(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取り装置は、原稿を読取るものであって、単独で又は複写機等に搭載されて用いられる。単独で用いられる場合は、読取った原稿の画像が外部のプリンター等に出力され、また複写機に搭載されて用いられる場合は、読取った原稿の画像がその複写機で複写される。
【0003】
このような画像読取り装置としては、原稿載置ガラスと原稿読取りガラスを並設し、原稿載置ガラスの下面に沿って密着型イメージセンサ(CIS(Contact Image Sensor))を移動させつつ、CISにより原稿載置ガラス上に載置された原稿を読取る第1モードと、原稿読取りガラスの下面にCISを位置決めして、CISにより原稿読取りガラスの上面に沿って搬送されている原稿を読取る第2モードとを選択的に行うものがある。
【0004】
ここで、周知のようにCISの焦点深度が0.4mm程度と極めて浅いので、CISを原稿載置ガラスの下面及び原稿読取りガラスの下面に接近もしくは摺接させて移動させることが多い。このため、原稿載置ガラスの下面から原稿読取りガラスの下面にかけて均一な平坦面ではなく、各ガラス間に段差が形成されていると、移動中のCISがその段差に接触して、CISの移動負荷が変動し、CISの移動動作が不安定となった。
【0005】
そこで、単一の1枚ガラスを原稿載置ガラスの領域と原稿読取りガラスの領域とに区分して用いることがある。この単一のガラスには、原稿載置ガラスと原稿読取りガラスとの間に段差がないため、先に述べたようにCISの移動動作が不安定になることはない。
【0006】
ただし、第2モードで原稿を読取るときには、原稿を原稿読取りガラスの上面に沿って搬送することから、この読取られた原稿を原稿読取りガラスの上面から掬い上げるべく、この掬い上げのためのガイド部材を原稿読取りガラスの上面に貼り付ける必要がある。
【0007】
ところが、ガイド部材を原稿読取りガラスの上面に貼り付けた場合は、ガイド部材の端部と原稿読取りガラスの上面との間に段差が形成され、この段差に原稿の先端が引っ掛かって、ジャムが発生することがあった。ガイド部材の形状を適宜に設定することにより、そのような段差を小さくすることが可能であるが、段差を完全に解消することは困難であり、段差を原因とするジャムの発生も完全に解消することはできない。
【0008】
一方、特許文献1では、ガイド部材を原稿読取りガラスの上面に貼り付け、また原稿読取りガラスの上面に流し読みガラスを重ねて貼り、流し読みガラスの表面をガイド部材の端部よりも高い位置に配している。この場合は、流し読みガラスの上面に沿って搬送されて来た原稿の先端がガイド部材の端部に引っ掛からずに搬送され、ジャムが発生することがない。
【0009】
また、特許文献2では、単一の1枚ガラスを原稿載置ガラスの領域と原稿読取りガラスの領域とに区分して用い、ガイド部材をガラスに対して開閉可能な原稿搬送部に設け、また凹部を原稿載置ガラスの領域に形成している。そして、原稿搬送部が閉じられたときにガイド部材が原稿載置ガラスの領域に配置され、ガイド部材の端部がその凹部に入って、ガイド部材の端部と原稿読取りガラスの上面との間に段差が形成されないようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1のように原稿読取りガラスの上面に流し読みガラスを重ねて貼る場合は、部品点数の増加を招く。
【0012】
また、原稿読取りガラスの上面に流し読みガラスを重ねて貼った場合は、ガラスの厚みが流し読みガラスの厚みの分だけ増大する。このため、流し読みガラス上の原稿及び原稿載置ガラス上の原稿のいずれに対してもCISの離間距離を一定に維持するべく、流し読みガラス上の原稿を読取るときと原稿載置ガラス上の原稿を読取るときとでCISの上下位置を変更する必要がある。先に述べたようにCISの焦点深度が極めて浅いことから、原稿を正確に読取るには、そのようなCISの上下位置の調節が必要である。
【0013】
特許文献1では、レール状のガイドプレートによりCISを案内して、CISを流し読みガラスの厚みの分だけ上下に変位させ、原稿に対するCISの離間距離を一定にしている。ところが、CISを上下に変位させるには、ガイドプレートに段差を形成する必要があるため、その段差がCISの移動動作を不安定にする原因となる。
【0014】
また、特許文献2のようにガイド部材の端部をガラスの凹部に入れるには、凹部を充分に深くする必要があるものの、そのような凹部を形成した場合は、ガラスの強度が著しく低下し、書物等の重量物を置いたときにガラスが破損する可能性がある。また、凹部を浅くした場合は、ガイド部材の端部が凹部に入り難くなり、ガイド部材の端部と原稿読取りガラスの上面との間に段差が形成されないという効果を達成し得ないことがある。
【0015】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、CISを直線状に滑らかに移動させることができ、かつジャムが発生することがない画像読取り装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る画像読取り装置は、
密着型イメージセンサが原稿載置ガラスの下面に沿って移動
することで前記原稿載置ガラス上に載置された原稿を読取る第1モードと、
前記密着型イメージセンサが原稿読取りガラスの下面側
に停止した状態で前記原稿読取りガラスの上面に沿って搬送さ
れる原稿を読取る第2モードとを切換
える画像読取り装置であって
