【実施例】
【0021】
実施例1
以下、本発明の実施例1にかかる着用物品1の構造が図面にしたがって説明される。
図1〜
図7は実施例1を示す。
【0022】
図1Aおよび
図1Bに示すように、本実施例1の着用物品1は、吸収性本体(内装部の一例)2、前後の一対の胴回り部材3,3(外装部の一例)を備えている。前記吸収性本体2は、フロント(front)部20、バック(back)部21および股部22を有している。フロント部20は着用者の前胴(胴の前部)を覆い胴回り方向Xに延びる。バック部21は着用者の後胴(胴の後部)を覆い胴回り方向Xに延びる。股部22は前記フロント部20とバック部21との間の着用者の股間を覆う。
【0023】
前記股部22はフロント部20およびバック部21に連なり、前記胴回り方向Xに直交する縦方向Yに延びる。前記吸収性本体2は股部22の一部又は全部を構成する。
【0024】
図1Aにおいて、本着用物品は、前記股部22が前記胴回り方向Xに平行な仮想のライン(line)において2つに折られた状態で着用される。これにより、前記前胴回り部材3と前記後胴回り部材3の胴回り方向Xの端部同士が互いに重なる。
【0025】
図1Bに示すように、前記吸収性本体2には吸収コア(core)24が設けられている。この吸収コア24は体液を吸収する。前記吸収コア24は、トップシート(top sheet)26とバックシート(back sheet)27との間で挟まれている。各シート26,27および吸収コア24は互いに積層されている。
【0026】
図1Bにおいて、前記トップシート26は透液性の薄い不織布からなり、吸収コア24の肌面を覆う。このトップシート26の上にはカフ(cuff)25が設けられていてもよい。トップシート26は本質的に非伸縮性の不織布からなる。
本発明において「肌面」とは、オムツの着用時に直接的または間接的に着用者の肌に接する内側の面を意味し、着用者の肌に直接的または間接的に対面する。
【0027】
前記バックシート27は吸収コア24の非肌面を覆い、液不透過性の樹脂シートからなる。前記バックシート27の非肌面には図示しない外装不織布が接着されて積層されていてもよい。前記樹脂シートおよび外装不織布は本質的に非伸縮性である。
本発明において「非肌面」とは、前記肌面とは反対側のオムツの着用時に着用者の肌に接しない外側の面を意味し、着用者の肌に対面しない。
【0028】
図1Aにおいて、吸収性本体2は前胴回り部材3と後胴回り部材3との間に架設されている。すなわち、前記吸収性本体2のフロント部20の前記縦方向Yの端部は、前記前胴回り部材3に貼り付けられている。一方、吸収性本体2のバック部21の前記縦方向Yの端部は、前記後胴回り部材3に貼り付けられている。
【0029】
前記前後の胴回り部材3は、それぞれ、前記吸収性本体2から胴回り方向Xに突出する一対の前フラップ(flap)Fおよび後フラップFを形成し、前記各フラップFは前後の胴回り部の一部を構成する。つまり、
図1Aに示すように、前記各フラップFは、股部22よりも胴回り方向Xに突出し、吸収性本体2(股部22)の両縁E1から胴回り方向Xに延び出ている。
【0030】
前記前後の各胴回り部材3は、後述する連続積層体L(
図5A)が切断されてなる。
図3に明示するように、前記各胴回り部材3は、それぞれ、弾性部材30および第1〜第3シート31〜33が互いに積層された積層体からなる。
【0031】
前記第1シート31および一対の第2シート32は、通気性を有する不織布で構成されている。前記第1シート31は、着用者の前胴または後胴から両側部まで胴回り方向Xに連続して延びる。一方、前記一対の第2シート32,32は前記前胴および後胴に設けられず、かつ、前記両側部に配置されるように、前記第1シート上に積層され胴回り方向Xに互いに離間して配置されている。
【0032】
前記弾性部材30は、前記第1シート31と第2シート32との間に挟まれており、前記胴回り方向Xに伸縮する。前記弾性部材30、前記第2シート32および前記第1シート31は、
図1Bに明示するように、前後のフラップFの部位において互いに積層されている。したがって、フラップFは3層となっている。
