(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気の吸込口、通流路及び吹出口を有する筐体と、空気を前記通流路に通流させる送風機と、上部が開口しており、空気を加湿するための水を貯留する貯水槽と、該貯水槽に一部が浸水し、他の一部が前記通流路に位置するように配された加湿フィルタと、該加湿フィルタよりも通流方向上流側に配され、空気中の塵埃を捕捉する集塵フィルタとを備える加湿器において、
前記筐体は、
前記通流路の下流側を構成する第1筐体部分と、
該第1筐体部分に接合し、前記通流路の上流側を構成する第2筐体部分と
を備え、
前記第1筐体部分は、該第1筐体部分の内部空間と、前記第2筐体部分で構成される空間とを隔てると共に、前記加湿フィルタが収まる矩形凹部が形成された隔壁を有し、
更に、前記貯水槽の開口に倣って形成され、該開口の全体を覆う覆板を備え、
前記覆板は、
前記第2筐体部分で構成される空間側に前記加湿フィルタの前記一部が挿入されるフィルタ挿入孔を有し、前記筐体の外側に貯水タンクの給水口が挿入される給水口挿入孔を有し、
前記集塵フィルタは、
前記第2筐体部分で構成される空間における前記覆板の上面側であって、前記筐体内の前記通流路の途中に配されており、
前記加湿フィルタに空気が流入する一の面に対向するフィルタ部材と、
前記覆板に立設されており、前記加湿フィルタに空気が流入する他の面を囲み、該フィルタ部材を保持する枠体と
を備え、前記第2筐体部分で構成される空間から前記加湿フィルタに空気が流入する各面は、前記フィルタ部材及び前記枠体によって覆われている
ことを特徴とする加湿器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る加湿器においては、加湿器の外部から視認できる側面下部に空気吸い込み用のスリット孔が形成されているため、スリット孔の集塵フィルタに溜まった塵埃が外部から見え、見苦しいという問題があった。
また、加湿器を持ち運ぶ際、スリット孔の集塵フィルタに溜まった塵埃が机上又は床面に落下し、机又は床を汚すという問題があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、集塵フィルタに溜まった塵埃が外部から見えず、該塵埃が外部に落下することを防ぐことができる加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加湿器は、空気の吸込口、通流路及び吹出口を有する筐体と、空気を前記通流路に通流させる送風機と、上部が開口しており、空気を加湿するための水を貯留する貯水槽と、該貯水槽に一部が浸水し、他の一部が前記通流路に位置するように配された加湿フィルタと、該加湿フィルタよりも通流方向上流側に配され、空気中の塵埃を捕捉する集塵フィルタとを備える加湿器において、
前記筐体は、前記通流路の下流側を構成する第1筐体部分と、該第1筐体部分に接合し、前記通流路の上流側を構成する第2筐体部分とを備え、前記第1筐体部分は、該第1筐体部分の内部空間と、前記第2筐体部分で構成される空間とを隔てると共に、前記加湿フィルタが収まる矩形凹部が形成された隔壁を有し、更に、前記貯水槽の開口
に倣って形成され、該開口の全体を覆う覆板を備え、
前記覆板は、前記第2筐体部分で構成される空間側に前記加湿フィルタの前記一部が挿入されるフィルタ挿入孔を有し、前記筐体の外側に貯水タンクの給水口が挿入される給水口挿入孔を有し、前記集塵フィルタは
、前記第2筐体部分で構成される空間における前記覆板の上面側であって、前記筐体内の
前記通流路の途中に配されて
おり、前記加湿フィルタに空気が流入する一の面に対向するフィルタ部材と、前記覆板に立設されており、前記加湿フィルタに空気が流入する他の面を囲み、該フィルタ部材を保持する枠体とを備え、前記第2筐体部分で構成される空間から前記加湿フィルタに空気が流入する各面は、前記フィルタ部材及び前記枠体によって覆われていることを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、集塵フィルタは吸込口では無く、筐体の内部に配されているため、集塵フィルタに溜まった塵埃が外部から視認されることは無い。また、集塵フィルタは筐体の内部に配されているため、集塵フィルタに溜まった塵埃が加湿器の外部に落下することもない。更にまた、集塵フィルタは、貯水槽の上部の開口を覆う覆板の上面側に配されているため、集塵フィルタに溜まった塵埃は、覆板の上面に落下し、該塵埃が貯水槽の水面に落下することは無い。
