(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
異なる化学的又は物理的性質を含む、2又はそれ以上の実質的に均質な分子内セグメント又はブロックを含む、エチレン/α−オレフィンインターポリマーであって、前記分子内セグメントは最確分子量分布を有することを特徴とし、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーがハードセグメント及びソフトセグメントを含み、且つ
(a)1.7〜3.5のMw/Mnを有し;
(b)ハードセグメントにおいて、前記ハードセグメント中の全モノマー含有量に基づいて70重量パーセント〜85重量パーセントの範囲内のエチレン含有量を有し;
(c)(v)前記エチレン含有量対GPC−IRによって測定される分子量の対数がプロットされた線が、4以下の傾き絶対値mを有するような、重量パーセントで表された前記エチレン含有量と分子量の対数との関係を有し;且つ
(d)油中の前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの1.0重量パーセント溶液において1.5NTU未満の濁度を有し、
ブロックコポリマーが、制御されたブロック配列分布を有し、前記ソフトセグメントが、前記ソフトセグメント中の全モノマー含有量に基づいて35重量パーセント〜80重量パーセントの範囲内のコモノマーを有する、
エチレン/α−オレフィンインターポリマー。
異なる化学的又は物理的性質を含む、2又はそれ以上の実質的に均質な分子内セグメント又はブロックを含む、エチレン/α−オレフィンインターポリマーであって、前記分子内セグメントは最確分子量分布を有することを特徴とし、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーがハードセグメント及びソフトセグメントを含み、且つ
(a)1.7〜3.5のMw/Mnを有し;
(b)ハードセグメントにおいて、前記ハードセグメント中の全モノマー含有量に基づいて70重量パーセント〜85重量パーセントの範囲内のエチレン含有量を有し;
(c)(v)前記エチレン含有量対GPC−IRによって測定される分子量の対数がプロットされた線が、4以下の傾き絶対値mを有するような、重量パーセントで表された前記エチレン含有量と分子量の対数との間の関係を有し;且つ
(d)油中の前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの1.0重量パーセント溶液において1.5NTU未満の濁度を有し、
ブロックコポリマーが、制御されたブロック配列分布を有し、前記ソフトセグメントが、前記ソフトセグメント中の全モノマー含有量に基づいて35重量パーセント〜80重量パーセントの範囲内のコモノマーを有する、
エチレン/α−オレフィンインターポリマー。
コモノマーの総重量パーセントが前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのコモノマーの10重量パーセント以内である比較用ランダムエチレンインターポリマーのTmよりも低いTmを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一般的定義
「ポリマー」とは、モノマー(同じタイプであるか異なるタイプであるかを問わない)を重合することによって製造されるポリマー化合物を意味する。「ポリマー」という総称は、用語「ホモポリマー」「コポリマー」「ターポリマー」及び「インターポリマー」を包含する。
【0019】
「インターポリマー」とは、少なくとも二つの異なるタイプのモノマーの重合によって製造されるポリマーを意味する。「インターポリマー」という総称は、用語「コポリマー」(通常は二つの異なるモノマーから製造されるポリマーを指すために使用される)及び用語「ターポリマー」(通常は三つの異なるタイプのモノマーから製造されるポリマーを指すために使用される)を包含する。これは、4又はそれ以上のタイプのモノマーを重合することによって製造されるポリマーも包含する。
【0020】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は、広く、エチレン及び3個又はそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含むポリマーを指す。好ましくは、エチレンはポリマー全体の過半モル分率を構成する。すなわちエチレンはポリマー全体の少なくとも約50モルパーセントを構成する。より好ましくは、エチレンが少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、又は少なくとも約80モルパーセントを構成し、ポリマー全体の実質的残余が少なくとも一つの他のコモノマー(好ましくは3個又はそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンであるもの)を含む。多くのエチレン/プロピレンコポリマーに関して、好ましい組成は、ポリマーの重量に基づいて約55重量パーセント〜約75重量パーセントの範囲内、好ましくは約60重量パーセント〜約73重量パーセントの範囲内のエチレン含有量を含む。いくつかの実施形態では、本エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、低収率で生成するもの、又は微量に生成するもの、又はある化学プロセスの副生成物として生成するものを含まない。本エチレン/α−オレフィンインターポリマーは1つ以上のポリマーと配合されうるが、そのまま(as-produced)のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは実質的に純粋であり、多くの場合、重合プロセスの反応生成物の主要成分を構成する。
【0021】
用語「擬似ブロックコポリマー」又は「ブロックコポリマー」は、異なる化学的又は物理的性質、例えば一様でないコモノマー含有量、結晶性、密度、タクティシティ、レジオエラ(regio-error)、又は他の性質を有する、2又はそれ以上のブロック又はセグメントを含むコポリマーを指す。非隣接ブロックは必ずしも同一の化学組成を有するわけではなく、上述の事項の1又はそれ以上において、他の全てのブロック又は領域の組成と異なってもよい。
【0022】
擬似ブロックコポリマーは、通例、さまざまな量の「ハード」セグメント及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントとは、重合された単位のブロックであって、エチレンが、そのポリマーの重量に基づいて、約60重量パーセント〜約95重量パーセントの範囲内、好ましくは約70重量パーセント〜約85重量パーセントの範囲内の量で存在するものを指す。これに対し、「ソフト」セグメントとは、重合された単位のブロックであって、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、そのポリマーの重量に基づいて、約30重量パーセント〜約80重量パーセントの範囲内、好ましくは約35重量パーセント〜約80重量パーセントの範囲内にあるものを指す。
【0023】
ソフトセグメントは、多くの場合、ブロックインターポリマー中に、そのブロックインターポリマーの全重量の約1重量パーセントから約99重量パーセントまで、好ましくは、そのブロックインターポリマーの全重量の約5重量パーセントから約95重量パーセントまで、約10重量パーセントから約90重量パーセントまで、約15重量パーセントから約85重量パーセントまで、約20重量パーセントから約80重量パーセントまで、約25重量パーセントから約75重量パーセントまで、約30重量パーセントから約70重量パーセントまで、約35重量パーセントから約65重量パーセントまで、約40重量パーセントから約60重量パーセントまで、又は約45重量パーセントから約55重量パーセントまで存在することができる。逆に、ハードセグメントも同様の範囲内で存在することができる。ポリマーは、存在するハードセグメントの量が40%を上回る場合にハードセグメントマジョリティ(hard segment majority)を有するといい、ハードセグメントの量が60%未満である場合にソフトセグメントマジョリティ(soft segment majority)を有するという。ソフトセグメント重量百分率及びハードセグメント重量百分率は、DSC又はNMRから得られるデータに基づいて計算することができる。そのような方法及び計算は、米国特許出願第11/376,835号、米国特許出願公開第2006−0199930号、発明の名称「Ethylene/α-Olefin Block Interpolymers」、出願日2006年3月15日、発明者Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlittら、及び譲受人Dow Global Technologies Inc.に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
用語「結晶質」が使用される場合、この用語は、示差走査熱量測定法(DSC)又は等価な技法によって決定される一次転移点又は結晶融点(Tm)を有するポリマーを指す。この用語は用語「半結晶質」と可換的に使用することができる。用語「非晶質」は、示差走査熱量測定法(DSC)又は等価な技法によって決定される結晶融点を欠くポリマーを指す。
【0025】
低結晶性ハードブロックを含有するエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、100℃未満の融点を有するハードブロックを有するポリマーである。これらのポリマーは、高融点ブロックコポリマーとは、それらの主用途がポリマーブレンド成分の相溶化及び/又は溶媒及び油におけるポリマーの溶解度の改善である点で異なる。用途には、油粘度調整剤、熱可塑性オレフィン耐衝撃性改良剤及び相溶化剤、エラストマー架橋及びヒートシールポリマーが含まれる。これらのような用途は、低く且つ幅広い熱硬化及びヒートシール作業温度を有するポリマーを必要とする。
【0026】
本ポリマーを作製するのに役立つプロセスは国際公開第2007/035485号パンフレットに記載されており、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特に本ポリマーは、付加重合可能なモノマー又はモノマーの混合物を、付加重合条件下で、少なくとも一つの付加重合触媒、助触媒及び可逆的連鎖移動剤(chain shuttling agent)を含む組成物と接触させることを含むプロセスによって作製することができ、前記プロセスは、定常状態重合条件下で稼働する2若しくはそれ以上の反応器、又はプラグフロー重合条件下で稼働する反応器の2若しくはそれ以上のゾーンにおける、差別化されたプロセス条件下での、成長ポリマー鎖の少なくともいくつかの形成を特徴とする。所望であれば、連鎖停止剤、例えば水素を使って、反応器粘度又はポリマー分子量を制御してもよい。
