられる投射型プロジェクタ装置の他の実施の形態の内部回路を模式的に示したブロック図である。
図6】本発明の表示システムに用いられる投射型プロジェクタ装置の他の実施の形態の内部回路を模式的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の表示装置を複数有してなる表示システムの実施の一形態を示す構成ブロック図であり、図2は、図1に示した3台の投射型プロジェクタ装置1a〜1cの裏面における接続状態を示す図である。
【0013】
本形態は図1及び図2に示すように、3台の表示装置となる投射型プロジェクタ装置1a〜1cから構成されている。投射型プロジェクタ装置1a〜1cはそれぞれ、裏面に設けられた有線LANポート4a〜4cに有線LANケーブル2が接続されており、この有線LANケーブル2を介してネットワークに接続された構成となっている。また、投射型プロジェクタ装置1a〜1cのそれぞれには、裏面にトリガ信号入力ポート5a〜5c及びトリガ信号出力ポート6a〜6cが設けられており、投射型プロジェクタ装置1aと投射型プロジェクタ装置1bとが、投射型プロジェクタ装置1aのトリガ信号出力ポート6aと投射型プロジェクタ装置1bのトリガ信号入力ポート5bとに接続されたトリガ信号ケーブル3aを介して接続されており、また、投射型プロジェクタ装置1bと投射型プロジェクタ装置1cとが、投射型プロジェクタ装置1bのトリガ信号出力ポート6bと投射型プロジェクタ装置1cのトリガ信号入力ポート5cとに接続されたトリガ信号ケーブル3bを介して接続されている。
【0014】
このように構成された表示システムにおいては、3台の投射型プロジェクタ装置1a〜1cから同一の映像を同一のスクリーンに投射するスタック投射方式によって提供映像がスクリーン上に表示されることになる。
【0015】
図3は、図1及び図2に示した投射型プロジェクタ装置1aの内部回路を模式的に示したブロック図である。なお、図1及び図2に示した投射型プロジェクタ装置1b,1cの内部回路も同様の構成である。
【0016】
図1及び図2に示した投射型プロジェクタ装置1aは、図3に示すように、通信手段となる有線LAN回路11と、映像投射手段となるプロジェクタ投射回路13と、第1の制御手段となるメインCPU回路12と、第2の制御手段となるサブCPU回路14と、3つの電源スイッチ回路15〜17と、電源回路18と、赤外線受信回路21と、キースイッチ22とから構成されている。
【0017】
有線LAN回路11は、有線LANポート4aに接続されており、電源回路18から供給される電源によって動作し、映像を投射するための制御信号やモードを移行するためのモード移行信号等のLAN信号を、有線LANポート4aを介してネットワークとの間で送受信する。
【0018】
プロジェクタ投射回路13は、電源回路18から供給される電源によって動作し、有線LAN回路11にて受信された信号に応じた映像を投射する。
【0019】
メインCPU回路12は、電源回路18から供給される電源によって動作し、有線LAN回路11にて受信された信号に基づいてプロジェクタ投射回路13の動作を制御する。また、メインCPU回路12は、電源スイッチ回路17を制御することによって、電源回路18からプロジェクタ投射回路13への電源供給を制御する。また、メインCPU回路12は、投射型プロジェクタ装置1aがスタンバイモードであり、投射型プロジェクタ装置1bが省電力モードである状態において、有線LAN回路11にてモード移行信号を受信した場合に、トリガ信号をトリガ信号出力ポート6aを介して出力する。
【0020】
サブCPU回路14は、電源回路18から供給される電源によって動作し、電源スイッチ回路15,16を制御することによって、電源回路18から有線LAN回路11及びメインCPU回路12への電源供給を制御するものであって、トリガ信号入力ポート5aを介してトリガ信号が入力された場合に、電源スイッチ回路15,16を制御することによって、電源回路18から有線LAN回路11及びメインCPU回路12に電源が供給されるように制御する。
【0021】
赤外線受信回路21は、外部から赤外線を受信し、その赤外線による信号をサブCPU回路14に出力する。
【0022】
キースイッチ22は、外部から操作可能に構成され、操作に応じた信号をサブCPU回路14に出力する。
【0023】
以下に、上記のように構成された表示システムにおける投射型プロジェクタ装置1a〜1cの動作について説明する。
【0024】
まず、3台の投射型プロジェクタ装置1a〜1cの電源のモードについて説明する。
【0025】
3台の投射型プロジェクタ装置1a〜1cは、電源のモードとして、第1の待機モードである省電力モードと、第2の待機モードであるスタンバイモードと、電源ONモードとの3つのモードの状態がある。
【0026】
