特許第5995393号(P5995393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5995393ステータコア保持手段及びコイル挿入装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5995393
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】ステータコア保持手段及びコイル挿入装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/06 20060101AFI20160908BHJP
【FI】
   H02K15/06
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-520105(P2016-520105)
(86)(22)【出願日】2015年6月17日
(86)【国際出願番号】JP2015067396
【審査請求日】2016年4月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510054049
【氏名又は名称】E−Tec株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】細野聖二
【審査官】 津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−182478(JP,A)
【文献】 特開平03−154732(JP,A)
【文献】 特開平01−289636(JP,A)
【文献】 特開昭48−051384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K15/00−15/02
H02K15/04−15/16
B23Q 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に配列されたブレード軸と、前記ブレード軸の外周に配列されたウェッジガイド軸とを有する電動機のコイル挿入装置に備えられ、ステータコアを前記ブレード軸の先端に装嵌させ、前記ウェッジガイド軸の先方の位置に、前記ステータコアを保持させるステータコア保持手段において、
前記ステータコア保持手段は、積厚の公差があるステータコアを軸方向に遊んだ隙間をあけるように保持させる所定の間隔を有する一対の保持板と、前記一対の保持板とステータコアとの間の遊んだ隙間を縮減させる隙間縮減手段とを含み、
前記隙間縮減手段は、前記ウェッジガイド軸の先端から遠いステータコアの端面を前記ウェッジガイド軸の先端に向けて押圧させる押圧手段を備え、
前記押圧手段が、前記ウェッジガイド軸の先端から遠い保持板に備えられ、被押付テーパ面を有する被押付部材と、被押付テーパ面に対向するように重ねられた押付テーパ面を有する押付部材とを備えると共に、前記押付テーパ面と前記被押付テーパ面とが摺動可能とされ、
前記一対の保持板の間隔が、所定の間隔とされたままで、前記押圧手段が、前記コイル挿入方向と交差する方向に、前記ウェッジガイド軸の先端から遠い保持板に沿って前記押付部材を移動させて、前記被押付部材を前記ステータコアの端面に向けて押圧させ、前記遊んだ隙間がない状態とさせる、
ことを特徴とするステータコア保持手段。
【請求項2】
複数組の前記押圧手段が、ステータコアの軸芯を挟むように配列され、
各々のテーパ面がステータコアの軸芯に向かって傾斜されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のステータコア保持手段。
【請求項3】
前記押付テーパ面と前記被押付テーパ面の各々の角度が、15度以下の緩やかな角度とされている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のステータコア保持手段。
【請求項4】
少なくとも一組の前記押圧手段を含み、各々のテーパ面がステータコアの円周方向に傾斜されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のステータコア保持手段。
【請求項5】
電動機のコイルを挿入させるコイル挿入装置が、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のステータコア保持手段を含んでいる、
ことを特徴とするコイル挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機用ステータコアにコイル束を挿入させるコイル挿入装置に備えられるステータコア保持手段に関する。より詳細には、積層厚さに個体差があり又は工業規格が異なり、ステータコアが保持手段に遊びがある状態で保持されていても、コイル束の挿入に伴う大きな摩擦力により、保持手段内でステータコアが移動しないようにし、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの間に隙間が発生しないようにするステータコア保持手段及びコイル挿入装置に関する。これにより、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの間に隙間にコイル線が滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れることがなくなる。
