特許第5996317号(P5996317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996317
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】道路用発光標示体
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/608 20160101AFI20160908BHJP
   E01F 9/615 20160101ALI20160908BHJP
   E01F 9/673 20160101ALI20160908BHJP
【FI】
   E01F9/608
   E01F9/615
   E01F9/673
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-169125(P2012-169125)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2013-199820(P2013-199820A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-37288(P2012-37288)
(32)【優先日】2012年2月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前垣 幸司
【審査官】 石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−140530(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3139591(JP,U)
【文献】 特開2001−226918(JP,A)
【文献】 特開2001−131929(JP,A)
【文献】 特開2005−332708(JP,A)
【文献】 特開2011−111815(JP,A)
【文献】 特開2010−048037(JP,A)
【文献】 特開2004−252374(JP,A)
【文献】 特表2007−536590(JP,A)
【文献】 特開平11−081253(JP,A)
【文献】 特開平11−025719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−9/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の発光ユニットと、該第一の発光ユニットの上方に配置される第二の発光ユニットとを備え、
前記第一の発光ユニットと第二の発光ユニットは、それぞれ内装する発光体からの光を横方向へ放射させるようになされており、
前記第二の発光ユニットは前記第一の発光ユニットに軸支され、上下を軸方向とする回転が可能となされて前記第二の発光ユニットの光の放射方向が調整可能となされており、
前記第二の発光ユニットは、前記第一の発光ユニットから該第二の発光ユニットに螺合されるねじを軸とした軸ねじによって、前記第一の発光ユニットに軸支され、
第二の発光ユニットに対する前記軸ねじの螺合が緩められた状態においては、前記第二の発光ユニットの回転が可能となり、
前記軸ねじを締め付けた状態においては、前記第二の発光ユニットの回転が不能となるようになされ、
前記第二の発光ユニットへ螺合する前記軸ねじの螺合の解除が前記第一の発光ユニットの下側から操作してなされるように設けられていることを特徴とする道路用発光標示体。
【請求項2】
前記軸ねじが前記第一の発光ユニットの下方から挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の道路用発光標示体。
【請求項3】
前記第二の発光ユニットの下端に設けられた下板に下方に突出する係合突部が設けられると共に、第二の発光ユニットの上端に設けられた上板に半円弧状に切り欠かれた係合溝孔が設けられて、前記係合突部が前記係合溝孔に挿入され、且つ、第二の発光ユニットを前記軸ねじを軸として回転させる際に、前記係合突部が前記係合溝部内を移動するようになされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の道路用発光標示体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路周辺に設置される道路用発光標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路を通行する車両のドライバーや歩行者などに対して、発光体の発する光によって視線誘導や注意喚起を行うための道路用発光標示体については、多くの発明が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、発光体からの光を外方に放射させる発光部を備えた道路用発光標示体であって、
