特許第5995854号(P5995854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5995854人間または動物の身体に付けるための包帯
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  • 特許5995854-人間または動物の身体に付けるための包帯 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995854
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】人間または動物の身体に付けるための包帯
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20060101AFI20160908BHJP
【FI】
   A61F13/02 310A
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-534254(P2013-534254)
(86)(22)【出願日】2011年10月12日
(65)【公表番号】特表2013-540025(P2013-540025A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2011067806
(87)【国際公開番号】WO2012052333
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年6月18日
(31)【優先権主張番号】102010042772.1
(32)【優先日】2010年10月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507401096
【氏名又は名称】カール オットー ブラウン ゲーエムベーハー ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】クルッペルス ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】マース ウルリケ
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−277084(JP,A)
【文献】 特表2004−521665(JP,A)
【文献】 特表2000−508032(JP,A)
【文献】 実開昭59−161871(JP,U)
【文献】 実開昭53−080996(JP,U)
【文献】 特開昭59−101149(JP,A)
【文献】 米国特許第05939339(US,A)
【文献】 特表平09−510901(JP,A)
【文献】 国際公開第95/016416(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00 − 13/14
15/00 − 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面(12)と第2の面(15)とを備える繊維材料からなる縦方向長さ(L)を有する繊維基本構造(14)としての平坦な帯状区域(13)を含む、人間または動物の身体に付けるための圧迫包帯であって、両方の前記面のうち少なくとも一方(12)には少なくとも前記繊維基本構造(14)の縦方向長さ(L)の一部にわたってクッション層(16)が設けられている圧迫包帯において、
前記クッション層(16)は、前記繊維基本構造(14)の一部である糸および/または繊維(18、20)でできており、すなわち糸および/または繊維(18、20)が前記繊維基本構造(14)に挿入されており、および/または前記繊維基本構造(14)から引き出されており、
前記クッション層(16)は、高さ、構造に関して、および/または挿入される繊維および/または糸(18、20)に関して、その縦方向長さおよび/または横方向長さにわたって変化しており、
前記繊維基本構造(14)の1つまたは複数の層は、縦方向および/または横方向に弾性的であり、
前記クッション層(16)の前記構造に関する前記変化は、前記繊維および/または前記糸(18、20)の異なる材料又は異なるさによる変化であり、
前記クッション層(16)の前記縦方向長さおよび/または前記横方向長さにわたる前記変化は、前記クッション層(16)の相応の切欠きまたは前記クッション層の高さの適合化による前記クッション層の適合化によって、前記クッション層(16)が、解剖学的に規定される膨出部に対応する方法で行われる
ことを特徴とする圧迫包帯。
【請求項2】
前記クッション層(16)は、前記圧迫包帯(10)の支持体のほうを向く、前記圧迫包帯(10)のもっとも外側の層を形成していることを特徴とする、請求項1に記載の圧迫包帯。
