特許第5996507号(P5996507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996507
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/00 20060101AFI20160908BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   H02J9/00
   H05K7/20 E
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-217162(P2013-217162)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2015-80364(P2015-80364A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100108394
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100101063
【弁理士】
【氏名又は名称】松丸 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100114546
【弁理士】
【氏名又は名称】頭師 教文
(74)【代理人】
【識別番号】100153903
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100162330
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 幹規
(72)【発明者】
【氏名】山岸 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】荻原 康彦
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−225874(JP,A)
【文献】 特開2000−293269(JP,A)
【文献】 特開昭62−95907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00
H05K 7/20
H05K 7/14
G06F 1/16
G06F 1/20
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内の装着スロットに、半導体素子を有する電源モジュールが交換可能に実装された電源装置であって、
前記電源モジュールの両側に設けられたガイド部材と、
該ガイド部材を案内すべく、前記装着スロットの両内側に設けられたガイドレールと、
を備え、
前記電源モジュールは、少なくとも一側に前記半導体素子の温度上昇を抑制するための放熱フィンを有し、
前記両側のガイド部材のうち、少なくとも一方が前記放熱フィンのガイド羽根で形成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記放熱フィンは、少なくとも前記ガイド羽根がケースから露出していることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内部に実装された電源モジュールの装着ガイド構造を改良した電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置(UPS)は、停電等によって負荷機器への入力電源が給電不可になった場合でも、当該無停電電源装置に接続されている負荷機器に対して、一定時間給電し続ける装置である。無停電電源装置等の電源装置の筐体内部には、交流直流変換回路、直流交流変換回路、充電回路などの回路類がモジュール化された電源モジュールが実装されている。
【0003】
電源装置は、空き増設スロットに電源モジュールを増設することで、電源容量を増大させることができる。また、電源モジュールの内部部品の破損などの故障時には、故障した電源モジュールを新しい電源モジュールに交換することで、迅速に給電能力を復旧させることができる。
【0004】
この種の電源装置は、たとえば、サーバーラックに搭載して使用される等、保守スペースが限られていることが多い。したがって、多くの場合は、電源装置の正面側から電源モジュールの増設や交換を行う必要がある。
【0005】
無停電電源装置の電源モジュールの交換に関連する技術としては、たとえば、複数の単電池または単位電池によって構成された組電池を有する組電池ユニットが、電源として着脱可能に設けられるとともに、該組電池ユニットを冷媒により冷却する冷却装置が設けられた無停電電源装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
さらに、バッテリケースの本体ケースへの挿入端部に案内腕を設け、一方の本体ケースの底部に案内溝を設け、案内溝を案内腕が通ることにより、バッテリ出力端子と本体回路端子とが確実に接続されるようにした無停電電源装置が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−22317号公報
【特許文献2】特開平10−145984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術は、特性の異なる組電池を電源として使用する場合にも、容易に交換することを企図しており、モジュール化した所定型式のバッテリの交換構造に関するものではない。
【0009】