【背景技術】
【0002】
従来、ステータコアをコイル挿入装置のブレード軸に装嵌させるには、予めステータコアの軸方向両端面を一対の保持板からなるステータコアの保持手段で挟むように保持させてから、コイル挿入装置に向けて保持手段を移動させ、ステータコアをブレード軸に装嵌させている。
【0003】
また、ステータコアは薄い電磁鋼板が積層されて製造されているため、同一の規格寸法であったとしてもステータコアの積層厚さには個体差がある。更に、企業活動の国際化により、ひとつの国で製造された電動機製造設備が、工業規格が異なる他の国で使用されて、電動機が製造されるようになっている。工業規格が異なる場合には、夫々の工業規格で製品に許容される個体差が異なっている。ここで、個体寸法の基準値と許容される範囲の最大値および最小値との差を「公差」と呼ぶことにする。大きな公差を許容する工業規格では、ステータコアの製品寸法に大きな寸法誤差が発生することになる。
【0004】
そのため、一対の保持板の間隔は、ステータコアと接触して損傷することがないように、ステータコアの積層厚さが最大となる個体に合わせて、予め広い間隔があけられている。そうすると、積層厚さが最大となる個体以外のステータコアが保持手段に保持された場合には、ステータコアの軸方向端面とウェッジガイド軸から遠い方の保持板との間に、ステータコアの個体差に応じて遊んだ隙間が発生することになる。
【0005】
ステータコアと保持手段との間に前記遊んだ隙間がある状態で、ステータコアにコイル束の挿入が行われると、コイル束の挿入に伴い大きな摩擦力が作用して、ステータコアが前記隙間の寸法だけ移動して、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの間には、前記遊んだ隙間の寸法に応じた離間した隙間が発生していた。この離間した距離がステータコアに挿入されるコイル線の外径寸法よりも大きくなると、コイル束を挿入する際にコイル線の一部がこの離間した隙間に滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れて、コイル線の挿入不良が発生する原因のひとつとなっていた。
【0006】
そこで、本願の発明者は、ステータコアが製造される際に個体差があっても又は異なる公差を許容する工業規格であっても適合できるように、前記遊んだ隙間を縮減させる隙間縮減手段をステータコア保持手段に備えさせることを検討し、本発明に至ったものである。
【0007】
特許文献1には、コイル束を挿入させる際に、スロット絶縁体のカフスを引っ掛けず、スロット絶縁体の歪みが発生しないようにする技術が開示されている。特許文献1の技術によれば、ステータコア保持板でステータコアを保持する際に、カフスを保護するカフサーを隣り合うスロット絶縁体のカフスの間に挿入すると共に、駆動源によりステータコアの端面に当接させておくとされている。これにより、スロット絶縁体のカフスを保護し得るとされている。
【0008】
この技術に開示されたカフサーをステータコアの端面に当接させる技術は、スロット絶縁体のカフス部を保護することを目的としていたため、カフサーは隣接するスロットの間に挿入できる程度の細幅の軸体とされていた。カフサーがステータコアの端面に当接されていたとしても、コイル束の挿入に伴う大きな摩擦力によっては、ステータコアに当接されたまま細幅のカフサーが撓むように変形することになる。
【0009】
カフサーが撓むように変形すると、ステータコアの移動を止めてウェッジガイド軸の先端とステータコアとの間に隙間が発生しないようにすることはできないことになる。そのため、特許文献1の技術によっては、前記ステータコア端面とウェッジガイド軸の先端との間の離間した隙間をなくすことはできず、コイル線が滑り込むことによるコイル線の挿入不良を抑制することはできなかった。
【0010】
特許文献2には、ステータコアの積層厚さの個体差に対応できるコイルエンド形成装置の技術が開示されている。特許文献2によれば、コイルエンド形成装置に、ステータコアの上下の端面と接するカフスサポート(特許文献1のカフサーと同じ。)と、軸方向に弾性部材を有するカフスサポート保持部材とを備えさせている。そして、コイルエンド形成の際に、前記弾性部材の弾性力により、ステータコアとステータコアの上下の端面に接するカフスサポートとを密着させ、カフスサポートが撓まないようにしている。
【0011】
そして、ステータコアの積層厚さに個体差があったとしても、コイルエンドを所望の形状とするために、カフスサポート保持部材が弾性変形して、上下のカフスサポートの間隔が縮められ、カフスサポートと、ステータコアの端面とが隙間がない密着された状態とされる。上下方向から大きな荷重が加えられても、コイルエンド形成の際にカフスサポートに撓みが生じないとされている。そうすると、カフスサポートと、外成形型との間に隙間が発生されないため、その隙間にコイル線が噛み込まれてカフスが損傷されることがなく、絶縁不良の発生を抑止できるとされている。
【0012】
