(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996228
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】ロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/06 20060101AFI20160908BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20160908BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20160908BHJP
【FI】
B25J13/06
G05B19/18 X
H02P7/00 V
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-69081(P2012-69081)
(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-198958(P2013-198958A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(73)【特許権者】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉山 健介
(72)【発明者】
【氏名】廣田 周吾
【審査官】
臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】
再公表特許第2007/083585(JP,A1)
【文献】
特開平01−288948(JP,A)
【文献】
特開平08−022422(JP,A)
【文献】
特開2007−133454(JP,A)
【文献】
特開平07−271683(JP,A)
【文献】
特開2008−165548(JP,A)
【文献】
特開平11−045105(JP,A)
【文献】
特開平04−042496(JP,A)
【文献】
特開2006−285600(JP,A)
【文献】
特開平11−143505(JP,A)
【文献】
特開2006−277205(JP,A)
【文献】
特開2008−083904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/00−13/08
G05B 19/048−19/18
G06F 12/08−12/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業プログラムを含む各種データを記憶する不揮発性の第1メモリと、前記作業プログラムに従ってロボットを制御する制御部を備え、電源部から電力の供給を受けるロボット制御装置において、
前記電源部からの電力の供給を受けていない停電時に前記作業プログラムの実行状態を保存するための復旧用データを記憶するとともに、前記第1メモリよりも書き込み速度が速い不揮発性の第2メモリと、
前記停電時に前記第2メモリに対する前記復旧用データの書き込みが可能に所定の制限時間で電力供給を行う保持電源部を備え、
前記制御部は停電が検出された後、前記保持電源部の前記制限時間内で第2メモリに前記復旧用データを書き込み制御することを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電源部から電力供給がされているときには、前記各種データを第2メモリに記憶させるとともに、第2メモリを介して第1メモリにアクセスして、第1メモリに該データを記憶させ、
前記停電時には、前記復旧用データを第2メモリに記憶させるとともに第1メモリへのアクセスを無効にすることを特徴とする請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記制御部の処理を第1処理モード及び第2処理モードのいずれかの処理モードに設定する処理モード設定部を備え、
第1処理モードに設定されている場合、前記制御部は、前記電源部から電力供給がされているときには、前記各種データを第1メモリに、停電時には前記復旧用データを第2メモリにそれぞれ記憶させ、
第2処理モードに設定されている場合、前記制御部は、前記電源部から電力供給がされているときには、前記各種データを第2メモリに記憶させるとともに、第2メモリを介して第1メモリにアクセスして第1メモリに該データを記憶させ、停電時には前記復旧用データを第2メモリに記憶させるとともに第1メモリへのアクセスを無効にすることを特徴とする請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記第2メモリは、MRAM又はバックアップ電源を備えたSRAMであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置に関し、詳しくは、停電時に装置の復旧用データを記憶するロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボット制御装置では、自動運転中に停電が起こった時、復旧を容易にするために、停電直前に実行していた作業プログラム、該作業プログラムの実行中のステップ、停電時の出力信号状態等のデータ(以下、復旧用データという)を記憶装置に保存している。停電時に前記復旧用データを書き込むための保持電源は、ロボット制御装置の電源部に備えたコンデンサの蓄積電力により供給される。これらの復旧用データは、電源復旧時に使用される。
