(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作物を貯留する貯留部材(2)を設け、該貯留部材(2)から送られる作物を一本ずつ整列させる整列搬送装置(42)を設け、整列搬送装置(42)で整列された作物を受けて選別する選別搬送装置(70)を設けた作物選別装置において、
該整列搬送装置(42)の搬送下手側に作物を加速して選別搬送装置(70)に搬送する加速搬送装置(38s)を設け、
前記整列搬送装置(42)は、一対の整列駆動回転体(36,36)と一対の整列従動回転体(39,39)に各々巻回する整列搬送無端帯(41,41)と、該一対の整列搬送無端帯(41,41)を回転させる整列駆動装置(27)で構成し、
該加速搬送装置(38s)は、前記一対の整列駆動回転体(36,36)の間隔部に設ける加速駆動回転体(35)と、前記一対の整列従動回転体(39,39)の間隔部に設ける加速搬送回転体(38)と、該加速駆動回転体(35)と加速搬送回転体(38)に巻回する加速搬送無端帯(40)と、該加速搬送無端帯(40)を回転させる加速駆動装置(26)で構成し、
前記加速搬送回転体(38)の外周縁部に前記一対の整列搬送部材(41,41)の搬送面よりも上方に突出する突起部(38v)を形成し、
前記加速搬送無端帯(40)の上面を前記突起部(38v)及び一対の整列搬送部材(41,41)の上面よりも下方に配置したことを特徴とする作物選別装置。
前記加速駆動装置(26)から駆動力を受けて回転する伝動回転体(33)を設け、該伝動回転体(33)から加速駆動回転体(35)に駆動力を伝動する構成とし、前記伝動回転体(33)を加速駆動回転体(35)に駆動力を伝動する側に付勢する付勢装置(32)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の作物選別装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態について説明する。
図1から
図21に示すとおり、実施例の一つとして示す人参等の作物を整列させる整列装置は、投入した人参を貯留する貯留部Aと、貯留部Aから人参を汲上搬送する汲上搬送部Bと、汲上搬送部Bから排出される人参を受けて整列させながら搬送する整列搬送部Cとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0025】
本願において選別対象となる人参は、圃場から掘取収穫したときの泥土が付着しているため、選別作業の前工程として洗浄機による洗浄作業が行うことが一般的である。このとき、人参に付着していた泥土や夾雑物、及び人参の表面を覆う白色の薄皮が除去される。除去された泥土や薄皮は洗浄水に混入するため、人参に付着した洗浄水は通常の水(水道水や河川の水等)よりも強い粘性を有するものとなる。よって、本願において「水」という場合には、上記の通り強い粘性を有するものを指し示すものとする。
【0026】
まず、貯留部Aについて説明する。
図1及び
図2で示すとおり、メインフレーム1の搬送上手側の前部に人参を貯留するホッパ2を取り付け、該ホッパ2の搬送上手側の前端部に下り傾斜姿勢の傾斜板2aを取り付けると共に、ホッパ2の左右両側端部に夫々下り傾斜姿勢の左右傾斜板2b,2bを取り付けることによって、貯留部Aが構成される。
【0027】
次に、汲上搬送部Bについて説明する。
図1及び
図2で示すとおり、前記ホッパ2の内側下部に左右の側板3,3を取り付けると共に、該左右の側板3,3の後端部に左右の汲上側板4,4を後上り傾斜姿勢に取り付ける。また、該左右の汲上側板4,4の後端部左右間に駆動スプロケット5,5を左右両端に各々装着した駆動シャフト6を回転自在に取り付け、左右の側板3,3と左右の汲上側板4,4の境目に左右テンションスプロケット8,8を各々装着した左右中間シャフト9を回転自在に取り付けると共に、左右の側板3,3の前端部に左右の従動スプロケット10,10を各々装着した従動シャフト11を回転自在に取り付ける。
【0028】
そして、該左右の駆動スプロケット5,5と左右のテンションスプロケット8,8と左右の従動スプロケット10,10とに左右の伝動チェーン12,12を無端状に巻回する。さらに、該左右の伝動チェーン12,12の左右間に人参を搬送下手側へ搬送する複数の搬送ローラ14…を回転自在に取り付け、該搬送ローラ14…同士の前後間隔を広い間隔部S1と狭い間隔部S2が交互に形成されるよう配置し、前記左右の汲上側板4,4の終端部に人参を排出する案内シュータ15を取り付けて、汲上搬送コンベア16を構成する。
【0029】
なお、この案内シュータ15は金属、プラスチック等の硬質部材で構成すると排出位置が安定しやすく、塩化ビニルやスポンジ等の軟質部材で構成すると汲上搬送コンベア16の搬送終端部の直下の、第1整列搬送コンベア42の搬送始端部に乗せることができ、効率よく人参を整列搬送させることができると共に、案内シュータ15の端部に人参が接触して傷付くことが防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0030】
そして、前記左右の汲上側板4,4の上側に汲上伝動ケース17を取り付け、該汲上伝動ケース17の上部に汲上搬送コンベア16に駆動力を供給する駆動モータ18を取り付ける。また、前記出力スプロケット20を前記駆動シャフト6の左右一側の端部に軸着して配置し、前記汲上伝動ケース17の内部で入力スプロケット21を駆動モータ18の出力軸に装着すると共に、該出力スプロケット20と入力スプロケット21との間に汲上伝動チェーン22を無端状に巻き掛けることによって、汲上搬送部Bが構成される。
【0031】
上記構成によれば、搬送ローラ14…同士の前後方向の間隔を、広い間隔部S1と狭い間隔部S2とが交互に形成されるよう配置したことによって、広い間隔部S1ではS〜Lサイズの人参が混在して搬送されるか、あるいは2L、3Lサイズの人参が一本ずつ搬送されるとともに、狭い間隔部ではS〜Lサイズの人参が搬送され、2L、3Lサイズの人参はその後側の広い間隔部S1に移動させられるので、後述する第1整列搬送コンベア42の搬送始端部に2L、3Lの人参が一度に大量に投入されることを防止でき、人参の整列制度が向上するので、後述する選別搬送部Eでの選別精度も向上する。
【0032】
なお、前記搬送ローラ14…同士の前後間隔のうち、広い間隔部S1の幅は2L、3Lサイズの人参の平均的な直径である80mm〜100mm前後とし、狭い間隔部の幅はS〜Lサイズの人参の平均的な直径である60〜80mm前後とすると、上記の効果がいっそう発揮されやすくなるので、整列装置の整列精度及び選別搬送部Eの選別精度をさらに向上させることができる。
【0033】
次に、整列搬送部Cについて説明する。
図1から
図6、及び
図20、
図21で示すとおり、前記メインフレーム1の後側上部に整列搬送フレーム23を取り付け、該整列搬送フレーム23の上面の左右両側に左右の整列側板24,24を取り付ける。該左右の整列側板24,24の左右間隔は、前記汲上搬送部Bの汲上側板4,4の左右間隔と略同一とする。
【0034】
また、該左右の整列側板24,24のうち、後述するフィードバックシュータ44を設けない側に案内傾斜板25を整列搬送フレーム23に向かって下り傾斜姿勢で配置する。そして、該フィードバックシュータ44を設ける側には、搬送上手側に設ける回転自在な排出従動ローラ49と、搬送下手側に設けるインバータ付の排出駆動モータ51を内装した排出駆動ローラ50と、該排出従動ローラ49と排出駆動ローラ50に亘って排出搬送ベルト52を無端状に巻回して構成する、整列搬送コンベア42に載らない人参を後述する排出シュータ43に案内する排出搬送コンベア53を構成する。
【0035】
該排出搬送コンベア53は、整列搬送フレーム23に向かって下り傾斜姿勢で配置する。この構成とするべく、排出搬送ベルト52の裏面に蛇行防止突起部52aを形成し、前記排出従動ローラ49と排出駆動ローラ50の傾斜方向上部には蛇行防止突起部52aを受ける排出従動ガイド溝49a及び輩出駆動ガイド溝50aを形成している。
【0036】
また、前記排出搬送ベルト52の巻回域内で且つ人参を搬送する搬送作用面側の裏側には、人参の接触による該排出搬送ベルト52の弛みを防止する姿勢保持プレート54を設けている。該姿勢保持プレート54は排出駆動ローラ50と排出従動ローラ49の前後間に亘る長さである。また、人参を洗浄した水及び水溶成分による錆び付きを防止すべく、不銹鋼や合成樹脂で構成すると、姿勢保持プレート54の耐久性が大幅に向上する。
【0037】
なお、該排出搬送コンベア53の周速は、後述する整列搬送コンベア42を構成する左右の整列搬送ベルト41,41の周速と同じ、あるいは遅く設定し、整列搬送コンベア42に載り得る人参を排出搬送コンベア53が先に搬送し、排出シュータ43に排出することを防止することにより、ホッパ2に人参が戻る頻度が必要以上に増加することが無く、作業能率が向上する。