しかし、コイル挿入装置のコイル束の挿入に伴い、ウェッジガイド軸の先端から離間する方向に作用する大きな摩擦力がステータコアに発生する。その大きな摩擦力により、ステータコアは弾性手段に挟まれたまま、ウェッジガイド軸の先端から離間するように移動され、特許文献2の技術を適用したとしても、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの間に隙間があき易く、前記隙間にコイル線の一部が滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れるという課題があった。
【0013】
特許文献3には、ステータコアの積層厚さに個体差があっても、スロット絶縁紙の破れを防止することが可能なステータコアの位置決め方法、及び装置の技術が開示されている。特許文献3のカフスサポートでは、ステータコアの積層厚さに個体差があっても、ステータコアの浮き上がりを防止できるように、カフスサポートに設けられた穴を貫通して、ステータコアの外周部を押圧手段により押圧するとされている。
【0014】
特許文献3の技術によれば、コイル束の挿入に伴う大きな摩擦力がステータコアに作用したとしても、上下のカフスサポートに挟まれたステータコアが浮き上がることがないように押圧される。これにより、ステータコアの浮き上がりを防止させた状態で、コイル束を挿入することができると共に、スロット絶縁紙の上端部及び下端部が保護され、スロット絶縁紙のカフス部の破れを防ぐことができるとされている。
【0015】
しかし、コイル挿入装置は、ステータコアの上端面側にコイルエンドの成形機が設けられるため、コイル束が押し出される範囲外に押圧手段を形成させる必要があり、押圧手段の位置が限定される。特許文献3では、ステータコア上面を押圧するためには、ステータコアの外周に突出部を設け、その近傍を押圧ピンで押圧する実施例が示されている。ステータコアの外周部に突出部を設けると電動機が重くなるという課題があると共に、小型モータにはステータコアの周囲に突出部を備えさせることができず、特許文献3の技術が適用できる場合が限られているという課題があった。
【0016】
仮に、ステータコアの範囲内に押圧手段を設けるとしても、極数が異なる場合には、コイル束の挿入される位置が異なり、ステータコアの端部から出るコイルエンドの形状も異なり、押圧手段を設ける位置が異なってくる。ステータコアのスロットの位置や数が異なる場合には、コイルエンドの形状や、コイルエンドがステータコア上面に張り出している位置が異なってくることは勿論のことである。ステータコアの外形が異なる場合も同様である。
【0017】
ここで、図10を参照して、電動機の極数が異なる場合を例に、具体的に説明する。極数が2極となるステータコア110に、コイルエンドと干渉しないように押圧ピンで押圧できる位置は、ステータコア周縁部の僅かな幅の押圧位置113に限定される(図10(A)図参照)。極数が4極となるステータコア111に、押圧ピンで押圧できる位置は、隣接する内方側コイル同士の間の4箇所の押圧位置114に限定される(図10(B)図参照)。極数が3極とされるステータコア112に、押圧ピンで押圧できる位置は、隣接する外方側コイル同士の間の3箇所の押圧位置115に限定される(図10(C)図参照)。このように、周辺に突出部を設けていない場合には、ステータコアの外形が同一であったとしても、スロット数や電動機の極数に応じて、コイルエンドに干渉しないように押圧手段を変更する必要があった。
【0018】
また、押圧ピンによってステータコアの上面が押圧されるため、コイル束の挿入に伴う大きな摩擦力が作用すると、押圧ピンによって押圧されている狭い面積の範囲に大きな力が集中される。そのため、積層厚さが薄いステータコアの場合には、その大きな加力に耐えられずステータコアがいびつに反る可能性があり、特許文献3の技術が適用できる場合が限られているという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
特許文献1:特開平8−33290号公報
特許文献2:特開2005−110435号公報
特許文献3:特開2010−200505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、積層厚さに個体差があっても、又はステータコアの積層厚さの工業規格が異なっていても、コイル束の挿入に伴い作用する大きな摩擦力によりステータコア保持手段の中でステータコアが動くことがなく、極数が異なる場合や薄いステータコアでも適用でき、コイル線の挿入不良が発生しにくいステータコア保持手段及びコイル挿入装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の発明は、環状に配列されたブレード軸と、前記ブレード軸の外周に配列されたウェッジガイド軸とを有する電動機のコイル挿入装置に備えられ、ステータコアを前記ブレード軸の先端に装嵌させ、前記ウェッジガイド軸の先方の位置に、前記ステータコアを保持させるステータコア保持手段において、前記ステータコア保持手段は、積厚の公差があるステータコアを軸方向に遊んだ隙間をあけるように保持させる所定の間隔を有する一対の保持板と、前記一対の保持板