特許第5996472号(P5996472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996472
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/158 20060101AFI20160908BHJP
【FI】
   E04D13/158
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-72432(P2013-72432)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196610(P2014-196610A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 善生
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−001710(JP,A)
【文献】 特開平10−068202(JP,A)
【文献】 特開平06−073824(JP,A)
【文献】 実公昭59−30086(JP,Y2)
【文献】 特開昭63−268853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸屋根部の端面と傾斜屋根部の端面とが連続する屋根構造において、
前記陸屋根部の軒部の化粧部材の端面に略水平な追加化粧部材が設けられており、
前記傾斜屋根部の軒部の傾斜部化粧部材として、前記追加化粧部材と材軸方向に対して垂直に切った部材断面が略同一のものを用いており、
前記陸屋根部と前記傾斜屋根部の軒部において、前記追加化粧部材の端面と前記傾斜部化粧部材の端面とが、略線対称に形成され接続されていることを特徴とする屋根構造。
【請求項2】
少なくとも前記傾斜部化粧部材が長手方向に分割された分割部材から成り、前記追加化粧部材と連続する部分の分割部材が予め接続されていることを特徴とする請求項1に記載の屋根構造。
【請求項3】
前記追加化粧部材は、上側部分と下側部分とが、間隔をあけて分離されており、この間隔をあけた部分に換気口が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根構造。
【請求項4】
前記追加化粧部材と前記傾斜部化粧部材とは、同一の型枠を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陸屋根部の端面と傾斜屋根部の端面とが連続する屋根構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物のバリエーションとして、陸屋根部の端面と傾斜屋根部の端面とが連続する屋根構造が多く実施されている(特許文献1,2等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−73824号公報
【特許文献2】特開2010−1710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1,2をはじめとした従来の屋根構造では、陸屋根部と傾斜屋根部の軒部において、化粧部材同士を突き合わせて連続させるには、軒先回りの一体感を出すため、化粧部材同士の端面を近似させる必要があった。
【0005】
また、近年では、化粧部材の内部空間を軒換気構造に利用することが多々有り、こうした軒換気構造を正常に機能させるためにも、内部空間がうまく連通するように化粧部材同士の端面を近似させる必要があった。
【0006】
しかしながら、通常、陸屋根部の軒部の化粧部材の端面は、傾斜屋根部の傾斜が異なっても同じ角度で形成されていたため、傾斜屋根部の傾斜を異ならせるごとに、傾斜屋根部の軒部の傾斜部化粧部材として、材軸方向に対して垂直に切った部材断面の大きさが異なるものを用いる必要があり、例えば、傾斜部化粧部材を押出成形方法で製造する場合には、傾斜屋根部の傾斜が異なるケースごとに対応する型枠をそれぞれ用意しなければならなかった。
【0007】
そこで、本発明は、傾斜屋根部の傾斜が異なっていても、傾斜屋根部の軒部の傾斜部化粧部材として材軸方向に対して垂直に切った部材断面が略同一のものを用いることができる屋根構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の屋根構造は、陸屋根部の端面と傾斜屋根部の端面とが連続する屋根構造において、前記陸屋根部の軒部の化粧部材の端面に略水平な追加化粧部材が設けられており、前記傾斜屋根部の軒部の傾斜部化粧部材として、前記追加化粧部材と材軸方向に対して垂直に切った部材断面が略同一のものを用いており、前記陸屋根部と前記傾斜屋根部の軒部において、前記追加化粧部材の端面と前記傾斜部化粧部材の端面とが、略線対称に形成され接続されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、少なくとも前記傾斜部化粧部材が長手方向に分割された分割部材から成り、前記追加化粧部材と連続する部分の分割部材が予め接続されているとよい。
