特許第5996261号(P5996261)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996261
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/00 20060101AFI20160908BHJP
   B65H 15/00 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   B65H31/00 A
   B65H15/00 G
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-108811(P2012-108811)
(22)【出願日】2012年5月10日
(65)【公開番号】特開2013-234058(P2013-234058A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 進二
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−072443(JP,U)
【文献】 実開昭60−103156(JP,U)
【文献】 特開2006−273496(JP,A)
【文献】 実開昭59−089353(JP,U)
【文献】 実開昭59−046949(JP,U)
【文献】 特開昭60−019639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
B65H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を用紙に記録する画像形成装置、前記画像形成装置から排出された前記用紙を溜める排紙トレイとを備えた画像処理装置であって、
前記排紙トレイは、
前記画像形成装置から排出された前記用紙を受けて滑降させる第1傾斜部と、
垂直方向に対して前記第1傾斜部とは反対向きに傾斜し、前記第1傾斜部から該第1傾斜部の傾斜方向に離して配置された第2傾斜部と、
前記第1傾斜部の下端で下方に屈曲して延在し、前記第2傾斜部と向き合う壁部とを有しており、
前記第1傾斜部から該第1傾斜部の傾斜方向に前記第2傾斜部まで延ばされた仮想直線と前記第2傾斜部との間の前記壁部に向く角度を鈍角に設定し
前記壁部の上部に前記第2傾斜部側に突出し、かつ、前記仮想直線より下部に配置された凸部が設けられ、
前記凸部の突出した先端から下方に延ばされた仮想垂線は、前記第2傾斜部に交わるものであり、
前記画像形成装置で用いられる用紙が前記画像形成装置の排出口からフェイスアップで排出されて前記第1傾斜部を滑降するように、前記画像形成装置の排出口と前記第1傾斜部との位置関係が設定されており、
前記第1傾斜部の下端部は、前記第2傾斜部の上端部よりも上部に位置していることを特徴とする画像処理装置
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記排紙トレイに排出された用紙を取り出すための用紙排出口が設けられており、
前記第1傾斜部において用紙が滑降する面は、前記用紙排出口に対向していることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置であって、
前記第1傾斜部の下端と前記壁部との屈曲位置は、用紙の先端が前記第2傾斜部に当接して前記第1傾斜部に載った状態の前記用紙の重心位置よりも高いことを特徴とする画像処理装置
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記第2傾斜部の下端と前記壁部の下端とを離間させ、前記各下端の間に底部を設けたことを特徴とする画像処理装置
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記壁部の下部に、前記凸部よりも前記第2傾斜部とは反対側に凹んだ凹所を形成したことを特徴とする画像処理装置
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記凸部は、前記壁部から突出して湾曲又は傾斜していることを特徴とする画像処理装置
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の画像処理装置であって、
