特許第5995323号(P5995323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローブライド株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000002
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000003
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000004
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000005
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000006
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000007
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000008
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000009
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000010
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000011
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000012
  • 特許5995323-魚釣用スピニングリール 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995323
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】魚釣用スピニングリール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20160908BHJP
【FI】
   A01K89/01 A
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-75125(P2013-75125)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-198021(P2014-198021A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(72)【発明者】
【氏名】堤 わたる
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−180718(JP,A)
【文献】 特開平10−066488(JP,A)
【文献】 特開2012−024028(JP,A)
【文献】 特開2000−157117(JP,A)
【文献】 米国特許第07004416(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00−89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体に回転自在に支持され、巻き取り操作されるハンドルを装着したハンドル軸と、前記リール本体の外側面において前記ハンドル軸周りに設けられた凹部と、前記凹部に取り付けられるカバー部材と、を備え、
前記凹部は、前記ハンドル軸の径方向に間隔を空けて少なくとも2つ設けられており、
前記カバー部材は、少なくとも2つの前記凹部のうちの少なくともいずれか1つに取り付けられるものであり、
前記凹部のうち、前記ハンドル軸の径方向内側に設けられる前記凹部は、径方向の大きさが比較的小さい前記カバー部材を取り付けるためのものであり、
前記凹部のうち、前記ハンドル軸の径方向外側に設けられた前記凹部は、径方向の大きさが比較的小さい前記カバー部材よりも径方向に大きい前記カバー部材を取り付けるためのものであることを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項2】
前記カバー部材は前記ハンドル軸の径方向外側に延出する延出部を備えており、
前記凹部のうち前記ハンドル軸の径方向外側に設けられた前記凹部は、前記延出部の径方向最外部を収容可能であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記凹部に取り付けられることで、前記ハンドル軸周りに付設される付設部材の保持部材として機能することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用スピニングリールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、魚釣用スピニングリールは、リール本体にスプールを支持し、リール本体の一側に回転可能に支持したハンドルを通じてリール本体内の巻き取り駆動機構を駆動することにより、スプールに釣糸を巻回保持する構成とされている。
