【文献】
市川裕介他,Web行動履歴を用いたユーザ嗜好特性推定技術の検討,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム論文集,社団法人情報処理学会,2008年 7月 2日,第2008巻,第1号,pp.1786-1792
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
情報処理装置を用いて消費者の行動を検出した結果を、当該消費者それぞれを識別するための消費者識別情報に関連付けて格納する消費者行動データベースを記憶する第1記憶手段と、各前記消費者を対象としたアンケートの調査結果を前記消費者識別情報及び質問事項にそれぞれ関連付けて格納するアンケートデータベースを記憶する第2記憶手段と、にそれぞれ接続する接続手段と、
前記消費者行動データベースにおける分析対象となる行動を示す分析対象行動情報を設定するために用いられる第1設定手段と、
前記行動をした前記消費者を前記消費者行動データベースから抽出する消費者抽出手段と、
前記アンケートデータベースに格納されているデータと、前記抽出された消費者を識別するための前記消費者識別情報と、に基づいて、当該消費者識別情報により識別される前記消費者の前記調査結果を前記行動ごとに集計する集計手段と、
前記集計手段による集計結果に基づいて、前記行動としての類似性を備える前記行動を纏めて類似行動群を新たに生成する生成手段と、
前記生成された新たな類似行動群を示す行動群情報を設定する第2設定手段と、
前記設定された行動群情報、及び当該行動群情報により示される前記類似行動群に属する前記行動を少なくとも告知する告知手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
情報処理装置を用いて消費者の行動を検出した結果を、当該消費者それぞれを識別するための消費者識別情報に関連付けて格納する消費者行動データベースを記憶する第1記憶手段と、各前記消費者を対象としたアンケートの調査結果を前記消費者識別情報及び質問事項にそれぞれ関連付けて格納するアンケートデータベースを記憶する第2記憶手段と、にそれぞれ接続する接続手段と、前記消費者行動データベースにおける分析対象となる行動を示す分析対象行動情報を設定するために用いられる第1設定手段と、を備える情報処理装置に含まれるコンピュータを、
前記行動をした前記消費者を前記消費者行動データベースから抽出する消費者抽出手段、
前記アンケートデータベースに格納されているデータと、前記抽出された消費者を識別するための前記消費者識別情報と、に基づいて、当該消費者識別情報により識別される前記消費者の前記調査結果を前記行動ごとに集計する集計手段、
前記集計手段による集計結果に基づいて、前記行動としての類似性を備える前記行動を纏めて類似行動群を新たに生成する生成手段、
前記生成された新たな類似行動群を示す行動群情報を設定する第2設定手段、及び、
前記設定された行動群情報、及び当該行動群情報により示される前記類似行動群に属する前記行動を少なくとも告知するように、当該告知を行う告知手段を制御する告知制御手段、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
情報処理装置を用いて消費者の行動を検出した結果を、当該消費者それぞれを識別するための消費者識別情報に関連付けて格納する消費者行動データベースを記憶する第1記憶手段と、各前記消費者を対象としたアンケートの調査結果を前記消費者識別情報及び質問事項にそれぞれ関連付けて格納するアンケートデータベースを記憶する第2記憶手段と、にそれぞれ接続する接続手段を備える情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
前記消費者行動データベースにおける分析対象となる行動を示す分析対象行動情報を設定する第1設定工程と、
前記行動をした前記消費者を前記消費者行動データベースから抽出する消費者抽出工程と、
前記アンケートデータベースに格納されているデータと、前記抽出された消費者を識別するための前記消費者識別情報と、に基づいて、当該消費者識別情報により識別される前記消費者の前記調査結果を前記行動ごとに集計する集計工程と、
前記集計工程における集計結果に基づいて、前記行動としての類似性を備える前記行動を纏めて類似行動群を新たに生成する生成工程と、
前記生成された新たな類似行動群を示す行動群情報を設定する第2設定工程と、
前記設定された行動群情報、及び当該行動群情報により示される前記類似行動群に属する前記行動を少なくとも告知する告知工程と、
含むことを特徴とする情報処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1等には、単一のデータベースを対象としたクラスタ分析法についての記載しか見当たらない。これに対し、上記市場分析の結果を蓄積したデータベースには、種々のデータベースがあるが、単一のデータベースを用いる場合には、広い範囲の消費者の動向を的確に探るのには不十分であり、その結果、どのような分析手法を用いても新たなクラスタを想定することは難しい。