(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電動シリンダ(4x)のネジ軸(8)をケーシング(11)内に回転自在に支持する1対の軸受部材(12a),(12b)を、所定の間隔でケーシング(11)に対して軸方向スライド可能に設けるとともに、該1対の軸受部材(12a),(12b)に対してネジ軸(8)の非ネジ部(81)を軸方向スライド可能に支持させ、
前記ケーシング(11)の軸方向において、1対の軸受部材(12a),(12b)の外側位置に当たるケーシング(11)の内面側に、軸受部材(12a),(12b)が当接可能なストッパー(13a),(13b)を各々設け、
前記ネジ軸(8)の非ネジ部(81)の軸方向において、1対の軸受部材(12a),(12b)の外側位置に当たる非ネジ部(81)の外面側に、軸受部材(12a),(12b)が当接可能なストッパー(14a),(14b)を各々設け、
1対の軸受部材(12a),(12b)間のネジ軸(8)の非ネジ部(81)にバネ(5)を外装し、該バネ(5)の軸方向両端を軸受部材(12a),(12b)に各々係合させ、
装置の加圧作動時に作動ロッド(7)に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより前記バネ(5)がネジ軸(8)のストッパー(14b)と軸受部材(12b)を介して押圧され、軸方向で圧縮されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の加圧装置。
手段(6)が、ネジ軸(8)の非ネジ部(81)に対して周方向回転自在に取り付けられ、ケーシング(11)に対して回転することなく軸方向スライド可能である支持リング(15)と、該支持リング(15)に支持されるストライカー(16)と、該ストライカー(16)の接触により作動し、電動シリンダ(4x)の駆動を停止させるリミットスイッチ(17)とを備え、
装置の加圧作動時にバネ(5)が圧縮されつつネジ軸(8)が軸方向で移動することにより、ストライカー(16)がリミットスイッチ(17)と接触して電動シリンダ(4x)の駆動を停止させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の加圧装置。
電動式直線作動機(4)の作動ロッド(7)が、直線作動機本体側のロッド部(100)の端部に軸方向進退可能に連結される可動ロッド部(101)を有し、該可動ロッド部(101)の先端部がトグル(3)に連結され、前記ロッド部(100)と可動ロッド部(101)間にバネ(5)が介装されたことを特徴とする請求項1に記載の加圧装置。
手段(6)が、装置の加圧作動時にバネ(5)が圧縮される際の装置に作用する荷重を検知するロードセル(18)又は歪ゲージ(41)と、該ロードセル(18)又は歪ゲージ(41)の荷重検知に基づいて電動式直線作動機(4)の駆動を停止させる制御手段(19)とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の加圧装置。
電動式直線作動機(4)は、1つのモータで駆動する複数の作動ロッド(7)を有するとともに、各作動ロッド(7)に対応してトグル(3)が設けられ、該複数のトグル(3)により加圧板(2)が保持されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の加圧装置。
金型(83a,83b)を加圧する加圧装置(P)と、上記金型(83a,83b)を開閉する開閉装置(K)と、上記加圧装置(P)による金型(83a,83b)の加圧位置(X)と上記開閉装置(K)による金型(83a,83b)の開閉位置(Y)との間で上記金型(83a,83b)を搬送する搬送手段(T)とを備えた成形装置であって、
上記加圧装置は、受圧板(1)と、ガイドに沿って昇降可能であり、前記受圧板(1)との間でワークを挟んで加圧する加圧板(2)と、前記加圧板(2)を保持し、その屈伸により加圧板(2)を昇降させるトグル(3)と、軸方向で進退可能な作動ロッド(7)が前記トグル(3)に連結され、該作動ロッド(7)の進退によりトグル(3)を屈伸させる電動式直線作動機(4)と、該電動式直線作動機(4)に付設される加圧・緩衝用のバネであって、装置の加圧作動時に前記作動ロッド(7)に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより圧縮され、作動ロッド(7)を介して前記トグル(3)を付勢するバネ(5)と、該バネ(5)が圧縮されるタイミングで前記電動式直線作動機(4)の駆動を停止させる手段(6)とを備えており、