前記第2傾斜部又は前記凸部は、前記画像形成装置から用紙が排出される方向に対して直交する方向に並ぶ複数の板状部材の端部からなることを特徴とする画像処理装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を用紙に記録する画像形成装置に付設され、画像形成装置から排出された用紙を溜める排紙トレイ及びそれを備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としては、画像を記録した用紙面を下向きにして、用紙を排出するもの(フェイスダウン)、また画像を記録した用紙面を上向きにして、用紙を排出するものがある(フェイスアップ)。
【0003】
ここで、複数の画像をそれぞれの用紙に順次印刷して、各用紙を逐一排出する場合、フェイスダウンでは、排出されて重なった各用紙を纏めて引っ繰り返せば、各用紙の画像の順序と元の各画像の印刷順序とが一致し、各用紙を並べ替える必要がない。しかしながら、排出された用紙を引っ繰り返すまでは、用紙の画像を見ることができない。
【0004】
また、フェイスアップでは、排出された用紙を引っ繰り返さなくても、用紙の画像を見ることができるものの、各用紙の画像の順序と元の各画像の印刷順序とが逆になるので、各用紙を並べ替える必要がある。このため、特許文献1では、用紙がプリンタから排出される度に、用紙を回転トレイに受け、回転トレイを回転させて、用紙の表裏を反転させ、用紙を排紙トレイにフェイスダウンで排出して積載している。
【0005】
また、特許文献2では、ロール紙を用いることを前提とし、ロール紙をカットして排出するときに、湾曲したロール紙の一端を壁面に当接させて、湾曲したロール紙をその一端を中心に回転させて引っ繰り返しながら落下させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−146510号公報
【特許文献2】特開2003−252514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、回転トレイを回転させるため、構成の複雑化を招く。また、特許文献2では、湾曲したロール紙を前提としており、平面状の用紙を引っ繰り返すことはできない。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、簡単な構成でありながら、用紙が湾曲していてもあるいは平面状であっても、用紙を引っ繰り返すことが可能な排紙トレイ及びそれを備えた画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の排紙トレイは、画像を用紙に記録する画像形成装置に付設され、前記画像形成装置から排出された前記用紙を溜める排紙トレイであって、前記画像形成装置から排出された前記用紙を受けて滑降させる第1傾斜部と、垂直方向に対して前記第1傾斜部とは反対向きに傾斜し、前記第1傾斜部から該第1傾斜部の傾斜方向に離して配置された第2傾斜部と、前記第1傾斜部の下端で下方に屈曲して延在し、前記第2傾斜部と向き合う壁部とを有しており、前記第1傾斜部から該第1傾斜部の傾斜方向に前記第2傾斜部まで延ばされた仮想直線と前記第2傾斜部との間の前記壁部に向く角度を鈍角に設定している。
【0010】
また、本発明の排紙トレイは、画像を用紙に記録する画像形成装置に付設され、前記画像形成装置から排出された前記用紙を溜める排紙トレイであって、前記画像形成装置から排出された前記用紙を受けて滑降させる第1傾斜部と、垂直方向に対して前記第1傾斜部とは反対向きに傾斜し、前記第1傾斜部から該第1傾斜部の傾斜方向に離して配置された第2傾斜部と、前記第1傾斜部の下端で下方に屈曲して延在し、前記第2傾斜部と向き合う壁部とを有しており、前記壁部の上部に前記第2傾斜部側に突出する凸部を設けている。
【0011】