本発明のコポリマーは、ポリマー多分散度(PDI又はMw/Mn)及びブロック長分布のユニークな分布を特徴とし、二つ又は三つ(好ましくは二つ)の異なるブロック組成を有する。これは、好ましい実施形態では、1又はそれ以上の可逆的移動剤(shuttling agent)を、高活性金属錯体に基づく重合触媒と組み合わせて、異なる重合条件下で稼働する2又はそれ以上の重合反応器又はゾーンにおいて使用することの効果によるものである。より具体的に述べると、本発明のコポリマーは、望ましくは、1.7〜2.9、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.8〜2.2、最も好ましくは1.8〜2.1のPDIを有する。本コポリマーは1.8未満のPDIも有しうる。
【0027】
以下の説明において、本明細書に開示する数字は全て、「約」又は「およそ」という単語がそれと共に使用されているかどうかにかかわりなく、概数である。これらは、1パーセント、2パーセント、5パーセント、又は時には10〜20パーセント変動しうる。下限R
L及び上限R
Uを有する数値範囲が開示される場合は常に、その範囲内に収まる任意の数字が明確に開示される。特に、その範囲内の以下の数字が明確に開示される:R=R
L+k×(R
U−R
L)[式中、kは、1パーセント刻みで1パーセントから100パーセントまで変動する変数である。すなわちkは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント、・・・、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、又は100パーセントである]。さらにまた、上に定義した二つのR数によって定義される任意の数値範囲も明確に開示される。
【0028】
本明細書に開示されるのは、異なる化学的又は物理的性質を含む、2又はそれ以上の実質的に均質な分子内セグメント又はブロックを含む、エチレン/α−オレフィンインターポリマーであって、前記分子内セグメントは最確分子量分布を有することを特徴とし、エチレン/α−オレフィンインターポリマーがハードセグメント及びソフトセグメントを含み、且つ
【0029】
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し;
【0030】
(b)ハードセグメントにおいて、ハードセグメント中の全モノマー含有量に基づいて60重量パーセント〜95重量パーセントの範囲内のエチレン含有量を有し;
(c)(i)少なくとも40%の量のハードセグメント、摂氏温度で表された少なくとも一つの融点Tm、及び重量パーセントで表されたエチレンの量C
2重量%を有し、Tm及びC
2重量%の数値が関係:
90℃≧Tm≧4.1276(C
2重量%)−244.76
に相当するか;又は
(ii)40%未満のハードセグメント組成、摂氏温度で表された少なくとも一つの融点Tm、及び重量パーセントで表されたエチレンの量C
2重量%を有し、Tm及びC
2重量%の数値が関係:
80℃≧Tm≦4.1276(C
2重量%)−264.95
に相当するか;又は
(iii)ゼロより大きく約1.0までの平均ブロックインデックス及び約1.3より大きい分子量分布M
w/M
nを特徴とするか;又は
(iv)低温TREFを使って分画した時に、同じ温度範囲に溶出する比較用ランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーのモル含有量よりも少なくとも5パーセント高いコモノマーのモル含有量を有することを特徴とする、0℃と130℃の間に溶出する分子画分を有する(この場合、前記比較用ランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを有し、さらに溶融指数、密度を有し、さらに当該エチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれの10パーセント以内にあるコモノマーのモル含有量(ポリマー全体に基づく)を有する)か;又は
(v)エチレン含有量対GPC−IRによって測定される分子量の対数がプロットされた線が、4以下の傾き絶対値mを有するような、重量パーセントで表されたエチレン含有量と分子量の対数との間の関係を有し;且つ
(d)比較用コポリマーの濁度測定値より低いか比較用コポリマーの濁度測定値に等しい、油中のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの1.0重量パーセント溶液又はドデカン中の1.5重量パーセント溶液の濁度測定値を有する(この場合、比較用コポリマーは、55℃より高い温度において±5J/g以内で同じDSCエンタルピ(J/g)及び10%以内で同じ総エチレン含有量を有する)、
エチレン/α−オレフィンインターポリマーである。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明は、異なる化学的又は物理的性質を含む、2又はそれ以上の実質的に均質な分子内セグメント又はブロックを含む、エチレン/α−オレフィンインターポリマーであって、前記分子内セグメントは最確分子量分布を有することを特徴とし、エチレン/α−オレフィンインターポリマーがハードセグメント及びソフトセグメントを含み、且つ
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し;
(b)ハードセグメントにおいて、ハードセグメント中の全モノマー含有量に基づいて60重量パーセント〜95重量パーセントの範囲内のエチレン含有量を有し;
(c)(i)少なくとも40%の量のハードセグメント、摂氏温度で表された少なくとも一つの融点Tm、及び重量パーセントで表されたエチレンの量C
2重量%を有し、Tm及びC
2重量%の数値が関係:
0℃≧Tm≧3.4405(C
2重量%)−218.99
に相当するか;又は
(ii)40%未満のハードセグメント組成、摂氏温度で表された少なくとも一つの融点Tm、及び重量パーセントで表されたエチレンの量C
2重量%を有し、Tm及びC
2重量%の数値が関係:
80℃≧Tm≦4.1276(C
2重量%)−264.95
に相当するか;又は
(iii)ゼロより大きく約1.0までの平均ブロックインデックス及び約1.3より大きい分子量分布M
w/M
nを特徴とするか;又は
(iv)低温TREFを使って分画した時に、同じ温度範囲に溶出する比較用ランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーのモル含有量よりも少なくとも5パーセント高いコモノマーのモル含有量を有することを特徴とする、0℃と130℃の間に溶出する分子画分を有する(この場合、前記比較用ランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを有し、さらに溶融指数、密度を有し、さらに当該エチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれの10パーセント以内にあるコモノマーのモル含有量(ポリマー全体に基づく)を有する)か;又は
(v)エチレン含有量対GPC−IRによって測定される分子量の対数がプロットされた線が、4以下の傾き絶対値mを有するような、重量パーセントで表されたエチレン含有量と分子量の対数との間の関係を有し;且つ
(d)比較用コポリマーの濁度測定値より低いか比較用コポリマーの濁度測定値に等しい、油中のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの1.0重量パーセント溶液又はドデカン中の1.5重量パーセント溶液の濁度測定値を有する(この場合、比較用コポリマーは、55℃より高い温度において±5J/g以内で同じDSCエンタルピ(J/g)及び10%以内で同じ総エチレン含有量を有する)、
エチレン/α−オレフィンインターポリマーを提供する。
もう一つの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、少なくとも40%の量のハードセグメント、摂氏温度で表された少なくとも一つの融点Tm、及び重量パーセントで表されたエチレンの量C
2重量%を有し、Tm及びC
2重量%の数値が関係:
0℃≧Tm≧3.4405(C
2重量%)−212.42
に相当する。
本エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、上記の特徴の一つ又はその任意の組み合わせを有することができる。
【0032】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実施形態において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(「本発明のインターポリマー」又は「本発明のポリマー」ともいう)は、エチレン及び1又はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを、重合された形で含み、化学的又は物理的性質が異なる2又はそれ以上の重合されたモノマー単位のセグメントを特徴とする(ブロックインターポリマー)。これらの擬似ブロックコポリマーは、異なる化学的又は物理的性質を含む、2又はそれ以上の実質的に均質な分子内セグメント又はブロックを含み、前記分子内セグメントは最確分子量分布を有することを特徴とする。
【0033】
ある態様において、本エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、昇温溶離分別法(「TREF」)を使って分画した時に0℃と130℃の間に溶出する分子画分を有し、前記画分が、同じ温度範囲に溶出する比較用ランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーのモル含有量よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高いコモノマーのモル含有量を有することを特徴とする(この場合、比較用ランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを含有し、さらに溶融指数、密度を有し、さらに当該ブロックインターポリマーのそれの10パーセント以内にあるコモノマーのモル含有量(ポリマー全体に基づく)を有する)。好ましくは、比較用インターポリマーのMw/Mnも当該ブロックインターポリマーのMw/Mnの10パーセント以内にあり、且つ/又は比較用インターポリマーは、当該ブロックインターポリマーのそれの10重量パーセント以内にある総コモノマー含有量を有する。