【0038】
これに加えて、
図20で示す通り、排出搬送コンベア53の前後幅は、前記汲上搬送コンベア16の左右幅と少なくとも同じ、あるいは汲上搬送コンベア16の左右幅よりも広い幅とする。なお、排出搬送コンベア53の搬送始端部と整列搬送コンベア42の搬送始端部が同じとなる位置に配置する。
【0039】
上記構成では、貯留部Aと汲上搬送部Bを直線状に配置し、この汲上搬送部Bの搬送方向を基準として選別搬送部Cを90度屈曲させた方向に向けて配置する。前記汲上搬送部Bの汲上搬送コンベア16から排出される人参は、整列搬送コンベア42に落下して搬送されるか、排出搬送コンベア53に落下して整列搬送コンベア42に転がって行き引き継がれるか、あるいは排出搬送コンベア53の搬送終端部から落下シュータ43に排出される構成となる。
【0040】
このため、汲上搬送部Bの汲上搬送コンベア16から排出される人参は排出搬送コンベア53または整列搬送コンベア42に確実に落下するので、機外に人参が落下することが防止され、人参を搬送経路に戻す作業が不要となり、作業能率が向上する。
【0041】
また、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が維持される。
さらに、整列搬送コンベア42に向かって転がらない人参は排出搬送コンベア53によって落下シュータ43に案内され、フィードバックシュータ44を経由してホッパ2に戻されるので、整列搬送コンベア42の搬送上手側で人参が滞留することが防止され、選別作業の能率の低下が防止されると共に、停滞した人参に汲上搬送コンベア16から排出される人参がぶつかって傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が維持される。
【0042】
加えて、整列搬送コンベア42によって一度に搬送される人参の数が少なくなるので、搬送途中で人参が詰まりを起こして選別作業が停滞することが防止されると共に、プレート45,45による搬送姿勢の矯正の際に搬送中の人参全てが落下シュータ43に落とされ、選別作業の間隔が空き過ぎることが防止され、作業能率が向上すると共に、作業者が人参の詰まりを解消する作業が不要となり、選別作業の無人化が図られる。
【0043】
そして、
図1、
図4及び
図5で示す通り、前記整列搬送フレーム23の搬送上手側で且つ下側にインバータ(図示省略)を設けて回転数制御を可能とした加速駆動モータ26を配置する。そして、該加速駆動モータ26の入力軸26aに入力プーリ28aを装着し、該入力プーリ28aよりも搬送下手側に出力プーリ28bを上下動自在な出力軸30の機体外側端部に回転自在に設けると共に、該入力プーリ28aと出力プーリ28bに伝動ベルト29を無端状に巻回する。
【0044】
さらに、前記出力軸30と整列搬送フレーム23の間に、該出力軸30を上方に付勢するテンションスプリング31を、上下一対の取付部材31a,31aで挟んで構成するテンション機構32を設けると共に、前記出力軸30の機体内側端部に入力ギア33を装着する。
【0045】
また、前記出力軸30の上方に駆動回転軸34を設け、該駆動回転軸34の左右方向中央部に加速駆動プーリ35を設ける。そして、該加速駆動プーリ35のうち、前記伝動ギア33に接触する側の外周縁部に伝動ギア33と噛み合う出力歯部35tを形成し、伝動ギア33の駆動力を受けて加速駆動プーリ35が回転駆動する構成とする。さらに、前記加速駆動プーリ35の左右両側に、左右のカラー36c,36cを介して左右の整列駆動プーリ36,36を各々設け、該左右の整列駆動プーリ36,36が前記加速駆動プーリ35に接触せず、異なる速度で回転駆動する構成とする。なお、前記加速駆動プーリ35は、左右の整列駆動プーリ36,36よりも大径である。
【0046】
さらに、前記整列搬送フレーム23の搬送上手側にインバータ(図示省略)により回転数制御可能な整列駆動モータ27を設け、該整列駆動モータ27の入力軸27aに入力プーリ28cを装着し、該入力プーリ28cよりも搬送下手側に出力プーリ28dを駆動回転軸34に設けると共に、該入力プーリ28cと出力プーリ28dに伝動ベルト29aを無端状に巻回する。
【0047】
前記加速駆動モータ26と整列駆動モータ27はそれぞれインバータによって回転数を変更し、後述する加速搬送ベルト40と左右の整列搬送ベルト41,41の周速を任意に変更することができるが、左右の整列搬送ベルト41,41の周速は、加速搬送ベルト40の最低周速よりも低速に収まる範囲でのみ設定可能とする。また、加速搬送ベルト40の最大周速も、後述する選別搬送コンベア70の最低周速よりも低速に収まる範囲でのみ設定可能とする。
【0048】
また、前記整列搬送フレーム23の搬送下手側、即ち搬送終端部に従動軸37を設け、該従動軸37の左右方向中央部に加速従動プーリ38をベアリングを介して装着すると共に、該加速従動プーリ38の左右両側に左右の整列従動プーリ39,39を各々ベアリングを介して装着する。該加速従動プーリ38は左右の整列従動プーリ39,39よりも大径であると共に、左右両端部には後述する加速搬送ベルト40を左右間で保持する左右の突起部38v,38vを形成する。該左右の突起部38v,38vを形成した加速従動プーリ38を、加速搬送装置38sとする。
【0049】
そして、前記加速駆動プーリ35と加速従動プーリ38に亘って断面形状が台形の加速搬送ベルト40を無端状に巻回すると共に、前記左右の整列駆動プーリ36,36と左右の整列従動プーリ39,39に亘って断面形状が六角形の左右の整列搬送ベルト41,41を無端状に巻回することによって、整列搬送コンベア42が構成される。また、前記加速駆動プーリ35の搬送下手側で、且つ加速搬送ベルト40が人参に接触しない非搬送作用面に接触して該加速搬送ベルト40の張りを維持するテンションローラを回転自在に設ける。
【0050】
整列搬送コンベア42の背面視である
図6の示す通り、加速搬送ベルト40の上面は、加速駆動プーリ35の左右両側の頂点及び加速従動プーリ38の左右の従動突起部38v,38vの頂点よりも下方に位置する。また、左右の整列搬送ベルト41,41の上面は、左右の整列駆動プーリ36,36及び左右の整列従動プーリ39,39の左右両側の頂点よりも上方に位置するが、左右の整列搬送ベルト41,41の上面よりは僅かに下方に位置する構成とする。なお、図中の符号の無い一点鎖線及び二点鎖線の円は、整列された人参を示している。
【0051】
なお、加速搬送ベルト40の上面が左右の整列搬送ベルト41,41の上面よりも下方にあることにより、通常は人参の搬送を行わないが、左右の整列搬送ベルト41,41の左右間隔よりも径の小さい極小サイズの人参が整列搬送コンベア42に載ったとき、加速搬送ベルト40がこの極小サイズの人参を受けて搬送下手側に向かって搬送する。そして、搬送終端部の加速従動プーリ38の両側部に突起部38v,38vを形成していることにより、突起部38v,38vが極小サイズの人参を加速搬送ベルト40から掬い取り、加速させつつ選別搬送コンベア70に引き継がせることができる。
【0052】
これにより、極小サイズの人参が整列搬送コンベア42内に残留することが防止されるので、極小サイズの人参が他の人参の整列を妨げたり、搬送駆動を停止させたりすることがなく、選別作業の能率が向上する。
【0053】
上記構成では、加速搬送ベルト40の上端部は左右の整列搬送ベルト41,41の上端部よりも下方に位置するので、人参は左右の整列搬送ベルト41,41で搬送上手側から下手側に搬送される。そして、搬送終端部に位置する加速従動プーリ38は左右両端部に左右の突起部38v,38vを形成しており、この左右の突起部38v,38vが加速搬送ベルト40の上面、並びに左右の整列搬送ベルト41,41の上面よりも僅かに上方に突出する構成であるので、整列搬送コンベア42の搬送終端部から排出される際、人参はこの左右の突起部38v,38vに押し出されて選別搬送コンベア70に引き継がれ、搬送される人参同士の間隔が広くなる。
【0054】
また、整列搬送コンベア42の下方で、且つ前記整列搬送フレーム23の前後方向中央部から後端部に亘る箇所を開放し、この開放部の底部に整列搬送コンベア42から落下した人参を搬送方向に対して左右どちらか一側に案内する排出シュータ43を排出方向に向かって傾斜した姿勢で配置する。そして、前記整列搬送フレーム23のうち、該排出シュータ43から人参が排出される側の左右側部に、排出された人参を受けると共に貯留部Aに移動させるフィードバックシュータ44を、貯留部Aに向かって傾斜する前下がり傾斜姿勢で配置する。
【0055】