【0033】
前記弾性部材30は、前記胴回り方向Xに互いに離間して配置された一対の第2シート32,32の間の前後の胴部34において切断されている。これにより、前記弾性部材30の収縮力は前記一対の第2シート32,32の間の前後の胴部34において発揮されない状態となっている。
【0034】
図1Aに示すように、本実施例の場合、切断された弾性部材30の一方の端部30eは、第2シート32から前記前後の胴部34に向かって突出している。
前記弾性部材30は、各胴回り部材3を着用者にフィット(fit)させるためのものである。この弾性部材30としては、たとえば、複数本の糸ゴム(rubber)や平ゴム、フィルム(film)または熱可塑性樹脂を含む材料などを採用することができる。
【0035】
前記弾性部材30として糸ゴムを採用する場合、第1シート31および第2シート32の全面には接着剤を塗布せずに、
図2Bの第1シート31の凸部31pおよび弾性部材30にのみ接着剤を塗布して、第1シート31と第2シート32とで弾性部材30を挟んで前記積層体を形成してもよい。
なお、第1シート31と第2シート32とは前記接着剤ではなく、互いに部分的に溶着されて接合(seal)されていてもよい。
【0036】
前記胴回り部材3の前後の胴部34において、前記第1シート31の肌面側には不織布よりも平滑な表面を持つ前記第3シート33が積層されている。この第3シートは平滑な表面を持つので、図柄がプリント(print)され易い。
この第3シート33の非肌面には、
図1Bの仮想線および
図2Aの破線で示す図柄35が印刷されている。
【0037】
図1Bの前記第3シート33は一対の第2シート32,32の間にわたって配置されている。したがって、前記第3シート33は前記弾性部材30の露出した端部30eを覆うと共に、第2シート32の端において第2シート32にラップ(lap)している。これにより、弾性部材30の端部30eが着用者の肌に接するのを防止し得る。
【0038】
図2Bに示すように、前記第1シート31にはエンボス加工が施されて凹凸が形成されていてもよい。この場合、
図2Bのxxxで接着部分を示すように、第1シート31のエンボスの凸部31pにおいてのみ、第1シート31が第2および第3シート32,33に接着されていてもよい。
【0039】
図1Aにおいて、前記吸収性本体2は前記第2シート32が配置されていない前の胴部34と後の胴部24とにわたって配置されている。この実施例の場合、吸収性本体2は一対の前記第3シート33,33の間にわたって配置されており、前記第3シート33を介してのみ第1シート31に間接的に接合されている。
【0040】
吸収性本体2には、着用者の脚部に沿って括れた脚回り部が形成されてもよい。前記脚回り部や、前記胴回り部材3の脚回り部に連なる部位には、着用者の脚回りに沿うように、たとえば、糸ゴムなどからなる別の弾性部材が設けられていてもよい。
【0041】
着用物品がオムツである場合、前記後胴回り部材3には、図示しない雄面ファスナ(fastener)が固着され、一方、前胴回り部材3には雌面ファスナが固着されていてもよい。
【0042】
なお、雄面ファスナに代えて止着剤が塗布されたテープ(tape)材が用いられてもよく、この場合、前記止着剤が粘着し易い面を前記前胴回り部材3等に形成する必要がある。
また、着用物品がパンツ型である場合、前フラップFと後フラップFの胴回り方向Xの端部同士が溶着されていてもよい。
【0043】
つぎに、本着用物品の製造方法が
図5A〜
図7を用いて説明される。
【0044】
図3の第1シート31となる
図5Aの連続シートW1は、前記胴回り方向Xに沿った搬送方向X1に搬送されながら、
図7の一対の凹凸ロール51,52間に導入されて、エンボス加工が施される。前記エンボス加工は、前記不連続シートW2の配置前に行われる。前記エンボス加工は、前記連続シートW1の後述する不連続シートW2が配置される部位だけでなく、つまり、フラップFとなる部位だけでなく、更に、不連続シートW2が配置されていない部位について行われてもよい。