前記電動式直線作動機(4)が電動シリンダ(4x)からなり、該電動シリンダ(4x)のネジ軸(8)を、そのケーシング(11)に対して軸方向移動可能とするとともに、ネジ軸(8)の非ネジ部(81)にバネ(5)を外装し、該バネ(5)の軸方向両端をケーシング(11)側とネジ軸(8)側に各々係合させ、装置の加圧作動時に作動ロッド(7)に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより、前記バネ(5)が軸方向で圧縮されるようにしたことを特徴とする成形装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の装置は、基本的に加圧力は油圧シリンダの出力に依存するため、大きな加圧力を得るには大型(大出力)の油圧シリンダが必要であり、また、ワークを一定時間高い加圧力で加圧保持する必要があるような場合には、油圧シリンダを常に作動させておく必要があり、消費エネルギーが大きくなる。
【0007】
したがって本発明の目的は、比較的小さい出力の駆動装置を用いて大きな加圧力を得ることができるとともに、少ない消費エネルギ一で加圧状態を一定時間保持することができ、しかも構造が簡単で安価に製造することができる加圧装置及びそれを備えた成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
【0009】
[1]受圧板(1)と、ガイドに沿って昇降可能であり、前記受圧板(1)との間でワークを挟んで加圧する加圧板(2)とを備えた加圧装置であって、
前記加圧板(2)を保持し、その屈伸により加圧板(2)を昇降させるトグル(3)と、
軸方向で進退可能な作動ロッド(7)が前記トグル(3)に連結され、該作動ロッド(7)の進退によりトグル(3)を屈伸させる電動式直線作動機(4)と、
該電動式直線作動機(4)に付設される加圧・緩衝用のバネであって、装置の加圧作動時に前記作動ロッド(7)に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより圧縮され、作動ロッド(7)を介して前記トグル(3)を付勢するバネ(5)と、
該バネ(5)が圧縮されるタイミングで前記電動式直線作動機(4)の駆動を停止させる手段(6)とを備えたことを特徴とする加圧装置。
【0010】
[2]上記[1]の加圧装置において、電動式直線作動機(4)が電動シリンダ(4x)からなり、該電動シリンダ(4x)のネジ軸(8)を、そのケーシング(11)に対して軸方向移動可能とするとともに、ネジ軸(8)の非ネジ部(81)にバネ(5)を外装し、
該バネ(5)の軸方向両端をケーシング(11)側とネジ軸(8)側に各々係合させ、装置の加圧作動時に作動ロッド(7)に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより、前記バネ(5)が軸方向で圧縮されるようにしたことを特徴とする加圧装置。
【0011】
[3]上記[2]の加圧装置において、電動シリンダ(4x)のネジ軸(8)をケーシング(11)内に回転自在に支持する1対の軸受部材(12a),(12b)を、所定の間隔でケーシング(11)に対して軸方向スライド可能に設けるとともに、該1対の軸受部材(12a),(12b)に対してネジ軸(8)の非ネジ部(81)を軸方向スライド可能に支持させ、
前記ケーシング(11)の軸方向において、1対の軸受部材(12a),(12b)の外側位置に当たるケーシング(11)の内面側に、軸受部材(12a),(12b)が当接可能なストッパー(13a),(13b)を各々設け、
前記ネジ軸(8)の非ネジ部(81)の軸方向において、1対の軸受部材(12a),(12b)の外側位置に当たる非ネジ部(81)の外面側に、軸受部材(12a),(12b)が当接可能なストッパー(14a),(14b)を各々設け、
1対の軸受部材(12a),(12b)間のネジ軸(8)の非ネジ部(81)にバネ(5)を外装し、該バネ(5)の軸方向両端を軸受部材(12a),(12b)に各々係合させ、
装置の加圧作動時に作動ロッド(7)に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより前記バネ(5)がネジ軸(8)のストッパー(14b)と軸受部材(12b)を介して押圧され、軸方向で圧縮されるようにしたことを特徴とする加圧装置。
【0012】
[4]上記[2]又は[3]の加圧装置において、手段(6)が、ネジ軸(8)の非ネジ部(81)に対して周方向回転自在に取り付けられ、ケーシング(11)に対して回転することなく軸方向スライド可能である支持リング(15)と、該支持リング(15)に支持されるストライカー(16)と、該ストライカー(16)の接触により作動し、電動シリンダ(4x)の駆動を停止させるリミットスイッチ(17)とを備え、
