特許第5995375号(P5995375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995375
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】光送信機を備えたコネクタ及びケーブル
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20160908BHJP
【FI】
   G02B6/42
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-97466(P2014-97466)
(22)【出願日】2014年5月9日
(62)【分割の表示】特願2013-505168(P2013-505168)の分割
【原出願日】2011年4月15日
(65)【公開番号】特開2014-194560(P2014-194560A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2014年5月9日
(31)【優先権主張番号】12/762,255
(32)【優先日】2010年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】シュミット マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ラブ スタン
【審査官】 林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−081551(JP,A)
【文献】 特開2006−332800(JP,A)
【文献】 特開2004−226566(JP,A)
【文献】 特開2001−281501(JP,A)
【文献】 特開平11−119064(JP,A)
【文献】 特開平11−149018(JP,A)
【文献】 特開2003−084174(JP,A)
【文献】 特開2004−333535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26−6/27
G02B 6/30−6/34
G02B 6/42−6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応するメス型光コネクタの内部に少なくとも部分的に収まるように構成されたハウジングと、
前記ハウジング内の光送信機と、を備え、
前記光送信機が、電気信号を受け取り、前記受け取った電気信号に対応する光信号を送信し、前記光信号が、前記対応するメス型光コネクタによって受け取られるように構成され、
さらに、前記光送信機が電気的に接続された回路基板を備え、該回路基板が、前記電気信号を受け取って該電気信号を前記光送信機に搬送し、
さらに、前記ハウジング内から前記ハウジングの外側まで伸びた光ガイドを備え、該光ガイドは、前記光信号を受け取り、前記対応するメス型光コネクタに前記光信号を伝達するように構成される、
ことを特徴とするオス型プラグコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記送信機の上方に開口部を有し、
前記オス型プラグコネクタが、前記光送信機を覆って配置され前記開口部を少なくとも部分的に満たすロックピースをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のオス型プラグコネクタ。
【請求項3】
前記ロックピースが、前記光送信機の背後と前記ハウジングの内壁の間に収まる平坦な下部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のオス型プラグコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングが、該ハウジングの全長に沿ってほぼ同じ幅及び高さを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のオス型プラグコネクタ。
【請求項5】
前記光ガイドの周囲のカバーと、
前記ハウジングのスロット開口部を通じて配置されたロッキング部材と、をさらに備え、
前記ロッキング部材が、前記光ガイドが前記光送信機と位置合わせされるように前記カバーを保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載のオス型プラグコネクタ。
【請求項6】
前記光送信機と前記ハウジングの後端部の間に、前記ハウジングを通じて前記ロッキング部材と同じ配向で配置された1つ又は複数のピンをさらに備え、
前記ロッキング部材及び前記1つ又は複数のピンが前記回路基板に接合される、