なお、前記エンボス加工の詳しい方法についてはJP2002−165830A又はJP2004−174234Aに開示されており、ここにその全ての記述が組み込まれる。
【0045】
前記エンボス加工後、前記連続シートW1の凸部には塗布機56により接着剤が塗布される。なお、連続シートW1および不連続シートW2は、いずれも通気性のある不織布からなる。
【0046】
一方、
図5Aおよび5Bの前記弾性部材30となる連続弾性部材F3が伸張した状態で前記連続シートW1上に配置される。前記連続弾性部材F3は前記連続シートW1の前記搬送方向X1に連続している。
【0047】
同時に、
図5Aの不連続シートW2が前記連続シートW1上に前記搬送方向X1に間欠的に次々に配置される。これにより、前記不連続シートW2と前記連続シートW1との間で前記連続弾性部材F3が挟まれて、連続積層体Lが形成される。前記不連続シートW2は
図6Aのように2つに切断されて後に第2シート32となる。なお、不連続シートW2は
図7の連続シートW21がカッタ(cutter)53で所定長に切断されて生成され、アンビル(anvil)54からニップロール(nip roll)55に供給され、更に、当該ニップロール55と凹凸ロール52との間に供給される。
【0048】
前記連続シートW1,連続弾性部材F3および不連続シートW2がロール52,55の間で挟まれて積層される際に、前記エンボス加工により前記不連続シートW2に向かって突出する前記連続シートW1の凸部31p(
図2B)において、前記連続シートW1と前記不連続シートW2とが接着剤により互いに接合される。
この接合は弾性部材F3が配置されていない部位において、前記連続シートW1と前記不連続シートW2とをヒートシール(heat seal)や超音波シールによりなされてもよい。この場合、これらのシールは搬送方向X1に間欠的又は連続的になされてもよい。
【0049】
その後、前記連続積層体Lは
図7のカッタ60に供給され、
図5Aおよび
図5Bの前記間欠的に配置された互いに隣り合う不連続シートW2,W2の間において前記連続弾性部材F3が切断される。この切断により、前記連続弾性部材F3による収縮力が取り除かれると共に、搬送方向X1に不連続の複数の弾性部材30が生成される。
前記切断により、弾性部材30の両端は不連続シートW2の端から露出した状態となる。
なお、連続シートW1上の連続弾性部材F3を切断する方法は、たとえば、US7,438,779B2に開示されており、ここに、その全ての記述が組み込まれる。
【0050】
前記切断後、
図7の前記連続積層体Lは一対のロール61,62間に導入される。一方、前記第3シート33となる連続シートW3がカッタ63で切断され、次々と第3シート33が生成される。これらの第3シート33は前記ロール61,62間に次々と導入され、第3シート33が連続積層体Lに積層される。
【0051】
すなわち、
図5Cおよび
図5Dの前記間欠的に配置された互いに隣り合う不連続シートW2,W2の間において、図柄35が印刷された第3シート33が前記連続シートW1上に接着されて積層される。前記第3シート33は不連続シートW2,W2の端を覆うと共に、前記弾性部材30の前記不連続シートW2から露出した端部30eを覆う。
【0052】
なお、
図5Aおよび
図5Cには、便宜上、連続積層体Lが1つだけ図示されているが、実際には、
図6Aに示すように、互いに平行な一対の連続積層体L,Lが生成される。
【0053】
図6Aの前記一対の連続積層体L,Lは
図7のニップロール71,72の間に供給される。一方、前記ニップロール71,72間には
図6Aの吸収性本体2が間欠的に供給され、前記前後の胴部34,34の間、つまり、一対の第3シート33,33の間に前記吸収性本体2が架設された状態で次々に配置される。
【0054】
前記架設後、個々の着用物品1を得るために、前記隣り合う吸収性本体2,2の間において、縦方向Yに延びる仮想の切断ラインに沿って連続積層体Lが切断される。つまり、前記搬送方向X1に直交する幅方向Yに延びる仮想の切断ラインに沿って前記連続シートW1、弾性部材30および不連続シートW2が切断される。