なお、該フィードバックシュータ44の搬送始端側は整列搬送フレーム23に取り付けると共に、搬送終端側は前記ホッパ2内に人参が進入可能な位置に配置することにより、作業者がフィードバックシュータ44からホッパ2に人参を移動させる作業が不要となるので、作業能率の向上と共に作業者の労力の軽減が図られる。
【0056】
また、前記排出シュータ43及びフィードバックシュータ44には、弾性を有すると共に摩擦係数の低い素材で構成するマット(図示省略)を敷設しておくと、落下の際に生じる衝撃により人参が割れたり潰れたりすることを防止できるので、人参の商品価値が向上すると共に、排出シュータ43やフィードバックシュータ44から人参が転がり落ちず、作業者が人参をホッパ2に移動させる作業が不要となるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0057】
そして、前記整列搬送コンベア42の左右両側で、且つ加速従動プーリ38及び左右の整列従動プーリ39,39よりも前側寄りの位置に、一本の人参を整列搬送コンベア42の搬送終端部から排出案内すると共に、複数本の人参が同時に接触すると余分な人参を排出シュータ43に案内すると共に、整列搬送コンベア42の搬送方向に人参の長手側が向く姿勢とする左右のガイドプレート45,45を、平面視で搬送上手側ほど左右幅が広くなると共に、基部側の左右間は整列搬送コンベア42の左右幅と略同じ幅となる姿勢で配置する。該左右のガイドプレート45,45は、塩化ビニル等の軟質な弾性素材で構成すると、人参と接触しても人参が傷付くことが無いので、人参の商品価値が向上する。
【0058】
上記の構成とすることにより、整列搬送コンベア42で人参を搬送する際、複数の人参が重なり合っていても、遅くとも左右のガイドプレート45,45に接触したときに重なり合った人参を落下シュータ43に案内して貯留部Aのホッパ2に戻すことができるので、後述する選別搬送部Eに一本ずつ人参が送られ、複数の人参が同時に検知される誤選別の発生が防止される。
【0059】
また、人参の搬送姿勢が、整列搬送コンベア42の搬送方向に対して長手方向を向く姿勢に矯正されることにより、選別搬送部Eで搬送される際に人参同士の前後間隔が略一定の距離となるので、選別のタイミングが略等間隔となり、複数本の人参が同時に収容容器に移動されることがなく、選別精度がいっそう向上する。
【0060】
そして、加速搬送ベルト40の上面よりも左右の整列搬送ベルト41,41の上面が上方に位置する構成としたことにより、人参を左右の整列搬送ベルト41,41で保持して搬送することができるので、整列搬送コンベア42に適切な姿勢で載った人参は整列搬送コンベア42から落下しにくくなるため、選別搬送コンベア70に人参が一本ずつ引き継がれる間隔が広くなり過ぎず、作業能率が向上する。
【0061】
さらに、加速従動プーリ38の左右両側部に各々形成した左右の突起部38v,38vの上端部が左右の整列搬送ベルト41,41の上端部よりも上方に位置することにより、整列搬送コンベア42の搬送終端部から人参が選別搬送コンベア70の搬送始端部に引き継がれる際、左右の突起部38v,38vが人参を選別搬送コンベア70に向かって押し出すので、選別搬送コンベア70に引き継がれた人参同士の間隔を十分に取ることができるので、複数の人参が一本の人参として誤検知されることや、先行する人参を回収部に移動させる動作に次の人参が巻き込まれて誤選別となることが防止され、人参がサイズごとに回収され、選別精度が向上する。
【0062】
また、誤選別された人参を作業者が手作業で再選別する必要がなくなり、作業者の労力の軽減や作業時間の短縮が図られる。
さらに、加速駆動モータ26と整列駆動モータ27をインバータによって回転数変更可能に構成したことにより、加速搬送ベルト40及び左右の整列搬送ベルト41,41の搬送速度を変更可能としたことにより、選別する人参の本数の多少や品種、サイズ等の条件に合わせて整列搬送コンベア42の人参の搬送速度を調節することができるので、人参同士の間隔が広がり過ぎて選別作業が行われる時間間隔が長くなることが防止され、選別作業の能率が向上する。
【0063】
また、人参同士の間隔が狭まり過ぎ、複数本の人参が一本と誤検知されることや、先行する人参を回収部に移動させる動作に次の人参が巻き込まれて誤選別となることが防止され、選別精度が向上する。
【0064】
そして、加速搬送ベルト40の周速は、最も速くしても選別搬送コンベア70の周速よりも遅いことにより、整列搬送コンベア35から選別搬送コンベア70に引き継がれた人参はさらに高速で搬送下手側に搬送されるので、人参同士の間隔を確実に広げてられて誤選別が防止され、選別精度が向上する。
【0065】
さらに、加速駆動プーリ35と左右の整列駆動プーリ36,36の間にカラー3c,36cをそれぞれ設けたことにより、加速駆動モータ26及び整列駆動モータ27の回転数を変更しても、加速駆動プーリ35及び左右の整列駆動プーリ36,36は互いに独立して回転することができるので、設定した周速で加速搬送ベルト40と左右の整列搬送ベルト41,41が回転することにより、人参の整列が能率的に行われて選別搬送コンベア70に引き継がれる人参の姿勢が安定し、選別精度が向上する。
【0066】
また、加速駆動プーリ35に駆動力を伝動する出力ギア33を設けた出力軸30に、この出力軸30を上方に付勢するテンション機構32を設けたことにより、加速駆動プーリ35や左右の整列駆動プーリ36,36が人参の欠片や人参の葉部等の夾雑物を噛み込み、過負荷がかかるとこのテンション機構32が出力軸30と出力ギア33を下方に退避させるので、整列搬送コンベア42の駆動部の破損が防止される。
【0067】
上記の構成では、整列搬送コンベア42の左右両側には人参の排出シュータ43への移動を規制するものは何も無いため、人参が整列搬送コンベア42に載る姿勢によっては、排出シュータ43の上方に差し掛かると同時に落下することがある。これが複数本の人参であれば特に問題は無いが、一本の人参が搬送されているときだと、選別作業の間が空いてしまい、作業時間が僅かながら伸びてしまう問題が生じる。特に、成長しやすく平均サイズが大型化しやすい初夏に収穫された人参や、大きくなりやすい品種の人参の選別作業を行うときは、この問題が生じやすい。
【0068】
この問題の発生を低減すべく、
図2から
図4に示すとおり、整列搬送コンベア42の左右どちらか一側、本例では、整列搬送コンベア42の搬送上手側を基準として左側に、固定シャッタ46を排出シュータ43の前後長さと略同じ範囲に亘って設けると共に、該固定シャッタ46を設けた側とは反対側、本例では右側に、所定範囲に亘って前後方向に摺動可能なスライドシャッタ47を設ける。
【0069】
該固定シャッタ46は、上下方向に約20mm突出させて配置し、大型の人参が通過する際、その下側から3分の1乃至4分の1の領域と接触し得るものである。この約20mmという数値は、大型(2L〜3Lサイズ)の人参の平均的な径である60〜80mmを基準としている。そして、固定シャッタ46の搬送上手側の前端部から搬送方向の前後中央部の近傍に亘り、複数の取付孔46a…を間隔を空けて形成し、該取付孔46a…には複数本重なり合った人参と接触し、整列搬送コンベア42の右側に押し出して重なりを崩す接触突起体482…を各々装着可能に構成している。接触突起体48は、
図7で示している。
【0070】
前記複数の取付孔46a…は、搬送上手側では取付孔46a同士の前後間隔を狭く形成し、搬送方向の前後中央部近傍では取付孔46a…同士の前後間隔を広く形成すると共に、搬送下手側には取付孔46a…を形成しない。
【0071】
そして、前記接触突起体48は、
図3で示す通り、固定シャッタ46の外側部、即ち前記整列側壁24側から差し込み量を調節操作する操作体48aと、整列搬送コンベア42への突出量を所定量、例えば調節単位を1単位当たり1〜2mm調節可能とする球状の調節体48c…を複数連結して構成した接触体48bで構成する。これにより、操作体48aを押し引き操作すると、調節体48a同士の間に形成される谷部で接触体48bの位置を保持することができ、接触突起体48の突出量を容易に調節することができる。該調節体48c…は、弾性を有する芯部(図示省略)に取り付ける構成とすると、金属等の硬い物質で構成しても、人参と接触する際に屈曲でき、人参の傷付きが防止される。
【0072】
なお、前記固定シャッタ46の上部は、重なり合いを崩された人参が接触しても傷つけることを防止すべく、曲げ加工を施すなどして、R形状とする。