【請求項3】
前記クッション層(16)と前記繊維基本構造(14)は直接的に隣接していることを特徴とする、請求項1または2に記載の圧迫包帯。
【請求項4】
前記クッション層(16)はその縦方向長さにわたって前記繊維基本構造(14)の上で統一的に構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧迫包帯。
【請求項5】
前記クッション層(16)は各領域で切毛(18)および/またはループ(20)として構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の圧迫包帯。
【請求項6】
前記繊維基本構造(14)は、織られた材料、編まれた材料、または織られていない材料(不織布)を含んでおり、これらの材料でできていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の圧迫包帯。
【請求項7】
前記繊維基本構造はパイル織物であり、または、パイル糸もしくはパイル繊維を挿入する方法で製作された織物または編物または不織布であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の圧迫包帯。
【請求項8】
糸または繊維(18、20)の挿入または引き出しはニードルパンチ、タフト加工、または起毛によって行われることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の圧迫包帯。
【請求項9】
記クッション層(16)と反対を向いているほうの前記繊維基本構造(14)の面(15)に1つまたは複数の別の層が配置されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の圧迫包帯。
【請求項10】
前記別の層は粘着性または付着性に構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の圧迫包帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の面と第2の面とを備える繊維材料からなる、縦方向長さを有する基本構造としての平坦な帯状区域を含む、人間または動物の身体に付けるための包帯に関するものであり、両方の面のうち少なくとも一方には少なくとも基本構造の縦方向長さの一部にわたってクッション層が設けられている。
【背景技術】
【0002】
本発明による包帯は、特に圧迫バンデージまたは圧迫包帯である。
【0003】
従来技術では、2層からなる圧迫包帯セットが知られており、すなわち別々の要素からなるセットが知られており、一方の要素はクッション包帯であり、他方の要素は伸長圧迫包帯である。これらの包帯が相上下して当て付けられる。その場合の欠点は、当て付けプロセスが比較的長くかかることである。2つの包帯を相上下して相応の身体部分に当て付けなければならないからであり、しかもそのために、当て付けのときに不具合が起こる危険性が明らかに高くなる。それは、両方の包帯が所望の仕方で互いにアライメントされなければならないからである。圧迫は両方の包帯の協働作用によって実現され、クッション包帯も圧迫の一部に貢献することができる。
【0004】
さらに、2つの別々の材料層からなる一体的な圧迫クッション包帯が知られており、たとえば、粘着力のある不織布と発泡材料クッションとからなる積層材、あるいは編物と縫い合わされた不織布などが知られている。
【0005】
たとえば特許文献1より、編まれた材料からなる2つの層の間に、糸でできたスペーサ層が設けられた圧迫包帯が公知である。
【0006】
これに類似する医療用包帯の構成が、特許文献2から公知である。
【0007】
特許文献3は、支持包帯のアンダークッションの役目をする、医療用のクッション包帯を記載している。このクッション包帯は、繊維の太さが異なる2つの層からなる完全合成不織布で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第95/16416号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第0752839B1号明細書