ことを特徴とする請求項5に記載のオス型プラグコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングが、単一の絶縁材料片である、
ことを特徴とする請求項1に記載のオス型プラグコネクタ。
【請求項8】
対応するメス型光コネクタと嵌合するように構成されたハウジングと、
電気信号を光信号に変換するように構成された前記ハウジング内の能動光学部品であって、前記能動光学部品が、前記ハウジング前部と、前記ハウジングの後部との間に配置され、前記前部が、前記ハウジングの少なくとも1つの壁にある開口部によって前記部から分離されている、能動光学部品と、
前記ハウジング内から、前記ハウジングの前記前部の前端部を越えて、前記ハウジングの外側まで伸びた光ガイドと、
前記能動光学部品を覆って前記開口部に収まり、前記ハウジングの前記前部及び前記ハウジングの前記後部をロックするロッキングピースと、
を備えることを特徴とするオス型コネクタ。
【請求項9】
前記能動光学部品が、電気信号を受け取って該電気信号に対応する光信号を送信するように構成され、
前記光ガイドが、前記能動光学部品から前記対応するメス型光コネクタに前記光信号を伝達するように構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のオス型コネクタ。
【請求項10】
前記光ガイドに係合するロッキング部材をさらに備え、
該ロッキング部材が、前記開口部が存在する同じ壁にあるスロット内に配置され、
前記ロッキング部材が、前記光ガイドを前記能動光学部品と位置合わせする、
ことを特徴とする請求項9に記載のオス型コネクタ。
【請求項11】
前記能動光学部品の端子と電気的に結合されたトレースを有する、前記ロッキング部材のポストに接合された回路基板と、
前記ハウジングの前記後部を通じて配置され、前記基板回路に接合された1つ又は複数のピンと、
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のオス型コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光信号を伝達するために使用するコネクタに関し、具体的には、コネクタ及びケーブルアダプタを使用して電気信号を光信号に変換することに関する。
【背景技術】
【0002】
電気ケーブルがデータ信号を運ぶのと同様に、光ケーブルを使用してデータ信号を運ぶことができる。例えば、コンパクトディスク(CD)プレーヤ又はデジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤは、音声信号を光の形で出力し、これを光ケーブルを介して搬送することができる。通常の光音声ケーブルは、純粋に光学的なものである。すなわち、これらのケーブルは、両端に光コネクタを必要とし、ケーブルの長さ全体にわたる光ファイバを必要とする。このような光音声ケーブルは、光を受け取って伝えるという点で受動的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/224638号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ケーブルは、電気ケーブルをしのぐ利点を有することもあるが、不利点を有することもある。例えば、光ケーブルは、曲げられた場合に誤動作する恐れがある。また、通常、光ケーブルは、同時に1つの光パルスしか受光しない。従って、1つのコネクタにつき同時に1つのパルスしか存在しないので、このケーブルは、同時に1つのインターフェイスプロトコルしか処理することができない。また、多くの装置には光出力部がないのに対し、光入力部しか持たない装置もある。別個の装置を使用してこのような変換を行うこともできるが、このような装置は比較的高価かつ大型である。
【0005】
従って、複数のプロトコルを処理できるとともに光インターフェイスに信号を供給できるケーブルアダプタ及びコネクタを有することが望ましい。また、小型のフォームファクタを維持しながら、電気出力部から光入力部への接続を提供できる低価格ケーブルを有することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明の実施形態は、電気信号を受け取って光信号を出力するケーブルアダプタ及びコネクタを提供することができる。例えば、ケーブルアダプタは、第1の電気コネクタにおいて複数のインターフェイスプロトコルを受け取り、第2のコネクタにおいて光信号を供給することができる。実施形態のケーブルアダプタ及び関連するコネクタは、複数の入力プロトコルに対応すること、光プロトコルを含む様々な出力プロトコルを有する複数の出力コネクタに対応すること、及び安価な製造に対応することという利点のうちのいずれか1つ又はそれ以上を提供することができる。1つの実施形態では、コネクタが、電気信号を光信号に変換するための光送信機を含む。このようなコネクタをケーブルアダプタの出力端部に設けて、ケーブルアダプタの入力コネクタにおいて受け取った電気信号に対応する光信号を供給することができる。
