(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重み決定部は、前記比較部によって算出された前記相関値から、最も高い類似性を示す相関値と各参照画素に対する相関値との比または差に応じて、各参照画素に係る相関性重み係数を決定する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムについて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像処理装置の一構成例を示す図である。
図2は、後述する注目画素、注目ブロック、参照画素、及び参照ブロックの設定例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、画像処理装置100は、ブロック選択部110と、比較部111と、重み算出部112と、補正部113と、を有する。当該画像処理装置100は、入力画像の“孤立点”の画素値を補正して生成した補正画像を出力する。ここで、“孤立点”とは、例えば入力された画像に含まれる欠陥画素、インパルス性ノイズ、または画像情報検出用画素等に起因して、画像を構成する画素のうち近傍の画素と比べて特異な画素値を示す画素のことである。
【0017】
なお、本第1実施形態に係る画像処理装置100は、当該画像処理装置100の外部から供給される“孤立度(本第1実施形態においては、孤立点らしさの度合いを示す情報)”に基づいて、入力画像における孤立点を特定する(各画素の孤立点らしさを特定する)。
【0018】
前記ブロック選択部110は主として次の処理を行う。
《処理1》注目画素Pを設定し、当該注目画素Pの近傍所定範囲(例えば注目画素Pを中心とする所定の大きさの領域内)で、注目画素Pと同色のM個の画素を参照画素Qi(1≦i≦M)として選択し、比較部111へ出力する。
《処理2》各々の参照画素Qiについて、それら参照画素Qiを中心画素とする所定範囲(本例では“3×3領域”)を“参照ブロックBi”としてRAM103から読み出す。すなわち、ブロック選択部110は参照領域設定部として機能する。
【0019】
図2に示す例では、入力画像としてRGB三板画像を想定しており、参照画素Qiとしては注目画素P近傍の任意の画素を用いることができる。なお、処理対象の画像はRGB三板画像に限られず、ベイヤー単板画像やグレースケール画像等であっても勿論良い。
【0020】
前記比較部111は、主として次の処理を行う。
《処理1》注目画素Pを中心とする所定範囲(本例では“3×3領域”)を“注目ブロックB”としてRAM103から読み出す。すなわち、比較部111は注目領域設定部として機能する)。
《処理2》ブロック選択部110から出力された各参照ブロックBiのそれぞれについて、
図3及び
図4に示すように注目ブロックBと参照ブロックBiとの互いに対応する位置の画素の画素値を引数として画素間差分係数diff
nを算出する。
《処理3》
図5に示すように、注目ブロックB及び参照ブロックBiの全画素についての画素間差分係数diff
nを合計して画素間差分係数合計値(以降、相関値と称する)SUM
diffを算出し、重み算出部112に出力する。この相関値SUM
diffは、注目ブロックBと参照ブロックBiとの間の相関性(類似度、相違度)を表す指標である。
【0021】
すなわち、注目ブロックの画素値をa、参照ブロックの画素値をbとし、画素間差分係数diff
nを求める関数をf(a,b)とすると、
【数1】
ここで、画素間差分係数diff
nは、種々の方法によって算出できる。以下、画素間差分係数diff
nの算出方法例を説明する。
【数2】
式(2)は、処理対象画像がベイヤー単板画像の場合に、差分絶対値として画素間差分係数diff
nを算出する例である。
【数3】
式(3)は、差分の二乗として画素間差分係数diff
nを算出する例である。
【数4】
式(4)は、画素値を関数で変換してから差分絶対値で求める例である。変換関数L(a)には、ガンマ変換や折れ線関数、テーブル参照等がある。このように変換関数を介することによって、暗い所の差分を重視したり明るい所の差分を重視したり、人間の目の感度に合わせて画素値を変換したりすることができる。
【0022】
また、
図2に示す例のように、各画素が複数の色成分を有するRGB三板画像が処理対象の画像である場合、画素間差分係数diff
nは、例えば下記のように算出してもよい。
【数5】
式(5)において、(Rp,Gp,Bp)は注目画素PのRGB画素値、(Rq,Gq,Bq)は参照画素QのRGB画素値を示している。このように注目画素P、参照画素Qの各色成分毎の差として算出しても良いし、他にも、各色成分を色相や彩度に変換した後で差を算出しても良いし、あるいは、異なる色成分間の差分まで含む複雑な数式を用いても良い。
【0023】
なお、画素間差分係数diff
nは、その算出方法によって、類似度が高い程大きい値を示すものと、類似度が低い程小さい値を示すものとがある。
【0024】
前記重み算出部112は、比較部111から出力された各参照ブロックBiの相関値SUM
diffと、当該画像処理装置100に入力される“各参照画素Qiの孤立度ISO(i)”に基づいて、各参照画素Qiの重み係数W
ref(i)を算出して補正部113に出力する。
【0025】
すなわち、重み算出部112は、まず相関値SUM
diffに基づいて、“類似度重み(類似している程大きい値となる)W
conf”を算出する。式(6)は、類似度重み係数W
confの算出例を示す式である。
【数6】
ここで、T
ConfH及びT
ConfLは予め与えられているパラメータである。
【0026】
図6は、相関値SUM
diffと類似度重み係数W
confとの関係の一例のグラフを示す図である。同図に示す例では、相関値SUM
diffがT
ConfL以下の値では類似度重み係数W
confを1とし、相関値SUM
diffがT
ConfL以上T
ConfH以下の値では相関値SUM