【0034】
いくつかの実施形態において、本擬似ブロックインターコポリマーは、ポアソン分布よりもシュルツ−フローリ(Schultz-Flory)分布に当てはまるPDIを有する。本コポリマーはさらに、ブロックサイズの多分散分布を有すること、及びブロック長の最確分布を有することを特徴とする。好ましいブロックコポリマーは、末端ブロックを含めて2又はそれ以上のブロック又はセグメントを含有するものである。
【0035】
コモノマー含有量は任意の適切な技法を使って測定することができ、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技法は好ましい。さらにまた、比較的幅広いTREF曲線を有するポリマー又はポリマーのブレンドについては、ポリマーを、望ましくは、まず最初にTREFを使って、それぞれが10℃又はそれ以下の溶出温度範囲を有する画分に分画する。すなわち各溶出画分は、10℃又はそれ以下の収集温度ウインドウを有する。この技法を使用した場合、前記ブロックインターポリマーは、比較用インターポリマーの対応する画分よりも高いコモノマーのモル含有量を有するような画分を、少なくとも一つは有する。
【0036】
もう一つの態様では、本発明のポリマーが、オレフィンインターポリマー、好ましくはエチレン及び1又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを重合された形で含むものであって、化学的又は物理的性質が異なる2又はそれ以上の重合されたモノマー単位のいくつかのブロック(すなわち少なくとも2つのブロック)又はセグメントを特徴とし(ブロック型インターポリマー)、前記ブロックインターポリマーは0℃と130℃の間に溶出するピーク(ただし単なる分子画分ではない)を有し(ただし個々の画分を収集及び/又は単離することはない)、前記ピークが、半値全幅(FWHM)面積計算を使って展開した場合に、赤外線分光法によって見積られるコモノマー含有量を有し、半値全幅(FWHM)面積計算を使って展開された同じ溶出温度の比較用ランダムエチレンインターポリマーピークの値よりも高い(好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高い)コモノマーの平均モル含有量を有することを特徴とする(この場合、前記比較用ランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを有し、さらに溶融指数、密度を有し、さらに当該ブロック型インターポリマーのそれの10パーセント以内にあるコモノマーのモル含有量(ポリマー全体に基づく値)を有する)。好ましくは、比較用インターポリマーのM
w/M
nも、当該ブロック型インターポリマーのM
w/M
nの10パーセント以内にあり、且つ/又は比較用インターポリマーが、当該ブロック型インターポリマーのそれの10重量パーセント以内にある総コモノマー含有量を有する。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外検出器から得られるメチレンに対するメチルの応答面積の比[CH
3/CH
2]に基づき、ここでは、ベースラインから最も高い(最高)ピークを特定してから、そのFWHM面積が決定される。ATREFピークを使って測定される分布の場合、FWHM面積はT
1とT
2の間の曲線下面積と定義され、ここにT
1及びT
2は、ピーク高さを2で割ってからATREF曲線の左部分及び右部分と交差する線をベースラインに対して水平に引くことによってATREFピークの左側及び右側に決定される点である。コモノマー含有量に関する較正曲線は、ランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーを使用し、NMRから得られるコモノマー含有量をTREFピークのFWHM面積比に対してプロットすることによって作成される。この赤外法の場合、関心対象と同じコモノマータイプについて較正曲線が作成される。本発明のポリマーのTREFピークのコモノマー含有量は、そのTREFピークのFWHMメチル:メチレン面積比[CH
3/CH
2]を使って、この較正曲線を参照することにより、決定することができる。
【0037】
赤外検出器によるATREFピークコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成は、Polymer Char(スペイン、バレンシア)(http://www.polymerchar.com/)から入手可能なIR4赤外検出器を使って測定することができる。
【0038】
検出器の「組成モード(composition mode)」は、2800〜3000cm
−1領域の固定狭帯域赤外線フィルタである測定センサ(measurement sensor)(CH
2)及び組成センサ(composition sensor)(CH
3)を装備している。測定センサは、ポリマー上のメチレン(CH
2)炭素(これは溶液中のポリマー濃度に直接関係する)を検出し、一方、組成センサはポリマーのメチル(CH
3)基を検出する。組成シグナル(CH
3)を測定シグナル(CH
2)で割った数値比は、溶液中の被測定ポリマーのコモノマー含有量に鋭敏であり、その応答は、公知のエチレン・アルファ−オレフィンコポリマー標準物質を使って較正される。
【0039】
この検出器は、ATREF装置と共に使用した場合、TREFプロセス中に、溶出されるポリマーの濃度(CH
2)及び組成(CH
3)シグナル応答をどちらも与える。ポリマー特異的な較正は(好ましくはNMRで測定された)公知のコモノマー含有量を有するポリマーについてCH
3対CH
2の面積比を測定することによって行うことができる。あるポリマーのATREFピークのコモノマー含有量は、個々のCH
3及びCH
2応答について、面積の比の基準較正(すなわち面積比CH
3/CH
2対コモノマー含有量)を適用することによって見積ることができる。
【0040】
ピークの面積は、TREFクロマトグラムから個々のシグナル応答を積分するために適切なベースラインを適用した後、半値全幅(FWHM)計算を使って算出することができる。この半値全幅計算は、ATREF赤外検出器から得られるメチル対メチレン応答面積の比[CH
3/CH
2]に基づくものであり、ここでは、ベースラインから最も高い(最高)ピークを特定してから、そのFWHM面積が決定される。ATREFピークを使って測定される分布の場合、FWHM面積はT1とT2の間の曲線下面積と定義され、ここにT1及びT2は、ピーク高さを2で割ってからATREF曲線の左部分及び右部分と交差する線をベースラインに対して水平に引くことによってATREFピークの左側及び右側に決定される点である。
【0041】
このATREF−赤外法においてポリマーのコモノマー含有量を測定するためになされる赤外線分光法の応用は、次の文献に記述されているGPC/FTIRシステムの場合と、基本的に類似している:Markovich, Ronald P.; Hazlitt, Lonnie G.; Smith, Linley; 「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers」 Polymeric Materials Science and Engineering (1991), 65, 98-100及びDeslauriers, P.J.; Rohlfing, D.C.; Shieh, E.T.; 「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy (SEC-FTIR)」 Polymer (2002), 43, 59-170(これらの文献はどちらも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0042】
別の実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、ゼロより大きく約1.0までの平均ブロックインデックスABI、及び約1.3より大きい分子量分布M
w/M
nを特徴とする。平均ブロックインデックスABIは、分取TREFにおいて20℃から110℃まで5℃刻みで得られるポリマー画分のそれぞれについてのブロックインデックス(「BI」)の重量平均である:
ABI=Σ(w
iBI
i)
[式中、BI
iは、分取TREFで得られる本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の画分に関するブロックインデックスであり、w
iは、i番目の画分の重量百分率である]。
【0043】
各ポリマー画分について、BIは、以下の二つの式(これらはどちらも同じBI値を与える)のうちの一方によって定義される:
BI=(1/T
x−1/T
X0)/(1/T
A−1/T
AB)
又は
BI=(LnP
x−LnP
X0)/(LnP
A−LnP
AB)
式中、T
Xはi番目の画分に関する分取ATREF溶出温度(好ましくはケルビンで表したもの)である。P
Xは、i番目の画分に関するエチレンモル分率であり、これは上述のようにNMR又はIRによって測定することができる。P
ABはエチレン/α−オレフィンインターポリマー全体(分別前)のエチレンモル分率であり、これもNMR又はIRによって測定することができる。T
A及びP
Aは、純粋な「ハードセグメント」(これはインターポリマーの結晶質セグメントを指す)に関するATREF溶出温度及びエチレンモル分率である。一次近似として、「ハードセグメント」に関する実際の値を利用できない場合には、T
A値及びP
A値を、高密度ポリエチレンホモポリマーに関する値に設定する。ここで行った計算の場合、T
Aは372°K、P
Aは1である。
【0044】
T
ABは、同じ組成のランダムコポリマー(P
ABというエチレンモル分率を有するもの)に関するATREF溶出温度である。T
ABは次の式から算出することができる:
LnP
AB=α/T
AB+β
[式中、α及びβは二つの定数であり、これらは、いくつかの公知ランダムエチレンコポリマーを使った較正によって決定することができる]。α及びβは装置毎に変動しうることに注意すべきである。さらにまた、関心対象のポリマー組成を使って、且つ当該画分と類似する分子量範囲で、それぞれの較正曲線を作成する必要があるだろう。わずかな分子量効果がある。較正曲線が類似する分子量範囲から得られるのであれば、そのような効果は本質的に無視することができる。いくつかの実施形態では、ランダムエチレンコポリマーが次の関係を満たす:
LnP=−237.83/T
ATREF+0.639
T
X0は、同じ組成のランダムコポリマー(P
Xというエチレンモル分率を有するもの)に関するATREF温度である。T
X0はLnP
X=α/T
X0+βから算出することができる。逆に、P
X0は、同じ組成のランダムコポリマー(T
XというATREF温度をもつもの)に関するエチレンモル分率であり、これはLnP
X0=α/T
X+βから算出することができる。
【0045】
各分取TREF画分に関するブロックインデックス(BI)が得られたら、ポリマー全体についての重量平均ブロックインデックスABIを算出することができる。いくつかの実施形態において、ABIはゼロより大きいが、約0.3よりは小さく、又は約0.1〜約0.3である。別の実施形態において、ABIは約0.3より大きく約1.0までである。好ましくは、ABIは、約0.4〜約0.7、約0.5〜約0.7、又は約0.6〜約0.9の範囲内にあるべきである。いくつかの実施形態では、ABIが、約0.3〜約0.9、約0.3〜約0.8、又は約0.3〜約0.7、約0.3〜約0.6、約0.3〜約0.5、約0.3〜約0.4の範囲内にある。別の実施形態では、ABIが、約0.4〜約1.0、約0.5〜約1.0、又は約0.6〜約1.0、約0.7〜約1.0、約0.8〜約1.0、又は約0.9〜約1.0の範囲内にある。
【0046】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのもう一つの特徴は、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、分取TREFによって得ることができる少なくとも一つのポリマー画分を含み、その画分が約0.1より大きく約1.0までのブロックインデックス、及び約1.3より大きい分子量分布M
w/M
nを有することである。いくつかの実施形態では、上記ポリマー画分が、約0.6より大きく約1.0まで、約0.7より大きく約1.0まで、約0.8より大きく約1.0まで、又は約0.9より大きく約1.0までのブロックインデックスを有する。別の実施形態では、上記ポリマー画分が、約0.1より大きく約1.0まで、約0.2より大きく約1.0まで、約0.3より大きく約1.0まで、約0.4より大きく約1.0まで、又は約0.4より大きく約1.0までのブロックインデックスを有する。さらに別の実施形態では、上記ポリマー画分が、約0.1より大きく約0.5まで、約0.2より大きく約0.5まで、約0.3より大きく約0.5まで、又は約0.4より大きく約0.5までのブロックインデックスを有する。さらに別の実施形態では、上記ポリマー画分が、約0.2より大きく約0.9まで、約0.3より大きく約0.8まで、約0.4より大きく約0.7まで、又は約0.5より大きく約0.6までのブロックインデックスを有する。
【0047】
エチレンとα−オレフィンとのコポリマーの場合、本発明のポリマーは、好ましくは、(1)少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、又は少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.6で、最大値5.0まで、より好ましくは最大値3.5まで、とりわけ最大値2.7までのPDI;(2)80J/g又はそれ以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含有量;(4)−25℃未満、より好ましくは−30℃未満のガラス転移温度T
g、及び/又は(5)唯一のT
mを有する。
【0048】
さらに、本エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01〜2000g/10分、好ましくは0.01〜1000g/10分、より好ましくは0.01〜500g/10分、とりわけ0.01〜100g/10分の溶融指数I
2を有することができる。一定の実施形態では、本エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、0.01〜10g/10分、0.5〜50g/10分、1〜30g/10分、1〜6g/10分又は0.3〜10g/10分の溶融指数I
2を有する。一定の実施形態では、本エチレン/α−オレフィンポリマーの溶融指数が、1g/10分、3g/10分又は5g/10分である。
【0049】
本ポリマーは、1,000g/モル〜5,000,000g/モル、好ましくは1000g/モル〜1,000,000g/モル、より好ましくは10,000g/モル〜500,000g/モル、とりわけ10,000g/モル〜300,000g/モルの分子量M
wを有することができる。本発明のポリマーの密度は、0.80〜0.99g/cm
3であることができ、エチレン含有ポリマーの場合、好ましくは0.85g/cm
3〜0.97g/cm
3であることができる。一定の実施形態では、本エチレン/α−オレフィンポリマーの密度が、0.860〜0.925g/cm
3又は0.867g/cm
3〜0.910g/cm
3の範囲にわたる。
いくつかの実施形態では、本エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、さらに、−25℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは35℃〜75℃の範囲内のTmを有する。いくつかの実施形態では、それらが15℃〜50℃、30℃〜45℃又は35℃〜40℃の範囲内のTmも有しうる。いくつかの実施形態では、本インターポリマーが、10%以内で同じコモノマー重量パーセントを有する比較用ランダムコポリマーのTmよりも低いTmを有する。また、いくつかの実施形態では、融解終点が100℃未満、好ましくは85℃〜95℃の範囲内にある。
【0050】
本エチレン/α−オレフィンインターポリマーは添加剤及び補助剤も含みうる。適切な添加剤には、限定するわけではないが、充填剤、例えば有機又は無機粒子、例えば粘土、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、金属粉末、有機又は無機繊維、ナノサイズ粒子、粘土など;粘着付与剤、エキステンダー油、例えばパラフィン系油又はナフテン系油(napthelenic oil);並びに他の天然及び合成ポリマー(本発明の実施形態による他のポリマーを含む)が含まれる。さらに、微量の異なるポリマーをいずれかの添加剤の担体として使用してもよい。そのようなポリマーの一例として、ポリエチレン、例えばAFFINITY(登録商標)樹脂(The Dow Chemical Company)又はEXACT(登録商標)樹脂(ExxonMobil Chemical Company)が挙げられる。
【0051】
代表的な触媒及び可逆的連鎖移動剤は次のとおりである。それぞれの説明後に化学構造を記載する。
触媒(A1)は、国際公開第03/40195号、米国特許出願公開第2003/0204017号、米国特許出願第10/429,024号(出願日2003年5月2日)及び国際公開第04/24740号パンフレットの教示内容に従って製造される[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【化1】
触媒(A2)は、国際公開第03/40195号パンフレット、米国特許出願公開第2003/0204017号、米国特許出願第10/429,024号(出願日2003年5月2日)及び国際公開第04/24740号パンフレットの教示内容に従って製造される[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【化2】
触媒(A3)は、ビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【化3】
触媒(A4)は、実質的に米国特許出願公開第2004/0010103の教示内容に従って製造されるビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルである。
【化4】
触媒(A5)は(ビス−(1−メチルエチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルである。
【化5】
触媒(A5)の調整は次のように行なわれる。
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調整
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピルアミンに加える。溶液は素早く明黄色に変化する。周囲温度で3時間撹拌した後、揮発物を減圧下で除去して明黄色結晶質固体を得る(収率97パーセント)。
b)(ビス−(1−メチルエチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調整
(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2mmol)の5mL トルエン溶液を、Zr(CH
2Ph)
4(500mg、1.1mmol)の50mL トルエン溶液にゆっくり加えた。その結果生じた暗黄色溶液を30分間撹拌する。溶媒を減圧下で除去して、所望の生成物を赤褐色固体として得る。
触媒(A6)はビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルである。
【化6】
触媒(A6)の調整は次のように行なわれる。
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調整
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(90mL)に溶解し、ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(di-t-butylsalicaldehyde)(10.00g、42.67mmol)を加える。反応混合物を3時間撹拌した後、12時間にわたって−25℃に冷却する。その結果生じた黄色固形沈殿物を濾過によって集め、冷メタノール(15mL×2)で洗浄した後、減圧下で乾燥する。収量は11.17gの黄色固体である。
1H NMRは異性体の混合物としての所望の生成物と合致する。
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調整
(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)の200mL トルエン溶液を、Zr(CH