【0003】
ところで、リール本体の外側面においてハンドル軸周りにカバー部材を取り付けた魚釣用スピニングリールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、リール本体の外側面のハンドル軸周りに凹部が設けられており、この凹部にカバー部材の外周部が挿入されて取り付けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−180718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、凹部にカバー部材の外周部が挿入されてカバー部材が取り付けられる構成であるため、カバー部材の形状に制約が生じてしまい、デザインの自由度が制限されるという課題を有していた。仮に、デザインを優先して凹部よりも大きな外径のカバー部材を取り付けると、凹部の径方向外側にはみ出した部分に釣糸の解れ等による糸絡みが生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、糸絡みのリスクを回避しつつデザインの自由度を向上させることができる魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明の魚釣用スピニングリールは、リール本体に回転自在に支持され、巻き取り操作されるハンドルを装着したハンドル軸と、前記リール本体の外側面において前記ハンドル軸周りに設けられた凹部と、前記凹部に取り付けられるカバー部材と、を備え、前記凹部は、前記ハンドル軸の径方向に間隔を空けて少なくとも2つ設けられており、前記カバー部材は、少なくとも2つの前記凹部のうちの少なくともいずれか1つに取り付けられるものであり、前記凹部のうち、前記ハンドル軸の径方向内側に設けられる前記凹部は、径方向の大きさが比較的小さい前記カバー部材を取り付けるためのものであり、前記凹部のうち、前記ハンドル軸の径方向外側に設けられた前記凹部は、径方向の大きさが比較的小さい前記カバー部材よりも径方向に大きい前記カバー部材を取り付けるためのものであることを特徴とする。
【0008】
この魚釣用スピニングリールによれば、ハンドル軸の径方向内側に設けられた凹部に収まるようにして、径方向の大きさが比較的小さいカバー部材を取り付けることができる。また、ハンドル軸の径方向外側に設けられた凹部に収まるようにして、前記小さいカバー部材よりも径方向に大きいカバー部材を取り付けることができる。
【0009】
また、本発明は、「前記カバー部材は前記ハンドル軸の径方向外側に延出する延出部を備えており、前記凹部のうち前記ハンドル軸の径方向外側に設けられた前記凹部は、前記延出部の径方向最外部を収容可能である」ことを特徴とする。
【0010】
この魚釣用スピニングリールによれば、カバー部材に備わる延出部の径方向最外部を凹部に確実に収容することができる。
【0011】
また、本発明は、「前記カバー部材は、前記凹部に取り付けられることで、前記ハンドル軸周りに付設される付設部材の保持部材として機能する」ことを特徴とする。
【0012】
この魚釣用スピニングリールによれば、カバー部材を取り付けることにより、ハンドル軸周りに付設される付設部材の保持が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、少なくとも2つ設けられた凹部を用いて、大きさの異なるカバー部材を取り付けることができるので、デザインの自由度が向上し、設計、企画の自由度も高まる。
また、それぞれの凹部に収まるようにして大きさの異なるカバー部材を取り付けることができるので、糸絡みのリスクを好適に回避することができる。
【0014】
また、カバー部材に備わる延出部の径方向最外部を凹部に確実に収容することができるので、デザインの自由度を確保しつつ糸絡みのリスクを効果的に回避することができる。
【0015】
また、カバー部材を取り付けることにより、ハンドル軸周りに付設される付設部材の保持が可能となるので、別途、固定部材等が不必要となり、部品点数の削減、コストの低減を図ることができる。また、別途、固定部材等が不必要となる分、ハンドル軸周りの構造の簡素化や組付性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールの側面図である。
図2図1のA−A線に沿う断面図である。
図3】径方向に小さいカバー部材が取り付けられたリール本体の拡大断面図である。
