(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
包絡線信号の振幅をスケーリングしてスケーリングされた包絡線信号を生成することをさらに備え、生成された前記供給電圧は少なくとも部分的にスケーリングされた包絡線信号に基づいている、請求項1に記載の方法。
前記包絡線信号の振幅をスケーリングすることは、前記包絡線信号を前記較正データによって少なくとも部分的に決定されたスケーリングファクタで乗算することを含む、請求項6に記載の方法。
前記第1の電圧レベルでの前記電力増幅器の出力電力を測定することは、方向性結合器および電力増幅器の出力に電気的に接続される電力検出器を用いて、出力電力を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
前記供給電圧の電圧レベルを1回以上減少させ、各電圧レベルでの出力電力を測定することは、電圧レベルを連続的に減少させ、出力電力を複数の別個の電圧レベルで測定することを含む、請求項1に記載の方法。
前記モジュレータで使用するよう、前記整形データをアナログデータに変換するためのデジタル−アナログ変換器をさらに備える、請求項17に記載の電力増幅システム。
前記スケーリングモジュールは、前記電力制御モジュールから電力制御信号を受取るようさらに構成されており、前記スケーリングモジュールは前記電力制御信号を用いて、前記スケーリングされた包絡線信号振幅を変えるよう構成されている、請求項19に記載の電力増幅システム。
前記スケーリングモジュールは、較正データを電力制御信号で乗算してスケーリングファクタを生成するよう、および包絡線信号の振幅を前記スケーリングファクタで乗算してスケーリングされた包絡線信号振幅を生成するよう構成されている、請求項20に記載の電力増幅システム。
入力が前記電力増幅器の出力および前記方向性結合器に電気的に接続され、出力がアンテナに電気的に接続されるデュプレクサをさらに備える、請求項15に記載の電力増幅システム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施の形態において、本開示は包絡線トラッキングシステムを較正する方法に関する。当該方法は包絡線トラッカーを用いて電力増幅器用の供給電圧を生成することを含み、包絡線トラッカーは電力増幅器の所望の利得圧縮で生成された包絡線整形テーブルを有する。本方法は、第1の電圧レベルで電力増幅器の供給電圧を動作することを含み、第1の電圧レベルは電力増幅器の実質的にゼロの利得圧縮に対応付けられる。本方法は、第1の電圧レベルでの電力増幅器の出力電力を測定すること、供給電圧の電圧レベルを1回以上減少させて各電圧レベルでの出力電力を測定すること、所望の利得圧縮とほぼ等しい利得圧縮に対応付けられる電力増幅器の第2の電圧レベルを決定すること、および決定に基づき包絡線トラッカーを較正することをさらに含む。
【0005】
さまざまな実施の形態において、本方法は、包絡線信号の振幅をスケーリングしてスケーリングされた包絡線信号を生成することをさらに含み、生成された供給電圧は少なくとも部分的にスケーリングされた包絡線信号に基づいている。
【0006】
一部の実施の形態において、包絡線整形テーブルは、複数のスケーリングされた包絡線信号の振幅を複数の供給電圧レベルに関連付ける整形データを含む。
【0007】
いくつかの実施の形態において、本方法は、整形データおよびスケーリングされた包絡線信号を用いて、電池電圧から供給電圧を生成することをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施の形態に従い、整形データはデジタルフォーマットにあり、本方法は整形データをアナログフォーマットに変換することを含む。
【0009】
特定の実施の形態において、供給電圧の電圧レベルを減少させることは、包絡線トラッカーの較正データを変えて供給電圧を減少させることを含む。
【0010】
一部の実施の形態において、決定に基づき包絡線トラッカーを較正することは、第2の電圧レベルに対応する較正データの値にほぼ等しい較正データの値を選択することを含む。
【0011】
いくつかの実施の形態に従い、包絡線信号の振幅をスケーリングすることは、包絡線信号を、較正データによって少なくとも部分的に決定されたスケーリングファクタで乗算することを含む。
【0012】
さまざまな実施の形態において、スケーリングファクタはトランシーバからの電力制御信号によってさらに決定される。
【0013】
一部の実施の形態において、第1の電圧レベルでの電力増幅器の出力電力を測定することは、方向性結合器と電力増幅器の出力に電気的に結合される電力検出器とを用いて、出力電力を測定することを含む。
【0014】
いくつかの実施の形態において、第1の電圧レベルは電力増幅器の最大供給電圧とほぼ等しい。
【0015】
いくつかの実施の形態に従い、供給電圧の電圧レベルを1回以上減少させることは、電圧レベルを別個の段階で減少させることを含む。
【0016】