【特許文献3】ドイツ実用新案出願第7929812U1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術を前提とした上で、本発明の課題は、簡単に当て付けて取扱うことができ、収まり具合が優れており、しかも製造に関して低コストである、クッションを備えた医療用の包帯またはバンデージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこの課題を、第1の面と第2の面とを備える繊維材料からなる、縦方向長さを有する基本構造としての平坦な帯状区域を含む、人間または動物の身体に付けるための包帯またはバンデージにおいて、両方の面のうち少なくとも一方には少なくとも基本構造の縦方向長さの一部にわたってクッション層が設けられており、クッション層は繊維基本構造の一部である糸または繊維でできており、すなわち糸または繊維が繊維基本構造に挿入されており、および/またはこれから引き出されていることによって解決する。
【0011】
このとき特にバンデージまたは包帯は、一体化されたクッション層を有する圧迫包帯または圧迫バンデージである。包帯、バンド、バンデージという用語は、以下において同義語として使用する。
【0012】
このときクッション層は、基本構造の一部である糸または繊維で構成されていてよい。このような糸または繊維は、特に織物の場合、経糸と横糸ならびに挿入されたパイル糸であり、本発明では特にパイル織物が意図されていてよい。これに加えて、糸または繊維が基本構造に挿入された、または基本構造から引き出された編物も、基本構造として意図されていてよい。最後に不織布では、すなわち織られていない素材では、クッション層を形成するために繊維または糸を繊維基本構造から引き出すことができ、または同じく挿入されていてよい。繊維基本構造からの糸または繊維の挿入または引き出しは、従来技術から基本的にすでに知られており、たとえば絨毯産業や自動車向け繊維製品産業、あるいは衣料品産業や家庭向け繊維製品産業でも知られている。挿入または引き出しされた繊維は、切毛(特に繊維束)またはループを形成することができ、もしくは不整列の繊維であってよい。
【0013】
クッション層は、包帯の支持体の方を向く、包帯のもっとも外側の層を形成する。
【0014】
ここで糸とは線形の面状形成物を表しており、紡績所で製造される紡糸ヤーンと、化学繊維工場で製造されるフィラメントヤーンとが区別される。糸は、1つまたは複数のヤーンで構成することができる。繊維という用語は、天然ステープルファイバだけでなく化学ステープルファイバも含んでおり、ならびにエンドレスの個別フィラメントも含んでいる。
【0015】
本発明による包帯またはバンデージのこのような構成により、これを取扱性に関していっそう容易にすることができる。ただ1つのバンデージを当て付けるだけでよいからである。そのうえ、バンデージの収まり具合を改善することができ、圧力個所を回避することができる。クッションが一体化された包帯およびバンデージは、クッション層を有していない包帯およびバンデージに比べて少ない皮膚包帯摩擦現象を有しており、それによって保全的であるという利点を有している。すでに知られている多層の包帯およびバンデージに対して、本件の構成は、容易に製造することができる代替的な実施形態を提供する。別個に製作される層は、とりわけ長さや幅に関して個別的な構成がなされる場合、両方の層が正しく適合するようにつなぎ合わせて結合させることができないために、個別的な構成という選択肢を最善に活用することができないという欠点を有している。クッション層が一体化された圧迫クッション包帯は、2つの別々の層からなる包帯およびバンデージに対して、長さや幅に関してのクッション層の個別的な構成可能性に基づき、特にエッジ領域で隆起部や狭窄現象を回避するために、圧迫の圧力分布に関わる利点を有している。さらに、複数の別個の層から製作される圧迫クッション包帯は、当て付けのときすでに、そして遅くとも四肢が運動したときに、たとえば積層が崩れることによって、つなぎ合わされている各層が再び互いに離れてしまい、そのために圧迫作用が引き下げられるという危険をもたらす。
【0016】
クッション層と繊維基本構造は、直接的に隣接しているのが特に好ましい。
【0017】
このように、包帯またはバンデージの少なくとも一方の面に設けられるクッション層は、基本材料と任意の仕方で結合される、たとえば縫合され、積層され、接着され、あるいはその他の仕方で結合される、独立した繊維面でできているのではなく、1つまたは複数のクッション層は、基本材料に挿入された、またはこれから引き出された、糸および/または繊維でできている。このように1つまたは複数のクッション層は、基本構造の延長部分を形成する。
【0018】
医療用の圧迫包帯および圧迫バンデージの分野での、このような種類の包帯およびバンデージの用途の他、各種の弾性的または非弾性的な包帯、バンデージ、バンドなど、これ以外の利用分野も考えられる。
【0019】
