特許第5995529号(P5995529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995529
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】照明用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20160908BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-122954(P2012-122954)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-251057(P2013-251057A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】熊野 祥正
【審査官】 三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−319172(JP,A)
【文献】 特開2011−134672(JP,A)
【文献】 実開平06−002496(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トライアックを有する位相制御式の調光器と、
前記調光器により位相制御された交流電圧を整流する整流回路と、
前記整流回路により整流された電圧を平滑化して直流電圧に変換する平滑コンデンサと、前記変換された直流電圧をさらに別の直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、
少なくとも互いに直列に接続された第1のスイッチング素子および第1の抵抗を含んで前記整流回路の出力側に接続され、前記第1のスイッチング素子をオンにして前記トライアックのオン状態を維持させるための保持電流を前記第1の抵抗を経由する電流通路に流すように構成された保持電流回路とを備え、前記第1のスイッチング素子が前記トライアックの導通に伴って導通して前記電流通路を形成し、前記トライアックの遮断に伴って遮断して前記電流通路を遮断するように構成された電源装置であって、
前記保持電流回路において前記第1の抵抗を経由する電流通路に対して直列に第3のスイッチング素子が介装され、
前記整流回路の出力側の入力電圧を検出し、前記検出した入力電圧が一定電圧を超えると前記第3のスイッチング素子をオフして前記電流通路を遮断状態とし、また、前記検出した入力電圧が前記一定電圧以下に低下すると前記第3のスイッチング素子をオンして前記電流通路を導通状態とする電圧検出・電流遮断手段を付加したことを特徴とする照明用電源装置。
【請求項2】
前記電圧検出・電流遮断手段は、
前記入力電圧を検出する電圧検出回路と、
前記検出した入力電圧が前記一定電圧を超えるときは前記第3のスイッチング素子を遮断状態とし、前記検出した入力電圧が前記一定電圧以下に低下するときは前記第3のスイッチング素子を導通状態とする電流遮断回路と、
を含む請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電圧検出回路は、前記整流回路の出力側に少なくとも直列に接続された2つの第2の抵抗からなる直列抵抗回路を含み、前記2つの第2の抵抗の接続ノードの電圧を前記電流遮断回路に出力する電圧とする、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電圧検出回路は、前記整流回路の出力側と前記直列抵抗回路との間に介装されたツェナーダイオードを含み、前記ツェナーダイオードはそのカソードが前記整流回路の出力側に、また、そのアノードが前記直列抵抗回路に接続されている、請求項3に記載の電源
装置。
【請求項5】
前記電流遮断回路は、
前記電圧検出回路の前記2つの第2の抵抗同士の接続ノードに接続された第2のスイッチング素子と、
前記電流通路上に介装された前記第3のスイッチング素子と
を含み、
前記第2のスイッチング素子は、前記接続ノードの電圧が、前記検出した入力電圧が一定電圧を超えて高くなることに応じて高くなるとオンし、前記入力電圧が前記一定電圧以下に低くなることに応じて低くなるとオフし、
前記第3のスイッチング素子は、前記第2のスイッチング素子がオンするとオフして前記電流通路を遮断状態とし、前記第2のスイッチング素子がオフするとオンして前記電流通路を導通状態とする、
