(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮断機構は、前記マニホールド側に形成された塗料流路の前記ガン本体側に形成される塗料流路への連絡口に形成された弁座および弁体を具備し、前記弁体の前記弁座に対する開閉によって、前記マニホールド側に形成された塗料流路と前記ガン本体側に形成された塗料流路との間の塗料の伝達を制御するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスプレーガン。
【背景技術】
【0002】
たとえば塗装ロボット等に取り付けられて用いられる自動スプレーガンは、マニホールドと、このマニホールドに着脱自在に取付けられるガン本体と、を具備して構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
ガン本体は、その銃身の先端に塗料流を噴出する塗料ノズルと、この塗料ノズルの先端部を囲むように配置され、少なくとも、その内周面と前記先端部の外周面との間に空気流を噴射させる環状のスリットを規定する空気キャップと、を備え、前記塗料流と前記空気流を大気中で混合させて霧化できるように構成されている。また、ガン本体は、塗料ノズルから噴出させる塗料流のON/OFFの制御をエア(作動エア)の供給によって行うことができる塗料弁開閉機構を内蔵させている。
【0004】
マニホールドは、塗料供給口、空気供給口を備え、これら各供給口にそれぞれ接続されるマニホールド内の流路、これら流路に連絡されるガン本体内の流路を通して、それぞれ、塗料ノズルへの塗料供給、空気キャップへの空気供給、および塗料弁開閉機構へのエア供給がなされるようになっている。マニホールドは、それぞれの供給口にホースが取り付けられた状態で塗装ロボット等に装着されるようになっている。
【0005】
ガン本体は、マニホールドに対して離脱できるよう構成されることによって、マニホールドと独立して洗浄、分解、組立、部品交換を行うことができるようになっている。
【0006】
そして、スプレーガン内に形成される塗料流路は、塗料供給口から供給された塗料を該スプレーガン内に循環させてマニホールドに形成した塗料排出口へ戻す第1流路を形成するとともに、該第1流路から分岐され前記塗料ノズルを通して塗料流を噴射させる第2流路と、を形成するように構成されている(特許文献2参照)。
【0007】
このように循環経路となる第1流路を形成したのは、塗料として比較的比重の重い顔料や骨材等が用いられる場合、該顔料や骨材等が沈殿して流路に詰りが生じるのを回避するため、また高意匠性塗料を使用する場合、意匠性仕上りのバラツキを回避するため、第1流路内において塗料を常に循環させるようにしておくためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述したスプレーガンは、ガン本体をマニホールドと独立して洗浄する際に、該マニホールドへの塗料供給を停止させた状態で、該ガン本体をマニホールドから離脱させる必要が生じる。塗料供給を停止しないとガン本体がマニホールドから噴出される塗料によって汚されてしまうからである。
【0010】
この場合、塗料供給を停止させた時間分、顔料や骨材が流路内で沈殿するという不都合が生じたり、マニホールドへの塗料供給を停止させるポンプ等がスプレーガンよりも遠くに離れて配置されている場合にその作業が煩雑になってしまうという不都合が生じる。
【0011】
また、一つのポンプで複数のスプレーガンに塗料を供給している場合において、該ポンプの停止を行う場合に、洗浄を行う予定のないスプレーガンにまで塗料が供給されなくなってしまうという不都合が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポンプ等を停止させることなくマニホールド内に塗料を循環させた状態で、ガン本体をマニホールドから容易に離脱させることのできるスプレーガンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明は、マニホールドと、該マニホールドに着脱自在に取付けられるガン本体とからなり、該スプレーガン内に塗料を循環させる塗料流路が形成されているものにあって、該マニホールド側に形成された塗料流路と該ガン本体側に形成され前記塗料流路との間の塗料の伝達を遮断する遮断機構を備えるようにしたものである。
