(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホルダ支持部材(21)が全体に円弧状に形成されており、かつ前記ステアリングポスト(10)が円柱状であって、該ステアリングポスト(10)には、前記円弧状のホルダ支持部材(21)の前記先端部と反対側端部で該ホルダ支持部材(21)を使用位置と収納位置との間で回動自在に枢支する枢軸(22)を備え、
前記ステアリングポスト(10)が、前記ホルダ支持部材(21)をその円弧形状が円柱状のステアリングポスト(10)の外周に沿うように収納する収納空間を有することを特徴とする請求項1記載の車載携帯端末保持装置。
前記ホルダ支持部材(21)を支持する枢軸(22)の周囲に、前記ホルダ支持部材(21)を使用位置および使用位置から予定角度姿勢変更された収納位置に保持するストッパ手段(60)を設け、
前記ストッパ手段(60)が、前記ホルダ支持部材(21)および前記ステアリングポスト(10)側の一方に設けられる玉受け凹部(32、33)と、前記ホルダ支持部材(21)および前記ステアリングポスト(10)側の他方に設けられ、前記玉受け凹部(32、33)に向けてバネ(30)で付勢される玉(31)とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の車載携帯端末保持装置。
前記ホルダ(20)が、正面視矩形の携帯端末の一側部を保持する横部(371a、372a)と、該横部(371a、272a)の両端から立ち上げられて携帯端末の前記一側部に隣接する側部に当接する縦部(371b、372b)とからなり、該ホルダ(20)は前記ホルダ支持部材(21)に対して前記横部(371a、372a)が略水平位置と略垂直位置との間で略90°姿勢変化可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載携帯端末保持装置。
前記ホルダ(20)の前記横部(371a、372a)が2分割されており、該2分割された横部(371a、372a)には、互いの距離を狭める方向に収縮力が作用するようにバネ(39、40)が配置されていることを特徴とする請求項4または5記載の車載携帯端末保持装置。
前記ステアリングポスト(10)には、正面視でステアリングハンドル(8)の円形把持部(14)の内側に位置し、かつ該把持部(14)の回動に追従しないで該ステアリングポスト(10)側に固定される円形パッド(17)が設けられ、該円形パッド(17)の外周に沿って複数のスイッチおよび少なくとも車両の運転状態を含む情報を表示する表示部が配置される車両に設けられることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車載携帯端末保持装置。
前記複数のスイッチのうち、予め決定した使用頻度が高いスイッチ(600、601)が前記円形パッド(17)の左右領域に配置されることを特徴とする請求項7記載の車載携帯端末保持装置。
前記ホルダ支持部材(72、73)が、前記携帯端末(19)を着脱自在に保持するホルダ(80)が先端部に取り付けられて前記ステアリングポスト(10)に支持されるパイプ(72、73)であり、
前記パイプ(72、73)が、前記ステアリングポスト(10)に対して水平方向に配置されていて、径が異なる複数のパイプ部材(72a、72b、73a、73b)が連結されてなり、隣接するパイプ部材(72a、72b、73a、73b)同士は一方の外周が他方の内周に嵌合して摺動自在とすることで伸縮自在に構成されており、短縮された前記複数のパイプ部材(72a、72b、73a、73b)が前記ステアリングポスト(10)内に収納可能であることを特徴とする請求項1に記載の車載携帯端末保持装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載されている従来の車載装置や車載携帯電話機の保持装置は、携帯電話機を着脱できるように構成されているが、周辺部品との干渉に対する配慮がなされていない。運転者による見やすさを確保するため、携帯電話機保持装置は、運転者の前方、つまりステアリングハンドルの周辺に設けられるのが望ましい。しかし、ステアリングハンドルの周辺には各種操作スイッチやシフトレバー等の部品が配置されるため、これら周辺部品に携帯電話機保持装置が干渉して周辺部品の見やすさや操作性を損なうことが考えられる。一方、周辺部品との干渉を避けるように携帯電話機保持装置を配置すると、携帯電話機の見やすさや操作性を損なうことがある。
