(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パレットは、前記搬送方向先端部の幅方向端部に設けられた第1ケーブル結合部と、前記搬送方向後端部の幅方向端部に設けられた第2ケーブル結合部と、を有しており、
前記第1ケーブルの前記一端は、前記第1ケーブル結合部に取り付けられており、前記第2ケーブルの前記一端は、前記第2ケーブル結合部に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のX線検査用車両搬送装置。
前記第1ウィンチ及び第2ウィンチは、互いに同期して一方がケーブルを巻入れ、かつ他方がケーブルを巻出すことによって、前記パレットを搬送方向に対して前進又は後退させる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線検査用車両搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のX線検査用車両搬送装置(以下、「搬送装置」)では、X線検査をする被検車両(以下、「車両」)の前輪を持ち上げて搬送し、搬送中にX線検査装置によるX線の垂直照射と水平照射により車両をX線検査していた。
【0010】
しかし、車両の前輪を持ち上げて搬送する搬送装置には以下の問題点があった。
(1)X線検査装置は、コンテナ車両のような大型車両だけでなく、四輪駆動車、車高の低い車(例えばスポーツカー)、低床トラック、小型車両等も併用して検査する必要がある。しかし、四輪駆動車は、前輪のみを持ち上げても後輪が空転しないため搬送できない問題点がある。
(2)また車高の低い車(例えばスポーツカー)は、前輪を持ち上げる機構部分を薄く構成する必要があるため、大型車両と併用できない。
(3)低床トラックは、車幅が広くなるため、搬送装置の全幅がその分大きくなる。
(4)また、いずれの車両でも、前輪を持ち上げる機構部分でX線が遮蔽されるため、特に小型車両では検査できない範囲が広くなり、X線検査の信頼性が低下する。
【0011】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、四輪駆動車、車高の低い車(例えばスポーツカー)、低床トラック、小型車両等を検査することができ、X線の垂直照射と水平照射によりX線の影になる範囲が狭く、実質的に車両全体をX線検査することができるX線検査用車両搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、X線検査をする被検車両を搬送してX線検査装置により被検車両をX線検査するX線検査用車両搬送装置であって、
前記被検車両が自走によりその上に乗込可能であり、X線が透過可能であり、水平に延びる平板状のパレットと、
前記パレットを下方向から搬送可能に支持し、前記被検車両の進入位置から退出位置まで前記被検車両の搬送方向に水平に延びるローラコンベアと、
前記ローラコンベアと平行に配置されており、前記パレットを前記搬送方向に案内するパレット案内装置と、
一端が前記パレットの前記搬送方向先端部に取り付けられ、前記搬送方向前方に水平に延びる第1ケーブルと、
一端が前記パレットの前記搬送方向後端部に取り付けられ、前記搬送方向後方に水平に延びる第2ケーブルと、
前記パレットよりも前記搬送方向前方に位置し、前記第1ケーブルを水平に巻入れ又は巻出す第1ウィンチと、
前記パレットよりも前記搬送方向後方に位置し、前記第2ケーブルを水平に巻入れ又は巻出す第2ウィンチと、を備え
、
前記パレットの前記搬送方向先端部、前記搬送方向後端部、及び幅方向両端部は、該パレットに乗込んだ前記被検車両が載る範囲の外側に位置し、
前記被検車両が載る範囲の前記パレットの厚さは、一定である、ことを特徴とするX線検査用車両搬送装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、前記パレットは、前記搬送方向先端部の幅方向端部に設けられた第1ケーブル結合部と、前記搬送方向後端部の幅方向端部に設けられた第2ケーブル結合部と、を有しており、
前記第1ケーブルの前記一端は、前記第1ケーブル結合部に取り付けられており、前記第2ケーブルの前記一端は、前記第2ケーブル結合部に取り付けられている。
【0014】
また、本発明によれば、前記第1ウィンチ及び第2ウィンチは、互いに同期して一方がケーブルを巻入れ、かつ他方がケーブルを巻出すことによって、前記パレットを搬送方向に対して前進又は後退させる。
【発明の効果】
【0015】
上記本発明の構成によれば、パレットが水平に延びる平板状であるので、四輪駆動車、車高の低い車(例えばスポーツカー)、低床トラック、小型車両等の被検車両であっても、パレット上に被検車両が自走により乗込むことができる。
