(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態の一例について説明する。なお、本実施形態では、電子機器の具体例として携帯電話機を想定して説明するが、これに限られず、例えば、携帯電話機とは使用周波数帯や変調方式等が異なるPHS(Personal Handy phone System)端末や、PDA(Personal Digital Assistant)等の様々な無線通信端末に適用可能である。
【0010】
まず、本発明の電子機器の一実施形態に係る携帯電話機1の内部構造について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る携帯電話機1の内部構造の分解斜視図である。
【0011】
図1に示すように、携帯電話機1は、筐体2と、メイン基板3と、サブ基板4と、同軸ケーブル5及び6とを備える。筐体2は、メイン基板3、サブ基板4、同軸ケーブル5及び6、バッテリ等を収容する。携帯電話機1は、上記以外にタッチパネルディスプレイ等を備え、図示しないフロントケース及び筐体2により上記の構成部材を収容する。
【0012】
メイン基板3は、CPU、メモリ、無線回路、アンテナ、スイッチ等の多数の電子部品7が実装されたリジッド基板である。回路基板40に実装された電子部品7は、導電性の回路パターンを通じて互いに電気的に接続されている。実装された電子部品7は、回路パターンを通じて、互いに信号の授受を行っている。
【0013】
メイン基板3は、サブ基板4の一端側に接続されると共に、サブ基板4の他端側と同軸ケーブル5に接続される。サブ基板4は、キースイッチ、切り替え用スイッチ等の電子部品が実装される。同軸ケーブル5及び6は、後述するアンテナ33とメイン基板3とを電気的に接続する。
【0014】
図2は、本実施形態に係る携帯電話機1のメイン基板3及びサブ基板4の構成について示す図である。
図2に示すように、メイン基板3は、制御部30と、通信部31と、スイッチ34及び35と、給電部36及び37と、を備える。サブ基板4は、アンテナ33と、スイッチ42及び43と、を備える。
【0015】
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部30は、通信部31等の他の構成要素が統合されたSoC(System−on−a−chip)等の集積回路であってもよい。制御部30は、携帯電話機1の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
【0016】
通信部31は、RF回路32等を備える。
RF回路32は、アンテナ33によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給する。また、RF回路32は、制御部30から供給された信号を変調処理し、アンテナ33を介して外部装置に送信する。
【0017】
アンテナ33は、高周波信号に共振するアンテナエレメントである。アンテナ33は、サブ基板4に設けられる。本実施形態においては、アンテナ33は、例えば、電話機能やメール機能を実行するための800MHz帯や2GHz帯の高周波信号に共振するように構成される。なお、サブ基板4には、アンテナ33に給電するための給電部が設けられてもよい。
【0018】
スイッチ34及び35は、メイン基板3に設けられる。スイッチ42及び43は、サブ基板4に設けられる。スイッチ34、35、42及び43は、それぞれ、同軸ケーブル5及び6それぞれの内部導体及び外部導体との接続を切り替える。スイッチ34、35、42及び43は、例えば、制御部30の制御により切り替えられる。
また、給電部36及び37は、メイン基板3に設けられる。給電部36は、通信部31及びスイッチ34と接続している。給電部37は、通信部31及びスイッチ35と接続している。
【0019】
図3は、本実施形態に係る同軸ケーブル5、スイッチ34及び42の構成を示す概略図である。
図3に示すように、同軸ケーブル5は、内部導体5aと、外部導体5bと、絶縁体5cと、を備える。スイッチ34は、スイッチ34aと、スイッチ34bと、を備える。スイッチ42は、スイッチ42aと、スイッチ42bと、を備える。
【0020】
内部導体5aは、同軸ケーブル5の中心部に位置する。内部導体5aは、通常、アンテナ33に係る信号の伝送に使用される。
外部導体5bは、絶縁体5cを介して、内部導体5aを外側から被覆する。外部導体5bは、通常、ノイズ等から内部導体5aをシールドする。
内部導体5aが給電部36a及びサブ基板4のアンテナ33に接続されることにより、同軸ケーブル5は、給電部36a及びサブ基板4のアンテナ33を電気的に接続する。
【0021】
スイッチ42aは、内部導体5aをアンテナ33に接続する状態と、内部導体5aとアンテナ33との接続を解除する状態とを切り替える。
スイッチ42bは、外部導体5bをサブ基板4に接続する状態と、外部導体5bをグランドに接続する状態とを切り替える。
【0022】
スイッチ34aは、内部導体5aを給電部36aに接続する状態と、内部導体5aと給電部36aとの接続を解除する状態とを切り替える。
スイッチ34bは、外部導体5bを給電部36bに接続する状態と、外部導体5bをグランドに接続する状態とを切り替える。
【0023】
内部導体5aをアンテナ33に接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをアンテナ33に接続し、かつスイッチ34aにより内部導体5aを給電部36aに接続することにより、内部導体5aがアンテナ33及び給電部36aに接続する。
また、スイッチ42bにより外部導体5bをグランドに接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bをグランドに接続することにより、外部導体5bがグランドに接続する。このように、内部導体5aは、アンテナ33に係る信号を伝送し、外部導体5bは、グランドとして機能する。
【0024】
一方、外部導体5bを給電部36bに接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aとアンテナ33との接続を解除し、かつスイッチ34aにより内部導体5aと給電部36aとの接続を解除することにより、内部導体5aとアンテナ33及び給電部36aとの接続を解除する。この場合、内部導体5aは、フローティング(非接地)状態となる。