さまざまな実施の形態において、供給電圧の電圧レベルを1回以上減少させ、各電圧レベルでの出力電力を測定することは、電圧レベルを連続的に減少させ、出力電力を複数の別個の電圧レベルで測定することを含む。
【0017】
特定の実施の形態において、本開示は、プロセッサによって実行されると、包絡線トラッキングシステムを較正する方法を行なう命令を含むコンピュータ読取可能記憶媒体に関する。当該方法は、包絡線トラッカーを用いて電力増幅器用の供給電圧を生成することを含み、包絡線トラッカーは電力増幅器の所望の利得圧縮で生成された包絡線整形テーブルを有する。本方法は、第1の電圧レベルで電力増幅器の供給電圧を動作することを含み、第1の電圧レベルは電力増幅器の実質的にゼロの利得圧縮に対応付けられる。本方法は、第1の電圧レベルでの電力増幅器の出力電力を測定すること、1回以上供給電圧の電圧レベルを減少させて各電圧レベルでの出力電力を測定すること、所望の利得圧縮とほぼ等しい利得圧縮に対応付けられる電力増幅器の第2の電圧レベルを決定すること、および決定に基づき包絡線トラッカーを較正することをさらに含む。
【0018】
特定の実施の形態において、本開示は、電力増幅器と、電力増幅器用の供給電圧を生成するよう構成された包絡線トラッカーとを含む電力増幅システムに関する。包絡線トラッカーは、電力増幅器の所望の利得圧縮で生成された包絡線整形テーブルを有する整形モジュールと、包絡線信号の振幅をスケーリングし、かつスケーリングされた包絡線信号の振幅を整形モジュールに与えるよう構成されているスケーリングモジュールとを含む。電力増幅システムはさらに、電力増幅器の出力に電気的に接続される方向性結合器と、方向性結合器に電気的に接続され、方向性結合器を用いて電力増幅器の出力電力を測定するよう構成されている電力検出器と、スケーリングモジュールによって生成されたスケーリングされた包絡線信号振幅を変えるよう、較正データをスケーリングモジュールに与えるよう構成されている較正モジュールとを含む。較正モジュールは、較正データを、実質的にゼロの利得圧縮に対応付けられる供給電圧の電圧レベルに対応する第1の値に設定し、電力検出器が電力増幅器の利得圧縮が所望の利得圧縮とほぼ等しいことを示すまで、較正データを変えることにより、供給電圧の電圧レベルを減少するよう構成されている。
【0019】
さまざまな実施の形態において、包絡線整形テーブルは、複数のスケーリングされた包絡線信号振幅を複数の供給電圧レベルに関連付ける整形データを含む。
【0020】
一部の実施の形態において、電力増幅システムは、整形データを用いて、電池電圧から供給電圧を生成するよう構成されているモジュレータをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施の形態において、電力増幅システムは、モジュレータで使用できるよう、整形データをアナログデータに変換するためのデジタル−アナログ変換器をさらに含む。
【0022】
いくつかの実施の形態に従い、電力増幅システムは、電力検出器に電気的に接続される電力制御モジュールをさらに含む。
【0023】
特定の実施の形態において、スケーリングモジュールは、電力制御モジュールから電力制御信号を受取り、電力制御信号を用いてスケーリングされた包絡線信号振幅を変えるようさらに構成されている。
【0024】
一部の実施の形態において、スケーリングモジュールは、較正データを電力制御信号で乗算してスケーリングファクタを生成するよう、および包絡線信号の振幅をスケーリングファクタで乗算して、スケーリングされた包絡線信号振幅を生成するよう構成されている。
【0025】
さまざまな実施の形態において、較正データの第1の値は、電力増幅器の最大供給電圧にほぼ対応する。
【0026】
一部の実施の形態において、電力増幅システムは、入力が電力増幅器の出力および方向性結合器に電気的に接続され、出力がアンテナに電気的に接続されるデュプレクサをさらに含む。
【0027】
特定の実施の形態において、本開示は電力増幅システムを較正する方法に関する。当該方法は包絡線トラッカーを用いて電力増幅器用の供給電圧を生成することを含み、包絡線トラッカーは電力増幅器の所望の利得圧縮で生成された包絡線整形テーブルを有する。本方法は、第1の電圧レベルおよび電力増幅器の目標電力に対応付けられる第1の入力電力レベルで、電力増幅器の供給電圧を動作することを含む。本方法は、第1の入力電力レベルでの電力増幅器の出力電力を測定して電力利得を決定すること、電力増幅器の入力電力を1回以上増加させて、各入力電力レベルでの出力電力を測定すること、所望の利得圧縮にほぼ等しい電力増幅器の利得圧縮に対応する第2の入力電力レベルを決定すること、および決定に基づき電力増幅システムを較正することをさらに含む。
【0028】
さまざまな実施の形態において、本方法は、電力増幅器の入力を駆動するよう構成されている可変利得増幅器の利得を変えるために較正データを用いることをさらに含む。
【0029】
一部の実施の形態において、電力増幅器の入力電力を1回以上増加させることは、可変利得増幅器の利得を1回以上増加させるよう、較正データを変えることを含む。