とステータコアとの間の遊んだ隙間を縮減させる隙間縮減手段とを含み、前記隙間縮減手段は、前記ウェッジガイド軸の先端から遠いステータコアの端面を前記ウェッジガイド軸の先端に向けて押圧させる押圧手段を備え、前記押圧手段が、前記ウェッジガイド軸の先端から遠い保持板に備えられ、被押付テーパ面を有する被押付部材と、被押付テーパ面に対向するように重ねられた押付テーパ面を有する押付部材とを備えると共に、前記押付テーパ面と前記被押付テーパ面とが摺動可能とされ、前記一対の保持板の間隔が、所定の間隔とされたままで、前記押圧手段が、前記コイル挿入方向と交差する方向に、前記ウェッジガイド軸の先端から遠い保持板に沿って前記押付部材を移動させて、前記被押付部材を前記ステータコアの端面に向けて押圧させ、前記遊んだ隙間がない状態とさせることを特徴としている。
【0022】
ここで「遊んだ隙間」とは、公差が異なる規格のステータコアを保持板で挟んで保持した際に、ステータコアの積層厚さの個体差に応じて、ウェッジガイド軸の先端から遠いステータコアの端面と、前記先端から遠い方の保持板との間に発生している僅かな隙間をいう。
【0023】
より具体的に説明すると、一対の保持板の間隔は、保持板とステータコアとの接触による損傷を避けるために、積層厚さが最大となる個体に合わせて、予めステータコアの規格寸法よりも広くされ、この間隔が所定の間隔とされる。そうすると、積層厚さが最大となる個体以外のステータコアが保持板に保持された場合には、ステータコアの軸方向端面とウェッジガイド軸から遠い方の保持板との間に、ステータコアの個体差に応じて僅かな隙間が発生する。この僅かな隙間が、遊んだ隙間とされる。
【0024】
隙間縮減手段とされる被押付テーパ面と押付テーパ面は、一組のテーパ面であってもよく、複数組のテーパ面であってもよく、その数は限定されない。押付テーパ面は、コイル挿入方向と交差する方向に移動し、押付テーパ面と被押付テーパ面とが上下に重なって遊んだ隙間が縮減される。押付テーパ面の移動方向とコイル挿入方向とが対向していないため、コイル束の挿入に伴う大きな摩擦力が作用しても、押付テーパ面の移動方向に力が加わることがなく、ステータコアが浮き上がることがない。
【0025】
隙間縮減手段によって、一対の保持板の間隔を変えないで、遊んだ隙間が縮減されるため、ステータコアに大きな摩擦力が作用しても、保持板に保持されたステータコアが移動することがない。そのため、一対の保持板の間隔を所定の間隔として、ステータコアの公差に対応できるように、遊んだ隙間を備えさせた場合であっても、ウェッジガイド軸の先端とステータコアの間に隙間があくことがない。また、コイル束の挿入に先立って遊んだ隙間を縮減すれば、コイル束の挿入に伴う大きな摩擦力と比べて小さな力、例えば小型のエアシリンダーであっても、遊んだ隙間を縮減した状態を維持できる。また、押圧手段を一対の保持板の間に設けさせると、保持板の外側に配置されるコイル束の端部成形手段等と隙間縮減手段とが干渉することがなく、コイル束の端部成形手段等を設けたままでも、隙間縮減手段を設けることができる。
【0026】
これにより、前記隙間にコイル線が滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れた状態とならず、ステータコアの公差が大きい規格であってもコイル挿入不良が発生しにくく、電動機を高い歩留りで製造できる。更に、隙間縮減手段が被押付テーパ面と押付テーパ面を含んだ簡単な構成であるため、隙間縮減手段を小型化でき、コイル挿入装置に付随する他の機器に干渉しないように隙間縮減手段を配設させることが容易となる。また、公差のあるステータコアを保持させる際に、一対の保持板の間隔を所定の間隔としたままであっても、保持板とステータコアとの接触による損傷を避けることができる。
【0027】
本発明の第2の発明は、第1の発明のステータコア保持手段であって、複数組の前記押圧手段が、ステータコアの軸芯を挟むように配列され、各々のテーパ面がステータコアの軸芯に向かって傾斜されていることを特徴としている。押付テーパ面の移動方向とコイル挿入方向とが対向していないため、コイル束の挿入に伴う大きな摩擦力が作用しても、押付テーパ面の移動方向に力が加わることがなく、ステータコアが浮き上がることがない。
【0028】
ステータコアの軸芯に向かって複数組の被押付テーパ面、押付テーパ面が設けられているため、遊んだ隙間が均等に縮減される。これにより、ステータコアがコイル束の挿入摩擦により傾いて、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの隙間が拡がることがなく、その隙間にコイル線の一部が滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れた状態となることがない。
【0029】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明のステータコア保持手段であって、前記押付テーパ面と前記被押付テーパ面の各々の角度が、15度以下の緩やかな角度とされていることを特徴としている。これにより、コイル挿入時に伴う大きな摩擦力が働いても、テーパ面が押し戻されにくいという有利な効果を奏する。
