【0009】
アルキレン基Aとしては、-CH
2-基、-CH
2CH
2-基等が挙げられ、かかるアルキレン基を有するポリフルオロアルキルアルコール(パーフルオロアルキルアルキルアルコール)としては、2,2,2-トリフルオロエタノール(CF
3CH
20H)、3,3,3-トリフルオロプロパノール(CF
3CH
2CH
2OH)、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール(CF
3CF
2CH
20H)、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタノール(CF
3CF
2CH
2CH
2OH)、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンタノール(CF
3CF
2CF
2CF
2CH
20H)、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキサノール(CF
3CF
2CF
2CF
2CH
2CH
2OH)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクタノール(CF
3CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CH
2CH
2OH)等が例示される。
【実施例】
【0019】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0020】
実施例1
CF
3(CF
2)
3(CH
2)
2OH〔FA-4〕0.25gを30mlのメタノール中に加えて溶解させ、その溶液中にシリカゾル(日産化学製品メタノールシリカゾル;30重量%ナノシリカ含有、平均粒子径11nm)1.67g(ナノシリカとして0.50g)およびテトラエトキシシラン(東京化成製品;密度0.93g/ml)0.25mlを加え、マグネチックスターラで攪拌しながら、25重量%アンモニア水0.25mlを加え、5時間反応を行った。
【0021】
反応終了後、エバポレータを用いて減圧下でメタノールおよびアンモニア水を除去し、得られた粉末を約20mlのメタノール中で一夜再分散させた。翌日遠沈管を用いて遠心分離し、上澄みを捨て、新たなメタノールを加え、リンス作業を行った。このリンス作業を3回行った後、遠沈管の口をアルミニウムホイルで覆い、70℃のオーブン中に一夜入れた。その翌日50℃の真空乾燥機に一夜入れて乾燥し、0.582g(収率71%)の白色粉末を得た。
【0022】
得られた白色粉末の含フッ素ナノシリカコンポジット
粒子の粒子径およびそのバラツキを、25℃で固形分濃度1g/Lメタノール分散液について、動的光散乱(DLS)測定法によって測定した。また、熱重量分析(TGA)を、800℃の焼成前後について行った。その際、昇温速度は10℃/分とした。さらに、初期重量に対する焼成による減少重量の百分率も算出した。
【0023】
さらに、固形分濃度1重量%で分散させた
含フッ素ナノシリカコンポジット粒子の水〔H
2O〕、メタノール〔MeOH〕、エタノール〔EtOH〕、1,2-ジクロロエタン〔DCE〕およびテトラヒドロフラン〔THF〕に対する分散性を目視で観察し、次の評価基準にしたがって評価した。
○:均一に分散して、分散液は透明
△:やや分散して、分散液は白濁
×:分散せず、分散媒中に沈殿
【0024】
実施例2〜5
実施例1において、25重量%アンモニア水が種々に変更された。
【0025】
実施例6〜10
実施例1〜5において、含フッ素アルコールとして CF
3(CF
2)
5(CH
2)
2OH〔FA-6;C
2F
5(CF
2CF
2)
2(CH
2CH
2)OH〕が同量(0.25g)用いられた。
【0026】
実施例11〜15
実施例1〜5において、含フッ素アルコールとして CF
3(CF
2)
7(CH
2)
2OH〔FA-8;C
2F
5(CF
2CF
2)
3(CH
2CH
2)OH〕が同量(0.25g)用いられた。
【0027】
以上の各実施例におけるアンモニア水量、回収量、収率および各種測定結果は、次の表1に示される。また、その分散性評価は、表2に示される。
なお、収率は、テトラアルコキシシランが自己縮合反応し、3次元のシロキサン結合Si-Oを形成させ、その内の -O-Si-O-〔SiO
2〕骨格を生成するものとして、下記計算式より求めた。なお、シリカが用いられない場合には、C=0として計算される。
収率(%)=A/〔B+C+(D×E×F/G)〕×100
A:生成コンポジット重量(g)
B:含フッ素アルコール重量(g)
C:シリカ重量(g)
D:テトラアルコキシシラン容量(ml)
E:テトラアルコキシシラン密度(g/ml)
F:テトラアルコキシシラン由来のSiO
2モル重量(g/モル)
G:テトラアルコキシシランモル重量(g/モル)
表1
含フッ素ナノシリカ
aq、NH
3 回収量 収率