【0013】
遮断機構としては、手動で遮断できるようにしても、ガン本体をマニホールドから離脱される際に自動的に遮断できるように構成してもよい。
【0014】
このように、ガン本体をマニホールドから離脱させるようにする場合、遮断機構によって、塗料の循環はマニホールド内でのみ行わせることができ、該塗料がマニホールドから噴出されてしまうことを回避できるようになる。
【0015】
このため、ポンプ等を停止させることなくマニホールド内に塗料を循環させた状態で、ガン本体をマニホールドから容易に離脱させることができる。
【0016】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明のスプレーガンは、マニホールドと、前記マニホールドに着脱自在に取付けられるガン本体と、からなり、前記マニホールドに塗料供給口と塗料排出口を具備するスプレーガンであって、前記塗料供給口と前記塗料排出口とを通して前記スプレーガン内に塗料が循環される第1流路と、前記第1流路から分岐され前記ガン本体から塗料流を噴射させる第2流路と、からなる塗料流路と、
前記マニホールド側に形成された前記塗料流路と前記ガン本体側に形成された前記塗料流路との間の塗料の伝達を遮断する遮断機構と、を備えることを特徴とする。
(2)本発明のスプレーガンは、(1)の構成において、前記第1流路は、前記マニホールド内のみに形成されていることを特徴とする。
(3)本発明のスプレーガンは、(1)の構成において、前記第1流路は、前記マニホールド側から前記ガン本体に至って形成されていることを特徴とする。
(4)本発明のスプレーガンは、(1)の構成において、前記遮断機構は、前記マニホールド側に形成された塗料流路の前記ガン本体側に形成される塗料流路への連絡口に形成された弁座および弁体を具備し、前記弁体の前記弁座に対する開閉によって、前記マニホールド側に形成された塗料流路と前記ガン本体側に形成された塗料流路との間の塗料の伝達を制御するようにしたことを特徴とする。
(5)本発明のスプレーガンは、(4)の構成において、前記マニホールドに螺合され先端に前記バルブが取り付けられた軸体を備え、前記弁体の前記弁座に対する開閉は、前記軸体の回転操作によって行うことを特徴とする。
(6)本発明のスプレーガンは、(4)の構成において、前記マニホールドに対して前記ガン本体が離脱している場合、前記弁体は付勢手段によって前記塗料流路を閉弁し、前記マニホールドに対して前記ガン本体が装着している場合、前記ガン本体に形成された突起部が前記付勢手段に抗して前記弁体を押圧することによって前記塗料流路を開弁することを特徴とする。
(7)本発明のスプレーガンは、(1)の構成において、前記ガン本体には、前記第2流路の前記第1流路の近傍に空気を流入させることのできる空気供給機構が具備されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このようなスプレーガンによれば、ポンプ等を停止させることなくマニホールド内に塗料を循環させた状態で、ガン本体をマニホールドから容易に離脱させることができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施形態1)
図1(a)、(b)は、本発明のスプレーガンの外観を示す構成図である。
図1(a)は該スプレーガン10を前方側から観た斜視図、
図1(b)は該スプレーガン10を後方側から観た斜視図である。
【0020】
まず、
図1(a)、(b)に示すように、スプレーガン10は、マニホールド20と該マニホールド20に着脱自在に取付けられるガン本体40とから構成されている。マニホールド20は、たとえば塗装ロボット等に取り付けられるようになっている。
【0021】
ガン本体40は、