図4】(a)は蓋体と被覆部材とカバー部材との分解斜視図、(b)は組み付けた状態の側面図、(c)は組み付けた状態の斜視図である。
図5】変形例のカバー部材を示す図であり、(a)は蓋体と被覆部材とカバー部材との分解斜視図、(b)は組み付けた状態の側面図、(c)は組み付けた状態の斜視図である。
図6】径方向に大きいカバー部材が取り付けられたリール本体の拡大断面図である。
図7】(a)は蓋体と被覆部材とカバー部材との分解斜視図、(b)は組み付けた状態の側面図、(c)は組み付けた状態の斜視図である。
図8】カバー部材の変形例を示す図であり、(a)は蓋体と被覆部材とカバー部材との分解斜視図、(b)は組み付けた状態の側面図、(c)は組み付けた状態の斜視図である。
図9】カバー部材の変形例を示す図であり、(a)は蓋体と被覆部材とカバー部材との分解斜視図、(b)は組み付けた状態の側面図、(c)は透明な被覆部材を組み付けた状態の側面図である。
図10】(a)〜(c)は凹部の変形例を示す模式側面図である。
図11】(a)〜(d)はその他の例を示す説明図である。
図12】(a)〜(d)はその他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る魚釣用スピニングリールの実施形態について図面を参照して説明する。実施形態において、同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の説明において、「前後」「上下」を言うときは、図1に示した方向を基準とし、「左右」を言うときは、図2に示した方向を基準とする。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示すように、主として、魚釣用スピニングリールは、図示しない釣竿に装着するための脚部1cが形成されたリール本体1(例えば、金属から形成される)と、リール本体1の前方に回転可能に設けられたロータ3と、このロータ3の回転運動と同期して前後方向移動可能に設けられたスプール4とを有して構成される。
リール本体1は、リールボディ1aと、このリールボディ1aの一側に固定される蓋体1bとを有し、リールボディ1aから延出する脚部1cの端部に形成された竿取付部1dを介して図示しない釣竿に取り付けられる。蓋体1bは、例えば、図示しない複数の止めねじでリールボディ1aの一側の開口部1e(図2参照)に着脱可能に固定される。
【0019】
リール本体1には、図2に示すように、左右のボール軸受10,11を介してハンドル軸7が回転可能に支持されており、ハンドル軸7の突出端部には、巻き取り操作されるハンドル6が取り付けられている。ハンドル軸7には、ハンドル6の巻き取り操作によりハンドル軸7が回転したときに、ハンドル軸7とともに回転するドライブギャ8が取り付けられている。ドライブギャ8は、図1に示すように、回転軸筒12のピニオンギャ9aに噛合している。回転軸筒12は、ハンドル軸7と直交する方向に延出するとともに内部に軸方向に延出する空洞部を有する。回転軸筒12の先端部には、ロータ3が一体的に取り付けられている。ロータ3は、ベール13および釣糸案内部13aを備える。
【0020】
回転軸筒12の空洞部には、摺動可能なクリアランスを有してスプール軸15が挿通支持されている。スプール軸15の後端には、スプール4(スプール軸15)を前後往復動させるための公知のスプール往復動装置16が係合している。
【0021】
スプール往復動装置16は、図2に示すように、ハンドル軸7と一体回転する歯車17と、歯車17に噛合する連動歯車18とを有するいわゆるギヤ方式のものである。連動歯車18は、その回転中心軸から偏心して突設された図示しない係合突起を有している。この係合突起は、スプール軸15の後端部に取り付けられた摺動子19の図示しないカム溝に係合している。
【0022】
このようなスプール往復動装置16は、ハンドル軸7がハンドル6の巻き取り操作によって回転されると、ハンドル軸7上の歯車17と噛み合う連動歯車18が回転し、それに伴って、連動歯車18の係合突起が回転するとともに、この係合突起に係合するカムの案内によって摺動子19が前後に往復動する。したがって、摺動子19に取り付けられたスプール軸15が軸方向に沿って往復駆動(前後動)する。
【0023】
このような構成を有する魚釣用スピニングリールにおいて、ハンドル6により巻き取り操作を行うと、ロータ3がドライブギャ8、ピニオンギヤ9a、回転軸筒12を介して回転駆動されるとともに、スプール4がスプール往復動装置16を介して前後往復動されるので、釣糸は、ロータ3の釣糸案内部13a(図1参照)を介してスプール4の巻回胴部4aに均等に巻回される。
【0024】
なお、リール本体1内には、ロータ3の逆回転(釣糸をスプールから繰り出す方向の回転)を防止する周知の一方向クラッチを備えた逆転防止機構が設けられている。この逆転防止機構は、図1に示すように、リール本体1の後端壁部に設けられた切換レバー1gを通じて切換操作されるようになっており、ロータ3を正逆転可能な状態と、正転可能でかつ逆転不能な状態とに切り換える。