このような本発明では、第2傾斜部を第1傾斜部から該第1傾斜部の傾斜方向に離して配置し、第1傾斜部と第2傾斜部とを反対向きに傾斜させているので、第1傾斜部で受けられて滑降して来た用紙の先端が第2傾斜部に当接して、用紙の先端が第2傾斜部で下方に滑り落ち、第1傾斜部の下端と壁部との屈曲位置又は凸部で用紙が回転して、用紙が裏返り、用紙が第2傾斜部で受けられる。また、2枚目以降の用紙は、第1傾斜部で滑降して、第2傾斜部で既に受けられて第2傾斜部と同様に傾斜した用紙の裏面に当接して下方に滑り落ち、屈曲位置又は凸部で回転して裏返り、第2傾斜部で受けられる。すなわち、用紙が第1傾斜部で滑降し、滑降して来た用紙の慣性(勢い)によりその用紙の先端が第2傾斜部又は第2傾斜部と同様に傾斜した他の用紙の裏面に当接して滑り落ち、用紙が第1傾斜部の下端と壁部との屈曲位置又は凸部で引っ繰り返されて、その用紙の表裏が反転され、用紙が第2傾斜部で受けられる。このため、例えば、複数の画像をそれぞれの用紙に順次印刷して、各用紙をフェイスアップで逐一排出した場合、第1傾斜部での滑降中に各用紙の画像を見ることができ、また用紙の排出の度に、用紙の表裏が反転されて、用紙が第2傾斜部にフェイスダウンで溜められる。そして、第2傾斜部に溜められて重なった各用紙を纏めて引っ繰り返せば、各用紙の画像の順序と元の各画像の印刷順序とが一致し、各用紙を並べ替える必要がない。
【0012】
また、本発明の排紙トレイにおいては、前記第1傾斜部の下端と前記壁部との屈曲位置は、用紙の先端が前記第2傾斜部に当接して前記第1傾斜部に載った状態の前記用紙の重心位置よりも高い。
【0013】
この場合は、用紙の重心位置が第1傾斜部及び屈曲位置よりも低くなり、用紙が屈曲位置を中心にして回転しようとするモーメントが生じ、用紙が屈曲位置で引っ繰り返り易くなる。
【0014】
更に、本発明の排紙トレイにおいては、前記第2傾斜部の下端と前記壁部の下端とを離間させ、前記各下端の間に底部を設けている。
【0015】
この場合は、各用紙の先端を底部に当接させて、各用紙を第2傾斜部に重ね置くことになり、多数の用紙を溜めることができる。
【0016】
また、本発明の排紙トレイにおいては、前記壁部の下部に、前記凸部よりも前記第2傾斜部とは反対側に凹んだ凹所を形成している。
【0017】
このような凹所は、第1傾斜部の下端と壁部との屈曲位置又は凸部で回転した用紙の先端が移動するスペースとなるので、用紙の先端が充分に移動して、用紙が容易に裏返る。
【0018】
更に、本発明の排紙トレイにおいては、前記凸部は、前記壁部から突出して湾曲又は傾斜している。
【0019】
このような凸部は、第1傾斜部と滑らかに繋がる。このため、第1傾斜部で滑降して来た用紙が凸部を速やかに通過しつつ、滑降中の用紙の慣性によりその用紙が凸部で容易に回転して裏返る。
【0020】
また、本発明の排紙トレイにおいては、前記第2傾斜部又は前記凸部は、前記画像形成装置から用紙が排出される方向に対して直交する方向に並ぶ複数の板状部材の端部からなる。
【0021】
このような各板状部材により第2傾斜部又は凸部を構成すると、用紙が第2傾斜部又は凸部で滑ってより回転し易くなる。また、第2傾斜部と用紙と間に空間が形成されるので、第2傾斜部からの用紙の取り出し作業が容易になる。
【0022】
更に、本発明の排紙トレイにおいては、前記凸部の突出した先端から下方に延ばされた仮想垂線は、前記第2傾斜部に交わっている。
【0023】
この場合は、用紙が凸部で回転して略垂直に立ったときにも、用紙の先端が第2傾斜部上にあるので、用紙の先端が第2傾斜部で引き続き滑降して、用紙がより確実に回転する。
【0024】
一方、本発明の画像処理装置は、画像を用紙に記録する画像形成装置と、前記画像形成装置から排出された前記用紙を溜める上記本発明の排紙トレイとを備えている。
【0025】
このような画像処理装置においても、上記本発明の排紙トレイと同様の作用効果を達成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、第2傾斜部を第1傾斜部から該第1傾斜部の傾斜方向に離して配置し、第1傾斜部と第2傾斜部とを反対向きに傾斜させているので、第1傾斜部で受けられて滑降して来た用紙の先端が第2傾斜部に当接して、用紙の先端が第2傾斜部で下方に滑り落ち、第1傾斜部の下端と壁部との屈曲位置又は凸部で用紙が回転して、用紙が裏返り、用紙が第2傾斜部で受けられる。また、2枚目以降の用紙は、第1傾斜部で滑降して、第2傾斜部で既に受けられて第2傾斜部と同様に傾斜した用紙の裏面に当接して下方に滑り落ち、屈曲位置又は凸部で回転して裏返り、第2傾斜部で受けられる。すなわち、用紙が第1傾斜部で滑降し、滑降して来た用紙の慣性(勢い)によりその用紙の先端が第2傾斜部又は第2傾斜部と同様に傾斜した他の用紙の裏面に当接して滑り落ち、用紙が第1傾斜部の下端と壁部との屈曲位置又は凸部で引っ繰り返されて、その用紙の表裏が反転され、用紙が第2傾斜部で受けられる。