特許第5995533号(P5995533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5995533使い捨て着用物品となる材料から一部を次々に切り抜いて除去するシステムおよび該システムの復旧方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995533
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】使い捨て着用物品となる材料から一部を次々に切り抜いて除去するシステムおよび該システムの復旧方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20160908BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   A61F13/15 351
   A61F13/56 210
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-125580(P2012-125580)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-248212(P2013-248212A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102060
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 喜信
(72)【発明者】
【氏名】部坂 和義
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−237796(JP,A)
【文献】 特開2011−025321(JP,A)
【文献】 国際公開第02/070213(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て着用物品となる材料から一部を次々に切り抜いて除去するシステムであって、
前記材料の一部を切り抜いて切抜片を生成するための複数の切断刃を有するカッタロールと、
前記切断刃が次々に接するアンビルロールと、
前記切断刃で切り抜いた複数の切抜片のうちの複数の一部の切抜片を前記カッタロールまたはアンビルロール上に形成された複数の第1吸引エリアを通してエアで吸着して保持させるための第1吸着装置と、
前記第1吸引エリアが形成されたロール上に形成され前記切断刃で切り抜いた複数の切抜片のうち別の複数の一部の切抜片を複数の第2吸引エリアを通してエアで吸着して保持させるための第2吸着装置と、
前記吸着されていた前記切抜片を前記カッタロールまたはアンビルロールの表面から除去するための除去装置と、
前記第1吸着装置および前記第2吸着装置に各々別々の経路を介してエアの吸引を行わせる真空源とを備える、システム
【請求項2】
請求項1において、前記第1吸引エリアと前記第2吸引エリアとが前記ロールの周方向に交互に配置されている、システム
【請求項3】
請求項2において、前記第1吸着装置は前記第1吸引エリアが設けられた前記ロールの軸方向の第1端部に配置されエアを吸引する第1吸引孔が形成された第1吸引プレートを含み、
前記第2吸着装置は前記第2吸引エリアが設けられた前記ロールの前記軸方向の第2端部に配置されエアを吸引する第2吸引孔が形成された第2吸引プレートを含む、システム
【請求項4】
請求項1,2もしくは3において、前記経路のうちの一方の経路の真空が保持されなくなったときに、他方の経路の真空を保持する真空保持手段を更に有する、システム
【請求項5】
請求項4において、前記真空源が第1および第2真空源を含むことで前記真空保持手段が構成され、前記第1真空源および前記第2真空源は各々別々の前記経路を介して前記第1吸着装置および前記第2吸着装置にエアの吸引を行わせる、システム
【請求項6】
請求項4において、前記真空保持手段は、前記別々の経路が互いに連通しないようにすることで、前記各経路の真空を個別に保持する弁を備える、システム
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記システムにおいて、前記材料としての連続シートから着用物品のタブを次々に生成する際に、前記切抜片を次々に切り抜いて除去するシステムであって、
前記各切断刃はループ状に形成されており、
前記ループ状に形成された各切断刃は前記カッタロールの周方向および軸方向に互いに離間して配置されている、システム。
【請求項8】
請求項1の前記一方の吸着装置によるエアで吸引中の吸引エリアから前記切抜片が不用意に脱落し、そのため、前記一方の吸着装置が吸着不能となった場合に、当該一方の吸着装置が吸着可能となるよう請求項1のシステムを復旧する方法であって、