【0030】
いくつかの実施の形態において、決定に基づき電力増幅システムを較正することは、第2の入力電力レベルに対応する較正データの値とほぼ等しい較正データの値を選択することを含む。
【0031】
特定の実施の形態において、本方法はさらに、トランシーバから電力制御信号を用いて可変利得増幅器の利得をさらに制御することを含む。
【0032】
いくつかの実施の形態に従い、本方法はさらに、較正データを電力制御信号で乗算することにより、可変利得増幅器の利得を制御することを含む。
【0033】
いくつかの実施の形態において、第1の入力電力レベルでの電力増幅器の出力電力を測定して電力利得を決定することは、方向性結合器と電力増幅器の出力に電気的に結合される電力検出器とを用いて出力電力を測定することを含む。
【0034】
特定の実施の形態において、本開示は、プロセッサによって実行されると、電力増幅システムを較正する方法を行なう命令を含むコンピュータ読取可能記憶媒体に関する。当該方法は包絡線トラッカーを用いて電力増幅器用の供給電圧を生成することを含み、包絡線トラッカーは電力増幅器の所望の利得圧縮で生成された包絡線整形テーブルを有する。本方法は、第1の電圧レベルおよび電力増幅器の目標電力に対応付けられる第1の入力電力レベルで、電力増幅器の供給電圧を動作することを含む。本方法は、第1の入力電力レベルでの電力増幅器の出力電力を測定して電力利得を決定すること、電力増幅器の入力電力を1回以上増加させて、各入力電力レベルでの出力電力を測定すること、所望の利得圧縮にほぼ等しい電力増幅器の利得圧縮に対応する第2の入力電力レベルを決定すること、および決定に基づき電力増幅システムを較正することをさらに含む。
【0035】
特定の実施の形態において、本開示は、電力増幅器、電力増幅器の入力を駆動するよう構成されている可変利得増幅器と、電力増幅器用の供給電圧を生成するよう構成されている包絡線トラッカーとを含む電力増幅システムに関する。包絡線トラッカーは、電力増幅器の所望の利得圧縮で生成される包絡線整形テーブルを含む。本電力増幅システムはさらに、電力増幅器の出力に電気的に接続される方向性結合器と、方向性結合器に電気的に接続され、方向性結合器を用いて電力増幅器の出力電力を測定するよう構成されている電力検出器と、電力増幅器の入力電力を制御するよう、較正データを可変利得増幅器に与えるよう構成されている較正モジュールとをさらに含む。較正モジュールは、供給電圧の電圧レベルおよび電力増幅器の目標電力に対応付けられる電力増幅器の入力電力レベルに対応する第1の値に較正データを設定し、電力検出器が電力増幅器の利得圧縮が所望の利得圧縮とほぼ等しいことを示すまで、較正データを変えることにより、電力増幅器の入力電力を増加するよう構成されている。
【0036】
さまざまな実施の形態において、電力増幅システムは、電力検出器に電気的に接続される電力制御モジュールをさらに含む。
【0037】
一部の実施の形態において、電力制御モジュールは、可変利得増幅器の利得を制御するための電力制御信号を生成するよう構成されている。
【0038】
いくつかの実施の形態において、電力増幅システムは、可変利得増幅器の利得を制御するための利得制御信号を生成するために、較正データを電力制御信号で乗算するための乗算器を含む。
【0039】
特定の実施の形態に従い、電力増幅システムは、入力が電力増幅器の出力および方向性結合器に電気的に接続され、出力がアンテナに電気的に接続されるデュプレクサをさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0041】
実施の形態の詳細な説明
ここにある見出しは便宜上のものであり、クレームに記載の発明の範囲または意味を必然的に影響するものではない。
【0042】
RF信号の包絡線に関連して電力増幅器の供給電圧を変動させる場合に、電力増幅器の特定の性能特性を維持するのは難しいことがある。たとえば、システム内の部品間の変更は、包絡線電圧と、包絡線トラッカーによって生成された対応付けられる電源電圧との不整合をもたらすことがあり、広い動的範囲にわたって包絡線信号をトラッキングする場合に、相対的に一定の利得圧縮を維持することが難しくなる。その誤りを補償するよう電力増幅器を較正できるが、その較正はDCオフセット電圧、挿入損失および/または包絡線おける利得および信号経路の変動によって複雑となる。
【0043】
改良された電力増幅器のニーズがある。さらに、包絡線トラッキング較正のための改良された装置および方法のニーズがある。
【0044】
図1は、1つ以上の電力増幅モジュールを含むことができる例示的無線装置11の概略ブロック図である。無線装置11は、本開示の1つ以上の特徴を実施する電力増幅器を含むことができる。
【0045】