本発明にあっては、集塵フィルタは、枠体と、該枠体に設けられたフィルタ部材とを有し、加湿フィルタに空気が流入する各面は、フィルタ部材及び枠体によって覆われている。従って、筐体の内部に吸い込まれた空気中の塵埃は、加湿フィルタに到達する前段階で捕捉される。
【0008】
本発明に係る加湿器は、前記挿入孔の縁に、上方へ突出したリブが形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、貯水槽の上部の開口を覆う覆板は、加湿フィルタが挿入される挿入孔を有し、該挿入孔の縁には上方へ突出したリブが形成されている。従って、集塵フィルタに溜まった塵埃が挿入孔へ移動したとしても、該塵埃はリブによって捕捉される。従って、塵埃が挿入孔に落下することを効果的に防止することができる。
【0012】
本発明に係る加湿器は、前記筐体は、前記通流路の下流側を構成する第1筐体部分と、該第1筐体部分に接合し、前記通流路の上流側を構成する第2筐体部分とを有し、前記吸込口は、前記第1筐体部分と、前記第2筐体部分との接合部分に形成されたスリット状をなすことを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、筐体を構成する第1筐体部分と、第2筐体部分との接合部分に形成されたスリット状の吸込口から空気が吸い込まれる。
【0014】
本発明に係る加湿器は、前記通流路の途中に配され、帯電粒子を発生させる帯電粒子発生部を備え、該帯電粒子発生部が発生させた帯電粒子を含む空気を前記吹出口から吹き出すようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、帯電粒子を含み、加湿された空気が吹出口から吹き出される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、集塵フィルタに溜まった塵埃が外部から見えず、該塵埃が外部に落下することを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本実施の形態に係る加湿送風機の一構成例を示す斜視図、
図2は、加湿送風機の一構成例を示す側面図である。本実施の形態に係る加湿送風機は全体形状が楕円柱状であり、正帯電粒子及び負帯電粒子を含む加湿された空気を送風することによって、肌表面における水分量を増加させ、肌弾力を向上させることができる美容器具である。加湿送風機は、長径方向一端部を欠いた平面視楕円形をなす半楕円柱状の筐体1を備える。筐体1は、両側面と、天面の長径方向他端部とにそれぞれ空気の吸込口12a及び吹出口11aを有する。筐体1の前記長径方向一端部には、給水タンク3及び貯水槽2がそれぞれ上下に配され、筐体1、貯水槽2及び給水タンク3全体で楕円柱状をなしている。
以下、説明の便宜上、方向を以下のように定める。即ち、図示しない台に加湿送風機を設置した状態で、接地面側を下方、吹出口11a側を上方、前記長径方向一端側を後方、前記長径方向他端側を前方、加湿送風機の前面に向かって左側及び右側を左方向及び右方向と定める。なお、左右方向を横方向と言う。
【0019】
図3は、加湿送風機の一構成例を示す側断面図、
図4は、
図2のIV-IV線断面図、
図5は、給水タンク3を取り外した加湿送風機の斜視図、
図6は、給水タンク3及び第2筐体部分12を取り外した加湿送風機の斜視図、
図7は、給水タンク3ないし集塵フィルタ5を取り外した加湿送風機の斜視図、
図8は、給水タンク3ないし覆体4を取り外した加湿送風機の斜視図である。
図3中、破線で示した矢印は、筐体1の内部に形成された通流路10を通流する空気の流れを示している。
【0020】
<筐体及びその内部構成>
筐体1は、加湿送風機の前側半分を構成する第1筐体部分11と、後側部分を構成する第2筐体部分12とで構成される。第1筐体部分11は、平面視が略半楕円状であり、第1筐体部分11の内部空間と、第2筐体部分12で構成される空間とを隔てる隔壁11bを有する。隔壁11bで隔てられた第1筐体部分11の内部空間には、帯電粒子の生成及び送風を行う電気系構成部品が収容されており、隔壁11bで隔てられた第2筐体部分12の内部空間には、加湿を行う非電気系構成部品が収容されている。