また、パレットはX線が透過可能であるので、第1ウィンチ及び第2ウィンチによって、パレットをX線検査装置によるX線の照射位置を通過するように水平移動させることにより、パレットと共に被検車両にX線を照射して、被検車両をX線検査することができる。
パレットは水平に延びる平板状であり、X線に対する影響(減衰量)が一定とみなせるので、X線の垂直照射と水平照射によりX線の影になる範囲を実質的に無くすことができ、実質的に被検車両の全体をX線検査することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
図1は、本発明によるX線検査用車両搬送装置の斜視図であり、
図2は、本発明によるX線検査用車両搬送装置の全体図である。
本発明のX線検査用車両搬送装置10は、X線検査をする被検車両1を搬送して後述するX線発生装置14により被検車両1をX線検査する搬送装置である。
以下、本発明のX線検査用車両搬送装置を単に「搬送装置」と略称する。
【0019】
図1において、被検車両1は、コンテナ車両のような大型車両、四輪駆動車、車高の低い車(例えばスポーツカー)、低床トラック、小型車両等である。
この例では、被検車両1の最大長さ19m、最大幅2.7m、最大高さ4.1mを想定している。
【0020】
図2において、被検車両1の走行経路の上方にX線発生装置14(垂直X線発生装置)が設置され、その下方にX線検出装置15(垂直X線検出装置)が設置されている。X線発生装置14とX線検出装置15は、その間に後述するパレット2と被検車両1を挟んで対峙しており、被検車両1を前進(図で左方向)させながら被検車両1全体をX線で照射し、そのX線画像を取得するようになっている。
【0021】
図2において、被検車両1の走行経路の水平方向の一方に、水平X線発生装置(図示せず)が設置され、水平方向の他方に水平X線検出装置(図示せず)が設置されている。水平X線発生装置と水平X線検出装置は、その間に被検車両1を挟んで対峙しており、被検車両1を前進(図で左方向)させながら被検車両1全体をX線で照射し、そのX線画像を取得するようになっている。
【0022】
なお、X線発生装置14から発生するX線は、この例においては、パレット2の幅方向について延びる直線形状を有するものを想定している。そのため、この例においては、X線が上記直線形状を維持するために、X線発生装置14と被検車両1の走行経路との間に設けられたスリット14a、14bを通過して被検車両1に照射し、さらに被検車両1を透過したX線は、被検車両1の走行経路とX線検出装置15との間に設けられたスリット15aを通過するようになっている。
この構成によって、パレット2に搭載した被検車両1の幅方向を横断してX線検査を行うことが可能になるため、パレット2を搬送方向に前進させながらX線検査を複数回実施することによって、被検車両1全体のX線検査を行うことが可能になる。具体的には、X線検査を実施した後、次のX線検査を行うまでの間に、1回のX線検査で検査可能な長さだけパレット2を前進させておくことによって、被検車両1全体のX線検査を行うことが可能になる。
なお、この例においては、スリットを3つ用いてX線検査を行う例について説明したが、検査に支障がなければスリットの数を増減させた構成であってもよい。
【0023】
図3は、本発明のX線検査用車両搬送装置によって被検車両を搬送する際の説明図である。この図において、Aは進入位置、Bは開始位置、Cは終了位置、Dは退出位置であり、それぞれ被検車両1の前輪位置(又は運転手位置)を示している。
また、この図において、進入位置Aと開始位置Bの間には進入側遮蔽扉17aが設置され、終了位置Cと退出位置Dの間には退出側遮蔽扉17bがされている。進入側遮蔽扉17aと退出側遮蔽扉17bは、X線を遮蔽可能であり、かつ後述する開閉装置18により、全開及び全閉が可能に構成されている。
また、進入側遮蔽扉17aから退出側遮蔽扉17bの間は、その間を通過する被検車両1を囲むトンネル遮蔽壁(図示しない)が設けられ、X線がその間で外部に漏洩しないようになっている。
【0024】
図1において、搬送装置10は、パレット2とパレット移動装置20を備える。
【0025】
パレット2は、X線が透過可能であり、水平に延びる平板状の形態であり、その上に被検車両1が自走により乗込可能に構成されている。
パレット2は、上方から下方に照射されるX線が透過可能であり、かつ被検車両1が載る範囲においてX線に対する影響(減衰量)が一定とみなせるように、一定厚さの金属板(鋼板)で構成されている。パレット2の厚さは、ローラ間隔が狭くなれば薄くなりローラ間隔が広がれば厚くなるが、例えば6〜30mm程度である。
【0026】
