(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995608
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】ゴルフ場のバンカーにおける異物収集装置
(51)【国際特許分類】
E01H 12/00 20060101AFI20160908BHJP
【FI】
E01H12/00
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-184604(P2012-184604)
(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公開番号】特開2014-34874(P2014-34874A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】510241890
【氏名又は名称】豊中機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】近野 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】硲 信廣
【審査官】
須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−027140(JP,A)
【文献】
実開昭50−007667(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3042659(JP,U)
【文献】
実開昭53−108170(JP,U)
【文献】
特開昭57−015710(JP,A)
【文献】
特開2000−045243(JP,A)
【文献】
特開昭61−245852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ場のバンカー表面を移動しながら小石その他の異物を収集する装置であって、
砂を篩い落として小石その他の異物を残留させる揺動篩体を備えて成り、
前記揺動篩体は、平板状に形成され、移動方向の両側を起立壁で縁取りし、移動方向の先端縁にバンカーの砂を掬う刃先を有し、かつ移動方向の後端縁に小石その他の異物溜めを有しており、
動力作業車の前方に位置して前記揺動篩体を揺動自在に支持する支持構造と、前記動力作業車から動力を伝達されて前記揺動篩体を揺動させる偏心駆動構造を備えて成り、
前記支持構造は、その先端部にゲージホイールを備えていて、前記ゲージホイールにより前記揺動篩体の刃先高さを調節できる機能を備え、前記ゲージホイールの操作により前記揺動篩体の刃先をバンカーの砂の面に食い込ませて、前記揺動篩体を移動方向の先端側から後方に迫り上がり状に傾斜させることができることを特徴とするゴルフ場のバンカーにおける異物収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ場のバンカー表面を移動しながら小石その他の異物を収集する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場には、コースの途中にバンカー(砂場)が設けられているが、バンカーの砂には小石や木片、木の葉などの異物が混ざり合っていることがあり、バンカーにおけるこれらの異物は、ボールを打つ際の妨げとなるので、プレー前に除去しておくことが肝要である。
ところで、従来からバンカー等の異物収集装置としては、特開2004−124520号公報で提案されいるもの、特開2001−146721号公報で提案されているもの、あるいは実用新案登録第3090540号公報で提案されているものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2004−124520号公報
【特許文献2】 特開2001−146721号公報
【特許文献3】 実用新案登録第3090540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献1において紹介している装置によれば、両側を開口した金属製の円筒体の長さ方向にそって砂やゴミ等の採り入れ口を開口していて、開口部は篩網で覆うようにし、レーキを取り付けた分離具に柄を設けた構造のものであり、特許文献3において紹介されているものも、篩網を張った枠体に車輪を取り付けて柄を備えた篩部を引いて小石などを除去する構造であるから、いずれも広いバンカーにおける小石などの収集作業には適さないものである。
また、特許文献2に記載されている砂浜の清掃装置は、複数本のアームを突設した円筒状のドラムを牽引して砂浜を清掃するものであるから、小石のような異物を収集するには適していないものである。
【0005】
