特許第5995587号(P5995587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995587
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/46 20060101AFI20160908BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20160908BHJP
   H04M 1/725 20060101ALI20160908BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20160908BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20160908BHJP
【FI】
   H01Q1/46
   H01Q1/24 Z
   H04M1/725
   H04M1/02 C
   H04B1/38
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-168664(P2012-168664)
(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公開番号】特開2014-27609(P2014-27609A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】猫塚 光
【審査官】 米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−288232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/46
H01Q 1/24
H04B 1/38
H04M 1/02
H04M 1/725
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電部と、
アンテナを含む回路基板と、
内部導体及び当該内部導体を外側から被覆する外部導体により構成され、前記内部導体が前記給電部と前記回路基板とに接続されることにより、前記給電部と前記回路基板とを電気的に接続する同軸ケーブルと、
切替部と、を備え、
前記切替部により前記内部導体と前記給電部との接続を解除し、かつ、前記内部導体と前記アンテナとの接続を解除することで、前記内部導体をフローティング状態にするとともに、前記外部導体と前記給電部とを接続することにより、前記外部導体および前記外部導体に接続される導体が、電波を放射又は吸収する、電子機器。
【請求項2】
前記切替部は、前記内部導体と前記給電部との接続状態を解除し、かつ、前記内部導体と前記アンテナとの接続を解除し、前記内部導体を接地状態に切り替える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記切替部は、前記内部導体と前記給電部との接続状態を解除し、かつ、前記内部導体と前記アンテナとの接続を解除し、前記内部導体とグランドとの間にキャパシタまたはコイルが接続された状態に切り替える請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の無線機能の多様化に伴い、多数のアンテナを電子機器の筐体内に配置する必要があり、年々必要なアンテナ数も増えてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−105124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、筐体内にアンテナをより効率的に配置する方法が求められている。
本発明は、筐体内のアンテナの占有面積を低減し、電子機器を小型化・薄型化することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電子機器は、上記課題を解決するために、給電部と、回路基板と、内部導体及び当該内部導体を外側から被覆する外部導体により構成され、前記内部導体が前記給電部と前記回路基板とに接続されることにより、前記給電部と前記回路基板とを電気的に接続する同軸ケーブルと、切替部と、を備え、前記切替部により前記内部導体と前記給電部との接続を解除し、前記外部導体と前記給電部とを接続することにより、前記外部導体が、電波を放射又は吸収する。
【0006】
また、前記切替部は、前記内部導体と前記給電部との接続状態を解除し、前記内部導体をフローティング状態又は接地状態に切り替えることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、筐体内のアンテナの占有面積を低減し、電子機器を小型化・薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る携帯電話機の内部構造を示す図である。
図2】本実施形態に係る携帯電話機のメイン基板及びサブ基板の構成について示す図である。
図3】本実施形態に係る同軸ケーブル及びスイッチの構成を示す概略図である。
図4】他の実施形態に係る同軸ケーブル及びスイッチの構成を示す概略図である。
図5】他の実施形態に係る同軸ケーブル及びスイッチの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態の一例について説明する。なお、本実施形態では、電子機器の具体例として携帯電話機を想定して説明するが、これに限られず、例えば、携帯電話機とは使用周波数帯や変調方式等が異なるPHS(Personal Handy phone System)端末や、PDA(Personal Digital Assistant)等の様々な無線通信端末に適用可能である。
【0010】
まず、本発明の電子機器の一実施形態に係る携帯電話機1の内部構造について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る携帯電話機1の内部構造の分解斜視図である。
【0011】