そして、該スライドシャッタ47は、整列搬送コンベア42の左側に搬送方向に亘って摺動自在に設け、搬送上手側に向かって移動させるほど前記整列搬送コンベア42から排出シュータ43への人参の落下経路が開放されると共に、搬送下手側に向かって移動させるほど人参の落下経路が狭まる構成とする。該スライドシャッタ47は、上下方向に亘って大型(2L〜3Lサイズ)の人参の平均的な径と略同じである60〜80mmの幅を有し、該スライドシャッタ47を整列搬送コンベア42の側方に位置させた領域からは、一本で搬送されている人参は落下させないが、複数本重なり合って搬送されている人参はスライドシャッタ47の上方から排出シュータ43へ落下させる構成とする。さらに、該スライドシャッタ47を設けた側に、前記フィードバックシュータ44の基部側を配置する。
【0073】
なお、前記スライドシャッタ47の上部も固定シャッタ46と同じく曲げ加工を施すなどしてR形状とすると、スライドシャッタ47の上方から排出シュータ43に落下する人参が傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が維持される。
【0074】
なお、前記左右の整列側板24,24やスライドシャッタ47は、人参に付着している洗浄水や、この洗浄水に溶け込んでいる人参の薄皮の成分による腐食を防止すべく、不銹鋼材で構成する。
【0075】
これにより、整列搬送部Cが構成される。
上記構成としたことにより、スライドシャッタ47を搬送下手側に移動させた量に応じて整列搬送コンベア48から排出シュータ43への落下口を狭くすることができるので、人参が整列搬送コンベア48からはみ出しかけた状態で搬送されていても排出シュータ43に落下しにくくなり、選別搬送コンベア70での人参同士の前後間隔が広くなり過ぎることが防止され、選別作業の能率が向上する。
【0076】
特に、L以上のサイズの人参が多いときは、整列搬送コンベア48からはみ出た状態で搬送されることが多いので、排出シュータ43に落下してホッパ2まで戻される人参が減少し、いっそう作業能率が向上する。
【0077】
そして、固定シャッタ46の上下高さをスライドシャッタ47の上下高さの3分の1〜4分の1程度としたことにより、重なって搬送される複数の人参のうち、固定シャッタ46の上端部よりも上側に位置するものは、固定シャッタ46の上方を越えて排出シュータ43に落下することができるので、整列搬送コンベア48上で人参の搬送が停滞することや、選別搬送コンベア70に複数本の人参が同時に搬送されることが防止され、作業能率が向上するとともに、人参の誤選別が防止され、選別精度が向上する。
【0078】
さらに、固定シャッタ46の取付孔46a…に接触突起体48…を設けたことにより、接触突起体48…に接触した人参をスライドシャッタ47側に押すことができるので、重なり合った複数本の人参の姿勢を崩して余分な人参を排出シュータ43に落下させることができ、複数本の人参が同時に選別搬送コンベア70に引き継がれることがなく、選別精度が向上する。
【0079】
また、接触突起体48…の整列搬送コンベア48上への突出量を調節可能としたことにより、選別作業を行う人参のおおよそのサイズに合わせて突出量を調節することができるので、接触突起体48…が人参に届かず複数本の人参が選別搬送コンベア70に投入されて誤選別が発生することが防止され、選別精度が向上する。
【0080】
加えて、接触突起体48…が人参をスライドシャッタ47側に移動させ過ぎて、一本だけで搬送されている人参を排出シュータ43に落下させることを防止できるので、人参同士の前後間隔が空き過ぎることが防止され、選別作業の能率が向上する。
【0081】
そして、接触突起体48…を取り付ける取付孔46a…は、搬送上手側では短い前後間隔を空けて形成すると共に、搬送方向の前後中央部近傍では搬送上手側の前後間隔よりも広い前後間隔を空けて形成することにより、複数の人参が重なり合って搬送されてくる頻度の高い整列搬送コンベア48の搬送上手側位置で接触突起体48…に人参を連続して接触させて人参の重なりを崩すことができるので、整列搬送コンベア48の搬送下手側に複数の人参が重なり合って移動することが防止され、選別精度が向上する。
【0082】
加えて、搬送方向の前後中央部近傍では、接触突起体48…に人参が接触する頻度を減らすことにより、一本だけで搬送されている人参を排出シュータ43に落下させにくくなるので、人参がホッパ2に戻ることが防止され、選別作業の能率が向上する。
【0083】
上記の貯留部Aと汲上搬送部Bと整列搬送部Cとから、人参を後方に搬送する移送装置Dが構成される。
次に、選別搬送部Eについて説明する。
【0084】
図8から
図14で示すとおり、整列搬送部Cの後方に選別フレーム55を配置し、該選別フレーム55の機体後下部で且つ左右一側に出力スプロケット57を出力軸に装着した駆動モータ56を設け、該駆動モータ56の上部にモータカバー58を設ける。そして、該駆動モータ56の上方で且つ選別フレーム55の左右幅に亘る長さのカウンターシャフト60の左右一側端部に入力スプロケット59を軸着し、該入力スプロケット59と出力スプロケット57とに第1伝動チェーン61を無端状に巻回する。
【0085】
また、前記カウンターシャフト60に第2出力スプロケット62を軸着し、該第2出力スプロケット62の上方に駆動回転軸63を設け、該駆動回転軸63に第2入力スプロケット64を回転自在に装着する。さらに、該第2入力スプロケット64と第2出力スプロケット62とに第2伝動チェーン65を無端状に巻回して、選別搬送部Eの伝動経路を構成する。
【0086】
そして、前記駆動回転軸63の端部にV字型の溝を円周上に形成した駆動ローラ66を設け、該駆動ローラ66と略同じ上下位置で且つ選別フレーム55の機体前側にV字型の溝を円周上に形成した従動ローラ67を回転自在に設ける。また、該駆動ローラ66と従動ローラ67とに外側端部で且つ裏面にV字型の溝に入り込む突起体68aを設けた左右の搬送ベルト68を無端状に巻回する。
【0087】
さらに、
図12や
図15で示すように、該搬送ベルト68の非搬送作用側(巻回域下側)に前記選別フレーム55から機体左右方向中央部に向かって左右のシャフト97をそれぞれ配置し、該シャフト97に大径部99を形成した複数の分割ローラ98…を軸着する。そして、左右両外側端に位置する分割ローラ98,98の左右外側に、分割ローラ98が左右方向に移動することを防止する左右のクッションローラ100を設けることにより、前記搬送ベルト68に付着した水を拡散させることなく搬送ベルト68の下方への弛みを防止する回転自在なテンションローラ69が構成される。
【0088】
上記分割ローラ98に形成する大径部99は、分割ローラ98本体の径よりも大径に構成し、分割ローラ98の左右幅よりも短く構成すると共に、分割ローラ98の左右どちらか一側の端部に構成するものである。
【0089】
これにより、作物を機体前側から後側に向けて搬送する搬送コンベア70が構成される。
なお、前記駆動ローラ66と従動ローラ67は搬送ベルト68のそれぞれ外側端部の巻回域内に配置されるため、搬送ベルト68上に重量物が載ると、搬送ベルト68は重量に合わせて柔軟に撓むことができる。
【0090】
シャフトに搬送ベルトの左右幅と略同じ範囲に亘って接触するテンションローラを軸着する従来構成では、搬送ベルトに付着した水が毛細管現象により拡散してしまい、搬送ベルトの裏側に水が移動して、従動ローラに搬送ベルトが接触した際に搬送ベルトがスリップしてしまい、人参の搬送姿勢が乱れたり、重量検知位置で搬送ベルトが人参の重量で押し下げられず、選別精度が低下したりすることがあった。
【0091】
しかしながら本件実施例では、分割ローラ98に形成する大径部99の左右幅を分割ローラ98の本体の左右幅よりも短くしたことにより、テンションローラ69と搬送ベルト68との接触面積が小さくなるので、毛細管現象による水の拡散が防止されるので、搬送ベルト68がスリップして人参の搬送姿勢が乱れることや、重量検知位置で人参が重量検知されなくなることを防止できるので、人参が重量に対応した適切な選別位置で選別されるため、人参の選別精度が向上する。
【0092】
また、機体外側端に位置する分割ローラ98の左右外側に、分割ローラ98が左右方向に移動することを防止する左右のクッションローラ100,100を設けたことにより、搬送ベルト68に接触した際に分割ローラ98が左右方向に移動することを防止できるので、分割ローラ98が水を搬送ベルト68の裏側に移動させてしまうことが防止され、搬送ベルト68がスリップしてしまうことを防止できる。
【0093】
また、
図15で示すテンションローラ69…に変えて、
図16で示すとおり、シャフト97に複数の凹部103…と、該凹部103…よりも大径で且つ左右幅の短い凸部104…を複数形成した、搬送ベルト68の左右幅と略同じ左右長さの凹凸ローラ105を回転自在に装着して、テンションローラ69…を構成してもよい。
【0094】
