【実施例】
【0023】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲のみによって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0024】
以下、本発明の実施例が図面にしたがって説明される。
まず、本製造方法および装置の説明に先立って、本製造方法により製造が可能な着用物品の一例が説明される。
【0025】
図2Bに示すように、着用物品の一例である本オムツは、吸収性本体部50と、該本体部50の後胴部50bに接合された一対のタブ(テープファスナ)Tを備える。各タブTには止着部材としてのファスナFが設けられており、本オムツの着用時に、このタブTはファスナFを介して本体部50の前胴部50fに接合される。
【0026】
図2Aに示すように、前記タブTは前記ファスナFを有する積層された連続シート6から生成される。すなわち、連続シート6は切断線Cに沿って切断されて、多数のタブTが生成される。この際、細かい網点を施した部分が切り抜かれ、切抜片Sが生成されるが、後述するように、この切抜片Sは廃棄される。
【0027】
つぎに、前記タブTの製造装置について説明される。
図4Aおよび
図4Bに示すように、本装置はカッタロール1,アンビルロール2,除去装置7、第1および第2吸着装置31,32を備える。
【0028】
図1に示すように、カッタロール1は前記連続シート6の一部を切り抜いて切抜片Sを生成するための複数の切断刃10を有する。本実施例の場合、
図1の各切断刃10同士は連続シート6を個々のタブTにするための別の切断刃13を介して連なっている。
【0029】
前記カッタロール1と前記アンビルロール2との間に前記連続シート6が搬送され、前記カッタロール1の切断刃10,13が前記アンビルロール2に次々に接することで、前記連続シート6から前記タブTとなる部材および切抜片Sが次々に生成される。
【0030】
前記各切断刃10はループ状に形成されており、各切断刃10に囲まれた領域には後述する第1又は第2吸引エリア11,12が形成されている。前記各吸引エリア11,12には多数のノズル40が形成されている。
【0031】
前記第1および第2吸着装置31,32は、それぞれ、前記切断刃10で切り抜いた複数の切抜片Sを前記カッタロール1上に形成された複数の第1および第2吸引エリア11,12を通してエアで吸着して保持させるものである。前記第1および第2吸着装置31,32は
図3Aおよび
図3Bの第1および第2吸引プレート41,42を備える。
【0032】
図1の前記第1吸引プレート41は前記第1吸引エリア11が設けられたカッタロール1の軸方向Xの第1端部に配置され、該第1吸引プレート41にはエアを吸引する第1吸引孔41hが形成されている。一方、第2吸引プレート42はカッタロール1の前記軸方向Xの第2端部に配置され、該第2吸引プレート42にはエアを吸引する第2吸引孔42hが形成されている。
【0033】
図4Aおよび
図4Bに示すように、前記第1および第2吸引孔41h, 42hは円弧状で、それぞれ、吸引位置まで回転した第1および第2マニホールド41m, 42mに連通する。
図1の前記第1および第2吸引エリア11,12は、それぞれ、ノズル40と、前記第1および第2マニホールド41m, 42mと、第1および第2吸引孔41h, 42hなどのエアの経路を介して、それぞれ、第1および第2真空源E1,E2に連なる。
【0034】
本実施例では2つの真空源E1,E2を設けているが、真空源を1つにしてエアの経路を別々に設けてもよい。本実施例の場合、2つの真空源E1,E2を包含する真空源が真空保持手段を構成する。この2つの真空源E1,E2は、前記エアの経路のうち一方の経路の真空が破壊されても他方の経路の真空を保持する。
なお、
図1において吸引されるエアを白抜きの矢印で示す。
【0035】
すなわち、第1および第2真空源E1,E2は、前記一方の吸着装置による吸着が不能となった場合に、他方の吸着装置による吸着が可能となるように前記第1吸着装置31および前記第2吸着装置32に各々別々の経路を介してエアの吸引を行わせる。
【0036】
図1に示すように、前記第1吸引エリア11と前記第2吸引エリア12とは前記カッタロール1の周方向に交互に配置されていてもよい。これにより、
図4Aおよび
図4Bに示すように、1つの吸引孔41h, 42hに同時に連通するマニホールド41m, 42mの数が常に2〜3個程度になり、復旧の作業性が著しく向上する。
【0037】
前記除去装置7は前記カッタロール1に吸着保持されていた前記切抜片Sを前記カッタロール1の表面から除去するためのもので、ダクト70および図示しない加圧機構を備える。前記ダクト70は負圧により第1および第2吸引エリア11,12の切抜片Sを吸い上げる。前記加圧機構はダクト70に対峙したエリア11,12の負圧を解除するために、第1および第2吸引プレート41,42に形成された加圧孔71,72(
図4)を介してマニホールド41m, 42mに加圧エアを送る。
なお、
図1において、前記加圧エアを黒色の矢印で示す。
【0038】
つぎに、正常な運転状態について簡単に説明する。
図1のカッタロール1とアンビルロール2との間に連続シート6が導入されると、カッタロール1およびアンビルロール2の回転で、
図2Aのように連続シート6から個々のタブTが生成されると共に、
図1の切断刃10により連続シート6から切抜片Sが切り抜かれる。
切断刃10および13に沿って形成される蛇行した切断線C1に加え、図示しない別の切断刃により前記連続シート6の幅方向に延びる別の切断線C2が同時に形成されてもよい。
【0039】
図4Aおよび