このため、例えば、複数の画像をそれぞれの用紙に順次印刷して、各用紙をフェイスアップで逐一排出した場合、第1傾斜部での滑降中に各用紙の画像を見ることができ、また用紙の排出の度に、用紙の表裏が反転されて、用紙が第2傾斜部にフェイスダウンで溜められる。そして、第2傾斜部に溜められて重なった各用紙を纏めて引っ繰り返せば、各用紙の画像の順序と元の各画像の印刷順序とが一致し、各用紙を並べ替える必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の排紙トレイの一実施形態を備えた画像処理装置及び複合機を示す正面図である。
図2】画像処理装置の手前側の蓋体が開かれた状態を示す斜視図である。
図3】本実施形態の排紙トレイ及び昇華型プリンタ等を示す断面図である。
図4】画像処理装置の蓋体を取外した状態で、排紙トレイ及び昇華型プリンタ等を示す斜視図である。
図5】排紙トレイ等を拡大して示す断面図である。
図6】(a)〜(e)は、排紙トレイに排出された記録用紙の動きを示す図である。
図7】(a)〜(c)は、排紙トレイにおける凸部の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の排紙トレイの一実施形態を備えた画像処理装置及び複合機を示す正面図である。また、図2は、画像処理装置の手前側の蓋体が開かれた状態を示す斜視図である。
【0030】
図1に示すように画像処理装置1は、複合機2と共に店舗等に設置される。画像処理装置1では、利用者のメモリカード等の記録媒体から画像を読取って、この画像を記録用紙に印刷し、記録用紙を排出して提供する。また、複合機2は、複写機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等を有する。更に、画像処理装置1と複合機2とは互いに接続されて、各装置1、2間でデータ通信を行うことができ、画像処理装置1と複合機2とが連係動作する。
【0031】
図1及び図2に示すように画像処理装置1の手前側の蓋体11は、装置本体12の開口部の縁に軸支されて、開閉可能である。装置本体12の上部には、メモリカード等の記録媒体の挿入口13が設けられ、蓋体11の上部には、硬貨投入口14が設けられている。また、蓋体11の正面壁部には、領収書排出口15、紙幣投入口16、硬貨返却口17、及び記録用紙排出口18が設けられ、記録用紙排出口18の内側に排紙トレイ31が配置されている。更に、図2に示すように装置本体12の内部上側に感熱プリンタ21が設けられ、また装置本体12の内部の棚22上に昇華型プリンタ23が設けられている。
【0032】
図1に示すように蓋体11が閉じられた状態では、感熱プリンタ21の感熱紙の排出口21aが蓋体11の領収書排出口15と対峙し、感熱紙が感熱プリンタ21の排出口21aから蓋体11の領収書排出口15へと排出される。また、昇華型プリンタ23の記録用紙の排出口23aが蓋体11の排紙トレイ31の上方に配置され、記録用紙が昇華型プリンタ23の排出口23aから排紙トレイ31へと排出される。排紙トレイ31に排出された記録用紙は、記録用紙排出口18を通じて取り出すことができる。
【0033】
一方、複合機2の手前側上部には、操作パネル3が設けられている。この操作パネル3は、例えば複数の操作キー、液晶表示装置24、及び液晶表示装置24の画面に重ねられたタッチパネル等を備え、画像処理装置1及び複合機2の操作ガイダンス等を液晶表示装置24の画面に表示したり、各操作キーや液晶表示装置24の画面上の表示ボタンが操作されたときにその操作に応じた指示を出力したりする。画像処理装置1及び複合機2は、その指示に応答動作する。
【0034】
次に、画像処理装置1による印刷の概略動作を説明する。まず、利用者は、操作パネル3の各操作キーや液晶表示装置24の画面上の表示ボタンを操作して、画像処理装置1の昇華型プリンタ23による印刷を選択指示し、画像処理装置1の挿入口13に記録媒体を挿入する。これに応答して画像処理装置1では、記録媒体のリーダー(図示せず)により記録媒体内の画像を読み出し、画像の枚数等に応じた料金を求める。この料金は、複合機2の液晶表示装置24の画面に表示される。利用者は、画面の料金を見て、硬貨や紙幣を画像処理装置1の硬貨投入口14や紙幣投入口16に投入して、料金を支払う。