図1(a)に示すように、その銃身の先端に塗料流を噴出する塗料ノズル41が取り付けられ、この塗料ノズル41の先端部を囲むようにして空気キャップ42が備えられている。空気キャップ42の内周面と塗料ノズル41の先端部の外周面との間に空気流を噴射させる環状スリット42Aが形成されるようになっている。これにより、塗料ノズル41からの塗料流は該環状スリット42Aからの空気流によって霧化されるようになっている。また、空気キャップ42の前方面には塗料ノズル41を間にして上下方向に一対の角(つの)部43が形成され、これら角(つの)部43には空気孔(
図1(a)及び1(b)には図示せず:
図3(a)で符号43’で示す)が設けられ、該塗料ノズル41からの塗料流に交差するようにして空気が噴出されるようになっている。これにより、塗料ノズル41からの塗料流はたとえば楕円形のスプレーパターンとすることができるようになっている。
【0022】
また、マニホールド20には、
図1(b)に示すように、塗料供給口21と塗料排出口22を備え、該塗料供給口21に供給した塗料を塗料ノズル41へ導くとともに、たとえばマニホールド20内を循環させた後に塗料排出口22へ排出させるようになっている。これにより、塗料として比較的比重の重い顔料や骨材等が用いられる場合、たとえばマニホールド内の流路に該顔料や骨材等が沈殿して詰りが生じるのを回避できるようになっている。また、マニホールド20には、塗料ノズル41からの塗料の噴出をON/OFFさせる作動エアを供給する作動エア供給口23、前記環状スリット42Aから噴出される空気を供給する霧化エア供給口24、および角(つの)部の空気孔から噴出される空気を供給するパターンエア供給口25が形成されている。
【0023】
なお、ガン本体40の後部には、
図1(b)に示すように、つまみ44が取り付けられ、このつまみ44を回動させることによって、塗料ノズル41から噴射される塗料の量を調整することができるようになっている。
【0024】
マニホールド20に対するガン本体40の装着は該マニホールド20の底面から挿入されガン本体40に螺合されるたとえばボルト27によってなされている。
図2に示すように、該ボルト27をガン本体40から外すことによって、マニホールド20からガン本体40を離脱させることができるようになっている。
【0025】
また、
図2から明らかになるように、マニホールド20のガン本体40との当接面には、前記ボルト27の挿入孔28の他に、マニホールド20の塗料供給口21から供給された塗料がガン本体40の側へ導く塗料流路29、マニホールド20の空気(エア)供給口から供給された空気(エア)がガン本体40の側へ導くエア流路が設けられている。
【0026】
なお、
図1(a)、
図2には、
図1(b)に示した塗料供給口21、塗料排出口22、作動エア供給口23等にホースが取り付けられている状態を示している。
【0027】
図3(a)は、
図1(a)のIII(a)−III(a)線における断面を示した模式図である。また、
図3(b)は、
図3(a)のb−b線における断面図を示している。
【0028】
なお、
図3(a)に示すマニホールド20に形成された作動エア供給口23、霧化エア供給口24、およびパターンエア供給口25は、その機能を理解し易くするため、
図1(b)に示した配置とは異ならしめて描いている。
【0029】
図3(a)において、ガン本体40の先端の中心において該先端に近づくにつれ径が小さくなる塗料ノズル41があり、この塗料ノズル41の後端はガン本体40内に形成された塗料流路29に接続されている。該塗料流路29はマニホールド20内に形成された塗料流路29に連通され、該塗料流路29はマニホールド20の塗料供給口21に接続されている。これにより、塗料供給口21から供給された塗料はマニホールド20内の塗料流路29、ガン本体40内の塗料流路29を通して塗料ノズル41に導入されるようになっている。
【0030】
ここで、塗料流路29は、マニホールド20内において、塗料供給口21と塗料排出口22を連通させて塗料を循環させる経路となる第1流路29Aと、この第1流路29Aから分岐させてマニホールド20側からガン本体40側へ至って塗料ノズル41に至る第2流路29Bとで構成されている。なお、