上下を軸方向として回転可能に形成された回転部と、該回転部の上部と下部とをそれぞれ回転可能に軸支する上方支持体と下方支持体とを備え、前記回転部に設けられた発光部より放射させる光の横方向における向きを調整して放射可能となされていることを特徴とする道路用発光標示体、が本出願人によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−111815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る道路用発光標示体は、上下を軸方向として回転可能な軸体に形成された回転部に発光部を前記回転部に固定させて、放射させる光の横方向における向きを調整出来るようにしたものであり、また、この回転部を複数並設させて異なる方向へ光を放射可能に設けた実施形態が示されている。
本発明は、これとは異なる構成により、複数の方向へ光が放射可能で、且つその光の放射方向の調整が可能な道路用発光標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用発光標示体は、第一の発光ユニットと、該第一の発光ユニットの上方に配置される第二の発光ユニットとを備え、
前記第一の発光ユニットと第二の発光ユニットは、それぞれ内装する発光体からの光を横方向へ放射させるようになされており、
前記第二の発光ユニットは前記第一の発光ユニットに軸支され、上下を軸方向とする回転が可能となされて前記第二の発光ユニットの光の放射方向が調整可能となされており、
前記第二の発光ユニットは、前記第一の発光ユニットから該第二の発光ユニットに螺合されるねじを軸とした軸ねじによって、前記第一の発光ユニットに軸支され、
第二の発光ユニットに対する前記軸ねじの螺合が緩められた状態においては、前記第二の発光ユニットの回転が可能となり、
前記軸ねじを締め付けた状態においては、前記第二の発光ユニットの回転が不能となるようになされ、
前記第二の発光ユニットへ螺合する前記軸ねじの螺合の解除が前記第一の発光ユニットの下側から操作してなされるように設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る道路用発光標示体によれば、第一の発光ユニットと、この第一の発光ユニットの上方に配置させる第二の発光ユニットとを備え、前記第一の発光ユニットと第二の発光ユニットが、それぞれ内装する発光体からの光を横方向へ放射させるので、この放射させた光を車両のドライバーや歩行者などに視認させて視線誘導や注意喚起を行うように出来る。
そして、前記第二の発光ユニットを前記第一の発光ユニットに軸支させ、上下を軸方向とする回転を可能にして前記第二の発光ユニットの光の放射方向を調整可能とするので、設置場所や目的に応じて第二の発光ユニットの光の放射方向を調整し、第一の発光ユニットからの光と同一方向や、異なる方向へ、発光させるように発光標示を行うことができる。
【0008】
また、前記第二の発光ユニットを、前記第一の発光ユニットからこの第二の発光ユニットへ螺合させるねじを軸とした軸ねじによって、前記第一の発光ユニットへ軸支させ、第二の発光ユニットに対する前記軸ねじの螺合が緩められた状態においては、前記第二の発光ユニットの回転が可能となり、前記軸ねじを締め付けた状態においては、前記第二の発光ユニットの回転が不能となるようにするので、前記第二の発光ユニットの光の放射方向の調整が容易に実施できる。
【0009】
また、前記第二の発光ユニットの下端に設けた下板に下方に突出する係合突部を設けると共に、第二の発光ユニットの上端に設けた上板に半円弧状に切り欠いた係合溝孔を設けて、前記係合突部を前記係合溝孔に挿入させ、且つ、第二の発光ユニットを前記軸ねじを軸として回転させる際に、前記係合突部が前記係合溝部内を移動するようにすれば、前記係合突部が前記係合溝部内を移動する範囲内で第二の発光ユニットが回転するようになされ、構造の限度以上の回転が抑制できるので、好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る道路用発光標示体によれば、横方向における同一方向、又は異なる方向へ光の放射方向を調整させて、発光標示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る道路用発光標示体の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、(ニ)は底面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3図1のB−B断面図である。