また、スイッチ42bにより外部導体5bをサブ基板4に接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bを給電部36bに接続することにより、外部導体5bがアンテナ33及び給電部36bに接続する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体(例えば、スイッチ34b、スイッチ42b、信号線)は、電波を放射又は吸収することができる。
【0025】
このように、本実施形態によれば、携帯電話機1は、スイッチ34a、34b、42a及び42bにより内部導体5aと給電部36aとの接続を解除し、外部導体5bと給電部36bとを接続することにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体が電波を放射又は吸収する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体は、電波を放射又は吸収することができる、すなわち、アンテナエレメントとして機能することが可能になる。よって、携帯電話機1は、外部導体5bをアンテナエレメントとして機能させることにより、筐体内のアンテナの占有面積を低減し、携帯電話機1を小型化・薄型化を可能にする。また、携帯電話機1は、同軸ケーブル5をアンテナエレメントと共用するため、部品点数を削減し、コストダウンを図ることができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、スイッチ34a、34b、42a及び42bは、内部導体5aと給電部36aとの接続状態を解除し、内部導体5aをフローティング状態に切り替える。そのため、携帯電話機1は、内部導体5aを無給電素子として機能させることにより、アンテナの利得を向上させることができる。
【0027】
なお、本実施形態では、同軸ケーブル5に関連する構成について説明したが、同軸ケーブル6も同軸ケーブル5と同様に構成される。又は、同軸ケーブル5及び6の一方のみを上述したように構成し、同軸ケーブル5及び6の他方は、上述した構成とは異なる構成としてもよい。
【0028】
本発明に係る携帯電話機1は、上述した実施形態に代えて以下の
図4及び
図5のように構成してもよい。
図4は、他の実施形態に係る同軸ケーブル5、スイッチ34及び42の構成を示す概略図である。
図4に示す実施形態では、スイッチ34a及び42aにより内部導体5aをグランドに接続する点が
図3に示す実施形態とは異なる。
【0029】
図4に示すように、内部導体5aをアンテナ33に接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをアンテナ33に接続し、かつスイッチ34aにより内部導体5aを給電部36aに接続することにより、内部導体5aがアンテナ33及び給電部36aに接続する。また、スイッチ42bにより外部導体5bをグランドに接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bをグランドに接続することにより、外部導体5bがグランドに接続する。
【0030】
一方、外部導体5bを給電部36bに接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをグランドに接続し、かつスイッチ34aにより内部導体5aをグランドに接続することにより、内部導体5aを地線とする。また、スイッチ42bにより外部導体5bをサブ基板4に接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bを給電部36bに接続することにより、外部導体5bが給電部36bに接続する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体は、電波を放射又は吸収することができる。
【0031】
このように、携帯電話機1は、スイッチ34a、34b、42a及び42bにより内部導体5aを地線とし、外部導体5bを給電部36bに接続する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体は、電波を放射又は吸収し、内部導体5aは、無給電素子として機能する。したがって、携帯電話機1は、内部導体5aを無給電素子として機能させることにより、広帯域化及びマルチバンド化が可能になる。
【0032】
また、本実施形態によれば、スイッチ34a、34b、42a及び42bは、内部導体5aと給電部36aとの接続状態を解除し、内部導体5aを接地状態に切り替える。そのため、携帯電話機1は、内部導体5aを無給電素子として機能させることにより、アンテナの利得を向上させることができる。
【0033】
図5は、他の実施形態に係る同軸ケーブル5、スイッチ34及び42の構成を示す概略図である。
図5に示す実施形態では、給電部が一箇所である点が
図4に示す実施形態とは異なる。
【0034】
図5に示すように、内部導体5aをアンテナ33に接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをアンテナ33に接続し、かつスイッチ34a及び34cにより内部導体5aを給電部36cに接続することにより、内部導体5aがアンテナ33及び給電部36cに接続する。また、スイッチ42bにより外部導体5bをグランドに接続し、かつスイッチ34bにより外部導体5bをグランドに接続することにより、外部導体5bがグランドに接続する。
【0035】
一方、外部導体5bを給電部36cに接続する場合には、スイッチ42aにより内部導体5aをグランドに接続し、かつスイッチ34aにより内部導体5aをグランドに接続することにより、内部導体5aを地線とする。また、スイッチ42bにより外部導体5bをサブ基板4に接続し、かつスイッチ34b及び34cにより外部導体5bを給電部36cに接続することにより、外部導体5bがアンテナ33及び給電部36cに接続する。これにより、外部導体5b及び外部導体5bと接続する導体は、電波を放射又は吸収することができる。
【0036】
このように、携帯電話機1は、一箇所の給電部36cのみの場合で合っても、給電部36cと内部導体5a及び外部導体5bとの接続を切り替えることが可能になる。
【0037】
また、上述した
図4及び5に示す実施形態では、スイッチ34a及び42aとグランドとの間にキャパシタ又はコイルを接続することにより、周波数の調整を行うことができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。