図1に示すように、携帯電話機1は、筐体2と、メイン基板3と、サブ基板4と、同軸ケーブル5及び6とを備える。筐体2は、メイン基板3、サブ基板4、同軸ケーブル5及び6、バッテリ等を収容する。携帯電話機1は、上記以外にタッチパネルディスプレイ等を備え、図示しないフロントケース及び筐体2により上記の構成部材を収容する。
【0012】
メイン基板3は、CPU、メモリ、無線回路、アンテナ、スイッチ等の多数の電子部品7が実装されたリジッド基板である。回路基板40に実装された電子部品7は、導電性の回路パターンを通じて互いに電気的に接続されている。実装された電子部品7は、回路パターンを通じて、互いに信号の授受を行っている。
【0013】
メイン基板3は、サブ基板4の一端側に接続されると共に、サブ基板4の他端側と同軸ケーブル5に接続される。サブ基板4は、キースイッチ、切り替え用スイッチ等の電子部品が実装される。同軸ケーブル5及び6は、後述するアンテナ33とメイン基板3とを電気的に接続する。
【0014】
図2は、本実施形態に係る携帯電話機1のメイン基板3及びサブ基板4の構成について示す図である。図2に示すように、メイン基板3は、制御部30と、通信部31と、スイッチ34及び35と、給電部36及び37と、を備える。サブ基板4は、アンテナ33と、スイッチ42及び43と、を備える。
【0015】
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部30は、通信部31等の他の構成要素が統合されたSoC(System−on−a−chip)等の集積回路であってもよい。制御部30は、携帯電話機1の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
【0016】
通信部31は、RF回路32等を備える。
RF回路32は、アンテナ33によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給する。また、RF回路32は、制御部30から供給された信号を変調処理し、アンテナ33を介して外部装置に送信する。
【0017】
アンテナ33は、高周波信号に共振するアンテナエレメントである。アンテナ33は、サブ基板4に設けられる。本実施形態においては、アンテナ33は、例えば、電話機能やメール機能を実行するための800MHz帯や2GHz帯の高周波信号に共振するように構成される。なお、サブ基板4には、アンテナ33に給電するための給電部が設けられてもよい。
【0018】
スイッチ34及び35は、メイン基板3に設けられる。スイッチ42及び43は、サブ基板4に設けられる。スイッチ34、35、42及び43は、それぞれ、同軸ケーブル5及び6それぞれの内部導体及び外部導体との接続を切り替える。スイッチ34、35、42及び43は、例えば、制御部30の制御により切り替えられる。
また、給電部36及び37は、メイン基板3に設けられる。給電部36は、通信部31及びスイッチ34と接続している。給電部37は、通信部31及びスイッチ35と接続している。
【0019】
図3は、本実施形態に係る同軸ケーブル5、スイッチ34及び42の構成を示す概略図である。図3に示すように、同軸ケーブル5は、内部導体5aと、外部導体5bと、絶縁体5cと、を備える。スイッチ34は、スイッチ34aと、スイッチ34bと、を備える。スイッチ42は、スイッチ42aと、スイッチ42bと、を備える。
【0020】
内部導体5aは、同軸ケーブル5の中心部に位置する。内部導体5aは、通常、アンテナ33に係る信号の伝送に使用される。
外部導体5bは、絶縁体5cを介して、内部導体5aを外側から被覆する。外部導体5bは、通常、ノイズ等から内部導体5aをシールドする。
内部導体5aが給電部36a及びサブ基板4のアンテナ33に接続されることにより、同軸ケーブル5は、給電部36a及びサブ基板4のアンテナ33を電気的に接続する。
【0021】
スイッチ42aは、内部導体5aをアンテナ33に接続する状態と、内部導体5aとアンテナ33との接続を解除する状態とを切り替える。
スイッチ42bは、外部導体5bをサブ基板4に接続する状態と、外部導体5bをグランドに接続する状態とを切り替える。
【0022】
スイッチ34aは、内部導体5aを給電部36aに接続する状態と、内部導体5aと給電部36aとの接続を解除する状態とを切り替える。
スイッチ34bは、外部導体5bを給電部36bに接続する状態と、外部導体5bをグランドに接続する状態とを切り替える。
【0023】
内部導体5aをアンテナ33に接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをアンテナ33に接続し、かつスイッチ34aにより内部導体5aを給電部36aに接続することにより、内部導体5aがアンテナ33及び給電部36aに接続する。
また、スイッチ42bにより外部導体5bをグランドに接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bをグランドに接続することにより、外部導体5bがグランドに接続する。このように、内部導体5aは、アンテナ33に係る信号を伝送し、外部導体5bは、グランドとして機能する。
【0024】
一方、外部導体5bを給電部36bに接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aとアンテナ33との接続を解除し、かつスイッチ34aにより内部導体5aと給電部36aとの接続を解除することにより、内部導体5aとアンテナ33及び給電部36aとの接続を解除する。この場合、内部導体5aは、フローティング(非接地)状態となる。
また、スイッチ42bにより外部導体5bをサブ基板4に接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bを給電部36bに接続することにより、外部導体5bがアンテナ33及び給電部36bに接続する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体(例えば、スイッチ34b、スイッチ42b、信号線)は、電波を放射又は吸収することができる。
【0025】