これに応答して画像処理装置1では、支払われた額が料金よりも多ければ、その差額に対応する硬貨を硬貨返却口17に排出し、また感熱プリンタ21により領収書を感熱紙に印刷して、この領収書を感熱プリンタ21の排出口21aから蓋体11の領収書排出口15へと排出する。そして、記録媒体内の画像を昇華型プリンタ23に入力し、昇華型プリンタ23により画像を記録用紙に印刷し、記録用紙を昇華型プリンタ23の排出口23aから蓋体11の排紙トレイ31へと排出する。また、記録媒体から複数枚の画像を読み出したときには、昇華型プリンタ23により各画像をそれぞれの記録用紙に順次印刷し、各記録用紙を排紙トレイ31へと逐一排出する。利用者は、排紙トレイ31に排出された記録用紙を記録用紙排出口18を通じて取り出す。
【0035】
尚、画像処理装置1は、複合機2とのデータ通信により、複合機2の複写機能、ファクシミリ機能、及びプリンタ機能の利用に対しても課金を行うことができる。また、画像処理装置1と複合機2間のデータ通信により、記録媒体から読出された全画像を液晶表示装置24の画面に表示して、画面上で画像を選択し、この選択した画像を昇華型プリンタ23で印刷したり、画面上で画像を編集して、この編集した画像を昇華型プリンタ23で印刷したりしてもよい。
【0036】
次に、本実施形態の排紙トレイ31について詳しく説明する。図3は、本実施形態の排紙トレイ31及び昇華型プリンタ23等を示す断面図である。また、図4は、画像処理装置1の蓋体11を取外した状態で、排紙トレイ31及び昇華型プリンタ23等を示す斜視図である。更に、図5は、排紙トレイ31等を拡大して示す断面図である。
【0037】
図3図5に示すように昇華型プリンタ23は、棚22上に載せられており、その排出口23aが蓋体11から離されて記録用紙排出口18の排紙トレイ31よりも上方に配置されている。昇華型プリンタ23により画像が記録用紙に印刷され、その排出口23aから排紙トレイ31へと記録用紙が排出されて、記録用紙が排紙トレイ31に溜められる。
【0038】
排紙トレイ31は、一対の側壁部32、傾斜受け部33、第1傾斜部34、第2傾斜部35、壁部36、底部37、排出口接続部38、及び凸部39を有している。
【0039】
ここで、各側壁部32は、昇華型プリンタ23の排出口23aよりも広い間隔を空けて対向配置されており、各側壁部32の間に、傾斜受け部33、第1傾斜部34、第2傾斜部35、壁部36、底部37、排出口接続部38、及び凸部39が設けられている。
【0040】
傾斜受け部33及び第1傾斜部34は、概ね平坦な傾斜面である。傾斜受け部33は、その上端を昇華型プリンタ23の壁部23bに接近させた状態で排出口23aの下方に配置されている。また、第1傾斜部34は、傾斜受け部33の下端に接続されて、傾斜受け部33よりも僅かに急に傾斜している。
【0041】
傾斜面35a及び水平面38aには、帯板状の2つのリブ41が昇華型プリンタ23からの記録用紙の排出方向に対して直交する方向に離間して立設されている。各リブ41は、傾斜面35aと水平面38aとの境界で屈曲しており、傾斜面35a側の各リブ41の端部が第2傾斜部35となり、また水平面38a側の各リブ41の端部が排出口接続部38となっている。従って、第2傾斜部35及び排出口接続部38は、各リブ41の端部からなる。
【0042】
第2傾斜部35は、垂直方向(重力方向)Vに対して傾斜受け部33及び第1傾斜部34とは反対向きに傾斜し、第1傾斜部34の下端から該第1傾斜部34の傾斜方向に(第1傾斜部34に接して該傾斜面と同様に傾斜した仮想直線Lに沿って)離間して配置されている。
【0043】
そして、第1傾斜部34から第1傾斜部34の傾斜方向に第2傾斜部35まで延ばされた仮想直線Lと第2傾斜部35との間の壁部36に向く角度αが鈍角となるように、第2傾斜部35の傾斜角を設定している。あるいは、仮想直線Lと第2傾斜部35との間の上方向に向く角度βが鋭角となるように、第2傾斜部35の傾斜角を設定しているともいえる。
【0044】
また、排出口接続部38は、第2傾斜部35の上端35fから蓋体11の記録用紙排出口18の下端近傍まで延在する。
【0045】
壁部36は、概ね平坦な垂直面であり、第1傾斜部34の下端で下方に屈曲して延在し、第2傾斜部35と向き合っている。
【0046】