【0007】
ある実施形態によれば、オス型プラグコネクタが、光送信機と、対応するメス型光コネクタに適合するハウジングとを有する。光送信機は、このハウジング内に位置し、電気信号を光信号に変換するように構成され、この光信号を対応するメス型光コネクタが受け取る。
【0008】
別の実施形態によれば、ケーブルアダプタが、電気信号を受け取る第1のコネクタと、この電気信号を運ぶケーブルと、電気信号を光信号に変換する第2のコネクタとを有する。第2のコネクタは、対応する光コネクタと嵌合するように構成されたハウジングと、電気信号を光信号に変換する光送信機と、この光信号を対応する光コネクタに運ぶ光ガイドとを含む。
【0009】
別の実施形態によれば、電気信号を受け取って光信号を出力するコネクタを製造する方法が提供される。コネクタのハウジングの前面開口部に光ガイドを挿入する。ハウジングは、前面開口部を定める1又はそれ以上の外壁を有する。このハウジングの外壁の少なくとも1つにある頂部開口部を通じて、能動光学部品を挿入する。光ガイドを、この能動光学部品と位置合わせする。
【0010】
別の実施形態によれば、コネクタが、対応する光コネクタと嵌合するように構成されたハウジングと、能動光学部品と、ロッキングピースとを有する。能動光学部品は、ハウジング内のハウジング前部とハウジング後部の間に位置する。前部は、ハウジングの少なくとも1つの壁にある開口部によって後部から分離される。能動光学部品は、電気信号を受け取り、この受け取った電気信号に対応する光信号を送信するように構成される。ロッキングピースは、能動光学部品を覆って開口部に収まり、ハウジング前部及びハウジング後部をロックする。
【0011】
以下の詳細な説明及び添付図面を参照すれば、本発明の内容及び利点をより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による、電気信号を受け取って対応する光信号を出力するケーブルアダプタを示す図である。
図2】本発明の実施形態による、複数の電気信号を受け取って対応する電気信号及び光信号を出力できるケーブルアダプタを示す図である。
図3】本発明の実施形態による、能動光学部品を有するコネクタを作成するための組み立て工程を示すフローチャートである。
図4A】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4B】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4C】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4D】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4E】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4F】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4G】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4H】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4I】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4J】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4K】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図4L】本発明の実施形態による、図3の組み立て工程の様々な段階における光コネクタを示す図である。