【0003】
また、特許文献1では、産業用機械装置の自動復旧装置が提案されている。この自動復旧装置では、機械装置の停電時における機械やワークの情報を、復旧用データとしてメモリに記憶しておき、電源が復旧した後に、この復旧用データに基づいて復旧処理を行うことによって、電源復旧時に作業者を要することなく自動運転を再開するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−143505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロボット制御装置では、復旧用データが保存されるメモリとしては、一般的にはハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリが使用されている。例えば、特許文献1では、不揮発性メモリとしてCMOSメモリが使用されている。この不揮発性メモリには、ロボットを制御するためのシステムプログラムやロボットに作業を実行させるための作業プログラム、あるいは、作業プログラムの実行時に使用される各種パラメータ及び各種実行条件等の各種データが記憶されているとともに、停電時には復旧用データが書き込みされる。
【0006】
従来は、停電が発生したときに、ハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリに復旧用データを書き込むことになるが、この際に保持電源の電圧の低下による電力不足が発生した場合、前記不揮発性メモリへの復旧用データの保存に失敗する場合がある。この場合には、電源復旧後に、作業プログラムを停電発生前の実行状態に戻すことができなくなる。
【0007】
本発明の目的は、復旧用データを確実に保存することができるロボット制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、作業プログラムを含む各種データを記憶する不揮発性の第1メモリと、前記作業プログラムに従ってロボットを制御する制御部を備え、電源部から電力の供給を受けるロボット制御装置において、前記電源部からの電力の供給を受けていない停電時に前記作業プログラムの実行状態を保存するための復旧用データを記憶するとともに、前記第1メモリよりも書き込み速度が速い不揮発性の第2メモリと、前記停電時に前記第2メモリに対する前記復旧用データの書き込みが可能に所定の制限時間で電力供給を行う保持電源部を備え、前記制御部は停電
が検出された後、前記保持電源部の前記制限時間内で第2メモリに前記復旧用データを書き込み制御することを特徴とするロボット制御装置を要旨としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記制御部は、前記電源部から電力供給がされているときには、前記各種データを第2メモリに記憶させるとともに、第2メモリを介して第1メモリにアクセスして、第1メモリに該データを記憶させ、前記停電時には、前記復旧用データを第2メモリに記憶させるとともに第1メモリへのアクセスを無効にすることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1において、前記制御部の処理を第1処理モード及び第2処理モードのいずれかの処理モードに設定する処理モード設定部を備え、第1処理モードに設定されている場合、前記制御部は、前記電源部から電力供給がされているときには、前記各種データを第1メモリに、停電時には前記復旧用データを第2メモリにそれぞれ記憶させ、第2処理モードに設定されている場合、前記制御部は、前記電源部から電力供給がされているときには、前記各種データを第2メモリに記憶させるとともに、第2メモリを介して第1メモリにアクセスして第1メモリに該データを記憶させ、停電時には、前記復旧用データを第2メモリに記憶させるとともに第1メモリへのアクセスを無効にすることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記第2メモリは、MRAM又はバックアップ電源を備えたSRAMであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、第2メモリは、第1メモリよりも書き込み速度が速いため、停電