このように、本実施形態によれば、携帯電話機1は、スイッチ34a、34b、42a及び42bにより内部導体5aと給電部36aとの接続を解除し、外部導体5bと給電部36bとを接続することにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体が電波を放射又は吸収する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体は、電波を放射又は吸収することができる、すなわち、アンテナエレメントとして機能することが可能になる。よって、携帯電話機1は、外部導体5bをアンテナエレメントとして機能させることにより、筐体内のアンテナの占有面積を低減し、携帯電話機1を小型化・薄型化を可能にする。また、携帯電話機1は、同軸ケーブル5をアンテナエレメントと共用するため、部品点数を削減し、コストダウンを図ることができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、スイッチ34a、34b、42a及び42bは、内部導体5aと給電部36aとの接続状態を解除し、内部導体5aをフローティング状態に切り替える。そのため、携帯電話機1は、内部導体5aを無給電素子として機能させることにより、アンテナの利得を向上させることができる。
【0027】
なお、本実施形態では、同軸ケーブル5に関連する構成について説明したが、同軸ケーブル6も同軸ケーブル5と同様に構成される。又は、同軸ケーブル5及び6の一方のみを上述したように構成し、同軸ケーブル5及び6の他方は、上述した構成とは異なる構成としてもよい。
【0028】
本発明に係る携帯電話機1は、上述した実施形態に代えて以下の図4及び図5のように構成してもよい。図4は、他の実施形態に係る同軸ケーブル5、スイッチ34及び42の構成を示す概略図である。図4に示す実施形態では、スイッチ34a及び42aにより内部導体5aをグランドに接続する点が図3に示す実施形態とは異なる。
【0029】
図4に示すように、内部導体5aをアンテナ33に接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをアンテナ33に接続し、かつスイッチ34aにより内部導体5aを給電部36aに接続することにより、内部導体5aがアンテナ33及び給電部36aに接続する。また、スイッチ42bにより外部導体5bをグランドに接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bをグランドに接続することにより、外部導体5bがグランドに接続する。
【0030】
一方、外部導体5bを給電部36bに接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをグランドに接続し、かつスイッチ34aにより内部導体5aをグランドに接続することにより、内部導体5aを地線とする。また、スイッチ42bにより外部導体5bをサブ基板4に接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bを給電部36bに接続することにより、外部導体5bが給電部36bに接続する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体は、電波を放射又は吸収することができる。
【0031】
このように、携帯電話機1は、スイッチ34a、34b、42a及び42bにより内部導体5aを地線とし、外部導体5bを給電部36bに接続する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体は、電波を放射又は吸収し、内部導体5aは、無給電素子として機能する。したがって、携帯電話機1は、内部導体5aを無給電素子として機能させることにより、広帯域化及びマルチバンド化が可能になる。
【0032】
また、本実施形態によれば、スイッチ34a、34b、42a及び42bは、内部導体5aと給電部36aとの接続状態を解除し、内部導体5aを接地状態に切り替える。そのため、携帯電話機1は、内部導体5aを無給電素子として機能させることにより、アンテナの利得を向上させることができる。
【0033】
図5は、他の実施形態に係る同軸ケーブル5、スイッチ34及び42の構成を示す概略図である。図5に示す実施形態では、給電部が一箇所である点が図4に示す実施形態とは異なる。
【0034】
図5に示すように、内部導体5aをアンテナ33に接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをアンテナ33に接続し、かつスイッチ34a及び34cにより内部導体5aを給電部36cに接続することにより、内部導体5aがアンテナ33及び給電部36cに接続する。また、スイッチ42bにより外部導体5bをグランドに接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bをグランドに接続することにより、外部導体5bがグランドに接続する。
【0035】
一方、外部導体5bを給電部36cに接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをグランドに接続し、かつスイッチ34aにより内部導体5aをグランドに接続することにより、内部導体5aを地線とする。また、スイッチ42bにより外部導体5bをサブ基板4に接続し、かつスイッチ34b及び34cにより外部導体5bを給電部36cに接続することにより、外部導体5bがアンテナ33及び給電部36cに接続する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体は、電波を放射又は吸収することができる。
【0036】
このように、携帯電話機1は、一箇所の給電部36cのみの場合で合っても、給電部36cと内部導体5a及び外部導体5bとの接続を切り替えることが可能になる。
【0037】
また、上述した図4及び5に示す実施形態では、スイッチ34a及び42aとグランドとの間にキャパシタ又はコイルを接続することにより、周波数の調整を行うことができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 携帯電話機
2 筐体
3 メイン基板
4 サブ基板
5,6 同軸ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5