(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996323
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】溶接機及び溶接機の制御方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/095 20060101AFI20160908BHJP
B23K 9/073 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
B23K9/095 515Z
B23K9/073
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-174100(P2012-174100)
(22)【出願日】2012年8月6日
(65)【公開番号】特開2014-30847(P2014-30847A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】西坂 太志
(72)【発明者】
【氏名】外山 裕之
【審査官】
竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−9941(JP,A)
【文献】
特開昭60−64775(JP,A)
【文献】
特開昭62−84877(JP,A)
【文献】
特開平11−156553(JP,A)
【文献】
特開昭62−84876(JP,A)
【文献】
特開2000−158132(JP,A)
【文献】
特開平11−291037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00 − 10/00
B23K 31/00 − 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク溶接のための出力電力を生成する電源生成手段と、アーク周りにシールドガスを噴射してアークを外乱から保護するガス供給手段と、アーク溶接に係る各種制御を行う制御手段とを備える溶接機に対し、マイクを用いてアーク音を取得しそのアーク音の音圧レベルから外乱によるアーク状態の変化を検出するアーク状態検出手段を備え、外乱によるアーク状態の悪化が検出されると前記制御手段によりアーク停止制御が実施される溶接機であって、
前記アーク状態検出手段は、第1閾値を上回る前記音圧レベルの合計値、及び前記第1閾値よりも高い値に定められた第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値に基づいてアークの状態の変化を検出し、
前記制御手段は、前記第1閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が第1所定値以上であり、且つ前記第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が第2所定値未満である場合に、前記アーク状態の悪化の改善を図るアーク安定化制御を実施し、前記第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が前記第2所定値以上である場合に、前記アーク停止制御を実施することを特徴とする溶接機。
【請求項2】
請求項1に記載の溶接機において、
前記制御手段は、前記アーク安定化制御として、シールドガス流量を増加するガス流量制御、及びアーク長を短くするアーク長制御の少なくとも一方の制御を実施することを特徴とする溶接機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の溶接機において、
前記電源生成手段は、スイッチング回路を備えるものであり、
前記アーク状態検出手段は、前記アーク音の内、前記スイッチング回路のスイッチング周波数を含む所定帯域の音圧レベルからアーク状態の変化を検出することを特徴とする溶接機。
【請求項4】
アーク溶接のための出力電力を生成する電源生成手段と、アーク周りにシールドガスを噴射してアークを外乱から保護するガス供給手段と、マイクを用いてアーク音を取得しそのアーク音の音圧レベルから外乱によるアーク状態の変化を検出するアーク状態検出手段とを備える溶接機に対し、外乱によるアーク状態の悪化が検出されるとアーク停止制御を実施する溶接機の制御方法であって、
第1閾値を上回る前記音圧レベルの合計値、及び前記第1閾値よりも高い値に定められた第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値に基づいてアークの状態の変化を検出し、
前記第1閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が第1所定値以上であり、且つ前記第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が第2所定値未満である場合に、前記アーク状態の悪化の改善を図るアーク安定化制御を実施し、前記第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が前記第2所定値以上である場合に、前記アーク停止制御を実施することを特徴とする溶接機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドガスを用いるアーク溶接機及びその溶接機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接機において、アーク周りにシールドガスの噴射を行い、溶接外観に影響を与える外乱要素を含む外気からアークを遮蔽してアークの点弧状態の安定化を図るガスシールドアーク溶接機が知られている。