図5】本発明の実施形態による、光送信機を含むオス型光コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの実施形態は、電気信号を受け取って光信号を出力するケーブルアダプタ及びコネクタを提供することができる。例えば、ケーブルアダプタは、第1の電気コネクタにおいて複数のインターフェイスプロトコルを受け取り、第2のコネクタにおいて光信号を供給することができる。従って、実施形態は、単一のインターフェイスプロトコルに制限されず、また光信号を出力することができる。1つの実施形態では、コネクタが、電気信号を光信号に変換するための光送信機を含む。このようなコネクタをケーブルアダプタの出力端部に設けて、入力コネクタにおいて受け取った電気信号に対応する光信号を供給することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、光送信機を備えたコネクタを使用することにより、ケーブルアセンブリの長さ全体にわたって(銅製などの)導線を使用できるようになる。この導線により、より複雑なスプリッタ型ケーブルの設計が可能になる。1つの実施形態では、コネクタが、SPDIF(SONY/Philipsデジタル相互接続フォーマット)/トスリンク構造規格に準拠して設計されたオス型プラグコネクタである。このようなオス型プラグコネクタは、光音声入力部を備えたあらゆる標準ステレオシステムに嵌合することができる。
【0015】
図1に、本発明の実施形態による、電気信号を受け取って対応する光信号を出力するケーブルアダプタ100を示す。ケーブルアダプタ100は、送信装置180から電気信号を受け取り、この電気信号を光信号に変換し、この光信号を受信装置190に供給する。
送信装置180は、電気コネクタ182の電気接点184を通じて(単複の)電線186から1又はそれ以上の出力電気信号を供給することができる。本明細書で説明する電気コネクタ及び電気接点は、あらゆる好適なフォームファクタ及び数の接点を有することができる。
【0016】
ケーブルアダプタ100は、この1又はそれ以上の電気信号を、電気コネクタ110の電気接点105において受け取る。図示のように、電気コネクタ182は、電気コネクタ110に対応するメス型レセプタクルコネクタである。電気信号は、電気コネクタ110からケーブル130を介して光コネクタ120に搬送される。
【0017】
光コネクタ120は、光ガイド122を通じて受信装置の光コネクタ192に光信号を供給する。光ガイド122は、ガラス又はプラスチックから成る固体管状構造、又は光ガイドの内壁が少なくとも一部の光を反射する中空管状構造などの、光を搬送できるあらゆる好適な装置とすることができる。図示のように、電気コネクタ192は、光コネクタ120に対応するメス型レセプタクルコネクタである。その他の実施形態では、光ガイド122が、対応する光コネクタの内部管に適合して、対応する光コネクタの外面が、光コネクタ120のハウジングの開口部に適合することができる。このような実施形態は、オス型及びメス型の両方の側面を有する光コネクタを提供する。
【0018】
受信装置190は、光−電気変換器194を使用して、光コネクタ120から受け取った光信号を配線196上の電気信号に変換することができる。ケーブルアダプタ100を使用して、(オーディオ又はビデオなどの)あらゆる種類の信号を伝達することができる。コネクタ110及び120をオス型コネクタとして示しているが、メス型コネクタを使用することもできる。
【0019】
いくつかの実施形態では、光コネクタ120が、電気信号を光信号に変換する光送信機を含む。これらの実施形態では、ケーブル130が、電気接点105に電気的に結合し、この電気接点105において受け取った電気信号を運ぶ(銅製などの)導線を含む。1つの実施形態では、導線を含むケーブル130に約1〜3メートルの長さの柔軟性があり、これにプラスチック又はゴムのコーティングを施すことができる。1つの態様では、電気コネクタ110から光コネクタ120まで信号を劣化させずにケーブル130の導線を曲げることができる。別の実施形態では、光コネクタ120が、光送信機の代わりに又はこれに加えて、受け取った光信号を電気信号に変換し、その後ケーブル130を介して電気コネクタ110へ送信する光受信機を含むことができる。光送信機及び光受信機は、2つの別個のユニットであっても、又は(例えばトランシーバと呼ばれる)単一のユニットであってもよい。
【0020】
他の実施形態では、電気コネクタ110が、電気信号を光信号に変換する光送信機を含む。これらの実施形態では、ケーブル130が、電気コネクタ110から光コネクタ120に光信号を運ぶ光ファイバを含む。1つの態様では、電気コネクタ110が、(光送信機の代わりに又はこれに加えて)受け取った(すなわち、ケーブル130を介して受け取った)光信号を電気信号に変換し、その後電気コネクタ182へ送信する光受信機を含むことができる。光送信機及び光受信機は、2つの別個のユニットであっても、又は(例えばトランシーバと呼ばれる)単一のユニットであってもよい。
【0021】