が検出された後、保持電源部から電力供給を受けている所定の制限時間内で復旧用データを確実に保存することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、電源部から電力供給がされているときには、各種データを第2メモリに記憶させるとともに、第2メモリを介して第1メモリにアクセスして第1メモリに該データを記憶させるようにしたことによって、両メモリに各種データが記憶できる。すなわち、いずれか一方に記憶したデータをバックアップデータとして利用することができる。また、停電時は、第1メモリ14へのアクセスを無効にしている。すなわち、第2メモリ15から第1メモリ14へコピーするタイミングで停電が発生しても第1メモリ14へはアクセスできないようにしたので、システムプログラムや作業プログラム等を保護することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、処理モード設定部により、第1処理モードと第2処理モードの設定ができるため、その処理モードを作業者は処理モード設定部を使用して適宜に選択することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、第2メモリとしてMRAM又はバックアップ電源を備えたSRAMにより、停電時に保持電源部からの電力供給を受けている間で復旧用データを早期に保存できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を具体化した第1実施形態のロボット制御装置の概略ブロック図。
【
図2】第2実施形態のロボット制御装置の概略ブロック図。
【
図3】第3実施形態のロボット制御装置の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した第1実施形態のロボット制御装置を
図1を参照して説明する。
図1に示すように、ロボット制御装置RCは、制御部としてのCPU10、ROM12、RAM13、第1メモリ14、第2メモリ15、サーボドライバ16及び図示しない通信インターフェィス等の各部を備えているとともに各部はバス17を介して接続されている。図示しない前記通信インターフェィスは、図示しないティーチペンダントの接続に使用される通信機である。
【0018】
前記ROM12は、不揮発性のメモリからなり、ロボット制御装置RCと、図示しないティーチペンダントとの通信を行うための通信処理プログラム、接続/切断処理プログラム、表示処理プログラム、データ入力プログラム等の各種プログラムを記憶する。第1メモリ14は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、例えば、ハードディスク等のストレージ、或いは、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリからなる。
【0019】
第1メモリ14には、ロボット制御装置RCの基本的な処理を実行するためのシステムプログラム、マニピュレータ30(ロボット)の作業プログラム、復旧用プログラム等が記憶されている。
【0020】
前記システムプログラムは、ロボット制御装置RCの電源が投入されるとCPU10により読み込まれて、ロボット制御装置RCの基本的な処理が実行される。作業プログラムは、マニピュレータ30に所定の作業を行わせるために作業者が作成する(教示する)プログラムである。例えばマニピュレータ30が、溶接ロボットである場合は溶接作業プログラムであり、塗装ロボットであれば塗装作業プログラムである。復旧用プログラムは、停電発生時に作業プログラムの実行状態を保存するためのデータを復旧用データとして保存する。また、復旧用プログラムは、CPU10により前記電源復旧時に自動的に実行され、上記した復旧用データに基づいて停電発生前の状態に戻す処理を行う。
【0021】
また、第1メモリ14には、前記作業プログラムの実行時に参照される各種パラメータ、各種条件等が記憶されている。以下では、第1メモリ14に記憶される作業プログラム、各種パラメータ、各種条件等を、一括して各種データと呼ぶ。
【0022】
第2メモリ15は、不揮発性のメモリからなる。本実施形態では、第2メモリ15は、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)からなる。MRAMは、アドレスアクセスタイムが10ns台、サイクルタイムが20ns台とDRAMの5倍程度でSRAM並み高速な読み出し、書き込みが可能であり、ハードディスク、或いはフラッシュメモリで構成される第1メモリ14よりもその書き込み速度よりも速い特徴がある。
【0023】
CPU10は、電源部20の電圧を監視することにより停電を検出しており、停電を検出した際、上述した復旧用プログラムによる停電時の処理を実行して、実行処理中の作業プログラム名、該作業プログラムで処理していたステップ番号、マニピュレータ30に付与していた各種制御指令、マニピュレータ30の各関節軸の位置データ(回転角)等の状態データを復旧用データとして、対応する箇所から読込して第2メモリ15の所定の記憶領域に記憶(書き込み)する。この復旧用データは、電源復旧時に前記復旧用プログラム実行時にCPU10により読み込まれて使用される。
【0024】
RAM13は、RAM13は揮発性の書き換え可能なメモリからなるとともに、CPU10のワーキングエリアとして用いられ、各種プログラムによる計算途中のデータが一時的に格納される。
【0025】
サーボドライバ16は、マニピュレータ30の各関節を駆動する図示しないモータに接続され、該モータに通電させる電流を制御する。なお、サーボドライバ16は、マニピュレータ30に設けられた各関節を駆動する図示しないモータ毎に設けられているが、
図1では代表的に1つのみ図示されている。
【0026】