diffの増加に伴って類似度重み係数W
confを低下させていき、相関値SUM
diffがT
ConfH以上のときに類似度重み係数W
confを零としている。
【0027】
なお、テーブル参照や、各参照画素Qiに係る相関値のうち最小の相関値SUM
diffを持つ参照画素Qiのみ類似度重み係数W
conf=1であって、それ以外の参照画素Qiの類似度重み係数W
conf=0とする等してもよい。
【0028】
ところで、重み算出部112は、さらに孤立度ISOから孤立度重み係数W
isoを算出する。式(7)は、孤立度重み係数W
isoの算出例を示している。
【数7】
ここで、I
SOH及びI
SOLは予め与えられているパラメータである。
【0029】
図7は、孤立度ISOと孤立度重み係数W
isoとの関係の一例のグラフを示す図である。そして、類似度重み係数W
confと孤立度重み係数W
isoとから、参照画素Qiに対する重み係数W
refを例えば式(8)によって算出する。
【数8】
【0030】
ところで、前記重み算出部112は、入力された“注目画素Pの孤立度ISO
tar”に基づいて、注目画素Pの孤立度ISO
tarから補正画素値を算出する際の入力画素値と重み付け平均値の混合比W
aveを算出し、補正部113に出力する。例えば、注目画素Pの孤立度ISO
tarが高ければ重み付け平均値の比率を高くし、注目画素の孤立度が低ければ入力画素値の比率を高くする。
【0031】
以下、注目画素孤立度ISO
tarから重み付け平均値混合比W
aveを算出する一例を説明する。
【数9】
ここで、T
isoL及びT
isoHは予め与えられているパラメータである。
【0032】
図8は、注目画素孤立度ISO
tarと重み付け平均値混合比W
aveとの関係の一例のグラフを示す図である。同図に示す例では、注目画素孤立度ISO
tarがT
isoL以下の値では重み付け平均値混合比W
aveを零とし、注目画素孤立度ISO
tarがT
isoL以上T
isoH以下の値では注目画素孤立度ISO
tarの増加に伴って重み付け平均値混合比W
aveを増加させていき、注目画素孤立度ISO
tarがT
isoH以上のときに重み付け平均値混合比W
aveを1としている。
【0033】
前記補正部113は、重み算出部によって算出された各参照画素Qiの重み係数W
ref(i)に基づいて、補正画素値を算出する。
【0034】
すなわち、補正部113は、ブロック選択部110から入力される各参照画素Qi及び注目画素Pの値D
in(i)と、重み係数W
ref(i)を用いて、重み付け平均値D
aveを求める。例えば、参照ブロックBiが5×5領域である場合には、重み付け平均値D
aveを求める計算式は、
【数10】
を挙げることができる。
【0035】
また、補正部113は、ブロック選択部110から出力された注目画素の画素値D
in、重み算出部112から出力された重み付け平均値D
ave、及び平均値混合比W
aveに基づいて補正画素値D
outを算出する。式(11)は、注目画素の値D
in、重み付け平均値D
ave、及び平均値混合比W
aveに基づいて補正画素値D
outを算出する例を示している。
【数11】
【0036】
以上説明した一連の処理を、当該画像処理装置100への入力画像の全画素について完了すると、当該入力画像の欠陥画素等の種々の原因に起因する孤立点が補正された画像が当該画像処理装置100から出力されたこととなる。
【0037】
なお、欠陥画素等の孤立点の画素が予め判明している場合には、画像処理装置100による一連の処理を入力画像の全画素について行う必要はなく、予め位置がわかっている孤立点の画素のみについて上述の一連の処理を行えばよい。この場合、孤立点でない画素については入力された画素値をそのまま出力すればよい。
【0038】
ところで、本第1実施形態に係る画像処理装置による上述の一連の処理は、プログラム化することで、或いはプログラム化した後に当該プログラムを記憶媒体に読み込むことによって、当該画像処理装置とは独立したソフトウェア製品単体としての販売、配布も容易になり、また本一実施形態に係る技術を他のハードウェア上で利用することも可能となる。
【0039】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、画素値を補正する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムであって、例えば孤立点がエッジや細い線上に存在する場合であっても、それらエッジや細い線をぼかすことがない高精度の補正処理を行うことができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することができる。
【0040】
具体的には、注目画素Pに類似した近傍の参照画素Qiの画素値を、相関値(類似度、相違度)と孤立度とに応じて重み付けして、注目画素Pの補正画素値を得る為、例えばエッジ上や細い線上にある欠陥画素等の孤立点に対しても、エッジや細い線をぼかすことがない高精度の補正をすることができる。
【0041】
また、孤立度の低い注目画素Pにおいては、相関値(類似度、相違度)に関わらず入力画素の画素値の重みを大きくすることで、非孤立点の画素への悪影響を抑えることができる。さらには、注目画素P及び/または参照画素Qi自身が欠陥画素等の孤立点であった場合にも、精度の良い相関性の判定及び補正をすることができる。
[第1変形例]
以下、第1実施形態の第1変形例に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムについて説明する。説明の重複を避ける為、第1実施形態との相違点を説明する。
【0042】
図9は、第1実施形態の第1変形例に係る画像処理装置の一構成例を示す図である。
図9に示すように、本第1変形例に係る画像処理装置100では、重み算出部112は、重み係数算出部121と、混合比算出部123と、を備える。補正部113は、重み付け平均値算出部122と、重み付け平均値混合部124と、を備える。