装置の加圧作動時にバネ(5)が圧縮されつつネジ軸(8)が軸方向で移動することにより、ストライカー(16)がリミットスイッチ(17)と接触して電動シリンダ(4x)の駆動を停止させるようにしたことを特徴とする加圧装置。
【0013】
[5]上記[1]の加圧装置において、電動式直線作動機(4)の作動ロッド(7)が、直線作動機本体側のロッド部(100)の端部に軸方向進退可能に連結される可動ロッド部(101)を有し、該可動ロッド部(101)の先端部がトグル(3)に連結され、前記ロッド部(100)と可動ロッド部(101)間にバネ(5)が介装されたことを特徴とする加圧装置。
【0014】
[6]上記[1]〜[4]のいずれかの加圧装置において、手段(6)が、装置の加圧作動時にバネ(5)が圧縮される際の装置に作用する荷重を検知するロードセル(18)又は歪ゲージ(41)と、該ロードセル(18)又は歪ゲージ(41)の荷重検知に基づいて電動式直線作動機(4)の駆動を停止させる制御手段(19)とを備えることを特徴とする加圧装置。
【0015】
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの加圧装置において、電動式直線作動機(4)は、1つのモータで駆動する複数の作動ロッド(7)を有するとともに、各作動ロッド(7)に対応してトグル(3)が設けられ、該複数のトグル(3)により加圧板(2)が保持されることを特徴とする加圧装置。
【0016】
[8]金型(83a,83b)を加圧する加圧装置(P)と、上記金型(83a,83b)を開閉する開閉装置(K)と、上記加圧装置(P)による金型(83a,83b)の加圧位置(X)と上記開閉装置(K)による金型(83a,83b)の開閉位置(Y)との間で上記金型(83a,83b)を搬送する搬送手段(T)とを備えた成形装置であって、
上記加圧装置は、受圧板(1)と、ガイドに沿って昇降可能であり、前記受圧板(1)との間でワークを挟んで加圧する加圧板(2)と、前記加圧板(2)を保持し、その屈伸により加圧板(2)を昇降させるトグル(3)と、軸方向で進退可能な作動ロッド(7)が前記トグル(3)に連結され、該作動ロッド(7)の進退によりトグル(3)を屈伸させる電動式直線作動機(4)と、該電動式直線作動機(4)に付設される加圧・緩衝用のバネであって、装置の加圧作動時に前記作動ロッド(7)に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより圧縮され、作動ロッド(7)を介して前記トグル(3)を付勢するバネ(5)と、該バネ(5)が圧縮されるタイミングで前記電動式直線作動機(4)の駆動を停止させる手段(6)とを備えたことを特徴とする成形装置。
【0017】
[9]上記[8]の成形装置において、上記加圧装置(P)及び上記開閉装置(K)は互いに隣接して配置され、
上記搬送手段(T)は、上記加圧位置(P)と上記開閉位置(K)との間で上記金型(83a,83b)をスライド移動させるスライド機構(90)を有していることを特徴とする成形装置。
【0018】
[10]上記[8]又は[9]の成形装置において、上記スライド機構(90)は、上記金型(83a,83b)が設置される移動テーブル(91)を有し、
上記移動テーブル(91)は、上記加圧装置(P)の受圧板(1)を構成していることを特徴とする成形装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の加圧装置は、比較的小さい出力の駆動装置を用いて大きな加圧力を得ることができるとともに、少ない消費エネルギーで加圧状態を一定時間保持することができる。しかも構造が簡単で安価に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜
図5は、本発明の加圧装置の一実施形態を示すもので、
図1はトグルを伸長させた状態で示す正面図、
図2は同じ状態で装置下部を部分的に示す側面図、
図3はトグルを屈曲させた状態で示す正面図、
図4は電動シリンダの内部構造を部分的に示す断面図、
図5(ア),(イ)は装置の加圧作動時と非加圧作動時における電動シリンダの内部構造の動きを示すもので、電動シリンダの内部構造を部分的に示す断面図である。
【0022】
本実施形態は、装置を構成する電動式直線作動機4が電動シリンダ4xからなる場合を示している。ここで、電動式直線作動機とは、モータを駆動源として直線運動をする作動ロッド(軸方向進退可能な作動ロッド)を備えた装置であり、一般には、モータ出力軸の回転運動をギア機構或いはギア機構−ネジ機構により作動ロッドの直線運動に変換し、作動ロッドを進退させるものである。電動シリンダ4x以外では、例えば、ウォームジャッキなどのようなジャッキ装置が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