図4Bにおいて、前記マニホールド41m,42mは円弧状の吸引孔41h、42hに連通している間において負圧に保持され、切抜片Sが吸引エリア11,12に吸着されて保持される。カッタロール1が更に回転し、切抜片Sがダクト70に対峙すると、加圧孔71,72からマニホールド41m,42m内に加圧エアが送り込まれ、吸引エリア11,12の負圧が解除されると共に、切抜片Sがダクト70内に吸い込まれて除去される。
【0040】
つぎに、復旧方法の一例について説明する。
たとえば、
図1の第1吸着装置31によるエアで吸引中の第1吸引エリア11のうちの1つの吸引エリア11から前記切抜片Sが不用意に脱落し、そのため、前記第1吸着装置31が残りの第1吸引エリア11において切抜片Sを吸着不能となった場合に、当該第1吸着装置31が再び切抜片Sを吸着可能となるよう復旧する場合について説明する。
【0041】
まず、前記カッタロール1およびアンビルロール2の回転を停止する。一方、前記第1および第2吸着装置31,32による前記各吸引エリア11,12のエアの吸引を続行する。この際、1つの吸引エリア11において切抜片Sが脱落しており(切抜片Sを吸着していないので)、第1吸着装置31の吸引エリア11は吸着力が小さいので複数の吸引エリア11において切抜片Sが脱落するだろう。
【0042】
その後、前記吸引中の各吸引エリア11,12のうちの前記切抜片Sが不用意に脱落した第1吸着装置31の前記第1吸引エリア11を塞ぐために、当該第1吸引エリア11に切抜片Sを配置する。この配置の際に、第1吸引装置31および第2吸引装置32は、それぞれ、別々の真空源E1およびE2に独立して連なっているため、
図4Bの真空源E2に連なる第2吸引エリア12は切抜片Sに塞がれており、
図4Aの第1吸引孔41hに連なる少数の第1吸引エリア11に切抜片Sを配置すればよい。したがって、復旧作業が容易になる。
【0043】
その後、前記カッタロール1およびアンビルロール2の回転を再開する。
【0044】
ところで、復旧時には両ロール1,2の回転を停止すると共に、両吸着装置31,32によるエアの吸引を一旦停止してもよい。この場合、両吸引エリア11,12の全てにおいて切抜片Sが脱落するだろう。この場合も、両吸着装置31,32によるエアの吸引を開始した後、まず、第1吸引エリア11に各々切抜片Sを配置して第1吸着装置31による切抜片Sの吸着を可能にする。次いで、第2吸引エリア12に各々切抜片Sを配置して第2吸着装置32による切抜片Sの吸着を可能にする。
【0045】
こうして、各吸着装置31,32ごとに、順次、復旧作業を行え、したがって、復旧作業が容易になる。
【0046】
図5は別の例を示す。
この例において、真空源Eは1つで、前記真空保持手段は、前記吸引エリア11,12に連なる別々のエアの経路が互いに連通しないようにすることで、前記各経路の真空を個別に保持する第1および第2電磁弁V1,V2を備える。
その他の構成については前記実施例と同様でありその説明を省略する。
【0047】
すなわち、バルブ制御装置100により、第1および第2電磁弁V1,V2を開閉することにより、第1吸引孔41hおよび第1マニホールド41mを含む経路と第2吸引孔42hおよび第2マニホールド42mを含む経路とが互いに連通しない状態に保持し、これにより、各経路の真空が各経路ごとに保持される。
【0048】
なお、真空源のパワーが大きい場合、単一の真空源に2つのエアの別々の経路の端部を互いに並列に接続し、各経路ごとの真空状態を保持できるようにしてもよい。
この場合、2つのエアの経路が別々に設けられているため、一方のエアの経路において真空が保持されなくなった場合でも、他方のエアの経路において真空が保持されて同経路に連なる吸引エリアにおいて切抜片Sが保持されるだろう。
【0049】
つぎに、本実施例における復旧について簡単に説明する。
たとえば、第1吸引エリア11において切抜片Sの脱落が生じた場合について説明する。
本実施例においても、2つのエアの経路が別々に設けられているため、一方のエアの経路に連なる第1吸引エリア11において切抜片Sの脱落が生じた場合であっても、他方のエアの経路に連なる第2吸引エリア12において真空は保持されて切抜片Sは同エリア12において吸着保持されるだろう。
【0050】
真空源Eにより吸引を行いながら第1電磁弁V1を閉弁し、かつ、第2電磁弁V2を開弁した状態で、切抜片Sで塞がれた第2吸引エリア12に連なる第2吸引孔42hおよび第2マニホールド42m内は真空状態に設定されており、この状態で、前記第2電磁弁V2を閉弁し前記真空状態を保持する。
【0051】
その後、第1電磁弁V1を開弁し切抜片S1の脱落が生じた第1吸引エリア11を切抜片S(または切片)で塞ぎ、第1吸引孔41hおよび第1マニホールド41m内を真空状態に設定する。この状態で、第1および第2電磁弁V1,V2を開弁し、カッタロール1およびアンビルロール2の回転を開始することで、復旧作業が完了する。
【0052】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、吸引エリアや吸着装置はカッタロールではなく、アンビルロールに設けられてもよい。
また、着用物品としてはオムツやパンツだけでなく女性用生理用品や失禁用のパッドであってもよい。
また、吸着装置および真空源は2つ以上設けてもよい。
また、弁は三方弁を1つだけ設けてもよい。
また、除去装置7のダクト70の吸引口は1つ(2つに分かれていない)でもよい。
また、切抜片に代えて切片を用いてもよい。
したがって、以上のような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。