図3(b)は、マニホールド20内において、塗料供給口21と塗料排出口22は第1流路29Aを介して互いに連通されていることを示している。塗料流路29をこのように構成することにより、第1流路29A内に塗料を常に循環させることができ、塗料として比較的比重の重い顔料や骨材等が用いられる場合、該顔料や骨材等が沈殿して流路に詰りが生じるのを回避できるようになり、且つ高意匠性塗料を使用した場合、意匠性仕上がりのバラツキを回避できるようになる。
【0031】
塗料ノズル41は、該塗料ノズル41と同軸にニードル弁45が内蔵され、このニードル弁45の後端は塗料弁開閉機構47に連結されている。塗料弁開閉機構47は、作動エア供給口23からのエア供給によって、図示しないバネによって塗料ノズル41の先端側に付勢されていたニードル弁45を該塗料弁開閉機構47側へシフトさせるようになっている。これにより、該ニードル弁45によって塞さがれていた塗料ノズル41の先端が開口され、塗料ノズル41内の塗料が塗料ノズル41の先端から噴出されるようになっている。
【0032】
なお、塗料ノズル41からの塗料の噴出にともない、該塗料ノズル41と空気キャップ42の間の環状スリット42Aから噴出される空気は、マニホールド20側の霧化エア供給口24に連結される霧化エア流路24A、この霧化エア流路24Aに連通されるガン本体40側の霧化エア流路24A’を介して導入されるようになっている。また、空気キャップ42の角(つの)部43の空気孔から噴出されるエアは、マニホールド20側のパターンエア供給口25に連結されるパターンエア流路25A、このパターンエア流路25Aに連通されるガン本体40側のパターンエア流路25A’を介して導入されるようになっている。また、塗料弁開閉機構47に供給されるエアは、マニホールド20側の作動エア供給口23に連結される作動エア流路23A、この作動エア流路23Aに連通されるガン本体40側の作動エア流路23A’を介して導入されるようになっている。
【0033】
そして、このように構成されたスプレーガン10において、マニホールド20内の塗料流路29とガン本体内の塗料流路29との間の塗料の伝達を遮断する遮断機構50が備えられている。
【0034】
この遮断機構50は、たとえばマニホールド20内に形成されている。すなわち、マニホールド20内に形成される第1流路29Aから分岐され、ガン本体40と当接されるマニホールド20の面に開口される第2流路29B(ガン本体40側に形成される塗料流路29への連絡口)は、該面に近づくにつれ径が小さくなるテーパ面(弁座)29Tを有するように構成されている。そして、マニホールド20の底面側から該マニホールド20に螺合される軸体51があり、この軸体51の先端部は、先端に近づくにつれ径が小さくなるテーパ面(弁体)51Tを有するように構成されている。第1流路29Aに形成されたテーパ面29Tの該第1流路29Aの軸方向に対する角度は、軸体51に形成されたテーパ面51Tの該軸体51の軸方向に対する角度とほぼ等しくなっている。また、軸体51は、マニホールド20からはみ出す部分においてつまみ51Aを備え、このつまみ51Aを回転させることにより、該軸体51を軸方向に変位できるようになっている。
【0035】
このため、
図4(a)に示すように、軸体51をマニホールド20に対して緩める方向に移動させることにより、マニホールド20内の第2流路29Bは軸体51の先端との間に塗料の通路を形成することができる。また、
図4(b)に示すように、軸体51をマニホールド20に対して締め付ける方向に移動させることにより、マニホールド20内の第1流路29Aは軸体51の先端によって塗料の通路を閉塞するようになる。なお、
図4(a)、(b)に示すように、軸体51には、その軸方向に沿って並設された複数(図では2個)のO−リング52が備えられ、このO−リング52によって、軸体51とマニホールド20における該軸体51の挿入孔の側壁面との間の隙間をなくし、これにより、塗料が挿入孔に沿って漏れてしまうのを回避するようになっている。
【0036】
上述した構成のスプレーガン10によれば、マニホールド20側に形成された塗料流路29とガン本体40側に形成された塗料流路29との間の塗料の伝達を遮断する遮断機構50を備えるようにしたものである。