、前記密着型イメージセンサ又は前記密着型イメージセンサを搭載した移動体に設けられ、前記
原稿載置ガラス及び前記原稿読取りガラスの下面に摺接する摺接部と、前記第2モードのときに前記原稿
を前記原稿読取りガラス
の上面に通過させて前記
原稿読取りガラスの一端側へと搬送する搬送部と、前記
原稿読取りガラスの一端側に設けられ
、搬送され
る前記原稿を前記原稿読取りガラスから掬い上げる原稿ガイド部とを備え、前記原稿ガイド部の端部を前記原稿読取りガラスの上面よりも該原稿読取りガラスの下面側に配置し
、前記摺接部は、前記密着型イメージセンサ又は前記移動体に設けられる基部と、前記基部から上方に予め定めた所定の高さ突出して前記原稿載置ガラス及び前記原稿読取りガラスの下面に摺接する突出部とを有し、前記原稿を読取るための前記密着型イメージセンサの移動範囲において、前記摺接部における前記突出部と前記原稿読取りガラスの下面とが接触し、且つ、前記摺接部における前記基部と前記原稿ガイド部の底面とが接触しない状態で互いに対向している。
【0018】
このような本発明では、原稿を原稿載置ガラス側から原稿読取りガラ
スへと搬送し、
原稿読取りガラスの一端側に設けられた原稿ガイド部により原稿を原稿読取りガラスから掬い上げるようにした上で、原稿ガイド部の端部を原稿読取りガラスの上面よりも該原稿読取りガラスの下面側に配置している。このため、原稿の先端が原稿ガイド部の端部に引っ掛かることはなく、ジャムが発生することがない。
【0019】
従って
、ジャムが発生することがなく、特許文献1のように流し読みガラスや段差が形成されたガイドプレートを設ける必要がない。また、特許文献2のように凹部をガラスに形成する必要がない。
【0020】
また、
前記摺接部は、前記密着型イメージセンサ又は前記移動体に設けられる基部と、前記基部から上方に予め定めた所定の高さ突出して前記原稿載置ガラス及び前記原稿読取りガラスの下面に摺接する突出部とを有し、前記原稿を読取るための前記密着型イメージセンサの移動範囲において
、前記摺接部における前記突出部と前記原稿読取りガラスの下面とが接触し、且つ、前記摺接部
における前記基部と前記原稿ガイド部
の底面とが接触しない
状態で互いに対向している。
【0021】
こ
うすることで、密着型イメージセンサを
原稿読取りガラスの一端に最も接近させても、密着型イメージセンサの摺接部が原稿ガイド部に接触せず、密着型イメージセンサの移動動作を安定化させることができる。
原稿読取りガラスの一端に最も接近したときの密着型イメージセンサの位置とは、例えば密着型イメージセンサのイニシャル位置である。
【0022】
本発明の画像読取り装置においては、前記原稿載置ガラス及び前記原稿読取りガラスは、前記原稿載置ガラスの領域と前記原稿読取りガラスの領域とに区分された単一ガラスで構成されている。
この場合、1枚の単一ガラスを原稿載置ガラスと原稿読取りガラスとに区分して用い、密着型イメージセンサの摺接部を単一ガラスの下面に摺接させているので、密着型イメージセンサを滑らかに直線状に移動させることができ、密着型イメージセンサの移動動作が安定化する。
従って、密着型イメージセンサの摺接部を単一ガラスの下面に摺接させて、密着型イメージセンサを滑らかに直線状に移動させることができ
る。
また、本発明の画像読取り装置においては、前記第1モードのときに前記原稿の端
の位置を規制する原稿位置規制部を前記
原稿載置ガラスの上面に設けている。
【0023】
このような原稿位置規制部は、
原稿載置ガラスの下面側に突出することはなく、よって密着型イメージセンサの摺接部に接触することもなく、密着型イメージセンサの移動動作を不安定にする原因になることがない。
【0024】
また、本発明の画像読取り装置においては、前記原稿ガイド部の端部を前記
原稿読取りガラスの一端に当接させている。
【0025】
この場合は、原稿ガイド部の端部と
原稿読取りガラスの一端との間に隙間が形成されず、原稿ガイド部により原稿を原稿読取りガラスから滑らかに掬い上げることができる。
【0026】
次に、本発明に係る画像読取り装置は、
密着型イメージセンサが原稿載置ガラスの下面に沿って移動
することで前記原稿載置ガラス上に載置された原稿を読取る第1モードと、
前記密着型イメージセンサが原稿読取りガラスの下面側
に停止した状態で前記原稿読取りガラスの上面に沿って搬送さ
れる原稿を読取る第2モードとを切換
える画像読取り装置であって
、前記密着型イメージセンサ又は前記密着型イメージセンサを搭載した移動体に設けられ、前記
原稿載置ガラス及び前記原稿読取りガラスの下面に摺接する摺接部と
、前記原稿読取りガラスに対して開閉自在に設けられ、前記第2モードのときに閉じられて、前記原稿
を前記原稿読取りガラス
の上面を通過させて前記
原稿読取りガラスの一端側へと搬送する搬送部と、前記搬送部に設けられ、前記原稿を前記原稿読取りガラスから掬い上げる原稿ガイド部とを備え、前記搬送部が閉じられたときに、前記原稿ガイド部が前記
原稿読取りガラスの一端側に配置されて、前記原稿ガイド部の端部が前記原稿読取りガラスの上面よりも該原稿読取りガラスの下面側に配置され
、前記搬送部の開閉を検出する開閉検出部を備え、前記開閉検出部の検出結果に基づいて前記搬送部の開閉状態を判定し、前記搬送部の閉状態を判定したときに前記第2モードの動作開始を許容する。
【0028】
このような本発明では、搬送部が閉じられたときには、原稿ガイド部が
原稿読取りガラスの一端側に配置されて、原稿ガイド部の端部が原稿読取りガラスの上面よりも該原稿読取りガラスの下面側に配置され、原稿ガイド部により原稿が原稿読取りガラスから掬い上げるようにしている。このため、原稿の先端が原稿ガイド部の端部に引っ掛かることはなく、ジャムが発生することがない。