この種の溶接機としては例えば特許文献1に開示のものがあり、同文献の溶接機では、アーク音(溶接音)をマイクにて採取し、採取した音の20kHz付近の周波数の音圧レベルから風による外乱を検出する手段が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−9941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外乱によりアーク状態が悪化すると溶接外観が悪化する虞があるため、特許文献1の溶接機では、風による外乱を検出すると、その風が弱くなるまで溶接を一時的に中断するとある。しかしながら、溶接を一時中断させて再開させると、ビードに継ぎ目が生じるため、このことも溶接外観を悪化させる一つの要因である。つまり、溶接の一時中断、再開を極力回避することが望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、外乱が生じても極力アーク停止とせずアーク状態の安定化を図り、溶接外観を向上することができる溶接機及び溶接機の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、アーク溶接のための出力電力を生成する電源生成手段と、アーク周りにシールドガスを噴射してアークを外乱から保護するガス供給手段と、アーク溶接に係る各種制御を行う制御手段とを備える溶接機に対し、マイクを用いてアーク音を取得しそのアーク音
の音圧レベルから外乱によるアーク状態の変化を検出するアーク状態検出手段を備え、外乱によるアーク状態の悪化が検出されると前記制御手段によりアーク停止制御が実施される溶接機であって、
前記アーク状態検出手段は、第1閾値を上回る前記音圧レベルの合計値、及び前記第1閾値よりも高い値に定められた第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値に基づいてアークの状態の変化を検出し、前記制御手段は、
前記第1閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が第1所定値以上であり、且つ前記第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が第2所定値未満である場合に、前記アーク状態の悪化の改善を図るアーク安定化制御を実施し、前記第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が前記第2所定値以上である場合に、前記アーク停止制御を実施する。
【0007】
この発明では、外乱によるアーク状態の悪化に伴うアーク停止制御を行う前段階で、アーク状態の悪化の改善を図るアーク安定化制御が実施される。つまり、アーク停止の前にアーク状態の安定維持が図られることでアーク溶接が継続できるため、溶接外観の連続性が保たれ、溶接外観の向上に貢献する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の溶接機において、前記制御手段は、前記アーク安定化制御として、シールドガス流量を増加するガス流量制御、及びアーク長を短くするアーク長制御の少なくとも一方の制御を実施する。
【0009】
この発明では、アーク安定化制御として、シールドガス流量を増加するガス流量制御、及びアーク長を短くするアーク長制御の少なくとも一方の制御が実施される。つまり、アーク周りのシールドガス量を増加させること、アーク長を短くすることの両者はアークへの外乱の影響を小さくできるため、これがアーク状態の確実な安定維持、溶接の継続性に繋がる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の溶接機において、前記電源生成手段は、スイッチング回路を備えるものであり、前記アーク状態検出手段は、前記アーク音の内、前記スイッチング回路のスイッチング周波数を含む所定帯域の音圧レベルからアーク状態の変化を検出する。
【0011】
この発明では、アーク音の内、電源生成手段に備えられるスイッチング回路のスイッチング周波数を含む所定帯域の音圧レベルからアーク状態の変化が検出される。外乱によるアーク状態の悪化に伴ってスイッチング回路の駆動負荷が増大し、アーク音の同帯域の音圧レベルがそれに比して増大することから、同帯域のアーク音の音圧レベルを検出することで、アーク状態の検出を容易で適切に行うことが可能である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、アーク溶接のための出力電力を生成する電源生成手段と、アーク周りにシールドガスを噴射してアークを外乱から保護するガス供給手段と、マイクを用いてアーク音を取得しそのアーク音
の音圧レベルから外乱によるアーク状態の変化を検出するアーク状態検出手段とを備える溶接機に対し、外乱によるアーク状態の悪化が検出されるとアーク停止制御を実施する溶接機の制御方法であって、
第1閾値を上回る前記音圧レベルの合計値、及び前記第1閾値よりも高い値に定められた第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値に基づいてアークの状態の変化を検出し、前記第1閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が第1所定値以上であり、且つ前記第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が第2所定値未満である場合に、前記アーク状態の悪化の改善を図るアーク安定化制御を実施し、前記第2閾値を上回る前記音圧レベルの合計値が前記第2所定値以上である場合に、前記アーク停止制御を実施する。