図1に示される例示的無線装置11は、マルチバンド/マルチモード携帯電話といったマルチバンドおよび/またはマルチモード装置を表わすことができる。一例として、グローバルシステムフォアモバイル(GSM)コミュニケーションズ基準は、世界の多くのところで用いられているデジタルセルラー通信のモードである。GSMモード携帯電話は4つの周波数帯域:850MHz(Tx用は約824-849MHz、Rx用は869-894MHz)、900MHz(Tx用は約880-915MHz、Rx用は925-960MHz)、1800 MHz(Tx用は約1710-1785MHz、Rx用は1805-1880MHz)、および1900MHz(Tx用は約1850-1910MHz、Rx用は1930-1990MHz)のうちの1つ以上で動作可能である。GSM帯域の変形および/または地域的/国別実施も、世界の異なる場所で用いられている。
【0046】
符号分割多元接続(CDMA)は、携帯電話装置で実施できる別の基準である。特定の実施において、CDMA装置は800MHz、900MHz、1800MHz、および1900MHzの帯域の1つ以上で動作可能であるのに対して、特定のWCDMA(登録商標)およびロングタームエボリューション(LTE)装置は、たとえば約22の無線周波数スペクトル帯域で動作可能である。
【0047】
本開示の1つ以上の特徴は、上記の例示的モードおよび/または帯域、および他の通信基準で実施することができる。たとえば、3G、4G、LTEおよびアドバンスドLTEはこのような基準の非限定的例である。
【0048】
特定の実施の形態において、無線装置11は、デュプレクサ12、トランシーバ13、アンテナ14、電力増幅器17、制御コンポーネント18、コンピュータ読取可能媒体19、プロセッサ20、電池21、および包絡線トラッカー22を含むことができる。
【0049】
トランシーバ13は、アンテナ14を介して送信するRF信号を生成することができる。さらに、トランシーバ13は、アンテナ14からの入来RF信号を受取ることができる。
【0050】
RF信号の送信および受信に関わるさまざまな機能は、
図1において集合的にトランシーバ13として示されている1つ以上のコンポーネントによって行なうことができることは理解されるであろう。たとえば、送信および受信機能は別々のコンポーネントによって提供され得る。
【0051】
同様に、RF信号の送信および受信に伴うさまざまなアンテナの機能も、
図1において集合的にアンテナ14として示される1つ以上のコンポーネントによって達成できることも理解されるであろう。たとえば、1本のアンテナで送信および受信機能の両方を提供するよう構成可能である。別の例では、送信および受信機能は、別々のアンテナによって提供され得る。さらに別の例では、無線装置11に伴う異なる帯域は、1つ以上のアンテナによって提供できる。
【0052】
図1において、トランシーバ13からの1つ以上の出力信号は、1つ以上の送信経路15を介してアンテナ14に与えられるものとして示されている。示される実施例において、異なる送信経路15は、異なる帯域および/または異なる電力出力に対応する出力経路を示し得る。たとえば、図示されている2つの例示的電力増幅器17は、異なる電力出力構成(たとえば、低い電力出力および高い電力出力)に対応する増幅、および/または異なる帯域に対応する増幅を表わし得る。
図1では無線装置11が2本の送信経路15を含むものとして示されているが、無線装置11は、より多くの、または少ない送信経路15を含むよう適合できる。
【0053】
図1において、アンテナ14からの1つ以上の検出信号は、1つ以上の受信経路16を介してトランシーバ13に与えられるものとして示されている。図示されている実施例では、異なる受信経路16は異なる帯域に対応する経路を表わし得る。たとえば、4つの例示的経路16は、一部の無線装置に設けられているクワッドバンド機能を表わし得る。
図1では無線装置11が4本の受信経路16を含むものとして示されているが、無線装置11はより多くのまたは少ない受信経路16を含むよう適合できる。
【0054】
受信経路と送信経路との切換を容易にするために、デュプレクサ12はアンテナ14を選択された送信または受信経路に電気的に接続するよう構成可能である。こうして、デュプレクサ12は、無線装置11の動作に対応するいくつかの切換機能を提供し得る。特定の実施の形態において、デュプレクサ12は、たとえば異なる帯域での切換、異なる電力モード間での切換、送信モードおよび受信モード間の切換、またはそのうちのいくつかの組合せに対応する機能を提供するよう構成されているいくつかのスイッチを含むことができる。デュプレクサ12はさらに、信号のフィルタ処理を含む、付加的機能を提供するよう構成可能である。
【0055】
図1は、特定の実施の形態において、制御コンポーネント18が設けられ得ることを示し、このようなコンポーネントは、デュプレクサ12、電力増幅器17、包絡線トラッカー22、および/または他の動作コンポーネントの動作に対応するさまざまな制御機能を提供するよう構成可能である。制御コンポーネント18の限定的でない例は以下でより詳細に説明される。
【0056】