【0043】
また、本第1変形例に係る画像処理装置100には欠陥・孤立点検出部105が接続されており、当該欠陥・孤立点検出部105から、前記混合比算出部123に、“孤立度”が入力される。さらに、本第1変形例に係る画像処理装置100には、デジタル画像が記録されたRAM103と、当該画像処理装置100の出力である補正画像を現像する現像部106と、が接続されている。
【0044】
本第1変形例に係る画像処理装置100では、ブロック選択部110がRAM103から画像を読み出し、当該画像について上述の一連の処理を開始する。
【0045】
前記欠陥・孤立点検出部105は、RAM103に記録された画像を読み出し、各画素が孤立点状であるか否かを判定し、判定結果である“孤立らしさを表す指標である孤立度ISO”を各画素に割り当て、“各画素の孤立度ISO”を前記混合比算出部123に出力する。ここで、孤立度ISOは、孤立状でない場合には零となり、孤立らしさが大きい程大きな値となる。
【0046】
なお、欠陥・孤立点検出部105による前記判定には、例えば下記のような公知の技術を用いればよい。
【数12】
式(12)は、近傍画素の平均値との差分絶対値を算出する例である。
【数13】
式(13)は、ランクオーダーRを算出する例である。
図10はランクオーダーを説明する図である。
図10に示す例では、画素間差分係数diff
nの値に基づいて、孤立度が小さい方から順に4個のdiff
nだけ足し合わせてランクオーダーRを算出する。そして、このランクオーダーRを入力画像の全画素について算出する。
【0047】
なお、ランクオーダーに係る技術については、例えば下記論文に開示されている。
Roman Garnett, Timothy Huegerich, Charles Chui, Fellow, IEEE, and Wenjie He, Member, IEEE, “A Universal Noise Removal Algorithm with an Impulse Detector”
前記重み係数算出部121は、各参照画素Qiの重み係数W
ref(i)を算出して前記重み付け平均値算出部122に出力する。なお、各参照画素Qiの重み係数W
ref(i)の算出方法は上述した通りである。
【0048】
前記混合比算出部123は、欠陥・孤立点検出部105から出力された“注目画素Pの孤立度ISO
tar”に基づいて、注目画素Pの孤立度ISO
tarから補正画素値を算出する際の入力画素値と重み付け平均値の混合比W
aveを算出し、前記重み付け平均値混合部124に出力する。なお、混合比W
aveの算出方法は上述した通りである。
【0049】
前記重み付け平均値算出部122は、ブロック選択部110から出力された各参照画素Qi及び注目画素Pの値D
in(i)と、重み係数算出部121から出力された重み係数W
ref(i)を用いて、上述の重み付け平均値D
aveを算出し、前記重み付け平均値混合部124に出力する。なお、重み付け平均値D
aveの算出方法は上述した通りである。
【0050】
前記重み付け平均値混合部124は、ブロック選択部110から出力された注目画素の値D
in、重み付け平均値算出部122から出力された重み付け平均値D
ave、及び、混合比算出部123から出力された平均値混合比W
aveに基づいて補正画素値D
outを算出する。
【0051】
前記現像部106は、入力画像の全画素について、重み付け平均値混合部124から補正画素値D
outが出力されると、当該入力画像に公知の現像処理を施して現像する。現像部106によって現像された画像データは、公知の圧縮処理等が施された後、例えばメモリカード等の記録媒体である記録部に記録される。
【0052】
なお、重み係数算出部121において、混合比算出部123と同様に混合比W
aveを算出し、さらに注目画素Pとその他の画素に対する重み係数W´
refを、W
ave及びW
refから新たに式(14)で求めて重み付け平均値算出部122に出力しても良い。
【数14】
【0053】
この場合、重み付け平均値算出部122がW
refをW´
refに代えて式(10)の計算を行うと、式(11)で得られる結果と同じ結果が算出される。従って、混合比算出部123及び重み付け平均値混合部124を設けず、重み付け平均値算出部122の出力をそのまま現像部106に出力する構成として、回路構成を簡略化してもよい。
【0054】
以上説明したように、本第1変形例によれば、上述の第1実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムと同様の効果を奏する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することができる。また、注目ブロックBまたは参照ブロックBi内に欠陥画素等の孤立点が存在する場合であっても精度の良い相関性の判定及び補正をすることができる。
[第2変形例]
以下、第1実施形態の第2変形例に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムについて説明する。説明の重複を避ける為、第1変形例との相違点を説明する。
【0055】
図11は、第1実施形態の第2変形例に係る画像処理装置の一構成例を示す図である。
図11に示すように、本第2変形例に係る画像処理装置100は、比較部111の代わりに適応比較部211を具備する。また、重み算出部212は、重み係数算出部121と混合比算出部123とに加えて、除外画素数制御部225と、適応比較制御部226と、を備える。
【0056】
上述したように比較部111は、注目画素Pを中心とする3×3領域である注目ブロックと参照画素Qiを中心とする3×3領域である参照ブロックとについて、各ブロック内の対応画素同士の差分を表す画素値差分係数の総和により相関値を算出する。
【0057】
一方、本第2変形例においては、適応比較部211は、一部の画素間差分係数diff
nを除外して算出した画素間差分係数合計SUM