ローラコンベア4は、パレット2を下方向から搬送可能に支持し、被検車両1の進入位置から退出位置まで被検車両1の搬送方向に水平に延びるものを想定している。
この例においては、ローラコンベア4は2列設けられているが、パレット2を安定的に搬送可能であれば1列であってもよく、2列以上からなるものであってもよい。
また、ローラコンベア4の配置位置について、パレット2を基準として幅方向に非対称であってもよいが、被検車両1の車輪部分の鉛直下方向に少なくともその一部が位置していることが望ましい。この構成によって、パレット2におけるローラコンベア4によって支えられていない部分に被検車両1の全重量の集中することが防止することにより、パレット2の破損を避けることが可能になるからである。
【0027】
なお、被検車両1のトレッド(車輪中心間距離)について、例えば日本では、小型車の場合は約800mmから約1800mmであり、大型車両の場合は約1800mmから約1900mmであるため、2列のローラコンベア4は、このトレッド間隔で設置されていることが好ましく、さらにそれぞれ2列以上(合計4列以上)のローラコンベア4を設置する構成であってもよい。
【0028】
さらに、それぞれのローラコンベア4は、パレット2を下方向から搬送可能に支持する複数のローラが搬送方向に向けて間隔を隔てて配置されている。
ローラは、この例においては、土台(図示しない)に取り付けられたシャフト(図示しない)によって回転可能に軸支されたローラであり、被検車両1の搬送方向に向けて複数取り付けられている。
この構成によって、平板上のパレット2をローラコンベア4の上に設置することが可能になり、被検車両1はそのパレット2に乗りこんだ状態で搬送することが可能になる。
【0029】
また、この例においては、
図1のようにパレット2の幅方向端部について下端部が二つに分割しているガイド装置6が設けられており、また、ローラコンベア4の幅方向外方には、ローラコンベア4と平行して延びており、パレット2の下面に設けられたガイド装置6と嵌合しながらパレット2を搬送方向に向けて案内するパレット案内装置5が設けられている。このパレット案内装置5は、例えば、軌道(水平のレール)を想定している。また、ガイド装置6の嵌合可能であれば、車輪を整列させたものや溝からなるものであってもよい。
この構成によって、パレット案内装置5とガイド装置6とは嵌合することが可能になるため、パレット2は、蛇行することなくパレット案内装置5と平行姿勢を保ちながら被検車両1を搬送することが可能になる。
【0030】
なお、パレット2は、その搬送方向先端部の幅方向端部及び搬送方向先端部の幅方向端部において、後述する第1ケーブル11a及び第2ケーブル11bの一端と直接連結するための第1ケーブル結合部2a及び第2ケーブル結合部2bを有する構成であってもよい。具体的に、この第1ケーブル結合部2a及び第2ケーブル結合部2bは、それぞれパレット2の搬送方向先端部の幅方向端部における外側、又は外側でかつパレット2よりも下側に設けるものを想定している。
この構成によって、パレット2の幅方向の長さが後述する遮蔽扉17の開閉装置18の幅方向の長さよりも短い場合であっても、
図1のように第1ケーブル11a及び第2ケーブル11bを開閉装置18及び遮蔽扉17の設置位置よりも外方、又は外方でかつ下方に位置することが可能になり、第1ケーブル11a及び第2ケーブル11bと開閉装置18との接触を回避することが可能になる。
【0031】
ローラコンベア4は、ローラコンベア4は、X線発生装置14とX線検出装置15との間であってX線を被検車両1に照射するX線照射位置16の手前まで延びるローラコンベアと、X線照射位置16の奥側からさらに延びるローラコンベアとの間に隙間を有している構成であることが望ましい。
この構成によって、被検車両1に対するX線検査時において、X線がローラコンベア4によって遮断されることがないため、被検車両1のX線信号のみをより精度よく抽出することが可能になる。
【0032】
また、進入位置Aと開始位置Bの間には進入側遮蔽扉17aが設置され、終了位置Cと退出位置Dの間には退出側遮蔽扉17bがされていることに伴い、この進入側遮蔽扉17a及び退出側遮蔽扉17bの位置において、ローラコンベア4は隙間を有している構成であることが望ましい。
この構成によって、進入側遮蔽扉17a及び退出側遮蔽扉17bは開閉可能になるため、被検車両1のX線検査時には進入側遮蔽扉17a及び退出側遮蔽扉17bを閉めることによってX線を遮蔽することができ、また、進入側遮蔽扉17a及び退出側遮蔽扉17bを開けることによって被検車両1を通過させることが可能になる。なお、進入側遮蔽扉17a及び退出側遮蔽扉17bは、この例においては、ローラコンベア4と垂直に設けられている開閉ガイド18に従って開閉を行う。