前記カッタロールおよびアンビルロールの回転を停止する工程と、
前記第1および第2吸着装置による前記各吸引エリアのエアの吸引を行う工程と、
前記吸引中の各吸引エリアのうちの前記切抜片が不用意に脱落した吸着装置の前記第1または第2吸引エリアのうちの一方を塞ぐために、当該第1または第2吸引エリアの一方に切片を配置する工程と、
前記カッタロールおよびアンビルロールの回転を再開する工程とを備える、復旧方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨て着用物品、特に、いわゆるテープファスナの製造装置および該装置の用い方に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨て着用物品の製造においては、切り抜いた材料の一部である切抜片を除去する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP2003−135110 A(要約)
【発明の開示】
【0004】
前記文献の発明においては、基材シートの幅方向の中央部に帯状のファスナ部材を積層し、このファスナ部材を横切るような蛇行線に沿って基材シートを切断すると共に、この切断によって生じた凸部の先端の切抜片を除去するようにしている。前記切抜片を取り除く際に切抜片が飛び散らないように、カッタ装置上に設けられた複数の吸引部によって切抜片を切断位置から回収部まで保持する。
【0005】
何らかの原因で切抜片が吸引部において保持できなかった場合、他の吸引部でもバキュームによる保持力が発生せず、切抜片も保持できない。したがって、製造を中断し、装置の復旧を行う必要がある。
【0006】
復旧する際には吸引中の全ての吸引部に切抜片を配置し、各吸引部が切抜片で塞がれた状態とする必要がある。しかし、吸引部の数が数個以上の場合、1人の作業員では前記数個の切抜片が前記吸引部に配置された状態を保つことが困難で、復旧作業も困難となる。
【0007】
したがって、本発明の目的は前記復旧作業の容易な使い捨て着用物品の製造装置および復旧方法を提供することである。
【0008】
本発明の装置は、使い捨て着用物品となる材料から一部を次々に切り抜いて除去する使い捨て着用物品の製造装置であって、
前記材料の一部を切り抜いて切抜片を生成するための複数の切断刃を有するカッタロールと、
前記切断刃が次々に接するアンビルロールと、
前記切断刃で切り抜いた複数の切抜片を前記カッタロールまたはアンビルロール上に形成された複数の第1吸引エリアを通してエアで吸着して保持させるための第1吸着装置と、
前記第1吸引エリアが形成されたロール上に形成され前記切抜片を複数の第2吸引エリアを通してエアで吸着して保持させるための第2吸着装置と、
前記吸着されていた前記切抜片を前記カッタロールまたはアンビルロールの表面から除去するための除去装置と、
前記第1吸着装置および前記第2吸着装置に各々別々の経路を介してエアの吸引を行わせる真空源とを備える。
【0009】
前記一方の吸着装置によるエアで吸引中の吸引エリアから前記切抜片が不用意に脱落し、そのため、前記一方の吸着装置が吸着不能となった場合に、当該一方の吸着装置が吸着可能となるよう復旧するには、
前記カッタロールおよびアンビルロールの回転を停止し、
前記第1および第2吸着装置による前記各吸引エリアのエアの吸引を行い、
前記吸引中の各吸引エリアのうちの前記切抜片が不用意に脱落した吸着装置の前記吸引エリアを塞ぐために、当該吸引エリアに切片を配置し、
前記カッタロールおよびアンビルロールの回転を再開する。
【0010】
このように、本発明によれば、複数の吸引エリアを第1および第2吸着装置によって2つに分けて吸引する。すなわち、2つのエアの経路を別々に設けることにより、一方のエアの経路に連なる一方の吸着装置による吸着が不能となった場合であっても、他方のエアの経路に連なる他方の吸着装置による吸着が可能となる。そのため、復旧時には吸着不能に陥った吸着装置を復旧すればよい。あるいは、各吸着装置ごとに別々に順次復旧作業を行うことができる。したがって、復旧作業が著しく容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明装置の一実施例を示す一部断面した正面図である。
図2図2Aは本発明にかかるシート材の一例を示す平面図、図2Bは本発明にかかる着用物品の一例を示す平面図である。
図3図3Aは第1吸引プレートの左側面図、図3Bは第2吸引プレートの右側面図である。
図4図4Aおよび図4Bはそれぞれアンビルロールおよびカッタロールの左側面図および右側面図である。
図5】本発明装置の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましくは、前記第1吸引エリアと前記第2吸引エリアとが前記ロールの周方向に交互に配置されている。