図2に、本発明の実施形態による、複数の電気信号を受け取って対応する電気信号及び光信号を出力できるケーブルアダプタ200を示す。ケーブルアダプタ200は、ユニバーサルシリアルバス(USB)信号、高品位マルティメディアインターフェイス(HDMI)(登録商標)信号、及びデジタルオーディオ信号などの、複数のデータフォーマットの電気信号を受け取る能力を有する。1つの実施形態では、電気コネクタ210の電気接点205が、各フォーマットに合わせて指定された異なる接点を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、電気接点205が単列で存在する。特定のフォーマットに合わせて指定された接点をともにグループ化することも、或いは(接地用、電力用、又はその他のフォーマットの信号用などの)他の目的の接点によって互いに分離された接点位置に配置こともできる。
【0023】
一例として、電気コネクタ210は、30個の接点を有することができる。ケーブル230は、1本がこれらの接点の各々と電気的に結合した30本の導線を有することができる。様々な実施形態では、これらの接点のうちの4個をUSB用に、19個の接点をHDMI用に、及び3本の配線をS/PDIF用に(2本を差分信号用に、及び1本を送信機の電力用に)使用することができる。電気接点105は、米国特許出願公開第2004/224638号などに記載されているような、デジタル信号又は電気信号を搬送できる電気接点とすることができる。
【0024】
電気コネクタ210は、複数のデータフォーマット(インターフェイスプロトコル)を伝達できるので、ケーブルアダプタ200は、各データフォーマットのための異なる第2のコネクタを有することが望ましい。従って、ケーブルアダプタ200は、電気コネクタ210とは逆側の端部に複数のコネクタを有する。1つの実施形態では、ケーブルアダプタ200が、HDMIコネクタ260、USBコネクタ250、及び(SPDIF又はトスリンクコネクタなどの)光コネクタ220を含む。
【0025】
1つの実施形態では、ケーブル230の導線を分離するためにスプリッタ240を使用する。スプリッタは、単に配線を個別のケーブルに分離するためのハウジング(それぞれがそれ自体の被覆を有する)であってよく、電気部品を含まない。別の実施形態では、ケーブル230に、異なる配線部分を覆う別個のコーティングを施すことができ、このようにして別個の部分を分離できるので、スプリッタ240を使用しない。各逆側のコネクタを、ケーブル230の異なる導線に結合することができる。例えば、ケーブル236は、ケーブル230内のHDMI信号を運ぶ導線の延長部である導線を含むことができる。或いは、ケーブル236の配線を、ケーブル230内のHDMI信号を運ぶ導線に、(回路基板などの)別の媒体を通じて電気的に結合することもできる。
【0026】
1つの実施形態では、スプリッタ240が、電気信号を光信号に変換するための光送信機を含むことができる。この実施形態では、ケーブル232が、スプリッタ240から光コネクタ220に光信号を運ぶための光ファイバを含む。また、スプリッタ240は、ケーブル232のコネクタを接続できる出力用光コネクタを有することもできる。従って、ケーブル232は、スプリッタ240から受信装置に受動的に光信号を運ぶ別個の光ケーブルであってもよい。
【0027】
しかしながら、特に電線も存在する場合には、光ケーブルの製造が困難となり得る。通常、(光信号に変換されると決まっている信号を含む)配線はスプリッタ240において切断されて終端し、スプリッタ240には電気装置が追加されるので、このような構造はより高価になり得る。
【0028】
別の実施形態では、光コネクタが、(デジタルオーディオ又はビデオ信号などの)電気信号を光信号に変換するための光送信機を含む。この実施形態では、ケーブル232を、ケーブル230のデジタルオーディオ又はビデオ信号を運ぶ導線の延長部とすることができる。このようにすれば、ケーブル232、234、及び236を含むケーブル230を、連続配線を有するとともに単一の低コスト加工で作成できる全電気ケーブルとして作成することができる。例えば、配線の個々の導体をスプールに取り付け、導体をラップして1本のケーブルに組み合わせることができる。
【0029】
図3は、本発明の実施形態による、能動光学部品を有するコネクタを作成するための組み立て工程300を示すフローチャートである。様々な実施形態では、この能動光学部品を、光送信機、光受信機、又は1つの部品内に光送信機と光受信機の両方を含む光トランシーバとすることができる。図4A図4Lには、組み立て工程300の様々な段階におけるコネクタを示している。当業者であれば容易に認識できるように、組み立て工程300には、提示する順序と異なる順序で行ってよい部分もあれば、他の部分よりも前に必ず行われる部分もある。