【0030】
本発明の第4の発明は、第1の発明のステータコア保持手段であって、少なくとも一組の前記押圧手段を含み、各々のテーパ面がステータコアの円周方向に傾斜されていることを特徴とする請求項1に記載のステータコア保持手段。押付テーパ面の移動方向とコイル挿入方向とが対向していないため、コイル束の挿入に伴う大きな摩擦力が作用しても、押付テーパ面の移動方向に力が加わることがなく、ステータコアが浮き上がることがない。
【0031】
被押付テーパ面及び押付テーパ面は、例えば回転楔から構成されればよい。ここで、回転楔とは、軸芯の周りに回転されて押付テーパ面が被押付テーパ面を押し付ける楔をいう。被押付テーパ面及び押付テーパ面は、ステータコアの周りの全周に亘って一組のテーパ面が設けられてもよく、ステータコアの軸芯を挟んで複数組のテーパ面が設けられてもよい。これにより、ステータコアがコイル束の挿入摩擦により傾いて、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの隙間が拡がることがなく、その隙間にコイル線の一部が滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れた状態となることがない。
【0032】
本発明の第5の発明は、電動機のコイルを挿入させるコイル挿入装置が、第1から第4の発明のステータコア保持手段を含んでいることを特徴としている。本発明のステータコア保持手段を含んだコイル挿入装置とすることにより、コイル挿入の際にステータコアが移動して、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの間に隙間が発生することがない。そのため、前記隙間にコイル束の一部のコイル線が滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れにくいコイル挿入装置を提供することができる。これにより、ステータコアの形状・極数に制限されず、絶縁不良のない電動機を高い歩留りで製造できるコイル挿入装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
・本発明の第1の発明によれば、ステータコアに大きな摩擦力が作用しても、保持板に保持されたステータコアが移動することがない。そのため、ステータコアの公差に対応できるように遊んだ隙間を備えさせた場合であっても、ウェッジガイド軸の先端とステータコアの間に隙間があくことがない。これにより、前記隙間にコイル線が滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れた状態とならず、ステータコアの公差が大きい規格であっても、電動機を高い歩留りで製造できる。更に、隙間縮減手段が被押付テーパ面と押付テーパ面を含んだ簡単な構成であるため隙間縮減手段を小型化でき、コイル挿入装置に付随する他の機器に干渉しないように隙間縮減手段を配設させることが容易となるという有利な効果がある。また、公差のあるステータコアを保持させる際に、一対の保持板の間隔を所定の間隔としたままであっても、保持板とステータコアとの接触による損傷を避けることができる。
・本発明の第2の発明によれば、ステータコアがコイル束の挿入摩擦により傾いて、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの隙間が拡がることがなく、その隙間にコイル線の一部が滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れた状態となることがない。
【0034】
・本発明の第3の発明によれば、コイル挿入時に伴う大きな摩擦力が働いても、テーパ面が押し戻されにくくいという有利な効果を奏する。
・本発明の第4の発明によれば、ステータコアがコイル束の挿入摩擦により傾いて、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの隙間が拡がることがなく、その隙間にコイル線の一部が滑り込み、コイル線の一部がスロット絶縁紙の外側に外れた状態となることがない。
・本発明の第5の発明によれば、ステータコアの形状・極数に制限されず、絶縁不良のない電動機を高い歩留りで製造できるコイル挿入装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】遊んだ隙間を説明する説明図(実施例1)。
図2】ステータコア保持手段を備えたコイル挿入装置の全体図(実施例1)。
図3】ステータコアの斜視図(実施例1)。
図4】ステータコアの装着工程を説明する工程図(実施例1)。
図5】隙間縮減手段を説明する説明図(実施例1)。
図6】隙間縮減手段をなす楔の構成図(実施例1)。
図7】遊んだ隙間が縮減される工程を説明する工程図(実施例1)。
図8】回転楔を説明する側面図(実施例2)。
図9】ステータコアの浮き上がりを説明する説明図(従来例)。
図10】ステータコアの平面図(従来例)。
【発明を実施するための形態】
【0036】
一対の保持板に挟まれた状態でステータコアが遊嵌されていても、コイル挿入の際に、ウェッジガイド軸の先端とステータコアとの間に隙間が発生しないように、被押付テーパ面と押付テーパ面とを含んだ簡単な機構の隙間縮減手段により前記隙間をなくして、ステータコアが移動しないようにした。