請求項3または4に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相制御式の調光器により調光を行う照明用電源装置に関し、より詳しくは、発光ダイオード(LED)を用いた照明装置における調光を制御することが可能な照明用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDを用いた照明装置(LEDランプ)は消費電力が白熱灯に比較して少ないために普及しつつあり、また、そうしたLEDランプ点灯用の電源装置においては、位相制御式の調光器により調光を行うことができる照明用電源装置が提案されている。
【0003】
そして、本発明者は、かかる照明用電源装置を鋭意研究している。図2は、従来の照明用電源装置の回路図である。以下、図2を参照して、この照明用電源装置を説明すると、10は交流電源、20は照明用電源装置、30はLEDモジュールである。
【0004】
照明用電源装置20は、交流電源10が接続される入力端子IN1,IN2と、LEDモジュール30が接続される出力端子OUT1,OUT2と、を備える。照明用電源装置20は、入力端子IN1,IN2と出力端子OUT1,OUT2との間に、調光器21と、整流回路22と、保持電流回路23と、平滑回路24と、DC/DCコンバータ25と、を備える。
【0005】
調光器21は、交流電源10の交流電圧を位相制御するものであり、位相制御素子であるトライアック(双方向サイリスタ)21aと、トライアック21aのゲート端子にトリガ信号を出力する位相制御回路21bと、可変抵抗からなる調光調節手段21cとを備える。位相制御回路21bは、例えば交流電圧のゼロクロスを基準にして所定のタイミングで一定の周期毎にトリガ信号を出力する。整流回路22は、ダイオードブリッジからなるもので、調光器21で位相制御された交流電圧を全波整流する。
【0006】
保持電流回路23は、トライアック21aのオン状態を維持するための保持電流を流すためのものであり、MOSFETからなるスイッチング素子Q1と、このスイッチング素子Q1をオンさせるための抵抗R1と、スイッチング素子Q1のゲート電圧を保持するためのツェナーダイオードD2と、保持電流を流すための抵抗R2とからなる。ツェナーダイオードD2においては、そのカソードがスイッチング素子1のゲート側に接続され、そのアノードが接地されている。
【0007】
平滑回路24は、平滑コンデンサC3により、整流回路22で全波整流された電圧を平滑化する。
【0008】
DC/DCコンバータ25は、スイッチング電源の一例として、平滑回路24で直流化された電圧を昇降圧して所望の直流電圧に変換するものであり、MOSFETからなるスイッチング素子Q2と、インダクタL1と、ダイオードD4と、平滑コンデンサC4と、抵抗R3R7と、制御回路25aとを備える。
【0009】
制御回路25aは、スイッチング制御用ICからなり、ダイオードD3を介して端子VCCに作動電源を供給されると共に、端子INの電圧を監視し、この監視電圧に基づいて、端子OUTから制御信号をスイッチング素子Q2のゲートに印加して当該スイッチング素子Q2を周期的にオンオフさせる。この制御回路25aの制御により、スイッチング素子Q2がオフからオンになると、平滑回路24内の平滑コンデンサC3により平滑化された直流電圧はインダクタL1に印加され、インダクタL1を介してスイッチング素子Q2に電流が流れる。スイッチング素子Q2のオンの期間に、インダクタL1に流れる電流が一定の割合で増加し、インダクタL1に磁気エネルギが蓄積される。
【0010】
次に、制御回路25aの制御によりスイッチング素子Q2がオンからオフになると、スイッチング素子Q2を流れていた電流が遮断されることで、インダクタL1に蓄積された磁気エネルギにより逆起電力が発生し、インダクタL1、ダイオードD4の経路を介して電流が、平滑コンデンサC4を充電すると共に、照明用電源装置20の出力端子OUT1,OUT2に並列に接続されたLEDモジュール30に流れて、当該LEDモジュール30が点灯する。LEDモジュール30は複数の発光ダイオードLEDを直列に接続して構成されている。
【0011】
以上の構成において、従来の照明用電源装置20においては、調光器21の位相制御回路21bから出力するトリガ信号をトライアック21aのゲート端子に印加し、これにより交流電源10の交流電圧を位相制御すると共に、この位相制御された交流電圧を整流回路22および平滑回路24により整流・平滑し、DC/DCコンバータ25において所望する直流電圧に変換し、この直流電圧をLEDモジュール30に印加することで、LEDモジュール30の発光ダイオードLEDを点灯しかつその点灯の明るさを調整することができるようになっている。