【0033】
上記の例においては、X線発生装置14及びX線検出装置15を有する場合と、進入側遮蔽扉17a及び退出側遮蔽扉17bを有する場合とを別々に説明したが、これらを両方有している構成であってもよい。その場合、ローラコンベア4は、被検車両1の進入位置から被検車両1の走行経路に交差する位置に設けられた進入側遮蔽扉17aの手前まで延びるローラコンベア(第1のローラコンベア)、進入側遮蔽扉17aの奥側からX線を被検車両1に照射するX線照射位置16の手前まで延びるローラコンベア(第2のローラコンベア)と、X線照射位置16の奥側から被検車両1の走行経路に交差する位置に設けられた退出側遮蔽扉17bの手前まで延びるローラコンベア(第3のローラコンベア)と、退出側遮蔽扉17bの奥側から被検車両1の退出位置まで延びるローラコンベア(第4のローラコンベア)とからなる。
なお、必要がある場合には、パレット案内装置5についても、ローラコンベア4と同様に隙間を設ける構成であってよい。
【0034】
なお、X線発生装置14によるX線照射位置と水平X線発生装置によるX線照射位置とが異なっている場合には、それぞれの照射位置においてローラコンベア4とパレット案内装置5に隙間を設ける構成にあってよい。
【0035】
パレット移動装置20は、X線発生装置14によるX線の照射位置を通過するようにパレット2を水平移動させる機能を有する。
【0036】
図1において、パレット移動装置20は、第1ケーブル11a、第2ケーブル11b、第1ウィンチ12a、第2ウィンチ12bを備える。
【0037】
第1ケーブル11aは、その一端がパレット2の搬送方向先端部に取り付けられ搬送方向に向けて延びており、第2ケーブル11bは、その一端がパレット2の搬送方向後端部に取り付けられ搬送方向後方に向けて延びている。
【0038】
また、第1ウィンチ12aは、パレット2の搬送方向前方に位置し、第1ケーブル11aを水平に巻入れ又は巻出すものであり、第2ウィンチ12bは、第2ケーブル11bを水平に巻入れ又は巻出すものである。
【0039】
そのため、第1ウィンチ12aによって第1ケーブル11aを巻入れ、かつ、第2ウィンチ12bによって第2ケーブル11bを巻出すことによって、パレット2を搬送方向に向けて前進させることが可能になる。
また、第1ウィンチ12aによって第1ケーブル11aを巻出し、かつ、第2ウィンチ12bによって第2ケーブル11bを巻入れることによって、パレット2を搬送方向後方に向けて前進させることが可能になる。
よって、上記構成を有することにより、搬送方向について被検車両1を搭載したパレット2を移動することが可能になる。
また、単一のケーブルではなく、第1ケーブル11a及び第2ケーブル11bを用いることによって、X線検査時においてケーブルがX線を遮断してしまうことを防ぐことができる。
【0040】
なお、この例においては、第1ウィンチ12aの巻入れ及び第2ウィンチ12bの巻出し、または第1ウィンチ12aの巻出し及び第2ウィンチ12bの巻入れは、互いに同期して行うものを想定している。
この構成によって、常に第1ウィンチ12aと第2ウィンチ12bの両方を稼働させることによって安定的にパレット2の搬送を行うことが可能になり、また、第1ケーブル11a又は第2ケーブル11bが床を接触して摩耗することを防止することが可能になる。
【0041】
また、第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bが巻入れ及び巻出しをするために、駆動装置13a、13bを別途取り付ける構成であってもよい。また、必要に応じてケーブルとウィンチとの組合せを複数列配置する構成であってもよい。
【0042】
なお、第1ケーブル11a及び第2ケーブル11bを用いず、単一のケーブルを用いる構成であっても、X線を遮断しない位置(パレット2の高さよりも低い位置)において、ケーブルと第1ケーブル結合部2a及び第2ケーブル結合部2bとを連結するものであれば、かかる構成を採用することも可能である。
【0043】
また、
図4に示すように、第1ウィンチ12aと第2ウィンチ12bとの間をリング状からなる単一のケーブルを用いて結ぶ構成であってもよい。この構成によって、第1ウィンチ12aと第2ウィンチ12bのうち一方のウィンチのみを稼働させ、この一方のウィンチがケーブルを牽引する方向を変えるだけで、
図4(a)に示すようにパレット2を搬送方向に前進させることも、
図4(b)に示すようにパレット2を搬送方向後方に向けて後退させることも可能になる。
また、このリング状からなる単一のケーブルを用いた場合は、
図5に示すように単一のウィンチのみを配置し、さらにこのウィンチとパレット2を介した反対側に回転補助部材12cを設ける構成であってよい。この構成によっても、単一のウィンチがケーブルを牽引する方向を変えるだけで、
