(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。作用・機能が同じ働きを担う部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する場合がある。また、説明を簡易化するために、適宜1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
【0017】
また、シアン色の粒子をシアン粒子C、赤色の粒子を赤色粒子Rと記し、各粒子とその粒子群は同じ記号(符号)によって示す。
【0019】
図1(A)は、第1実施形態に係る表示装置を概略的に示している。この表示装置100は、画像表示媒体10と、画像表示媒体10を駆動する駆動装置20と、を備えている。駆動装置20は、画像表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に電圧を印加する電圧印加部30と、画像表示媒体10に表示させる画像の画像情報に応じて電圧印加部30を制御する制御部40と、を含んで構成されている。
【0020】
画像表示媒体10は、画像表示面とされる透光性を有する表示基板1と、非表示面とされる背面基板2と、が間隙を持って対向して配置されている。
【0021】
これらの基板1、2間を定められた間隔に保持すると共に、当該基板間を複数のセルに区画する間隙部材5が設けられている。
【0022】
上記セルとは、背面側電極4が設けられた背面基板2と、表示側電極3が設けられた表示基板1と、間隙部材5と、によって囲まれた領域を示している。セル中には、例えば絶縁性液体で構成された分散媒6と、分散媒6中に分散された第1粒子群11、第2粒子群12、及び浮遊粒子群13とが封入されている。
【0023】
第1粒子群11と第2粒子群12は、互いに異なる色に着色された同極性に帯電した粒子群であり、一対の電極3、4間に予め定めた閾値電圧以上の電圧を印加することにより、第1粒子群11及び第2粒子群12がそれぞれ単独で泳動する特性を有している。
【0024】
一方、浮遊粒子群13は、第1粒子群及び第2粒子群とは色及び帯電特性が異なり、第1粒子群11、第2粒子群12の帯電量よりも帯電量が少ない粒子群である。そのため、第1粒子群11、第2粒子群12が表示基板1及び背面基板2の何れか一方の基板側まで泳動して表示基板1又は背面基板2に付着する電圧が一対の電極3、4間に印加されても、浮遊粒子群13は、当該電圧により第1粒子群11及び第2粒子群とは反対方向に泳動するが、第1粒子群11及び第2粒子群の泳動距離に比べて泳動距離が短く、何れの基板1、2にも付着しない。
【0025】
ここで、粒子群が基板1、2に付着するとは、一対の電極3、4間への電圧印加によって分散媒6中に発生する電界により、粒子群が表示基板1側または背面基板2側に引き寄せられ、当該電圧の印加を停止した後も、ファンデルワールス力や鏡像力によって表示基板1側または背面基板2側に引き寄せられた粒子群が、表示基板1側または背面基板2側から剥離することなく表示を維持することをいう。この場合、基板1、2から粒子群を剥離するためには、一対の電極3、4間に粒子群の付着時とは逆極性の電圧の印加を必要とする。
【0026】
また、粒子群が基板1,2に付着しないとは、粒子が偶然基板1、2に接触している場合も含み、基板1、2に接触している粒子群を基板1、2から離脱させるためには、電圧の印加を必ずしも必要としない。
【0027】
なお、本実施形態に係る背面基板2は、表示基板1と同様に透光性を有してもよい。
【0028】
駆動装置20(電圧印加部30及び制御部40)は、画像表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に表示させる色に応じた電圧を印加することにより、粒子群11、12、13を、それぞれの帯電特性に応じて表示基板1、背面基板2の何れか一方向に泳動させる。
【0029】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4にそれぞれ電気的に接続されている。また、電圧印加部30は、制御部40に信号授受されるように接続されている。