特定の実施の形態において、プロセッサ20はここに記載されているさまざまな工程の実現を容易にするよう構成可能である。説明の便宜上、本開示の実施の形態は、フローチャート図および/または方法、装置(システム)およびコンピュータプログラムプロダクトのブロック図を参照して説明される。フローチャートおよび/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実現できることは理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、またはマシンをもたらす他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに与えることができ、これら命令はコンピュータや他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行されるが、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックに示される動作を実施するための手段をもたらす。
【0057】
特定の実施の形態において、これらコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を特定の態様で動作させ得るコンピュータ読取可能メモリ19にも記憶することができ、コンピュータ読取メモリに記憶されているこれら命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックに特定される動作を実施する命令手段を含む物品をもたらす。コンピュータプログラム命令はコンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置にロードされて、コンピュータまたは他のプログラム可能装置に一連の動作を実行させてコンピュータ実施処理をもたらし、それによりコンピュータまたは他のプログラム可能装置で実行される命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックに特定される動作を実施するためのステップを提供する。
【0058】
図示されている無線装置11は包絡線トラッカー22をさらに含み、これは1つ以上の電力増幅器17に電源電圧を与えるために用いることができる。たとえば、包絡線トラッカー22は、増幅するべきRF信号の包絡線に基づき、電力増幅器17に与えられる供給電圧を制御するよう構成可能である。
【0059】
包絡線トラッカー22は電池21に電気的に接続でき、包絡線トラッカー22は、増幅するべきRF信号の包絡線に基づき、電力増幅器17に与えられる電圧を変動または変更するよう構成可能である。電池21は、たとえばリチウムイオン電池を含む、無線装置11で使用するのに適切な電池である。以下でより詳細に説明するように、電力増幅器に与えられる電圧を制御することにより、電池21の消費電力を減らすことができ、それにより無線装置11の性能を向上させる。包絡線信号は、トランシーバ13から包絡線トラッカー22に与えることができる。しかし、包絡線信号は他の態様でも決定することができる。たとえば、包絡線信号は、適切な包絡線検出器を用いて、RF信号の包絡線を検出することにより、決定できる。
【0060】
図2は包絡線トラッカーを有する電力増幅システム50の一例を示す概略ブロック図である。図示される電力増幅システム50は、電池21、電力増幅器32、マルチレベル供給モジュール51、供給電圧選択モジュール52、および供給電圧調整モジュール54を含む。以下で説明するように、マルチレベル供給モジュール51、供給電圧選択モジュール52、および供給電圧調整モジュール54は、包絡線信号に対応して電源電圧V
CCを変動または変更するよう構成されている包絡線トラッカーとして集合的に動作可能である。
【0061】
電力増幅器32は、RF信号RF
INを受取るよう構成されている入力と、増幅されたRF信号RF
OUTを生成するよう構成されている出力とを含む。さらに、電力増幅器32は、電源電圧V
CCを用いて電源投入される。
【0062】
マルチレベル供給モジュール51は、電池21から複数の電源を生成することができる。たとえば、マルチレベル供給モジュール51を使って電池21からnの電源を生成することができ、ここでnは整数である。マルチレベル供給モジュール51によって生成される各電源は、電池電圧より大きい、より小さい、または等しい電圧レベルを有することができる。ある実施において、マルチレベル供給モジュール51は昇降圧コンバータを含む。
【0063】
供給電圧選択モジュール52は、RF信号RF
INの包絡線を受取ることができ、マルチレベル供給モジュール51によって生成された電源の中から選択して、包絡線信号をトラッキングするために用いるのに最も適する供給電圧レベルを供給電圧調整モジュール54に提供することができる。たとえば、供給電圧選択モジュール52は、相対的に少しだけ包絡線電圧よりも大きい供給電圧を供給電圧調整モジュール54に与えることができる。その後、供給電圧調整モジュール54は供給電圧を相対的に微調整して、包絡線トラッキング電源電圧V