上記構成では、凹凸ローラ105の左右幅が搬送ベルト68の左右幅と略同じ長さであることにより、左右のクッションローラ100,100が無くとも凹凸ローラ105が左右方向に勝手に移動することが無いので、水を搬送ベルト68の裏側に移動させてしまうことが防止され、搬送ベルト68がスリップしてしまうことを防止できる。
【0095】
また、凹部103…と凸部104…を一体形成していることにより、メンテナンス等の際や部品交換の際に凹凸ローラ105を容易に着脱することができるので、メンテナンス性が向上する。
【0096】
さらに、
図17(a)(b)で示す形態のテンションローラ69…を用いてもよい。
前記シャフト97に複数の溝部106a…を略等間隔に形成した、搬送ベルト68の左右幅と略同じ左右長さの溝付ローラ106を回転自在に装着し、該溝部106a…に夫々溝付ローラ106よりも大径のOリング等の環状部材107…を設けてテンションローラ69…を構成する。
【0097】
上記構成では、溝付ローラ106の左右幅が搬送ベルト68の左右幅と略同じ長さであることにより、左右のクッションローラ100,100が無くとも溝付ローラ106が左右方向に勝手に移動することが無いので、水を搬送ベルト68の裏側に移動させてしまうことが防止され、搬送ベルト68がスリップしてしまうことを防止できる。
【0098】
また、溝付ローラ106の溝部106a…に夫々環状部材107…を設けたことにより、搬送ベルト68には複数の環状部材107…が接触するので、溝付ローラ106が破損しにくく耐久性が向上すると共に、環状部材107を溝付ローラ106の溝部106aから容易に着脱することができるので、メンテナンス性が向上する。
【0099】
搬送ベルト68に接触する大径部99、凸部104、環状部材107のいずれの部材を用いる場合でも、搬送ベルト68と接触する部分の左右幅は2〜3mmとする。
2mm未満では搬送ベルト68との接触面積が小さくなり過ぎ、接触時にかかる圧力が高くなり過ぎ、搬送ベルト68が早期に摩耗して破損してしまう可能性があり、3mm以上とすると接触面積が大きくなり過ぎ、毛細管現象により水が拡散し、選別ベルト68の裏側に入り込んでしまう可能性がある。
【0100】
また、分割ローラ98と凹部103の左右幅、及び環状部材107,107の左右間隔は、25〜30mmとする。
25mm未満とすると部材数が多くなり過ぎ、交換作業の工数が増えてメンテナンス性が低下すると共に、部品コストが向上してしまう。逆に、30mm以上にすると搬送ベルト68が垂れて分割ローラ98、凹部103、溝付ローラ106に接触してしまい、水を拡散させて搬送ベルト68の裏側に付着させてしまう可能性がある。
【0101】
図8から
図10(a)(b)(c)で示すように、前記搬送コンベア70の搬送始端部の上方位置で且つ選別フレーム55の上部に、前記移送装置Dから排出される人参を受けて搬送コンベア70に移動させる後下り傾斜姿勢の引継シュータ71を備える側面視L字型の取付フレーム72をボルト・ナット等の固定部材で選別フレーム55に着脱自在に設ける。
【0102】
該引継シュータ71は、
図10(a)(b)(c)で示すように、左右方向中央部の前後長さを2Sサイズの人参約1本分(約60〜80mm)と同じ長さ、又は短い長さに形成し、左右両端部に向かうにつれて前後幅を長く形成して、左右両端部では3Lサイズの人参の全長の40%〜60%程度を支持可能な長さ(約100〜150mm)で形成している。これにより、前記引継シュータ71の後部側は平面視でV字型(ハの字型)に形成される。また、引継シュータ71の人参との接触面(表面)に樹脂材でコーティング層71aを形成し、該コーティング層71aの後側端部を引継シュータ71の後側端部よりも5mm前後後方に延出させる。
【0103】
そして、
図8から
図10(a)(b)(c)で示すとおり、該引継シュータ71の後下側で且つ搬送ベルト68の巻回域内に前記搬送ベルト68の弛みを防止すると共に移動を促進する左右の前側スライダ板72を設け、該前側スライダ板72の上部に引継シュータ71または移送装置Dの終端部から搬送ベルト68に飛び出した人参が落下の衝撃でバウンドすることを防止するクッションプレート73を取り付ける。前側スライダ板72は滑りやすい樹脂材でコーティング処理しており、クッションプレート73はゴム等の弾性体やゲルクッション等の軟質材で構成する。
【0104】
また、
図9、
図11で示すように、前記搬送ベルト68の機体後端側の巻回域内に後側スライダ板74を設け、該後側スライダ板74の前後端部を下方傾斜方向に折り曲げて屈曲部を形成する。さらに、該前側スライダ板72と後側スライダ板74との間に、搬送コンベア70で搬送される人参の重量を検知する複数の重量検知装置75…と搬送ベルト68の弛みを防止すると共に移動を促進する複数の選別スライダ板76…を交互に配置する。
【0105】
図9、
図11で示すとおり、該選別スライダ板76の機体前側に前側下方に向かい傾斜する前側屈曲部76aを形成し、選別スライダ板76の機体後側に屈曲面がR形状となるように下方に向かって略直角に折り曲げた後側屈曲部76bを形成する。そして、該前側屈曲部76aに前側支持アーム77aの基部側を設け、後側屈曲部76bに後側支持アーム77bの基部側を設け、該前側支持アーム77aと後側支持アーム77bの端部側を選別フレーム55に取り付けて、複数の選別スライダ板76…を固定する。
【0106】
なお、前側屈曲部76aをR形状となるように屈曲させると、選別スライダ板76に搬送ベルト68がいっそう引っ掛かりにくくなるので、選別搬送の能率が向上する。
上記前側スライダ板72と後側スライダ板74と前後間の複数の選別スライダ板76…の左右両側上部には、搬送ベルト68の移動を促進する左右のリブ82,82(突起体)を前後方向に亘って貼り付けてもよい。
【0107】
該左右のリブ82,82は断面形状を凸部と凹部が連続する鋸刃状に形成すると、搬送ベルト68との接触密度が低下して搬送ベルト68の移動をより円滑にすることができると共に、搬送ベルト68に付着した水が入り込んでもスリップしにくいため、作業能率が向上する。
【0108】
また、前記重量検知装置75は、搬送ベルト68の巻回域内に配置する上下回動自在なリンクアーム77と、該リンクアーム77の上側で且つ機体内側端部に設ける搬送コンベア70で搬送中の人参が通過する重量検知板78と、該重量検知板78が一定距離以上回動すると後述する跳出装置84を作動させる信号を発する検知センサ79と、前記リンクアーム77の機体外側端部に設ける内側に重り80aを入れて重量検知装置75が判別する人参の重量を調節する調節皿80と、微細な検知重量を調節するバランスウェイト81とで構成する。
【0109】
図10(b)で示すとおり、該重量検知板78の機体内側端部を下方に向けて直角に屈曲させ、直角部78aを形成する。
本実施例では、重量検知装置75を3L,2L,L,M,Sに対応する五基設け、五つの等級に人参を選別可能に構成している。検知する等級は調節皿80に入れる重り81aの数を増減させることにより、容易に変更が可能である。検知する重量を機体前側ほど重いもの、機体後側ほど軽いものと設定すると、全ての重量検知装置75は検知を開始する下限値だけを設定すればよく、検知する重量の設定が容易となる。
【0110】
そして、
図12から
図14で示すとおり、前記選別フレーム55の機体左右両外側で且つ前記重量検知板78の前後方向略中央部から機体後側の複数の選別スライダ板76…の前後方向略中央部に亘って搬送ベルト68で搬送中の人参を側方から打撃して後述する回収シュータ93に送り出す跳出装置84…を配置する。そして、該跳出装置84…の前後間に人参が機体外側に移動することを防止する中間板85…を夫々固定して設け、選別フレーム55の前端部から最前列の重量検知装置75の前端部に亘って前部側壁86を固定して設けると共に、最後列の重量検知装置75の後端部から選別フレーム55の後端部に亘って後部側壁87を固定して設ける。
【0111】
前記跳出装置84は、機体左右方向に回動自在な跳出板88と、前記検知センサ79から信号を受けると作動するソレノイド89と、該ソレノイド89が作動すると跳出板88を機体外側から搬送コンベア70の搬送経路上に押し出す押出アーム90で構成する。該跳出板88の打撃作用面にはゴム等の弾性体を貼り付けることにより、打撃の衝撃で人参が傷付くことを防止している。
【0112】
そして、
図9、
図13で示すように、前記複数の中間板85…を前端部が後端部よりも機体外側に位置するように配置する。なお、中間板85…の前端部はボルト等の固定部材で選別フレーム55に固着し、固定部材を取り除くと後端側を回動中心として回動可能に構成する。回動可能な範囲は、前後方向略直線位置(0度)から約30度までとするとよい。
【0113】
さらに、
図8、