【0021】
隔壁11bは、後述する加湿フィルタ6及び貯水槽2の一部が収まる縦長長方形状の矩形凹部を有する。矩形凹部は、隔壁11bの上下方向略中央部から底板に亘って形成されている。矩形凹部の奥面の略中央部には、第2筐体部分12から第1筐体部分11へ空気を通流させるための通流孔11cが形成されている。通流孔11cは、例えば複数の同心円弧状のスリットで構成される。
【0022】
通流孔11cの前方、つまり第1筐体部分11の内部には略直方体形状のファン収容部11dが形成されており、該ファン収容部11dには送風機7が収容されている。送風機7は例えばシロッコファンである。シロッコファンは、羽根が周設された円筒部材、該円筒部材を回転させるモータ、整流器によって構成されている。送風機7の吸気口は通流孔11cに対向しており、送風機7は通流孔11cを通じて空気を吸い込み、吸い込まれた空気の通流方向は整流器によって上向きに整流され、空気が上方へ送風される。ファン収容部11dの上部は開口しており、分流路11eを通じて四角筒状の帯電粒子発生室11fに連通している。分流路11eには、送風機7から送風された空気の流れを、正帯電粒子が発生している箇所に通じる第1の経路と、負帯電粒子が発生している箇所に通じる第2の経路に分流する分流板13が設けられている。具体的には、分流板13は、分流路11eを横方向に隔てる板部材であり、送風機7から送風された空気を分流路11eの左側の経路と、分流路11eの右側の経路とへ分流する。
【0023】
帯電粒子発生室11fの後方には、帯電粒子を発生させる帯電粒子発生ユニット8を保持するユニット保持部11hが設けられている。ユニット保持部11hは前後両端が開口した略角筒状である。ユニット保持部11hの後方の開口は、隔壁11bの矩形凹部の上方に形成されており、帯電粒子発生ユニット8が後方から挿脱可能に挿入される挿入口として機能する。ユニット保持部11hの前方の開口は、帯電粒子発生室11fの後面に形成されており、ユニット保持部11hに保持された帯電粒子発生ユニット8の前部が帯電粒子発生室11fに露出している。帯電粒子発生ユニット8の前部には、
図4に示すように、正帯電粒子を発生させる正極針86と、負帯電粒子を発生させる負極針87とが横方向に離隔して設けられている。つまり、帯電粒子発生ユニット8の正極針86及び負極針87は、帯電粒子発生室11f側に露出しており、正極針86及び負極針87で発生した正帯電粒子及び負帯電粒子がそれぞれ帯電粒子発生室11f内部に放出されるように構成されている。ユニット保持部11hに保持された帯電粒子発生ユニット8は、図示しない制御回路基板又は電源回路に接続され、給電される。帯電粒子発生ユニット8の回路構成の詳細は後述する。なお、
図4においては、正極針86及び負極針87は断面として表れないが、発明の理解を助けるために正極針86及び負極針87の位置を仮想的に描いている。
【0024】
また、帯電粒子発生ユニット8の正極針86及び負極針87よりも上方であって、帯電粒子発生室11f内の前部には、帯電粒子の濃度を検出する帯電粒子センサ9が設けられている。帯電粒子センサ9は図示しない制御回路基板に接続され、制御回路は帯電粒子発生ユニット8の動作状態、帯電粒子発生ユニット8の交換時期などの管理を行っている。更に、帯電粒子発生室11fには、帯電粒子センサ9と、帯電粒子発生ユニット8との間に配され、帯電粒子発生ユニット8から帯電粒子センサ9への帯電粒子の拡散を抑制する抑制板91が配されている。抑制板91は、帯電粒子発生室11fの上部及び下部にそれぞれ位置する上部抑制板91a及び下部抑制板91bで構成される。
上部抑制板91aは、横長長方形状をなし、横方向正極針86寄りに位置している。より具体的には、上部抑制板91aの横幅は帯電粒子発生室11fの横幅の略半分であり、一短辺の横方向位置が分流板13の上端部の横方向位置と略一致するように配され、正極針86側の空気の流路を前後に隔てている。また、上部抑制板91aは下長辺の両端に矩形状の切り欠き部91cを有している。