装置の機体Aは、キャスター付の基台50と、この基台50に立設された複数本(本実施形態では4本)の支持柱51を介して基台50上方に支持された架台52などからなる。この架台52は、上段部520と下段部521から構成されている。なお、前記支持柱51は、加圧板の昇降をガイドするガイド軸を兼ねている。
【0024】
1は固定式の受圧板、2はこの受圧板1との間でワークを挟んで加圧する可動式の加圧板である。受圧板1は、基台50の上面に固定されている。一方、加圧板2は受圧板1の上方に配置され、支持柱51をガイド軸として上下昇降可能である。加圧板2の各コーナー部にはガイド孔200が設けられ、このガイド孔200に支持柱51が挿通している。
【0025】
3は加圧板2を昇降させるためのトグル(トグル機構)である。このトグル3は、加圧板2を保持し、その屈伸により加圧板2を昇降させるものであり、本実施形態では、左右1対のトグルリンク30(トグルリンクユニット)で構成されている。各トグルリンク30は、端部どうしが回動可能に連結31(枢着)された第1リンク32(上部リンク)と第2リンク33(下部リンク)とからなり、第1リンク32の上端が架台52の下段部521にブラケット36を介して回動可能に軸支34されるとともに、第2リンク33の下端が加圧板2の上面にブラケット37を介して回動可能に軸支35されている。
【0026】
トグル3を構成する左右1対のトグルリンク30(トグルリンクユニット)の間には、後述する電動シリンダ4xの作動ロッド7が位置している。各トグルリンク30の連結部31には、作動ロッド7とトグルリンク30とを連結するためのアーム38の一端が枢着され、このアーム38の他端が、作動ロッド7の先端に枢着39されている。すなわち、作動ロッド7には、その両側のトグルリンク30(トグルリンクユニット)と連結する1対のアーム38が接続(枢着)されている。
【0027】
4xは前記トグル3を駆動する電動シリンダであり、この電動シリンダ4xは、ネジ軸8のネジ部80に螺装されるナット部9と、このナット部9に連なるロッド部10とからなる進退可能な作動ロッド7を備え、この作動ロッド7の進退によりトグル3を屈伸させる。
【0028】
電動シリンダ4xは、作動ロッド7を下向きにして架台52の上段部520に取り付けられ、さきに述べたように作動ロッド7の先端がアーム38を介して両トグルリンク30に連結されている。
【0029】
本発明装置では、加圧・緩衝用のバネ5が電動式直線作動機4(本実施形態では電動シリンダ4x)に付設され、このバネ5が、装置の加圧作動時に作動ロッド7に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより圧縮され、作動ロッド7を介してトグル3を付勢するようにしてある。本実施形態では、バネ5は電動シリンダ4xのシリンダ本体内に組み込まれている。
【0030】
以下、電動シリンダ4xの詳細について説明する。
【0031】
電動シリンダ4xは、ボールネジ等で構成される回転自在なネジ軸8と、このネジ軸8に螺装されるナット部9を備え、ネジ軸8が回転することにより軸方向で進退する作動ロッド7と、ネジ軸8を回転駆動させるモータ20などから構成される。なお、ネジ軸8としては、ボールネジに限らず、台形ネジや角ネジ等のような任意の種類のネジを備えたネジ軸を用いることができる。
【0032】
前記ネジ軸8は、長手方向においてネジ部80とこれに連なる非ネジ部81を有しており、その非ネジ部81がケーシング11に対して回転可能に支持される。
【0033】
非ネジ部81をケーシング11内に回転自在に支持する1対の軸受部材12a,12bが、所定の間隔でケーシング11に対して
軸方向スライド可能に設けられるとともに、この1対の軸受部材12a,12bに対してネジ軸8の非ネジ部81が軸方向スライド可能に支持されている。
【0034】
また、ケーシング11の軸方向において、1対の軸受部材12a,12bの外側位置に当たるケーシング11の内面側に、軸受部材12a,12bが当接可能なストッパー13a,13bが各々設けられている。さらに、ネジ軸8の非ネジ部81の軸方向において、1対の軸受部材12a,12bの外側位置に当たる非ネジ部81の外面側に、軸受部材12a,12bが当接可能なストッパー14a,14bが各々設けられている。
【0035】
そして、1対の軸受部材12a,12b間のネジ軸8の非ネジ部81にバネ5が外装され、このバネ5の軸方向両端がバネ座23を介して軸受部材12a,12bに各々係合している。この実施形態では、バネ5は皿バネで構成されているが、コイルスプリングなどで構成してもよい。