【0006】
また、従来技術では、携帯電話機を保持していない時であっても、携帯電話機保持装置は携帯電話機を保持している時と同じ位置か、その近辺に固定されたままであるので、ステアリングハンドル周りが煩雑となり、見栄えを悪くすることがある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の課題に対して、運転者が見やすく、かつ操作しやすい位置に携帯端末を着脱可能に保持できるものであって、周辺部品の操作性に影響を与えることなく、しかも携帯端末を保持していない時の見栄えを良好に維持することができる車載携帯端末保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明は、ステアリングハンドル(8)を回動自在に支持するステアリングポスト(10)を有する車両(1)に携帯端末(19)を保持する車載携帯端末保持装置において、携帯端末(19)を着脱自在に保持するホルダ(20、80)が先端部に取り付けられて前記ステアリングポスト(10)に支持されるホルダ支持部材(21、72、73)を備え、前記ホルダ支持部材(21)が、前記ステアリングポスト(10)に収納可能に構成される点に第1の特徴がある。
【0009】
また、前記ホルダ支持部材(21)が全体に円弧状に形成されており、かつ前記ステアリングポスト(10)が円柱状であって、該ステアリングポスト(10)には、前記円弧状のホルダ支持部材(21)の前記先端部と反対側端部で該ホルダ支持部材(21)を使用位置と収納位置との間で回動自在に枢支する枢軸(22)を備え、前記ステアリングポスト(10)が、前記ホルダ支持部材(21)をその円弧形状が円柱状のステアリングポスト(10)の外周に沿うように収納する収納空間を有する点に第2の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記ステアリングハンドル(8)が把持部(14)を備え、前記支持部材(21)の使用位置において、前記ステアリングハンドル(8)を正面から見た際に、前記ホルダ(20)が前記把持部(14)より径方向外側に位置する点に第3の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記ホルダ支持部材(21)を支持する枢軸(22)の周囲に、前記ホルダ支持部材(21)を使用位置および使用位置から予定角度姿勢変更された収納位置の2位置に保持するストッパ手段(60)を設け、前記ストッパ手段(60)が、前記ホルダ支持部材(21)および前記ステアリングポスト(10)側の一方に設けられる玉受け凹部(32、33)と、前記ホルダ支持部材(21)および前記ステアリングポスト(10)側の他方に設けられ、前記玉受け凹部(32、33)に向けてバネ(30)で付勢される玉(31)とからなる点に第4の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、前記ホルダ(20)が、正面視矩形の携帯端末の一側部を保持する横部(371a、372a)と、該横部(371a、272a)の両端から立ち上げられて携帯端末の前記一側部に隣接する側部に当接する縦部(371b、372b)とからなり、該ホルダ(20)は前記ホルダ支持部材(21)に対して前記横部(371a、372a)が略水平位置と略垂直位置との間で略90°姿勢変化可能に取り付けられている点に第5の特徴がある。
【0013】
また、本発明は、前記ホルダ(20)の横部(371a、272a)が、携帯端末の一側部が嵌る溝(48、49)を備えている点に第6の特徴がある。
【0014】
また、本発明は、前記ホルダ(20)の前記横部(371a、372a)が2分割されており、該2分割された横部(371a、372a)には、互いの距離を狭める方向に収縮力が作用するようにバネ(39、40)が配置されている点に第7の特徴がある。
【0015】
また、本発明は、前記ステアリングポスト(10)には、正面視でステアリングハンドル(8)の円形把持部(14)の内側に位置し、かつ該把持部(14)の回動に追従しないで該ステアリングポスト(10)側に固定される円形パッド(17)が設けられ、該円形パッド(17)の外周に沿って複数のスイッチおよび少なくとも車両の運転状態を含む情報を表示する表示部が配置される点に第8の特徴がある。
【0016】