【0025】
本実施形態のハンドル6は、ハンドル軸7の左端部7aおよび右端部7bのいずれにも、締結装置20を介して取り外し可能に固定することができる。図2に示す状態は、ハンドル軸7の右端部7bにハンドル6を取り付けてある。なお、ハンドル軸7の左端部7aにハンドル6を取り付ける場合は、ハンドル軸7の左端部7aに固定したハンドルキャップ21を蓋体1bのカバー部材30Aから取り外し、ハンドル軸7の左端部7aに、締結装置20を介してハンドル6を取り付けることにより行う。そして、ハンドルキャップ21を、反対側のリールボディ1aの右側壁1hに取り付けたカバー部材30Aに取り付ける。
【0026】
ハンドル軸7の左端部7aは、図3に示すように、蓋体1bに設けられた開口部38aを通じて蓋体1bの左側方へ突出配置されている。開口部38aの内側には、ボール軸受10が配置されており、ボール軸受10は、ハンドル軸7の左端部7aを支持している。また、ハンドル軸7の右端部7bは、右側壁1hに設けられた開口部38bを通じて右側壁1hの右側方に突出配置されている。開口部38bの内側には、ボール軸受11が配置されており、ボール軸受11は、ハンドル軸7の右端部7bを支持している。
なお、ハンドル軸7の左端部7aおよび右端部7bには、それぞれ径の異なる雄ねじが互いに逆向きに形成してある。締結装置20には、これらの雄ねじに互いに対応する雌ねじが形成されており、これらを螺合することにより、締結装置20を介してハンドル6を連結することができる。
【0027】
図2に示すように、蓋体1bの外側面およびリールボディ1aの右側壁1hの外側面には、ハンドル軸7の径方向に間隔を空けて2つの凹部105,110がそれぞれ形成されている。凹部105と凹部110とは、リブ106で仕切られている。そして、これらの凹部105,110を利用して、蓋体1bの外側面および右側壁1hの外側面には、大きさの異なるカバー部材30A,30B(図5参照)が取り付けられるようになっている。
凹部105,110は、蓋体1bの外側面および右側壁1hの外側面において同形状とされているので、以下では、蓋体1bの外側面に設けられる凹部105,110について説明する。
【0028】
図4に示すように、凹部105は、側面視で略円環状を呈しており、開口部38aを形成している円筒部101の周りを囲むように蓋体1bに凹設されている。凹部105内の底面には、周方向に並ぶ3つの長溝104が形成されている。隣接する長溝104間には、計3つのねじ孔103が形成されている。
【0029】
凹部105には、側面視で略円環状を呈する被覆部材40が装着される。被覆部材40には、凹部105の3つのねじ孔103に対応する3つの挿通孔43が形成されている。被覆部材40の内縁部41は、蓋体1bの円筒部101の外径よりも大きい内径を有しており、円筒部101の外周面に間隔を空けて位置する。また、被覆部材40の外縁部42は、リブ106に内嵌可能な外径を有している。
凹部110は、側面視で略C字状(図4(b)参照)を呈しており、凹部105の径方向外側に凹部105と間隔を空けて同心状に凹設されている。
【0030】
次に、凹部105に対して取り付けられる径方向に小さい(比較的小径とされた)カバー部材30Aについて説明する。
図4(a)に示すように、カバー部材30Aは、ハンドル軸7の左端部7aを挿通する内孔31aを形成するフランジ部31と、このフランジ部31に連続する段部32と、段部32から径方向外側に延びる略ディスク状の延出部33と、を有する。内孔31aの内面には、図3に示すように、ハンドルキャップ21を螺合により取り付けるための雌ねじが形成されている。つまり、カバー部材30Aは、ハンドル軸7周りに付設されるハンドルキャップ21を保持する部材として機能するようになっている。
なお、ハンドルキャップ21の周壁21aは、カバー部材30Aに螺着した状態で、カバー部材30Aの段部32の側面32aに当接するようになっており、この当接により必要以上にねじ込まれることが防止されている。
【0031】
延出部33には、図4(a)に示すように、周方向に並ぶ3つの長孔34が形成されている。3つの長孔34は、蓋体1bの凹部105の長溝104にそれぞれ対応した形状とされている。隣接する長孔34間には、計3つのねじ孔35が形成されている。3つのねじ孔35は、蓋体1bの凹部105のねじ孔103に対応して形成されている。
【0032】
このようなカバー部材30Aは、3つのねじ36を用いて凹部105に取り付けることができる。つまり、カバー部材30Aのねじ孔35にねじ36を通し、これをさらに被覆部材40の挿通孔43に通して、凹部105のねじ孔103に螺合する。これにより、カバー部材30Aを凹部105に収容するようにして、蓋体1bに取り付けることができる。