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題は、新たなクラスタに対する今までになかったような広告活動等を行うための資料を的確に取得することが可能な情報処理装置及び情報処理方法並びに当該情報処理用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、情報処理装置を用いて消費者の行動を検出した結果を、当該消費者それぞれを識別するための消費者識別情報に関連付けて格納する消費者行動データベースを記憶するハードディスクドライブ(以下、HDDと称する)等の第1記憶手段と、各前記消費者を対象としたアンケートの調査結果を前記消費者識別情報及び質問事項にそれぞれ関連付けて格納するアンケートデータベースを記憶するHDD等の第2記憶手段と、にそれぞれ接続するインターフェース等の接続手段と、前記消費者行動データベースにおける分析対象となる行動を示す分析対象行動情報を設定するために用いられる操作部等の第1設定手段と、前記行動をした前記消費者を前記消費者行動データベースから抽出する検索抽出部等の消費者抽出手段と、前記アンケートデータベースに格納されているデータと、前記抽出された消費者を識別するための前記消費者識別情報と、に基づいて、当該消費者識別情報により識別される前記消費者の前記調査結果を前記行動ごとに集計する検索抽出部等の集計手段と、前記集計手段による集計結果に基づいて、前記行動としての類似性を備える前記行動を纏めて類似行動群を新たに生成するクラスタ特定部等の生成手段と、前記生成された新たな類似行動群を示す行動群情報を設定するクラスタ特定部等の第2設定手段と、前記設定された行動群情報、及び当該行動群情報により示される前記類似行動群に属する前記行動を少なくとも告知するディスプレイ等の告知手段と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、情報処理装置を用いて消費者の行動を検出した結果を、当該消費者それぞれを識別するための消費者識別情報に関連付けて格納する消費者行動データベースを記憶するHDD等の第1記憶手段と、各前記消費者を対象としたアンケートの調査結果を前記消費者識別情報及び質問事項にそれぞれ関連付けて格納するアンケートデータベースを記憶するHDD等の第2記憶手段と、にそれぞれ接続するインターフェース等の接続手段と、前記消費者行動データベースにおける分析対象となる行動を示す分析対象行動情報を設定するために用いられる操作部等の第1設定手段と、を備える情報処理装置に含まれるコンピュータを、前記行動をした前記消費者を前記消費者行動データベースから抽出する消費者抽出手段、前記アンケートデータベースに格納されているデータと、前記抽出された消費者を識別するための前記消費者識別情報と、に基づいて、当該消費者識別情報により識別される前記消費者の前記調査結果を前記行動ごとに集計する集計手段、前記集計手段による集計結果に基づいて、前記行動としての類似性を備える前記行動を纏めて類似行動群を新たに生成する生成手段、前記生成された新たな類似行動群を示す行動群情報を設定する第2設定手段、及び、前記設定された行動群情報、及び当該行動群情報により示される前記類似行動群に属する前記行動を少なくとも告知するように、当該告知を行うディスプレイ等の告知手段を制御する告知制御手段、として機能させる。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、情報処理装置を用いて消費者の行動を検出した結果を、当該消費者それぞれを識別するための消費者識別情報に関連付けて格納する消費者行動データベースを記憶するHDD等の第1記憶手段と、各前記消費者を対象としたアンケートの調査結果を前記消費者識別情報及び質問事項にそれぞれ関連付けて格納するアンケートデータベースを記憶するHDD等の第2記憶手段と、にそれぞれ接続するインターフェース等の接続手段を備える情報処理装置において実行される情報処理方法であって、前記消費者行動データベースにおける分析対象となる行動を示す分析対象行動情報を設定する第1設定工程と、前記行動をした前記消費者を前記消費者行動データベースから抽出する消費者抽出工程と、前記アンケートデータベースに格納されているデータと、前記抽出された消費者を識別するための前記消費者識別情報と、に基づいて、当該消費者識別情報により識別される前記消費者の前記調査結果を前記行動ごとに集計する集計工程と、前記集計工程における集計結果に基づいて、前記行動としての類似性を備える前記行動を纏めて類似行動群を新たに生成する生成工程と、前記生成された新たな類似行動群を示す行動群情報を設定する第2設定工程と、前記設定された行動群情報、及び当該行動群情報により示される前記類似行動群に属する前記行動を少なくとも告知する告知工程と、含む。
【0010】
請求項1、請求項7又は請求項8のいずれか一項に記載の発明によれば、分析対象となる行動をした消費者のアンケートによる調査結果を当該行動ごとに集計し、その集計結果について行動間における類似性を検出し、検出された類似性を備える行動を纏めて新たな類似行動群を生成する。そして、当該新たな類似行動群を示す行動群情報を設定し、類似行動群に属する行動と共に告知する。よって、アンケートによらない消費者の行動と、アンケートによる調査結果と、を結び付けて新たな類似行動群を生成できるので、新たな類似行動群に属する消費者に対する今までになかったような広告活動等を行うための資料を的確に取得することができる。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記告知手段は、前記集計手段による集計結果、及び新たな前記類似行動群に属する前記行動をそれぞれ告知すると共に、前記生成手段は、前記告知された集計結果に基づいて新たな前記類似行動群を示す情報を入力するために用いられる操作部等の第1入力手段を備え、前記入力された情報に基づいて前記類似行動群を新たに生成すると共に、前記第2設定手段は、前記
告知されている行動に対応した前記行動群情報を入力するために用いられる操作部等の第2入力手
段を備え、前記入力された行動群情報を設定するように構成される。
【0012】