図9で示すように、前記搬送コンベア70の左右間で且つ選別フレーム55の前端部から最前列の重量検知装置75の前後方向略中央部に亘って正面視又は背面視で山型の分離板91を設け、該分離板91の後側に人参をサイズ毎に落下させてコンテナ等の収容容器92に移動させる複数の回収シュータ93…を前後方向に亘って設け、該複数の回収シュータ93…を連結すると共に作業者が手で掴んで回収シュータ93…を持ち上げることのできる連結取手94を回収シュータ93…の前後間に亘って上方に配置する。そして、該連結取手94の下部から回収シュータ93の内側に亘って左右一側の搬送コンベア70から跳出装置84で送り出された人参を受け止めて下方に落下させるガイドカーテン95を取り付ける。
【0114】
このガイドカーテン95は、ゴムや塩化ビニル等の軟質部材で構成すると人参がぶつかっても傷付きにくく、人参の商品価値が維持される。
そして、
図8、
図9、
図18(a)(b)及び
図19(a)(b)(c)で示すとおり、前記搬送コンベア70の搬送終端部に、大き過ぎる(4L以上)、あるいは小さ過ぎる(2S以下)ため選別されなかった規格外の人参を回収する箱形状のコンテナや袋体等の収容容器92を載置する載置台96を機体前後方向に回動自在に配置する。そして、前記搬送コンベア70と載置台96との間で且つ選別フレーム55の機体後端部側に側面視で「へ」の字形状の支持ブラケット108を取り付け、機体後方に向かって下方傾斜する該支持ブラケット108の上部に前側端部が前記搬送ベルト68に夫々接触して水や夾雑物を擦り取るスクレーパプレート109を載置台96に載置した収容容器92に向けて後下り傾斜姿勢で取り付ける。これにより、選別搬送部Eが構成される。
【0115】
該スクレーパプレート109の機体前側端部、即ち選別ベルト68に接触する側の端部は表面、裏面共に刃面形状としているため、片面が摩耗して十分な水や夾雑物の掻き取りができなくなった場合、スクレーパプレート109を裏返せば殆ど摩耗していない刃面が搬送ベルト68に接触するため、反対側の面が摩耗し切るまではスクレーパプレート109を使うことができるので、耐久性が向上する。
【0116】
また、機体後方に向けて下方傾斜姿勢のスクレーパプレート109を選別コンベア70の搬送終端部よりも後方に設け、該スクレーパプレート109の上部を平坦且つ3S以下の人参が上方を通過可能な形状、例えば板体や左右間隔が10mm未満のスノコ形状の案内部109bとすることにより、選別コンベア70から排出される選別対象外の人参(2S以下の極小人参)を載置台96に載置した収容容器92に案内するシュータとすることができるので、人参を確実に機外に排出することができ、作業能率が向上する。
【0117】
なお、
図19(a)(b)(c)で示すとおり、該スクレーパプレート109には前後方向に長い長孔109aを左右方向に等間隔を開けて形成し、下方傾斜姿勢の支持ブラケット108の上部には螺子溝を刻んだ螺子穴108aを長孔109aと同じ左右間隔で形成する。
【0118】
長孔109aの左右間隔は、2S以下の人参の長辺と同じ、または若干長く構成すると、スクレーパプレート109をボルトとナット等の固定部材で支持ブラケット108に取り付けても、人参が固定部材に接触して傷付くことが防止されるので、人参が接触の衝撃で削られ、商品価値が低下することを防止できる。
【0119】
なお、2S以下の小玉過ぎる人参や、4L以上の大玉過ぎる人参、二又や極端な屈曲等の奇形、収穫時に割れた人参は、一般的にジュースや冷凍食品等の材料となる加工用として出荷されるため、多少の傷があっても商品価値は低下しないが、身が削れる等重量が減少するとその分価値が低下するので、固定部材等との接触による破損を防止することには相応の意義がある。
【0120】
上記の意義を実現すべく、スクレーパプレート109を支持ブラケット108に固定するボルトとナット等の固定部材の上端部を、スクレーパプレート109の上端部からはみ出さない構成(図示省略)とすると、4L以上の大きな人参も傷付きにくくなる。
【0121】
また、支持ブラケット108を選別フレーム55に取り付けるために、支持ブラケット108の機体内側にボルト等の固定部材を取り付ける丸孔108aを形成し、機体外側には支持ブラケット108の左右方向の傾斜角度を変更可能にする円弧状の長孔108bを形成する。
【0122】
なお、上記構成の場合、長孔108bの上端位置は丸孔108aを形成した位置と略水平位置とすると、支持ブラケット108の左右方向への傾斜姿勢を搬送コンベア70に対して水平状態から、搬送コンベア70に対して機体外側方向に下方傾斜姿勢となるまでの範囲で調節が可能となり、不要な範囲への回動を規制することができる。
【0123】
逆に、機体外側に丸孔108aを形成し、機体内側に長孔108bを形成する場合は、長孔108bの下端位置を丸孔108aを形成した位置と略水平位置とすることにより、支持ブラケット108の左右方向への傾斜姿勢を搬送コンベア70に対して水平状態から、搬送コンベア70に対して機体外側方向に下方傾斜姿勢となるまでの範囲で調節が可能となり、不要な範囲への回動を規制することができる。
【0124】
そして、引継シュータ71の中央部の前後幅を最も短くしたことにより、2Sサイズ以下の小さな人参は引継シュータ71上に滞留する前に搬送コンベア70に落下移動させられるため、引継シュータ71で二本以上の人参が合流してしまい、二本以上の人参が同時に重量検知装置75で重量検知することを防止できるので、重量検知装置75が二本の小さな人参を一本の大きな人参と誤認して跳出装置84…を作動させてしまうことがなく、人参の選別精度が向上する。
【0125】
さらに、引継シュータ71の左右両側の長さを、3Lサイズの人参を支持可能な長さとしたことにより、大きな人参が引継シュータ71から左右方向にはみ出し、搬送コンベア70に移動せず機外に落下することを防止できるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が維持されると共に、落下した人参を拾い直す作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0126】
また、引継シュータ71の作用面に樹脂材でコーティング層71aを形成し、コーティング層71aの後端部を引継シュータ71の後端部よりも後方に突出させたことにより、引継シュータ71の後端部の尖ったエッジに人参が接触することを防止できるので、人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0127】
これにより、引継シュータ71を金属板のような頑丈な素材で構成することができ、引継シュータ71の取り付けが容易になるとともに、耐久性が向上する。
そして、引継シュータ71の後下側で且つ搬送ベルト68の巻回域内に設ける前側スライド板72にクッションプレート73を設けたことにより、移送装置Dから引き継いだ人参が選別コンベア70に落下する衝撃をクッションプレート73が吸収するため、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0128】
さらに、クッションプレート73が人参の落下の衝撃を吸収することにより、人参がバウンドして重量検知装置75に飛び乗り、落下の衝撃で重量検知装置75を誤検知させて跳出装置84…を作動させてしまうことを防止できるので、人参の選別精度が向上する。
【0129】
なお、該クッションプレート73は前側スライダ板72の前端部から前後方向略中央位置に亘って配置し、重量選別装置75に近接する後端部側には設けないことにより、3Lサイズのような長くて重い人参の一部がクッションプレート73上に載ったまま重量検知されることを防止でき、選別精度が向上する。
【0130】
また、後側スライダ板74の前側及び複数の選別スライダ板76…の機体前側を隣接する重量検知装置75に向かうほど下方傾斜となる屈曲部74a及び前側屈曲部76aを形成したことにより、重量検知装置75の重量検知板78を人参が下降させながら通過する際、人参を載置した搬送ベルト68は下降した重量検知板78の後端部から屈曲部74a及び前側屈曲部76aに沿って移動することができるので、搬送ベルト68が後側スライダ板74及び選別スライダ板76…の前側端部に引っ掛かり回転駆動に乱れが生じることが防止され、人参の搬送ペースが安定し、選別精度が向上する。
【0131】
さらに、人参が搬送ベルト68から落下することが防止されるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上すると共に、落下した人参を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0132】