【0012】
そして、従来のかかる照明用電源装置20では、調光器21のトライアック21aがトリガ信号の印加によりオン状態となった後に、トライアック21aにそのオン状態を維持する電流が完全に遮断されてしまうと、該トライアック21aが誤動作してしまう。そこでトライアック21aが誤動作をしないように、保持電流回路23によりトライアック21aのオン状態を保持するための保持電流を整流回路22から引き込むことでトライアック21aに保持電流を常時流すことができるようにしている。
【0013】
すなわち、保持電流回路23においては、スイッチング素子Q1と抵抗R2とを直列に接続し、スイッチング素子Q1のゲートに抵抗R1を介してゲート電圧を印加することでオンし、これにより、整流回路22からスイッチング素子Q1を介して抵抗R2に至る電流通路Pに保持電流を常時引き込むようにしている。
【0014】
ところで、従来の照明用電源装置20では、前記した理由により、保持電流回路23内の抵抗R2には、常時、保持電流が流れるので、スイッチング素子Q1の電力損失が大きくなり、また、その温度上昇が規格に入らない場合があるという問題が発生する。
【0015】
そこで、調光器21のトライアック21aの誤動作を防止できる一方で、スイッチング素子Q1の電力損失の増大と、温度上昇という問題を解消するために、保持電流を常時流すのではなく、必要時にのみ流すことが考えられる。この場合、調光器21のトライアック21aの誤動作を防止するために保持電流を必要時にのみ流すようにした照明用電源装置としては例えば特許文献1に既に提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0016】
特許文献1に記載の照明用電源装置では、整流回路の出力部である入力端子から流れ込む入力電流が保持電流以下である否かを検出するためにコンパレータからなる入力電流検出回路により入力電流と保持電流とを比較し、調光器側からの入力電流が保持電流以下に低下したときにのみ、調光器側から保持電流を引き込むようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2012−14965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、特許文献1の照明用電源装置は、前記調光器側からの入力電流と保持電流との比較のための前記コンパレータに比較的高価なICが必要となると共にそのコンパレータ用ICを組み込むうえで、周辺回路の構成も複雑化する結果、照明用電源装置全体の製造コストが嵩むものとなっている。
【0019】
本発明においては、高価なICを用いないことで製造コストを低減しかつ必要時にのみトライアックに保持電流を流すことでトライアックの誤動作の防止と共に保持電流回路内のスイッチング素子の電力損失の増大および規格外への温度上昇を抑制した照明用電源装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明による照明用電源装置は、トライアックを有する位相制御式の調光器と、前記調光器により位相制御された交流電圧を整流する整流回路と、前記整流回路により整流された電圧を平滑化して直流電圧に変換する平滑コンデンサと、前記変換された直流電圧をさらに別の直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、少なくとも互いに直列に接続された第1のスイッチング素子および第1の抵抗を含んで前記整流回路の出力側に接続され、前記第1のスイッチング素子をオンにして前記トライアックのオン状態を維持させるための保持電流を前記第1の抵抗を経由する電流通路に流すように構成された保持電流回路とを備え、前記第1のスイッチング素子が前記トライアックの導通に伴って導通して前記電流通路を形成し、前記トライアックの遮断に伴って遮断して前記電流通路を遮断するように構成された電源装置であって、前記保持電流回路において前記第1の抵抗を経由する電流通路に対して直列に第3のスイッチング素子が介装され、前記整流回路の出力側の入力電圧を検出し、前記検出した入力電圧が一定電圧を超えると前記第3のスイッチング素子をオフして前記電流通路を遮断状態とし、また、前記検出した入力電圧が前記一定電圧以下に低下すると前記第3のスイッチング素子をオンして前記電流通路を導通状態とする電圧検出・電流遮断手段を付加したことを特徴とする。
【0021】
前記調光器は、トライアックのゲート端子にトリガ信号を印加し、交流電圧の位相制御することができるものであればよく、その位相制御の形態には特に限定されない。