また、本発明は、前記複数のスイッチのうち、予め決定した使用頻度が高いスイッチ(600、601)が前記円形パッド(17)の左右領域に配置される点に第9の特徴がある。
【0017】
また、本発明は、前記ホルダ支持部材(72、73)が、前記携帯端末(19)を着脱自在に保持するホルダ(80)が先端部に取り付けられて前記ステアリングポスト(10)に支持されるパイプ(72、73)であり、前記パイプ(72、73)が、前記ステアリングポスト(10)に対して水平方向に配置されていて、径が異なる複数のパイプ部材(72a、72b、73a、73b)が連結されてなり、隣接するパイプ部材(72a、72b、73a、73b)同士は一方の外周が他方の内周に嵌合して摺動自在とすることで伸縮自在に構成されており、短縮された前記複数のパイプ部材(72a、72b、73a、73b)が前記ステアリングポスト(10)内に収納可能である点に第10の特徴がある。
【発明の効果】
【0018】
第1、第10の特徴を有する本発明によれば、携帯端末用のホルダを支持するホルダ支持部材またはパイプ部材を、ホルダ使用時にはステアリングポストから引き出して使用できるし、ホルダの不使用時にはホルダ支持部材またはパイプ部材をステアリングポストに収納できるのでステアリングハンドルの周りをすっきりとさせることができる。また、ステアリングポスト近くに設けられるホルダに携帯端末を保持できるので、運転者は前方を向いた状態から大きく視線を移さずに携帯端末を見たり操作したりすることができる。
【0019】
第2の特徴を有する本発明によれば、ホルダ支持部材をステアリングポストの外周に沿って収納できるので、ステアリングポストの外周面からの突出部がなく、見栄えがよい。
【0020】
第3の特徴を有する本発明によれば、ホルダがステアリングハンドルの把持部より径方向外側に位置するので、運転者が前方に視線を向けたとき、把持部に視線を遮られることなくホルダに保持させた携帯端末の画面を見ることができる。
【0021】
第4の特徴を有する本発明によれば、ホルダ支持部材の使用位置および収納位置でそれぞれ玉が玉受け凹部に嵌ることでクリック感が得られるので、使用位置および収納位置へホルダ支持部材が位置されたことを操作者が感触によって認識することができる。
【0022】
第5の特徴を有する本発明によれば、ホルダを90度姿勢変化させることができるので、ホルダで保持される携帯端末を縦置きおよび横置きの2種類の姿勢で保持させることができる。
【0023】
第6の特徴を有する本発明によれば、携帯端末を溝に嵌めた状態で保持できるので、車両の振動に対して、携帯端末をより確実にホルダで保持することができる。
【0024】
第7の特徴を有する本発明によれば、ホルダで保持する携帯端末の種々のサイズに応じてホルダの幅を拡張または縮小することができるし、バネの力によって携帯端末を保持することができる。
【0025】
第8の特徴を有する本発明によれば、ステアリングハンドルの把持部より内側にスイッチや表示部を集中して配置できるので、ステアリングハンドルの把持部の周辺を簡素化することができる。
【0026】
第9の特徴を有する本発明によれば、使用頻度が高いとして予め決定したスイッチ(ウィンカスイッチ等)を、円形パッドの左右領域に配置したので、把持部を掴んだまま、指を伸ばしてスイッチ操作をすることができる。
【0027】
第10の特徴を有する本発明によれば、複数のパイプ材からなるパイプを伸縮自在としているので、ホルダの不使用時にはパイプを縮小してステアリングポスト内に収納できるし、パイプを拡張して使用位置に容易に引き出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車載携帯端末保持装置を有する車両の前部上面図、
図2は、車両の前部を右上後方から見た斜視図である。
図1、
図2において、車両1は車体前部に運転者席2を配置し、運転者席2の後方に同乗者席3を配置した二人乗りの電動四輪車両である。なお、
図1、
図2では、車内の各部配置を説明するため前部の風防ガラスと天蓋とを取り除いたものを示している。本実施形態では車両1として電動車両を想定するが、本発明が適用される車両は電動車両に限らず、内燃機関を駆動源とする車両や内燃機関と電動モータとを駆動源とするハイブリッド車両であってもよいし、四輪車に限らず三輪車であってもよい。
【0030】
車両1は、図示しない風防が上部に取り付けられる前部ボディ4を有する。前部ボディ4の後部には開閉可能な左右のドア5、6が設けられ、前部ボディ4の左右両側には前輪WFが配設されている。