【0037】
まず図9を参照して、従来のステータコア保持手段100について簡単に説明する。理解を容易にするためスロット絶縁紙97とコイル束95を破線で示している。図9(A)図は上方の保持板101とステータコア90の上面との間に個体差に応じた遊んだ隙間81がある状態で、コイル束95の挿入が始まる段階を示し、図9(B)図はコイル挿入時の摩擦力によってステータコア90が上方に浮き上がるように移動した状態を示している。ここでは遊んだ隙間81の寸法を約1.0mmから1.5mmと想定しているが、この数値に限定されない。
【0038】
ステータコア保持手段100は、ステータコア90の両端面を挟んで保持させる一対の保持板101,102と、保持板を垂直方向に駆動させる駆動手段をなすエアシリンダー22(図2参照)と、ステータコアの上面93と上方の保持板101に備えられる押圧部材103との接触を防止するストッパー43(図2参照)が備えられている。一対の保持板は、上方の保持板101及び下方の保持板102とからなり、その間にステータコア90が挟まれて保持される。
【0039】
上方の保持板101の下面側には、ステータコア90の上面をその外周縁に沿うように押圧する押圧部材103が備えられている。押圧部材103は、複数のネジ104及びナット105によって、上方の保持板101と一体に固定されている。ストッパー43の高さは、同一の規格寸法のステータコアの中から、積層厚さが最大となる個体に合わせられている。このストッパー43の高さが、ステータコア90を保持した際の一対の保持板の間隔とされる。
【0040】
一対の保持板101,102の間隔は、ステータコアの積層厚さが最大となる個体に合わせられているため、その個体以外のステータコアが保持された場合には、ステータコアの上面93と上方の保持板101に備えられる押圧部材103の下面との間にステータコアが遊んだ状態となる遊んだ隙間81が形成される(図9(A)図)。ステータコア90にコイル束95が挿入されると、その摩擦力により上方の押圧部材103に押し付けられるように、ステータコア90が上方に浮き上がるように移動する。そして、ウェッジガイド軸の先端13とステータコアの下面94との間が離間して、隙間80が発生する(図9(B)図)。
【0041】
この隙間80の幅寸法が、コイル束をなすコイル線の外径寸法よりも大きい寸法となる場合には、コイル線の一部が前記隙間に滑り込むようにして挟まることがある。その状態でウェッジ96が挿入されると、コイル線の一部がスロット絶縁紙97とウェッジ96とに囲まれた領域から外側に外れることがあり、コイル線の挿入不良が発生する原因のひとつとなっていた。
【実施例1】
【0042】
実施例1では、隙間縮減手段がテーパ面とされるステータコア保持手段20を、図1から図7を参照して説明する。図1はステータコア保持手段20の構成を説明する断面図、図2はステータコア保持手段を含んだコイル挿入装置1の全体構成を説明する側面図、図3はステータコア90の斜視図、図4はステータコアをブレード軸11に装嵌させる工程を説明する工程図、図5は遊んだ隙間81が縮減された状態のステータコア保持手段の構成を説明する断面図、図6は隙間縮減手段50の構成を説明する断面図、図7は遊んだ隙間81が縮減される工程を説明する工程図である。
【0043】
まず、図2を参照して、コイル挿入装置1の全体構成を説明する。コイル挿入装置1は、ステータコアにコイル束とウェッジとを挿入させるコイル挿入装置本体10と、ステータコアを保持するステータコア保持手段20とから構成されている。ステータコア保持手段20は、隙間縮減手段50が備えられる点以外については従来と同じ構成とされている。
【0044】
コイル挿入装置本体10は、環状に配列されたブレード軸11と、その外周に接するように配列されたウェッジガイド軸12と、ブレード軸に沿って摺動されるストリッパ14と、ストリッパと係合してストリッパをステータ軸方向に延伸させる延伸軸15と、ウェッジガイド軸に沿って摺動されるウェッジプッシャー16とから構成されている(図1参照)。延伸軸15とウェッジプッシャーの駆動手段は図上省略している。
【0045】
次に、図3を参照して、ステータコア90について説明する。図3は、スロット絶縁紙97が装着された状態のステータコアの一例を示している。ここでは、理解を容易にするため1か所のスロット99にのみウェッジ96を挿入した状態を示している。
【0046】
ステータコア90は、薄い電磁鋼板91が積層されて構成されるため、同一の規格寸法とされるステータコアであっても、その積層厚さには寸法誤差が発生する。この寸法誤差がステータコアの積層厚さの個体差とされ、積層厚さの最大値と最小値との差がステータコアの公差とされる。スロット絶縁紙97は、両端部に襟状に折り返されたカフス部98を備えている。
【0047】