コンポジット粒子径(nm) 重量減
実施例 (ml) (g) (%) 焼成前 800℃焼成後 (%)
1 0.25 0.582 71 36.8± 9.9 39.0± 3.1 7
2 0.50 0.559 68 30.1± 7.3 39.5± 9.9 7
3 1.0 0.352 43 69.1±13.9 45.3±10.9 7
4 2.0 0.419 51 41.5±10.2 42.6± 9.2 7
5 4.0 0.571 70 34.0± 7.6 139.8±25.5 7
6 0.25 0.500 61 35.3± 8.3 53.3±11.4 8
7 0.50 0.580 71 40.5±11.3 40.5±12.0 6
8 1.0 0.590 72 40.5±13.0 62.3±18.5 6
9 2.0 0.488 60 105.3±19.0 97.5±30.2 7
10 4.0 0.426 52 45.4±13.2 60.9±17.1 6
11 0.25 0.521 64 41.7±13.7 81.7±21.6 7
12 0.50 0.481 59 28.2± 6.0 32.2± 9.8 6
13 1.0 0.475 58 56.6±11.5 53.7±10.2 6
14 2.0 0.516 63 53.6±11.4 55.1±14.5 6
15 4.0 0.565 69 39.7± 9.2 35.4±12.8 7
表2
実施例 H2O MeOH EtOH DCE THF
1 △ ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ ○ ○ ○
3 ○ ○ ○ ○ ○
4 ○ ○ ○ ○ ○
5 ○ ○ ○ ○ ○
6 ○ ○ ○ ○ ○
7 ○ ○ ○ ○ ○
8 △ ○ ○ ○ ○
9 ○ ○ ○ ○ ○
10 ○ ○ ○ ○ ○
11 ○ ○ ○ ○ ○
12 ○ ○ ○ ○ ○
13 ○ ○ ○ ○ ○
14 ○ ○ ○ ○ ○
15 ○ ○ ○ ○ ○
【0028】
参考例1〜3
実施例13〜15において、メタノールシリカゾルが用いられなかった。
【0029】
以上の参考例1〜3におけるアンモニア水量
、回収量、収率および各種測定結果は、次の表3に示される。また、その分散性評価は、表4に示される。
表3
含フッ素ナノ
aq、NH
3 回収量 収率
コンポジット粒子径(nm) 重量減
参考例 (ml) (g) (%) 焼成前 800℃焼成後 (%)
1 1.0 0.065 20 54.5±12.0 16.6± 3.8 18
2 2.0 0.059 19 21.1± 6.0 26.4± 6.0 17
3 4.0 0.065 20 37.3± 8.1 49.6±11.2 17
表4
参考例 H2O MeOH EtOH DCE THF
1 ○ ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ ○ ○ ○
3 △ ○ ○ ○ ○
【0030】
実施例21〜35、参考例11〜13
前記実施例1〜15および参考例1〜3で得られた焼成前の含フッ素ナノシリカコンポジット粒子(実施例21〜35)および焼成前の含フッ素ナノコンポジット粒子(参考例11〜13)のメタノール分散液(粒子濃度5g/L)を、ガラスプレパラートにディッピングし、室温下で乾燥させ、得られた薄層表面に室温条件下で4μlの液滴を静かに接触させ、n-ドデカンまたは水に付着した液滴の接触角(単位:°)を、θ/2法により接触角計(協和界面化学製DropMaster 300)で測定した。なお、水については経時的な測定が行われた。得られた結果は、次の表5に示される。
表5
水 (経過時間:分)
例 コンポジット ドデカン 0 5 10 15 20 25 30
実施例21 実施例1 35 21 10 0 0 0 0 0
〃 22 〃 2 7 22 17 15 13 11 10 7
〃 23 〃 3 4 7 0 0 0 0 0 0
〃 24 〃 4 0 7 0 0 0 0 0 0
〃 25 〃 5 0 0 0 0 0 0 0 0
〃 26 〃 6 49 28 0 0 0 0 0 0
〃 27 〃 7 46 48 27 26 24 20 20 17
〃 28 〃 8 16 19 19 16 14 13 10 8
〃 29 〃 9 14 11 0 0 0 0 0 0
〃 30 〃 10 19 16 7 0 0 0 0 0
〃 31 〃 11 114 37 34 33 31 30 30 28
〃 32 〃 12 108 61 58 52 49 46 45 41
〃 33 〃 13 123 59 17 0 0 0 0 0
〃 34 〃 14 125 23 13 10 8 0 0 0
〃 35 〃 15 127 91 18 4 0 0 0 0
参考例11 参考例1 50 52 48 45 38 34 29 25
〃 12 〃 2 45 62 54 47 44 37 33 25
〃 13 〃 3 43 35 29 26 22 18 14 9