【0030】
ブロック305において、コネクタのハウジングに光ガイドを挿入する。図4Aには、(プラスチック又はガラス製の固体又は中空構造などの)光ガイド405をハウジング410の前面開口部412に挿入している様子を示す。1つの実施形態では、前面開口部412の側面までの高さ及び幅が約6mmである。前面開口部412の高さ及び幅寸法は、ハウジング410の長さを通じて持続することができる。前面開口部は、(図示のような)正方形であっても、円形であっても、又はその他の適当な形状であってもよい。ハウジング410は、外壁に追加の開口部を含むこともできる。別の実施形態では、ハウジング410が、(プラスチックなどの)単一の絶縁材料片である。
【0031】
いくつかの実施形態では、光ガイド405が、例えば金属で被覆される。このような構造では、別個のサブコンポーネントアセンブリが可能になる。1つの実施形態では、(プラスチックなどの)光ガイドを(ニッケルメッキした真鍮製などの)金属スリーブ407に挿入する。次に、この光ガイドをスリーブの端部で切断し、及び/又は端部を融解させることができる。その後、光ガイドの端部を研磨することができる。
【0032】
ブロック310において、図4Bに示すように、ハウジング410の外壁にあるスロット開口部422を通じてハウジング410にロッキングタブ420(又は他の種類の好適なロッキング部材)を挿入する。図示のように、スロット開口部422はハウジング410の頂部外壁に存在し、ロッキングタブはポスト422を含む。他の実施形態では、スロット開口部422が、ハウジング410の側部外壁又は底部外壁に存在してもよい。ロッキングタブ420は、光ガイド405を適所に保持することができる。1つの実施形態では、ロッキングタブ420が、光ガイド405を覆う(金属スリーブ407などの)カバーの切り欠きに係合することができる。
【0033】
ブロック315において、図4Cに示すように、ハウジング410の外壁にある頂部開口部432に光送信機430又はその他の能動光学部品を挿入する。頂部開口部432は、ハウジング410を前部417と後部419に分離することができる。図には、3つの端子434を有する光送信機430を示している。1つの実施形態では、これらの3つの端子が入力部であり、1つが電力用で、2つが光信号に変換される差分電気信号用である。別の実施形態では、光送信機430の幅が、ハウジング410と同程度である。1つの態様では、ロッキングタブ420が、光送信機430と光ガイド405の間の空隙が大きくなりすぎない(例えば2mm未満となる)ように光ガイド405を適所に固定する。
【0034】
ブロック320において、図4Dに示すように、頂部開口部432上にロックピース440を配置する。ロックピースは、プラスチック又はその他の好適な材料で作成することができる。1つの態様では、ロックピース40が光送信機430を適所に固定する。ロックピース440の平坦な下部442は、光送信機430の背後にある頂部開口部432に収まって光送信機430が前後に動くのを防ぎ、光ガイド405と光送信機430の間の空隙が許容範囲内にとどまるようにすることができる。1つの実施形態では、下部442を、ハウジング410の内壁と光送信機430の背後の間に割り込ませることができる。
【0035】
1つの実施形態では、ロックピース440が、ハウジング410の頂面上のポケットに収まるロッキング要素444を含む。1つの態様では、ロッキング要素444が適所に嵌め込まれる。光送信機430は、プラスチックロックが嵌め込まれるまで自由に動くことができる。ロックピース440は、ハウジングに組み込まれると、光送信機430を適所に保持する。ロックピース440は、ロッキングタブ420を適所に保持する役に立つこともできる。ロックピース440は、ともすれば前部417と後部419の間の接続部が薄くなりかねないハウジング410に構造的完全性を与えることができる。従って、ロックピース440は、ハウジングに加わる縦応力のための第2の負荷経路として機能することができる。
【0036】
ブロック325において、図4Eに示すように、ハウジング410を通じて1又はそれ以上のピン450を挿入する。1つの実施形態では、頂部穴452を通じて、ピンをハウジング410に応力嵌合させる。
【0037】