2Ph)
4(5.28g、11.6mmol)の600mL トルエン溶液にゆっくり加える。その結果生じた暗黄色溶液を25℃で1時間撹拌する。その溶液を680mL トルエンでさらに希釈して、0.00783Mの濃度を有する溶液を得る。
触媒(A7)は、実質的に米国特許第6,268,444号の技法に従って調整される(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルである。
【化7】
触媒(A8)は、実質的に米国特許出願公開第2003/004286号の教示内容に従って調整される(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルである。
【化8】
触媒(A9)は、実質的に米国特許出願公開第2003/004286号の教示内容に従って調整される(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタンジメチルである。
【化9】
触媒(A10)は、Sigma−Aldrichから入手することができるビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)ジルコニウムジクロリドである。
【化10】
【0052】
可逆的移動剤
使用可能な可逆的移動剤には、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)、及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)が含まれる。
【0053】
本発明のインターポリマーは、コモノマー含有量が異なるブロック(ホモポリマーブロックを含む)を交互に含むことができる。本発明のインターポリマーでは、異なる密度又はコモノマー含有量を有するポリマーブロックのブロックサイズが、シュルツ−フローリ型の分布である分布を有する。
【0054】
本発明の実施形態で用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、好ましくは、エチレンと少なくとも一つのC
3−C
20α−オレフィンとのインターポリマーである。エチレンとC
3−C
20α−オレフィンとのコポリマーはとりわけ好ましい。本インターポリマーは、C
4−C
18ジオレフィン及び/又はアルケニルベンゼンを、さらに含みうる。エチレンとの重合に役立つ適切な不飽和コモノマーには、例えばエチレン系不飽和モノマー、共役又は非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼンなどが含まれる。そのようなコモノマーの例には、C
3−C
20α−オレフィン、例えばプロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが含まれる。プロピレン及び非共役ジエンは好ましい。他の適切なモノマーには、スチレン、ハロ置換スチレン又はアルキル置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、及びナフテン系化合物(naphthenics)(例えばシクロペンテン、シクロヘキセン及びシクロオクテン)が含まれる。
【0055】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは好ましいポリマーであるが、他のエチレン/オレフィンポリマーも使用することができる。本明細書にいうオレフィンとは、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素系化合物のファミリを指す。触媒の選択に依存して、本発明の実施形態では、任意のオレフィンを使用することができる。好ましくは、適切なオレフィンは、ビニル系不飽和を含有するC
3−C
20脂肪族及び芳香族化合物、並びに環状化合物、例えばシクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、及びノルボルネン(例えば、限定するわけではないが、C
1−C
20ヒドロカルビル基又はシクロヒドロカルビル基で5位及び6位が置換されているノルボルネンなど)である。そのようなオレフィンの混合物、並びにそのようなオレフィンとC
4−C
40ジオレフィン化合物との混合物も含まれる。
【0056】
オレフィンモノマーの例には、限定するわけではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C
4−C
40ジエン類(限定するわけではないが、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンを含む)、他のC
4−C
40α−オレフィンなどが含まれる。一定の実施形態では、α−オレフィンが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン又はそれらの組み合わせである。本発明の実施形態にはビニル基を含有する任意の炭化水素を潜在的に使用しうるが、実用上の問題、例えばモノマーの入手可能性、コスト、及び結果として生じるポリマーから未反応のモノマーを都合よく除去できるかどうかなどは、モノマーの分子量が高くなり過ぎるほど、より大きな問題になりうる。
【0057】
本明細書に記載する重合プロセスは、モノビニリデン芳香族モノマー、例えばスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどを含むオレフィンポリマーの製造に適している。特に、エチレン及びスチレンを含むインターポリマーは、本明細書の教示内容に従うことによって製造することができる。場合によっては、エチレン、スチレン及びC
3−C
20α−オレフィンを含み、場合によってはC
4−C
20ジエンを含む、改良された性質を有するコポリマーを製造することができる。
【0058】
適切な非共役ジエンモノマーは、6〜15個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素ジエンであることができる。適切な非共役ジエンの例には、限定するわけではないが、直鎖非環式ジエン、例えば1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、分岐鎖非環式ジエン、例えば5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン並びにジヒドロミリセン(dihydromyricene)及びジヒドロオシネン(dihydroocinene)の混合異性体、単環脂環式ジエン、例えば1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエン及び1,5−シクロドデカジエン、並びに多環脂環式縮合及び架橋環ジエン、例えばテトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル及びシクロアルキリデンノルボルネン、例えば5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、及びノルボルナジエンが含まれる。EPDMを製造するために典型的に用いられるジエンのうち、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、及びジシクロペンタジエン(DCPD)である。とりわけ好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)及び1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0059】
本発明の実施形態に従って作製することができる望ましいポリマーの一クラスは、エチレン、C
3−C
20α−オレフィン、とりわけプロピレン、及び場合によっては1又はそれ以上のジエンモノマーの、エラストマーインターポリマーである。本発明のこの実施形態で使用するための好ましいα−オレフィンは、式:CH
2=CHR
*で示される(式中、R
*は、1〜12個の炭素原子を有する線状又は分岐アルキル基である)。適切なα−オレフィンの例には、限定するわけではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、及び1−オクテンが含まれる。特に好ましいα−オレフィンはプロピレンである。プロピレン系ポリマーは、当分野では一般に、EP又はEPDMポリマーと呼ばれる。そのようなポリマー、とりわけマルチブロックEPDM型ポリマーの製造に使用するための適切なジエンには、4〜20個の炭素を含む、共役又は非共役、直鎖若しくは分岐鎖−、環状−又は多環式−ジエンが含まれる。好ましいジエンには、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、及び5−ブチリデン−2−ノルボルネンが含まれる。特に好ましいジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0060】
このジエン含有ポリマーは、ジエン含有量(ジエンを含有しない場合を含む)及びα−オレフィン含有量(α−オレフィンを含有しない場合を含む)が異なるセグメント又はブロックを交互に含むので、ジエン及びα−オレフィンの総量を減らしても、結果として生じるポリマーの性質が失われない。すなわち、ジエンモノマー及びα−オレフィンモノマーは、ポリマー全体にわたって均一に又はランダムに組み込まれるのではなく、ポリマーのあるタイプのブロック中に優先的に組み込まれるので、それらはより効率よく利用され、その結果として、ポリマーの架橋密度を、より良く制御することができる。そのような架橋可能エラストマー及び硬化生成物は、有利な性質、例えばより高い引張強さ及びより良い弾性回復率などを有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、異なる量のコモノマーを組み込む二つの触媒を使って作製された本発明のインターポリマーが、それによって形成されるブロックについて、95:5〜5:95の重量比を有する。本ポリマーは、望ましくは、ポリマーの全重量に基づいて、20〜90パーセントのエチレン含有量、0.1〜10パーセントのジエン含有量、及び10〜80パーセントのα−オレフィン含有量を有する。さらに好ましくは、本擬似ブロックポリマーは、ポリマーの全重量に基づいて、60〜90パーセントのエチレン含有量、0.1〜10パーセントのジエン含有量、及び10〜40パーセントのα−オレフィン含有量を有する。好ましいポリマーは、10,000〜約2,500,000、好ましくは20,000〜500,000、より好ましくは20,000〜350,000の重量平均分子量(Mw)、3.5未満、より好ましくは3.0未満の多分散度、及び1〜250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する高分子量ポリマーである。より好ましくは、そのようなポリマーは、65〜75パーセントのエチレン含有量、0〜6パーセントのジエン含有量、及び20〜35パーセントのα−オレフィン含有量を有する。