クッション層は、その縦方向長さおよび/または横方向長さにわたって、基本構造の上で統一的かつ連続的に構成されることが意図されていてよい。クッション層の縦方向長さは、基本構造の縦方向長さとは相違していて構わない。さらにクッション層の横方向長さに関しても、基本構造の横方向長さと相違していて構わない。しかしながら、基本構造とクッション層の縦方向長さ、および特に横方向長さは、一致しているほうが好ましい。
【0020】
クッション層は、高さ、構造に関して、および/または挿入および/または引き出しされる繊維および/または糸に関して、その縦方向長さおよび/または横方向長さにわたって可変に設けられ、あるいは部分領域にのみ設けられるのが特に好ましい。クッション層の高さとみなされるのは、基本構造の平面寸法と一致していない寸法である。クッション層は、特に、各領域で切毛またはループとして構成されていてよく、切毛とは、ばらばらの繊維端部が設けられることを意味しており、それに対してループでは、ばらばらの繊維端部または繊維束が設けられるのではなく、閉じた輪が基本構造から屹立してクッション層を形成する。クッション層の切毛ないしループの高さは、クッション層の縦方向長さまたは横方向長さにわたって連続的に変化することができ、あるいは区域的またはパターン的に、高さがジャガード織りの構成になるほどにまで変化することができる。さらに、クッション層のループ構成と切毛構成との間でも同じく変化を加えることができ、すなわち、この両者が組み合わされていてよい。最後に、それぞれ異なる糸または繊維、特に、異なる色の糸もしくは繊維、または異なる材料もしくは繊維太さもしくは糸太さのものを挿入し、または基本構造から引き出すことができ、それによりいっそう広い構成の選択肢が与えられる。
【0021】
特に、包帯またはバンデージのそのつどの用途に合わせてクッション層を適合化することが可能である。たとえば、圧迫療法で包帯またはバンデージが使用されるとき、包帯は、包帯またはバンデージがかさばりすぎることがないように、脚の足首やかかとに巻き付けるために低い切毛高さが設けられ、次いで、切毛高さまたはループ高さが後続の領域で増していくように設計することができる。たとえばリンパドレナージや、その他の人間、動物の身体の四肢についての他の用途の場合でも、これにほぼ準ずることが考えられる。
【0022】
さらに、たとえば距関節や手首関節のくるぶし構造のように解剖学的に規定される膨出部は、クッション層の相応の切欠きや、クッション層の高さの適合化によるクッション層の適合化によって、いっそう保全的に圧迫療法で処置することができ、それにより、いっそう高い作業確実性と、当て付け確実性とを提供することができる。所定の形状により、不具合のある当て付けをほぼ回避できるからである。
【0023】
基本構造は、織られた材料、編まれた材料、または織られていない材料(不織布)を含んでおり、特に、これらでできていることが意図されているのが好ましい。糸および/または繊維の挿入または引き出しは、ニードルパンチ、タフト加工、ディロア加工、および/または起毛によって行うことができる。さらに、このような種類の包帯およびバンデージは、二重層で織られたパイル織物のパイル糸および/またはパイル糸・糸の切断によって実現することもでき、それにより、それぞれ1つのクッション層を有する2つの包帯またはバンデージが得られ、または、アクスミンスターカーペットの製織に類似する方法で行うことができる。アクスミンスター織りでは、繊維束が製織プロセス中に挿入される。
【0024】
タフト加工の分野にはさまざまな実施形態がある。特に、繊維束形状またはループ形状、切毛ないしループの高低差、ならびに色パターンの選択肢、ないし異なる種類のヤーンおよび糸または繊維材料を混合する選択肢などに関して、違いが生じ得る。
【0025】
輪奈とも呼ばれるタフティングループ製品である、いわゆるブークレ製品が可能である。さらにはベロアが考えられ、すなわち、ループがすでにタフティングマシンで切断され、その後にきれいに切り揃えられる。均質な表面の外観を有している平坦な製品が得られる。従来式のベロアの他、ソフトベロアおよびセミベロアを挙げることができる。ベロアは、カットパイル製品とも呼ばれる。タフトをずらしたタフティングループおよびタフティングベロア製品も可能である(クロスオーバループおよびクロスオーバカット)。このときパターン全体で、ブークレとしてもベロアとしても製作することができ、すなわちループあるいは切毛製品として、ハイロー・バリエーションとしても製作することができる。原則として、混合形態すなわちベロア(切毛)とループ特性とを有する実施形態も実現することができ、すでにタフティングマシンで切断された毛足と、切断されていない毛足とを互い違いに交代させる。さらに、特にクッション層と反対を向いているほうの基本材料の面に、1つまたはそれ以上の別の層が、場合によりクッション層が、配置されていることが意図されていてよい。このような別の層は、粘着性または付着性の特性を有することができる。別案として、基本構造あるいはクッション層の繊維および/または糸を固定して安定化させるための積層が設けられていてもよい。