【0010】
また、前記追加化粧部材は、上側部分と下側部分とが、間隔をあけて分離されており、この間隔をあけた部分に換気口が形成されていてもよい。
【0011】
さらに、前記追加化粧部材と前記傾斜部化粧部材とは、同一の型枠を用いて形成されているとよい。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明の屋根構造は、陸屋根部の端面と傾斜屋根部の端面とが連続する屋根構造において、陸屋根部の軒部の化粧部材の端面に略水平な追加化粧部材が設けられており、傾斜屋根部の軒部の傾斜部化粧部材として、追加化粧部材と材軸方向に対して垂直に切った部材断面が略同一のものを用いており、陸屋根部と傾斜屋根部の軒部において、追加化粧部材の端面と傾斜部化粧部材の端面とが、略線対称に形成され接続された構成とされている。
【0013】
こうした構成なので、傾斜屋根部の傾斜が異なっていても、傾斜屋根部の軒部の傾斜部化粧部材として材軸方向に対して垂直に切った部材断面が略同一のものを用いることができる。
【0014】
特に、傾斜部化粧部材を押出成形方法で製造する場合では、様々なケースでも同一の型枠を用いることができる。
【0015】
そのうえ、軒換気構造を採用する場合などにも、化粧部材の端面同士の複雑なディテールを容易に突き合わせた状態とし、軒換気構造を正常に機能させることができる。
【0016】
ここで、少なくとも傾斜部化粧部材が長手方向に分割された分割部材から成り、追加化粧部材と連続する部分の分割部材が予め接続されている場合は、現場での連続する部分の接続作業を省略することができ、施工性が良い。
【0017】
また、追加化粧部材は、上側部分と下側部分とが、間隔をあけて分離されており、この間隔をあけた部分に換気口が形成されている場合は、軒換気構造の換気口を容易に形成することができる。
【0018】
さらに、追加化粧部材と傾斜部化粧部材とは、同一の型枠を用いて形成されている場合は、別々の型枠を用意する必要が無く、その分、低コストで実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1の屋根構造を備えた建物の概略構成を示す斜視図である。
図2図1におけるA方向線矢視図であって、実施例1の屋根構造(傾斜屋根部が急勾配の場合)の概略構成を示す説明図である。
図3】実施例1の接続部を形成する接続部構成部材の概略構成を示す説明図である。
図4】実施例1の屋根構造(傾斜屋根部が緩勾配の場合)の概略構成を示す説明図である。
図5】実施例2の屋根構造の概略構成を示す説明図である。
図6】実施例2の接続部を形成する接続部構成部材の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例1,2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
先ず、実施例の構成について説明する。
【0022】
図1は、実施例1の屋根構造を備えた建物Bの概略構成を示している。
【0023】
この実施例1の屋根構造は、図2に示したように、陸屋根部1の端面と傾斜屋根部2の端面とが連続する屋根構造である。
【0024】
ここで、陸屋根部1の軒部の化粧部材3の端面には、略水平な追加化粧部材4が設けられている。
【0025】
さらに、追加化粧部材4の端面には、傾斜屋根部2の軒部の傾斜部化粧部材5が設けられている。
【0026】
この傾斜部化粧部材5には、追加化粧部材4と材軸方向に対して垂直に切った部材断面が略同一のものが用いられている。
【0027】
そして、追加化粧部材4の端面と傾斜部化粧部材5の端面とは略線対称に形成され接続されている。
【0028】
また、傾斜部化粧部材5は、図1に示したように、長手方向に分割された分割部材5a,5b,・・・から成る。
【0029】
さらに、追加化粧部材4と追加化粧部材と連続する部分の分割部材5aとは、図3に示したように、工場等で予め接続され、接続部構成部材6として加工されている。
【0030】
具体的には、この接続部構成部材6は、同一の型枠で形成した、追加化粧部材4と、分割部材5aとを、リベット止めなどで接続して成る。