省電力モードは、サブCPU回路14のみが、電源回路18から電源が供給されることによって動作している状態である。このとき、有線LAN回路11は、サブCPU回路14において電源スイッチ回路15が制御されることによって電源が供給されておらず、また、メインCPU回路12は、サブCPU回路14において電源スイッチ回路16が制御されることによって電源が供給されていない。さらに、プロジェクタ投射回路13は、メインCPU回路12に電源が供給されていないことにより、電源回路18からの電源が、メインCPU回路12によって制御される電源スイッチ回路17にて遮断されており、電源が供給されておらず動作していない。なお、メインCPU回路12には電源が供給されていないが、電源スイッチ回路17を制御する信号が“L”レベルの場合に、電源回路18から供給される電源を電源スイッチ回路17にて遮断するように制御されていればメインCPU回路12に電源が供給されていなくても問題はない。以上のような省電力モード時には、サブCPU回路14にしか電源が供給されていないため電力の消費を極力抑えることができる。
【0027】
スタンバイモードにおいては、サブCPU回路14において電源スイッチ回路15が制御されることによって有線LAN回路11に電源回路18からの電源が供給されており、また、サブCPU回路14において電源スイッチ回路16が制御されることによってメインCPU回路12に電源回路18からの電源が供給されている。
【0028】
電源ONモードにおいては、上述したスタンバイモードから、メインCPU回路12において電源スイッチ回路17が制御されることによってプロジェクタ投射回路13に電源回路18からの電源が供給され、プロジェクタ投射回路13から映像が投射される。
【0029】
次に、モードを移行させる場合の制御方法について説明する。
【0030】
投射型プロジェクタ装置1a〜1cが省電力モードからスタンバイモードに移行する場合は、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを省電力モードからスタンバイモードに移行させるための赤外線による信号が赤外線受信回路21にて受信されたり、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを省電力モードからスタンバイモードに移行させるための操作がキースイッチ22に対して行われたりすると、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを省電力モードからスタンバイモードに移行させるための信号がサブCPU回路14に送られ、サブCPU回路14にて電源スイッチ回路15,16が制御されることによって電源回路18からの電源が有線LAN回路11及びメインCPU12に供給され、投射型プロジェクタ装置1a〜1cがスタンバイモードに移行する。
【0031】
また、投射型プロジェクタ装置1a〜1cがスタンバイモードの状態において、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを電源ONモードに移行させるための赤外線による信号が赤外線受信回路21にて受信されたり、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを電源ONモードに移行させるための操作がキースイッチ22に対して行われたりすると、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを電源ONモードに移行させるための信号がサブCPU回路14を介してメインCPU回路12に送られ、メインCPU回路12にて電源スイッチ回路17が制御されることによって電源回路18からの電源がプロジェクタ投射回路14に供給され、投射型プロジェクタ装置1a〜1cが電源ONモードに移行し、有線LAN回路11を介して受信された信号に基づいてプロジェクタ投射回路13から映像が投射される。なお、スタンバイモードでは、有線LAN回路11も動作しているので、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを電源ONモードに移行させるための信号をネットワークから有線LANポート4a〜4cを介して有線LAN回路11に送ることで電源ONモードに移行することも可能である。
【0032】
このようにして投射型プロジェクタ装置1a〜1cの全てが電源ONモードとなり、投射型プロジェクタ装置1a〜1cのそれぞれから同一の映像が同一のスクリーンに投射されることで、輝度が高い提供映像が表示されることになる。
【0033】