【0031】
運転者席2は車両1の車幅方向中心から左右いずれかにオフセットして配置される。また、運転者席2の位置に合わせて、車両1の左側に偏った位置にステアリングハンドル8が配置される。
【0032】
車体に対してステアリングハンドル8を回動自在に支持するステアリングポスト10が設けられ、ステアリングポスト10の前端部は前部ボディ4の内側に固定または一体形成されるブラケット11の突出部(ボス)12に固定される。ステアリングポスト10を貫通して左右方向に延在するビーム13が設けられる。ビーム13は金属製の芯材13aと、芯材13aを覆うウレタンやポリプロピレン等の樹脂からなるカバー材13bとからなる。芯材13aの両端は前部カバー4に固定される。芯材13aは、例えば横断面形状が矩形のパイプであるのがよい。ビーム13はステアリングポスト10の長手方向中間部を前部ボディ4に固定させて支持強度を高めるとともに、後述するように、その長さ方向に沿って配置される電極部を備え、この電極部に対して電気的接触可能なUSB接続用ソケット(メス端子)を備えることができる。ビーム13は運転者の持ち物等を引っ掛けておくハンガとして使用してもよいし、カバー材13bに、塗装等、外装を施すことによりビーム13の外観性を高めることができる。
【0033】
ステアリングポスト10およびビーム13の下方は広い空間になっており、この空間に配置されるアクセルペダルやブレーキペダル(図示せず)を運転者席2に着座する運転者が足を延ばして操作することができる。
【0034】
ステアリングハンドル8は円形環状の把持部であるホイール14と、ホイール14からステアリングポスト10側に延びる複数(ここでは2本)のスポーク15と、ホイール14から延びたスポーク15に連結されるリング16とからなる。リング16はステアリングポスト10に対して回動自在に設けられる。
【0035】
ステアリングポスト10のうち、リング16と対向する位置にはステアリングポスト10に対するリング16の角度位置を検出する角度センサ(図示せず)が設けられる。角度センサは、例えばリング16側に所定角度間隔で設けられる磁性体と、磁性体を検知してパルス信号を出力する磁気センサとの組から構成できる。車両1はマイクロコンピュータを有する制御装置を備えており、駆動モータをバッテリ等の電源から供給される電力で駆動させて車輪WFを駆動させる駆動機能と、角度センサによって検知されるパルス信号に基づいてステアリングハンドル8の回動操作量を検出する検出機能および回動操作量に基づいて車両1の前輪を操舵用モータ(図示せず)で駆動して操舵する操舵機能とを有することができる。
【0036】
前輪の操舵手段は、角度センサの検出信号に基づいて前輪を電動モータで操舵するステアバイワイヤ方式を採用するが、この方式に限定されない。例えば、リング16に連結されるステアリングシャフトを設け、このステアリングシャフトの回動によって前輪を駆動してもよいし、ステアリングシャフトの回動量に応じて油圧装置を働かせたり電動モータを駆動したりして前輪を操舵するパワーステアリング機構を組み合わせてもよい。
【0037】
ステアリングポスト10には、正面視(つまりステアリングポスト10を横断する面に正対した方向から見た状態)で、ホイール14の内側に位置する円形パッド17が取り付けられる。この円形パッド17には、
図11を参照して後述する複数のスイッチおよび表示部が設けられる。
【0038】
車両1は、携帯端末である携帯電話機を車載するための携帯電話機保持装置18を備える。携帯電話機保持装置18は携帯電話機19の下部と左右側部とに当接する部分(詳細は後述する)を有するホルダ20とホルダ20が先端に取り付けられるホルダ支持部材21とを備える。ホルダ支持部材21は円弧状に湾曲した部品であり、ホルダ支持部材21の根元部つまりホルダ20が取り付けられている先端とは反対位置の部分は、ステアリングポスト10の右側部に枢支される。携帯電話機保持装置18は、ホルダ20、ホルダ支持部材21、およびホルダ支持部材21を枢支する枢軸と該枢軸を支持する部材(詳細は後述する)とからなるユニットとして構成されており、このユニット化された携帯電話機保持装置18がステアリングポスト10に組み付けられる。
【0039】
ホルダ支持部材21は、携帯電話機保持装置18を使用する時には、ホルダ支持部材21をその枢軸を中心として時計方向に旋回させて