【0013】
このように、各グループの各吸引エリアがロールの周方向に交互に配置されていることで、いずれの吸着装置があらゆる位相において吸着不能となっても、復旧作業を容易に行うことができる。
【0014】
更に好ましくは、前記第1吸着装置は前記第1吸引エリアが設けられた前記ロールの軸方向の第1端部に配置されエアを吸引する第1吸引孔が形成された第1吸引プレートを含み、
前記第2吸着装置は前記第2吸引エリアが設けられた前記ロールの前記軸方向の第2端部に配置されエアを吸引する第2吸引孔が形成された第2吸引プレートを含む。
【0015】
この場合、ロールの両側の吸引プレートを介して、エアの経路であるマニホールドを容易に形成することができる。
【0016】
好ましくは、前記経路のうちの一方の経路の真空が保持されなくなったとき(真空が破壊されたとき)に、他方の経路の真空を保持する真空保持手段を更に有する。
【0017】
たとえば、真空源が1つの場合、一方の経路の真空が破壊されたときに、前記真空源の吸引のパワーが不足し、そのため、他方の経路の真空も低下ないし破壊され切抜片を吸着できなくなるおそれがある。
これに対し、真空保持手段により各経路ごとの真空の保持を可能とした場合には、前記切抜片を吸着できなくなるおそれがない。
【0018】
なお、本明細書において、「真空」とは切抜片を吸着できる程度にエアの経路内が負圧であることを意味し、「真空が破壊されたとき」とは、吸着装置において切抜片を吸着できない状態まで負圧が小さいことを意味する。
【0019】
更に好ましくは、前記真空源が第1および第2真空源を含むことで前記真空保持手段が構成され、前記第1真空源および前記第2真空源は各々別々の前記経路を介して前記第1吸着装置および前記第2吸着装置にエアの吸引を行わせる。
【0020】
この場合、別々の経路に対し各々真空源が設けられているので、各経路ごとの真空の保持が容易かつ確実である。
【0021】
好ましくは、前記真空保持手段は、前記別々の経路が互いに連通しないようにすることで、前記各経路の真空を個別に保持する弁を備える。
【0022】
この場合、復旧時には弁により各経路同士が連通するのを確実に防止し得る。
【実施例】
【0023】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲のみによって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0024】
以下、本発明の実施例が図面にしたがって説明される。
まず、本製造方法および装置の説明に先立って、本製造方法により製造が可能な着用物品の一例が説明される。
【0025】
図2Bに示すように、着用物品の一例である本オムツは、吸収性本体部50と、該本体部50の後胴部50bに接合された一対のタブ(テープファスナ)Tを備える。各タブTには止着部材としてのファスナFが設けられており、本オムツの着用時に、このタブTはファスナFを介して本体部50の前胴部50fに接合される。
【0026】
図2Aに示すように、前記タブTは前記ファスナFを有する積層された連続シート6から生成される。すなわち、連続シート6は切断線Cに沿って切断されて、多数のタブTが生成される。この際、細かい網点を施した部分が切り抜かれ、切抜片Sが生成されるが、後述するように、この切抜片Sは廃棄される。
【0027】
つぎに、前記タブTの製造装置について説明される。
図4Aおよび図4Bに示すように、本装置はカッタロール1,アンビルロール2,除去装置7、第1および第2吸着装置31,32を備える。
【0028】
図1に示すように、カッタロール1は前記連続シート6の一部を切り抜いて切抜片Sを生成するための複数の切断刃10を有する。本実施例の場合、図1の各切断刃10同士は連続シート6を個々のタブTにするための別の切断刃13を介して連なっている。
【0029】
前記カッタロール1と前記アンビルロール2との間に前記連続シート6が搬送され、前記カッタロール1の切断刃10,13が前記アンビルロール2に次々に接することで、前記連続シート6から前記タブTとなる部材および切抜片Sが次々に生成される。
【0030】
前記各切断刃10はループ状に形成されており、各切断刃10に囲まれた領域には後述する第1又は第2吸引エリア11,12が形成されている。前記各吸引エリア11,12には多数のノズル40が形成されている。
【0031】
前記第1および第2吸着装置31,32は、それぞれ、前記切断刃10で切り抜いた複数の切抜片Sを前記カッタロール1上に形成された複数の第1および第2吸引エリア11,12を通してエアで吸着して保持させるものである。前記第1および第2吸着装置31,32は図3Aおよび図3Bの第1および第2吸引プレート41,42を備える。