【0022】
前記整流回路は、位相制御された交流電圧を全波整流することができればよく、ダイオードブリッジからなるものに特に限定されない。
【0023】
本発明では、前記のように保持電流回路における第1のスイッチング素子および第1の抵抗を含む電流通路に対して直列に介装した第3のスイッチング素子を有する電圧検出・電流遮断手段を具備している。整流回路の出力側の入力電圧が一定電圧を超えると、第3のスイッチング素子をオフして前記電流通路を遮断状態として保持電流が流れないようにし、前記入力電圧が一定電圧以下に低下すると、第3のスイッチング素子をオンして前記電流通路を導通状態として保持電流が流れるようにしている。すなわち、電流通路の遮断状態と導通状態の切り換えにかかわらず、第1のスイッチング素子を導通状態に保持させることが可能となり、高価なICを用いずとも必要時にのみトライアックに保持電流を流すことができる。
【0024】
前記DC/DCコンバータは、スイッチング電源等のいかなる形態のコンバータを含んでもよい。
【0025】
好ましくは、前記電圧検出・電流遮断手段は、前記入力電圧を検出する電圧検出回路と、前記検出した入力電圧が前記一定電圧をえるときは前記電流通路を遮断状態とし、前記検出した入力電圧が前記一定電圧以下に低下するときは前記電流通路を導通状態とする電流遮断回路と、を含む。
【0026】
好ましくは、前記電圧検出回路は、前記整流回路の出力側に少なくとも直列に接続された2つの第2の抵抗からなる直列抵抗回路を含み、前記2つの第2の抵抗の接続ノードの電圧を前記検出した電圧とする。
【0027】
好ましくは、前記電圧検出回路は、前記整流回路の出力側と前記直列抵抗回路との間に介装されたツェナーダイオードを含み、前記ツェナーダイオードはそのカソードが前記整流回路の出力側に、また、そのアノードが前記直列抵抗回路に接続されている。
【0028】
好ましくは、前記電流遮断回路は、前記電圧検出回路の前記2つの第2の抵抗同士の接続ノードに接続された第2のスイッチング素子と、前記電流通路上に介装された第3のスイッチング素子とを含み、前記第2のスイッチング素子は、前記接続ノードの電圧が、前記検出した入力電圧が一定電圧を超えて高くなることに応じて高くなるとオンし、前記入力電圧が前記一定電圧以下に低くなることに応じて低くなるとオフし、前記第3のスイッチング素子は、前記第2のスイッチング素子がオンするとオフして前記電流通路を遮断状態とし、前記第2のスイッチング素子がオフするとオンして前記電流通路を導通状態とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来の電源装置よりも製造コストを低減しかつ必要時にのみトライアックに保持電流を流すことでトライアックの誤動作の防止と共に保持電流回路内のスイッチング素子の電力損失の増大および規格外への温度上昇を防止した照明用電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の実施形態に係る照明用電源装置の回路図である。
図2図2は、従来の照明用電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る照明用電源装置を説明する。図1は本発明の実施形態に係る照明用電源装置の回路図であり、図2と対応する回路部分には同一の符号を付し、その同一の符号に係る回路部分の詳細な説明は説明の重複を避けるために略する。
【0032】
20Aは実施形態の照明用電源装置であり、この照明用電源装置20Aは、従来の照明用電源装置20と同様に、調光器21と、整流回路22と、保持電流回路23と、平滑回路24と、DC/DCコンバータ25と、を備える。これら各部21〜25の詳細な説明は上記したので、ここではその説明は略する。
【0033】
実施形態の照明用電源装置20Aは、従来の照明用電源装置20に対して、以下に説明する電圧検出・電流遮断回路26を付加した、ことを特徴とする。
【0034】
電圧検出・電流遮断回路26は、整流回路22の出力側Aからの入力電圧を検出する電圧検出回路26aと、電圧検出回路26aの検出が、前記入力電圧が一定電圧を超える検出であるときは、保持電流回路23内の電流通路Pを遮断してスイッチング素子Q1および抵抗R2に電流が流れないようにし、前記入力電圧が一定電圧以下に低くなる検出であるときは、前記電流通路Pを導通してスイッチング素子Q1および抵抗R2に電流が流れるようにする電流遮断回路26bとを含む。
【0035】