請求項2に記載の発明の作用によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、第1入力手段を用いて入力された情報に基づいて類似行動群を新たに生成すると共に、第2入力手段を用いて入力された行動群情報を設定するので、使用者の意図に応じた新たな類似行動群及び行動群情報を、その使用者により設定することができる。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記集計結果は各前記質問事項ごとに集計されており、前記生成手段は、各前記行動を特徴付ける集計結果を有する前記質問事項の数に基づいて前記類似行動群を新たに生成するように構成される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、集計手段による集計結果が各質問事項ごとに集計されており、各行動を特徴付ける集計結果を有する前記質問事項の数に基づいて前記類似行動群を新たに生成する。よって、集計結果に基づいて新たな類似行動群を自動的に生成することができる。
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の情報処理装置において、前記生成手段は、各前記行動を特徴付ける前記集計結果を有する前記質問事項の数が予め設定された閾値以上である前記行動を纏めて前記類似行動群を新たに生成するように構成される。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明の作用に加えて、各行動を特徴付ける集計結果を有する質問事項の数が既定の閾値以上である行動を纏めて類似行動群を新たに生成するので、既定の閾値との関係を用いることで、複雑な処理を行うことなく類似行動群を形成する行動を決定することができる。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記消費者行動データベースにおける前記行動、及び前記アンケートデータベースにおける前記質問事項の少なくともいずれか一方に前記消費者の広告媒体への接触状況が含まれており、新たな前記類似行動群に属する前記行動をした前記消費者が接触した前記広告媒体を抽出する費用配分部等の広告媒体抽出手段と、前記抽出された広告媒体の中から、予め設定された閾値以上の接触量を有する広告媒体を選択する費用配分部等の選択手段と、を更に備え、前記告知手段は前記選択された広告媒体を告知するように構成される。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、消費者行動データベースにおける行動及びアンケートデータベースにおける質問事項の少なくともいずれか一方に消費者の広告媒体への接触状況が含まれており、新たな類似行動群に属する行動をした消費者が接触した広告媒体を抽出し、その抽出された広告媒体の中から既定閾値以上の接触量を有する広告媒体を選択し、その選択された広告媒体が告知される。よって、新たな類似行動群に属する行動をする消費者に対する有効な広告媒体を新たに選ぶことができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の情報処理装置において、前記選択された広告媒体のそれぞれについて、前記接触量に対応した広告予算を配分する費用配分部等の配分手段を更に備え、前記告知手段は、前記配分された広告予算額を当該広告媒体と共に告知するように構成される。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の作用に加えて、選択された広告媒体のそれぞれについて、その接触量に対応した広告予算が配分され、配分された広告予算額が広告媒体と共に告知される。よって、新しい類似行動群について、広告媒体への接触量に基づいた効果的な広告予算配分を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、分析対象となる行動をした消費者のアンケートによる調査結果を当該行動ごとに集計し、その集計結果について行動間における類似性を検出し、検出された類似性を備える行動を纏めて新たな類似行動群を生成する。そして、当該新たな類似行動群を示す行動群情報を設定し、類似行動群に属する行動と共に告知する。
【0022】
従って、アンケートによらない消費者の行動と、アンケートによる調査結果と、を結び付けて新たな類似行動群を生成できるので、新たな類似行動群に属する消費者に対する今までになかったような広告活動等を行うための資料を的確に取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための形態について、
図1乃至
図9を用いて説明する。なお以下に説明する実施形態は、商品等の消費者に対する広告作成のためのメディアプランを作成して使用者に提示する情報処理システムに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0025】
また、
図1は実施形態に係る情報処理システムの概要構成を示すブロック図であり、
図2は実施形態に係るデータベースの構成を例示する図である。更に、
図3は実施形態に係るアンケート調査用の質問事項を例示する図であり、
図4は実施形態に係る情報処理を示すフローチャートであり、
図5は実施形態に係る新カテゴリ創出処理における集計処理を例示する図である。更にまた、
図6は実施形態に係る新カテゴリ創出処理における並び替え処理を例示する図であり、
図7は実施形態に係る新カテゴリ創出処理を例示する図であり、
図8は実施形態に係るメディアプラン決定処理を例示する図であり、
図9は実施形態に係る広告予算配分処理を例示する図である。
【0026】
初めに、実施形態に係る上記メディアプランについて、一般的に説明する。
【0027】
当該メディアプランとは、ある広告対象物(商品等)についての広告を作成する場合、具体的にどのような内容でもってその広告を作成するかを示すプランである。当該メディアプランは、一般的には、「メディア」、「ビークル」及び「広告表現」の三要素からなるものである。
【0028】