図1に示している位置に展開する。一方、携帯電話機保持装置18を使用しない時には、ホルダ支持部材21をその枢軸を中心として反時計方向に旋回させてステアリングポスト10内に収納する。携帯電話機保持装置18はホルダ支持部材21を収納した状態でステアリングポスト10の外周面から突出しないように、好ましくはステアリングポスト10の外周面と面一となるようにホルダ支持部材21およびホルダ支持部材21を枢支する部材の寸法および円弧の曲率が決定される。
【0040】
なお、ホルダ支持部材21の使用位置では、携帯電話機19の画面つまり正面を運転者席2から見通せるように、ホルダ支持部材21の先端に取り付けられたホルダ20がホイール14より径方向外側に位置するようにホルダ支持部材21の寸法・形状やステアリングポスト10への取り付け位置が設定される。
【0041】
図3はステアリングハンドル8およびステアリングポスト10を含む車両1の要部を示す斜視図である。
図4はステアリングポスト10への取付構造を示す携帯電話機保持装置18の斜視図であり、
図5は携帯電話機保持装置18の要部を下方つまり車両1の前部ボディ4側から見た斜視図である。
【0042】
図3において、ステアリングポスト10のうち、ステアリングハンドル8のホイール14から前方に延びているスポーク15の前端が結合されるリング16よりもさらに前方の円柱部23の右側にはメインスイッチ24が設けられる。このメインスイッチ24をオン操作することで、電源装置(車載バッテリ)から制御装置に電力が供給可能となる。
【0043】
ステアリングポスト10の円柱部23よりもさらに先端部寄りにはステアリングポスト10の基部である先端円柱部25が設けられ、円柱部23と先端円柱部25との間にホルダ支持部材21を含む携帯電話機保持装置18が配置される。ホルダ支持部材21には、ダッシュボートまわりの視界を良好にするための貫通スリット21cが形成されている。
【0044】
図4、
図5を併せて参照すると、携帯電話機保持装置18は、ホルダ支持部材21の枢軸22および該枢軸22を支持する支持板26および27を備える。枢軸22は、支持板26に固定された軸ホルダ59によって軸支されている。支持板26、27はそれぞれ円板であり、互いに間隔をおいて対向配置される。支持板26、27の間にはホルダ支持部材21が収納できる収納部28が形成される。収納部28は支持板26、27の円周の一部分を占めるだけであり、円周の残り部分にはスペーサ29が配置される。支持板26および27の間にホルダ支持部材21が収納された状態で、外観上、スペーサ29はホルダ支持部材21と繋がって円形リングを構成する。支持板26には、ステアリングポスト10の組み立て時に用いられる複数のピン孔58が形成されている。
【0045】
支持板26を円柱部23に結合し、支持板27を先端円柱部25に結合することによって、携帯電話機保持装置18はステアリングポスト10に組み付けられる。なお、先端円柱部25は分割面に沿って2分割されており、ビーム13の芯材13aが貫通する孔25aを囲むボス25bが形成される。
【0046】
図6はスペーサ29およびホルダ支持部材21の正面図であり、
図7は
図6の7−7位置における支持板26、27およびホルダ支持部材21を含む部分の断面図である。ホルダ支持部材21を支持板26、27に枢支するための枢軸22は支持板26、27並びにホルダ支持部材21を貫通しており、枢軸22の両端は支持板26、27に固定され、ホルダ支持部材21は枢軸22に対して旋回自在に遊嵌される。支持板26には圧縮コイルバネ30によってホルダ支持部材21側に付勢される玉31が保持され、ホルダ支持部材21には、支持板26と対向する側の面に玉31の一部分が嵌る玉受け凹部32が形成される。玉受け凹部32は、ホルダ支持部材21が収納された状態で玉31が嵌ってクリック感が生じるように位置が決定される。この玉受け凹部32,33と玉31とによって、ホルダ支持部材21を所定位置に保持するストッパ手段60が構成されている。
【0047】
玉31を付勢する圧縮コイルバネ30は圧縮コイルバネ30と玉31とを収納する孔57にナット34が螺挿され、このナット34を圧縮コイルバネ30に対して進退させることによって玉31をホルダ支持部材21側に付勢する力を調節できる。ホルダ支持部材21を展開させるためには玉31の付勢力を越える力を作用させてホルダ支持部材21を