【0037】
このため、ガン本体40をマニホールド20と独立して洗浄する際は、該遮断機構50のつまみ51Aの操作によって、マニホールド20側の塗料流路29からの塗料をガン本体40側の塗料流路29へ伝達を遮断でき、これにより、ガン本体40がマニホールド20から噴出される塗料によって汚されることなく、ガン本体40をマニホールド20から離脱させることができるようになる。
【0038】
したがって、ガン本体40をマニホールド20と独立して洗浄、分解、組立、部品交換する際において、該ポンプ等を停止させる作業を行う必要がなくなる効果を奏する。
【0039】
また、一つのポンプで複数のスプレーガン10に塗料を供給している場合において、該ポンプの停止を行うことはなく、洗浄を行う予定のないスプレーガン10に塗料を供給し続ける効果を奏するようになる。
(実施形態2)
実施形態1では、塗料を循環させる第1流路29Aからなる塗料流路29は、マニホールド20内のみに形成されている場合を示したものである。しかし、これに限定されることはなく、該第1流路29Aは、マニホールド20側からガン本体40に至って形成されている場合であっても本願発明を適用することができる。
【0040】
図5は、
図4と対応づけて描いた断面図で、マニホールド20に形成された塗料供給口21(図示せず)と塗料排出口22(図示せず)との間には、マニホールド20内において塗料供給口21と塗料排出口22を互いに連通させる第1流路29Aが形成されている。また、ガン本体40内においても、マニホールド20内の第1流路29Aの離間された2箇所の部分を互いに連通させる第1流路29Aが形成されている。この場合、マニホールド20とガン本体40の相互の境界面は2個の第1流路29Aが貫通されて形成されるようになる。なお、ガン本体40に形成される第1流路29Aの中途部には塗料ノズル(図示せず)に接続される第2流路29Bに連結されている。
【0041】
そして、マニホールド20内の塗料流路(第1流路29A)とガン本体40内の塗料流路(第1流路29A)との間の塗料の伝達を遮断する遮断機構50が備えられ、この場合、該遮断機構50は、マニホールド20とガン本体40の相互の境界面を貫通する第1流路29Aの数に応じて2個(符号50A、50Bで示す)設けられている。
【0042】
この実施形態の場合、遮断機構50は、いずれも実施形態1に示した遮断機構と同様の構成となっている。
(実施形態3)
実施形態1、実施形態2に示した遮断機構50は、いずれも、マニホールド20側に形成された塗料流路29のガン本体40側に形成された塗料流路29への連絡口に形成された弁体51Tを具備する軸体51から構成され、この軸体51を手動で回転操作することによって、前記連絡口の弁体51Tによる開閉を行うようにしたものである。
【0043】
しかし、これに限定されることはなく、マニホールド20に対するガン本体40の離脱によって、マニホールド20側に形成された塗料流路29のガン本体40側に形成される塗料流路29への連絡口が自動的に閉塞され、マニホールド20に対するガン本体40の装着によって、前記連絡口が自動的に開放されるように構成してもよいことはもちろんである。
【0044】
図6(a)ないし6(c)は、マニホールド20に対するガン本体40の着脱に応じ、マニホールド20側に形成された塗料流路29のガン本体40側に形成された塗料流路29への連絡口αが自動的に開閉される構成を示している。なお、
図6(a)ないし6(c)は、塗料流路29の第1流路29Aがマニホールド20内のみに形成されている場合を示している(したがって、マニホールド20とガン本体40の相互の境界面には1個の第2流路29Bが貫通するようになっている)。
【0045】
図6(a)は、マニホールド20に対してガン本体40が装着されている状態を示している。
【0046】
図6(a)において、マニホールド20内に形成されている第1流路29Aから分岐される第2流路29Bはほぼ垂直方向に延在されて形成されている。
【0047】
第2流路29Bは、第1流路20Aからの分岐部において、ガン本体40側へ向かうにつれ径が小さくなるテーパ面(弁座)29Tが形成されている。