【0030】
制御部40は、
図1(B)に示すように、例えばコンピュータ40として構成される。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、RAM(Random Access Memory)40C、不揮発性メモリ40D、及び入出力インターフェース(I/O)40Eがバス40Fを介して各々接続された構成であり、I/O40Eには電圧印加部30が接続されている。この場合、後述する各色の表示に必要な電圧の印加を電圧印加部30に指示する処理をコンピュータ40に実行させるプログラムを、例えば不揮発性メモリ40Dに書き込んでおき、これをCPU40Aが読み込んで実行させる。なお、プログラムは、CD−ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。
【0031】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部40の制御に応じた電圧を表示側電極3及び背面側電極4に印加する。
【0032】
本実施形態では、一例として表示側電極3を接地し、背面側電極4に電圧を印加する場合について説明する。
【0033】
図2は、本実施形態に係る表示装置100において、第1粒子群11としてシアンの色彩を有し且つ透光性を有する正帯電の電気泳動粒子(シアン粒子C)、及び第2粒子群12として赤の色彩を有するシアン粒子Cの粒径より大きい正帯電の電気泳動粒子(赤色粒子R)を表示基板1側、背面基板2側に泳動させるために必要な印加電圧の特性を示したものである。
図2では、シアン粒子Cの印加電圧特性を特性50C、赤色粒子Rの印加電圧特性を特性50Rで表わしている。
【0034】
また、
図2は、表示側電極3をグラウンドレベル(0V)として背面側電極4に印加された電圧と、各粒子群による表示濃度との関係を示したものである。
【0035】
図2に示すように、背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ泳動開始する電界(閾値電界)を発生させる泳動開始電圧(閾値電圧)は+Vc0であり、表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ泳動開始する電界(閾値電界)を発生させる泳動開始電圧(閾値電圧)は−Vc0である。従って、+Vc0以上の電圧を印加することで背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ泳動して表示基板1側に付着し、−Vc0以下の電圧を印加することで表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ泳動して背面基板2側に付着する。
【0036】
そして、背面基板2側のシアン粒子Cを表示基板1側へ泳動させる粒子の粒子量、表示基板1側のシアン粒子Cを背面基板2側へ泳動させる粒子の粒子量は、例えば印加する電圧のパルス幅を同一にした場合には、電圧値を変えることによって制御される(電圧変調)。例えば背面基板2側のシアン粒子Cを表示基板1側へ泳動させる粒子の粒子量を制御する場合、印加する電圧のパルス幅は同一で、電圧値を+Vc0以上の任意の電圧値とすることにより、その電圧値に応じた粒子量のシアン粒子Cを表示基板1側へ泳動させて表示基板1側に付着させる。
【0037】
例えば、電圧値を+Vc1とした場合は、分散媒6中に封入される全てのシアン粒子Cが表示基板1側に泳動して表示基板1側に付着し、電圧値を−Vc1とした場合は、分散媒6中に封入される全てのシアン粒子Cが背面基板2側に泳動して背面基板2側に付着する。
【0038】
また、背面基板2側の赤色粒子Rが表示基板1側へ泳動開始する泳動開始電圧(閾値電圧)は+Vr0であり、表示基板1側の赤色粒子Rが背面基板2側へ泳動開始する泳動開始電圧(閾値電圧)は−Vr0である。従って、+Vr0以上の電圧を印加することで背面基板2側の赤色粒子Rが表示基板1側へ泳動して表示基板1側に付着し、−Vr0以下の電圧を印加することで表示基板1側の赤色粒子Rが背面基板2側へ泳動して背面基板2側に付着する。