従来構成では、重量検知板の後端部とスライダ板の前端部とを略直線状に配置されているため、人参の重量で重量検知板が押し下げられた際に搬送ベルトがスライダ板の前端部に接触し、あるいは重量検知板とスライダ板との間に挟まれてしまうことがあり、搬送コンベアの搬送速度に乱れが生じたり、停止したりしてしまう問題がある。
【0133】
そして、選別スライダ板76…の機体後側に屈曲面がR形状となる後側屈曲部76bを形成したことにより、選別スライダ板76…から重量検知板78に人参を載置して移動させる際に搬送ベルト68が揺らぐことがなく、人参の搬送ペースが安定し、選別精度が向上する。
【0134】
なお、前側屈曲部76aの前後長さは、選別スライダ板76の前側に設ける重量検知装置75の検出重量に応じて変更してもよい。重量検知装置75が検知する重量が重いほど前側屈曲部76aの長さを長くし、検知する重量が軽いほど長さを短くすると、重量検知装置75の重量検知板78が上下移動する際に押し上げられるのは前側下方に傾斜した人参の端部だけとなるので、次の重量検知装置75まで人参がジャンプしてしまうことを防止でき、人参が落下の衝撃で重量検知装置75を誤検知させてしまうことを防止できるので、選別精度が向上する。
【0135】
本実施例を例に挙げると、3Lサイズの重量検知装置75の後側では約30〜40mm、2Lサイズでは約25〜35mm、Lサイズでは約20〜30mm、Mサイズでは約10〜20mmとしている。Sサイズの部分では前側屈曲部76aを屈曲させていないが、本実施例ではSサイズが最後の重量検知位置であるので、誤検知となり得ないためにこのような構成としている。2S,3Sなどより小さな人参を選別する場合は、人参のジャンプによる誤検知を防止すべく、Sサイズの部分にも前側屈曲部76aを形成する。
【0136】
上記の長さに幅があるのは、前後に長く径が小さいもの、前後に短く径が大きいもの、果肉の密度が高いもの等、人参に様々な種類があるために、若干の余裕を持たせるためである。
【0137】
また、調節皿80に重り80aを出し入れして重量検知装置75の検知重量を変更することができるので、人参の品種や生育状況等の選別条件の違いがあっても人参の選別精度を向上させられる。
【0138】
さらに、バランスウェイト81を調節して検知重量を微細に調節することができるので、僅かな重量の差により跳ね出されない人参の発生が防止され、選別精度が向上すると共に、手作業で人参を選別し直す必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0139】
また、重量検知板78の機体内側を下方に向けて直角に屈曲させ、屈曲部78aを形成したことにより、搬送ベルト68が回収シュータ93側に傾きにくくなるので、人参が跳出装置84に打撃されること無く搬送コンベア70上から回収シュータ93に移動してしまうことを防止でき、選別精度が向上すると共に、作業者が選別し直す必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0140】
なお、搬送コンベア70を、機体外側から内側に向けて0.5〜1度程度上方傾斜させると、人参は搬送コンベア70の機体外側に寄って移動することができるので、人参が跳出装置84に打撃されること無く搬送コンベア70上から回収シュータ93に移動してしまうことを防止でき、選別精度が向上すると共に、作業者が選別し直す必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0141】
そして、中間板85…の前端部が跳出板88の後端部よりも機体外側に位置するので、人参が跳出板88の後端部側に接触する際に中間板85…の先端部側に引っ掛かり、次の人参が来て重量検知装置75が二本を一本の人参と誤認してしまうことを防止でき、人参の選別精度が向上する。
【0142】
さらに、中間板85…の先端部に引っ掛からずとも、衝突の衝撃で跳ね返され、重量検知装置75に強い衝撃と共に載ってしまい、重量検知装置75を誤動作させてしまうことが防止できるので、選別精度が向上する。
【0143】
なお、跳出板88の回動軸88aを跳出板88よりも機体外側に配置し、跳出板88の機体前側が機体後側よりも機体外側に位置する構成としてもよい。
上記構成により、跳出板88と中間板85…とは平面視で鋸刃形状に配置され、跳出板88の後側端部と中間板85…の前側端部との間に空間部が生じるので、人参がいっそう中間板85…の先端部側に接触しにくくなり、重量検知装置75は人参の重量を一本ずつ確実に検知でき、選別精度がいっそう向上する。
【0144】
また、選別コンベア70の左右間に回収シュータ93…を重量検知装置75及び跳出装置84と同数設けたことにより、重量検知装置75で検知した重量の人参を跳出装置84で対応する等級の回収シュータ93…に送り出し、コンテナ等の収容容器92で人参を等級ごとに回収することができる。
【0145】
そして、回収シュータ93…を連結取手94で上方から連結したことにより、作業者は複数の回収シュータ93…を同時に取り外すことができるので、メンテナンス作業のスペースが容易に確保される。
【0146】
さらに、連結取手94の下部に跳出装置84で打撃されて送り出された人参を受けて下方の回収シュータ93…に落下案内するガイドカーテン95を設けたことにより、跳出装置84に送り出された人参が隣の列の搬送コンベア70まで移動してしまい、人参が同じ箇所に二本乗りして、あるいは落下の衝撃で隣の列の重量検知装置75を誤作動させてしまうことが防止できるので、選別精度が向上する。
【0147】
また、隣の列の搬送コンベア70で搬送中の人参にぶつかることを防止できるので、衝突の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が維持される。
そして、搬送コンベア70の搬送終端部に、規格外の人参を回収する収容容器92を載置する載置台95を設けたことにより、選別条件の設定が難しい規格外の人参をただ搬送するだけで回収することができるので、選別作業の能率が向上する。
【0148】
また、載置台95を前後方向に回動自在に設けたことにより、選別搬送部Eを収納するときには載置台95を機体に近接させて前後幅を短くすることができるので、収納スペースが狭くても容易に収納することができる。
【0149】
そして、スクレーパプレート109に長孔109aを形成していることにより、支持ブラケット108にスクレーパプレート109を取り付ける位置を前後方向に調節することができるので、水や夾雑物が多いときにはスクレーパプレート109の前側端部と搬送ベルト68を接近させると水や夾雑物がスクレーパプレート109によって取り除かれるため、水や夾雑物が搬送ベルト68の裏側に入り込んでスリップすることが防止される。
【0150】
これにより、重量検知位置で搬送ベルト68が撓まずに、人参が下位の等級で誤って選別されることや、搬送ベルト68が停止した反動で異なる等級の回収シュータ93に移動してしまうことが防止でき、人参の選別精度が向上する。
【0151】
一方、搬送ベルト68の水や夾雑物が少ないときには、スクレーパプレート109の前側端部と搬送ベルト68を若干離間させて接触量を小さくすることにより、選別ベルト68に不要な摩擦がかかることを防止できるので、摩擦により選別ベルト68が破損することが防止され、耐久性が向上する。
【0152】
さらに、支持ブラケット108の機体内側又は機体外側に取付用の長孔108bを形成し、支持ブラケット108を丸孔108aを回動支点として、支持ブラケット108を水平姿勢から機体外側に向かう下り傾斜姿勢まで姿勢変更可能に構成したことにより、スクレーパプレート109が搬送ベルト68から擦り取った水や夾雑物を機体外側に排出することができるので、搬送ベルト68の裏側に水や夾雑物が入り込むことが防止され、重量検知位置で搬送ベルト68が撓まずに人参が下位の等級で誤って選別されることや、搬送ベルト68が停止した反動で人参が異なる等級の回収シュータ93に移動してしまうことがなく、人参の選別精度が向上する。
【0153】
なお、スクレーパプレート109の機体後方への下り傾斜角度は、機体前端部を基準として45〜60度の範囲で設定すると、スクレーパプレート109が搬送ベルト68の回転に巻き込まれにくくなるので、スクレーパプレート109が作業中に折れたり曲がったりすることがなく、スクレーパプレート109の耐久性が向上する。
【0154】
また、作業中に破損した、あるいは外れたスクレーパプレート109を交換したり組み付け直したりする必要が無いので、作業能率が向上する。
さらに、支持ブラケット108の機体外側方向に下り傾斜姿勢となる角度を2〜5度の範囲に設定すると、スクレーパプレート109が選別コンベア70から排出される人参を収容容器92に送り出すシュータとしての機能を損なうことが無いまま、搬送ベルト68から擦り取った水や夾雑物を機体外側に移動させて排出することができる。
【0155】