次に、図1図5及び図6を参照して、ステータコア保持手段20及び隙間縮減手段50の構成を説明する。図1では理解を容易にするため、ストリッパ14を一部切欠断面図で示すと共に、図中左側のスロットにのみウェッジ96が挿入される位置を破線で示している。図6では、下方の保持板40、ステータコア90、ブレード軸11及びウェッジガイド軸12を一点鎖線で示している。図1はステータコア保持手段の構成を説明する説明図、図5は遊んだ隙間が縮減された状態を説明する説明図、図6(A)図は隙間縮減手段の構成を説明する平面図、図6(B)図は図6(A)図のA−A位置断面を示し、図6(C)図は図6(A)図のB−B位置断面を示している。
【0048】
隙間縮減手段50は、上下に対向するように重ねられる被押付テーパ面70を有する被押付部材71と押付テーパ面60を有する押付部材61とを含んだ押圧手段51とされている。各テーパ面の傾斜角度は15度とされているが、緩やかな角度であればよい。被押付テーパ面70と押付テーパ面60は、一対の保持板30,40の間に形成され、ステータコア90の軸芯を挟んで対向するように配置された二組のテーパ面とされている。押付テーパ面60がコイル挿入方向と交差する方向に移動して被押付テーパ面70を押し付けるように、各々のテーパ面はステータコアの軸芯に向かって傾斜されている。押付テーパ面の移動手段は、延伸軸63とエアシリンダー62と、図示していないコンプレッサーを含んでいる。
【0049】
被押付テーパ面70は、上方の保持板30に装着される被押付部材71の外周に外方に向けて拡開するように形成されている。被押付部材71は、コイル挿入作業と干渉しないように、ステータコアの外周縁近傍のみを押圧できるように、中空の円盤形状に形成され、上方の保持板30とステータコア90との間に配置されている(図6(A)図、図6(B)図参照)。被押付部材71は、上下方向に摺動可能な可動軸32を介して、上方の保持板の天面に付設された連結部材31と連結され、可動軸32が上下方向に摺動されることにより軸方向に移動可能とされている(図6(C)図参照)。
【0050】
押付テーパ面60が、被押付テーパ面70に沿って、コイル挿入方向と交差する方向からステータコアの軸芯に向かって移動されることにより、被押付テーパ面70がステータコアの軸方向に沿って下方に押し付けられる。そして、被押付部材71がステータコアの上面に向かって下方に移動し、被押付部材71とステータコアの上面93が接して遊んだ隙間81(図1参照)が縮減される(図5参照)。
【0051】
ステータコアの上面93が、隙間縮減手段50によって押し付けられているため、ステータコア90にコイル束95の挿入に伴う大きな摩擦力が作用したとしても、ステータコア90が上方に浮き上がるように移動されることがない。これにより、ウェッジガイド軸の先端13とステータコアの下面94との間に隙間が発生することがなく、コイル線の一部が隙間に滑り込んでスロット絶縁紙97の外側に外れることがない。
【0052】
また、ステータコアの上面93が被押圧部材71によって、その外周縁に沿って均等に押圧されているため、コイル束の挿入に伴う大きな摩擦力が狭い面積の範囲に集中することがない。これにより、積層厚さが薄く変形しやすい小型電動機用のステータコアであっても、電磁鋼板が反るように変形されることがない。
【0053】
下方の保持板40には、ステータコア90の外径よりも大きい外径のステータコア受台41が備えられ、ステータコアが、窪み部42に、水平方向に僅かに位置調整されるように遊嵌された状態で載置される。ステータコア90が窪み部42に載置される際には、側部にある平坦面92(図3参照)を基準として、その向きが合わせられる。また、ステータコアの下面94と接するようにカフサー44が備えられ(図6参照)、スロット絶縁紙の下方のカフス部98の損傷を防止している(図3参照)。
【0054】
次に、図4を参照して、ステータコア90がブレード軸11に装嵌される工程を説明する。ここでは、理解を容易にするため、ステータコアを破線で示すと共に、ブレード軸11及びウェッジガイド軸12について各2本のみを記載し、他を省略している。図4(A)図はステータコア90が下方の保持板40に載置された状態を示し、図4(B)図はステータコア90が一対の保持板に挟まれて保持された状態を示し、図4(C)図はステータコアをブレード軸に案内するコアガイド21が降下された状態を示し、図4(D)図はステータコアがブレード軸に装嵌された状態を示している。
【0055】
まず、ステータコア90を下方の保持板40に載置させる(図4(A)図)。次に、下方の保持板40が所定距離持ち上げられ、上方の保持板30とステータコア90との間に遊んだ隙間があく状態で、ステータコアが一対の保持板30,40に挟まれて保持される(図4(B)図)。次に、下方の保持板40よりも先行するように、コアガイド21が降下される(図4(C)図)。次に、遊んだ隙間を維持しながらステータコアが一対の保持板に挟まれた状態で一体に降下される。そして、コアガイド21がステータコア90に先行して、環状に配列されたブレード軸の内方17に装嵌される。最後に、ステータコア90がコアガイド21に案内されて、ブレード軸11に装着される(図4(D)図)。
【0056】
一連のステータコア装着工程において、ステータコア90は遊んだ隙間81により垂直方向の遊び、窪み部42における水平方向の遊びによって、いずれの方向にも僅かに移動できるように遊嵌された状態で、一対の保持板30,40に保持されている(図1参照)。そのため、一対の保持板に保持された状態のステータコア90が、ブレード軸が競り合わないように装嵌され、ブレード軸が撓むように変形することが抑止される。