【0036】
本発明の装置では、装置の加圧作動時に作動ロッド7に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより、バネ5がネジ軸8のストッパー14bと軸受部材12bを介して抑圧され、軸方向で圧縮されるようにするものであり、したがって、荷重の設定値に応じたバネ5が選択される。また、バネ5は、上記のように必要とする加圧力が発生した場合にのみ作動(圧縮)するようにするため、予め適度に圧縮された状態で組み込まれることが好ましい。
【0037】
一般の電動シリンダと同様、作動ロッド7は、ネジ軸8のネジ部80に螺装されるナット部9と、このナット部9に連なるロッド部10とから構成され、ナット部9とロッド部10は、ケーシング11に非回転且つ軸方向スライド可能に保持されている。ネジ軸8の非ネジ部81の端部にはギア22が取り付けられ、このギア22がモータ20のピニオン21と噛合している。なお、ネジ軸8は軸方向(上下方向)に移動するため、ギア22はピニオン21に対して軸方向でスライド移動が可能である。
【0038】
また、本発明装置は、バネ5が圧縮されるタイミングで電動式直線作動機4(本実施形態では電動シリンダ4x)の駆動を停止させる手段6を備えている。本実施形態では、この手段6は電動シリンダ4xのシリンダ本体に付設されたリミットスイッチ機構で構成されている。
【0039】
すなわち、ネジ軸8の非ネジ部81の端部(ギア22取付側と反対側の端部)には、軸支部材26を介して支持リング15が周方向回転自在に設けられており、この支持リング15は、ケーシング11に対して回転することなく軸方向スライド可能となっている。そして、リミットスイッチ機構を構成するストライカー16が、前記支持リング15に支持されている。このストライカー16はケーシング11に形成された窓孔110を通じてケーシング11の外方に突出している。窓孔110の外側には、前記ストライカー16の接触により作動し、電動シリンダ4xの駆動を停止させるリミットスイッチ17が設けられている。これにより、装置の加圧作動時にバネ5が圧縮されつつネジ軸8が軸方向で移動することによって、ストライカー16がリミットスイッチ17と接触して電動シリンダ4xの駆動を停止させるようにしてある。
【0040】
また、本実施形態では、ストライカー16の移動方向でリミットスイッチ17とは反対側にリミットスイッチ17xが設けられ、作動ロッド7を後退させて装置を非加圧作動状態にする時に、ネジ軸8が軸方向で上記と反対方向に移動することにより、ストライカー16がリミットスイッチ17xと接触して電動シリンダ4xの駆動を停止させるようにしてある。
【0041】
その他図面において、24はネジ軸8の一部を構成するスリーブ、25はリミットスイッチ17,17xが収納されたケースである。
【0042】
次に、以上述べた実施形態の装置の動作について説明する。
【0043】
図3のように加圧板2が上方に位置し、受圧板1上にワークが置かれた状態で、電動シリンダ4xを駆動し、その作動ロッド7を伸長させることで、
図1に示すようにトグル3を伸長させる(なお、
図1はワークが置かれていない状態でトグル3を最大限伸長させた状態を示している)。トグル3の伸長により加圧板2が支持柱51にガイドされつつ下降し、受圧板1との間でワークを挟んで加圧する。
【0044】
この加圧作動時は、
図5(ア)に示すように荷重(加圧反力)がネジ軸8のストッパー14bと軸受部材12bを介してバネ5に伝えられ、作動ロッド7に軸方向で設定値以上の荷重(加圧反力)が作用すると、ネジ軸8が上方に移動してバネ5が軸方向で圧縮され、このバネ5が作動ロッド7を介してトグル3を付勢する。同時に、ネジ軸8の上方移動によりストライカー16がリミットスイッチ17と接触して電動シリンダ4xの駆動を停止させる。すなわち、手段6(リミットスイッチ機構)がバネ5が圧縮されるタイミングで電動シリンダ4xの駆動を停止させる。この電動シリンダ4xの駆動が停止した状態で、バネ5の作用により受圧板1と加圧板2間でのワークの加圧状態が保持されることになる。
【0045】
また、作動ロッド7を後退させて装置を非加圧作動状態にする際には、
図5(イ)に示すよ
うに、作動ロッド7を構成するナット部9の端部がストッパー27に当接すると、その反力(荷重)がネジ軸8のストッパー14aと軸受部材12aを介してバネ5に伝えもね、ネジ軸8に軸方向で設定値以上の荷重が作用すると、ネジ軸8が下方に移動してバネ5が軸方向で圧縮され、このネジ軸8の下方移動によりストライカー16がリミットスイッチ17xと接触して電動シリンダ4xの駆動を停止させる。