逆に投射型プロジェクタ装置1a〜1cが電源ONモードからスタンバイモードに移行するときは、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを電源ONモードからスタンバイモードに移行させるための赤外線による信号が赤外線受信回路21にて受信されたり、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを電源ONモードからスタンバイモードに移行させるための操作がキースイッチ22に対して行われたりすると、投射型プロジェクタ装置1a〜1cを電源ONモードからスタンバイモードに移行させるための信号がサブCPU回路14を介してメインCPU回路12に送られ、メインCPU回路12にて電源スイッチ回路17が制御されることによって電源回路18からの電源がプロジェクタ投射回路14に供給されない状態となり、投射型プロジェクタ装置1a〜1cがスタンバイモードに移行する。
【0034】
スタンバイモードとなった投射型プロジェクタ装置1a〜1cが省電力モードに移行する場合は、例えば、投射型プロジェクタ装置1a〜1cがスタンバイモードに移行したのち任意の時間、上述したような赤外線受信回路21における赤外線によるモード移行の信号の受信や、キースイッチ22に対する操作や、有線LAN回路11におけるモード移行の信号の受信がない場合、サブCPU回路14にて電源スイッチ回路15,16が制御されることによって電源回路18からの電源が有線LAN回路11及びメインCPU12に供給されなくなり、投射型プロジェクタ装置1a〜1cが省電力モードに移行する。ここで、例えば、スタンバイモード時に有線LANを用いて制御したいユーザーがいた場合は自動で省電力モードに移行しない設定にしておけばスタンバイモードにとどまることも可能である。つまり、電源ONモード以外のときにユーザーが有線LANを介した制御を行いたければスタンバイモードで待機させ、有線LANを介した制御を行わないのであればより消費電力を削減できる省電力モードで待機させることが選択できる。
【0035】
以下に、本願発明によって消費電力を削減するための制御方法について説明する。
【0036】
図4は、図1図3に示した表示システムにおいて消費電力を削減するための投射型プロジェクタ装置1a〜1cの動作制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0037】
上述したように、スタック投射方式で複数台の投射型プロジェクタ装置を、有線LANを介して制御する場合、全ての投射型プロジェクタ装置について有線LAN回路が動作状態となるスタンバイモードにしておく必要があり、それにより消費電力が増えてしまう問題があった。
【0038】
本形態においては、図1図3に示した3台の投射型プロジェクタ装置1a〜1cのうち1つの投射型プロジェクタ装置1aのみを上述した制御によってスタンバイモードにしておき(ステップ1)、それ以外の2台の投射型プロジェクタ装置1b,1cを上述した制御によって省電力モードにしておく(ステップ2,3)。この状態においては、スタンバイモードとなっている投射型プロジェクタ装置1aは有線LANを介しての制御が可能であるものの、省電力モードとなっている投射型プロジェクタ装置1b,1cは有線LANを介しての制御が不可能となっている。
【0039】
この状態から投射型プロジェクタ装置1a〜1cの全てを、有線LANを介して制御が可能な状態にする場合、まず、投射型プロジェクタ装置1aに対してモードを移行するためのモード移行信号をネットワークを介して送信すると、モード移行信号が投射型プロジェクタ装置1aの有線LANポート4aを介して有線LAN回路11にて受信される(ステップ4)。なお、投射型プロジェクタ装置1a〜1cの全てを、有線LANを介して制御が可能な状態にするためのモード移行信号として特定の信号を用いるのではなく、プロジェクタ投射回路13にて映像を投射するための制御信号をモード移行信号として用いることも考えられる。
【0040】
すると、投射型プロジェクタ装置1aのメインCPU回路12から、投射型プロジェクタ装置1bをスタンバイモードに移行させるためのトリガ信号がトリガ信号出力ポート6aを介して出力される(ステップ5)。
【0041】
投射型プロジェクタ装置1aのメインCPU回路12からトリガ信号出力ポート6aを介して出力されたトリガ信号は、トリガ信号ケーブル3aを介して投射型プロジェクタ装置1bのトリガ信号入力ポート5bに入力され、投射型プロジェクタ装置1bのサブCPU回路14に送られる(ステップ6)。
【0042】
すると、投射型プロジェクタ装置1bにおいて、サブCPU回路14にて電源スイッチ回路15,16が制御されることによって電源回路18からの電源が有線LAN回路11及びメインCPU12に供給され、投射型プロジェクタ装置1bがスタンバイモードに移行する(ステップ7)。
【0043】
投射型プロジェクタ装置1bは、スタンバイモードに移行すると、有線LAN回路11に電源が供給されていることにより、有線LANを介した制御が可能な状態となっており、その後、上記モード移行信号が投射型プロジェクタ装置1bの有線LANポート4bを介して有線LAN回路11にて受信されると(ステップ8)、投射型プロジェクタ装置1bのメインCPU回路12から、投射型プロジェクタ装置1cをスタンバイモードに移行させるためのトリガ信号がトリガ信号出力ポート6bを介して出力される(ステップ9)。