【0039】
そして、背面基板2側の赤色粒子Rを表示基板1側へ泳動させる粒子量、表示基板1側の赤色粒子Rを背面基板2側へ泳動させる粒子量は、前述したシアン粒子Cの場合と同様に、例えば印加する電圧のパルス幅を同一にした場合には、その電圧値によって制御される。
【0040】
例えば、電圧値を+Vr1とした場合は、分散媒6中に封入される全ての赤色粒子Rが表示基板1側に泳動して表示基板1側に付着し、電圧値を−Vr1とした場合は、分散媒6中に封入される全ての赤色粒子Rが背面基板2側に泳動して背面基板2側に付着する。
【0041】
なお、印加する電圧の電圧値を同一にして、そのパルス幅(印加時間)を変えることで泳動する粒子の粒子量を制御し、階調表示を制御するようにしてもよい(パルス幅変調)。例えば印加する電圧の電圧値を+Vc0とした場合、そのパルス幅が長くなるに従って表示基板1側へ泳動して表示基板1側に付着するシアン粒子Cの粒子量が多くなる。これによりシアン粒子Cの階調表示が制御される。表示基板1側のシアン粒子Cを背面基板2側へ泳動させて背面基板2側に付着させる場合のシアン粒子Cの粒子量の制御についても同様である。
【0042】
まず、本実施形態に係る浮遊粒子群13以外の浮遊粒子群を使用した画像表示媒体の色表示について説明する。
【0043】
図3に、本実施形態に係る表示装置100において、浮遊粒子群13の代わりに透光性がない白の色彩を有する正極にも負極にも帯電していない浮遊粒子(無帯電白色粒子W)に対して、背面側電極4に電圧を印加した場合の印加電圧と無帯電白色粒子Wの泳動距離との関係を示す。
図3では、無帯電白色粒子Wの印加電圧特性を特性50Wで表している。なお、表示側電極3をグラウンドレベル(0V)とした。
【0044】
縦軸は表示基板1及び背面基板2からそれぞれ等距離にある両基板1、2の中間点からの無帯電白色粒子Wの泳動距離を、当該中間点から表示基板1側に泳動する方向を正値とし、背面基板2側に泳動する方向を負値として示している。両基板1、2の中間点から表示基板1までの距離をL、両基板1、2の中間点から背面基板2までの距離を−Lとする。
【0045】
図3から、無帯電白色粒子Wは正極にも負極にも帯電していないため、無帯電白色粒子Wに電圧を印加しても泳動しないことがわかる。
【0046】
次に、この場合の各色の表示について説明する。なお、表示側電極3はグラウンドレベル(0V)とする。
【0047】
図4は、本実施形態に係る画像表示媒体10において、浮遊粒子群13の代わりに無帯電白色粒子群Wを含んだ各粒子群への電圧印加の際の挙動の一例を概略的に示したものである。なお、
図4では、分散媒6、間隙部材5等は省略されている。
【0048】
例として、第1粒子群11にシアン粒子C、第2粒子群12に赤色粒子R、浮遊粒子群13の代わりに無帯電白色粒子Wを使用した場合について説明する。
【0049】
図4(A)に示すように、背面側電極4に−Vwの電圧を印加すると、正帯電の全てのシアン粒子C及び赤色粒子Rは表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着した状態となる。一方、無帯電白色粒子Wは分散媒6中を泳動せずに浮遊する。無帯電白色粒子群Wは透光性を有しないため、表示基板1側からは無帯電白色粒子Wが目視されるので白色が表示される。
【0050】
図4(A)の状態から、
図4(B)に示すように、背面側電極4に+Vr1の電圧を印加すると、正帯電の赤色粒子Rは背面基板2側から表示基板1側に泳動して表示基板1側の全面に付着した状態となる。一方、無帯電白色粒子Wは分散媒6中を泳動せずに浮遊する。これにより表示基板1側からは赤色粒子Rが目視されるので赤色が表示される。
【0051】
図4(B)の状態から、