diffを、画素間差分係数合計SUM
diffの算出に用いた画素間差分係数diff
nの個数で除することで、相関値(適応相関値と称する)SUM
diffを算出する。以降、適応相関値SUM
diffの算出の際に除外する画素間差分係数diff
nの個数を、除外画素数と称する。
【0058】
除外する画素間差分係数diff
nは、最も類似していない画素間差分係数diff
nから順に選ぶ。ここで、類似するほど値が大きくなるような画素間差分係数diff
nの算出式の場合は小さい画素間差分係数diff
nから順に選択し、類似するほど値が小さくなるような画素間差分係数diff
nの算出式の場合は大きい画素間差分係数diff
nから順に選択する。
【0059】
このように適応相関値SUM
diffは、近傍孤立点の影響を排して算出する相関値である。この適応相関値SUM
diffを利用することで、例えば注目ブロックB内の注目画素P以外の画素や、参照ブロックBi内の参照画素Qi以外の画素に孤立点が含まれていた場合であっても、孤立点によって類似度重み係数W
confが大きく低下してしまうことを防ぐことができる。
【0060】
図12は、本第2変形例に係る画像処理装置200に特有の処理(適応比較制御部226及び除外画素数制御部225による処理)のフローチャートを示す図である。
【0061】
適応比較部211は、上述の処理によって適応相関値SUM
diffを算出する(ステップS1)。重み係数算出部121は、適応比較部211から出力された適応相関値SUM
difに基づいて、上述の式(3)、式(7)、式(8)により重み係数W
refを算出し、適応比較制御部226に出力する(ステップS2)。
【0062】
適応比較制御部226は、入力された重み係数W
refの最大値を所定の閾値と比較し、重み係数W
refの最大値が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS3)。このステップS3をNOに分岐する場合、適応比較制御部226は、現在設定されている除外画素数が所定の上限値未満であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0063】
このステップS4をNOに分岐する場合、すなわち、重み係数W
refの最大値が閾値未満であり、且つ、現在設定されている除外画素数が所定の上限値未満である場合に、除外画素数制御部225に制御信号を出力する。この適応比較制御部226からの制御信号が入力されると、除外画素数制御部225は、現在設定されている除外画素数を1増加させる制御信号を、適応比較部211に出力する。この除外画素数制御部225からの制御信号が入力されると、適応比較部211は、新しく設定された除外画素数に基づいて、再度、適応相関値SUM
diffを算出し(ステップS1)、重み係数算出部121に出力する。
【0064】
ところで、ステップS3をYESに分岐する場合(重み係数W
refの最大値が閾値以上である場合)、または、ステップS4をYESに分岐する場合(現在設定されている除外画素数が所定の除外画素数の上限値以上である場合)には、適応比較制御部226は重み係数W
refを、補正部113の重み付け平均値算出部122に出力する。
【0065】
上述のステップS1乃至ステップS5の処理は、除外画素数の初期値を零として開始し、且つ、重み係数W
refの最大値が閾値以上(すなわち、孤立点の影響を除外して、注目ブロックBと充分に類似した参照ブロックBiを検出した場合)、或いは、除外画素数が所定の上限値に達するまで繰り返される。
[第3変形例]
以下、第1実施形態の第3変形例に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムについて説明する。説明の重複を避ける為、第1変形例との相違点を説明する。
【0066】
図13は、第1実施形態の第3変形例に係る画像処理装置の一構成例を示す図である。
図13に示すように、本第3変形例に係る画像処理装置300は、当該画像処理装置300に特有の処理に係る構成要件として、比較部311と、参照画素選択部320と、補正値決定部321と、を具備する。
【0067】
本第3変形例では、欠陥・孤立点検出部305から出力される孤立度は、孤立点であるか否かを示す情報である。具体的には、欠陥・孤立点検出部305は、注目画素が孤立点であれば1を出力し、孤立点でなければ0を出力する。
【0068】
前記比較部311は、各参照ブロックBiに対する相関値を算出する際に、欠陥・孤立点検出部305から入力された孤立度を用いる。すなわち、比較部311は、各参照ブロックBiについて、式(15)によって相関値を算出し、参照画素選択部320に出力する。
【数15】
により相関値を算出する。
【0069】
式(15)において、Tj,Rjは注目ブロックB及び参照ブロックBiの、添え字jで表されるブロック相対位置での画素値であり、ISO_T(j)及びISO_R(j)は、注目ブロックB及び参照ブロックBiの、添え字jで表されるブロック相対位置での孤立度を示している。
【0070】
前記参照画素選択部320は、比較部311により算出された各参照ブロックBiに対する相関値SUM
diff(i)を内部に蓄積する。参照画素選択部320は、全参照ブロックBiに対する相関値を蓄積した後、相関値の最小値に所定の定数を乗じた閾値未満の相関値を持つ参照ブロックの添え字を特定して補正値決定部321に出力する。
【0071】
前記補正値決定部321は、ブロック選択部110から出力される参照画素Qi及び注目画素Pの画素値の中から、参照画素選択部320から出力される添え字に対応した画素の画素値を選択し、それらの平均値を算出して補正画素値として現像部106に出力する。
【0072】
上述の処理の結果、孤立点の周囲に更に孤立点が存在する場合であっても、参照ブロックBiの相関値を適切に算出することができ、更に、相関値の充分小さい(本例の場合、最も類似度が高い)参照ブロックBiに対応する参照画素Qiのみを選択して平均値を算出して補正画素値とする為、安定した補正処理となる。