【0057】
次に、図7を参照して、遊んだ隙間が縮減される工程について説明する。図7(A)図はステータコアがブレード軸に装嵌された状態を示し、図7(B)図は押付部材61が延伸されている状態を示し、図7(C)図は遊んだ隙間81が縮減された状態を示している。
【0058】
まず、上方の保持板30に備えられる被押付部材71の下面と、ステータコアの上面93との間に、遊んだ隙間81があいた状態のまま、ステータコア90がブレード軸11に装嵌される(図7(A)図)。次に、エアシリンダー62により延伸軸63が延伸され、押付部材61が上方の保持板30の下面に沿って延伸される(図7(B)図)。そして押付テーパ面60が被押付テーパ面70に沿って移動され、被押付テーパ面70がウェッジガイド軸の先端に向かって押し付けられる。それに伴って被押付部材71が、ステータコアの上面に向かって下方に移動して、遊んだ隙間81が縮減される(図7(C)図)。
【実施例2】
【0059】
実施例2では、図8を参照して、隙間縮減手段52が回転楔53からなるステータコア保持手段23を説明する。回転楔とは、軸芯の周りに回転されて押付テーパ面が被押付テーパ面を押し付ける楔をいう。図8では、軸芯76を一点鎖線で示している。図8(A)図は遊んだ隙間が縮減される前の状態を示し、図8(B)図は、回転楔が回転され、遊んだ隙間が縮減された状態を示し、図8(C)図は、図8(B)図のA−A位置断面の見上げ図を示している。
【0060】
回転楔53は、被押付部材73と押付部材65とからなっている。被押付部材73には軸芯を挟んで、向かい合う位置に軸芯76の周りに回転される一対の被押付テーパ面72,72が備えられる。押付部材65にも軸芯76を挟んで、向かい合う位置に軸芯76の周りに回転される一対の押付テーパ面64,64が備えられる。押付テーパ面64と被押付テーパ面72は、向かい合うように傾斜され、押付部材73が、一方向に回転された際に、向かい合うテーパ面同士64,72が摺れ合って押付部材65と被押付部材73の距離が変化するようにされている。
【0061】
図8において、押付テーパ面64を上方から看て反時計回りに回転させると、押付テーパ面64は被押付テーパ面72を押し付けて、被押付部材73がステータコアの上面93を押付け、遊んだ隙間81を縮減させる(図8(B)図参照)。軸芯76の周りに回転される押付部材65は、その周囲に歯部66が備えられ、押付部材の外周位置に設けられた円形歯車67に噛み合うようにされている。円形歯車67は、図示していない駆動手段により回転される。駆動手段は公知の電動機等であればよい。円形歯車67を、筋状に延びる歯車としてもよいことは勿論のことである。ここでは、向かい合う2組のテーパ面により押し付けあうようにしたが、テーパ面の数は限定されない。
【0062】
(その他)
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1…コイル挿入装置、
10…コイル挿入装置本体、11…ブレード軸、12…ウェッジガイド軸、13…先端、14…ストリッパ、15…延伸軸、16…ウェッジプッシャー、17…内方、
20,23…ステータコア保持手段、21…コアガイド、22…エアシリンダー、
30…保持板、31…連結部材、32…可動軸、
40…保持板、41…ステータコア受台、42…窪み部、43…ストッパー、44…カフサー、
50,52…隙間縮減手段、51…押圧手段、53…回転楔、
60,64…押付テーパ面、61…押付部材、62…エアシリンダー、63…延伸軸、65…押付部材、66…歯部、67…円形歯車、
70,72…被押付テーパ面、71,73…被押付部材、76…軸芯、
80…隙間、81…遊んだ隙間、
90…ステータコア、91…電磁鋼板、92…平坦面、93…上面、94…下面、95…コイル束、96…ウェッジ、97…スロット絶縁紙、98…カフス部、99…スロット、
100…ステータコア保持手段、101…上方の保持板、102…下方の保持板、103…押圧部材、104…ネジ、105…ナット、
110,111,112…ステータコア、113,114,115…押圧位置
【要約】
【課題】ステータコア90の積層厚さの規格が異なっても、積層厚さに個体差があっても、コイル線がウェッジ96とスロット絶縁紙97の外側に外れて絶縁不良を発生させることもないステータコア保持手段を提供することである。
【解決手段】ステータコア保持手段20に、ステータコア90の積層厚さの個体差に対応する遊んだ隙間81と、遊んだ隙間を縮減させる隙間縮減手段50とを備えさせる。遊んだ隙間を隙間縮減手段により縮減させ、ステータコア90の浮き上がりを防止する構成とした。これにより、ステータコアの積層厚さに個体差があっても、コイル束95の挿入に伴って大きな摩擦力が作用しても、ステータコアが浮き上がることがなく、コイル線の一部がウェッジガイド軸の先端13とステータコアとの間の隙間に滑り込み、絶縁不良を発生させることがない。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10