CCを生成する。マルチレベル供給モジュール51、供給電圧選択モジュール52、および電圧調整モジュール54を含むことにより、包絡線トラッキングシステムの設計上の制約を減らすことができ、それにより単一のトラッキングまたは選択モジュールしか用いないスキームに対して、より高い柔軟性および向上した電力効率をシステムに与えることができる。
【0064】
図2に示されるように、供給電圧調整モジュール54はフィードバック配置で電気的に接続されて、RF信号の包絡線に対する電圧供給V
CCのトラッキングを高める助けをする。供給電圧調整モジュール54は、電源電圧V
CCを生成するために、包絡線信号の線形トラッキングを提供するよう構成されている1つ以上の増幅器を含むことができる。特定の実施において、1つ以上の増幅器を1つ以上の加算器に電気的に接続してエラー信号の生成を助けることができ、これは供給電圧選択モジュール52によって選択された供給電圧に加えることができる。
図2は、電源電圧V
CCが供給電圧調整モジュール54に戻される入力として提供されるフィードバック構成を示すが、特定の実施において、順方向の配置を用いることもできる。
【0065】
図2に示されていないが、電力増幅システム50は、電源電圧V
CC生成における遅延を補償するための遅延ブロックを含むことができる。たとえば、遅延ブロックはRF信号RF
INと電力増幅器32の入力との間に含めて、電力増幅器32によって増幅された信号を電源電圧V
CCと整合させる助けをする。
【0066】
図3A−
図3Bは、電源供給電圧対時間の2つの例を示す。
図3Aにおいて、グラフ47はRF信号41の電圧および電力増幅器の電源43対時間を示す。RF信号41は包絡線42を有する。
【0067】
電力増幅器の電源43は、RF信号41より大きい電圧を有するよう構成可能である。たとえば、RF信号41よりも電圧の大きさが小さい電力増幅器に供給電圧を与えることは、RF信号をクリッピングすることになり、それにより信号の歪みおよび/または他の問題を発生させる。したがって、電源43は、RF信号41の包絡線42よりも高い電圧の大きさを有するよう選択することができる。しかし、電源43の電圧とRF信号41の包絡線42との差異を減らすのが望ましいこともある。なぜなら、電力増幅器の電源43とRF信号41の包絡線42との間の領域はエネルギ損失を表わし得るからであり、これは電池の寿命を減らし、移動装置で発生する熱を増やす。
【0068】
図3Bにおいて、グラフ48はRF信号41の電圧および電力増幅器電源44対時間を示す。
図3Aの電力増幅器電源43に対して、
図3Bの電力増幅器電源44は、RF信号41の包絡線42に対応して変わる。
図3Bの電力増幅器電源44とRF信号41の包絡線42との間の面積は、
図3Aの電力増幅器電源43とRF信号41の包絡線42との間の面積よりも小さいので、
図3Bのグラフ48は、より大きいエネルギ効率を有する電力増幅システムに対応させることができる。
図3Bは、たとえばここに記載されている包絡線トラッキングシステムのような、一例の包絡線トラッキングシステムの出力を表わすことができる。
【0069】
図4は、包絡線トラッカー22を有する電力増幅システム60の別の実施例の概略ブロック図である。図示される電力増幅システム60は、包絡線トラッカー22、電力増幅器32、インダクタ62、バイパスキャパシタ63、インピーダンス整合ブロック64、デュプレクサ12、およびアンテナ14を含む。
【0070】
電力増幅器32は、RF信号RF
INを受取り、増幅されたRF信号RF
OUTを生成することができる。包絡線トラッカー22はRF信号RF
INの包絡線を受取り、包絡線信号をトラッキングする電力増幅器32用の電力増幅器供給電圧V
CCを生成することができる。
【0071】
図示される電力増幅器32は、エミッタ、ベース、およびコレクタを有するバイポーラトランジスタ61を含む。バイポーラトランジスタ61のエミッタは、第1の電圧供給V
1に電気的に接続することができ、これはたとえば接地供給またはノードである。さらに、RF信号RF
INは、バイポーラトランジスタ61のベースに与えることができる。バイポーラトランジスタ61は、RF信号RF
INを増幅して、増幅されたRF信号RF
OUTをコレクタで生成することができる。バイポーラトランジスタ61は任意の適切な装置であり得る。一実施において、バイポーラトランジスタ61は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)である。
【0072】
電力増幅器32は、増幅されたRF信号RF
OUTをデュプレクサ12に与えるよう構成可能である。電力増幅器32とデュプレクサ12との間の電気的接続を終わらせる助けとして、インピーダンス整合ブロック64を用いることができる。たとえば、インピーダンス整合ブロック64を用いて、電力伝送を増加させ、および/または増幅されたRF信号RF
OUTの反射を減少させることができる。特定の実施において、インダクタ62は、インピーダンス整合ブロック64の一部として動作するよう構成可能である。
【0073】
インダクタ62は、包絡線トラッカー22によって生成された電力増幅器電源電圧V