【0073】
なお、注目画素Pが孤立点でない場合(孤立度=0の場合)には、画像処理装置300は、当該注目画素Pをそのまま現像部106に出力してもよい。
【0074】
また、参照画素選択部320における選択処理においては、相関値の最小値(最も類似度が大きいことを示す相関値)に所定の定数を乗じた閾値未満の相関値を持つ参照ブロックBiの添え字を全て出力するのではなく、出力個数を相関値の小さい順(類似度が大きい順)に所定個数以下に絞っても良いし、相関値が最小(類似度が最大)の参照ブロックに対応する添え字のみを出力するようにしても良い。
【0075】
なお、参照画素選択部320から出力される添え字が1個だけの場合は、補正値決定部321は平均値の算出を行うことなく、添え字に対応した参照画素Qiの画素値を現像部106に出力することが望ましい。
【0076】
以上説明したように、本第3変形例によれば、上述の第1実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムと同様の効果を奏する上に、下記の効果を奏する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することができる。
【0077】
相関値に基づいて、相違度の充分小さい参照ブロックBiに対応する参照画素Qiのみを選択して補正に用いる為、簡単な回路構成にも関わらず安定した補正を行うことができる。
【0078】
相関値の分布が偏っている場合(例えば飛び抜けて相違度が小さく、注目ブロックBに非常に類似した参照ブロックBiが少数ある場合)には、その参照ブロックBiに対応する少数の参照画素Qiを用いて補正画素値を算出し、相違度の分布が偏っていない場合(どの参照ブロックBiも注目ブロックBにそれほど類似していない)場合には、多数の参照画素Qiを用いて補正値を算出する。これにより、簡単な回路構成にも関わらず、精度が高く且つ安定した補正を行うことができる。また、注目ブロックBまたは参照ブロックBi内に欠陥画素等の孤立点が存在する場合であっても、精度の良い相関性の判定及び補正を行うことができる。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムについて説明する。説明の重複を避ける為、第1実施形態の第1変形例との相違点を説明する。また、第1実施形態の第1変形例に係る画像処理装置の構成部材と同様の機能を有する部材には同様の符号を付して説明を省略する。
【0079】
図14は、本発明の第2実施形態に係る画像処理装置の一構成例を示す図である。
図15は、後述する注目ブロックBについての特徴ベクトルの生成処理例を示す図である。
図16及び
図17は、後述する参照ブロックBiについての特徴ベクトルの生成処理例を示す図である。
【0080】
図14に示すように、画像処理装置400は、ブロック選択部110と、ベクトル生成部414と、比較部411と、重み算出部412と、補正部413と、を具備する。
【0081】
本第2実施形態に係る画像処理装置400には、欠陥・孤立点検出部105が接続されており、当該欠陥・孤立点検出部105から孤立度が入力される。また、本第2実施形態に係る画像処理装置400には、デジタル画像が記録されたRAM103と、当該画像処理装置400の出力である補正画像を現像する現像部106と、が接続されている。
【0082】
本第2実施形態においては、欠陥・孤立点検出部105から出力される孤立度は、孤立点であるか否かを示す情報である。具体的には、欠陥・孤立点検出部105は、注目画素が孤立点であれば1を出力し、孤立点でなければ0を出力する。
【0083】
本第2実施形態においては、ブロック選択部110は、注目画素Pと同色であって且つ孤立点でない画素を参照画素Qiとして選択する。
【0084】
前記ベクトル生成部414は、注目ブロックBの特徴を表す特徴ベクトル(以降、注目ブロック特徴ベクトルV
Bと称する)、及び、参照ブロックBiの特徴を表す特徴ベクトル(以降、参照ブロック特徴ベクトルと称する)を生成する。すなわち、ベクトル生成部414は、注目領域特徴ベクトル生成部及び参照領域特徴ベクトル生成部として機能する。
図15に示す例では、注目ブロックBについて、中心画素(注目画素P)を除いた3×3領域近傍の画素の画素値を注目ブロック特徴ベクトルV
Bとしている。なお、詳細は後述するが、参照ブロックBiについても同様に、中心画素(参照画素Qi)を除いた3×3領域近傍の画素の画素値を参照ブロック特徴ベクトルV
Biとしている。
【0085】
具体的には、ベクトル生成部414は、注目画素Pを中心とする3×3領域を注目ブロックBとしてRAM103から読み出し、当該注目画素Pを除いた3×3領域の画素値を成分とする注目ブロック特徴ベクトルV
Bを次のように生成する。すなわち、注目画素Pに対する注目ブロックの画素値をa
m,n(−1≦m≦1,−1≦n≦1)とすると、注目ブロック特徴ベクトルの成分a´
m,n(−1≦m≦1,−1≦n≦1,(m,n)≠(0,0))は、下式(16)によって算出する。
【0086】
a´
m,n=a
m,n ・・・(16)
(−1≦m≦1,−1≦n≦1,(m,n)≠(0,0))
また、ベクトル生成部414は、参照ブロック特徴ベクトルV
Biを次のように生成する。すなわち、ベクトル生成部414は、ブロック選択部110により選択された注目画素Pと同色であって且つ孤立点でない参照画素Qiについて、当該参照画素Qiを中心とする3×3領域を参照ブロックBiとしてRAM103から読み出す。次に、ベクトル生成部414は、注目ブロックBに含まれる色情報と、参照ブロックBiに含まれる色情報と、を画素ごとに比較する。すなわち、ベクトル生成部414は、色情報判定部として機能する。
【0087】
ここで、注目ブロックBに含まれる色情報と参照ブロックBiに含まれる色情報とが全て等しい場合、
図16に示すように、中心画素である参照画素Qiを除いた3×3領域の画素値を成分とする参照ブロック特徴ベクトルV