なお、前記切断後、個々の着用物品1は吸収性本体2において2つに折り畳まれて、オムツ又はパンツタイプの着用物品1となる。
【0055】
前記実施例1において、
図8に示すように、カッタ60は凹凸ロール52上において弾性部材30を切断してもよい。また、第3シート33は凹凸ロール52上において連続シートW1上に積層されてもよい。
【0056】
図9A〜
図12Bは実施例2を示す。以下、本実施例2については前記実施例1との相違部分について主に説明される。
この実施例においては、外装部3Aが吸収性本体2(内装部の一例)の非肌面の全面を覆っている。
【0057】
本実施例の場合、外装部3Aは1枚の第1シート31の上に、4枚の第2シート32と、2枚の第3シート33と、1つの吸収性本体2が積層されている。なお、外装部3Aにはレッグホール(leg hole)Hとなる切り欠きが形成されている。
【0058】
図10Aおよび
図10Bに示すように、第1シート31となる連続シートW1には、幅方向の端部および個々の着用物品1における胴回り方向Xの端部となる部位にフラップFを形成する4枚の不連続シートW2が次々に配置される。
【0059】
前記不連続シートW2の配置と共に連続弾性部材F3が連続シートW1と不連続シートW2との間に挟まれ、更に連続弾性部材F3が切断される。その後、
図11Aおよび
図11Bのように、一対の第3シート33,33が積層されて、
図12Aおよび
図12Bの連続積層体Lが形成される。この形成後に、前記一対の第3シート33,33に跨がって、かつ、連続シートW1に覆われるように、吸収性本体2が連続積層体L上に積層される。
【0060】
前記積層後、レッグホールHとなる孔H1がダイカット(die−cut)により連続シートW1に形成され、更に、連続積層体Lの先端部分が次々に切断されて、個々の着用物品1が次々に得られる。
【0061】
図13A〜
図13Dは実施例3の一部を示す。以下、本実施例3については前記実施例1との相違部分について主に説明される。
【0062】
本実施例の場合、前記連続弾性部材F3を切断する工程が前記第3シート33の配置後になされる。以下、この特徴について詳細に説明する。
【0063】
図13Aおよび
図13Bのように、連続弾性部材F3が連なった切断前の状態において、
図13Cおよび
図13Dのように、互いに隣り合う一対の不連続シートW2に跨るように、連続シートW1上に第3シート33が配置される。
【0064】
前記配置後、
図13Cの第3シート33の上から連続弾性部材F3を切断する。つまり、不連続の切り込み線100で示すように、第3シート33を切り込んで連続弾性部材F3を切断する。この例の場合、前記第3シート33が配置される領域の連続弾性部材F3には接着剤が塗布されておらず、したがって、切断された連続弾性部材F3は縮んで、不連続シートW2から端部30eがはみ出した状態となる。
【0065】
この例において、前記連続弾性部材F3の切断は第3シート33の図柄35以外の部分において行われる。また、前記切断はJP2002−113042Aのように第3シート33にエンボス加工を施すことにより実行されてもよい。
【0066】
また、この例において、不連続シートW2と第3シート33は連続シートW1上に別々に配置される必要はない。すなわち、不連続シートW2と第3シート33とを交互に連結した連結シートを連続弾性部材F3と共に連続シートW1上に積層してもよい。
【0067】
本実施例の着用物品1のその他の構造および製造方法は前記実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明および図示を省略する。
【0068】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、本製造方法によって製造される着用物品は、図柄を有していなくてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。