ロボット制御装置RCの電源部20は、三相交流電源に接続され、CPU10、ROM12、RAM13、第1メモリ14、第2メモリ15、及びサーボドライバ16等に電力線Lを介して電力を供給する。電源部20には、保持電源部として、大容量のコンデンサ22を備えている。コンデンサ22は、正常時に電源部20が三相交流電源から電力供給されている場合に充電されるとともに、停電した際に放電を開始し、放電することにより、前記バス17に接続されている各部に電力を供給するようにされている。この場合、その放電時間が、第2メモリ15への復旧用データを書き込みに要するに十分な時間が得られるようにコンデンサ22の容量及び回路定数が設定されている。すなわち、この放電時間内において、CPU10の各部の状態データの収集並びに第2メモリ15への書き込みに支障がない電圧、電流が保持できるようにコンデンサ22の容量及び該コンデンサ22から各部への回路定数が設定されている。前記放電時間は所定の制限時間に相当する。
【0027】
(第1実施形態の作用)
上記のように構成されたロボット制御装置RCの作用を説明する。
図1に示すCPU10は、電源部20の電圧を監視して、停電を検出した際、停電時の処理として実行処理中の作業プログラム名、該作業プログラムで処理していたステップ番号、マニピュレータ30に付与していた各種制御指令、マニピュレータ30の各関節軸の位置データ(回転角)等の状態データを復旧用データとして、対応する箇所から読込して第2メモリ15の所定の記憶領域に記憶(書き込み)させる。この第2メモリ15の書き込みは、第2メモリ15が、本実施形態ではMRAMにより構成されているため、非常に高速で行われるとともに、コンデンサ22の放電時間中に完了する。また、CPU10による作業プログラムの処理が停止されるため、マニピュレータ30は停止する。
【0028】
この後、電源が復旧したことをCPU10が検出すると、CPU10は、復旧用プログラムを実行して、第2メモリ15から前記復旧用データを読み込みする。すなわち、停電時に実行していた作業プログラムの途中ステップから自動運転を再開できる状態に復帰させる。
【0029】
さて、本実施形態によれば、以下のような特徴がある。
(1) 本実施形態のロボット制御装置RCは、作業プログラムを含む各種データを記憶する不揮発性の第1メモリ14と、作業プログラムに従ってロボットを制御するCPU10(制御部)を備え、電源部20から電力の供給を受けるようにしている。そして、ロボット制御装置RCは、電源部20からの電力の供給を受けていない停電時にロボット制御装置RCの状態データを復旧用データとして記憶するとともに、第1メモリ14よりも書き込み速度が速い不揮発性の第2メモリ15と、停電時に第2メモリ15に対する復旧用データの書き込みが可能に所定の制限時間で電力供給を行うコンデンサ22(保持電源部)を備えている。また、CPU10(制御部)は停電時にコンデンサ22(保持電源部)の制限時間内で第2メモリ15に復旧用データを書き込み制御する。
【0030】
この結果、本実施形態のロボット制御装置RCによれば、第2メモリ15は、第1メモリ14よりも書き込み速度が速いため、停電時にコンデンサ22(保持電源部)から電力供給を受けている所定の制限時間(放電時間)内で復旧用データを確実に保存することができる。また、高速の書き込みができるMRAMを第2メモリに使用するため、コンデンサ22の放電時間の設定は、例えば、フラッシュメモリを第2メモリとして使用する場合に比して、短くすることができ、その分、コンデンサの容量は小さいもので良くなり、コストを低減することができる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のロボット制御装置RCを
図2を参照して説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成について説明し、第1実施形態と同一構成、または相当する構成については同一符号を付してその詳細説明を省略する。
【0032】
図2に示すように、第2実施形態のロボット制御装置RCは、第1実施形態の構成中、第1メモリ14と第2メモリ15間が電気的に接続されており、第1メモリ14へのCPU10のアクセスは、第2メモリ15を介して行うようにされている。すなわち、CPU10は、それぞれのメモリにアクセスする場合に、各メモリのアドレス指定により行われる。
【0033】
そして、本実施形態では、CPU10は、停電ではないとき、すなわち電源部20から電力供給がされている間に、各種データを第2メモリ15に記憶させるとともに、第2メモリ15からさらに第1メモリ14に転送して、第1メモリ14に該データを記憶させるようにしている。
【0034】
CPU10は、停電を検出した時には、第1メモリ14へのアクセスを無効にする。
電源復帰時には、第1実施形態と同様にCPU10は、復旧用プログラムを第1メモリ14から読み込みして実行する。すなわち、第2メモリ15から復旧用データを読み込み、停電時に実行していた作業プログラムの途中ステップから自動運転を再開できる状態に復帰させる。
【0035】