第1傾斜部34の下端と壁部36との屈曲位置Qは、昇華型プリンタ23の排出口23aから排出された定型サイズの記録用紙Pの先端が第2傾斜部35に当接して第1傾斜部34に載った状態の前記記録用紙Pの重心位置Xよりも高くなるように設定されている。例えば、昇華型プリンタ23で用いられる最小の定型サイズの記録用紙Pに対して屈曲位置Qを設定する。この場合は、屈曲位置Qが、大きな定型サイズの記録用紙Pの重心位置Xよりも低くなることもある。
【0047】
また、壁部36の上部には、板状の2つのリブ42が昇華型プリンタ23からの記録用紙の排出方向に対して直交する方向に離間して立設されている。各リブ42は、側方から見ると概ね台形状であって、それらの端部が凸部39を形成している。従って、凸部39は、各リブ42の端部からなる。
【0048】
この凸部39は、側方から見ると概ね台形状であることから、凸部39よりも下方の壁部36の下部には、第2傾斜部35とは反対側に凹んだ凹所Fが形成される。
【0049】
また、凸部39の最も突出した先端部39aから下方に延ばされた仮想垂線Zが第2傾斜部35と交わるように、凸部39の先端部39aと第2傾斜部35の下端35gとの位置関係を設定している。
【0050】
底部37は、互いに離間した第2傾斜部35の下端35gと壁部36の下端36aとの間に設けられている。
【0051】
次に、図6(a)〜(f)を参照して、本実施形態の排紙トレイ31に排出された記録用紙の動きを説明する。
【0052】
まず、図6(a)に示すように記録用紙Pが昇華型プリンタ23の排出口23aから排出されると、記録用紙Pが傾斜受け部33及び第1傾斜部34で受けられて滑降する。このとき、昇華型プリンタ23の排出口23aからは、画像を記録した記録用紙Pの面を上向きにして、記録用紙Pがフェイスアップで排出されることから、蓋体11の記録用紙排出口18を通じて、第1傾斜部34で滑降する記録用紙Pの画像を見ることができる。
【0053】
そして、図6(b)に示すように記録用紙Pの先端が第2傾斜部35に当接すると、仮想直線Lと第2傾斜部35との間の壁部36に向く角度αが鈍角に設定されていることから、第2傾斜部35により記録用紙Pの先端が第2傾斜部35に沿って下方へと容易に滑り落ちて行く。このため、図6(c)に示すように記録用紙Pが屈曲位置Qを中心に矢印方向Dに回転し、引き続いて記録用紙Pが凸部39を中心に同一の矢印方向Dに更に回転する。このとき、記録用紙Pが最小の定型サイズである場合は、図3に示すように屈曲位置Qが、記録用紙Pの先端が第2傾斜部35に当接して第1傾斜部34に載った状態の前記記録用紙Pの重心位置Xよりも高くなることから、記録用紙が屈曲位置Qを中心にして回転しようとするモーメントが生じ、記録用紙Pが回転し易くなる。
【0054】
また、記録用紙Pがより大きな定型サイズである場合は、屈曲位置Qが記録用紙Pの重心位置Xよりも低くなるものの、記録用紙Pがより重いことから、第1傾斜部34での記録用紙Pの滑降速度が上昇し、滑降して来た記録用紙Pの慣性(勢い)によりその先端が第2傾斜部35に当接して速やかに滑り落ち、記録用紙Pが確実に回転する。
【0055】
更に、第2傾斜部35が各リブ41の端部からなることから、記録用紙Pの先端が第2傾斜部35上で滑り落ち易く、これによっても記録用紙Pが確実に回転する。
【0056】
また、凸部39の最も突出した先端部39aから下方に延ばされた仮想垂線Zが第2傾斜部35と交わることから、図6(d)に示すように記録用紙Pが略垂直になるまで回転して、引き続き記録用紙Pの先端が第2傾斜部35上で底部37の付近まで滑り落ちるときに、記録用紙Pの後端側が凸部39に押されて、記録用紙Pがより回転する。また、凸部39の下部に凹所Fを設けているため、記録用紙Pの先端が凹所Fへと矢印方向Eに速やかに移動し、記録用紙Pの回転がより促進される。更に、図6(e)に示すように記録用紙Pの先端が底部37に到達すると、記録用紙Pが裏返り、記録用紙Pがフェイスダウンで第2傾斜部35に受けられる。
【0057】
次に、2枚目以降の記録用紙Pについても、記録用紙Pが昇華型プリンタ23の排出口23aからフェイスアップで排出され傾斜受け部33及び第1傾斜部34で受けられて滑降することから、記録用紙Pの画像を見ることができる。
【0058】