【0062】
本エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、そのポリマー構造中に少なくとも一つの官能基を組み込むことによって、官能化することができる。典型的な官能基には、例えばエチレン系不飽和単官能性及び二官能性カルボン酸、エチレン系不飽和単官能性及び二官能性カルボン酸無水物、その塩及びそのエステルが含まれる。そのような官能基は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフトすることができ、又はエチレン及び随意の追加コモノマーと共重合させて、エチレン、官能性コモノマー及び場合によっては他のコモノマーのインターポリマーを形成させることができる。ポリエチレンに官能基をグラフトするための手段は、例えば米国特許第4,762,890号、同第4,927,888号及び同第4,950,541号に記述されており、これらの特許の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特に有用な官能基の一つは、無水リンゴ酸である。
【0063】
官能性インターポリマー中に存在する官能基の量はさまざまであることができる。官能基は、典型的には、少なくとも約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量で、コポリマー型官能化インターポリマー中に存在することができる。官能基は、典型的には、コポリマー型官能化インターポリマー中に、約40重量パーセント未満、好ましくは約30重量パーセント未満、より好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在するだろう。
【0064】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、いくつかの用途に使用することができ、そのような用途の限定でない一組の例を以下に挙げる。本インターポリマーはポリプロピレン用の耐衝撃性改良剤;ランダムエチレン/アルファオレフィンコポリマー又はターモノマー及びポリプロピレン用の相溶化剤として使用することができ、また本インターポリマーはエチレン/アルファオレフィンコポリマー又はエチレン/アルファオレフィン/非共役ジエンターモノマーのいずれかと共にペルオキシド架橋エラストマーとして使用することができる。さらにまた、融点が低いので標準的な熱硬化性用途における製造にも対応できる。そのような用途には、限定するわけではないが、コンベヤベルト材料;Vベルト材料;架橋発泡体、例えば限定するわけではないが、履き物の中底発泡体、発泡マット、ウェットスーツ、押出スポンジ異形材、二重硬度スポンジ/中実体(dual hardness sponge/solid)共押出異形材、シングルプライ(single ply)屋根ふき材、及び風防ワイパなどが含まれる。
エチレン/アルファオレフィン/非共役ジエンターモノマー組成物の場合は、硫黄又はフェノール硬化型のエラストマー組成物を生成させることができる。ペルオキシド架橋エラストマーについて記載したものと類似する用途を用いることができる。
本発明の組成物は、熱可塑性又は熱硬化性用途における油展ゲルコンパウンドにも使用することができる。
加えて、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、騒音、振動及びハーシュネス(NVH)制御関連用途にも使用することができる。
【0065】
以下の実施例は本発明の実施形態を例示するために提示するものであって、ここに説明する特定の実施形態に本発明を限定しようとするものではない。別段の表示がない限り、割合及び百分率は全て重量による。数値は全て概数である。数値範囲を記載する場合、明記した範囲外の実施形態であっても本発明の範囲に包含される可能性はあると理解すべきである。各実施例で述べる特定の詳細を、本発明に欠かすことのできない特徴であるとみなしてはならない。
【実施例】
【0066】
試験方法
下記の実施例では、以下の解析技法を使用する。
【0067】
GPC−IR法
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)
ゲル浸透クロマトグラフィシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210装置又はPolymer Laboratories Model PL−220装置のどちらかである。カラム区画及びカルーセル区画は150℃で稼働させる。4本のPolymer Laboratories 20ミクロンMixed−Aカラムを使用する。溶媒は1,2,4トリクロロベンゼンである。試料は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムのポリマー濃度で調製する。試料は、160℃で2時間、軽く撹拌することによって調製する。使用する注入体積は200マイクロリットルであり、流量は1.0ml/分である。
【0068】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量間に少なくとも1桁の隔たり(a decade of separation)がある6個の「カクテル」混合物に配置された、580から8,400,000までにわたる分子量を有する、21の狭分子量分布ポリスチレン標準物質を使って行う。標準物質はPolymer Laboratories(英国シュロップシャー(Shropshire, UK))から購入する。ポリスチレン標準物質は、1,000,000又はそれ以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中に0.025グラムの濃度で調製し、1,000,000未満の分子量については50ミリリットル中に0.05グラムの濃度で調製する。ポリスチレン標準物質を穏やかに撹拌しながら80℃で30分間溶解する。まず最初に、狭分子量分布標準物質(narrow standards)混合物を、分解を最小限に抑えるために最も高分子量の成分から低分子量の成分へと順に流す。ポリスチレン標準物質ピーク分子量は、次の式(Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Let., 6, 621 (1968)に記載されているもの)を使ってポリエチレン分子量に変換される:M
ポリエチレン=0.431(M
ポリスチレン)。
【0069】
ポリエチレン換算分子量計算はViscotek TriSECソフトウェアVersion3.0を使って行う。
【0070】
赤外検出器による分子量−コモノマー組成の測定
GPC曲線全体にわたるコモノマー組成を、Polymer Char(スペイン、バレンシア(Valencia, Spain))(http://www.polymerchar.com/)から入手可能なIR4赤外検出器を使って測定することができる。
【0071】
検出器の「組成モード」は、2800〜3000cm
−1領域の固定狭帯域赤外線フィルタである測定センサ(CH
2)及び組成センサ(CH
3)を装備している。測定センサは、ポリマー上のメチレン(CH
2)炭素(これは溶液中のポリマー濃度に直接関係する)を検出し、一方、組成センサはポリマーのメチル(CH
3)基を検出する。組成シグナル(CH
3)を測定シグナル(CH
2)で割った数値比は、溶液中の被測定ポリマーのコモノマー含量に鋭敏であり、その応答は、公知のエチレン・アルファオレフィンコポリマー標準物質を使って較正される。
【0072】
この検出器は、GPC装置と共に使用した場合、GPCプロセス中に、溶出されるポリマーの濃度(CH
2)及び組成(CH
3)シグナル応答をどちらも与える。ポリマー特異的な較正は(好ましくはNMRで測定された)公知のコモノマー含有量を有するポリマーについてCH
3対CH
2の面積比を測定することによって行うことができる。あるポリマーのコモノマー分布は、個々のCH
3及びCH
2応答について、面積の比の基準較正(すなわち面積比CH
3/CH
2対コモノマー含有量)を適用することによって見積ることができる。
【0073】
各溶出体積においてCH
3/CH
2応答の比をとることにより、そのポリマーの組成に対する応答が測定される。適当な基準較正を適用した後、その組成応答を使って、各溶出体積におけるコモノマー量を見積ることができる。GPCプロファイル全体の積分はそのポリマーの平均コモノマー含有量を与え、一方、コモノマー対分子量から得られる線の傾きはコモノマー分布の均一性の指標を与える。組成決定のためにGPCクロマトグラフを積分する場合は、クロマトグラムの両端でそのポリマーの5重量パーセントより大きくなるように、積分領域を設定するべきである。
【0074】
このシステムにおいてポリマーのコモノマー含有量を測定するためになされる赤外線分光法の応用は、次の文献に記述されているGPC/FTIRシステムと、基本的に類似している。
【0075】
Markovich, Ronald P.; Hazlitt, Lonnie G.; Smith, Linley; 「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers」 Polymeric Materials Science and Engineering (1991), 65, 98-100。
【0076】
Deslauriers, P.J.; Rohlfing, D.C.; Shieh, E.T.; 「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy (SEC-FTIR)」 Polymer (2002), 43, 59-170。
【0077】
DSC標準法
示差走査熱量測定結果は、RCS冷却アクセサリ及びオートサンプラを装備したTAIモデルQ1000DSCを使って決定する。50ml/分の窒素パージガス流を使用する。試料を、薄膜に圧搾し、圧搾機中、約175℃で融解し、次に室温(25℃)まで空冷する。次に3〜10mgの材料を直径6mmのディスクに切断し、正確に秤量し、軽量アルミパン(約50mg)に入れてから、圧着して閉じた。試料の熱挙動を次の温度プロファイルで調べる。それ以前の熱履歴を取り除くために、試料を180℃まで急速に加熱し、3分間等温に保持する。次に試料を10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃に3分間保持する。次に試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する。その冷却曲線及び第二加熱曲線を記録する。