【0032】
図1の前記第1吸引プレート41は前記第1吸引エリア11が設けられたカッタロール1の軸方向Xの第1端部に配置され、該第1吸引プレート41にはエアを吸引する第1吸引孔41hが形成されている。一方、第2吸引プレート42はカッタロール1の前記軸方向Xの第2端部に配置され、該第2吸引プレート42にはエアを吸引する第2吸引孔42hが形成されている。
【0033】
図4Aおよび図4Bに示すように、前記第1および第2吸引孔41h, 42hは円弧状で、それぞれ、吸引位置まで回転した第1および第2マニホールド41m, 42mに連通する。図1の前記第1および第2吸引エリア11,12は、それぞれ、ノズル40と、前記第1および第2マニホールド41m, 42mと、第1および第2吸引孔41h, 42hなどのエアの経路を介して、それぞれ、第1および第2真空源E1,E2に連なる。
【0034】
本実施例では2つの真空源E1,E2を設けているが、真空源を1つにしてエアの経路を別々に設けてもよい。本実施例の場合、2つの真空源E1,E2を包含する真空源が真空保持手段を構成する。この2つの真空源E1,E2は、前記エアの経路のうち一方の経路の真空が破壊されても他方の経路の真空を保持する。
なお、図1において吸引されるエアを白抜きの矢印で示す。
【0035】
すなわち、第1および第2真空源E1,E2は、前記一方の吸着装置による吸着が不能となった場合に、他方の吸着装置による吸着が可能となるように前記第1吸着装置31および前記第2吸着装置32に各々別々の経路を介してエアの吸引を行わせる。
【0036】
図1に示すように、前記第1吸引エリア11と前記第2吸引エリア12とは前記カッタロール1の周方向に交互に配置されていてもよい。これにより、図4Aおよび図4Bに示すように、1つの吸引孔41h, 42hに同時に連通するマニホールド41m, 42mの数が常に2〜3個程度になり、復旧の作業性が著しく向上する。
【0037】
前記除去装置7は前記カッタロール1に吸着保持されていた前記切抜片Sを前記カッタロール1の表面から除去するためのもので、ダクト70および図示しない加圧機構を備える。前記ダクト70は負圧により第1および第2吸引エリア11,12の切抜片Sを吸い上げる。前記加圧機構はダクト70に対峙したエリア11,12の負圧を解除するために、第1および第2吸引プレート41,42に形成された加圧孔71,72(図4)を介してマニホールド41m, 42mに加圧エアを送る。
なお、図1において、前記加圧エアを黒色の矢印で示す。
【0038】
つぎに、正常な運転状態について簡単に説明する。
図1のカッタロール1とアンビルロール2との間に連続シート6が導入されると、カッタロール1およびアンビルロール2の回転で、図2Aのように連続シート6から個々のタブTが生成されると共に、図1の切断刃10により連続シート6から切抜片Sが切り抜かれる。
切断刃10および13に沿って形成される蛇行した切断線C1に加え、図示しない別の切断刃により前記連続シート6の幅方向に延びる別の切断線C2が同時に形成されてもよい。
【0039】
図4Aおよび図4Bにおいて、前記マニホールド41m,42mは円弧状の吸引孔41h、42hに連通している間において負圧に保持され、切抜片Sが吸引エリア11,12に吸着されて保持される。カッタロール1が更に回転し、切抜片Sがダクト70に対峙すると、加圧孔71,72からマニホールド41m,42m内に加圧エアが送り込まれ、吸引エリア11,12の負圧が解除されると共に、切抜片Sがダクト70内に吸い込まれて除去される。
【0040】
つぎに、復旧方法の一例について説明する。
たとえば、図1の第1吸着装置31によるエアで吸引中の第1吸引エリア11のうちの1つの吸引エリア11から前記切抜片Sが不用意に脱落し、そのため、前記第1吸着装置31が残りの第1吸引エリア11において切抜片Sを吸着不能となった場合に、当該第1吸着装置31が再び切抜片Sを吸着可能となるよう復旧する場合について説明する。
【0041】
まず、前記カッタロール1およびアンビルロール2の回転を停止する。一方、前記第1および第2吸着装置31,32による前記各吸引エリア11,12のエアの吸引を続行する。この際、1つの吸引エリア11において切抜片Sが脱落しており(切抜片Sを吸着していないので)、第1吸着装置31の吸引エリア11は吸着力が小さいので複数の吸引エリア11において切抜片Sが脱落するだろう。
【0042】
その後、前記吸引中の各吸引エリア11,12のうちの前記切抜片Sが不用意に脱落した第1吸着装置31の前記第1吸引エリア11を塞ぐために、当該第1吸引エリア11に切抜片Sを配置する。この配置の際に、第1吸引装置31および第2吸引装置32は、それぞれ、別々の真空源E1およびE2に独立して連なっているため、図4Bの真空源E2に連なる第2吸引エリア12は切抜片Sに塞がれており、図4Aの第1吸引孔41hに連なる少数の第1吸引エリア11に切抜片Sを配置すればよい。したがって、復旧作業が容易になる。