【0046】
なお、リミットスイッチ17xの代わりに、
図3に示すように上昇した加圧板2が接触することでその位置を検知するリミットスイッチ40を設け、このリミットスイッチ40の作動により電動シリンダ4xの駆動を停止させるようにしてもよい。
【0047】
本発明装置によれば、加圧機構にトグルを用いることにより、比較的小さい出力の駆動装置(電動式直線作動機)を用いて高い加圧力を得ることができるとともに、この高い加圧力を電動式直線作動機4を駆動させることなく維持することができる。
【0048】
このためワークを一定時間高い加圧力で加圧保持する必要がある場合、極めて少ない消費エネルギ一で効率的に加圧を行うことができる。
【0049】
このため本発明装置は、例えば、複数枚の板材の積層体を接着するために一定時間加圧保持する場合や、上下金型内に高圧で樹脂を注入し、硬化するまで一定時間加圧保持する場合などの用途に特に好適である。
【0050】
次に、本発明装置の第2の実施形態について説明する。
図6〜
図13は、第2の実施形態の装置である成形装置Sを示している。
【0051】
図6は、第1金型83aを加圧する一方、第2金型83bを開いた成形装置Sを示す正面図である。
図7は、第1金型83aへの加圧を開放した成形装置Sを示す正面図である。
図8は、第1及び第2金型83a,83bをスライド移動させた成形装置Sを示す正面図である。
図9は、第1金型83aを開く一方、第2金型83bを加圧する成形装置Sを示す正面図である。
【0052】
図10は、第2金型83bへの加圧を開放した成形装置Sを示す正面図である。
図11は、第1及び第2金型83a,83bをスライド移動させた成形装置Sを示す正面図である。
図12は、成形装置Sの概略構成を示す平面図である。
図13は、成形装置Sの概略構成を示す側面図である。
【0053】
成形装置Sは、
図6に示すように、金型83a,83bを加圧する加圧装置Pと、金型83a,83bを開閉する開閉装置Kと、加圧装置Pによる金型83a,83bの加圧位置Xと、開閉装置Kによる金型83a,83bの開閉位置Yとの間で金型83a,83bを搬送する搬送手段Tとを備えている。
【0054】
ここで、金型83a,83bには、第1金型83aと第2金型83bとが含まれる。第1金型83aは、第1上型84aと第1下型85aとにより構成されている。一方、第2金型83bは、第2上型84bと第2下型85bとにより構成されている。
【0055】
成形装置Sは、
図12及び
図13に示すように、押し出し機Jをさらに備えている。押し出し機Jは、本体部86と、本体部86に設けられたシリンダ部87と、シリンダ部87に樹脂材料を供給するためのホッパー88とを有している。シリンダ部87は、加圧装置Pに対して進退可能に設けられたノズル89を有し、溶融された樹脂を加圧装置Pにより加圧されている金型83a,83bの内部へ射出するように構成されている。
【0056】
加圧装置Pは、上述の実施形態で説明した加圧装置と同様の構成を有している。加圧装置P及び開閉装置Kは、互いに隣接して配置されており、
図12及び
図13に示すように、加圧装置Pの両隣に開閉装置Kがそれぞれ配置されている。一方、押し出し機Jは、加圧装置Pの背面側に配置されている。
【0057】
搬送手段Tは、
図6に示すように、加圧位置Xとその左右両側の開閉位置Yとの間で金型83a,83bをスライド移動させるスライド機構90を有している。スライド機構90は、金型83a,83bが設置される移動テーブル91と、移動テーブル91を加圧位置X乃至各開閉位置Yにガイドするレール部92とを有している。
【0058】
レール部92は、成形装置Sの基台50の一部を構成している。一方、移動テーブル91は、加圧装置Pの受圧板1を構成している。移動テーブル91には、第1金型83a及び第2金型83bが並んで設置される。そして、移動テーブル91は、
図6に示すように第1金型83aが加圧位置Xに配置されると共に第2金型83bが開閉位置Yに配置される状態と、
図8に示すように第1金型83aが開閉位置Yに配置されると共に第2金型83bが加圧位置Xに配置される状態とに移動するようになっている。
【0059】
開閉装置Kは、
図6、
図12及び
図13に示すように、基台50に立設された複数本(本実施形態では4本)の支持柱93と、支持柱93の上端に固定支持された架台94と、架台94に装着された直線作動機としてのシリンダ95とを備えている。シリンダ95は、例えば油圧シリンダ、エアシリンダ又は電動シリンダ等によって構成することが可能である。尚、直線作動機には、他の昇降手段を適用してもよい。
【0060】