ブロック330において、図4Fに示すように、ハウジング410の底部に回路基板460を追加する。1つの実施形態では、回路基板460がプリント基板(PCB)である。図示のように、回路基板460は、ロッキングピース420のポスト422用の穴、光送信機430の端子434用の穴、及びピン450用の穴を含む。別の実施形態では、回路基板460が、電気信号からのリンギングを低減するためのバイパスキャップ及び終端抵抗器を有することができる。電気信号は、(0ボルト〜1又は2ボルトなどの)方形波である場合にはオーバーシュートすることがあり、これを回路基板上の回路によって、信号が光送信機430に到達する前に低減することができる。
【0038】
ブロック335において、図4Gに示すように、光送信機430の端子434を回路基板460に電気接続(例えば半田付け)する。1つの実施形態では、端子434を、回路基板460の穴の導電材料を含む縁部に半田付けする。ロッキングピース420のポスト422及び半田ピン450を回路基板460に(やはり半田付け又は接着剤による取り付けなどにより)接合する。1つの実施形態では、手動で半田付けを行う。
【0039】
回路基板460を端子434の前方(ポスト422側)及び端子434の後方(ピン450側)で接続することで、(剛性のボックスを形成することにより)回路基板460に強度を加えることができる。また、このような接続により、ポスト422及びピン450への接続によって力が吸収される可能性があるので、端子434への電気的に活性の接続が途切れるのを防ぐことができる。従って、回路基板460に応力が加わった場合、応力を受ける重要でない、すなわち電気的接続に使用されていない半田接合部によって応力の衝撃に耐えることができる。
【0040】
この点、このコネクタは、ケーブルアセンブリの一部である内蔵型ユニットであり、これによりスプリッタ内に送信機を配置することをしのぐ利点が加わる。従って、このコネクタをこの形であらゆる装置に追加することができる。
【0041】
ブロック340において、図4Hに示すように、ケーブル470のケーブル配線474を回路基板460に接続する。図示の実施形態では、3本のケーブル配線(1本が電力用、2本がデータ用)を、回路基板460のそれぞれの半田パッド472に半田付けしている。1つの実施形態では、手動で半田付けを行う。ある実施形態では、ブロック335において完成したコネクタをケーブルメーカーが受け取り、このケーブルメーカーがブロック340以下を実行することができる。
【0042】
ブロック345において、図4Iに示すように、ケーブル470内を走るケーブルバンド480をハウジング410に取り付ける。ケーブルバンド480は、ケブラー又はその他の好適な丈夫な材料で作成することができる。1つの実施形態では、ケーブルバンド480を、ハウジング410の後端部においてバー482の周囲に結び付ける。従って、ケーブル470が引っ張られた場合、配線474が引っ張られることによって半田パッド472上の配線474の接続が断線することはない。また、ケーブル470が引っ張られた場合、ハウジング410及びロックピース440を通じて負荷が伝わる。また、コネクタの前面が力によって引っ張られた場合にも、同じように負荷を伝えることができる。
【0043】
ブロック350において、図4Jに示すように、回路基板460の後端部の周囲に内型485を施す。1つの実施形態では、内型485が、ポリエチレン又はその他の好適な材料である。別の実施形態では、内型485が、垂直内型機械内でハウジングのプラスチック成型よりも低い圧力を使用して施される。内型485は、ケーブル470の端部における配線に剛性を与えることができる。
【0044】
ブロック355において、図4Kに示すように、内型485及びケーブル470の一部を覆って張力緩和用オーバーモールド490を施す。オーバーモールド490は、内型485の内部又はこの近くにおけるケーブル470に対する損傷を防ぐことができる。例えば、円錐状の又は横方向の動きによって生じる応力を低減して損傷を防ぐことができる。
【0045】
ブロック360において、図4Lに示すように、ハウジング410の一部を覆ってエンクロージャ495を配置する。1つの実施形態では、エンクロージャ495が既にケーブル470を覆って存在し、オーバーモールド490及びハウジング410の一部の周囲を滑動する。ハウジング410は、その長さ全体にわたって同じ幅及び高さを有するので、エンクロージャ495は、ハウジング410を覆って容易に滑動することができる。別の実施形態では、エンクロージャ495をハウジング410に接着することができる。
【0046】
図5に、本発明の実施形態による、光送信機530を含むオス型光コネクタ500の断面図を示す。この図には、図1に示すような受信装置190の光コネクタ192などのメス型レセプタクルコネクタ599に嵌合したオス型光コネクタ500を示している。1つの実施形態では、嵌合の一部として、オス型光コネクタ500のハウジング510が、メス型レセプタクルコネクタ599の内部に部分的に又は完全に収まることができる。