【0078】
DSC融解ピークを−30℃と融解終点との間に引いた直線ベースラインに対する熱流量(W/g)の極大として測定する。融解熱は直線ベースラインを使って−30℃と融解終点との間の融解曲線下の面積として測定される。
【0079】
密度
密度測定用の試料はASTM D1928に従って調製する。測定はASTM D792,Method Bを使って、試料の圧搾から1時間以内に行う。
【0080】
溶融指数
溶融指数、すなわちI
2は、ASTM D1238,Condition 190℃/2.16kgに従って測定する。溶融指数、すなわちI
10も、ASTM D1238,Condition 190℃/10kgに従って測定する。
ムーニー粘度
【0081】
ムーニー粘度は、ASTM D1646−06に従って、125℃、ML1+4で測定する(MU)。
【0082】
ATREF
分析用昇温溶離分別(ATREF)解析は米国特許第4,798,081及びWilde, L.; Ryle, T.R.; Knobeloch, D.C.; Peat, I.R. 「Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymer」 J. Polym. Sci., 20, 441-455 (1982)(これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って行なう。解析しようとする組成物をトリクロロベンゼンに溶解し、0.1℃/分の冷却速度で、温度を20℃までゆっくり下げることにより、不活性支持体(ステンレス鋼ショット)を含有するカラム中で結晶させる。このカラムには赤外検出器が装備される。次に、溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の速度で20℃から120℃までゆっくり上昇させて、結晶化したポリマー試料をカラムから溶出させることにより、ATREFクロマトグラム曲線を生成させる。
【0083】
13C NMR解析
試料は、約3gの50/50 テトラクロロエタン−d
2/オルトジクロロベンゼン混合物を10mmNMRチューブ中の0.4gの試料に加えることによって調製する。チューブ及びその内容物を150℃に加熱することによって試料を溶解し、均質化する。データは、100.5MHzの
13C共鳴周波数に相当するJEOL Eclipse(商標)400MHz分光計又はVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を使って収集する。6秒のパルス繰り返し遅延時間で、1データファイルあたり4000回の積算回数を使って、データを取得する。定量解析用に最低限のシグナル対ノイズ比を達成するために、複数のデータファイルを足し合わせる。スペクトル幅は25,000Hz、最小ファイルサイズは32Kデータポイントである。試料は10mm広帯域プローブ中、130℃で解析する。コモノマーの組み込みは、ランドルのトライアド法(Randall's triad method)(Randall, J.C.; JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29, 201-317 (1989))(この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を使って決定する。
【0084】
さらなる
13C NMR解析法
以下に、25〜30重量パーセント未満のエチレンで相違するエチレン/プロピレンセグメント/ブロック組成を有するエチレン−プロピレン・オレフィン・ブロックコポリマーの組成、配列分布、及び非晶質ブロックと半結晶質ブロックの比を、NMR積分とコモノマー濃度の間の関係を使って決定するためのNMR法を概説する。
どちらのブロックも特定の触媒によって作製されるジブロックコポリマーの場合、NMR積分は次の式に当てはまる:
I=P×f(E1)+(1−P)×f(E2)
[式中、
Iは、コポリマーの選択したピークに関する積分である。
Pは、第1ブロックの重量分率である。
E1は、第1ブロック中のエチレンの濃度である。
E2は、第2ブロック中のエチレンの濃度である。
f(E1)は、第1ブロックからの積分寄与である。
f(E2)は、第2ブロックからの積分寄与である ]。
3つより多くの積分があり、未知数(P、E1及びE2)は3つしかないので、P、E1及びE2の最適解を、標準化したNMR積分から得ることができる。
第2段階では、プロセスパラメータから予想される値に相当する初期値をE1に割り当てて、対応する積分を式で算出する。
第3段階では、プロセスパラメータから予想される値に相当する初期値をE2に割り当てて、対応する積分を式で算出する。
第4段階では、プロセスパラメータから予想される値に相当する初期値をPに割り当てて、式:I=P×f(E1)+(1−P)×f(E2)を使って、シミュレートされた積分を得る。
最後に、生の標準化された積分とシミュレートされた積分の間の算出された残留誤差を最小化して残留誤差の和を最小化することにより、P、E1及びE2を得る。
【0085】
TREFによるポリマー分画
大規模TREF分画は、15〜20gのポリマーを2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)に160℃で4時間撹拌して溶解することによって行う。30〜40メッシュ(600〜425μm)の球状工業用ガラスビーズ(Potters Industries(76801テキサス州ブラウンウッド(Brownwood, TX)HC30ボックス20)から入手可能)とステンレス鋼製の直径0.028インチ(0.7mm)のカットワイヤショット(Pellets,Inc.(14120ニューヨーク州ノーストナワンダ(North Tonawanda, NY)、インダストリアル・ドライブ63)から入手可能)の60:40(v:v)混合物を充填した3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)のスチール製カラムに、ポリマー溶液を15psig(100kPa)の窒素によって圧入する。このカラムを160℃に初期設定された熱制御オイルジャケットに浸漬する。このカラムを、まず、125℃まで弾道的に(ballistically)冷却し、次に毎分0.04℃の速度で20℃まで徐冷して、1時間保持する。温度を毎分0.167℃の速度で上昇させながら、約65ml/分の速度で、新鮮なTCBを導入する。
【0086】
分取TREFカラムからの溶離液を約2000mlずつ、16ステーション加熱フラクションコレクタで収集する。各画分中のポリマーを、約50〜100mlのポリマー溶液が残るまで、ロータリエバポレータを使って濃縮する。その濃縮溶液を一晩静置してから、過剰のメタノールを加え、濾過し、洗浄する(最終の洗浄を含めて約300〜500mlのメタノール)。濾過ステップは、3位置真空利用濾過ステーション(3 position vacuum assisted filtering station)で、5.0μmポリテトラフルオロエチレンコート濾紙(Osmonics Inc.から入手可能、カタログ番号Z50WP04750)を使って行う。濾過された画分を真空オーブン中、60℃で一晩乾燥し、さらなる試験に先だって、化学天秤で秤量する。
【0087】
濁度
油溶液又は溶媒溶液の濁度は、HACH RATIO Turbidimeter Model 18900を使用し、0〜20NTU分解能スケール(resolution scale)(±0.1NTU)を使って測定した。
【0088】
触媒
「一晩」という用語を使用する場合、これは、約16〜18時間の時間を指し、用語「室温」は20〜25℃の温度を指し、用語「混合アルカン」はExxonMobil Chemical CompanyからIsopar E(登録商標)という商品名で入手することができるC
6−9脂肪族炭化水素の市販混合物を指す。本明細書において化合物の名称がその構造図と合致しない場合は、構造図が優先するものとする。全ての金属錯体の合成及び全てのスクリーニング実験の準備は、ドライボックス技法を使って乾燥窒素雰囲気下で行う。使用する溶媒は全てHPLCグレードとし、その使用前に乾燥させる。
【0089】
MMAOは、変性メチルアルモキサン、Akzo−Nobel Corporationから市販されているトリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサンを指す。
【0090】
助触媒1 長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Incから入手可能)、HCl及びLi[B(C
6F
5)
4]の反応により、実質的に米国特許第5,919,9883の実施例2に開示されているように調製される、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートのメチルジ(C14−18アルキル)アンモニウム塩の混合物(以下、
アルメエニウムボレート)。
【0091】
助触媒2 米国特許第6,395,671号の実施例16に従って調製される、ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C
14−18アルキルジメチルアンモニウム塩。
【0092】
実施例1〜4、比較例A
直列に連結した二つの連続槽型反応器(continuous stirred tank reactor)(CSTR)を使ってエチレン/プロピレンコポリマーを製造する。各反応器は液圧的に充満(hydraulically full)していて、定常状態条件で稼働するように設定する。可逆的移動剤(SA1)を、触媒A−1、助触媒1、捕捉剤(トリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサン、MMAO、Akzo−Nobel,Inc.から入手可能)及び溶媒(混合アルカン(Isopar(商標)E、ExxonMobil Chemicals,Inc.から入手可能))と共に、第1反応器に加える。二つの反応器の稼働条件を表1及び2に記載する。ポリマーの性質を表3に記載する。
【0093】
実施例5〜12