このとき、「メディア」とは、その広告を掲載する媒体の種類のことであり、具体的には「テレビジョン放送」、「新聞」、「雑誌」又は「インターネット」等がそれぞれに「メディア」となる。
【0029】
次に、「ビークル」とは、上記メディアごとに、具体的にどのような媒体を介して広告をするかを示すものである。より具体的には、メディアがテレビジョン放送なら各番組それぞれが「ビークル」となり、メディアが新聞なら各新聞社(新聞名)それぞれが「ビークル」となり、メディアが雑誌なら各雑誌(雑誌名)それぞれが「ビークル」となり、メディアがインターネットなら各ホームページ又はウェブサイトそれぞれが「ビークル」となる。
【0030】
一方、「広告表現」とは、上記ビークルごとの、更に具体的な広告の内容自体のことである。より具体的には、例えばビークルが「情報番組A」である場合、「どのようなキャッチフレーズを用いて」、「どの程度の時間で」、「どのタレントを使って」、「どのような構成の広告とするか」、が広告表現である。
【0031】
なお、上記メディアプランの中に、メディアごと又はビークルごとにかける広告費用を盛り込んでもよい。
【0032】
次に、上述したメディアプランの作成に供される、実施形態に係る情報処理システムの構成及び動作について説明する。なお以下に説明する実施形態に係る情報処理システムでは、上記メディアプランのうち、当該情報処理システムにより新たに創出される消費者群(クラスタ)に対するメディアの選定、及び当該選定されたメディアに対する広告予算の配分までの処理を行う。
【0033】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理システムSSは、情報処理装置Sと、当該情報処理装置Sに対してそれぞれ外部のデータベースである消費者行動データベース1及び価値観/メディア接触データベース2と、により構成されている。
【0034】
この構成において情報処理装置Sは、検索抽出部10a、クラスタ特定部10b及び費用配分部10cを機能的に含む主制御部10と、キーボード及びマウス等の入力装置からなる操作部11と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ12と、揮発性のRAM(Random Access Memory)及び不揮発性のROM(Read Only Memory)等からなるメモリ部13と、インターフェース14と、を備えて構成されている。
【0035】
この構成において、消費者行動データベース1を記憶する例えばHDD等の装置が本発明に係る「第1記憶手段」の一例に相当し、価値観/メディア接触データベース2を記憶する例えばHDD等の装置が本発明に係る「第2記憶手段」の一例に相当する。またインターフェース14が本発明に係る「接続手段」の一例に相当し、検索抽出部10aが本発明に係る「消費者抽出手段」の一例及び「集計手段」の一例にそれぞれ相当する。更にクラスタ特定部10bが、本発明に係る「生成手段」の一例、及び「第2設定手段」の一例に、それぞれ相当する。更にまた、ディスプレイ12が本発明に係る「告知手段」の一例に相当し、操作部11が本発明に係る「第1設定手段」の一例、「第1入力手段」の一例及び「第2入力手段」の一例に、それぞれ相当する。また、費用配分部10cが本発明に係る「広告媒体抽出手段」の一例、「選択手段」の一例に及び「配分手段」の一例に、それぞれ相当する。更に主制御部10が本発明に係る「告知制御手段」の一例に相当する。
【0036】
図1に示す構成においてインターフェース14は、それぞれ外部のデータベースである消費者行動データベース1及び価値観/メディア接触データベース2に接続されて、各々のデータベースと主制御部10との間でのデータの授受を可能とする。
【0037】
主制御部10は、操作部11における使用者の操作に対応する当該操作部11からの操作信号に基づいてメモリ部13に予め記憶されているプログラム等を図示しないCPUが読み出して実行することにより、上記検索抽出部10a、クラスタ特定部10b及び費用配分部10cとしての機能を発揮する。この主制御部10における機能発揮に必要なデータは一時的にメモリ部13に記憶され、必要に応じて再度読み出されて当該機能発揮に供される。
【0038】
一方、上記検索抽出部10aとして機能する主制御部10(以降、単に検索抽出部10aと称する)は、後ほど詳述するように、各データベースにおける検索対象である消費者の行動、消費者の価値観又はメディアへの接触状況に関するデータの中から、後述する一致率が所定の閾値以上である分析項目を抽出する。
【0039】
次に上記クラスタ特定部10bとして機能する主制御部10(以降、単にクラスタ特定部10bと称する)は、これも後ほど詳述するように、検索抽出部10aによる検索抽出の結果に基づき、相互に類似している性質を持つクラスタ、商品群又は価値観群を特定する。
【0040】
更に費用配分部10cとして機能する主制御部10(以降、単に費用配分部10cと称する)は、使用者からの要求に応じて、クラスタ特定部10bにより特定されたクラスタに対する広告の出稿予算配分として、上記メディアごとに配分される予算を決定する。
【0041】
最後にディスプレイ12は、主制御部10の制御の下、上記作成されたメディアプラン等を視認可能に表示する。
【0042】
次に、実施形態に係る消費者行動データベース1及び価値観/メディア接触データベース2について、それぞれ具体的に
図2を用いて説明する。
【0043】
当該消費者行動データベース1及び価値観/メディア接触データベース2は、それぞれ外部のサーバ装置内のHDDに記憶されており、インターフェース14を介して実施形態に係る情報処理装置Sとの間で種々のデータの授受が可能とされている。
【0044】
このとき、先ず消費者行動データベース1は、
図2(a)に例示するように、消費者の行動を、例えばいわゆるPOS(point of sale)システムやWWW(World Wide Web)等の情報システムを用いて客観的に計測/検出した事実又は検出結果を含む集合体D1を格納したデータベースであり、予め設定されている消費者ID(