図4の場合と同じようにパレット2を搬送方向に前進させることも、搬送方向後方に向けて後退させることも可能になる。
【0044】
上述した本発明の搬送装置10は、以下のように作動する。
【0045】
図3において、被検車両1の運転手は、進入位置Aに位置するパレット2の上に自走して乗込み、進入位置Aで被検車両1から降車する。この段階で進入側遮蔽扉17aと退出側遮蔽扉17bは全閉している。被検車両1から降車した運転手は、進入位置Aから退避し、図示しない安全通路を通って退出位置Dの近傍に移動し、そこで待機する。
運転手が進入位置Aから退避すると、搬送装置10の自動運転を開始する。この開始は、オペレータの開始指示(例えばスタートボタンのON)であっても、その他の開始信号であってもよい。
【0046】
自動運転が開始されると、初めに進入側遮蔽扉17aが全開し、第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bが稼働(第1ケーブル11a及び第2ケーブル11bの巻入れ及び巻出し)して、開始位置Bまで被検車両1を載せたパレット2を搬送方向に水平移動させる。
次いで、進入側遮蔽扉17aが全閉する。なおこの際、第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bは停止しても移動を継続してもよい。
【0047】
第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bが稼働により、被検車両1を載せたパレット2を開始位置Bから終了位置Cに向かって前進させながらX線を照射して、被検車両1全体のX線画像を取得する。
第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bは、被検車両1を載せたパレット2を終了位置Cまで水平移動させると一旦停止する。次いで、退出側遮蔽扉17bが全開する。
また、これと並行して、X線検出装置15は、取得したX線画像から被検車両1(例えばコンテナの内部)をX線検査する。
【0048】
次いで、第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bは再度前進し、被検車両1を載せたパレット2を退出位置Dまで水平移動させて再度停止する。第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bが停止すると、退出側遮蔽扉17bは全閉する。
この状態で、自動運転は一旦停止され、被検車両1の運転手に乗車を促す指示(例えばオペレータによる乗車指示)が出される。
【0049】
被検車両1の運転手は、乗車指示を受けて被検車両1に乗車し、パレット2から退出位置Dの前方の退出ヤードに被検車両1を移動させ、そのまま外部に退出する。
【0050】
被検車両1が退出位置Dから退出されると、自動運転が再開される。この再開は、オペレータの再開指示(例えば復帰ボタンのON)であっても、その他の再開信号であってもよい。
【0051】
自動運転が再開されると、進入側遮蔽扉17aと退出側遮蔽扉17bが全開し、第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bが後退(図で右方向の移動)して、進入位置Aまで被検車両1を載せていない空のパレット2を後進させる。
第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bは、空のパレット2を進入位置Aまで後進させると停止する。次いで、進入側遮蔽扉17aと退出側遮蔽扉17bが全閉し、自動運転が終了する。この状態は、自動運転前の初期状態である。
【0052】
上述した本発明の構成によれば、パレット2が水平に延びる平板状であるので、四輪駆動車、車高の低い車(例えばスポーツカー)、低床トラック、小型車両等の被検車両1であっても、パレット2上に被検車両1が自走により乗込むことができる。
また、パレット2はX線が透過可能であるので、第1ウィンチ12a及び第2ウィンチ12bによって、パレット2をX線検査装置によるX線の照射位置を通過するように水平移動させることにより、パレット2と共に被検車両1にX線を照射して、被検車両1をX線検査することができる。
パレット2は水平に延びる平板状であり、X線に対する影響(減衰量)が一定とみなせるので、X線の垂直照射と水平照射によりX線の影になる範囲を実質的に無くすことができ、実質的に被検車両1の全体をX線検査することができる。
【0053】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。