直列に構成された二つの再循環ループ反応器からなる非断熱重合システムを使って実施例5〜12を生産する。可逆的移動剤(SA1)を、触媒A−1、助触媒1、捕捉剤(トリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサン、MMAO、Akzo−Nobel,Inc.から入手可能)及び溶媒(混合アルカン(Isopar(商標)E、ExxonMobil Chemicals,Inc.から入手可能))と共に、第1反応器に加える。二つの反応器の稼働条件を表1及び2に記載する。ポリマーの性質を表3に記載する。
比較例BはParatone 8941(ExxonMobil Chemical Co.)であり、比較例CはNordel 225(The Dow Chemical Company)である。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0094】
GPC−IR及び濁度測定
GPC曲線全体にわたるコモノマー組成をGPC−IRによってモニタした。コモノマー含有量対分子量分率の数値をプロットし、線mx+bに当てはめた。傾き絶対値|m|並びに油及びドデカンにおける濁度を下記表6に記載する。表からわかるように、本発明のポリマーの場合、|m|は4未満であり、濁度は比較用コポリマーの濁度と等しいか又はそれ以下であり、55℃を上回る温度におけるDSCエンタルピ(J/g)ΔH
>55℃は同程度である。
【表6】
【0095】
本発明を、限られた数の実施形態に関して説明したが、ある実施形態の特定の特徴が、本発明の他の実施形態に起因すると考えてはならない。本発明の全ての態様を代表するような単一の実施形態はない。いくつかの実施形態では、組成物又は方法が、本明細書において言及していない数多くの化合物又はステップを含みうる。別の実施形態では、組成物又は方法が、本明細書には列挙されていない化合物又はステップを含まないか、実質的に含まない。ここに記載した実施形態からの変形及び変更態様が存在する。最後に、本明細書に開示する数字はいずれも、その数字を記載する際に「約」又は「およそ」という単語を使用するかどうかにかかわらず、概数であるとみなすべきである。添付の特許請求の範囲は、これらの変更態様及び変形の全てを、本発明の範囲に含まれるものとして包含するものとする。
なお、本願発明は、以下のものを含む。
(1)異なる化学的又は物理的性質を含む、2又はそれ以上の実質的に均質な分子内セグメント又はブロックを含む、エチレン/α−オレフィンインターポリマーであって、前記分子内セグメントは最確分子量分布を有することを特徴とし、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーがハードセグメント及びソフトセグメントを含み、且つ
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し;
(b)ハードセグメントにおいて、前記ハードセグメント中の全モノマー含有量に基づいて60重量パーセント〜95重量パーセントの範囲内のエチレン含有量を有し;
(c)(i)少なくとも40%の量のハードセグメント、摂氏温度で表された少なくとも一つの融点Tm、及び重量パーセントで表されたエチレンの量C2重量%を有し、Tm及びC2重量%の数値が関係:
90℃≧Tm≧4.1276(C2重量%)−244.76
に相当するか;又は
(ii)40%未満のハードセグメント組成、摂氏温度で表された少なくとも一つの融点Tm、及び重量パーセントで表されたエチレンの量C2重量%を有し、Tm及びC2重量%の数値が関係:
80℃≧Tm≦4.1276(C2重量%)−264.95
に相当するか;又は
(iii)ゼロより大きく約1.0までの平均ブロックインデックス及び約1.3より大きい分子量分布Mw/Mnを特徴とするか;又は
(iv)低温TREFを使って分画した時に、同じ温度範囲に溶出する比較用ランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーのモル含有量よりも少なくとも5パーセント高いコモノマーのモル含有量を有することを特徴とする、0℃と130℃の間に溶出する分子画分を有する(この場合、前記比較用ランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを有し、さらに溶融指数、密度を有し、さらに前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれの10パーセント以内にあるコモノマーのモル含有量(ポリマー全体に基づく)を有する)か;又は
(v)エチレン含有量対GPC−IRによって測定される分子量の対数がプロットされた線が、4以下の傾き絶対値mを有するような、重量パーセントで表されたエチレン含有量と分子量の対数との関係を有し;且つ
(d)比較用コポリマーの濁度測定値以下である、油中の前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの1.0重量パーセント溶液又はドデカン中の1.5重量パーセント溶液の濁度測定値を有する(この場合、前記比較用コポリマーは、55℃より高い温度において±5J/g以内で同じDSCエンタルピ(J/g)及び10%以内で同じ総エチレン含有量を有する)、
エチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(2)異なる化学的又は物理的性質を含む、2又はそれ以上の実質的に均質な分子内セグメント又はブロックを含む、エチレン/α−オレフィンインターポリマーであって、前記分子内セグメントは最確分子量分布を有することを特徴とし、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーがハードセグメント及びソフトセグメントを含み、且つ
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し;
(b)ハードセグメントにおいて、前記ハードセグメント中の全モノマー含有量に基づいて60重量パーセント〜95重量パーセントの範囲内のエチレン含有量を有し;
(c)(i)少なくとも40%の量のハードセグメント、摂氏温度で表された少なくとも一つの融点Tm、及び重量パーセントで表されたエチレンの量C2重量%を有し、Tm及びC2重量%の数値が関係:
0℃≧Tm≧3.4405(C2重量%)−218.99
に相当するか;又は
(ii)40%未満のハードセグメント組成、摂氏温度で表された少なくとも一つの融点Tm、及び重量パーセントで表されたエチレンの量C2重量%を有し、Tm及びC2重量%の数値が関係:
80℃≧Tm≦4.1276(C2重量%)−264.95
に相当するか;又は
(iii)ゼロより大きく約1.0までの平均ブロックインデックス及び約1.3より大きい分子量分布Mw/Mnを特徴とするか;又は
(iv)低温TREFを使って分画した時に、同じ温度範囲に溶出する比較用ランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーのモル含有量よりも少なくとも5パーセント高いコモノマーのモル含有量を有することを特徴とする、0℃と130℃の間に溶出する分子画分を有する(この場合、前記比較用ランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを有し、さらに溶融指数、密度を有し、さらに前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれの10パーセント以内にあるコモノマーのモル含有量(ポリマー全体に基づく)を有する)か;又は
(v)エチレン含有量対GPC−IRによって測定される分子量の対数がプロットされた線が、4以下の傾き絶対値mを有するような、重量パーセントで表されたエチレン含有量と分子量の対数との間の関係を有し;且つ
(d)比較用コポリマーの濁度測定値以下である、油中の前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの1.0重量パーセント溶液又はドデカン中の1.5重量パーセント溶液の濁度測定値を有する(この場合、前記比較用コポリマーは、55℃より高い温度において±5J/g以内で同じDSCエンタルピ(J/g)及び10%以内で同じ総エチレン含有量を有する)、
エチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(3)エチレンを約55重量パーセント〜約75重量パーセントの範囲内の量で含む、上記(1)または(2)に記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(4)エチレンを約60重量パーセント〜約73重量パーセントの範囲内の量で含む、上記(1)または(2)に記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(5)前記ハードセグメントがエチレンを約60重量パーセント〜約95重量パーセントの範囲内の量で含む、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(6)ハードセグメントがエチレンを約70重量パーセント〜約85重量パーセントの範囲内の量で含む、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(7)約−25℃〜約100℃の範囲内のTmを有する、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(8)約30℃〜約80℃の範囲内のTmを有する、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(9)約35℃〜約75℃の範囲内のTmを有する、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(10)コモノマーの総重量パーセントが前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれの10重量パーセント以内である比較用ランダムインターポリマーのTmよりも低いTmを有する、上記(1)〜(9)のいずれかに記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。
(11)油中の前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの1.0重量パーセント溶液又はドデカン中の1.5重量パーセント溶液において、1.5NTU未満の濁度を有し、且つ55℃より高い温度において2J/g未満のDSCエンタルピを有する、上記(1)〜(10)のいずれかに記載のエチレン/α−オレフィンインターポリマー。