【0026】
さらに、それぞれ異なる色の繊維または糸を使用することで、たとえば顧客のロゴをタフティングで入れ、または織り込み、またはその他の可能な方法で挿入することも可能である。
【0027】
さらに、基本構造の1つまたは複数の層が縦方向および/または横方向で弾性的に構成されることが意図されていてよい。このとき、特に基本構造の経糸の弾性が意図されていてよい。弾性は、最大10N/cmの引張力と2.5kNの力変換器で計測されるヒステリシス曲線を記録するための非破壊式の力・伸長試験において、特に3%から240%の範囲内であってよく、ただし特に40%から180%の範囲内であってよい。包帯/バンデージにより生成可能な圧迫圧力は、静止して横たえた人間の脚でKikuhime社の圧力測定器を用いてインビボ静止圧として計測したとき、アキレス腱からヒラメ筋への移行部に巻き付けた包帯と皮膚との間において(規格RAL GZ387に定める測定点B1に準拠)、両方の脚に循環式に巻き付けて、巻き付けの完了後に圧力センサの上に位置する4つの層が重なり合うように巻いたときに、5mmHgから150mmHgの間であるのがよく、好ましくは10mmHgから90mmHgの間である。
【0028】
基本構造が織られた材料である場合、これは、特に平織りで織られていてよい。しかしながらこれ以外の織り方法も考えられ、特に、基本材料の長さおよび/または幅にわたって織り方法を変えることもできる。
【0029】
さらに、包帯またはバンデージは、クッション層を備えていないほうの面で、またはクッション層のない領域で、粘着性または付着性に構成されているか、またはコーティングされていることが意図されていてよい。このことは、滑り防止特性および改善された保持性、ならびにいわゆるセルフグリップに関わる利点と結びついている。
【0030】
基本材料の経糸と横糸については、ならびにクッション層を形成する糸または繊維については、特にパイル経糸については、次のような材料を使用することができ、基本材料の経糸ないし横糸、およびクッション層の糸または繊維は、それぞれ同一または異なる材料であってよい:木綿、ポリエステル、ポリアミド、ビスコース、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリル(ニトリル)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ弗化ビニル、エラスタン、羊毛。
【0031】
次に、図面を参照しながら本発明について詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ただ1枚の図面は、圧迫クッション包帯の考えられる実施形態を示しており、圧迫クッション包帯は、B)と示されている。クッション包帯はその全体について符号10が付されており、二重矢印Lで表示された縦方向長さを有しており、ならびに、二重矢印Bで表示された横方向長さを有している。面状の帯状区域(13)として構成され、横方向長さ(B)よりもはるかに大きい縦方向長さ(L)を有する基本構造14の両方の面のうち一方の面12には、クッション層16が、基本構造14の縦方向長さにわたって少なくとも部分的に面12へ取り付けられている。基本構造14の他方の面は、符号15が付されている。クッション層16は、基本構造14の繊維に挿入された糸または繊維によって構成されている。A)は、平織りで織られた経糸21および横糸22を有する繊維である基本構造14を示している。さらにこの繊維に、パイル糸18および20が挿入されており、これらのパイル糸18および20はそれぞれ異なる番手を有している。パイル糸18は、特にB)の領域19に見て取ることができるように、基本構造から突き出す糸の自由端を有している。このような構成は切毛またはベロアと呼ばれる。それに対してパイル糸20はループ形状に構成されており、それにより、輪奈またはループが基本構造14から突き出している(Bの領域23)。これらの輪奈と切毛が共同でクッション層16を形成する。このときクッション層16は、特に、基本構造14から引き出される、または基本構造14に挿入される、1つまたは複数の糸18、20が、それ自体と基本構造14との間でエアクッションを形成し、当て付けるときの低い圧力と、ある程度の可撓性とを得ることによって実現される。
【0033】
経糸21が弾性的に構成されているこのようなクッション圧迫包帯10は、同時に製造工学的に好都合な特性で、簡単な当て付け可能性という利点を有している。
図1