図4図1の道路用発光標示体の発光部を示す図であり、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
図5図1の第一の発光ユニットと第二の発光ユニットとを取り付ける状況を示す図である。
図6図5の第一の発光ユニットと第二の発光ユニットとが取り付けられた状況を示す図である。
図7】第一の発光ユニットと第二の発光ユニットの取り付け部分を示す要部の断面図である。
図8図7の第二の発光ユニットが回転可能となされた状態を示す図である。
図9図6の第二の発光ユニットが回転した状況を示す図である。
図10】本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態の第一の発光ユニットと第二の発光ユニットとを取り付ける状況を示す図である。
図11図10の第一の発光ユニットと第二の発光ユニットとが取り付けられた状況を示す図である。
図12図11の第二の発光ユニットが回転した状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において、1は道路用発光標示体である。
本実施形態の道路用発光標示体1は、略円柱形状に形成された第一の発光ユニット2と、その上方に取り付けられた略円柱形状の第二の発光ユニット3とを備えている。
第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3はそれぞれ発光体41を内装し、第二の発光ユニット3の上面に取り付けられた太陽電池Sが生起する電力により発光する前記発光体41の光を、第一の発光ユニット2及び第二の発光ユニット3のそれぞれの側方から横方向へ放射させるように設けられている。
【0013】
第一の発光ユニット2は、上下に開口する略円筒形状に形成されたケース5aを備え、その上下の開口をそれぞれ塞ぐように上板22と、下板23とが取り付けられて、中空の略円柱形状に形成されている。
また、第二の発光ユニット3も第一の発光ユニット2と同様に、上下に開口する略円筒形状に形成されたケース5bを備え、その上下の開口をそれぞれ塞ぐように上板32と、下板33とが取り付けられて、中空の略円柱形状に形成されている。
前記第一の発光ユニットのケース5aと、第二の発光ユニットのケース5bとは、アルミニウム合金の押出成形によってそれぞれ同一の断面形状に形成されている。
【0014】
図2図1のA−A断面図であり、図3図1のB−B断面図である。
第一の発光ユニット2のケース5aと、第二の発光ユニット3のケース5bは、内部に中空部54を備えた円筒状の筒壁52の前方に、上端から下端へ至り切り欠くように形成された開口部51を備えた略C字状の断面形状に形成されている。
また、筒壁52の内側には、左右の内側面に架け渡されるようにリブ57が設けられており、第一の発光ユニット2と、第二の発光ユニット3の強度を向上させている。
筒壁52の内側には開口部51の各々の側端に沿うように凹溝53が左右に形成されており、この両凹溝53は互いにそれぞれの開口方向を向け合うように対向して設けられている。
【0015】
4は前記ケース5a、5bにそれぞれ取り付けられた発光部である。
本実施形態では、発光部4は、後方へ開口する箱状の透光性の保護カバー部42を前面に有し、保護カバー部42の開口部分にはこれを塞ぐように背面板47が取り付けられ、発光部4を箱形のユニット体に形成されている。
保護カバー部42の両側の側面には、保護カバー部42の上面から下面に亘るように突条部48が形成されており、この突条部48は保護カバー部42の両側の側面において互いが反対方向へ突出するように形成されている。
本実施形態の保護カバー部42は、材質として透明なポリカーボネート樹脂を用いているが、これに限らず透光性を有するものであれば何でも良く、アクリル樹脂やガラスなどを用いてもよい。
【0016】
保護カバー部42と背面板47とに囲われた発光部4の内部には、発光体41が内装されている。本実施形態では発光体41に発光ダイオードを用いており、発光体41は発光方向を同じ方向へ向けて配線基板49上に横方向に2個並設され、これを上下方向に二列配置している。即ち、1個の発光部4に発光体41が合計4個ずつ内装されている。配線基板49は、発光体41から発する光が保護カバー部42の前面へ向けられるように、発光部4に内装されている。
【0017】
図4図1の道路用発光標示体1の発光部4を示す図であり、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