【0047】
図示のように、電気信号は、ケーブル570を通じて右側から入り、一般に左側へ進む。光受信機を含む能動光学部品では、一般に電気信号は、図示のように右側へ進む。電気信号は、回路基板560に半田付けされた配線574上を進むことができる。回路基板560は、配線574から光送信機530に電気信号を運ぶ導電性トレースを有する。電気信号は、光送信機530に給電するための電力及び(差分信号などの)データ信号を含むことができる。光送信機530は、電気信号を光信号に変換する。この光信号を光ガイド505に送信することができ、この光ガイド505が光信号をレセプタクルコネクタ599に運ぶ。様々な実施形態では、光ガイド505が、ハウジング510の前端部を越えて延びることができ、ちょうど前端部まで延びることができ、又は(メス型コネクタがハウジング510に適合する光ガイドを有する場合などには)前端部の手前で終端することができる。
【0048】
光ガイド505を取り囲む金属スリーブ507にロッキングタブ520を取り付けて、光ガイド505を光送信機530と位置合わせさせて指定距離内に保つことができる。ロッキングタブ520のポスト522を、回路基板560に接合(例えば半田付け)することができる。ハウジング510を通じて1又はそれ以上のピン550を垂直に配置し、回路基板560に接合することができる。ハウジング510に構造的に接続された部品から回路基板560へのこれらの追加の接続により、光送信機530の回路基板560への能動的半田接続を損傷させる可能性のある回路基板560の動きを減少させる役に立てることができる。
【0049】
配線574の半田接続部への応力を緩和するために、ケーブル570内には(ケブラーなどで作成した)ケーブルバンド580が走ってハウジング510に取り付けられる(例えば結び付けられる)。ロックピース540が、ケーブル570が引っ張られたことに起因して生じ得る力がケーブルバンド580に加わることによって生じる負荷の少なくとも一部を伝えることができる。例えば、ロックピース540は、ハウジング510のポケットに収まるロッキング要素544を有する。従って、ハウジング510の長さに沿って力が発生した場合、このロックピース540が、ハウジング510の底部と同調して力を伝えることができる。
【0050】
中にロックピース540が存在するハウジング510の開口部は、光送信機530の挿入に使用することができる。オーバーモールド590も、配線574に加わる応力を緩和することができる。オーバーモールド590の一部及びハウジング510の一部は、エンクロージャ595によって取り囲むことができる。
【0051】
本明細書で説明した実施形態は、電気信号及び光信号に対応するためのコネクタ及びケーブルアダプタを提供するものである。いくつかの実施形態では、コネクタが、電気信号を光信号に変換するための光送信機を含む。例えば、ケーブルアダプタの第1のコネクタが、複数のデータフォーマットに対応できる電気信号を受け取ることができる。次に、このケーブルアダプタは、電気信号を複数の第2のコネクタに送信し、その内の少なくとも1つの第2のコネクタが、電気信号を光信号に変換することができる。このようなケーブルアダプタは、送信装置から複数の受信装置に通信を行って、これらの受信装置のうちの1つが光信号を受け取るようにするための低コストで小型の解決策を提供することができる。
【0052】
特定の実施形態の特定の詳細は、本発明の実施形態の思想及び範囲から逸脱することなくあらゆる好適な態様で組み合わせることができ、或いは本明細書で図示及び説明した実施形態と異なることもできる。
【0053】
上述した本発明の例示的な実施形態の記述は、図示及び説明の目的で示したものである。本発明を完全なものとすること、又は説明した正確な形態に本発明を限定することは意図しておらず、上記教示に照らして多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実施可能な応用を最も良く説明し、これにより他の当業者が様々な実施形態で、及び想定される特定の用途に適した様々な修正を加えて本発明を最善に利用できるようにするために選択し説明したものである。
【符号の説明】
【0054】
100 ケーブルアダプタ
105 電気接点
110 電気コネクタ
120 光コネクタ
122 光ガイド
130 ケーブル
180 送信装置
182 電気コネクタ
184 電気接点
186 電線
190 受信装置
192 光コネクタ
194 光−電気変換器
196 配線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図5