しかも、搬送部の開閉を検出する開閉検出部を備え、開閉検出部の検出結果に基づいて搬送部の開閉状態を判定し、搬送部の閉状態を判定したときに第2モードの動作開始を許容することで、搬送部の閉状態の判定に応じて第2モードを開始することができ、これにより、原稿の読取り動作の失敗を未然に防止することが可能になる。
【0029】
また、本発明に係る画像読取り装置においては、前記原稿ガイド部は、前記搬送部による前記原稿の搬送方向と直交する軸により回転可能に支持され、前記搬送部が閉じられたときに前記原稿読取りガラスの上面よりも下側の部材に当接し回転して、前記
原稿読取りガラスの一端に接近する。
【0030】
このように原稿ガイド部を原稿の搬送方向と直交する軸により回転可能に支持すると、原稿ガイド部が回転して
原稿読取りガラスの一端側に接近したり離間したりするようになり、原稿ガイド部を
原稿読取りガラスの一端に引っ掛けずにその一端に接近させることが可能になる。
【0031】
本発明の画像読取り装置においては、前記原稿載置ガラス及び前記原稿読取りガラスは、前記原稿載置ガラスの領域と前記原稿読取りガラスの領域とに区分された単一ガラスで構成されている。
この場合、1枚の単一ガラスを原稿載置ガラスと原稿読取りガラスとに区分して用い、密着型イメージセンサの摺接部を単一ガラスの下面に摺接させているので、密着型イメージセンサを滑らかに直線状に移動させることができ、密着型イメージセンサの移動動作が安定化する
。
また、本発明に係る画像読取り装置においては、前記原稿ガイド部は、前記搬送部における前記原稿の搬送経路の一部を形成する。
【0032】
この場合は、原稿ガイド部は、原稿読取りガラスから掬い上げるだけではなく、搬送部における原稿の搬送経路の一部を形成することになる。
【0033】
また、本発明に係る画像読取り装置においては、前記原稿ガイド部の回転位置を検出するセンサを備えてい
てもよい。
【0034】
この場合、原稿ガイド部は、搬送部が閉じられたときに原稿読取りガラスの上面よりも下側の部材に当接し回転することから、原稿ガイド部の回転位置が搬送部の開閉状態に対応する。このため、センサにより検出された原稿ガイド部の回転位置に基づき搬送部の開閉状態を判定することができる。
【0035】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の画像読取り装置を備えている。
【0036】
このような本発明の画像形成装置においても、上記本発明の画像読取り装置と同様の作用効果を
奏する。
【発明の効果】
【0037】
本発明では、1枚の単一ガラスを原稿載置ガラスと原稿読取りガラスとに区分して用い、密着型イメージセンサの摺接部を単一ガラスの下面に摺接させているので、密着型イメージセンサを滑らかに直線状に移動させることができ、密着型イメージセンサの移動動作が安定化する。
【0038】
また、原稿を原稿載置ガラス側から原稿読取りガラスを通じて単一ガラスの一端側へと搬送し、単一ガラスの一端側に設けられた原稿ガイド部により原稿を原稿読取りガラスから掬い上げるようにした上で、原稿ガイド部の端部を原稿読取りガラスの上面よりも該原稿読取りガラスの下面側に配置している。このため、原稿の先端が原稿ガイド部の端部に引っ掛かることはなく、ジャムが発生することがない。
【0039】
従って、密着型イメージセンサの摺接部を単一ガラスの下面に摺接させて、密着型イメージセンサを滑らかに直線状に移動させることができ、かつジャムが発生することがなく、特許文献1のように流し読みガラスや段差が形成されたガイドプレートを設ける必要がない。また、特許文献2のように凹部をガラスに形成する必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0042】
図1は、本発明の画像読取り装置の第1実施形態を備えた画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電器15は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するためにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0043】
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、ドラムクリーニング装置14により感光体ドラム13表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電器15により感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置11により感光体ドラム13表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
【0044】
引き続いて、中間転写ベルト21を矢印方向Cに周回移動させつつ、ベルトクリーニング装置25により中間転写ベルト21の残留トナーを除去及び回収した後、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
【0045】
中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26a間にはニップ域が形成されており、用紙搬送経路R1を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置17の加熱ローラ31と加圧ローラ32間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