図4(C)に示すように、背面側電極4に+Vc1の電圧を印加すると、正帯電のシアン粒子Cは、背面基板2側から表示基板1側に泳動して、既に表示基板1側に付着している赤色粒子Rの間隙を通り、表示基板1側の全面に付着した状態となる。一方、無帯電白色粒子Wは分散媒6中を泳動せずに浮遊する。これにより表示基板1側からは透光性を有するシアン粒子Cを通してシアン色と赤色の混色である黒色が表示される。
【0052】
図4(C)の状態から、
図4(D)に示すように、背面側電極4に−Vr1の電圧を印加すると、正帯電の赤色粒子Rは表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着した状態となる。シアン粒子Cは表示基板1側の全面に付着したままの状態である。一方、無帯電白色粒子Wは分散媒6中を泳動せずに浮遊する。これにより表示基板1側からはシアン粒子Cが目視されるのでシアン色が表示される。
【0053】
ところが、浮遊粒子群13の代わりに無帯電白色粒子Wを使用した場合、無帯電白色粒子Wは背面側電極4に印加される電圧に依存せず、赤色粒子群Rの周囲を自由に浮遊する。よって、背面側電極4に印加される電圧に従って、表示基板1側又は背面基板2側に赤色粒子群Rが泳動して付着する際、無帯電白色粒子群Wの一部の粒子を挟み込んでしまうため、各色の表示濃度が低下する。
【0054】
例えば、
図4(A)では、赤色粒子群Rが表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着する際、無帯電白色粒子群Wの一部の粒子が赤色粒子群Rと背面基板2とによって挟み込まれる。すると、分散媒6中を浮遊する無帯電白色粒子Wが少なくなり、白色の表示濃度が低下する。
【0055】
図4(B)では、赤色粒子群Rが背面基板2側から表示基板1側に泳動して表示基板1側の全面に付着する際、無帯電白色粒子群Wの一部の粒子が赤色粒子群Rと表示基板1とによって挟み込まれる。すると、表示基板1側からは、赤色粒子群Rの所々に無帯電白色粒子Wが目視されるため、赤色の表示濃度が低下する。
【0056】
図4(C)では、無帯電白色粒子群Wの一部の粒子が赤色粒子群Rと表示基板1とによって挟み込まれた状態のところに、シアン粒子群Cが表示基板1側の全面に付着するため、表示基板1側からは、透光性を有するシアン粒子Cを通してシアン色と赤色の混色である黒色が表示される所々に無帯電白色粒子Wが目視されるため、黒色の表示濃度が低下する。
【0057】
更に、赤色粒子Rは表示基板1側の全面に付着する際、無帯電白色粒子群Wの一部の粒子を赤色粒子Rと表示基板1との間に挟み込むため、表示基板1に対する赤色粒子Rの付着力は、赤色粒子Rと表示基板1との間に無帯電白色粒子群Wの一部の粒子を挟みこまない場合と比較して弱くなる。
【0058】
そのため、例えば
図4(B)のように赤色表示を行って背面側電極4への電圧印加を停止した後、時間が経過するにつれて、
図5(A)のように、表示基板1側に付着した赤色粒子Rが表示基板1側から剥離し始める。更に時間が経過すると
図5(B)のように、表示基板1側に付着した赤色粒子Rが表示基板1側から剥離して分散媒6中を浮遊する。
【0059】
次に、
図6に、本実施形態に係る表示装置100において、浮遊粒子群13の代わりに透光性がない白の色彩を有し、シアン粒子C及び赤色粒子Rより帯電量が少ない正帯電浮遊粒子(正帯電白色粒子W+)に対して、背面側電極4に電圧を印加した場合の印加電圧と正帯電白色粒子W+の泳動距離との関係を示す。
図6では、正帯電白色粒子W+の印加電圧特性を特性50W+で表している。なお、表示側電極3をグラウンドレベル(0V)とした。
【0060】
図6から、正帯電白色粒子W+に正極の電圧を印加する場合、正帯電白色粒子W+は印加する電圧値が大きくなるに従って、表示基板1側に泳動する距離が長くなる。ただし、その泳動距離は、分散媒6中に封入される全てのシアン粒子Cが表示基板1側に泳動して表示基板1側に付着する電界以上の電界を発生させる電圧+Vwを印加しても、基板1、2間の中間点から表示基板1までの距離に満たない。
【0061】