図2全体において、例えば「id[××××]」と例示する)を用いて個々の消費者を識別しつつ、その行動を判定できる状態のデータを蓄積しているデータベースである。消費者行動データベース1としてより具体的には、例えば、消費者のウェブサイト上での行動履歴(例えば閲覧したサイトのURL(Uniform Resource Locator)や閲覧時刻を示すデータ等)を格納したウェブログデータのデータベース、様々な実際の店舗での商品等の購入履歴を記録したいわゆるID-POSデータや消費者購買データのデータベース等が、消費者行動データベース1に該当する。
【0045】
なお消費者行動データベース1としては、上述したように事実ベースの行動データを格納したデータベースであり、消費者自身の記憶に基づいたアンケート形式により収集/格納されたデータは含まれない。また同様に、個々の消費者を識別して行動を判定できない状態のデータ(例えば、通常のPOSデータ等の店舗の売上データ)は含まれない。
【0046】
一方、価値観/メディア接触データベース2は、
図2(b)に例示するように、個々の消費者が有する生活価値観や消費価値観、或いはメディアへの接触状況をアンケート形式で質問した調査結果が蓄積されたデータベースである。このとき価値観/メディア接触データベース2では、アンケートの質問事項ごとの回答結果を含む集合体D2が、上記消費者ID(即ち、消費者行動データベース1と共通の消費者ID)を用いて個々の消費者を識別しつつ蓄積されている。なお、価値観/メディア接触データベース2に格納されているデータを収集する際に用いられたアンケートは、例えば
図3に例示する如き内容のものである。なお
図3に例示されているアンケートQにおける各質問事項の番号が価値観/メディア接触データベース2における質問番号にそれぞれ対応している。
【0047】
また上述したように、消費者行動データベース1及び価値観/メディア接触データベース2のそれぞれには、消費者IDにより相互に識別される同一消費者(同一個人)のデータが格納されており、個人ごとの上記消費者IDをキーとして各消費者一人一人を上記消費者行動データベース1及び価値観/メディア接触データベース2において識別できる構成とされている。
【0048】
なお、上記消費者行動データベース1及び価値観/メディア接触データベース2は、
図1に例示するように独立した二つ以上複数のデータベースであってもよいし、或いは、それぞれが消費者行動データベース1及び価値観/メディア接触データベース2に相当する二種類のデータを併せ持つ一つのデータベースであってもよい。
【0049】
次に、上述した構成を備える情報処理システムSSにおける実施形態に係る情報処理について、具体的に
図4乃至
図9を用いて説明する。
【0050】
図4に示すように、実施形態に係る情報処理においては初めに、上記メディアプランを作成しようとする使用者が操作部11を操作することにより、分析対象となる消費者の行動を選択する(ステップS1)。即ち、消費者のどのような行動を対象としてその分析を行うかを、操作部11を用いて選択し、その選択内容に基づいて、利用されるべき消費者行動データベース1内のデータや分析対象となる既存のカテゴリを設定する。
【0051】
より具体的に例えば、消費者によるウェブサイトの利用状況を分析することを使用者が選択した場合、消費者行動データベース1としての、各消費者個人のサイト利用状況がわかるウェブログデータベース(例えば、
図2(a)の「Wahee!」へのアクセス回数の記録等)を利用することを、操作部11による操作を用いて主制御部10の検索抽出部10aに認識させる。また他の例として、例えば消費者によるアルコール商品の購買状況を分析することを使用者が選択した場合、消費者行動データベース1としての、各個人の商品購買状況が記録されている購買データベース(例えば、
図2(a)の「Hakoda黒ラベル」の購入履歴の記録等)を利用することを、操作部11による操作を用いて検索抽出部10aに認識させる。
【0052】
これに加えて、分析対象たる消費者の行動の中に含まれるカテゴリや商品、ブランド、サービスの中で、今回の分析対象となるものを、同様に使用者が操作部11を操作することにより検索抽出部10aに認識させる。この分析対象となるものを、以下の説明において「分析対象商品・サービス」と称する。なおこの分析対象には、カテゴリや商品等であって、相互にレベルが異なるものが混在していてもよい。より具体的には、例えばウェブログデータベースを利用する場合、ウェブサイトの範疇に含まれるAサイトと、これとは異なるBサイトの双方を分析対象としてもよい。また例えば購買データベースを利用する場合、その購買履歴の中で、ビール、焼酎及びハイボールの各商品を分析対象としてもよい。
【0053】
次に検索抽出部10aでは、上記分析対象商品・サービスに対して行動した消費者を特定する(ステップS2)。即ち主制御部10は、当該分析対象商品・サービスに対して行動した消費者を、消費者行動データベース1に付随している集計機能を用いて特定し、更に指標化する。
【0054】
より具体的に検索抽出部10aは、ある行動をしたかどうか、またその行動の頻度、密度及び集計対象期間について予め設定されてメモリ部13に記録されている判断基準との比較に基づいて、その行動を行ったことになるか否かを消費者ごとに自動的に判定する。この場合の判断基準は、例えば、分析対象となっている商品のカテゴリ(上記ステップS1参照)や、分析で導き出したい課題などに基づいて、使用者により実験的或いは経験的に設定される。
【0055】