Biを生成する。
【0088】
一方、注目ブロックBに含まれる色情報と、参照ブロックBiに含まれる色情報とが異なる画素が存在する場合、
図17示すように、参照ブロックBiの異なる色情報を持つ画素については、参照ブロックBi中の当該異なる色情報を持つ画素の近傍に位置する“等しい色情報を持つ画素の画素値”を用いて画素値を算出し、この画素値に置き換えた成分を持つ参照ブロック特徴ベクトルV
Biを生成する。
【0089】
このように、本第2実施形態においては、異なる色情報を持つ画素の近傍に位置する“等しい色情報を持つ画素の画素値”を用いて、参照ブロック特徴ベクトルV
Biの成分を生成する。生成処理の具体例としては、“等しい色情報を持つ画素”の画素値の平均値や中央値を算出する等を挙げることができ、この他にも許容され得る演算量に応じた適切な処理を採用すればよい。
【0090】
図17に示す例は、“等しい色情報を持つ画素”の画素値の平均値を算出する例であり、参照画素Qiに対する参照ブロックBiの画素値をb
m,n(−1≦m≦1,−1≦n≦1)とし、参照画素Qiに対する参照ブロック特徴ベクトルV
Biの成分b´
m,n(−1≦m≦1,−1≦n≦1,(m,n)≠(0,0))を、下記の式(17)により算出する。
【数16】
【0091】
以上説明したように、本第2実施形態によれば、第1実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムと同様の効果を奏する上に、次のような効果を奏する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することができる。
【0092】
すなわち、注目ブロックBに含まれる画素の色情報と、参照ブロックBiに含まれる画素の色情報とが等しくなるように、参照ブロック特徴ベクトルV
Biを生成することにより、補正に使用できる参照画素Qiの個数が増加し、より精度の高い補正を行うことが可能になる。
【0093】
ところで、
図18は、中心画素を除いた3×3領域の画素数よりも少ない成分数の特徴ベクトルを生成する一処理例を示す図である。注目ブロック特徴ベクトルV
B及び参照ブロック特徴ベクトルV
Biは、注目画素P及び参照画素Qiを中心とする3×3領域の画素の画素値に基づいて生成された、R、G、Bの色情報ごとに一つの成分を持つ特徴ベクトルである。
【0094】
各成分の生成処理の具体例としては、注目画素Pまたは参照画素Qiを中心とする3×3領域の等しい色情報を持つ画素値の平均値や中央値を算出する等を挙げることができ、この他にも許容され得る演算量に応じて適切な処理を採用すればよい。
【0095】
例えば“等しい色情報を持つ画素”の画素値の平均値を用いて特徴ベクトルの成分を生成する場合、注目画素Pに対する注目ブロックの画素値をa
m,n(−1≦m≦1,−1≦n≦1)、参照画素Qiに対する参照ブロックBiの画素値をb
m,n(−1≦m≦1,−1≦n≦1)、注目ブロック特徴ベクトルと参照画素Qiに対する参照ブロック特徴ベクトルのR、G、Bの色情報ごとに一つの成分を、それぞれa
k´、b
k´(k=0,1,2)は、下記の式(18)により算出される。
【数17】
【0096】
図18に示す例のように、注目領域Bまたは参照領域Biに含まれる画素数よりも少ない成分数を持つ特徴ベクトルを生成し、該特徴ベクトルを相関値算出に用いることで、相関値算出に係る演算量を削減することができる。
【0097】
図19は、中心画素を除いた3×3領域の画素数よりも少ない成分数の特徴ベクトルを生成する一処理例を示す図である。注目ブロック特徴ベクトルV
B及び参照ブロック特徴ベクトルV
Biは、注目画素P及び参照画素Qiを中心とする3×3領域の画素に基づいて生成された、Gの色情報に対して2つの成分、及び、RとBの色情報に対して1つの成分を持つ特徴ベクトルである。
【0098】
各成分の生成処理の具体例としては、注目画素Pまたは参照画素Qiを中心とした3×3領域に含まれる等しい色情報を持つ画素の画素値の平均値や中央値を算出する等を挙げることができ、この他にも許容され得る演算量に応じて適切な処理を採用すればよい。等しい色情報を持つ画素値の平均値を用いて成分を生成する場合、下記の式(19)により算出される。
【数18】
【0099】
図18及び
図19に示す例のように、注目画素Pまたは参照画素Qiの近傍領域(本例では3×3領域)に含まれる画素数よりも少ない成分数を持つ特徴ベクトルを生成することにより、比較部411における相関値算出(類似度算出)に係る演算量を削減することができる。
【0100】
また、
図19に示す例のように、色情報の配置パターンや色成分ごとの特性など、入力画像が持つ色成分に関する固有の特性を利用した成分を生成することにより、成分の削減に伴う特徴量の精度の低下を抑えつつ、比較部411における相関値算出(類似度算出)に係る演算量を削減することができる。
【0101】
ところで、入力画素に孤立点が多く含まれる場合、特徴ベクトルの成分において注目画素P以外に補正すべき孤立点が存在する可能性がある。従って、注目画素P近傍の孤立度と参照画素Qi近傍の孤立度とを考慮し、正常な画素(孤立点でない画素)のみを用いて相関値(類似度)を算出することが望ましい。
【0102】
図20は、中心画素を除いた3×3領域の画素値を特徴ベクトルとした場合における比較部411による処理の一例を示図である。前記比較部411は、ベクトル生成部414から入力される注目ブロック特徴ベクトルV
Bと各参照ブロック特徴ベクトルV
Biに対して、類似度を表す指標を算出する。
【0103】
詳細には、まず比較部411は、注目ブロック特徴ベクトルV
Bと参照ブロック特徴ベクトルV
Biとをベクトル生成部414から取得し、注目ブロック特徴ベクトルV
Bと参照ブロック特徴ベクトルV
Biとの各成分a
n´、b
n´の差分絶対値diff
nを算出する(ステップS41)。
【数19】
【0104】