発光部4の保護カバー部42の前面にはレンズ部43が設けられており、このレンズ部43は、図2〜4に示されるように、左右方向には平面に形成されると共に、上下方向には凸レンズ状に曲成されている。レンズ部43は発光体41から発せられる光を透過して発光部4の外部に放射状に出射する際に、上下方向の光を集束させてより明るい光として放射させるようになされている。
【0018】
本実施形態の発光部4は、ケース5a、5bの各開口部51を塞ぐように取り付けられている。
具体的には、発光部4の突条部48の大きさと間隔は、ケース5a、5bに形成された凹溝53の大きさと対向する各凹溝53同士の間隔にそれぞれ対応するように形成されており、発光部4はその前面をケース5a、5bの開口部51から前方に向けて突出させ、前記各凹溝53にそれぞれ突条部48を挿入させて、ケース5a、5bにそれぞれ固定されている。発光部4は、突条部48を凹溝53に挿入して固定されるので、両側の側面でケース5a、5bに強固に固定され、その向きの位置ずれ等を容易に起こさない。
【0019】
第二の発光ユニット3の上板32の上面に取り付けられた太陽電池Sの生起した電力は、第二の発光ユニット3に内装された蓄電池Bに蓄えられ、この蓄えられた電力により、第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3に取り付けられた発光部4の発光体41が発光するようになされている。
【0020】
本実施形態の道路用発光標示体1は、図3に示すように、第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3とが、上板22と下板33とを貫通する軸ねじ6によって固定されている。具体的には、前記軸ねじ6は、下板23の下方から第一の発光ユニット2に挿入されて上板22を貫通し、更に第二の発光ユニット3の下板33に設けられた雌ねじ部分に螺結して、第二の発光ユニット3を第一の発光ユニット2に固定させるねじから形成されている。
【0021】
図5図1の第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3とを取り付ける状況を示す図であり、図6図5の第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3とが取り付けられた状況を示す図である。
尚、図5、6と後述する図9においては、図の簡略化のために、第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3の、発光部4や、凹溝53、リブ57の図示を省略している。
【0022】
本実施形態の第一の発光ユニット2の上板22は円板形状に形成され、その中心に丸孔形状の貫通孔25が形成されている。また、下板23は、Cの字状の断面形状に形成された筒壁52の開口部51に対応する位置が直線状に切り落とされた略円板形状に形成され、前記貫通孔25の直下に丸孔形状の貫通孔26が形成されている。
前記貫通孔25と貫通孔26とは、前記軸ねじ6が挿通可能な大きさに形成されている。
【0023】
第一の発光ユニット2の上板22の上面には、上方へ突出する円柱形状の係合突部27が1個形成されている。本実施形態の係合突部27は、平面視において開口部51が形成されている側を前方としたときに、前方から見て貫通孔25の左側方に形成されている。
また、上板22の上面には、上方に突出する円柱形状の係止突部28が1個形成されている。本実施形態の係止突部28は、平面視において貫通孔25の前方側に形成されている。
また、本実施形態の係合突部27は、係止突部28より貫通孔25に近い位置に形成されており、係止突部28より上方へ大きく突出するように形成されている。
【0024】
本実施形態の第二の発光ユニット3の下板33は円板形状に形成され、その中心に丸孔形状に貫通する雌ねじ孔35が形成されている。
雌ねじ孔35に形成された雌ねじ部分は、前記軸ねじ6の雄ねじ部分と螺結可能に形成されている。
【0025】
下板33には、前記雌ねじ孔35を中心とする半円弧状に切り欠かれた係合溝孔37が形成されている。
係合溝孔37は、平面視において筒壁52に開口部51が形成されている側を前方としたときに、前方から見て雌ねじ孔35の左側方から後方を経由して右側方へ180度回り込むようなCの字形状に切り欠かれて形成されている。
また、係合溝孔37と雌ねじ孔35との間隔は、前記第一の発光ユニット2の係合突部27と貫通孔25との間隔と同じ大きさに形成されている。又、係合溝孔37の溝幅は、前記係合突部27を挿入可能な大きさに形成されている。
【0026】
また、下板33には、丸孔形状に貫通する係止孔38が、半円弧状に配置されて複数形成されている。