図6における時計回り方向に回動させる。これにより、玉31に対して玉受け凹部32の係合が断たれ、
図6において2点鎖線で示した位置までホルダ支持部材21を展開できる。ホルダ支持部材21はその展開位置でスペーサ29の端部29aに外側面21aが当接して位置決めがされる。
【0048】
ホルダ支持部材21を収納する際にはホルダ20を、枢軸35の周りで予めホルダ支持部材21の内側面21b側に回転させて、ホルダ20を
図6の位置20aまで折り畳んでおく。これにより、枢軸22を中心とするホルダ20を含むホルダ支持部材21の旋回半径を小さくして、コンパクトに収納できる。
【0049】
なお、ホルダ支持部材21の展開位置においてもクリック感を出すため玉受け凹部32をもう1箇所追加で形成するようにしてもよい。
図6においては玉受け凹部32に加えて玉受け凹部33を設けている。ホルダ支持部材21の収納位置では第1の玉受け凹部32に玉31が係合し、ホルダ支持部材21の展開位置では第2の玉受け凹部33に玉31が係合して、各位置でホルダ支持部材21のクリック感が得られる。
【0050】
前記玉受け凹部32、33と圧縮コイルバネ30および玉31の配置は、
図6、
図7に記載した配置に限らない。例えば、玉受け凹部32、33を支持板26、27のいずれか一方に設け、圧縮コイルバネ30および玉31をホルダ支持部材21に設けることができる。
【0051】
図6において、スペーサ29には、その厚み方向に貫通するピン36が複数箇所(この例で4箇所)に設けられる。ピン36は半径方向に撓むことができるスプリングピンであるのが好ましい。ピン36は、支持板26、27に形成されるピン孔(支持板26に形成されるピン孔58は
図4に示している)に嵌合して支持板26、27に対するスペーサ29の位置決め機能を果たす。
【0052】
なお、組み立ての容易性から、ホルダ支持部材21は、支持板26、27とともにユニットとしてステアリングポスト10に組み付けるようにしているが、ホルダ支持部材21を、支持板26、27等を介さず、直接ステアリングポスト10に支持させてもよい。
【0053】
次にホルダ20の構成およびホルダ支持部材21に対するホルダ20の連結構造を説明する。
図8はホルダ20の厚み方向中央部の、ホルダ支持部材21に直交する面における断面図であり、
図9はホルダ20の上面図、
図10は
図8の10−10位置における断面図である。
図8〜
図10において、ホルダ20は左部分371および右部分372に分割されたホルダ本体37を備える。左部分371は横部371aと、横部371aから垂直に立ち上がる縦部371bを備える。右部分372は横部372aと、横部372aから垂直に立ち上がる縦部372bを備える。
【0054】
横部371a、372aには、それぞれ孔43、44が穿たれており、左部分371と右部分372とを整列させるための円柱状のガイド38と、ガイド38の両側にそれぞれ一端が係止される引っ張りコイルバネ39および40と、引っ張りコイルバネ39、40のそれぞれの他端が係止されるフック41、42とが収容される。フック41、42は、左部分371および右部分372の側部に係止される。ガイド38は孔43、44に対して摺動自在に設けられる。左部分371および右部分372はさらに円柱状の副ガイド45が摺動自在に設けられる孔46、47を備える。部分371と右部分372との間隔が変化するのに連れて、ガイド38と副ガイド45がそれぞれ孔43、44、および46、47内を摺動して左部分371と右部分372の整列状態を維持する。
【0055】
左部分371と右部分372には、横部371a、372aの上面から縦部371b、372bの内側面に延在する携帯電話機19の下部が嵌るように形成される溝48、49が形成される。
【0056】
左部分371と右部分372は、ガイド38および副ガイド45によって、少なくとも溝48、49が整列され、かつ引っ張りコイルバネ39、40によって左部分371、372が互いに接近する方向に付勢される。したがって、溝48、49によって下部が保持される携帯電話機19の幅に応じて左部分371と右部分372の間隔が調節される。
図8では部分371と右部分372が互いに当接していて、縦部371b、372bにおいて携帯電話機19を保持するための溝48、49の間隔Bは最小である。この最小間隔Bより幅の大きい携帯電話機19を保持する場合は、左部分371と右部分372を引っ張りコイルバネ39、40の引っ張り力に抗して互いに離間する方向に向けて拡張させる。