また、比較部411は、注目ブロックBと参照ブロックBiとの各成分の孤立度を欠陥・孤立点検出部105から取得し、注目ブロックBの孤立度と参照ブロックBiの各成分の孤立度とに基づいて有効画素を判定し(ステップS42)、予め定められた各成分の重みw
nに対して、前記ステップS42にて有効画素であると判定されたもののみを残すようにマスクして重みw
n´を生成する(ステップS43)。
【数20】
【0105】
差分絶対値diff
nと重みw
n´とを積和演算し(ステップS44)、且つ、重みw
n´の合計値を算出する(ステップS45)。さらに、前記積和演算結果を、前記合計値により除算する(ステップS46)ことにより、差分絶対値の重み付け平均値ASUM
diffを算出し、参照画素Qiに対する相関値(類似度)とする。
【数21】
【0106】
なお、各成分に設定する重みw
nの設定方法に制限はなく、例えば中心画素からの距離等に応じて適宜設定すればよい。例えば、参照ブロックBiの設定をより広範囲で行う場合には、参照ブロックBiの設定数が増加し、参照ブロックBi中に欠陥画素等の孤立点が含まれる可能性も高くなる。このような場合に、重みw
nを中心画素からの距離に応じて設定することで、中心画素からの距離が遠距離であるほど重みを軽くすることができ、広範囲から多くのデータを取りつつも、そこに含まれる孤立点の悪影響を軽くすることができる。
上述したように、正常な画素(孤立点でない画素)のみを用いて相関値(類似度)を算出することにより、入力画素に孤立点が多く含まれる場合であっても、精度の高い相関値(類似度)を算出することができる。また、特徴ベクトルの各成分の重みw
nを調節する手段を備えさせることにより、当該特徴ベクトルの生成方法や入力画像の持つ特性に応じた相関値(類似度)を算出することが可能になる。
【0107】
前記重み算出部412では、比較部411から入力される各参照画素Qiの相関値(類似度)ASUM
diffから、各参照画素Qiに対する相関値重みW
confを算出する。
【0108】
図21は、重み算出部412による各参照画素Qiに対する類似度重みW
confの算出処理の一例を示す図である。各参照画素Qiの相関値(類似度)ASUM
diffから、最も高い相関値(最も類似)の参照画素の相関値(類似度)をASUM_MINとし、ASUM_MINと各参照画素Qiに対する相関値(類似度)との比に応じて、各参照画素Qiに対する類似度重みW
confを算出する。
【0109】
この類似度重みW
confは0から1までの値を持つものとし、相関値(類似度)ASUM_MINと参照画素Qiに対する相関値(類似度)ASUM
diffとの比が、予め設定された定数C以下の場合、有効な参照画素として非零の類似度重みW
confを割り当て、相関値(類似度)ASUM_MINと、参照画素Qiに対する相関値(類似度)ASUM
diffとの比が、予め設定された定数Cよりも大きい場合は、無効な参照画素として類似度重み0を割り当てる。
【数22】
【0110】
なお、各参照画素Qiに対する類似度重みW
confを割り当てる方法としては、上述の例の他に、相関値(類似度)ASUM_MINと予め設定された定数Cとの差の値を利用しても良い。
【0111】
ところで、各参照画素Qiの相関値(類似度)ASUM
diffの分布は、注目画素Pの近傍領域の画素値の傾向によって異なる。従って、相関値(類似度)ASUM
diffと予め定められた閾値との単純な比較によって類似度重みW
confを算出した場合には、非零の有効な類似度重みW
confが割り当てられる参照画素Qiの個数にバラツキが生じ、エッジ部のボケや段差の発生といった補正後の画質の劣化の原因となる。
【0112】
各参照画素Qiに対して算出される相関値(類似度)ASUM
diffから最も高い類似度の相関値(類似度)ASUM_MINを基準とした類似度重みW
confを割り当てることにより、注目画素Pの近傍領域の画素値の状況に応じて安定した類似度重みW
confの割り当てを行うことができる。
【0113】
前記補正部413は、ブロック選択部110から入力される注目画素P及び各参照画素Qiの画素値と、重み算出部412から入力される各参照画素Qiに対する類似度重みW
confと、欠陥・孤立点検出部105から入力される孤立度と、を用いて、補正画素値D
outを求める。
具体的には、重み付け平均値算出部122が、ブロック選択部110から入力される各参照画素Qiの画素値D
in(i)と重み算出部412から入力される各参照画素Qiに対する類似度重みW
conf(i)とを用いて、重み付け平均値D
aveを求める。
【数23】
【0114】
前記出力選択部424は、欠陥・孤立点検出部105から入出力される孤立度を用いて、ブロック選択部110から入力される注目画素Pの画素値D
inもしくは重み付け平均値算出部122から入力される補正画素値D
aveを選択し、補正画素値D
outを出力する。
下記の式(25)の例では、出力選択部424は、注目画素Pが孤立点であるとき(孤立度=1のとき)には重み付け平均値算出部122から入力される補正画素値D
aveを選択し、注目画素Pが孤立点でないとき(孤立度=0のとき)にはブロック選択部110から出力された注目画素Pの画素値D
inを選択する。
【数24】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムについて説明する。説明の重複を避ける為、第2実施形態との相違点を説明する。また、第2実施形態に係る画像処理装置の構成部材と同様の機能を有する部材には同様の符号を付して説明を省略する。
【0115】
図22は、本発明の第3実施形態に係る画像処理装置の一構成例を示す図である。
図23は、中心画素を除いた3×3領域の画素数よりも少ない成分数の特徴ベクトルを生成する一処理例を示す図である。
図24は、中心画素を除いた3×3領域の画素値を特徴ベクトルとした場合における比較部による処理の一例を示図である。
【0116】