CCで電力増幅器32をバイアスする助けをする。インダクタ62は、包絡線トラッカー22に電気的に接続される第1の端部と、バイポーラトランジスタ61のコレクタに電気的に接続される第2の端部とを含むことができる。バイパスキャパシタ63は、電源V
CCに電気的に接続される第1の端部と、第1の電圧供給V
1に電気的に接続される第2の端部とを有することができ、多様な機能を実施できる。たとえば、バイパスキャパシタ63を含めることにより、供給電圧V
CCのノイズを減らし、および/または電力増幅器32の出力を安定化させることができる。付加的に、バイパスキャパシタ63を用いて、インダクタ62用のRFおよび/またはAC接地を与えることができる。
【0074】
図4は電力増幅器32の1つの実施を示すが、当業者ならここに記載されている教示は、たとえば多段電力増幅器構造および他のトランジスタ構造を用いる電力増幅器を含む、多様な電力増幅器構造に適用できることは理解できるであろう。たとえば、一部の実施において、バイポーラトランジスタ61を省いて、たとえばシリコンFETといった電界効果トランジスタ(FET)、ガリウムヒ素(GaAs)高電子移動度トランジスタ(HEMT)、または横方向に拡散した金属酸化膜半導体(LDMOS)トランジスタを代わりに用いることができる。
【0075】
図5は、供給電圧および利得対入力電力の一例を示すプロット70である。プロット70は、ボルトで表わされる電力増幅器の電源電圧対dBmで表わされる入力電力を示す第1の曲線71を含む。プロット70はさらに、dBで表わされる電力増幅器の利得対電力増幅器用のdBmで表わされる電力増幅器の入力電力を示す第2の曲線72を含む。
【0076】
第1の曲線71および第2の曲線72は、入力電力に対して電力増幅器の電源電圧レベルを増加させることにより、入力電力が増加しても電力増幅器の利得が相対的に一定に維持できることを示す。たとえば、第2曲線72に示される利得は、入力電力レベルを約−15dBmから約22dBmに増加させた場合に、電源電圧を約1Vから約6Vに増加させることにより、約13.25dBの大きさで相対的に一定に維持されることを示す。
【0077】
包絡線トラッキングを行なう場合、電源電圧レベルと包絡線信号の入力電力との間の差を制御することにより、電力増幅器の相対的に一定した利得圧縮を維持することができる。包絡線信号の振幅に対する電源電圧の振幅の制御を助けるために、包絡線トラッカーは複数の所望の電圧供給振幅を複数の包絡線信号振幅に対応付けるデータを含む、目標の利得圧縮で生成された包絡線整形テーブルを含むことができる。
【0078】
包絡線整形テーブルを用いる場合、電力増幅システム内での部品間の変更は、生成された電源電圧と実際の入力電力との不整合をもたらし得る変動を引起し得る。たとえば、オフセット電圧、電力増幅器の利得エラー、および/または他の多様な要因は、電源電圧の振幅と包絡線信号の入力電力との間の不整合をもたらし得る。さまざまな理由により、従来の較正技術を用いてこれらの誤りを補償するのは難しい。たとえば、電力増幅器は、電力増幅器の出力とアンテナとの間に電気的に接続されるデュプレクサを含むことができ、デュプレクサの挿入損失における変動により、アンテナでの電力測定を電力増幅器の電源電圧に相関させることは難しい。したがって、デュプレクサの損失の不確かさおよび/または電力増幅器出力とアンテナとの間の他の損失は、較正を複雑にする。
【0079】
包絡線振幅不整合についての部品間の変動および/またはの他の影響する要因に対応するため、電力増幅システムは、包絡線振幅不整合誤りを考慮するマージンを含むよう設計できる。たとえば、利得圧縮は、増幅器の最大出力電力レベル近くにあって、RF信号における歪みをもたらし、電力増幅器は歪みに対する付加的ヘッドルームをもたらすために、増加した電源電圧で動作できる。しかし、電源電圧の増加は、電力増幅器の効率を下げ得る。
【0080】
電力増幅器の効率を増加させるための、および包絡線振幅不整合による増幅されたRF信号の歪みを避けるために、電力増幅システムの較正を向上させるニーズがある。さらに、工場での設定における較正コストを減らし、および/または移動装置動作環境において較正方法を動的に使用できるようにするために、相対的に迅速な較正時間を有する較正スキームのニーズがある。さらに、デュプレクサの損失不確定さおよび/または電力増幅器の出力とアンテナとの損失を考慮した改良された較正システムのニーズがある。
【0081】
図6は、一実施の形態に従う電力増幅システム98の概略ブロック図である。電力増幅システム98は、デュプレクサ12、トランシーバ13、アンテナ14、電池21、包絡線トラッカー22、電力増幅器入力段または可変利得増幅器(VGA)31、電力増幅器32、および方向性結合器88を含む。
【0082】
図示される包絡線トラッカー22は、較正モジュール80、スケーリングモジュール81、整形テーブルモジュール82、デジタル−アナログ変換器83、モジュレータ84、および乗算器87を含む。図示されているトランシーバ13は、電力制御モジュール85および電力検出器86を含む。以下でより詳細に説明するように、包絡線トラッカー22の較正モジュール80を用いて、包絡線振幅不整合に対応するために包絡線トラッカー22を較正することができる。