【0046】
一方、記録用紙は、ピックアップローラ33により給紙トレイ18から引出されて、S字状の用紙搬送経路R1を通じて搬送され、2次転写装置26や定着装置17を経由し、排紙ローラ36を介して排紙トレイ39へと搬出される。この用紙搬送経路R1には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ26a間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始する一組のレジストローラ34、記録用紙の搬送を促す複数組の搬送ローラ35、一組の排紙ローラ36等が配置されている。
【0047】
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、記録用紙を各排紙ローラ36から反転経路Rrへと逆方向に搬送して、記録用紙の表裏を反転させ、記録用紙を各レジストローラ34へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を排紙トレイ39へと搬出する。
【0048】
次に、
図1の画像形成装置1の本体上部に搭載された第1実施形態の画像読取り装置2の概略構成を説明する。
図2は、画像読取り装置2を側方から見て示す断面図である。また、
図3は、画像読取り装置2の読取り部41を示す平面図である。
【0049】
図2に示すように画像読取り装置2は、下側の読取り部41と、上側の原稿搬送部61とを備えている。原稿搬送部61は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により読取り部41の奥一辺に軸支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。原稿搬送部61が開かれたときには、読取り部41の原稿載置ガラス43及び原稿読取りガラス42が開放される。
【0050】
図2及び
図3に示すように読取
り部41においては、筐体44の上側開口部に単一ガラスGを設け、筐体44の各側板44aと単一ガラスGの四辺との間を縁取板44bで塞いでいる。単一ガラスGは、均一な厚みで透明な1枚のガラス板であり、その左端側(単一ガラスGの先端側)に矩形状枠部材45が設けられている。この矩形状枠部材45の対向2辺の部分が原稿位置規制部46及び原稿ガイド部47となっている。矩形状枠部材45の両端部45aが単一ガラスGの外側に配され、原稿位置規制部46が単一ガラスGの上面に配され、原稿ガイド部47が単一ガラスGの先端外側に配されている。このため、単一ガラスGの下面全体が平滑な平坦面となっている。
【0051】
原稿載置ガラス43及び原稿読取りガラス42は、単一ガラスGを原稿位置規制部46で区分けした2つの領域に対応し、透明な単一ガラスGを共有している。原稿載置ガラス43の領域は、原稿位置規制部46の後端46aから単一ガラスGの後端(
図2上の右側の端)までの領域であり、その上に原稿が載置される。また、原稿読取りガラス42の領域は、原稿位置規制部46の先端から単一ガラスGの先端(
図2上の左側の端)までの領域であり、その上で原稿が搬送されて通過する。
【0052】
図2に示すように密着型イメージセンサ(CIS(Contact Image Sensor))48は、原稿載置ガラス43並びに原稿読取りガラス42の下方に配置されており、原稿読取りガラス42の下方の位置センサ49によりCIS48を搭載した移動フレーム71(
図7(a)、(b)に示す)が検出されたときに、CIS48がイニシャル位置にある。このCIS48は、移動ユニットMUにより原稿載置ガラス43の下方で副走査方向Xに移動されつつ、原稿載置ガラス43上に載置された原稿を読取ったり(第1モード)、イニシャル位置より一定距離離間した原稿読取りガラス42の下方の読取り位置に位置決めされて、原稿読取りガラス42上を通過する原稿を読取ったりする(第2モード)。
【0053】
図4は、CIS48を拡大して示す断面図である。
図4に示すようにCIS48は、原稿を原稿載置ガラス43や原稿読取りガラス42を介して照明する一対のLEDアレイ51、原稿からの反射光を集光するセルフォック(登録商標)レンズアレイ52、及び原稿からの反射光を光電変換してアナログの画像信号を出力するラインセンサ53を備えている。
【0054】
第1モードでは、原稿搬送部61を開いて、原稿を原稿載置ガラス43上に載置し、原稿の先端を原稿位置規制部46の後端46aに当接させて、原稿を位置決めし、原稿搬送部61を閉じる。CIS48は、原稿読取りガラス42の下方の読取り位置で待機しており、移動ユニットMUにより読取り位置から原稿載置ガラス43の下方へと移動され、更に原稿先端(原稿位置規制部46の後端46aの位置)から原稿サイズに応じた距離だけ一定速度で副走査方向Xに移動される。この移動のときに、各LEDアレイ51により原稿載置ガラス43上の原稿が照明され、セルフォックレンズアレイ52により原稿からの反射光がラインセンサ53に集光される。ラインセンサ53は、原稿を繰り返し主走査方向Yに走査し、その度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力し、原稿を読取って行く。
【0055】