【0043】
その後、前記カッタロール1およびアンビルロール2の回転を再開する。
【0044】
ところで、復旧時には両ロール1,2の回転を停止すると共に、両吸着装置31,32によるエアの吸引を一旦停止してもよい。この場合、両吸引エリア11,12の全てにおいて切抜片Sが脱落するだろう。この場合も、両吸着装置31,32によるエアの吸引を開始した後、まず、第1吸引エリア11に各々切抜片Sを配置して第1吸着装置31による切抜片Sの吸着を可能にする。次いで、第2吸引エリア12に各々切抜片Sを配置して第2吸着装置32による切抜片Sの吸着を可能にする。
【0045】
こうして、各吸着装置31,32ごとに、順次、復旧作業を行え、したがって、復旧作業が容易になる。
【0046】
図5は別の例を示す。
この例において、真空源Eは1つで、前記真空保持手段は、前記吸引エリア11,12に連なる別々のエアの経路が互いに連通しないようにすることで、前記各経路の真空を個別に保持する第1および第2電磁弁V1,V2を備える。
その他の構成については前記実施例と同様でありその説明を省略する。
【0047】
すなわち、バルブ制御装置100により、第1および第2電磁弁V1,V2を開閉することにより、第1吸引孔41hおよび第1マニホールド41mを含む経路と第2吸引孔42hおよび第2マニホールド42mを含む経路とが互いに連通しない状態に保持し、これにより、各経路の真空が各経路ごとに保持される。
【0048】
なお、真空源のパワーが大きい場合、単一の真空源に2つのエアの別々の経路の端部を互いに並列に接続し、各経路ごとの真空状態を保持できるようにしてもよい。
この場合、2つのエアの経路が別々に設けられているため、一方のエアの経路において真空が保持されなくなった場合でも、他方のエアの経路において真空が保持されて同経路に連なる吸引エリアにおいて切抜片Sが保持されるだろう。
【0049】
つぎに、本実施例における復旧について簡単に説明する。
たとえば、第1吸引エリア11において切抜片Sの脱落が生じた場合について説明する。
本実施例においても、2つのエアの経路が別々に設けられているため、一方のエアの経路に連なる第1吸引エリア11において切抜片Sの脱落が生じた場合であっても、他方のエアの経路に連なる第2吸引エリア12において真空は保持されて切抜片Sは同エリア12において吸着保持されるだろう。
【0050】
真空源Eにより吸引を行いながら第1電磁弁V1を閉弁し、かつ、第2電磁弁V2を開弁した状態で、切抜片Sで塞がれた第2吸引エリア12に連なる第2吸引孔42hおよび第2マニホールド42m内は真空状態に設定されており、この状態で、前記第2電磁弁V2を閉弁し前記真空状態を保持する。
【0051】
その後、第1電磁弁V1を開弁し切抜片S1の脱落が生じた第1吸引エリア11を切抜片S(または切片)で塞ぎ、第1吸引孔41hおよび第1マニホールド41m内を真空状態に設定する。この状態で、第1および第2電磁弁V1,V2を開弁し、カッタロール1およびアンビルロール2の回転を開始することで、復旧作業が完了する。
【0052】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、吸引エリアや吸着装置はカッタロールではなく、アンビルロールに設けられてもよい。
また、着用物品としてはオムツやパンツだけでなく女性用生理用品や失禁用のパッドであってもよい。
また、吸着装置および真空源は2つ以上設けてもよい。
また、弁は三方弁を1つだけ設けてもよい。
また、除去装置7のダクト70の吸引口は1つ(2つに分かれていない)でもよい。
また、切抜片に代えて切片を用いてもよい。
したがって、以上のような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、使い捨て着用物品の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1:カッタロール 10:切断刃 11:第1吸引エリア 12:第2吸引エリア 13:切断刃
2:アンビルロール
31:第1吸着装置 32:第2吸着装置
40:ノズル 41:第1吸引プレート 42:第2吸引プレート 41h:第1吸引孔 42h:第2吸引孔 41m:第1マニホールド 42m:第2マニホールド
50:本体部
6:連続シート
7:除去装置 70:ダクト 71:加圧孔 72:加圧孔
100:バルブ制御装置
E:真空源 E1:第1真空源 E2:第2真空源
C1、C2:切断線 S:切抜片 X:軸方向
V1,V2:弁
F:ファスナ(止着部材) T:タブ
図1
図2
図3
図4
図5