そこで本発明は、砂を篩い落として小石その他の異物を残留させる揺動篩体を動力作業車でバンカー表面を移動しながら小石その他の異物を効率よくしかも確実に収集することができるゴルフ場のバンカーにおける異物収集装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、
ゴルフ場のバンカー表面を移動しながら小石その他の異物を収集する装置であって、
砂を篩い落として小石その他の異物を残留させる揺動篩体を備えて成り、
前記揺動篩体は、
平板状に形成され、移動方向の両側を起立壁で縁取りし、移動方向の先端縁にバンカーの砂を掬う刃先を有し、かつ移動方向の後端縁に小石その他の異物溜めを有しており、
動力作業車の前方に位置して前記揺動篩体を揺動自在に支持する支持構造と、前記動力作業車から動力を伝達されて前記揺動篩体を揺動させる偏心駆動構造を備えて成
り、
前記支持構造は、その先端部にゲージホイールを備えていて、前記ゲージホイールにより前記揺動篩体の刃先高さを調節できる機能を備え、前記ゲージホイールの操作により前記揺動篩体の刃先をバンカーの砂の面に食い込ませて、前記揺動篩体を移動方向の先端側から後方に迫り上がり状に傾斜させることができることを特徴とするゴルフ場のバンカーにおける異物収集装置により達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、砂を篩い落として小石その他の異物を残留させる揺動篩体を動力作業車でバンカー表面を移動しながら小石その他の異物を効率よくしかも確実に収集することができる効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】 本発明の一実施の形態に係るゴルフ場のバンカーにおける異物収集装置の全体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図3に示すように、本発明に係るゴルフ場のバンカーにおける異物収集装置は、ゴルフ場のバンカー表面を移動しながら小石その他の異物を収集する装置であって、砂を篩い落として小石その他の異物を残留させる揺動篩体1を備えて成るものである。
この揺動篩体1は、砂を篩い落とす多孔状又は網状のものであって、移動方向の両側を起立壁2,2で縁取りし、移動方向の先端縁にバンカーの砂を掬う刃先3を有し、かつ移動方向の後端縁に小石その他の異物溜め4を有している。
5は動力作業車であって、前記揺動篩体1は動力作業車5の前方に位置して動力作業車5に装着されるものである。
【0012】
揺動篩体1は、それを揺動自在に支持する支持構造6を有しており、支持構造6は、左右一対の前後方向アーム7,7とその間を前後でつなぐ前後一対の横アーム8,8によって一体構造に構成されている。支持構造6はその前後方向アーム7,7の後端部が動力作業車5の取付アーム9,9に対する装着部10,10を成し、前後方向アーム7,7の先端部にはゲージホイール11,11を備えている。動力作業車5の取付アーム9,9は油圧装置によりそれぞれ上下動操作できるものである。
【0013】
揺動篩体1は、支持構造6の横アーム8,8それぞれの両端部12に、防振ゴムから成る弾性部材13を介在させて揺動可能な状態に取り付けられている。14は偏心駆動構造であって、入力軸15の回転力で偏心軸16を偏心駆動し、揺動篩体1を揺動させる構造と成っている。17,17は揺動伝達軸である。偏心駆動構造14の入力軸15は動力作業車5の動力取出軸18にユニバーサルジョイント19を介して連結して回転動力が伝達される。動力作業車5の前方に位置する揺動篩体1は、移動方向の先端側から後方に迫り上がり状に傾斜するように高さ位置を調整する(
図4参照)。
【0014】
本発明に係るゴルフ場のバンカーにおける異物収集装置によりバンカーの砂20に混じっている小石その他の異物を収集するには、バンカー19面においてゲージホイール11,11を操作して揺動篩体1をその刃先3が砂の面に少し食い込み、かつ移動方向の先端側から後方に迫り上がり状に傾斜するように高さ位置を調整する。そして、動力作業車5を運転してバンカー19面を移動させると、バンカー19の砂が小石その他の異物とともに刃先3から掬い上げられ、揺動にともなって移動方向の後方に順次移動し、その移動過程で砂が篩い落とされ、小石その他の異物はさらに後方に移動して異物溜め4に溜め込まれる(
図6参照)。なお、異物溜め4に溜まった異物は適時毎に排出するものとする。
【符号の説明】
【0015】
1 揺動篩体
2,2 起立壁
3 刃先
4 異物溜め
5 動力作業車
6 支持構造
7,7 前後方向アーム
8,8 横アーム
9,9 取付アーム
10,10 装着部
11,11 ゲージホイール
12 両端部
13 弾性部材
14 偏心駆動構造
15 入力軸
16 偏心軸
17,17 揺動伝達軸
18 動力取出軸
19 ユニバーサルジョイント
20 バンカーの砂