下部抑制板91bは、横長長方形をなし、上辺が上部抑制板91aの下辺にほぼ接するように配されている。より具体的には、上部抑制板91aの横幅は帯電粒子発生室11fの横幅と略同一であり、下辺が分流板13の上端部に位置し、正極針86及び負極針87に対向している。また、下部抑制板91bの横方向略中央部の下部には、下向き凹形状の切り欠きが設けられている。該切り欠きの上端部の位置は、正極針86及び負極針87の上下位置と略同一であり、切り欠きの横幅は、正極針86及び負極針87の距離の略3分の1である。切り欠きは、正極針86及び負極針87間の略中央部の横方向位置にあり、横方向一端部は分流板13の上端部分に位置し、他端部は帯電粒子発生室11fの正極針86寄りに位置している。
【0025】
帯電粒子センサ9は、横方向正極針86寄り、上部抑制板91aの前方に位置している。また、帯電粒子センサ9は、正帯電粒子を捕捉する受感部に相当する正帯電粒子センサ部9aを、正極針86の上方に有する。
【0026】
帯電粒子発生室11fは上方が開口しており吹出口11aに連通している。また、帯電粒子発生室11fの上方の開口には、横方向に複数の整流板11gが並設されている。更に、吹出口11aには円盤状の風向板14が俯仰可能に設けられている。風向板14を俯仰させることによって、吹出口11aから吹き出される風向を変更することができる。
【0027】
更に、第1筐体部分11は下端部から後方へ突出しており、貯水槽2が載置される底板部11iを有する。底板部11iには、該底板部11iに載置された貯水槽2の底を係止する貯水槽係止爪11jが設けられている。
【0028】
第2筐体部分12は、第1筐体部分11の底板部11iに載置された貯水槽2の前部を取り込むようにして、第1筐体部分11の後部を覆うことにより、加湿空間を構成している。具体的には、第2筐体部分12は、吹出口11aを有する縦長の側面壁12bと、筐体天面12cと、後側を覆う筐体後面壁12dとで構成されている。吹出口11aは、側面壁12bの上部及び下部に亘って形成された単一のスリット状をなし、第1筐体部分11と、第2筐体部分12との接合部分に形成されている。具体的には、吹出口11aは、第2筐体部分12を構成する側面壁12bの前端部の一部を、第1筐体部分11との間に間隙ができるように横方向内側へ湾曲させた湾曲板によって構成されている。
【0029】
<貯水槽及び給水タンク>
図9は、貯水槽2の一構成例を示す斜視図、
図10は、貯水槽2の一構成例を示す平面図、
図11は、
図10のXI−XI線断面図である。貯水槽2は、上部が開口しており、空気を加湿するための水を貯留している。貯水槽2は、
図5及び
図10に示すように筐体1の内部に取り込まれる平面視矩形状の前部と、筐体1から後方へ突出する平面視半円弧状の後部とで構成されている。貯水槽2は斯かる平面形状を有する底部21と、該底部21の周縁を囲む貯水壁22とを有する。
【0030】
底部21は、後述の受水部21b及び通水溝21eが形成される平面視矩形状の底面21aを有する。底面21aは、後端部から前部の途中に亘って、横方向略中央部に形成されており、貯水壁22から適宜長離隔するような横幅を有している。底面21aの前方、即ち貯水槽2の前端部には略直方体の加湿フィルタ6の下部が嵌合する平面視矩形状のフィルタ嵌合凹部21fが形成されている。フィルタ嵌合凹部21fは、横方向両端に亘って形成されおり、底面21aよりも深く窪んでいる。また、貯水壁22の内側の全周に亘って底面21aよりも高い上段底面部21gが形成されている。上段底面部21gは、後述する覆体4を支持すると共に、加湿送風機が傾いた際に水が溢れにくくするための構造である。
【0031】
貯水槽2の底面21aの後側部分には、給水タンク3から供給された水を受ける受水部21bが形成されている。給水タンク3は、
図1及び
図3に示すように平面視が貯水槽2と略同形の半円柱状をなすタンク本体31と、タンク本体31から下方へ突出した給水口32とを有する。給水口32はタンク本体31に螺合しており、給水口32を開閉させるための開閉棒33が進退可能に設けられている。開閉棒33は図示しない付勢手段によって閉方向に付勢されており、付勢力に抗して開閉棒33を押し込むことによって、給水口32が開口するように構成されている。受水部21bは、給水タンク3の給水口32の縁に倣って形成された円形の凹部である。つまり、受水部21bは、給水口32よりも一回り大きい円形の凹部である。受水部21bの中心は貯水槽2の横方向略中央部に位置しており、受水部21bの中央には、給水口32を開口させるための受水棒21cが上方へ突出している。貯水槽2の上部に給水タンク3が載置された場合、受水棒21cによって給水口32の開閉棒33が開方向へ押し込まれ、給水口32が開口する。