更に具体的には、例えば購入サイクルが長い耐久消費財が、分析対象たる商品のカテゴリとされている場合は、上記集計対象期間としても長い期間を設定する場合が有効なことがある。また購入サイクルが短い消費財が、当該商品のカテゴリとされている場合は、上記集計対象期間としても短い期間を設定することが有効なことがある。更に、ウェブサイトの「利用の有無」が重要となる場合は、単に当該利用の有り/無しにより、その利用者たる消費者の特定を行う場合が有効なことがある。更にまた、商品の売上に繋がる「利用量」が重要となる場合は、その利用量に基づいて上記判断基準を設定してスコア化することが有効な場合がある。
【0056】
なお、上記判断基準は、単一である場合の他、判断基準を複数設定した上で先ず判定結果を複数算出し、その上でそれらの判定結果を比較し、その比較結果に基づいて、それ以後の特定に用いられる判断基準として、より良好な判断基準を実験的に採用するように構成することもできる。
【0057】
このステップS2の処理として更に具体的には、例えば2012年1月から3月の三ヶ月間を上記集計対象期間とし、「Wahee!」サイトを集計対象期間内に月三回以上利用した人が例えばAさん、Bさん、Cさんの三人と特定される。また「Geegla」サイトを集計対象期間内に月三回以上利用した人が例えばAさん、Dさん及びEさんの三人と特定される。なおこれらの場合、上記「月三回以上」が上記判断基準となる。また別の例として、例えば2011年1月から12月の一年間を上記集計対象期間とし、「Hakoda黒ラベル」を購入した人とその本数が、それぞれ、Dさん:5本、Eさん:3本及びFさん:10本であったとし、「よく購入した」を5本以上でスコア2、「まあ購入した」を1本以上でスコア1、のように判断基準と共に定義付けると、DさんとFさんはスコア2、Eさんはスコア1となる。
【0058】
その後検索抽出部10aは、上述してきた処理により特定された消費者を、個人ごとの消費者識別情報(以下、適宜「消費者ID」と称する)をキーとして、価値観/メディア接触データベース2内を検索可能となるように設定する。
【0059】
次に検索抽出部10aは、各カテゴリや商品、ブランド、サービスについての行動をした消費者の全てを母集団とし、各消費者の持つ生活価値観、消費価値観、メディア接触データの項目について、価値観/メディア接触データベース2内のデータを用いてその回答率を集計する(ステップS3)。この集計処理は、上記分析対象商品・サービスの特徴を、ステップS1の処理により分析対象とされた行動をした消費者が有する生活価値観、消費価値観又はメディア接触データで表現することを目的とするものである。なお以下の説明において、上記「分析対象とされた行動をした消費者が有する生活価値観、消費価値観又はメディア接触データ」を「分析対象消費者特性」と称する。この集計結果としては、例えば
図5に例示するような集計結果(数値の単位は「%」)が例えばメモリ部13内に展開される。この
図5では、商品としての商品A乃至商品Fを購入するという行動をした消費者が上記ステップS2の処理により特定されている。更にこれら商品のうち、商品A乃至商品Cは既存のカテゴリとしての「ビール」カテゴリに属しており、また商品D乃至商品Fは既存のカテゴリとしての「お茶」カテゴリに属している。更に
図5乃至
図7において「項目」とは、
図3に例示したアンケートQに質問事項として含まれていた事項(項目)であり、各商品についての数値は、対応する商品を購入した消費者が、対応する質問に対して回答した率を示している。例えば商品Aを購入した消費者の、質問事項「ダイエットのために食べたいものを我慢している」に対する回答率は36.1%であるとされている。なおこの集計結果を、操作部11の操作によりディスプレイ12に表示するように構成してもよい。
【0060】
ここで、上記回答率としては、その質問について単純に「YES」と回答した人数を母集団の数で割った単純平均としてもよい。或いは、上記「Hakoda黒ラベル」の例のように、異なる項目に対してスコア化により重み付けが行われている場合には、そのスコアを「重み」とした場合の加重平均により上記回答率が算出される場合もある。
【0061】
また上記回答率の算出だけでなく、比較対象となる指標と比較して統計的若しくは恣意的に有利であるかどうかを判定するための当該指標も併せて計算する。以下の説明ではこの指標を、上記ステップS2の処理に用いられた判断基準と異なることを明示すべく「判定指標」と称する。この判定指標として具体的には、例えば、「χ
2値」や「回答率の基準値(例えば全体平均)との差」等がこれに該当する。ここで、上記判断基準との相違点は、上記判定指標が「その項目が有意な差があるかどうか」を判定するために用いられるのに対し、上記判断基準は消費者行動データベース1から回答率を上記ステップS2の処理において計算する際の計算ロジックの一部として用いられるものである。なおこの判定指標は、分析対象となっている商品のカテゴリや分析で整理したい課題などから、使用者により実験的或いは経験的に設定されるものである。
【0062】
次にステップS3の処理において検索抽出部10aは、全ての分析対象商品・サービスに関する分析対象消費者特性の項目について、その回答率と判定指標の集計を行い、上記の判定指標から実験的或いは経験的に若しくは統計学的に設定される基準に基づき、「一定以上の特徴がある」と判定される条件に適合した項目を抽出する。より具体的に検索抽出部10aは、例えば、「χ
2値が95%で、有意であると判定される数値より高い」といった条件に適合した項目を、
図5に例示するデータ内から抽出する。また他の例としては、例えば、「回答率が、全体と比較して10%以上高い」といった条件に適合した項目を、
図5に例示するデータ内から抽出する。なお
図5乃至
図7では、これらの条件に適合したことにより抽出された商品を、例えば条件ごとに、クロスハッチング、右上ハッチング及び左上ハッチングで示している。また
図5乃至
図7において、ハッチングの違いは上記条件の違いを表している。
【0063】