シリンダ95は下方に延びるロッド部96を有している。ロッド部96の下端には第1上型84a又は第2上型84bを保持する保持部97が装着されている。保持部97は、シリンダ95のロッド96が進退することにより、複数の支持柱93にガイドされながら昇降するようになっている。
【0061】
次に、成形装置Sの作動について説明する。
【0062】
例えば、
図6に示すように、加圧装置Pの電動シリンダ4xを駆動してトグルリンク30を伸張させることにより、第1金型83aを加圧板2と移動テーブル91としての受圧板1との間で挟んで加圧する。このとき、所定の加圧力となったときに電動シリンダ4xは停止し、バネ5の付勢力のみによって加圧状態が維持される。続いて、押し出し機Jのシリンダ部87を本体部86から伸張させて第1金型83aに接続する。そうして、溶融した樹脂をシリンダ部87から第1金型83aの内部へ射出する。
【0063】
一方、開閉装置Kでは、
図6に示すように、シリンダ95により第2上型84bが保持部97に保持された状態で上昇することによって、第2金型83bが開く。そして、第2下型85bから成形品を取り出すと共に次の成形の準備をする。
【0064】
次に、
図7に示すように、開閉装置Kのシリンダ95を駆動して保持部97に保持されている第2上型84bを下降させ、第2金型83bを閉じる。一方、加圧装置Pでは電動シリンダ4xを駆動して第1金型83aへの加圧力を減少させる。そうして、トグルリンク30を収縮させて加圧板2を僅かに上昇させる。
【0065】
次に、
図8に示すように、スライド機構90により第1及び第2金型83a,83bを移動テーブル91と共にレール部92に沿ってスライド移動させる。そのことにより、加圧位置Xに配置されていた第1金型83aを同図で左側の開閉位置Yに移動させると共に、同図で右側の開閉位置Yに配置されていた第2金型83bを装置中央の加圧位置Xに移動させる。その後、シリンダ95を駆動して開閉装置Kの保持部97を下降させ、その保持部97によって第1上型84aを保持する。
【0066】
次に、
図9に示すように、加圧装置Pの電動シリンダ4xを駆動してトグルリンク30を伸張させることにより、第2金型83bを加圧板2と移動テーブル91としての受圧板1との間で挟んで加圧する。このとき、所定の加圧力となったときに電動シリンダ4xは停止し、バネ5の付勢力のみによって加圧状態が維持される。続いて、押し出し機Jのシリンダ部87を本体部86から伸張させて第2金型83bに接続する。そうして、溶融した樹脂をシリンダ部87から第2金型83bの内部へ射出する。
【0067】
一方、開閉装置Kでは、
図9に示すように、シリンダ95により第1上型84aが保持部97に保持された状態で上昇することによって、第1金型83aが開く。そして、第1下型85aから成形品を取り出すと共に次の成形の準備をする。
【0068】
次に、
図10に示すように、開閉装置Kのシリンダ95を駆動して保持部97に保持されている第1上型84aを下降させ、第1金型83aを閉じる。一方、加圧装置Pでは電動シリンダ4xを駆動して第2金型83bへの加圧力を減少させる。そうして、トグルリンク30を収縮させて加圧板2を僅かに上昇させる。
【0069】
次に、
図11に示すように、スライド機構90により第1及び第2金型83a,83bを移動テーブル91と共にレール部92に沿ってスライド移動させる。そのことにより、加圧位置Xに配置されていた第2金型83bを同図で右側の開閉位置Yに移動させると共に、同図で左側の開閉位置Yに配置されていた第1金型83aを装置中央の加圧位置Xに移動させる。その後、シリンダ95を駆動して開閉装置Kの保持部97を下降させ、その保持部97によって第2上型84bを保持する。
【0070】
その後、
図6に示す上述の動作を再度行う。こうして、上述の動作を繰り返すことによって、第1及び第2金型83a,83bにおける成形の準備、成形、成形品の取り出し及び準備を順に行う。
【0071】
したがって、第2の実施形態によれば、上述の加圧装置Pによって金型83a,83bを好適に一定時間加圧保持することができる。すなわち、トグルリンク30を用いることにより比較的小さい出力の駆動装置(電動シリンダ4x)によって高い加圧力で金型83a,83bを加圧することができることに加え、その電動シリンダ4xを停止しながらも高い加圧力を維持できる。よって、極めて少ない消費エネルギーにより、効率的に金型83a,83bを加圧保持して所望の成形品を得ることができる。
【0072】
さらに、加圧装置Pにおける加圧位置Xと開閉装置Kにおける開閉位置Yとの間をスライド移動する移動テーブル91によって受圧板1を構成したので、加圧装置Pによる金型83a,83bの加圧動作と、開閉装置Kにおける金型83a,83bの開閉動作とを連続して効率良く行うことができる。すなわち、上記成形装置Sによれば、消費エネルギーを大幅に低減しつつ、所望の成形品を作業性よく得ることができる。