また、貯水槽2の底面21aには、受水部21bと、フィルタ嵌合凹部21fとを連通し、受水部21bで受けた水をフィルタ嵌合凹部21fへ流す通水溝21eが形成されている。より具体的には、通水溝21eは前後方向に長い直線状であり、貯水槽2の横方向略中央部に形成されている。また、通水溝21eは、受水部21b側よりもフィルタ嵌合凹部21f側の方が深くなるように傾斜している。
更に、受水部21bの周縁には、給水時に給水口32から前記給水タンク3へ空気を導入するための空気導入凹部21dが複数設けられている。例えば、
図10に示すように3つの空気導入凹部21dと、通水溝21eとが受水部21bの周縁に等配されている。つまり、通水溝21eは受水部21bの前側に位置し、3つの空気導入凹部21dは受水部21bの横方向両側と、後側とに位置している。また、空気導入凹部21dは、受水部21bの中心より径方向外側の方が浅くなるように形成された傾斜底を有している。受水部21bの周方向及び径方向における空気導入凹部21dの幅は、通水溝21e部と同程度である。空気導入凹部21dの寸法は、加湿送風機が傾いた際にも、空気を給水タンク3内へ導入することが可能であれば特に限定されない。ただし、加湿送風機の転倒時に貯水槽2から溢れる水の量を減らすために、空気導入凹部21dは、空気導入可能な最小寸法で構成するのが望ましい。
【0032】
貯水壁22は、後部を構成する平面視円弧状の後面壁22aと、前部を構成する側壁22b、22cと、第1筐体部分11の隔壁11bに対向する対向壁22dとを有する。対向壁22dは、貯水槽2が隔壁11bの通流孔11c側へ傾いた際に、通流孔11cに対向していない対向壁22dの部位から、貯留された水を外部へ漏出させる漏出部を有する。具体的には、対向壁22dの上部に段状部分22fが形成されて前方へ迫り出しており、平面視において隔壁11bに対して斜めに対向する傾斜壁部22eが対向壁22dに設けられている。段状部分22fは、前方の方が後方に比べて高くなるように構成されている。傾斜壁部22eの横方向一端部は隔壁11bに当接している。該一端部は隔壁11bに当接して、貯水槽2のガタつきを抑えるための当接部として機能する。また、傾斜壁部22eの前記一端部には、加湿送風機が傾いた際、貯留された水を前記貯水槽2の外へ伝わせ、効果的に漏出させるための漏出凹部22gが形成されている。なお、貯水槽2の水を貯水槽2の外へ伝わせる構造は凹形状に限定されず、凸部であっても良い。
【0033】
<覆体>
図12は、覆体4の一構成例を示した斜視図である。加湿送風機は、貯水槽2の開口を覆うと共に、加湿フィルタ6及び集塵フィルタ5を保持する覆体4を備える。覆体4は、貯水槽2の開口に倣って形成された覆板41を備える。具体的には、覆板41は、貯水槽2と同様、前部が平面視矩形状、後部が平面視半円弧状である。覆板41は周縁部から下方へ突出した周壁41aを備え、周壁41aが貯水槽2の上段底面部21gに支持されている。また、覆板41の周縁部には周壁41aよりも外側へ突出した鍔部41bが形成され、貯水槽2からの水の漏出を防止している。
【0034】
覆板41の後部には貯水タンクの給水口32が挿入される給水口挿入孔42が形成されている。また、覆板41の前部には加湿フィルタ6の下部が挿入されるフィルタ挿入孔43が形成されている。フィルタ挿入孔43は、平面視が横長長方形状であり、上方へ突出したリブ44が長辺の縁部分に形成されている。また、フィルタ挿入孔43の両短辺部分には、フィルタ挿入孔43に挿入された加湿フィルタ6を保持するフィルタ保持壁45が立設されている。各短辺部分に立設されたフィルタ保持壁45の上端部は横長の上板46によって接続されている。上板46の後側長辺の横方向略中央部には、集塵フィルタ5を固定するためのフィルタ係止突起46aが設けられている。また、フィルタ挿入孔43の後方の覆板41には、集塵フィルタ5固定用のフィルタ係止孔47が形成されている。更に、覆板41の前部と、後部との境界部分には、第2筐体部分12の筐体後面壁12dの下端部分を挾持する挾持部48が設けられている。