以下、本件人参整列装置の別実施例を説明する。この別実施例は、上述の本実施例に組み込むことも可能であり、本実施例と別実施例にそれぞれ開示する技術の組み合わせを否定するものではない。
【0156】
図22で示す通り、フィードバックシュータ44を設ける側には排出搬送コンベア53または整列側板24を整列搬送コンベア42に向けて下り傾斜姿勢で設け、フィードバックシュータ44を設けない側には該整列側板24よりも左右方向に短い補助側板130を整列搬送コンベア42に向けて下り傾斜姿勢で且つ傾斜方向に摺動自在に設ける。
【0157】
また、該補助側板130の下方で且つ搬送上手側に補助排出従動プーリ131を回転自在に設け、搬送下手側に補助排出駆動プーリ132を設けると共に、該補助排出駆動プーリ132を装着した回転駆動軸132aを駆動回転させる補助排出駆動モータ134を前記補助側板130の搬送下手側の上部に設ける。
【0158】
そして、該補助排出従動プーリ131と補助排出駆動プーリ132に亘って一本または複数本の補助排出搬送ベルト133…を無端状に巻回することにより、補助排出搬送コンベア135が構成される。
【0159】
なお、補助排出従動プーリ131と補助排出駆動プーリ132には、複数本の補助排出搬送ベルト133…を設ける取付溝を形成し、補助排出搬送コンベア135の作用範囲を広げるときは、補助排出搬送ベルト133…の数を増やすと共に、前記補助側板130を上方に摺動させる。補助排出搬送コンベア135の作用範囲を狭めるときには、補助排出搬送ベルト133…の数を減らすと共に、前記補助側板130を下方に摺動させる。
【0160】
また、補助側板130の下方移動限度は、スライドシャッタ47の上部で且つ該スライドシャッタ47の前後摺動を妨げない位置までとする。
さらに、
図23で示すとおり、補助排出搬送ベルト133…は補助側板130及びスライドシャッタ47よりも、5mm〜10mm程度整列搬送コンベア42側に突出するものとする。
【0161】
上記構成では、補助側板130上に落下してきた人参を補助排出搬送コンベア135で落下シュータ43に搬送することができるので、人参が補助側板130上に滞留することが防止されてホッパ2に戻るため、作業能率が向上する。
【0162】
また、スライドシャッタ47の上部に補助排出搬送コンベア135を配置したことにより、スライドシャッタ47で整列搬送コンベア42の一側方を塞いでいるときに整列搬送コンベア42に人参が大量に投入されても、スライドシャッタ47よりも上方から直接排出シュータ43に人参を落下させることができるので、整列搬送コンベア42から選別搬送コンベア70に複数の人参が一度に引き継がれたり、姿勢の整わない人参が引き継がれたりすることが防止されるため、重量選別装置75の選別ミスが防止され、人参が確実にサイズ別に選別される。
【0163】
また、選別搬送コンベア42上で人参が詰まって動かなくなることを防止でき、作業者が人参の詰まり状態を解消する作業が不要となるので、選別作業の能率が向上すると共に、選別作業の自動化が図られ、作業者の労力が大幅に軽減される。
【0164】
そして、補助排出従動プーリ131と補助排出駆動プーリ132に巻回する補助排出搬送ベルト133…の数を変更可能に構成したことにより、選別作業を行う人参の数や、人参のサイズに合わせて補助排出搬送コンベア135の搬送作用幅を変更することができるので、整列搬送コンベア42に移動している人参を排出シュータ43から落下させることが防止され、ホッパ2に戻す必要の無い人参の戻し工程が省略され、作業能率が向上する。
【0165】
あるいは、
図24で示すとおり、スライドシャッタ47を搬送方向に沿って摺動自在に装着する第1傾斜側板136を整列搬送コンベア42側に下り傾斜姿勢で設け、該第1傾斜側板136の搬送上手側に第1排出従動ローラ137を回転自在に設けると共に、搬送下手側に第1排出駆動モータ139を内装した第1排出駆動ローラ138を配置する。そして、該第1排出従動ローラ137と第1排出駆動ローラ138に亘って第1排出搬送ベルト140を無端状に巻回して、第1排出搬送コンベア141を構成する。
【0166】
なお、該第1排出搬送ベルト140の下端部は、該第1排出搬送ベルト140の厚み分、例えば1mm〜3mm程度に亘って前記第1傾斜側板136の上端部を覆う構成とすると、第1排出搬送コンベア141で搬送中の人参が第1傾斜側板136の上端部に接触することを防止できるので、人参が摩擦で傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0167】
一方、固定シャッタ46を設けた側の整列側板24には、前記第1傾斜側板136と同じ前後長さで且つ上下長さの第2傾斜側板142を整列搬送コンベア42側に下り傾斜姿勢で設け、該第2傾斜側板142の搬送上手側に第2排出従動ローラ143を回転自在に設けると共に、搬送下手側に第2排出駆動モータ145を内装した第2排出駆動ローラ144を配置する。そして、該第2排出従動ローラ143と第2排出駆動ローラ145に亘って第2排出搬送ベルト146を無端状に巻回して、第2排出搬送コンベア147を構成する。
【0168】
該第2排出搬送コンベア147の周速と第1排出搬送コンベア141の周速は、整列搬送コンベア42の周速と同じ、もしくは整列搬送コンベア42の周速よりも遅く設定すると、整列搬送コンベア42に載らなかった人参は落下シュータ43に滞りなく排出されるので、ホッパ2に戻る時間がかかり過ぎることが防止され、選別作業の能率が向上する。
【0169】
あるいは、第1排出駆動モータ139と第2排出駆動モータ145をそれぞれ操作し、第1排出搬送コンベア141と第2排出搬送コンベア147のどちらか一方の周速を速くする構成としてもよい。但し、その速度は、整列搬送コンベア42の周速と同じ、あるいは周速よりも遅い速度とする。
【0170】
なお、該第2傾斜側板142の下端部は、前記第2排出搬送ベルト146の厚み分、例えば1mm〜3mm程度に亘って該第2排出搬送ベルト146の上端部を覆う構成とすると、第2排出搬送コンベア147に人参が載った際の重量や衝撃で第2排出搬送ベルト146が撓み過ぎることを防止できるので、第2排出搬送コンベア147から第2選別搬送コンベア42に人参が落下して詰まりが生じることや、複数本の人参や選別に適さない姿勢の人参が選別搬送コンベア70に引き継がれることが防止され、作業能率が向上すると共に、人参の誤選別が減少する。
【0171】
また、第2排出搬送ベルト146が外れることを防止できるので、作業者が外れた第2排出搬送ベルト146を装着する必要が無く、選別作業の停止時間が無くなって作業能率が向上すると共に、作業者がいなくても選別作業を継続することができ、作業の無人化が図られる。
【0172】
また、
図25に示す通り、前記第1排出搬送コンベア141の搬送方向の前後中央部よりも下手側に、整列搬送コンベア42側に向かって下り傾斜する第3傾斜側板148を設け、該第3傾斜側板148の搬送上手側、即ち前側に第3排出従動ローラ149を設けると共に、前記第1排出従動ローラ138の回転軸(図示省略)の下部側に、第1排出搬送コンベア141から駆動力を受けて回転する第3排出駆動ローラ150を装着する。
【0173】
該第3排出従動ローラ149と第3排出駆動ローラ150には上下方向に複数のベルトガイド溝を形成し、第3排出従動ローラ149と第3排出駆動ローラ150のベルトガイド溝に一本または複数本の第3排出搬送ベルト151…を巻回することにより、第3排出搬送コンベア152が構成される。
【0174】
なお、該第3排出搬送コンベア152の第3排出搬送ベルトは151…は、整列搬送コンベア42側に5〜10mm程度突出させる。該第3排出搬送コンベア152によって搬送される人参は、スライドシャッタ47の前端部まで移動すると、該第3排出搬送コンベア152の駆動力及び搬送されている上下位置によって、第1排出搬送コンベア141または整列搬送コンベア42に強制的に移動させられる。
【0175】
上記構成では、第3排出搬送コンベア152が第1排出搬送コンベア141の下方で回転し続けていることにより、整列搬送コンベア42と第1排出搬送コンベア141の間に人参が留まり続けることを防止できるので、選別作業の能率が向上すると共に、停滞している人参に汲上搬送コンベア16から排出されて落下してくる人参がぶつかり、人参に傷が付くことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0176】
また、第3排出搬送コンベア152の下側寄りの位置で搬送されている人参は、スライドシャッタ47に接触すると整列搬送コンベア42に移動し得る構成であるので、落下シュータ43に人参が移動し過ぎることが防止され、選別作業の間隔が空き過ぎることが防止され、作業能率が向上する。