特許文献2の技術は、本体ケースの底部に設けた案内溝をバッテリケースの挿入端部に設けた案内腕が通過するという装着ガイド構造を有する。しかし、当該ガイド構造を設けることで、電源モジュールの幅寸法は増大し、余分なスペースを必要として電源装置が大型化するという問題がある。
【0010】
バッテリケースに二次電池および充電回路等を収納してモジュール化すると、電源モジュールの放熱性能が阻害されるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みて創案されたものであり、電源装置の小型化、および電源モジュールの放熱性能の向上を図ることができる電源装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る電源装置は、筐体内の装着スロットに、半導体素子を有する電源モジュールが交換可能に実装された電源装置であって、上記電源モジュールの両側に設けられたガイド部材と、該ガイド部材を案内すべく、上記装着スロットの両内側に設けられたガイドレールと、を備える。
【0013】
上記電源モジュールは、少なくとも一側に上記半導体素子の温度上昇を抑制するための放熱フィンを有する。
【0014】
上記両側のガイド部材のうち、少なくとも一方が上記放熱フィンのガイド羽根で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電源装置は、電源モジュールの両側に設けられたガイド部材と、該ガイド部材を案内すべく、装着スロットの両内側に設けられたガイドレールと、を備える。両側のガイド部材のうち、少なくとも一方が放熱フィンのガイド羽根で形成されている。
【0016】
したがって、本発明に係る電源装置によれば、放熱フィンの一部にガイド部材の機能を持たせたので、電源モジュールの少なくとも一側板にはガイド部材を設ける必要がなく、電源装置の小型化を図ることができる。
【0017】
また、放熱フィンをケースで覆わないので、電源モジュールの放熱性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る電源装置の正面図である。
図2】本実施形態に係る電源装置内部の正面図である。
図3】本実施形態の電源モジュールの正面図である。
図4】本実施形態の放熱フィンの側面図および正面図である。
図5】比較形態の電源モジュールの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る電源装置について説明する。
【0020】
本実施形態に係る電源装置は、電源モジュールの両側に設けられたガイド部材と、該ガイド部材を案内すべく、装着スロットの両内側に設けられたガイドレールと、を備え、両側のガイド部材のうち、少なくとも一方が放熱フィンのガイド羽根で形成される。
【0021】
したがって、本実施形態によれば、電源装置の小型化、および電源モジュールの放熱性能の向上を図ることが可能な電源装置を実現できるようになる。
【0022】
[電源装置の構成]
まず、図1から図4を参照して、本実施形態に係る電源装置の構成について説明する。図1は本実施形態に係る電源装置の正面図である。図2は本実施形態に係る電源装置内部の正面図である。図3は本実施形態の電源モジュールの正面図である。図4は本実施形態の放熱フィンの側面図および正面図である。
【0023】
本実施形態に係る電源装置の説明は、たとえば、サーバーラック等に収納して使用される無停電電源装置を例示して説明する。
【0024】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る電源装置100は、箱体状の筐体1内に各種部品が収納されている。筐体1は、矩形筒体状の外枠2と、当該外枠2の正面開口部を覆う正面板3と、当該外枠2の背面開口部を覆う不図示の背面板と、からなっている。
【0025】
外枠2は、たとえば、塗装スチールやアルミニウム製の板金枠によって形成されている。外枠2の正面部の数箇所には、正面板3の裏面に突設された係合爪(図示せず)を挿入固定するための係合部21が形成されている。
【0026】
正面板3は、たとえば、合成樹脂製の板部材で形成され、複数の通気スリット部31を有する。当該正面板3の中央部には、電源スイッチ32や電気容量等の表示部33が備えられている。
【0027】
背面板は、たとえば、外枠2と同様に板金製であって、外枠2と一体に成形される。背面板には、電源コードを接続するための不図示のソケット部が設けられている。
【0028】
筐体1内には、交流出力を供給する出力回路部、電源モジュールの電圧を交流に変換するインバータ回路部、停電時にインバータ回路部の出力を負荷側に切り換える制御回路部(いずれも図示せず)、や充電回路などをモジュール化した電源モジュール11や二次電池Lなどが収納されている。
【0029】
図2において、二次電池は、筐体1内の左側区画Lに配置されている。一方、電源モジュール11の装着スロット10は、筐体1内の右側区画Rに配置され、上下2段に設けられている。上下2段の装着スロット10のうち、下段は通常スロット10a、上段は増設スロット10bとなっている。図2は、増設スロット10bにも電源モジュール11を装着した状態を示している。
【0030】
図3に示すように、電源モジュール11は、合成樹脂製もしくは金属製のケース40で覆われてモジュール化されている。ケース40の底板42上には、出力回路部、インバータ回路部、制御回路部、充電回路などがプリント配線された配線基板50が設けられている。
【0031】