また、背面側電極4に負極の電圧を印加する場合、正帯電白色粒子W+は印加する電圧値の絶対値が大きくなるに従って、背面基板2側に泳動する距離が長くなる。ただし、その泳動距離は、分散媒6中に封入される全てのシアン粒子Cが背面基板2側に泳動して背面基板2側に付着する電界以上の電界を発生させる電圧−Vwを印加しても、基板1、2間の中間点から背面基板2までの距離に満たない。
【0062】
次に、この場合の各色の表示について説明する。なお、表示側電極3はグラウンドレベル(0V)とする。
【0063】
図7は、実施形態に係る画像表示媒体10において、浮遊粒子群13の代わりに正帯電白色粒子群W+を含んだ各粒子群への電圧印加の際の挙動の一例を概略的に示したものである。なお、
図7では、分散媒6、間隙部材5等は省略されている。
【0064】
例として、第1粒子群11にシアン粒子C、第2粒子群12に赤色粒子R、浮遊粒子群13の代わりに正帯電白色粒子W+を使用した場合について説明する。
【0065】
図7(A)に示すように、背面側電極4に−Vwの電圧を印加すると、正帯電の全てのシアン粒子C及び赤色粒子Rは表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着した状態となる。一方、正帯電白色粒子W+も、背面基板2側に付着することなく分散媒6中を背面基板2側に泳動する。これにより表示基板1側からは正帯電白色粒子W+が目視されるので白色が表示される。
【0066】
図7(A)の状態から、
図7(B)に示すように、背面側電極4に+Vr1の電圧を印加すると、正帯電の赤色粒子Rは背面基板2側から表示基板1側に泳動して表示基板1側の全面に付着した状態となる。一方、正帯電白色粒子W+も、表示基板1側に付着することなく分散媒6中を表示基板1側に泳動する。これにより表示基板1側からは赤色粒子Rが目視されるので赤色が表示される。
【0067】
図7(B)の状態から、
図7(C)に示すように、背面側電極4に+Vc1の電圧を印加すると、正帯電のシアン粒子Cは、背面基板2側から表示基板1側に泳動して、既に表示基板1側に付着している赤色粒子Rの間隙を通り、表示基板1側の全面に付着した状態となる。一方、正帯電白色粒子W+も、表示基板1側に付着することなく分散媒6中を
図7(B)の場合よりも更に表示基板1側に泳動する。これにより表示基板1側からは透光性を有するシアン粒子Cを通してシアン色と赤色の混色である黒色が表示される。
【0068】
図7(C)の状態から、
図7(D)に示すように、背面側電極4に−Vr1の電圧を印加すると、正帯電の赤色粒子Rは表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着した状態となる。シアン粒子Cは表示基板1側の全面に付着したままの状態である。一方、正帯電白色粒子W+も、背面基板2側に付着することなく分散媒6中を背面基板2側に泳動する。これにより表示基板1側からはシアン粒子Cが目視されるのでシアン色が表示される。
【0069】
ところが、浮遊粒子群13の代わりに正帯電白色粒子W+を使用した場合、正帯電白色粒子W+は赤色粒子群R及びシアン粒子群Cと同極性に帯電しているため、背面側電極4に印加される電圧に従って赤色粒子群R及びシアン粒子群Cが泳動する方向と同方向に泳動する。そのため、背面側電極4に印加される電圧に従って、表示基板1側又は背面基板2側に赤色粒子群Rが泳動して付着する際、正帯電白色粒子群W+の一部の粒子を挟み込んでしまうため、各色の表示濃度が低下する。
【0070】
例えば、
図7(A)では、赤色粒子群Rが表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着する際、背面基板2側へ泳動する正帯電白色粒子群W+の一部の粒子が赤色粒子群Rと背面基板2とによって挟み込まれる。すると、分散媒6中を浮遊する正帯電白色粒子W+が少なくなり、白色の表示濃度が低下する。
【0071】
図7(B)では、赤色粒子群Rが背面基板2側から表示基板1側に泳動して表示基板1側の全面に付着する際、表示基板1側へ泳動する正帯電白色粒子群W+の一部の粒子が赤色粒子群Rと表示基板1とによって挟み込まれる。すると、表示基板1側からは、赤色粒子群Rの所々に正帯電白色粒子W+が目視されるため、赤色の表示濃度が低下する。