【0048】
マニホールド20には、第1流路29Aの該マニホールド20の底面側への延長上に軸体51が内蔵されている。この軸体51は、マニホールド20の底面側に配置されたバネ53に付勢されてガン本体40側へ移動してしまうのを、マニホールド20に装着されたガン本体40に取り付けられた突起部48が、該軸体51のガン本体40側の端面(先端面)を押圧することによって抑制されている。なお、該突起部48は第2流路29Bとほぼ同軸に配置され、該突起部48の径は第2流路29Bの径よりも小さく形成されている。また、軸体51は、その中途部において、ガン本体40側へ向かうにつれ径が小さくなるテーパ面(弁体)51Tが形成されている。
【0049】
マニホールド20に対してガン本体40が装着されている場合、マニホールド20に形成されたテーパ面(弁座)29Tと軸体51に形成されたテーパ面(弁体)51Tは離間された状態にあり、該軸体51、および突起部48の周囲には第2流路29Bが形成されるようになっている。これにより、マニホールド20に形成された塗料供給口21からの塗料は、第1流路29Aで循環されてマニホールド20に形成された塗料排出口22から排出されるとともに、第2流路29Bを通して塗料ノズル41(図示せず)へ導出されるようになる。
【0050】
なお、軸体51は、その軸方向に沿って並設された複数(図では2個)のO−リング52が備えられ、このO−リング52によって、軸体51とマニホールド20における該軸体51の挿入孔の側壁面との間の隙間をなくし、これにより、塗料が挿入孔に沿って漏れてしまうのを回避するようになっている。
【0051】
また、突起部48の周辺には該突起部48を囲んで円筒材49が取り付けられ、この円筒材49は、マニホールド20に対してガン本体40が装着されている場合に、マニホールド20に形成された凹部30に嵌め込まれるようになっている。第2流路29Bは、突起部48と円筒材49の間の隙間に形成されるようになっている。
【0052】
そして、
図6(b)に示すように、マニホールド20に対してガン本体40を離脱させようにする場合、ガン本体40の上昇にともない、マニホールド20に内蔵される軸体51の先端面における前記突起部48の押圧が解除され、前記バネ53の付勢によって、軸体51は図中上方へ移動する。これにより、軸体51のテーパ面(弁体)51Tと第2流路29Bのテーパ面(弁座)29Tとが互いに当接し合い、マニホールド20側の第2流路29Bからガン本体40側の第2流路29Bへの塗料の伝達が遮断される。
【0053】
なお、
図6(c)は、ガン本体40の円筒材49がマニホールド20の凹部30から外れて、マニホールド20に対するガン本体40の離脱がなされた状態を示した図である。
(実施形態4)
図7(a)ないし7(c)は、本発明のスプレーガンの他の実施形態を示す構成図である。
図7(a)は、たとえば実施形態1に示したスプレーガン10の改良として構成したものとなっている。
【0054】
図7(a)ないし7(c)において、実施形態1に示したスプレーガン10の場合と比較して異なる構成は、ガン本体40において、該ガン本体40の塗料流路29が大気と連通し得る空気バルブ手段60が具備されている点にある。
【0055】
図7(a)に示すように、空気バルブ手段60は、ガン本体40の側面から螺合される螺子61を有し、該螺子61の先端部は、先端に向かうにつれ径が小さくなるテーパ面(弁体)61Tを有している。
【0056】
螺子61のガン本体40との螺合部62から先端に至る周囲には大気に連通される空気通路63が形成され、この空気通路63はガン本体40に形成された塗料流路29に接続されている。前記空気通路63の該塗料流路29に近接する部分には、該塗料流路29に向かうにつれ径が小さくなるテーパ面(弁座)63Tが形成されている。
【0057】
図7(b)に示すように、ガン本体40に対して螺子61を締め付ける方向に移動させている場合には、螺子61の側面によって空気バルブ手段60に形成された孔65が塞がれ前記空気通路63の大気との連通を妨げるように構成されているとともに、螺子61の先端に形成されたテーパ面(弁体)61Tが空気通路63に形成されたテーパ面(弁座)63Tに当接されるようになっている。これにより、ガン本体40の塗料流路29は大気と隔絶されている状態になっている。