【0035】
<集塵フィルタ>
図13は、集塵フィルタ5の一構成例を示した斜視図、
図14は、集塵フィルタ5の一構成例を示した正面図である。覆板41の上面側には集塵フィルタ5が配されている。集塵フィルタ5は、空気中の塵埃を捕捉するフィルタ部材52と、フィルタ部材52を保持すると共に、加湿フィルタ6の両側面及び上面側を囲む枠体51とを備える。枠体51は、フィルタ保持壁45を横方向外側から覆う枠体側面部51aと、上板46の上側を覆う枠体天面部51bと、枠体側面部51a及び枠体天面部51bの後側縁部に連続的に設けられた格子枠51cとで構成されている。格子枠51cにはフィルタ部材52が設けられ、加湿フィルタ6の後面側がフィルタ部材52によって覆われる。枠体天面部51bの横方向略中央部にはフィルタ係止突起46aが嵌合する係止突起嵌合孔51dが形成されている。また、格子枠51cの下部、横方向略中央部には、フィルタ係止孔47に係止されるフィルタ係止爪51eが設けられている。フィルタ保持壁45及び上板46に集塵フィルタ5を被せて、上板46のフィルタ係止突起46aを係止突起嵌合孔51dに嵌合させ、フィルタ係止爪51eをフィルタ係止孔47に挿入して係止させることによって、集塵フィルタ5を覆板41上に設置することができる。覆板41に立設された集塵フィルタ5の枠体側面部51a及び枠体天面部51bは筐体後面壁12dに当接し、格子枠51cの下辺も覆板41に当接しているため、塵埃が加湿フィルタ6を通じて、筐体1内部に流入することを防ぐことができる。
【0036】
<帯電粒子発生ユニット>
図15は、帯電粒子発生ユニット8の回路図である。帯電粒子発生ユニット8は、図示しない制御回路基板に接続するための接続端81を有する。帯電粒子発生ユニット8の接続端81は、接続端81に入力される直流電圧を交流電圧に変換する直流交流変換回路82に接続されている。直流交流変換回路82の出力端には高圧トランス83の一次コイルが接続され、交流電圧が一次コイルに印加されるように構成されている。高圧トランス83の二次コイルの一端には整流ダイオード84が順接続され、整流ダイオード84のカソードに正極針86が接続されている。高圧トランス83の二次コイルの他端には整流ダイオード85が逆接続され、整流ダイオード85のカソードに負極針87が接続されている。また帯電粒子発生ユニット8は、回路基板に接続することで接地される接地板88を有する。接地板88は適宜長離隔して形成された孔を有し、各孔の中心に正極針86及び負極針87の先端が位置するように、接地板88並びに正極針86及び負極針87が位置決め固定されている。
【0037】
このように構成された加湿送風機によれば、集塵フィルタ5は筐体1内部に配されているため、集塵フィルタ5に溜まった塵埃が筐体1の外部から視認されることを防ぐことができる。
また、該塵埃が加湿送風機の外部に落下することを防ぐことができる。
【0038】
また、集塵フィルタ5は、貯水槽2の上部を覆う覆板41の上面側に立設されているため、集塵フィルタ5に溜まった塵埃が貯水槽2の水面に落下することを防止することができる。
【0039】
更に、覆板41に形成されたフィルタ挿入孔43の縁にリブ44が設けられているため、覆板41上に付着した塵埃がフィルタ挿入孔43の方へ移動したとしても、塵埃はリブ44に捕捉される。従って、より効果的に塵埃が貯水槽2の水面に落下することを防止することができる。
【0040】
更にまた、加湿フィルタ6は、集塵フィルタ5のフィルタ部材52及び枠体51によって、後面及び周縁全体を覆っているため、筐体1に吸い込まれた空気中の塵埃は加湿フィルタ6に到達する前に捕捉される。従って、空気中の塵埃が、加湿、送風、帯電粒子の発生が行われる構成部分に侵入することを効果的に防止することができる。
【0041】
更にまた、吸込口12aは、第1筐体部分11と第2筐体部分12との接合部分に、上下に亘って形成された単一のスリット状であるため、複数の小スリット孔で構成されるスリット孔に比べて、空気の通流抵抗を小さくすることができ、小型の加湿送風機であっても効果的に空気を吸い込み、帯電粒子を含む加湿された空気を送風することができる。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。