具体的には、各係止孔38は、平面視において筒壁52に開口部51が形成されている側を前方としたときに、雌ねじ孔35の前方から左側方を経由して後側へ180度回り込むように半円弧状に配置されて形成されており、各係止孔38は互いに近接して形成されている。
係止孔38と雌ねじ孔35との間隔は、第一の発光ユニット2の係止突部28と貫通孔25との間隔と同じ大きさに形成されている。又、丸孔形状の各係止孔38の大きさは、前記係止突部28を挿入可能な大きさにそれぞれ形成されている。
【0027】
前記軸ねじ6は、第一の発光ユニット2の下方から貫通孔26に挿入されて、その先端を貫通孔25から上方へ突出させ、さらに第二の発光ユニット3の下方から雌ねじ孔35へ螺入され、締結されて、第二の発光ユニット3を第一の発光ユニット2へ固定させている。
このとき、第一の発光ユニット2の上板22の係合突部27と係止突部28とが、第二の発光ユニットの下板33の係合溝孔37と係止孔38とにそれぞれ挿入されるようになされている。
また、上板22と下板33との間には、扁平なリング形状に形成された弾性変形可能なパッキンPが挟み込まれて取り付けられており、これらの隙間からの水やゴミなどの侵入を抑制させている。
【0028】
図7は第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3の取り付け部分を示す要部の断面図であり、図8図7の第二の発光ユニット3が回転可能となされた状態を示す図である。
第一の発光ユニット2を下方から貫通させた軸ねじ6の雄ねじ部分を、第二の発光ユニット3の雌ねじ孔35へ締結させると、図7に示すように、第一の発光ユニット2の係止突部28が第二の発光ユニット3の係止孔38へ挿入された状態となり、また図7には示されていないが、係合突部27が係合溝孔37へ挿入された状態となる。このとき、上板22と下板33との間に挟み込まれたパッキンPは、軸ねじ6の締め込みによりその厚みが小さくなるように弾性変形するようになされる。
【0029】
図7の軸ねじ6と雌ねじ孔35との締結を緩めたとき、図8に示すように、パッキンPの弾性変形が復元して第二の発光ユニット3が上方へ持ち上げられると共に、係止突部28が係止孔38内から外れるようになされる。このとき、図8には示されていないが、係止突部28より大きく突出して形成された係合突部27は、係合溝孔37内に挿入された状態が維持されている。
この状態において、第二の発光ユニット3は第一の発光ユニット2に対して、係合突部27が半円弧形状に形成された係合溝孔37内を移動できる範囲内で、軸ねじ6を軸とした回転が可能となされる。即ち、第二の発光ユニット3は第一の発光ユニット2に対して、180度の角度の範囲で回転可能となされており、具体的には、図1に示すように、第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3の、それぞれの発光部4の向きを同一方向へ向けた状態から、180度逆方向へ向けた状態まで、回転させることができるようになされている。
そして、第二の発光ユニット3を回転させて目的の方向へ向けさせた後、軸ねじ6を締め込んで再度雌ねじ孔35へ螺結させれば、係止突部28が再び係止孔38へ挿入されて第二の発光ユニット3の回転が防止されるようになされる。
【0030】
図9は、図6の第二の発光ユニット3が回転した状況を示す図である。
図9は、図6の第二の発光ユニット3を90度の角度で回転させた状態を表している。
第二の発光ユニット3を回転させることで、第二の発光ユニット3の開口部51に取り付けられた発光部4から放射される光の向きを変更することができるため、第二の発光ユニット3からの光を、第一の発光ユニット2からの光とは異なる方向へ調整して放射させることができ、設置させる場所や目的に応じた多様な発光標示を行うことができる。
例えば、第一の発光ユニット2からの光と、第二の発光ユニット3からの光を、それぞれ同一方向へ向けて放射させて、観者へ強い光を視認させるようにさせてもよく、また、第一の発光ユニット2からの光と、第二の発光ユニット3からの光をそれぞれ逆方向へ向けて放射させて、直線状の道路を一方へ向かって走行する車両と、他方へ向かって走行する対向車とへそれぞれの光を放射させて視認させるように設けても良い。
また、第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3との角度を、道路のカーブの角度に合わせて調整させて設置し、カーブに向かって一方から侵入する車両と、他方から侵入する車両の双方から放射される光が視認されるように設けてもよい。
【0031】