【0072】
図7(C)では、正帯電白色粒子群W+の一部の粒子が赤色粒子群Rと表示基板1とによって挟み込まれた状態のところに、シアン粒子群Cが表示基板1側の全面に付着するため、表示基板1側からは、透光性を有するシアン粒子Cを通してシアン色と赤色の混色である黒色が表示される所々に正帯電白色粒子W+が目視されるため、黒色の表示濃度が低下する。
【0073】
図7(D)では、
図7(C)の状態で赤色粒子群Rが表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着する際、背面基板2側へ泳動する正帯電白色粒子群W+の一部の粒子が赤色粒子群Rと背面基板2とによって挟み込まれる。すると、分散媒6中を浮遊する正帯電白色粒子W+が少なくなり、シアン色の表示濃度が低下する。
【0074】
更に、赤色粒子Rは表示基板1側の全面に付着する際、無帯電白色粒子群Wの一部の粒子を赤色粒子Rと表示基板1との間に挟み込むため、表示基板1への赤色粒子Rの付着力は、赤色粒子Rと表示基板1との間に無帯電白色粒子群Wの一部の粒子を挟みこまない場合と比較して弱くなる。
【0075】
そのため、例えば
図7(B)のように赤色表示を行って背面側電極4への電圧印加を停止した後、時間が経過するにつれて
図5(A)のように、表示基板1側に付着した赤色粒子Rが表示基板1側から剥離し始める。更に時間が経過すると
図5(B)のように、表示基板1側に付着した赤色粒子Rが表示基板1側から剥離して分散媒6中を浮遊する。
【0076】
以上説明したように、浮遊粒子群13の代わりに無帯電白色粒子群W又は正帯電白色粒子群W+を使用した場合、背面側電極4に印加される電圧に従って、表示基板1側又は背面基板2側に赤色粒子群Rが泳動して付着する際、無帯電白色粒子群W又は正帯電白色粒子群W+の一部の粒子を挟み込み、各粒子群による各色の表示濃度が低下する。
【0077】
次に、本実施形態に係る浮遊粒子群13を使用した画像表示媒体の色表示について説明する。
【0078】
本実施形態では、例えば第1粒子群11はシアン粒子群C、第2粒子群12は赤色粒子群R、浮遊粒子群13は、透光性がない白の色彩を有し、シアン粒子C及び赤色粒子Rより帯電量が少ない負帯電浮遊粒子(負帯電白色粒子W−)とするが、これに限定されない。各粒子群の色彩がそれぞれ異なり、第1粒子群11及び第2粒子群が同極性に帯電され、浮遊粒子群13が第1粒子群11又は第2粒子群12の帯電量より少なく逆極性に帯電されていれば、各粒子の色と帯電特性は適宜設定すればよい。また、以下の説明で印加する電圧の値も一例であって、これに限定されず、粒子の帯電特性、応答性、電極間の距離等に応じて適宜設定すればよい。
【0079】
なお、シアン粒子C及び赤色粒子Rの分散媒6中の泳動性及び表示品質を確保するために、分散媒6中に封入される負帯電白色粒子群W−の質量は、シアン粒子群Cの質量より大きいことが好ましい。具体的には負帯電白色粒子群W−はシアン粒子群C1質量部に対して10質量部以上30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは20質量部である。
【0080】
これは、負帯電白色粒子群W−が、シアン粒子群Cの1質量部に対して10質量部未満の場合は白色の表示品質が低下し、30質量部より大きい場合はシアン粒子C及び赤色粒子Rが泳動する際、負帯電白色粒子W−と衝突する割合が増加して移動度が低下するためである。
【0081】
図8に、本実施形態に係る表示装置100において、負帯電白色粒子W−に対して、背面側電極4に電圧を印加した場合の印加電圧と負帯電白色粒子W−の泳動距離との関係を示す。
図8では、負帯電白色粒子W−の印加電圧特性を特性50W−で表している。なお、表示側電極3をグラウンドレベル(0V)とした。
【0082】