【0058】
また、
図7(c)に示すように、ガン本体40に対して螺子61を緩める方向に移動させている場合には、螺子61の側面によって前記空気通路63の大気との連通が前記孔65を通して解放されるように構成されているとともに、螺子61の先端に形成されたテーパ面(弁体)61Tが空気通路63に形成されたテーパ面(弁座)63Tから離間されるようになっている。これにより、ガン本体40の塗料流路29は大気に連通される状態になっている。
【0059】
次に、このように構成されたスプレーガン10の使用方法について説明する。
【0060】
ガン本体40をマニホールド20から離脱させようとする場合、まず、遮断機構50の操作によって、マニホールド20側に形成された塗料流路29のガン本体40側に形成された塗料流路29への連絡口を弁体51Tによって遮断する。なお、ガン本体40がマニホールド20に装着されている場合、空気バルブ手段60は、
図7(b)に示すように、ガン本体40の塗料流路29は大気と隔絶されている状態になっている。
【0061】
次に、作動エア供給口23(
図7(a)ないし7(c)には図示せず)を通したエア(作動エア)の供給によって塗料弁開閉機構をONさせる。この場合、マニホールド20の塗料流路29からガン本体40への塗料の伝達は遮断機構50の操作によって遮断されている。そして、空気バルブ手段60を操作させることによって、
図7(c)に示すように、ガン本体40の塗料流路29を大気に連通された状態にする。このときスプレーガン10の霧化エア供給口24
(図7(a)ないし7(c)には図示せず)には加圧空気が供給され、塗料ノズル41の先端は霧化空気の噴出により大気圧より低い負圧状態となっている。
こうすることによって、ガン本体40の塗料流路29に残留されている塗料を負圧によって抜き出すことができるようになる。
【0062】
その後、霧化エア供給口への加圧空気の供給を停止し、ガン本体40をマニホールド20から離脱させるようにする。この場合、ガン本体40の塗料流路29には塗料が残留されていないので、該塗料がガン本体40から垂れてしまうという不都合を回避することができるようになる。
なお、塗料通路と大気とを連通させる構造(空気バルブ手段)を、
図8に示すように、マニホールド20とガン本体40との間の塗料通路を遮断させる遮断機構50の内部に設けてもよい。
すなわち、
図8において、遮断機構50の軸体51の中心に沿って螺子61が配置されている。螺子61は、軸体51の
つまみ51Aに螺合されているとともに、軸体51の中心軸周りに形成された空気通路63内に貫通されている。軸体51の側面には孔65が形成され、螺子61を締め付けている場合には、該孔65は螺子61の側面によって外気と空気通路63の連通が遮断され(図中丸内の拡大図参照)、螺子61を緩める場合には、外気が前記孔65を通して空気通路63に侵入できるようになっている。また、該螺子61の先端部は、先端に向かうにつれ径が小さくなるテーパ面(弁体)61Tが形成され、軸体51に形成された空気通路63の先端部の内周面には、先端に向かうにつれ径が小さくなるテーパ面(弁座)63Tが形成されている。螺子61を締め付けている場合には、空気通路63のテーパ面(弁座)63Tと螺子61の先端部のテーパ面(弁体)61Tが面接触され、空気通路63からの空気がガン本体40の塗料流路
29に供給されないようになっている。そして、螺子61を緩めた場合には、空気通路63のテーパ面(弁座)63Tと螺子61の先端部のテーパ面(弁体)61Tが離間され、空気通路63からの空気がガン本体40の塗料流路
29に供給されるようになっている。
このように遮断機構50の内部に設けた空気バルブ手段も、
図7(a)ないし7(c)に示した空気バルブ手段と同様な動作をし、
図7(a)ないし7(c)に示したと同様の効果を奏するようになる。
【0063】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。