【0073】
尚、この実施形態では、加圧装置Pの左右両側に開閉装置Kをそれぞれ配置した成形装置Sについて説明したが、本発明はこの配置構成に限定されない。例えば、加圧装置Pの周囲四方のうち何れか一方に1つの開閉装置Kを隣接して配置させてもよい。また、加圧装置Pと例えば2つの開閉装置Kとを円弧上に並ぶように配置させてもよい。
【0074】
次に、本発明装置の他の実施形態について説明する。
【0075】
本発明装置では、バネ5は、装置の加圧作動時に作動ロッド7に軸方向で設定値以上の荷重が作用することにより圧縮され、作動ロッド7を介してトグル3を付勢することができるものであれば、電動式直線作動機4(例えば、電動シリンダ4x)に対してどのような形態で付設してもよい。したがって、例えば、作動ロッド7の途中にバネ5を設けてもよい。
【0076】
図14は、そのような構造を有する装置の一実施形態について、作動ロッド7の一部を部分断面した状態で示す説明図である。この実施形態では、電動シリンダ4xの作動ロッド7を構成するロッド部10が、シリンダ本体側のロッド部100と、このロッド部100の端部に軸方向進退可能に連結される可動ロッド部101とから構成され、この可動ロッド部101の先端部が、アーム38を介してトグルリンク30に連結されている。そして、ロッド部100と可動ロッド部101間にバネ5が介装されている。
【0077】
この実施形態では、ロッド部100の端部にバネ収納用のシリンダ部28が設けられ、一方、可動ロッド部101の端部にバネ押圧用のピストン部29が設けられている。シリンダ部28内にはバネ5(コイルスプリング)が収納されるとともに、可動ロッド部101のピストン部29が挿入され、シリンダ部28の端部とピストン部29間でバネ5が圧縮されるように構成されている。なお、バネ5は、皿バネやクッションゴムなどで構成してもよい。
【0078】
本実施形態の装置でも、装置の加圧作動時に作動ロッド7に軸方向で設定値以上の荷重が作用することによりバネ5が圧縮され、この圧縮されたバネ5が作動ロッド7を介してトグル3を付勢する。
【0079】
また、本発明装置では、手段6は、バネ5が圧縮されるタイミングで電動式直線作動機4(例えば、電動シリンダ4x)の駆動を停止させることができるものであれば、どのような形態のものでもよい。したがって、例えば、装置の加圧作動時にバネ5が圧縮される際の装置に作用する荷重を検知するロードセル18と、このロードセル18の荷重検知に基づいて電動式直線作動機4の駆動を停止させる制御手段19(電気制御手段)を備えるようなものでもよい。或いは同様の荷重を検知する歪ゲージ41と、この歪ゲージ41の荷重検知に基づいて電動式直線作動機4の駆動を停止させる制御手段19(電気制御手段)を備えるようなものでもよい。
【0080】
ロードセル18や歪ゲージ41の設置位置は、装置の加圧作動時にバネ5が圧縮される際の装置に作用する荷重を検知することができればどの位置でもよく、例えば、基台50、架台52、支持柱51、作動ロッド7などのいずれかに設置することができる。
図1に具体的な設置例を示すが、この例では、ロードセル18は支持柱51の基端部近傍に設置してある。また、歪ゲージ41は支持柱51の途中に埋め込んである。
【0081】
以上のようなロードセル18や歪ゲージ41を有する手段6は、
図14のような実施形態に適用すればよいが、例えば、
図1〜
図5の実施形態において、リミットスイッチ機構に代えて適用してもよい。
【0082】
本発明装置では、電動式直線作動機4が、1つのモータで駆動する複数の作動ロッド7を有するとともに、各作動ロッド7に対応してトグル3が設けられ、この複数のトグル3により加圧板2が保持されるようにしてもよい。これにより、加圧板2が長い或いは広い場合でも、装置を安定して作動させることができる。
【0083】
図15は、そのような構造を有する装置の一実施形態について、電動シリンダ4xの上部構造を部分的に示す説明図である。この実施形態の電動シリンダ4xは、1つのモータ20で駆動する2つのネジ軸8
A,8
Bとこれらに各々対応する作動ロッド7及びトグル3を備えている。モータ20の出力軸60には、各ネジ軸8
A,8
Bに対応したべベルギア61が設けられ、このべベルギア61と噛合するべベルギア62及び同軸のピニオン63を介して、モータ20の出力が各ネジ軸8
A,8
Bのギア22に伝えられる。これにより、全て組のネジ軸8と作動ロッド7、さらには作動ロッド7で屈伸するトグル3が、同調して作動することになる。