上記のステップS3の処理によれば、上記分析対象商品・サービスごとに、上記判定指標を基準として特徴があるとされる分析対象消費者特性の項目のみが抽出されてくる(
図5乃至
図7に例示する各ハッチング部分)。なお以下の説明において、抽出されてきた上記分析対象消費者特性の項目を「特徴項目」と称する。この特徴項目の抽出が終了したら、次に主制御部10のクラスタ特定部10bは、当該特徴項目に関して、分析対象商品・サービス同士(
図5乃至
図7に例示する場合における商品同士)の間の特徴項目の一致率を算出し、一致率が高い分析対象商品・サービスを、「類似性が高い」分析対象商品・サービスであるとして新たな分類を行い、新たなカテゴリの創出処理及びそのカテゴリに属するクラスタの特定を行う(ステップS4及びS5)。
【0064】
即ちクラスタ特定部10bは、例えば
図5に例示する場合において、「特徴項目が一致している個数が五個以上」である商品を新たなカテゴリに属させる処理を行う(ステップS4)。また他の例として、「分析対象商品内の特徴項目のうち、他の分析対象商品の特徴項目と一致している項目の割合が50%以上」である商品を新たなカテゴリに属させる処理を行う。この新たなカテゴリへの分類分けについては、例えば
図6に例示するような分類分けの結果が例えばメモリ部13内に展開される。この
図6では、今まで別のカテゴリであった商品A、商品C及び商品Fが、特徴項目の一致数が多くて類似性が高いとして新たなカテゴリに属すようにされており、また別のカテゴリであった商品B及び商品Eが、他の意義により特徴項目の一致数が多くて類似性が高いとして新たなカテゴリに属すようにされており、更に商品Dのみが単独で新たなカテゴリに属するとされている。なお
図6に例示する段階では、新たなカテゴリについての命名は、まだされていない。
【0065】
なお、上記ステップS4の処理では、新たなカテゴリ分けを自動化したが、これ以外に、
図5に例示する集計結果をディスプレイ12上に表示し、それを確認した使用者により、その経験や知識に基づいて新たなカテゴリ分けをするように構成することもできる。この場合のカテゴリ分けは、操作部11における使用者の操作により行われる。
【0066】
次にクラスタ特定部10bは、ステップS5の処理として、新たなカテゴリ(
図6に例示する場合は三つの新たなカテゴリ)それぞれについて、そのカテゴリの命名(定義付け)を行う(ステップS5)。この命名処理として具体的には、例えば、新たなカテゴリに属することとなった商品等の属性を示すデータ等に最も多く含まれる文言を既存のデータベースの中から抽出し、これを新たなカテゴリ名としてもよい。また、
図6に例示するデータをディスプレイ12上に表示し、新たなカテゴリの名称を使用者が操作部11を用いて入力するように構成することもできる。この命名処理の結果を
図7に例示する。
図7では、商品A、商品C及び商品Fが属する新たなカテゴリは「プレミアム」と命名(定義付け)されており、商品B及び商品Eが属する新たなカテゴリは「健康系」と命名(定義付け)されており、更に商品Dのみが属する新たなカテゴリは「家族」と命名(定義付け)されていることになる(ステップS5)。
【0067】
以上のステップS5までの処理が実行されることにより、「類似性が高い」と判定された、分析対象となった商品のジャンルや商品、ブランド、サービスが、たとえサービスやブランド、商品のジャンルがこれまでは異なったものであっとしても、それらが相互に類似した特性(属性)を持つとして新たなカテゴリ(以下、「新カテゴリ」と称する)として定義される。このようなステップS5の処理における分析対象商品・サービス及び分析対象消費者特性の設定によれば、予め用意された仮説に基づいて設定された商品等の領域で分析を行うことで、当該仮説に基づいた新カテゴリが発見できる場合もある。また、現在は全く関連がないと思われるような商品等の領域まで広げて分析を行うことで、新カテゴリがまったく新しく発見できる場合もある。より具体的に例えば、ビールジャンルにおいて、「プレミアム」又は「健康」といったジャンルと関連性が認められ想定しやすいカテゴリが新たに発見される場合もあれば、例えば「IT機器利用」、「読書家」或いは「地方出身」といった、元のビールジャンルとは一見関連性が認め難いが全く新しいカテゴリを発見する場合もある。
【0068】
以上のステップS5までの処理が主制御部10を中心として実行されることにより、類似性が高いと判定された新たな分析対象商品・サービスの一群(新カテゴリ)を利用する消費者を抽出することで、その新カテゴリの利用者である消費者群(以下、新クラスタと称する)を識別できることになる。そして、この新クラスタを母集団とし、様々な項目を自動集計することで、新クラスタの特徴を分析することができ、これを広告の際のメディアの選択に活用することができるのである。以下、当該分析を用いた広告における予算配分処理について説明する(ステップS6)。
【0069】
即ち、主制御部10の費用配分部10cは、ステップS5までの分析処理の結果により生成された新カテゴリに属する商品群等に基づき、メディアに対する消費者の接触行動を価値観/メディア接触データベース2における集計項目とすることで、それぞれの新クラスタのメディアに対する接触行動上の特徴を見出す。なおメディアに対する接触行動を消費者ごとに示すデータが消費者行動データベース1にも格納されていてもよい。そしてその集計処理を新クラスタごとに行えば、新クラスタごとに有効なメディアを認識できる。例えばメモリ部13上において、新クラスタであるクラスタ1乃至クラスタ5について価値観/メディア接触データベース2において接触したとされているメディアを集計した結果が、
図8に例示するような結果として展開されたとする。この場合、メディア「テレビジョン放送(