図22に示すように、画像処理装置500は、ブロック選択部510と、ベクトル生成部514と、比較部511と、重み算出部412と、補正部413と、を具備する。
【0117】
本第3実施形態に係る画像処理装置500には、欠陥・孤立点検出部105が接続されており、当該欠陥・孤立点検出部105から孤立度が入力される。また、本第3実施形態に係る画像処理装置400には、デジタル画像が記録されたRAM103と、当該画像処理装置500の出力である補正画像を現像する現像部106と、が接続されている。
【0118】
前記ブロック選択部510は、注目画素Pと同色且つ孤立点でない画素を参照画素Qiとして選択し、さらに選択した各参照画素Qiを中心とする3×3領域の画素値をRAM103から読み出すと共に、3×3領域の孤立度を欠陥・孤立点検出部105から読み出す。
【0119】
この3×3領域の構成画素に孤立点が含まれている場合であって、重み付け平均値算出部422によってその孤立点に対する重み付け平均値D
aveが既に算出されている場合には、ブロック選択部510は、RAM103から読み出した画素値D
inを、重み付け平均値算出部422により算出された重み付け平均値D
aveに置き換え、各参照画素Qiに対する参照ブロックBiとして出力する。
【0120】
前記ベクトル生成部514は、注目画素Pに対し、3×3領域の画素値をRAM103から読み出すとともに、3×3領域の孤立度を欠陥・孤立点検出部105から読み出す。3×3領域に孤立点が含まれている場合であって、重み付け平均値算出部422によりその孤立点に対する重み付け平均値D
aveが既に算出されている場合、ブロック選択部510はRAM103から読み出した画素値D
inを重み付け平均値算出部422により算出された重み付け平均値D
aveに置き換えた注目ブロックを出力する。
【0121】
前記比較部511は、ベクトル生成部514から出力されて当該比較部511に入力される注目ブロック特徴ベクトルV
Bと各参照ブロック特徴ベクトルV
Biとについて、類似度を表す指標を算出する。この一連の処理においては、有効画素の判定処理が、第2実施形態におけるそれとは異なる。
すなわち本第3実施形態においては、前記比較部511は、ベクトル生成部514から出力された注目ブロック特徴ベクトルV
Bと各参照ブロック特徴ベクトルV
Biとを入力すると共に、注目ブロックB及び参照ブロックBiの各成分の孤立度を欠陥・孤立点検出部105から読み出し、重み付け平均値算出部422により重み付け平均値D
aveが既に算出されている画素については有効な成分とみなし、当該画素に係る孤立度を0に置き換えた後、注目ブロックBの孤立度と参照ブロックBiの各成分の孤立度とから有効画素を判定する(ステップS52)。
【0122】
なお、
図24に示す処理ステップのうち、前記ステップS52以外のステップは、第2実施形態において説明した
図20に示す同じステップ番号のステップにおける処理と同様の処理を実行するステップである。
【0123】
以上説明したように、本第3実施形態によれば、上述の第2実施形態に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムと同様の効果を奏する上に、下記の効果を奏する画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することができる。
【0124】
すなわち、例えば入力画像に孤立点が多く含まれることによって、注目画素特徴ベクトルV
Bの成分と参照画素特徴ベクトルV
Biの成分とに孤立点が多く混入してしまい、有効な成分の不足による相関値(類似度)の精度の低下を招くような場合であっても、或る定められた順番に画素を処理する順次方式を採用して処理する場合には、本第3実施形態を適用することで、既に補正済みの孤立点を特徴ベクトルの有効な成分として利用することができ、相関値(類似度)の精度の向上を図ることができる。
【0125】
特徴ベクトルの各成分の重みを調節することが可能なので、特徴ベクトルの生成方法や入力画像の持つ特性に応じた、精度の高い相関値(類似度)を算出することができる。
【0126】
ところで、上述した本発明の各実施形態及び各変形例に係る画像処理装置は、種々の機器に適用することができる。ここでは、第1実施形態に係る画像処理装置をデジタルカメラに適用した例を説明する。
図25は、本発明の第1実施形態に係る画像処理装置を適用したデジタルカメラの概略構成例を示す図である。
【0127】
デジタルカメラ10は、光学系101と、原色ベイヤー配列撮像素子102と、RAM103と、画像処理装置100と、現像部106と、記録部107と、を具備する。
【0128】
前記デジタルカメラ10は、シャッタボタン(不図示)が押下されると、前記光学系101及び前記原色ベイヤー配列撮像素子102が制御されて撮像動作を実行する。この撮像動作によって取得された画像データは、RAM103に記録される。
【0129】
前記RAM103に記録された画像データは、原色ベイヤー配列の単板画像であり、各画素についてR,G,Bのうち何れか1色についての情報のみ得ている。このRAM103に記録された画像データは、画像処理装置100によって上述の補正処理を施された後、現像部106によって公知の現像処理が施されて現像される。
【0130】
前記現像部106によって現像された画像データは、公知の圧縮処理等が施された後、例えばメモリカード等の記録媒体である記録部107に記録される。全ての処理が終了すると、記録媒体上には撮像素子102の特性に起因する欠陥画素や種々の原因により生じた孤立点の画素値が補正された現像済み画像が得られ、当該デジタルカメラ10の撮像動作が完了する。
【0131】
なお、デジタルカメラ10が具備する画像処理装置として第1実施形態に係る画像処理装置を例に説明したが、他の実施形態及び変形例に係る画像処理装置もデジタルカメラ10等の各種機器に適用可能であることは勿論である。
【0132】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。