電圧検出回路26aは、整流回路22の出力側Aと接地ラインとの間にツェナーダイオードD5および抵抗R8,R9がこの順で直列に接続された回路を含む。ツェナーダイオードD5においては、そのカソードは前記出力側Aに、そのアノードは前記抵抗R8に接続されている。
【0036】
尚、電圧検出回路26aにおいて、ツェナーダイオードD5は必須ではなく、省略してもよい。また、実施形態では直列に接続された複数の抵抗として抵抗R8,R9を示したが、これに限定されず、一部に抵抗を並列接続したものを含んでもよい。
【0037】
電流遮断回路26bは、電圧検出回路26aの前記抵抗R8,R9同士の接続ノードBにベースが接続されたスイッチング素子としてのトランジスタQ3と、トランジスタQ3のコレクタ・エミッタ間に並列で互いに直列接続された抵抗R10,R11と、抵抗R10,R11同士の接続ノードCにベースが接続されたスイッチング素子としてのトランジスタQ4と、制御回路25aに電源を供給するためのダイオードD3のカソードとトランジスタQ3のコレクタとの間に接続された抵抗R12と、を備える。なお、トランジスタQ3,Q4はバイポーラトランジスタであるが、これらトランジスタQ3,Q4はMOSFETに置き換えてもよいし、それ以外のトランジスタに置き換えてもよい。
【0038】
電圧検出・電流遮断回路26の動作を説明すると、電圧検出回路26aにおいて、整流回路22の出力側Aの電圧が一定電圧を超えると、ツェナーダイオードD5が導通すると共に、抵抗R8,R9同士の接続ノードBには、電流遮断回路26bのトランジスタQ3をオンにする高い電圧が発生する。また、電流遮断回路26bにおいては、前記接続ノードBに前記高い電圧が発生すると、トランジスタQ3がオンする。トランジスタQ3がオンすると、抵抗R10,R11同士の接続ノードCには、トランジスタQ4をオンにする電圧が発生しないので、当該トランジスタQ4はオフする。これにより、保持電流回路23の抵抗R2を経由して接地ラインに至る電流通路Pが遮断されて、抵抗R2には保持電流が流れない。
【0039】
一方、交流電源10の交流電圧がゼロクロス付近へと低下していき、これに対応して、整流回路22の出力側Aの電圧が一定電圧以下に低下すると、電圧検出回路26aにおいては、ツェナーダイオードD5が非導通となり、抵抗R8,R9同士の接続ノードBの電圧が低下する。そして、電流遮断回路26bにおいては、前記接続ノードBの電圧が低下すると、トランジスタQ3がオフする。トランジスタQ3がオフすると、抵抗R10,R11には抵抗R12を介して電流が流れ、この電流により、抵抗R10,R11同士の接続ノードCには、トランジスタQ4をオンにする電圧が発生し、当該トランジスタQ4はオンする。これにより、保持電流回路23の抵抗R2を経由して接地ラインに至る電流通路Pが導通状態とされて、抵抗R2に保持電流が流れるようになる。
【0040】
実施形態と従来それぞれの照明用電源装置20,20Aによる保持電流回路23内のスイッチング素子Q1の電力損失と温度上昇とを表1に対比する。
【0041】
【表1】
【0042】
この表1によると、従来の照明用電源装置20ではスイッチング素子Q1の電力損失は1.3W、温度上昇は49℃であるのに対して、実施形態の照明用電源装置20Aの電力損失は0.5W、温度上昇は29℃であり、実施形態の照明用電源装置20Aは従来の照明用電源装置20よりも電力損失の増大および温度上昇が大きく抑制される結果となった。
【0043】
このようにして実施形態の照明用電源装置20Aでは、整流回路22の出力側Aからの入力電圧を検出し、前記検出した入力電圧が一定電圧を超えると電流通路Pを遮断状態とし、一定電圧以下に低下すると電流通路Pを導通状態とする電圧検出・電流遮断回路26を具備したので、保持電流回路23には保持電流が必要時にのみ流れるようになり、当該保持電流回路23内のスイッチング素子Q1の電力の損失増大とその温度上昇とを共に従来よりも大きく抑制できるようになると共に、また、そのための電圧検出・電流遮断回路26には高価なICを用いていないから照明用電源装置20Aの製造コストの低減を図ることができるようになる。
【符号の説明】
【0044】
10 交流電源
20A 照明用電源装置
21 調光器
21a トライアック
22 整流回路
23 保持電流回路
24 平滑回路
25 DC/DCコンバータ
26 電圧検出・電流遮断回路
26a 電圧検出回路
26b 電流遮断回路
30 LEDモジュール
C3 平滑コンデンサ
P 電流通路
R2 第1の抵抗
Q1 第1のスイッチング素子
Q4 第3のスイッチング素子
図1
図2