【0057】
右部分372の下部にはステー50が突出しており、一方、ホルダ支持部材21からはステー51が突出している。ステー50にはねじ孔50aが形成され、ステー51にはネジ孔50aにねじ込まれるボルト52が貫通されるボルト孔51aが設けられる。ボルト52は段付きボルトであり、ネジ孔50aにボルト52をねじ込んで締め付けた状態でステー50に対してボルト52の段部分52aによってステー51が変位可能な間隙が確保される。ステー50には圧縮コイルバネ53および圧縮コイルバネ53でステー51側に付勢される玉54を収納する玉受け凹部50bが形成される。ボルト52を中心にステー51に対してステー50を回動させたとき、所定の2箇所で玉54が嵌って係止するための玉受け凹部55、56が設けられる。
図8においては玉受け凹部55に玉54が係止してホルダ20は水平に保持されており、
図8の位置から反時計方向にホルダ20を90度回転させた位置では玉受け凹部56に玉54が係止する。この位置では、携帯電話機19を90度姿勢変更した状態で携帯電話機19を保持できる。
【0058】
なお、
図8等に関して説明した例では複数の引っ張りコイルバネ39、40を用いて、部分371、372を、互いの間隔が縮まる方向に付勢しているが、引っ張りコイルバネに限らず、圧縮コイルバネを用いて携帯電話機を保持するための二つの部分を、その間隔が縮まるように変更することもできる。また、引っ張りコイルバネは二つに限らず単一のもので実現してもよい。
【0059】
図11は、ステアリングポスト10の正面に配置される円形パッド17の正面図である。
図11において、円形パッド17の中央部には図示しないエアバッグおよびホーンスイッチが収納され、エアバッグやホーンスイッチはカバー171で覆われる。円形パッド17の外周部には複数のスイッチ及びインジケータが配置される。スイッチは、ウィンカスイッチ600、シフトスイッチ601、ハザードスイッチ602、ワイパースイッチ603、ウィンドウォッシャスイッチ604、ヘッドライトのハイビーム605およびロービームスイッチ606等である。
【0060】
ウィンカスイッチ600は上方に倒すと左折を指示し、ウィンカスイッチ600を下方に倒すと右折を指示することができる。ウィンカスイッチ600の左折及び右折の操作に応じて左折インジケータ607及び右折インジケータ608が点灯する。シフトスイッチ601は自動変速装置の変速を行うものであり、シフト位置はシフト位置インジケータ609によって表示される。シフト位置インジケータ609は、パーキング位置P、バック走行位置R、ニュートラル位置N、および前進走行位置Dをランプ表示し、シフトスイッチ601はシフト位置インジケータ609の配置に従ってシフト位置を選択する。例えば、現在のシフト位置がニュートラル位置Nにある場合、シフトスイッチ601を下方に倒すと、シフト位置は前進走行位置Dに切り替わり、そこから、シフトスイッチを上方に倒すと、シフト位置はニュートラル位置Nに戻すことができる。前進走行位置Dからシフトスイッチ601を上方に2回倒す操作をするとパーキング位置Pが選択される。他のスイッチ602、603、604、605、および606はいずれもランプ式インジケータを兼用しており、これらのスイッチ602〜606は、プッシュ操作に対応してランプが点灯し、ランプが点灯している状態で再びプッシュ操作されるとランプは消灯する。
【0061】
使用頻度の高いウィンカスイッチ600やシフトスイッチ601は円形パッド17の左右真横にそれぞれ配置され、速度表示装置610が円形パッド17の上部(
図4における上部)に配置される。速度表示装置610は車両1の走行速度をデジタル表示する。速度表示装置610の左側には、オドメータとトリップメータを兼用するオド・トリップメータ611が配置される。オドメータとトリップメータの選択に使用するための選択スイッチ612がワイパースイッチ603に隣接して設けられる。
【0062】
図1、
図2に示した車両1の室内前部のブラケット11やビーム13は露出させたまま使用することはできるが、これらを覆うダッシュボードを設けてもよい。
図12はブラケット11やビーム13を覆うダッシュボード65を備えた車両1の前部上面図であり、
図13は同斜視図である。
図12、
図13において、
図1、
図2と同符号は同一または同等部分を示す。ダッシュボード65は平面部65aと平面部65aにつながる縦部65bとからなり、
図1、