図8から、負帯電白色粒子W−に正極の電圧を印加する場合、負帯電白色粒子W−は印加する電圧値が大きくなるに従って、背面基板2側に泳動する距離が長くなる。ただし、その泳動距離は、分散媒6中に封入される全てのシアン粒子Cが表示基板1側に泳動して表示基板1側に付着する電界以上の電界を発生させる電圧+Vwを印加しても、基板1、2間の中間点から背面基板2までの距離に満たない。
【0083】
また、負帯電白色粒子W−に負極の電圧を印加する場合、負帯電白色粒子W−は印加する電圧値の絶対値が大きくなるに従って、表示基板1側に泳動する距離が長くなる。ただし、その泳動距離は、分散媒6中に封入される全てのシアン粒子Cが背面基板2側に泳動して背面基板2側に付着する電界以上の電界を発生させる電圧−Vwを印加しても、基板1、2間の中間点から表示基板1までの距離に満たない。
【0084】
以下では、本実施形態に係る表示装置100の制御部40のCPU40Aが、各色の表示に必要な電圧の印加を制御するプログラムを読み込んで実行することにより指定色の表示処理を実現する場合について説明する。
【0085】
この場合、当該プログラムを表示装置100の制御部40のROM40Bに予めインストールしておく形態や、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
【0086】
次に
図9を参照して、本実施形態に係る電圧印加制御を実行する際の表示装置100の作用を説明する。
【0087】
なお、
図9は、この際に表示装置100の制御部40のCPU40Aにより実行される画像表示媒体10の駆動プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM40Bの予め定められた領域に予め記憶されている。
【0088】
まず、ステップS200では、画像表示媒体10に表示させるべき画像の画像情報を例えばI/O40Eを介して図示しない外部装置から取得する。
【0089】
ステップS202では、リセット電圧を印加するように電圧印加部30に指示する。ここでは、リセット電圧は、全てのシアン粒子C及び赤色粒子Rを背面基板2側へ泳動させて付着させるための電圧−Vwとする。
【0090】
この場合、
図10に示すように、リセット電圧−Vwが背面側電極4に印加されると、正帯電の全てのシアン粒子C及び赤色粒子Rは表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着した状態となる。一方、負帯電白色粒子W−は表示基板1側に付着することなく分散媒6中を背面基板2側から表示基板1側へ泳動する。
【0091】
負帯電白色粒子W−は赤色粒子Rの泳動方向とは反対方向に泳動するため、赤色粒子Rは背面基板2側に付着する際、負帯電白色粒子群W−の一部の粒子を挟み込むことなく背面基板2側に付着する。従って、分散媒6中を浮遊する負帯電白色粒子W−の総量は、背面基板2側への赤色粒子Rの付着前後で変化しないため、表示基板1側から目視した場合、白色の表示濃度は低下しない。
【0092】
ステップS204では、ステップS200で取得した画像情報に基づいて、画像表示媒体10に表示すべき画像の色に対応した背面側電極4に印加する電圧を決定し、電圧印加部30に指示する。電圧印加部30は、制御部40から指示された電圧を背面側電極4に印加する。
【0093】
例えば、赤色表示を行う場合には、
図10(A)の状態から背面側電極4に+Vr1を印加する。すると、
図10(B)のように、正帯電の全ての赤色粒子Rは背面基板2側から表示基板1側に泳動して表示基板1側の全面に付着した状態となる。一方、負帯電白色粒子W−は背面基板2側に付着することなく分散媒6中を表示基板1側から背面基板2側へ泳動する。
【0094】
負帯電白色粒子W−は赤色粒子Rの泳動方向とは反対方向に泳動するため、赤色粒子Rは表示基板1側に付着する際、負帯電白色粒子群W−の一部の粒子を挟み込むことなく表示基板1側に付着する。従って、表示基板1側から負帯電白色粒子W−は目視されず、赤色表示が行われる。
【0095】
また、例えば、黒色表示を行う場合には、
図10(B)の状態から背面側電極4に+Vc1を印加する。すると