なお、凹部105にカバー部材30Aを取り付けると、図4(b)に示すように、カバー部材30Aの長孔34を通じて、内側の被覆部材40が露出する状態となる。
【0033】
また、図3に示すように、ハンドル軸7の軸方向において、カバー部材30Aのフランジ部31は、ボール軸受10に対向しており、凹部105にカバー部材30Aを取り付けることにより、円環状のスペーサ31bを介してボール軸受10に当接する。つまり、カバー部材30Aは、ハンドル軸7周りに付設されるボール軸受10を保持する部材として機能するようになっている。なお、スペーサ31bは必ずしも設けなくてもよい。
【0034】
なお、右側壁1hに取り付けられるカバー部材30Aのフランジ部31は、ボール軸受11に対向する部分31cがボール軸受11に向けて突出しており、この対向する部分31cが、円環状のスペーサ31dを介してボール軸受11に当接するようになっている。
【0035】
図5に変形例のカバー部材30Bを示す。
このカバー部材30Bは、円環状を呈しており、凹部105内に全体が収容されるようになっている。
カバー部材30Bには、周方向に並ぶ3つの長孔34aが形成されている。3つの長孔34は、蓋体1bの凹部105の長溝104にそれぞれ対応した形状とされている。また、隣接する長孔34a間には、計3つのねじ孔35aが形成されている。3つのねじ孔35aは、蓋体1bの凹部105のねじ孔103に対応して形成されている。
【0036】
このようなカバー部材30Bは、被覆部材40を固定するための機能、および蓋体1bにおけるハンドル軸7周りを装飾するための化粧板として機能する。
なお、カバー部材30Bは、前記したカバー部材30Aに備わるフランジ部31等を有していないので、前記したカバー部材30Aに比べて軽量化が可能である。
このようなカバー部材30Bを用いた場合には、蓋体1bの円筒部101にボール軸受10(11)を保持する突起等を設けることで、ボール軸受10(11)の保持が可能である。
【0037】
なお、長孔34aは、必ずしも設けなくてもよく、被覆部材40を介設せずに凹部105に対してカバー部材30Bを直接収容するように構成してもよい。
【0038】
次に、凹部110に取り付けられる径方向に大きい(大径とされた)カバー部材30Cについて説明する。
図6,7に示すように、カバー部材30Cが前記した小径のカバー部材30Aと異なるところは、延出部33が径方向外側へ向けてさらに延出している点である。
延出部33の外周縁部33aは、蓋体1bの凹部110に対応して延出形成されており、凹部110に対して挿入可能となっている。これにより、カバー部材30Cを蓋体1bに取り付けると、図6に示すように、先端となる外周縁部33aがリブ106を跨ぐ(覆う)ようにして凹部110内に挿入される。つまり、凹部110は、カバー部材30Cの径方向最外部を収容可能に構成されている。
なお、延出部33の先端部は、外周縁部36aへ向けて緩やかに湾曲しており、釣糸の解れ等による糸絡みが生じることがない。
【0039】
図8図9に径方向に大きいカバー部材30D,30Eの変形例を示す。
カバー部材30Dは、図8(a)〜(c)に示すように、三方向に延出する延出部37を有しており、側面視で手裏剣形状(図8(b)参照)を呈している。延出部37は、段部32から径方向外側に向けてそれぞれ延出している。延出部37の径方向最外部となる先端縁部37bは、凹部110に対応して延出形成されており、凹部110に対して挿入可能となっている。なお、延出部37の先端部には孔部37aが形成されている。
【0040】
このようなカバー部材30Dを蓋体1bに取り付けると、図8(b)(c)に示すように、延出部37の先端部がリブ106を跨ぐ(覆う)ようにして位置し、先端縁部37bが凹部110内に挿入される。
なお、延出部37の先端部は、凹部110に向けて傾斜しており、延出部37の先端部に対して釣糸の解れ等による糸絡みが生じることがない。
【0041】
図9に示すカバー部材30Eは、図8に示したカバー部材30Dをさらに変形したものであり、先端縁部37b間に亘るようにC字形状の枠部材38を設けたものである。
枠部材38は、蓋体1bの凹部110に対応して形成されており、凹部110に対して挿入可能となっている。これにより、カバー部材30Eを蓋体1bに取り付けると、図9(b)に示すように、延出端となる先端縁部37bがリブ106を跨ぐ(覆う)ようにして位置し、枠部材38が凹部110内に挿入される。また、枠部材38を介して先端縁部37bが凹部110内に確実に収容されることとなり、延出部37の先端部に対して釣糸の解れ等による糸絡みが生じることをより確実に回避することができる。
図9(c)は、被覆部材40として、透明な材質のものを用いたものであり、被覆部材40を通じて外部に蓋体1bの長溝104が臨むようになっている。なお、図9(c)では、先端部に孔部37aが形成されていないものを示した。