図2に関して説明したブラケット11やビーム13およびステアリングポスト10のうち先端円柱部25等を覆うように前部ボディ4の内側に取り付けられる。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図14は第2実施形態に係る携帯端末である携帯電話機保持装置を備える車両の要部斜視図であり、
図14において
図1〜
図3と同符号は同一または同等部分を示す。第2実施形態において、携帯電話機保持装置70は、ステアリングポスト10の側方に縦長に形成されるボス71から張り出している2本の支持パイプ72、73を備える。支持パイプ72、73は、それぞれ互いに伸縮自在に係合する小径のパイプ部分72a、73aとパイプ部分72a、73aの外径に嵌る内径を有する大径のパイプ部分72b、73bとからなる。大径のパイプ部分72b、73bはボス71に形成されて水平方向にステアリングポスト10内に延在する孔71a、71bに対して摺動自在に嵌っている。一方、小径のパイプ部分72a、73aの端部は互いに連結ブロック74で連結され、連結ブロック74には携帯電話機19のホルダ80が固定される。
【0064】
使用時、大径のパイプ72b、73bをそれぞれ孔71a、71bから引き出し、さらに小径のパイプ72a、73aをそれぞれ大径のパイプ72b、73bから引き出して、ホルダ80をホイール14よりも車体右側の使用位置に張り出させる。そして、不使用時には、小径のパイプ72a、73aをそれぞれ大径のパイプ72b、73b内に押し込み、さらに大径のパイプ72b、73bをそれぞれ孔71a、71bに押し込む。こうして、携帯電話機保持装置70のうち、ホルダ80を除いた部分はステアリングポスト10内に収納される。
【0065】
なお、ホルダ80は携帯電話機19の底部を保持する縦部材81と横部材82とを備え、横部材82は複数に分割されて伸縮可能に構成される。したがって、ホルダ80の不使用時には、ホルダ80から携帯電話機19を取り外した状態で縦部材81を連結ブロック74側に押し込むことで、ステアリングポスト10からホルダ70の突出量を最小限にすることができる。なお、携帯電話機保持装置70は、ステアリングポスト10にボス71を設けずに、ステアリングポスト10の曲面部に孔71a、71bを直接形成して、この孔71a、71bに大小のパイプ72、73を収納するように構成することもできる。
【0066】
ステアリングポスト10を横断する方向に延在するビーム13には、USBコネクタのメス側を保持して電気的に接続できる電極端子部材75を設けることができる。
図14において、電極端子部材75が、ビーム13を構成する芯材(角パイプ)13aに沿って隣接配置され、カバー部材13bで保持される。
【0067】
図15は電極端子部材75を有するビーム13の側面図であり、
図16は電極端子部材75を有するビーム13の要部正面図である。また、
図17はUSBコネクタのメス側を含む駒の斜視図である。ビーム13の芯材13aに沿ってカバー部材13bで固定される電極端子部材75は正極751と負極752とを備え、電極端子部材75には正極751、負極752にそれぞれ接触する正接点761と負接点(正接点と反対側に位置する)を有するUSBコネクタのメス側駒77が装着できる溝75aが設けられる。メス側駒77にはUSBコネクタを差し込み可能なスロット78が設けられる。
【0068】
このようなUSBコネクタのメス側駒77を電極端子部材75に接続可能な構成にすることにより、メス側駒77のスロット78にUSBコネクタのオス側を有するデバイスを電極端子部材75に接続することができる。そして、電極端子部材75を介して車両1に設けることができるマイクロコンピュータとUSBを介して接続されるデバイスとの間で電気信号を送受することができる。
【0069】
なお、上述の実施形態では、ホルダの支持部材をステアリングポスト10の右側に配置したが、本発明はこれに限定されることなく左側に配置してあってもよい。また、ステアリングハンドルは把持部が円形のものではなく、バーハンドルであってもよい。また、車両の形態は、上述したような運転席および同乗者席としての後部座席のみを有するものに限られず、複数の同乗者席を有する車両とすることもできる。
【0070】
また、本発明の車載携帯端末保持装置は、携帯電話機を保持するのに適しているだけではなく、ポータブルナビゲーション装置やタブレット端末等、携帯できる小型情報端末を車載するのに好適である。