【0044】
投射型プロジェクタ装置1bのメインCPU回路12からトリガ信号出力ポート6bを介して出力されたトリガ信号は、トリガ信号ケーブル3bを介して投射型プロジェクタ装置1cのトリガ信号入力ポート5cに入力され、投射型プロジェクタ装置1cのサブCPU回路14に送られる(ステップ10)。
【0045】
すると、投射型プロジェクタ装置1cにおいて、サブCPU回路14にて電源スイッチ回路15,16が制御されることによって電源回路18からの電源が有線LAN回路11及びメインCPU12に供給され、投射型プロジェクタ装置1cがスタンバイモードに移行する(ステップ11)。これにより、投射型プロジェクタ装置1cにおいても、有線LAN回路11に電源が供給されていることにより、有線LANを介した制御が可能な状態となる。
【0046】
このように、複数の投射型プロジェクタ装置1a〜1cから同一の映像を同一のスクリーンに投射するスタック投射方式による表示システムにおいて、投射型プロジェクタ装置1a〜1cの全てについて、有線LANを介した制御を行うための有線LAN回路11に常に電力を供給しておく必要はなく、1つの投射型プロジェクタ装置1aの有線LAN回路11のみに電力を供給しておき、有線LANを介した制御が必要な場合のみ、投射型プロジェクタ装置1a〜1cの全てについて有線LAN回路11に電力を供給してスタンバイモードに移行すればよいため、映像を投射しない待機モードにおける消費電力を削減することが可能となる。
【0047】
(他の実施の形態)
図5は、本発明の表示装置の他の実施の形態の内部回路を模式的に示したブロック図である。
【0048】
本形態における投射型プロジェクタ装置は図5に示すように、図3に示したものに対して、有線LAN回路11の代わりに無線LAN回路19を設け、無線LANのネットワークを介して制御されるものである点が異なるものである。
【0049】
上記のように構成された投射型プロジェクタ装置を用いた表示システムにおいては、上述したプロジェクタ投射回路13からの映像の投射や、モードを移行するためのモード移行信号は、無線LANのネットワークを介して送信されてきて無線LAN回路19にて受信されることになる。
【0050】
図6は、本発明の表示装置の他の実施の形態の内部回路を模式的に示したブロック図である。
【0051】
本形態における投射型プロジェクタ装置は図6に示すように、図3に示したものに対して、トリガ信号出力ポート6aの代わりに赤外線送信回路23を設けるとともに、トリガ信号入力ポート5aの代わりに赤外線受信回路24を設け、これら赤外線送信回路23及び赤外線受信回路24の赤外線送受信手段によって、トリガ信号が送受信される点が異なるものである。
【0052】
上記のように構成された投射型プロジェクタ装置を用いた表示システムにおいては、メインCPU回路12から出力されたトリガ信号が赤外線送信回路23から赤外線として出力され、このトリガ信号が赤外線受信回路24にて受信され、サブCPU回路14に送られることなる。そのため、上述したようにモードが順次移行していく投射型プロジェクタ装置1a〜1cにおいては、投射型プロジェクタ装置1aの赤外線送信回路23と投射型プロジェクタ装置1bの赤外線受信回路24とを対向させ、かつ、投射型プロジェクタ装置1bの赤外線送信回路23と投射型プロジェクタ装置1cの赤外線受信回路24とを対向させることにより、トリガ信号が確実に送受信されることとなる。
【0053】
なお、上述した実施の形態においては、3台の投射型プロジェクタ装置1a〜1cのうち、1台の投射型プロジェクタ装置1aをスタンバイモード、残りの2台の投射型プロジェクタ装置1b,1cを省電力モードにしておき、投射型プロジェクタ装置1aから出力されたトリガ信号によって投射型プロジェクタ装置1bがスタンバイモードに移行し、その後、スタンバイモードに移行した投射型プロジェクタ装置1bから出力されたトリガ信号によって投射型プロジェクタ装置1cがスタンバイモードに移行するものを例に挙げて説明したが、スタンバイモードである投射型プロジェクタ装置1aから、省電力モードである投射型プロジェクタ装置1b,1cにトリガ信号を出力し、これら投射型プロジェクタ装置1b,1cが、投射型プロジェクタ装置1aから出力されたトリガ信号を受信することによってスタンバイモードに移行するものであってもよい。
【0054】
また、本発明の表示システムは、上述したようなスタック投射方式ではなく、投射型プロジェクタ装置1a〜1cのそれぞれから1つの映像を分割したものを1つのスクリーンに対して投射して提供画像が表示されるものであってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6