【0042】
なお、これらの変形例では、三方向に延出する延出部37を示したが、これに限られることはなく、二方向や四方向に延出部37が延出するように構成してもよいし、五方向以上の方向に延出部37が延出するように構成してもよい。
【0043】
以上説明した本実施形態の魚釣用スピニングリールによれば、2つ設けられた凹部105,110を用いて、大きさの異なるカバー部材30A〜30Eを取り付けることができるので、デザインの自由度が向上し、設計、企画の自由度も高まる。
また、それぞれの凹部105,110に収まるようにして大きさの異なるカバー部材30A〜30Eを取り付けることができるので、糸絡みのリスクを好適に回避することができる。
【0044】
また、カバー部材30C〜30Eに備わる延出部33,37の径方向最外部となる外周縁部33a,先端縁部37bを、凹部110に確実に収容することができるので、デザインの自由度を確保しつつ糸絡みのリスクを効果的に回避することができる。
【0045】
また、カバー部材30A,30C〜30Eを取り付けることにより、ハンドル軸7周りに付設されるボール軸受10(11)等の付設部材の保持が可能となるので、別途、固定部材(保持部材)等が不必要となり、部品点数の削減、コストの低減を図ることができる。また、別途、固定部材(保持部材)等が不必要となる分、ハンドル軸7周りの構造の簡素化や組付性の向上を図ることができる。
【0046】
前記実施形態では、凹部105の周りに周状の凹部110を形成したものを示したが、これに限られることはなく、図10(a)に示すように、凹部105の周りに凹部110aを部分的に点在させてもよい。凹部110aは、湾曲線状であり、凹部105の周りにおいて同心状に90度間隔で形成されている。
【0047】
このような魚釣用スピニングリールによれば、凹部105を利用して径方向に小さい(比較的小径とされた)カバー部材30Aを凹部105内に収容して取り付けることができるとともに、凹部110aを利用して径方向に大きい(大径とされた)カバー部材を取り付けることができる。この場合、凹部110aに対応するように延出部の最外周縁部(最外部)を設け、凹部110aに最外周縁部(最外部)が収容されるように構成する。
【0048】
なお、凹部110aは、周方向に4つ設けたものを示したが、少なくとも1つ設けられていればよい。また、凹部110aは、同心状に設けたものを示したが、径方向にずらして設けてもよい。
【0049】
また、図10(b)に示すように、凹部105の周りに五角形状の凹部110bを設けてもよい。
このような魚釣用スピニングリールによれば、凹部110bを利用して五角形の例えばワッペン状のカバー部材を取り付けることができる。
【0050】
さらに、図10(c)に示すように、凹部105を略正五角形状に形成し、この凹部105の各辺の側方に小円形状の凹部110cを設けてもよい。
このような魚釣用スピニングリールによれば、凹部110cを利用して、凹部110cに収容される延出部を備えた径方向に大きいカバー部材を取り付けることができる。
【0051】
なお、図11(a)に示すように、蓋体1bに2つの凹部105e,110eが形成されている場合に、図11(b)(c)に示すように、個々の凹部105e,110eにカバー部材30F,30Gを個別に取り付けるとともに、図11(d)に示すように、カバー部材30F,30G同士を重ねた状態にして取り付けられるように構成してもよい。
【0052】
また、図12(a)に示すように、蓋体1bの径方向に間隔を空けて凸部111,1112を設けて、相対的に凹部105f,110fを形成し、凹部105f,110fに対してカバー部材30H,30Jをそれぞれ取り付けてもよい。この場合に、図12(d)に示すように、カバー部材30Jに対して凹部105fに一部が挿入される支持部30kを設けてもよい。
【0053】
また、前記した実施形態や変形例等において、カバー部材30A〜30Jの材質や表面処理、色調等を変更することにより、デザインの自由度をより一層向上させることができる。このようなカバー部材30A〜30Jによってリールの側面にワンポイントのデザイン的な特徴を付与することができる。
【0054】
また、前記した実施形態や変形例等において、ハンドル軸7の径方向に間隔を空けて2つの凹部105,110を設けたものを示したが、これに限られることはなく、ハンドル軸7の径方向に間隔を空けて3つ以上の凹部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 リール本体 105,110 凹部
6 ハンドル 30A〜30J カバー部材
7 ハンドル軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12