第2モードでは、CIS48が原稿読取りガラス42の下方の読取り位置に位置決めされる。この状態で、原稿搬送部61の原稿トレイ62上に原稿を載せてセットし、原稿搬送部61による原稿の搬送を開始させる。原稿搬送部61では、ピックアップローラ63により原稿トレイ62上の原稿が引出されて、原稿が原稿搬送路64を通じて原稿読取りガラス42へと搬送される。このとき、原稿の先端が原稿位置規制部46の傾斜ガイド面46bにより案内されて原稿読取りガラス42の上面へと導かれて、原稿が原稿読取りガラス42の上面を摺接して行き、原稿ガイド部47の傾斜面47aにより原稿が原稿読取りガラス42の上面から掬い上げられる。更に、原稿は、原稿搬送路64を通じて搬送され、排紙ローラ66から排紙トレイ67へと排出される。この原稿搬送路64には、原稿をその先端を揃えてから搬送するレジストローラ68や原稿を搬送する搬送ローラ69等が配置されている。
【0056】
CIS48では、各LEDアレイ51により原稿読取りガラス42上を通過して行く原稿を照明し、セルフォックレンズアレイ52により原稿からの反射光をラインセンサ53に集光し、ラインセンサ53により原稿を繰り返し主走査方向Yに走査して、この走査の度に、ラインセンサ53から1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。
【0057】
このように第1及び第2モードのいずれにおいても、CIS48により原稿が読取られ、CIS48からアナログ画像信号が出力される。このアナログ画像信号は、デジタル画像信号にA/D変換され、種々の画像処理を施されてから画像形成装置1の光走査装置11へと送受され、画像形成装置1において原稿が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0058】
ここで、
図2から明らかなように原稿搬送路64は、原稿載置ガラス43側から原稿読取りガラス42を介して単一ガラスGの先端まで延在し、更に上方に概ね180°湾曲して排紙トレイ67に到る。従って、原稿は、原稿載置ガラス43側から原稿読取りガラス42を介して単一ガラスGの先端へと搬送され、更に上方に180°反転して排紙トレイ67へと排出される。
【0059】
また、
図5に拡大して示すように単一ガラスGの先端側に設けられた原稿ガイド部47は、その傾斜面47aだけが原稿読取りガラス42の上面よりも上方に突出し、その端部47bが原稿読取りガラス42の上面よりも下方(原稿読取りガラス42の下面側)に配置されている。このため、原稿が原稿載置ガラス43側から原稿読取りガラス42を介して単一ガラスGの先端へと矢印方向Jに搬送されて来たときには、原稿の先端が原稿ガイド部47の傾斜面47aにより案内されて、この傾斜面47aにより原稿が原稿読取りガラス42の上面から速やかに掬い上げられる。従って、原稿の先端が原稿ガイド部47の端部47bに引っ掛かることがなく、ジャムが発生することはない。
【0060】
仮に、
図6に示すように原稿を原稿読取りガラス42の先端側から後端側へと逆方向Kに搬送した場合は、原稿の先端が原稿位置規制部46の端部46cに引っ掛かって、ジャムが発生する。
【0061】
本発明では、
図5に示すように原稿を原稿載置ガラス43の側から原稿読取りガラス42を介して単一ガラスGの先端へと搬送するようにした上で、原稿ガイド部47の端部47bを原稿読取りガラス42の上面よりも下方に配置しているので、原稿の先端が原稿ガイド部47の端部47bに引っ掛かることがなく、ジャムが発生することはない。
【0062】
次に、第1実施形態の画像読取り装置2の読取り部41におけるCIS48を移動させるための移動ユニットMUを詳しく説明する。
図7(a)、(b)は、単一ガラスG、筐体44の縁取板44b等を取外した状態で読取り部41の内部構造を示す平面図及び側面図である。
【0063】
図7(a)、(b)に示すように移動ユニットMUにおいて、CIS48は、主走査方向Yに延びる移動フレーム71に搭載されている。CIS48の両端には、それぞれのホルダー72が固定されており、移動フレーム71の両端部に突設された各ピン73にそれぞれのコイルバネ74が嵌め入れられ、各ピン73がCIS48の両端の各ホルダー72の孔72aに通されて、各ホルダー72がそれぞれのコイルバネ74に載せられている。各ピン73は、移動フレーム71に対して、CIS48を副走査方向X及び主走査方向Yにずれないように支持しかつCIS48を上下方向に移動可能に支持する。また、各コイルバネ74は、CIS48の底面が移動フレーム71から離間した状態でCIS48を受けて弾性的に支持する。CIS48が下降して来たときには、各コイルバネ74が短縮し、各コイルバネ74によりCIS48が上方に付勢される。
【0064】
また、各ホルダー72の上端には、POM(ポリオキシメチレン)等からなる各摺接部77が設けられている。
図7(b)及び
図8の断面図に示すように各摺接部77は、CIS48の両端部外側に重ねて設けられ、CIS48の上面から上方に同一高さ突出している。
【0065】
更に、筐体44の前後の側板44aには、円柱状のシャフト75が副走査方向Xと平行に架け渡されて固定されている。移動フレーム71の底面には、案内部材76が固定されており、案内部材76の下方に向く半円柱状の凹部にシャフト75が嵌め入れられて、移動フレーム71が案内部材76を介してシャフト75に載せられ、シャフト75により移動フレーム71が副走査方向Xに移動自在に支持されている。
【0066】
また、筐体44の底板44dには、副走査方向Xに離間して並ぶ一対の軸81、82が垂直に突設され、各軸81、82の上端にそれぞれの小プーリ83、84が回転自在に支持され、各小プーリ83、84に無端状の従動ベルト85が架け渡されている。従動ベルト85の外側周面には、移動フレーム71の底面の案内部材76が接続されている。