本実施形態の道路用発光標示体1は、軸ねじ6の締結を緩めることにより、第一の発光ユニット2に対する第二の発光ユニット3の回転の解除を行うようになされているが、軸ねじ6を第一の発光ユニット2の下板23の下方から挿入させているため、これを緩める際には道路用発光標示体1の下側から軸ねじ6を操作するようになされている。このため、第二の発光ユニット3の回転の解除の方法が外見から判断しにくくなされ、道路用発光標示体1を設置した後に、いたずらなどによって第二の発光ユニット3の発光方向が変えられるような問題が生じにくくなされる。
【0032】
前記形態においては、係合突部27は第一の発光ユニット2の上板22の上面に形成され、また、これに係合される係合溝部37は第二の発光ユニット3の下板33に形成されているが、前記係合突部27を第二の発光ユニット3の下板33の下面に形成すると共に、係合溝部37を第一の発光ユニット2の上面に形成するようにしてもよい。
以下には、かかる後者の一形態を図10〜12にて説明する。
即ち、図10は本発明に係る道路用発光標示体1の実施の他の一形態の第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3とを取り付ける状況を示す図であり、図11図10の第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3とが取り付けられた状況を示す図であり、図12図11の第二の発光ユニット3が回転した状況を示す図である。
本実施形態の道路用発光標示体1の外観は図1と同じであり、図10図12においては、図の簡略化のため図5、6、9と同様に、第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3の、発光部4や、凹溝53、リブ57の図示を省略している。
【0033】
本実施形態の道路用発光標示体は、下方に配置された第一の発光ユニット2の上板22の形状と、上方に配置された第二の発光ユニット3の下板33の形状とが異なる点が、図1〜9に示す実施形態と異なる主な事項である。
即ち、本実施形態の道路用発光標示体1は、図1〜9に示す道路用発光標示体1と同様に、略円柱形状に形成させた第一の発光ユニット2と、その上方に取り付けた略円柱形状の第二の発光ユニット3とを備え、前記第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3にはそれぞれ図4に示す発光部4が取り付けられており、この各発光部4に内装された発光体41が第二の発光ユニット3の上面に取り付けられた太陽電池Sが生起する電力により発光して、第一の発光ユニット2及び第二の発光ユニット3のそれぞれの側方から横方向へ放射させるように設けている。
【0034】
また、図1〜9に示す道路用発光標示体1と同様に、前記第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3とは、略円筒形状に形成されたケース5a、5bをそれぞれ備え、その上下の開口をそれぞれ塞ぐ上板22、32と、下板23、33とを取り付けており、第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3とを、上板22と下板33とに貫通する軸ねじ6によって固定させている。具体的には、軸ねじ6を、下板23の貫通孔26から第一の発光ユニット2へ挿入させて上板22の貫通孔25を貫通させ、更に第二の発光ユニット3の下板33に設けた雌ねじ孔35に螺結させて、第二の発光ユニット3を第一の発光ユニット2に固定させている。
【0035】
本実施形態の第一の発光ユニット2の上板22は円形形状に形成され、その中心に前記貫通孔25が形成されている。
また、前記上板22には円形に貫通する電線挿通用の孔29が形成されており、本実施形態の電線挿通用の孔29は、平面視において前記発光部4が取り付けられる開口部51が形成されている側を前方としたときに、前方から見て貫通孔25の左側方に形成されている。
また、前記上板22には、前記貫通孔25を中心とする半円弧状に切り欠かれた係合溝孔24が形成されており、本実施形態の係合溝孔24は、平面視において開口部51が形成されている側を前方としたときに、前方から見て貫通孔25の左側方から後方を経由して右側方へ180℃回り込むようなCの字形状に切り欠かれて形成されており、前記電線挿通用の孔29の外側に設けられている。
【0036】
本実施形態の第二の発光ユニット3の下板33は円形形状に形成され、その中心に前記雌ねじ孔35が形成されている。