【0013】
この発明では、請求項1と同様の作用効果が得られる制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、外乱が生じても極力アーク停止とせずアーク状態の安定化を図り、溶接外観を向上することができる溶接機及び溶接機の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態におけるアーク溶接機の概略構成図。
【
図2】2段階の制御態様の切り替えを説明するための説明図。
【
図3】2段階の制御態様を説明するためのフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の溶接機10は、ガスシールドアーク溶接機である。溶接電源装置11は、三相交流の商用電源等からアーク溶接に適した直流の出力電力を生成する。電源装置11内には、その出力電力の生成を含むアーク溶接の統合的な制御を行う制御回路12を備えている。電源装置11の一方の出力端子は、電力線及び通信線を含む接続ケーブル13を介して送給装置14に接続され、該送給装置14は同じく電力線及び通信線を含む接続ケーブル13を介して溶接トーチ15に接続される。電源装置11の他方の出力端子は、接地用ケーブル16を介して溶接対象(母材)17に接続される。
【0017】
送給装置14は、溶接トーチ15に対してワイヤ電極18の送給を行う(送給装置14と溶接トーチ15との間のワイヤ電極については図示略)。即ち、溶接トーチ15ではワイヤ電極18が支持され、溶接時に電源装置11からの出力電力の供給に基づいてワイヤ電極18の先端から溶接対象17に対してアークを生じさせるが、そのアークによりワイヤ電極18が消耗する。送給装置14は、電源装置11の制御回路12の制御に基づき、ワイヤ電極18の消耗状況等に応じた送給速度でワイヤ電極18の送給動作を行う。ワイヤ電極18の送給速度は、制御回路12にてその都度適切値に設定される。
【0018】
溶接トーチ15においては、ワイヤ電極18からのアークの発生とともに、そのアークの周囲(電極18の周囲)にシールドガスGの噴射が行われる。即ち、ガス貯蔵装置19と送給装置14との間、及び送給装置14と溶接トーチ15との間は、ガス貯蔵装置19にて貯蔵されるシールドガスGのトーチ15への送給が可能にそれぞれ送給ホース20にて接続される。ガス貯蔵装置19には、ガスGの流量を調整するガスレギュレータ21が備えられ、該レギュレータ21は、制御回路12の制御に基づき、溶接トーチ15にて噴射させるガスGの流量調整を行う。ガスGの流量は、制御回路12にてその都度適正値に設定される。
【0019】
また、溶接トーチ15には、操作スイッチ22が備えられている。操作スイッチ22は、アーク溶接の開始や停止(オン・オフ)、出力電流・電圧といったパラメータ調整、連続アークやパルスアークといったアーク態様変更等、溶接に係る各種の操作指令が可能であり、各種指令信号は接続ケーブル13を介して制御回路12に送信される。
【0020】
また、溶接トーチ15には、ワイヤ電極18のアーク音を含む電極18の先端付近の音を採取するマイク23が接続されている。マイク23にて採取した音は、音信号として溶接トーチ15内に備えられる処理回路24に入力される。処理回路24は、入力部にバンドパスフィルタ(図示略)を備え、該フィルタを通過させて、本実施形態で有用なa帯域(10kHz〜100kHz帯域)の音のみを取得するようにしている。
【0021】
ここで、電源装置11には、出力電力をその時々で適正に制御するスイッチング回路として例えばインバータ11aが備えられており、インバータ11aはPWM制御(パルス幅変調制御)によるスイッチングが行われる。このインバータ11aのスイッチング周波数は、10kHz〜100kHzの内のいずれかの周波数に設定されるのが一般的である。従って、アーク音には、インバータ11aの10kHz〜100kHzのスイッチング周波数の音(a帯域の音)が含まれる。
【0022】
そして、シールドガスGの噴射状態が風等の外乱にて乱れてアーク点弧状態が悪化し始めると、電源装置11(制御回路12)としてはアーク安定化のために出力を増大させるべく、インバータ11aのPWM制御のディーティが高く設定される。すると、インバータ11aの駆動負荷が増大し、アーク音のa帯域の音圧レベルは増大する。逆に、インバータ11aの駆動負荷が減少すると、アーク音のa帯域の音圧レベルは低下する。つまり、アーク音のa帯域の音圧レベルを検出することで、シールドガスGの噴射状態が乱れてアーク状態が悪化したかの判定が可能である。
【0023】
これを踏まえ、処理回路24は、a帯域の音をフーリエ変換等の処理を行って音圧分布を作成し、a帯域内で細分化した周波数帯のうちの少なくとも1箇所の音圧レベルと閾値との比較を行う。本実施形態では
図2に示すように、その閾値に第1閾値th1と第1閾値th1よりも高い第2閾値th2との2つが用いられ、処理回路24ではアークの状態について両閾値th1,th2を用いた2段階の判定が行われる。
【0024】
このような構成の溶接機10の動作(作用)を
図3に示すフローを参照しつつ説明すると、アーク溶接とともにマイク23を用いたアーク音の取得が行われ(ステップS1,S2)、アーク音のa帯域内の音圧レベルが第1閾値th1未満の場合(ステップS3→S4)、処理回路24はアークが安定状態であると判定し、その旨の判定信号を制御回路12に出力する。制御回路12は、その判定信号に基づいて、インバータ11aに対して通常のスイッチング制御を行い、またアーク周囲にて噴射するシールドガスGを通常の流量とする制御を行う。