図10(C)のように、正帯電の全てのシアン粒子Cは背面基板2側から表示基板1側に泳動して表示基板1側の全面に付着した状態となる。一方、負帯電白色粒子W−は、
図10(B)の状態よりも背面基板2側に付着することなく、更に分散媒6中を表示基板1側から背面基板2側へ泳動する。
【0096】
負帯電白色粒子W−はシアン粒子Cの泳動方向とは反対方向に泳動するため、シアン粒子Cも赤色粒子Rと同様に表示基板1側に付着する際、負帯電白色粒子群W−の一部の粒子を挟み込むことなく表示基板1側に付着する。従って、表示基板1側から負帯電白色粒子W−は目視されず、透光性を有するシアン粒子Cを通してシアン色と赤色の混色である黒色表示が行われる。
【0097】
また、例えば、シアン色表示を行う場合には、
図10(C)の状態から背面側電極4に−Vr1を印加する。すると
図10(D)のように、正帯電の全ての赤色粒子Rは表示基板1側から背面基板2側に泳動して背面基板2側の全面に付着した状態となる。一方、負帯電白色粒子W−は、表示基板1側に付着することなく分散媒6中を背面基板2側から表示基板1側へ泳動する。
【0098】
負帯電白色粒子W−は赤色粒子Rの泳動方向とは反対方向に泳動するため、赤色粒子Rは背面基板2側に付着する際、負帯電白色粒子群W−の一部の粒子を挟み込むことなく背面基板2側に付着する。従って、分散媒6中を浮遊する負帯電白色粒子W−の総量は、背面基板2側への赤色粒子Rの付着前後で変化しないため、表示基板1側から目視した場合、シアン粒子Cの背後にある白色の表示濃度は低下しない。
【0099】
このように、赤色粒子Rが表示基板1側の全面に付着する際、無帯電白色粒子群Wの一部の粒子を赤色粒子Rと表示基板1との間に挟み込まないため、表示基板1に対する赤色粒子Rの付着力は、赤色粒子Rと表示基板1との間に無帯電白色粒子群Wの一部の粒子を挟み込む場合と比較して強くなる。
【0100】
そのため、例えば
図10(B)のように赤色表示を行って背面側電極4への電圧印加を停止させてから時間が経過しても、
図5(B)のように、表示基板1側に付着した赤色粒子Rは表示基板1側から剥離されない。
【0101】
なお、本実施形態に係る赤色粒子Rの体積平均粒径は、シアン粒子Cの体積平均粒径よりも大きいとしたが、これに限らず、シアン粒子Cの体積平均粒径が赤色粒子Rの体積平均粒径よりも大きくてもよい。その場合、分散媒6中に封入される負帯電白色粒子群W−は、赤色粒子群R1質量部に対して20質量部であることが好ましい。
【0102】
また、本実施形態では、分散媒6中にシアン粒子群C及び赤色粒子群Rを封入した場合について説明したが、色が異なり且つ同極性に帯電された3種類以上の粒子群を封入してもよい。
【0103】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0104】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合せにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0105】
例えば、上記実施の形態では、表示装置10の駆動処理をソフトウエア構成によって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当該駆動処理をハードウェア構成により実現する形態としてもよい。
【0106】
この場合の形態例としては、例えば、制御部40と同一の処理を実行する機能デバイスを作成して用いる形態がある。この場合は、上記実施の形態に比較して、駆動処理の高速化が期待される。
【0107】
また、上記実施の形態では、白色の浮遊粒子群13を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば浮遊粒子群13は黄色や黒色に着色されていてもよい。
【0108】
その他、上記実施の形態で説明した表示装置100の構成(
図1参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加してもよいことは言うまでもない。