また、前記下板33には、前記雌ねじ孔35を中心とする半円弧状に切り欠かれた電線挿通用の溝孔39が形成されており、本実施形態の電線挿通用の溝孔39は、平面視において前記発光部4が取り付けられる開口部51が形成されている側を前方としたときに、前方から見て雌ねじ孔35の左側方から後方を経由して右側方へ180℃回り込むようなCの字形状に切り欠かれて形成されている。
また、前記電線挿通用の溝孔39と雌ねじ孔35との間隔は、前記第一の発光ユニット2の電線挿通用の孔29と貫通孔35との間隔と同じ大きさに形成されている。
【0037】
また、前記下板33の下面には、下方へ突出する円柱形状の係合突部34が1個形成されている。本実施形態の係合突部34は、平面視において前記開口部51が形成されている側を前方としたときに、前方から見て雌ねじ孔35の右側方に形成されている。
また、前記係合突部34と雌ねじ孔35との間隔は、前記第一の発光ユニット2の係合溝孔24と貫通孔25との間隔と同じ大きさに形成されており、前記係合突部34の大きさは、前記係合溝孔24へ挿入可能な大きさに形成されている。
【0038】
前記軸ねじ6は、第一の発光ユニット2の下方から貫通孔26に挿入されて、その先端を貫通孔25から上方へ突出させ、さらに第二の発光ユニット3の下方から雌ねじ孔35へ螺結させて、第二の発光ユニット3を第一の発光ユニット2へ固定させている。
このとき、図11に示すように、第二の発光ユニット3の下板33の係合突部34が、第一の発光ユニット2の上板22の係合溝孔24に挿入されるようになされている。
また、上板22と下板33との間には、扁平なリング形状に形成された弾性変形可能なパッキンPが挟み込まれて取り付けられており、これらの隙間からの水やゴミなどの侵入を抑制させている。
【0039】
前記雌ねじ孔35と軸ねじ6との螺結を緩めた状態では、上板22と下板33との間隔が大きくなり、上板22と、パッキンPと、下板33とのそれぞれの間の摩擦力が低減する。本実施形態の道路用発光標示体1は、この状態において、第二の発光ユニット3が第一の発光ユニット2に対して、係合突部34が半円弧形状に形成された係合溝孔24内を移動できる範囲内で、軸ねじ6を軸とした回転が可能となされる。
即ち、第二の発光ユニット3は第一の発光ユニット2に対して、180度の角度の範囲で回転可能となされており、具体的には、図1に示すように、第一の発光ユニット2と第二の発光ユニット3の、それぞれの発光部4の向きを同一方向へ向けた状態から、180度逆方向へ向けた状態まで、回転させることができるようになされている。
そして、軸ねじ6を前記雌ねじ孔35へ強固に締め込み螺結させることで、第一の発光ユニット2の上板22と、パッキンPと、第二の発光ユニット3の下板33とのそれぞれの間の摩擦力が増大し、軸ねじ6を軸とする前記第二の発光ユニット3の回転が防止されるようになされている。
【0040】
本実施形態の道路用発光標示体1は、係合突部34が半円弧形状に形成された係合溝孔24内を移動できる範囲内で、第二の発光ユニット3が第一の発光ユニット2に対して、軸ねじ6を軸とした回転をするとき、第一の発光ユニット2の上板22に形成された電線挿通用の孔29と、第二の発光ユニット3の下板33に形成された電線挿通用の溝孔39との上下の位置が一致するようになされている。このため、前記電線挿通用の孔29の形成位置において、第二の発光ユニット3の中空部から前記第一の発光ユニット2の中空部へ貫通して繋がる孔が設けられるので、第二の発光ユニット3の上面に設けられた太陽電池Sで生起された電力を第一の発光ユニット2へ取り付けた発光部4へ供給するための電線を、前記電線挿通用の溝孔39と電線挿通用の孔29とに挿通させて、電気的な接続を容易に行うことができる。
また、半円弧形状の電線挿通用の溝孔39を、半円弧形状の係合溝孔24が形成された第一の発光ユニット2の上板22ではなく、第二の発光ユニット3の下板33に形成させることで、前記第一の発光ユニット2の上板22に2個の半円弧形状の溝孔が形成されないので、前記2個の溝孔の形成による前記上板22の強度の低下が抑制される。
【符号の説明】
【0041】
1 道路用発光標示体
2 第一の発光ユニット
22 上板
23 下板
24 係合溝孔
25 貫通孔
26 貫通孔
27 係合突部
28 係止突部
29 電線挿通用の孔
3 第二の発光ユニット
32 上板
33 下板
34 係合突部
35 雌ねじ孔
37 係合溝孔
38 係止孔
39 電線挿通用の溝孔
4 発光部
41 発光体
42 保護カバー部
43 レンズ部
47 背面板
48 突条部
49 配線基板
5a ケース
5b ケース
51 開口部
52 筒壁
53 凹溝
54 中空部
57 リブ
6 軸ねじ
B 蓄電池
P パッキン
S 太陽電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12