第2実施形態では下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のロボット制御装置RCによれば、電源部20から電力供給がされているときには、各種データを第2メモリ15に記憶するとともに、第2メモリ15を介して第1メモリ14にアクセスし、第1メモリ14に各種データをコピーするようにしている。このようにすることで、両メモリに各種データが記憶できる。すなわち、いずれか一方に記憶したデータをバックアップデータとして利用することができる。また、停電時に、復旧用データを第2メモリ15に記憶する点は第1実施形態と同様であるが、本実施形態では、停電時に第1メモリ14へのアクセスを無効にしている。すなわち、第2メモリ15から第1メモリ14へ各種データをコピーするタイミングで停電が発生しても第1メモリ14へはアクセスできないようにしたので、システムプログラムや作業プログラム等を保護することができる(万が一、停電時に第1メモリ14に対する書き込みが正常に行われないと、システムプログラムや作業プログラム等が破損してしまう虞があるが、このような事態を防ぐことができる)。ところで、上記のようにしたことによって、第1メモリ14と第2メモリ15との記憶内容に差異が生じる虞があるが、これを防止するには、電源復旧時に記憶内容の差異を確認し、この差異を解消するように記憶内容を一致させる処理を行うようにすると良い。あるいは、第2メモリ15から第1メモリ14へコピーできなかった各種データを識別できるように停電時にフラグを付与しておき、電源復旧時に前記フラグに基づいて再コピーを実行するようにしても良い。
【0036】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のロボット制御装置RCを、
図3を参照して説明する。なお、第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる構成について説明する。第3実施形態のロボット制御装置RCでは、第1メモリ14は、バス17を介して接続されるとともに第2メモリ15と電気的にデータの入出力が可能に接続されているところが、第1実施形態及び第2実施形態と異なっている。
【0037】
又、ロボット制御装置RCは、
図3に示すように通信インターフェィス19を介して接続されたティーチペンダントTPに処理モード設定部としての操作部24が設けられている。操作部24は、例えば選択ボタン、或いは選択スイッチからなり、第1処理モードと第2処理モードの選択入力が可能となっている。操作部24の操作により第1処理モードの選択信号または第2処理モードの選択信号が、通信インターフェィス19を介してCPU10に入力される。
【0038】
CPU10は、第1処理モードの選択信号が入力されると、第1処理モードとなる。第1処理モードは、電源部20から電力供給がされているときには、CPU10は、作業プログラム、各種パラメータ、各種条件等を含む各種データを、バス17を介して第1メモリ14に記憶し、停電時には復旧用データを、バス17を介して第2メモリ15に記憶するように書き込み制御するモードである。
【0039】
また、CPU10は、第2処理モードの選択信号が入力されると、第2処理モードとなる。第2処理モードは、電源部20から電力供給がされているときには、上記各種データを、バス17を介して第2メモリ15に記憶させ、さらに第2メモリ15を介して第1メモリ14にアクセスして、第1メモリ14に該データを記憶させるモードである。
【0040】
また、CPU10は、停電を検出した時には、第1メモリへのアクセスを無効にする。
本実施形態では、ティーチペンダントTPの操作部24を作業者が操作して、CPU10に第1処理モードまたは第2処理モードを選択させることができる。
【0041】
第3実施形態では下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のロボット制御装置RCに付随するティーチペンダントTPに、CPU10(制御部)の処理を第1処理モード及び第2処理モードのいずれかの処理モードに設定する操作部24(処理モード設定部)を備える。そして、第1処理モードに設定されている場合、CPU10(制御部)は、電源部20から電力供給がされているときには、各種データを第1メモリ14に記憶し、停電時には第2メモリ15に復旧用データを記憶するよう、書き込み制御する。また、第2処理モードに設定されている場合、CPU10(制御部)は、電源部20から電力供給がされているときには、各種データを第2メモリ15に記憶させるとともに、さらに、第2メモリ15を介して第1メモリ14にアクセスして、第1メモリ14に該データを記憶させ、停電時には第1メモリへのアクセスを無効にする。この結果、本実施形態によれば、処理モード設定部により、第1処理モードと第2処理モードの設定ができるため、その処理モードを作業者は処理モード設定部を使用して適宜に選択することができる。
【0042】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記各実施形態では第2メモリ15をMRAMにより構成したが、バックアップ電源を備えたSRAMとしてもよい。SRAMもハードディスク或いはフラッシュメモリからなる第1メモリ14よりも書き込み速度が速い利点がある。
【符号の説明】
【0043】
RC…ロボット制御装置、10…CPU(制御部)、14…第1メモリ、
15…第2メモリ、20…電源部、22…コンデンサ(保持電源部)。