【0067】
また、一方の軸82の小プーリ84には、大プーリ86が同芯状に重ねて固定され、小プーリ84と大プーリ86が共に回転するようになっている。モータ87は、一方の軸82の近傍で筐体44の底板44dに固定されている。モータ87の出力軸には、駆動プーリ88が固定されており、駆動プーリ88と大プーリ86に無端状の駆動ベルト89が架け渡されている。
【0068】
図8及び
図9に示すようにCIS48の両端の各ホルダー72の摺接部77を単一ガラスGの下面に押し付けている。このため、CIS48の両端の各ホルダー72と移動フレーム71との間に各コイルバネ74が挟まれて、各コイルバネ74が短縮し、各コイルバネ74の付勢力により各ホルダー72の摺接部77が単一ガラスGの下面に圧接される。CIS48の上面に対する各ホルダー72の摺接部77の突出高さが同一であるため、CIS48が単一ガラスGの下面と平行になる。
【0069】
こうして各ホルダー72の摺接部77を単一ガラスGの下面に圧接させた状態で、モータ87を駆動して、駆動プーリ88を回転させると、駆動プーリ88の回転が駆動ベルト89を介して大プーリ86に伝達され、大プーリ86と共に小プーリ84が回転し、小プーリ84の回転が従動ベルト85を介して小プーリ83に伝達されて、小プーリ83が回転する。そして、従動ベルト85が周回移動し、従動ベルト85に接続された案内部材76がシャフト75上で滑動し、移動フレーム71が副走査方向Xに移動する。また、モータ87の出力軸の回転方向と移動フレーム71の移動方向が対応し、モータ87の出力軸の回転角度が移動フレーム71の移動距離に対応することから、モータ87の出力軸の回転方向と回転角度を制御することにより、移動フレーム71及びCIS48の移動方向と移動距離を制御することができる。
【0070】
また、筐体44の片側側板44aの一端近くには、位置センサ49が設けられている。この位置センサ49は、例えば発光素子と受光素子を対向配置したものであり、発光素子と受光素子との間に侵入した移動フレーム71のガイド片71aを検出する。
【0071】
ここで、モータ87の出力軸を一方向に回転させて、移動フレーム71及びCIS48を原稿読取りガラス42の下方まで移動させると、移動フレーム71のガイド片71aが位置センサ49の発光素子と受光素子との間に侵入し、位置センサ49によりガイド片71aが検出される。この位置センサ49の検出出力に応答してモータ87が停止されて、CIS48が原稿読取りガラス42の下方のイニシャル位置に位置決めされ、引き続いてモータ87が逆方向に一定回転角度だけ回転されて、CIS48が位置センサ49より離れる方向に一定距離だけ移動されて、CIS48が原稿読取りガラス42の下方の読取り位置に位置決めされる。このとき、移動フレーム71両端の各ホルダー72の摺接部77が原稿ガイド部47の底面や単一ガラスGの先端に接触することがないように、CIS48のイニシャル位置、各ホルダー72の摺接部77の副走査方向Xの幅等を設定している。
【0072】
第2モードでは、CIS48を原稿読取りガラス42の下方の読取り位置に位置決めした状態で、CIS48により原稿読取りガラス42上を通過する原稿を読取る。
【0073】
また、第1モードでは、モータ87の出力軸の回転方向及び回転角度を制御して、移動フレーム71及びCIS48を原稿載置ガラス43の下方に移動させ、引き続いて移動フレーム71及びCIS48を原稿先端(原稿位置規制部46の後端46aの位置)から原稿サイズに応じた距離だけ一定速度で副走査方向Xに移動させ、CIS48により原稿載置ガラス43上に載置された原稿を読取る。
【0074】
更に、原稿位置規制部46の下面が白色にされており、この原稿位置規制部46の下面をCIS48により読取ってシェーディング補正用のデータを生成することができる。この場合は、CIS48をイニシャル位置に一旦位置決めした後に、モータ87の出力軸の回転方向及び回転角度を制御して、CIS48を原稿位置規制部46の下方に位置決めし、原稿位置規制部46の下面をCIS48により読取って、CIS48の出力をサンプリングし、このサンプリングした出力からシェーディング補正用のデータを生成する。
【0075】
このような移動フレーム71及びCIS48の移動に際しては、各ホルダー72の摺接部77が単一ガラスGの下面を摺動するが、単一ガラスGの下面全体が平滑な平坦面であるため、移動フレーム71及びCIS48が単一ガラスGの下面に対して滑らかに平行移動し、CIS48の移動動作が不安定になるようなことはなく、また極めて浅い焦点深度(0.4mm程度)のCIS48により単一ガラスG(原稿読取りガラス42及び原稿載置ガラス43)上の原稿を正確に読取ることができる。
【0076】
また、CIS48をイニシャル位置に位置決めしても、各ホルダー72の摺接部77が原稿ガイド部47の底面や単一ガラスGの先端に接触しないため、これによってもCIS48の移動動作が安定化する。
【0077】
すなわち、第1実施形態の画像読取り装置2では、CIS48の各ホルダー72の摺接部77を単一ガラスGの下面に摺接させて、CIS48を滑らかに直線状に移動させることができ、かつジャムが発生することがなく、特許文献1のように流し読みガラスや段差が形成されたガイドプレートを設ける必要がない。また、特許文献2のように凹部をガラスに形成する必要がない。
【0078】
次に、第2実施形態の画像読取り装置2Aを説明する。