【0031】
なお、分割部材5b,・・・も同一の型枠を用いて形成されている。
【0032】
図4に示した屋根構造は、図2に示した屋根構造よりも傾斜屋根部2の勾配を緩やかにした場合のものであり、追加化粧部材4の端面と傾斜部化粧部材5の端面の切り口角度が異なる以外は、略同様にして実施することができる。
【0033】
なお、この図4に示した屋根構造における追加化粧部材4及び傾斜部化粧部材5も、図2に示した屋根構造と同一の型枠により形成されている。
【0034】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0035】
このような実施例1の屋根構造は、陸屋根部1の端面と傾斜屋根部2の端面とが連続する屋根構造において、陸屋根部1の軒部の化粧部材3の端面に略水平な追加化粧部材4が設けられており、傾斜屋根部2の軒部の傾斜部化粧部材5として、追加化粧部材4と材軸方向に対して垂直に切った部材断面が略同一のものを用いており、陸屋根部1と傾斜屋根部2の軒部において、追加化粧部材4の端面と傾斜部化粧部材5の端面とが、略線対称に形成され接続された構成とされている。
【0036】
こうした構成なので、図1に示した傾斜屋根部2が急勾配の屋根構造や図2に示した傾斜屋根部2が緩勾配の屋根構造のように、傾斜屋根部2の傾斜が異なっていても、傾斜屋根部2の軒部の傾斜部化粧部材5として材軸方向に対して垂直に切った部材断面が略同一のものを用いることができる。
【0037】
特に、傾斜部化粧部材5を押出成形方法で製造する場合では、様々なケースでも同一の型枠を用いることができる。
【0038】
ここで、傾斜部化粧部材5が長手方向に分割された分割部材5a,5b,・・・から成り、追加化粧部材4と連続する部分の分割部材5aが工場等で予め接続された接続部構成部材6とされている。
【0039】
このため、現場において、追加化粧部材4と傾斜部化粧部材5とが連続する部分の接続作業を省略することができ、施工性が良い。
【0040】
また、追加化粧部材4と傾斜部化粧部材5とは、同一の型枠を用いて形成されている。
【0041】
このため、別々の型枠を用意する必要が無く、その分、低コストで実施することができる。
【実施例2】
【0042】
次に、実施例2について説明する。
【0043】
なお、上記実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0044】
図5は、実施例2の屋根構造の概略構成を示している。
【0045】
この実施例2の屋根構造では、図6に示した接続部構成部材6を用い、軒換気構造の換気口7が形成されていることが上記実施例1の屋根構造と主に異なる。
【0046】
すなわち、この図6に示した接続部構成部材6は、追加化粧部材4が、上側部分4aと下側部分4bとから成り、これらの間隔をあけた部分と化粧部材3の下縁部とにより換気口7が形成されているので、軒換気構造の換気口を容易に形成することができる。
【0047】
勿論、追加化粧部材4の上側部分4a及び下側部分4bも、傾斜部化粧部材5と同一の型枠を用いて形成することができる。
【0048】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0049】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例1,2に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これら実施例1,2に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0050】
例えば、上記した実施例1,2では、笠木を有する形状の化粧部材3を用いて実施したが、これに限定されず、他の形状の化粧部材3を用いて実施してもよい。
【0051】
また、上記した実施例1,2では、略同一のディテールを有する形状の追加化粧部材4及び傾斜部化粧部材5を用いて実施したが、これに限定されず、他のディテールを有する形状の追加化粧部材4及び傾斜部化粧部材5を用いて実施してもよい。
【0052】
さらに、上記した実施例1,2では、傾斜屋根部2の勾配を略同一にして実施したが、これに限定されず、他の勾配にして実施してもよい。
【符号の説明】
【0053】
B 建物
1 陸屋根部
2 傾斜屋根部
3 化粧部材
4 追加化粧部材
4a 追加化粧部材の上側部分
4b 追加化粧部材の下側部分
5 傾斜部化粧部材
5a 分割部材
5b 分割部材
6 接続部構成部材
7 換気口
図1
図2
図3
図4
図5
図6