そして、第2傾斜部35には、他の記録用紙が既に裏返されて溜められており、この他の記録用紙が第2傾斜部35と同様に傾斜していることから、2枚目以降の記録用紙Pの先端が第2傾斜部35の他の記録用紙の裏面に当接して下方に滑り落ち、その記録用紙Pが屈曲位置Q及び凸部39を中心に矢印方向Dに回転する。更に、記録用紙Pの先端が底部37に到達し、記録用紙Pの先端が凹所Fへと矢印方向Eに移動して、記録用紙Pがより回転し、記録用紙Pが裏返り、記録用紙Pがフェイスダウンで第2傾斜部35に受けられる。
【0059】
このように本実施形態の排紙トレイ31では、昇華型プリンタ23の排出口23aからフェイスアップで排出された記録用紙Pを傾斜受け部33及び第1傾斜部34で受けて滑降させるので、記録用紙Pの画像を見ることができる。また、記録用紙Pの先端を第2傾斜部35又は第2傾斜部35と同様に傾斜した他の記録用紙の裏面に当接させて落とし込んで、第1傾斜部34の下端と壁部36との屈曲位置Q及び凸部39で記録用紙Pを回転させ、記録用紙Pの先端を凹所Fへと矢印方向Eに移動させて、記録用紙Pを裏返らせ、記録用紙Pをフェイスダウンで第2傾斜部35に受けているので、図6(e)に示すように複数の記録用紙Pをフェイスダウンで第2傾斜部35に溜めて重ねることができる。このため、各記録用紙Pを記録用紙排出口18を通じて排紙トレイ31から纏めて取り出して引っ繰り返せば、各記録用紙の画像の順序と元の各画像の印刷順序とが一致し、各記録用紙を並べ替える必要がない。
【0060】
また、第2傾斜部35(各リブ41の端部)と傾斜面35aとが離間しているので、第2傾斜部35に溜めて重ねられた各記録用紙Pと傾斜面35aとの間に空間が形成され、この空間に指を入れることにより記録用紙を排紙トレイ31から容易に取り出すことができる。
【0061】
更に、記録用紙Pが湾曲していても平面状であっても、記録用紙Pを裏返らせてフェイスダウンで第2傾斜部35に受けて溜めることができる。特に、第1傾斜部34上で記録用紙Pの中央が出っ張るように記録用Pが湾曲している場合は、記録用紙Pが簡単に裏返える。また、第1傾斜部34上で記録用紙Pが反り返って湾曲している場合であっても、記録用紙Pを裏返すことができる。
【0062】
尚、上記実施形態では、側方から見て概ね台形状の凸部39を壁部36の上部に設けているが、他の形状の凸部39を適用してもよい。例えば、図7(a)に示すように側方から見ると半円形状の凸部39A、図7(b)に示すように側方から見ると直角三角形状の凸部39B、図7(c)に示すように側方から見ると半釣鐘形状の凸部39Cを適用することができる。このような凸部39A,39B、39Cのいずれも、第1傾斜部34と滑らかに繋がるため、第1傾斜部34で滑降して来た記録用紙が凸部を速やかに通過しつつ、滑降中の記録用紙の慣性によりその記録用紙が凸部で容易に回転して裏返る。
【0063】
また、第1傾斜部34での記録用紙Pの滑降速度が高い場合は、滑降中の記録用紙Pの慣性によりその先端が第2傾斜部35に当接して速やかに滑り落ち、記録用紙Pが確実に回転することから、凸部39を省略することも可能である。
【0064】
更に、第1傾斜部34を平坦な傾斜面としているが、第1傾斜部34を湾曲面にしてもよい。また、第2傾斜部35を形成する各リブ41の端部を湾曲させたり、第2傾斜部35を湾曲面にしたりしてもよい。
【0065】
また、壁部36を垂直面としているが、壁部36を第1傾斜部34よりも急峻な傾斜面にしたり、あるいは壁部36を第2傾斜部35と同じ向きに傾斜する傾斜面にしたりしてもよい。
【0066】
更に、底部37の幅を変更したり、底部37を省略したりしてもよい。底部37を省略した場合は、第2傾斜部35と壁部36とが側方から見て概ねV字型を描くが、このV字型の内側空間に複数の記録用紙を重ねて溜めることが可能である。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0068】
1 画像処理装置
2 複合機
11 蓋体
12 装置本体
13 挿入口
14 硬貨投入口
15 領収書排出口
17 硬貨返却口
18 記録用紙排出口
21 感熱プリンタ
22 棚
23 昇華型プリンタ(画像形成装置)
24 液晶表示装置
31 排紙トレイ
32 側壁部
33 傾斜受け部
34 第1傾斜部
35 第2傾斜部
36 壁部
37 底部
38 排出口接続部
39 凸部
41、42 リブ(板状部材)
F 凹所
Q 屈曲位置
Z 仮想垂線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7