図8において「テレビ」と示す)」とメディア「インターネット」とが、接触される可能性が高いメディアであることになる。従って、この集計処理及びその結果を反映させた広告費用の配分処理としては、例えば
図9にディスプレイ12上の表示画面を例示するように、新クラスタの番号と広告費用としての総予算が入力されたとき、新クラスタごとのメディアに対する接触行動の特徴に基づいた広告として有効なメディアが選択され、これらに基づいた新クラスタに対するメディア別予算配分が自動計算され、その結果が
図9に例示するように例えばディスプレイ12に表示される(ステップS6及びS7)。なおこの時の有効なメディアの選択基準や広告予算の配分基準は、例えば上記新クラスタのメディアに対する接触行動上の特徴に基づき、実験的或いは経験的に導かれるアルゴリズムを用いて判定/算出されるように構成すればよい。
【0070】
なお、上記ステップS6及びS7の処理により算出された予算配分に基づく実際の広告における直接的な効果検証については、以下の通りとなる。
【0071】
即ち、従来の当該効果検証では、市場分析の際に調査対象とした消費者(本発明の場合は上記新クラスタ)とは別の消費者に対して行っていた。これは、従来の効果検証において、その効果が検証される市場分析の元となるクラスタのデータは、そのデータを作成するためだけに過去に行われた調査の対象となったクラスタのデータであり、調査の元となったクラスタを、その後の広告出稿時やそれ以降の段階での調査の対象とすることが想定されていなかったからである。
【0072】
これに対して実施形態に係る情報処理システムSSの処理は、クラスタを構成する各消費者の行動を消費者ごとに継続的に測定/収集した消費者行動データベース1が既にあり、それと価値観/メディア接触データベース2とに基づいて、以降の広告の計画でその対象となる新クラスタを生成しようとするものである。従って、上記新カテゴリの発見や広告計画の策定と、それに基づく広告出稿の後にその対象となったクラスタに対して広告出稿の効果があったか否かと、を、実施形態に係る市場分析及び広告計画の策定の際に用いた同一の消費者(新クラスタ)の実際の行動に基づいて直接的且つ具体的に測定/検証することができる(即ち、直接的な効果検証が得られる)ことになる。このことは、必要に応じて更なる分析と広告計画や様々な企業活動の改善に活用することができ、実務的に非常に有用である。
【0073】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理システムSSの処理によれば、アンケート調査の質問項目には関連しない行動をした消費者に対する別途の当該アンケート調査の結果を当該行動ごとに集計し、その集計結果について行動間における類似性を検出し、検出された類似性を備える行動を纏めて新カテゴリを定義し、それに属する行動と共に表示する。よって、アンケートによらない消費者の行動と、アンケートによる調査結果と、を結び付けて新カテゴリを創出できるので、新カテゴリに属する新クラスタに対する今までになかったような広告活動等を行うための資料を的確に取得することができる。
【0074】
また、新カテゴリの創出及びその定義付けを操作部11における操作に基づいて行う場合は、情報処理システムSSの使用者の意図に応じた新カテゴリを、その使用者により設定することができる。
【0075】
更に、アンケート調査に対応した集計結果がアンケートの項目ごとに集計されており(
図5参照)、各行動を特徴付ける集計結果を有する項目の数に基づいて新カテゴリを生成する(
図6及び
図7参照)ように構成すれば、集計結果に基づいて新カテゴリを自動的に生成することもできる。
【0076】
更にまた、各行動を特徴付ける集計結果を有するアンケートの項目の数が既定の閾値以上である行動を纏めて新カテゴリと形成するので、既定の閾値との関係を用いることで、複雑な処理を行うことなく新カテゴリを形成する行動を決定することができる。
【0077】
また、消費者行動データベース1、及び価値観/メディア接触データベース2における項目の少なくともいずれか一方に消費者のメディアへの接触状況が含まれており、新カテゴリに属する行動をした消費者が接触したメディアを抽出し、その抽出されたメディアの中から既定閾値以上の接触量を有するメディアを選択し、その選択されたメディアが表示される(
図8及び
図9参照)。よって、新カテゴリに属する行動をする消費者に対する有効なメディアを新たに選ぶことができる。
【0078】
更に、選択されたメディアのそれぞれについて、その接触量に対応した広告予算が配分され、配分された広告予算額がメディアと共に表示される(
図9参照)ので、新カテゴリについて、メディアへの接触量に基づいた効果的な広告予算配分を行うことができる。
【0079】
なお上述した実施形態では、特に商品の広告に係るメディアプランの作成に対して本発明を適用した場合について説明したが、これ以外に、例えば映画等の広告対象物の広告に係るメディアプランの作成に対して本発明を適用することも可能である。
【0080】
更に上述した実施形態では、広告に係るメディアプランの作成に対して本発明を適用した場合について説明したが、これ以外に、市場調査の結果を用いた各種の処理を実行する際の計画段階で本発明を活用して最適な計画を立てるように構成することも可能である。
【0081】
更にまた上述した実施形態では、各データベースと情報処理装置Sとを別個の装置として説明したが、これ以外に、各データベースを情報処理装置内に備えるように構成することも可能である、
また、
図4に示したフローチャートに対応するプログラムをフレキシブルディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これらをマイクロコンピュータにより読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータを実施形態に係る主制御部10として活用することも可能である。