【0025】
アーク音のa帯域内の音圧レベルが第1段階として第1閾値th1を上回ると(ステップS3→S5→S6)、処理回路24はアーク状態が若干悪化、より詳しくはその後のアーク安定化制御が可能な許容範囲内で若干悪化したと判定し、その旨の判定信号を制御回路12に出力する。制御回路12は、その判定信号に基づいて、外乱による影響が小さくなる制御態様に切り替えてアーク安定化を図る制御を行う。この場合のアーク安定化を図るための制御としては、ガスレギュレータ21に対する制御としてシールドガスGの流量を増加してシールド効果を高める制御や、送給装置14及びインバータ11aに対する制御としてアーク長を短くする制御がある。制御回路12は、そのいずれか一方の制御、若しくはその両方の制御を行う。これにより、外乱にて状態が悪化しかけたアークの安定化が図られる。
【0026】
また、外乱が大きく第1段階でアークの安定化を図る制御を行ってもアークの状態が一層悪化すると、アーク音のa帯域内の音圧レベルが第2段階として第2閾値th2を上回ると(ステップS5→S7)。処理回路24は、その旨の判定信号を制御回路12に出力する。制御回路12は、その判定信号に基づいて、インバータ11aの動作停止(アーク出力停止)とともに、シールドガスGの噴射を停止する。
【0027】
つまり、本実施形態では、アーク状態が若干悪化し始めた第1段階でアークの安定化が図られ、それでもアーク状態がより悪化して初めてアークの停止がなされるため、外乱が生じてもアーク溶接状態が極力維持され、ビードの連続性を保つ等の溶接外観の向上に貢献する。
【0028】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)制御回路12は、外乱によるアーク状態の悪化に伴うアーク停止制御を行う前段階(第1段階)で、アーク状態の悪化の改善を図るアーク安定化制御を実施する。つまり、アーク停止の前にアーク状態の安定維持が図られることでアーク溶接が継続できるため、溶接外観(ビード)の連続性が保たれ、溶接外観の向上に貢献することができる。
【0029】
(2)アーク安定化制御としては、シールドガスGの流量を増加するガス流量制御、及びアーク長を短くするアーク長制御の少なくとも一方の制御が実施される。つまり、アーク周りのシールドガス量を増加させること、アーク長を短くすることの両者はアークへの外乱の影響を小さくできるため、これがアーク状態の確実な安定維持、溶接の継続性に繋がる。
【0030】
(3)アーク音の内、電源装置11のインバータ11aのスイッチング周波数(10kHz〜100kHz)を含むa帯域の音圧レベルからアーク状態の変化が検出される。外乱によるアーク状態の悪化に伴ってインバータ11aの駆動負荷が増大し、アーク音の同帯域の音圧レベルがそれに比して増大することから、同帯域のアーク音の音圧レベルを検出することで、アーク状態の検出を容易で適切に行うことができる。
【0031】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・処理回路24を溶接トーチ15内に備え、マイク23で採取した音の分析、アーク状態の判定を行う処理回路24をトーチ15側に配置したが、制御回路12に処理回路24を配置し、制御回路12側で音の分析、アーク状態の判定を行うようにしてもよい。
【0032】
・マイク23を溶接トーチ15に接続したが、送給装置14に接続する態様としてもよい。また、マイク23から制御回路12への信号送信を接続ケーブル13を介した有線送信としたが、マイク23側に送信機、制御回路12側に受信機を備え、両者間の信号送信を無線送信としてもよい。
【0033】
・アーク音の10kHz〜100kHzの範囲内で細分化した周波数のうちの少なくとも1箇所の音圧レベルと閾値th1,th2との比較にて、アーク安定化制御、アーク停止制御の切り替え判定を行ったが、これに限らない。例えば、より重要な周波数帯の音を少なくとも含んで判定したり、各閾値th1,th2においてそれぞれ上回る音圧レベルの合計値(面積)で判定したりする等、判定態様を適宜変更してもよい。
【0034】
・アーク安定化制御としては、シールドガスGの流量を増加するガス流量制御、アーク長を短くするアーク長制御のいずれか一方のみでもよい。また、その両方の制御を実施してもよい。また、これら以外のアーク安定化制御を用いてもよい。
【0035】
・制御態様がアーク安定化制御に切り替わった場合、その旨を表示、音、外部信号出力等を以て外部に報知するようにしてもよく、この場合、制御態様がアーク安定化制御に切り替わったことを関係者、関係装置等が認識することができる。
【0036】
・
図3のフローは一例であり、適宜変更してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 請求項3に記載の溶接機において、
前記アーク状態検出手段は、前記アーク音の内、10kHz〜100kHzの帯域の音圧レベルからアーク状態の変化を検出することを特徴とする溶接機。
【0037】
(ロ) 請求項1〜3及び上記(イ)のいずれか1項に記載の溶接機において、
前記制御手段は、前記アーク安定化制御の実施の際、その旨を外部に報知することを特徴とする溶接機。
【符号の説明】
【0038】
G シールドガス
10 溶接機
11 溶接電源装置(電源生成手段)
11a インバータ(電源生成手段、スイッチング回路)
12 制御回路(制御手段)
19 ガス貯蔵装置(ガス供給手段)
21 ガスレギュレータ(ガス供給手段)
23 マイク
24 処理回路(アーク状態検出手段)