図10は、第2実施形態の画像読取り装置2Aを側方から見て示す断面図である。また、
図11は、第2実施形態の画像読取り装置2Aの読取り部41を示す平面図である。尚、
図10、
図11において、
図2、
図3と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
【0079】
第2実施形態の画像読取り装置2Aでは、原稿位置規制部46の代りに、原稿位置規制部101及び原稿ガイド部102を設けた点が、第1実施形態の画像読取り装置2とは異なる。
【0080】
原稿位置規制部101は、読取り部41の単一ガラスGの表面に設けられ、単一ガラスGの表面を原稿載置ガラス43の領域と原稿読取りガラス42の領域とに区分する。原稿載置ガラス43の領域は、原稿位置規制部101の後端101aから単一ガラスGの後端(
図10、
図11上の右側の端)までの領域であり、その上に原稿が載置される。また、原稿読取りガラス42の領域は、平面視したときに原稿位置規制部101の内側3辺と単一ガラスGの先端(
図10、
図11上の左側の端)とで囲まれる矩形領域である。
【0081】
原稿位置規制部101は、第2モードのときに原稿の先端を原稿読取りガラス42の上面へと導く傾斜ガイド面101bを有している。また、原稿位置規制部101の下面が白色にされており、この原稿位置規制部101の下面をCIS48により読取ってシェーディング補正用のデータを生成することができる。
【0082】
また、原稿ガイド部102は、原稿搬送部61に設けられている。この原稿ガイド部102は、主走査方向Yにおいて原稿読取りガラス42及び原稿載置ガラス43よりも長くされており、原稿ガイド部102の両端が原稿搬送部61の本体筐体又はフレーム等の対向内壁面に固定されて支持されている。また、原稿ガイド部102は、傾斜面102a及び下面102bを有しおり、傾斜面102aが原稿搬送路64のガイド壁64aに連なって原稿搬送路64の一部を形成する。
【0083】
このように原稿位置規制部101と原稿ガイド部102は、読取り部41と原稿搬送部61に振り分けて設けられている。
【0084】
ここで、原稿搬送部61は、読取り部41の奥一辺に軸支され、その手前部分を上下させることにより開閉されることから、原稿載置ガラス43及び原稿読取りガラス42に対しても開閉される。従って、
図12に示すように原稿搬送部61が開かれたときには、原稿ガイド部102が原稿搬送部61と共に原稿読取りガラス42から離間する。また、原稿搬送部61が閉じられたきには、
図10に示すように原稿ガイド部102が原稿読取りガラス42の先端付近に配置される。
【0085】
図13は、原稿搬送部61が閉じられたきの原稿ガイド部102及び原稿読取りガラス42の先端付近を拡大して示す断面図である。
図13に示すように原稿読取りガラス42の先端付近では、単一ガラスGの四辺を縁取る縁取板44bの表面を原稿読取りガラス42の表面よりも低くしてなる当接面44cが設けられて、原稿読取りガラス42の表面と当接面44cとの間に段差が形成されている。原稿搬送部61が閉じられたときには、原稿ガイド部102の下面102bが当接面44cに当接し、原稿ガイド部102の先端部102cが原稿読取りガラス42の先端(単一ガラスGの先端)42aに接近して配置され、かつ原稿ガイド部102の先端部102cが原稿読取りガラス42の上面よりも下側に配置される。
【0086】
このような構成の第2実施形態の画像読取り装置2Aにおいては、第1モードのときに、第1実施形態の画像読取り装置2と同様に、原稿搬送部61が開かれて、原稿が原稿載置ガラス43上に位置決めされ、原稿搬送部61が閉じられる。この状態で、移動ユニットMUによりCIS48が原稿載置ガラス43の下方で移動されつつ、CIS48により原稿載置ガラス43上の原稿が読取られる。
【0087】
また、第2モードのときには、CIS48が原稿読取りガラス42の下方の読取り位置に位置決めされ、原稿搬送部61が閉じられた状態で、原稿が原稿トレイ62にセットされる。このとき、
図13に示すように原稿ガイド部102の先端部102cが原稿読取りガラス42の先端42aに接近しかつ原稿読取りガラス42の上面よりも下側に配置される。
【0088】
原稿搬送部61では、ピックアップローラ63により原稿トレイ62上の原稿が引出されて、原稿が原稿搬送路64を通じて原稿読取りガラス42へと(矢印方向J)搬送され、原稿の先端が原稿位置規制部101の傾斜ガイド面101bにより案内されて原稿読取りガラス42と上側ガイド板114の間へと導かれ、原稿が原稿読取りガラス42の上面を摺接して行く。引き続いて、原稿ガイド部102の傾斜面102aにより原稿が原稿読取りガラス42の上面から掬い上げられ、更に原稿ガイド部102の傾斜面102aにより原稿が原稿搬送路64へと導入され、原稿が原稿搬送路64を通じて搬送され、原稿が排紙ローラ66から排紙トレイ67へと排出される。
【0089】
このように第2実施形態の画像読取り装置2Aでは、原稿ガイド部102を原稿搬送部61側に設け、原稿搬送部61が閉じられたときに、原稿ガイド部102の先端部102cが原稿読取りガラス42の先端42aに接近配置されかつ原稿読取りガラス42の上面よりも下側に配置されるようにしている。このため、原稿載置ガラス43の側から原稿読取りガラス42の先端42aへの方向に搬送されて来た原稿の先端が原稿ガイド部102の先端部102cに引っ掛かることなく、原稿ガイド部102の傾斜面102aにより原稿が掬い上げられ、ジャムが発生することがない。
【0090】