ケース40の外側部には、半導体素子60の温度上昇を抑制するための放熱フィン70が設けられている。放熱フィン70は、複数の羽根72を有する。放熱フィン70は、羽根72側を外に向けて、当該羽根72側がケース40から露出している。
【0032】
図4に示すように、放熱フィン70の半導体素子60と接触する側には、プリント配線板に当該放熱フィン70を支持するための段部73が形成されている。放熱フィン70は、放熱フィン70を支持するケース40の内面でケースの底板42に支持される。
【0033】
再び図3を参照して、ケース40の側板41の下部には、板状のガイド部材61が横方向に突設されている。一方、装着スロット10の内側には、当該ガイド部材61に相対向するようにガイドレール62が設けられている。ガイドレール62はコ字状を呈しており、ガイド部材61は当該ガイドレール62に沿って案内される。
【0034】
放熱フィン70の一部には、板状のガイド羽根(ガイド部材)71が横方向に突設するように形成されている。一方、装着スロット10の内側には、当該ガイド羽根71に相対向するようにガイドレール62が設けられている。ガイドレール62はコ字状を呈しており、ガイド羽根71は当該ガイドレール62に沿って案内される。ガイド羽根71は、電源モジュール11を支持するため、他の羽根72よりも肉厚に形成されている。
【0035】
放熱フィン70のガイド羽根71の高さ位置は、ケース40の側板41のガイド部材61の高さ位置よりも、上方に配置されている。ガイド部材61とガイド羽根71を案内するためのガイドレール62、62の高さ位置も同様に設定されている。ガイドレール62、62は、装着スロット10の奥行き方向へ延出されている。
【0036】
電源モジュール11は、いわゆるプラグイン機構により、装着スロット10内に実装される。すなわち、装着スロット10の両内側に設けられたガイドレール62、62に沿って、ケース40の側板41のガイド部材61と放熱フィン70のガイド羽根71が移動することにより、入出力端子と本体回路端子とがプラグイン接続される。
【0037】
[電源装置の作用]
次に、図1から図3、および図5を参照して、本実施形態に係る電源装置100の作用について説明する。
【0038】
図2に示したように、本実施形態に係る電源装置100は、筐体1の右側区画Rに上下2段の装着スロット10を備えている。通常スロット10aに装着した電源モジュール11と増設スロット10bに装着した電源モジュール11とを並列接続する場合は、電源容量を増大させることができる。
【0039】
図1から図3に示すように、電源モジュール11の増設や交換は、電源装置100の正面側から正面板3を外した状態で行われる。電源モジュール11は、上述したように、プラグイン機構により装着スロット10内に実装される。具体的には、電源モジュール11の装着時に、装着スロット10の両内側に設けられたガイドレール62、62に沿って、ケース40の側板41のガイド部材61と放熱フィン70のガイド羽根71が移動することにより、入出力端子と本体回路端子とがプラグイン接続される。
【0040】
すなわち、本実施形態に係る電源装置100は、電源モジュール11の両側に設けられたガイド部材61、71のうち、少なくとも一方が放熱フィン70のガイド羽根71で形成されている。
【0041】
本実施形態に係る電源装置100の作用効果を明確にすべく、比較形態として従来構造の電源モジュールを挙げて説明する。
【0042】
図5は比較形態としての従来構造の電源モジュールの正面図である。
【0043】
図5に示すように、従来の電源モジュール211は、合成樹脂製もしくは金属製のケース240内に、配線基板250および放熱フィン270等が全て収納されている。ガイド部材261、261は、ケース240の両側板241、241に上下に位置をずらして突設されている。
【0044】
電源モジュール211の装着時には、装着スロット10の両内側に設けられたガイドレール262、262に沿って、ケース240の両側板241、241に設けられたガイド部材261、261が移動することにより、入出力端子と本体回路端子とがプラグイン接続される。
【0045】
したがって、本実施形態に係る電源装置100によれば、放熱フィン70の一部であるガイド羽根71にガイド部材の機能をもたせたので、ケース40の少なくとも一側板にはガイド部材61を設ける必要がなく、比較形態に比して電源装置100の小型化を図ることができる。
【0046】
また、放熱フィン71はケース40で覆わないので、放熱フィン71が冷却空気に触れやすく、電源モジュール11の放熱性能の向上を図ることができる。
【0047】
放熱フィン70は、少なくともガイド羽根71がケース40から露出していれば、ガイド部材の機能をもたせることができる。ガイド羽根71のみをケース40から露出させる場合は、全ての羽根71をケース40から露出させる場合よりも、電源モジュール11の放熱性能が劣ることになる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
【0049】
すなわち、上記実施形態では、電源モジュール11の一側にガイド羽根71を有する放熱フィン70を設けているが、これに限定されず、電源モジュール11の両側にガイド羽根71を有する放熱フィン70を設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 筐体、
10 装着スロット、
11 電源モジュール、
60 半導体素子、
61 ガイド部材、
62 ガイドレール、
70 放熱フィン、
71 ガイド羽根(ガイド部材)、
100 電源装置。
図1
図2
図3
図4
図5