次に、第3実施形態の画像読取り装置2Bを説明する。
図14は、第3実施形態の画像読取り装置2Bの一部を側方から見て拡大して示す断面図である。また、
図15は、
図14のA−Aに沿って破断し、
図14の上側ガイド板114を省略して示す断面図である。尚、
図14、
図15において、
図10〜
図13と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付す。
【0091】
第3実施形態の画像読取り装置2Bでは、原稿ガイド部102の代りに、回転自在に軸支された原稿ガイド部111と、原稿ガイド部111の回転位置を検出する光学センサ112とを設けた点が、第2実施形態の画像読取り装置2Aとは異なる。
【0092】
原稿ガイド部111は、原稿搬送部61に設けられ、主走査方向Yにおいて原稿読取りガラス42及び原稿載置ガラス43よりも長く、原稿搬送部61による原稿の搬送方向と直交する軸113により回転自在に支持され、キックバネ等の付勢部材(図示せず)により矢印方向Eに付勢されている。
【0093】
また、主走査方向Yにおける原稿ガイド部111の中央に被検出片111dを突設し、また原稿搬送路64のガイド壁64aの中央に切欠スリット64bを形成し、原稿ガイド部111の回転に伴って移動する被検出片111dがガイド壁64aの切欠スリット64bを通過するようにされている。
【0094】
光学センサ112は、例えば発光素子と受光素子とを離間させて対向配置したものであり、各素子の間を原稿ガイド部111の被検出片111dが通過する。
【0095】
ここで、
図16に示すように原稿搬送部61が開かれると、原稿ガイド部111が原稿搬送部61と共に原稿読取りガラス42から離間し、原稿ガイド部111の下面111cが当接面44cから離間する。このとき、付勢部材の付勢力により原稿ガイド部111が軸113を中心に矢印方向Eに回転して、原稿ガイド部111の先端部111eが矢印方向Fに移動し、原稿ガイド部111の一端部111aが原稿搬送部61の筐体の一部61aに当接して、原稿ガイド部111が所定の回転位置に保持される。また、原稿ガイド部111の被検出片111dが光学センサ112の発光素子と受光素子の間からずれて、光学センサ112により被検出片111dが検出されない状態となる。
【0096】
次に、原稿搬送部61が閉じられる過程では、付勢部材の付勢力により原稿ガイド部111が所定の回転位置に保持されていることから、原稿ガイド部111の先端部111eが矢印方向Fに移動しており、よって原稿ガイド部111の先端部111eが原稿読取りガラス42の先端42aから離れた位置を通過し、原稿ガイド部111の先端部111eが原稿読取りガラス42の先端42aに引っ掛かることはない。そして、
図14、
図15に示すように原稿搬送部61が閉じられると、原稿ガイド部111の下面111cが当接面44cに当接して、原稿ガイド部111が軸113を中心に矢印方向Eとは逆方向に回転し、原稿ガイド部111の先端部111eが原稿読取りガラス42の先端42aに接近し、かつ原稿ガイド部111の先端部111eが原稿読取りガラス42の上面よりも下側に配置される。また、原稿ガイド部111の傾斜面111bが原稿搬送路64のガイド壁64aに連なって原稿搬送路64の一部を形成する。更に、原稿ガイド部111の被検出片111dが光学センサ112の発光素子と受光素子の間まで移動して、光学センサ112により被検出片111dが検出される。
【0097】
このような構成の第3実施形態の画像読取り装置2Bにおいて、第1モードのときには、原稿が原稿載置ガラス43上に載置されて、原稿搬送部61が閉じられ、この状態で、移動ユニットMUによりCIS48が原稿載置ガラス43の下方で移動されつつ、CIS48により原稿載置ガラス43上の原稿が読取られる。
【0098】
また、第2モードのときには、原稿搬送部61が閉じられ、
図14、
図15に示すように原稿ガイド部111の先端部111eが原稿読取りガラス42の先端42aに接近しかつ原稿読取りガラス42の上面よりも下側に配置される。この状態で、ピックアップローラ63により原稿トレイ62上の原稿が引出されて、原稿が原稿搬送路64を通じて原稿読取りガラス42へと搬送される。そして、原稿の先端が原稿位置規制部101の傾斜ガイド面101bにより案内されて原稿読取りガラス42の上面へと導かれて、原稿が原稿読取りガラス42の上面を摺接して行き、原稿ガイド部111の傾斜面111bにより原稿が原稿読取りガラス42の上面から掬い上げられ、更に原稿ガイド部111の傾斜面111bにより原稿が原稿搬送路64へと導入されて、原稿が原稿搬送路64を通じて搬送され、原稿が排紙ローラ66から排紙トレイ67へと排出される。従って、原稿の先端が原稿ガイド部111の先端部111eに引っ掛かることなく、原稿ガイド部111の傾斜面111bにより原稿が掬い上げられ、ジャムが発生することがない。
【0099】
また、
図16に示すように原稿搬送部61が開かれたときには、光学センサ112により原稿ガイド部111の被検出片111dが検出されず、
図14、
図15に示すように原稿搬送部61が閉じられたときには、光学センサ112により原稿ガイド部111の被検出片111dが検出されることから、光学センサ112の検出出力に基づき原稿搬送部61の開閉状態を判定することができ、原稿搬送部61の閉状態の判定に応じて第1及び第2モードを開始することにより、原稿の読取り動作の失敗を未然に防止することが可能になる。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。