【0083】
図示されているトランシーバ13は、包絡線信号を包絡線トラッカー22に、およびRF信号RF
INをVGA31に与えるよう、構成されている。トランシーバ13は電力制御モジュール85を含み、これを用いて電力増幅システム98の電力レベルを調整する。たとえば、電力制御モジュール85は、第1の電力制御信号または利得制御レベル(GCL)をVGA31に与え、これを用いてVGA31の利得を制御する。付加的に、電力制御モジュール85は、第2の電力制御信号または電力制御レベル(PCL)を包絡線トラッカー22に与えることができ、これを用いて包絡線信号の振幅をスケーリングする。多様な電力モードおよび/または他の電力設定にわたって電力増幅システム98の電力レベルを制御するために、および電力性能に影響を与える多様なシステムおよび/または動作パラメータを補償するために、電力制御モジュール85を用いることができる。
【0084】
電力制御モジュール85の精度を高めるために、トランシーバ13は電力検出器86を含むことができる。電力検出器86は、電力増幅器32の出力に位置付けられる方向性結合器88に電気的に結合されて、出力電力測定精度を向上させる。たとえば、方向性結合器88は、電力増幅器32の出力とデュプレクサ12の入力との間に位置付けられ、それにより電力検出器86はデュプレクサ12の挿入ロスを含まない電力測定を生成することができる。しかし、特定の実施において、方向性結合器88は電力増幅器32の出力に直接位置付ける必要はない。たとえば、
図6の破線は、デュプレクサ12とアンテナ14との間の方向性結合器88の代替の位置を示している。
【0085】
スケーリングモジュール81は電力制御モジュール85から電力制御レベル(PCL)を受取り、PCLを用いて包絡線信号の振幅をスケーリングすることができる。スケーリングされたまたは増幅された包絡線信号は、整形テーブルモジュール82に与え、これは複数のスケーリングされた包絡線信号振幅を複数の目標供給電圧レベルに対応付ける整形データを有する整形テーブルを含むことができる。整形テーブルは、
図5を参照して説明したように、特定の目標利得圧縮で生成することができる。
【0086】
整形テーブルモジュール82は、所望の供給電圧レベルを示すデータを含む信号を生成し、その信号をモジュレータ84に与えることができる。信号がデジタルフォーマットである場合、たとえば信号が整形テーブルからの入力に対応する構成の実施では、デジタル−アナログ変換器83を用いて、信号をアナログフォーマットに変換することができる。モジュレータ84は電池21に電気的に接続され、整形テーブルモジュール82からの目標供給電圧レベルに関連するデータを用いて、電力増幅器32用の電源電圧V
CCを生成することができる。
【0087】
包絡線トラッカー22は、較正モジュール80を含み、これは多様な値に設定できる較正データを含む。この較正データはスケーリングモジュール81に与えることができ、スケーリングモジュール81は較正データを用いて、スケーリングされた振幅信号を整形テーブルモジュール82に与える前に、包絡線信号の振幅をスケーリングすることができる。たとえば、
図6に示されるように、乗算器87は、較正モジュール80からの較正データを、電力制御モジュール85からの電力制御レベル(PCL)で、および包絡線信号で、乗算して、スケーリングされた包絡線信号を生成するよう構成できる。しかし、スケーリングモジュール81は包絡線信号を適切な態様でスケーリングするよう、較正データを用いることができる。
【0088】
較正モジュール80は較正データを用いて、包絡線トラッカー22を較正し、マルチステップ較正処理を用いて包絡線振幅不整合を修正する。たとえば、較正モジュール80は包絡線信号値を相対的に大きな量でスケーリングする値にまず較正データを設定し、それにより整形テーブルモジュール82に、電源電圧V
CCをたとえば電力増幅器の最大電源電圧のような相対的に高い値に設定させる。電源の相対的に高い電圧は、電力増幅器32の実質的にゼロの利得圧縮に対応できる。
【0089】
上記のように、電力増幅システムが実質的にゼロの利得圧縮を有するよう構成されている場合、電力検出器86は電力増幅器32の出力電力を測定するよう構成可能である。その後、較正モジュール80は較正データの状態または値を変えて、整形テーブルモジュール82によって生成された目標供給電圧を下げさせる。たとえば、スケーリングモジュール81は較正データを用いてスケーリングファクタを減少させ、それにより、整形テーブル82に目標の電源電圧を減少させる。
【0090】
電源電圧の各減少に対して、電力検出器86は出力電力を測定し、出力電力測定を電力制御モジュール85に与えることができる。この情報を用いて、較正モジュール80または他の適切なモジュールは、較正データの値が、整形テーブルモジュール82の整形テーブルを生成するのに用いられた利得圧縮とほぼ等しい利得圧縮に対応したときを決定することができる。たとえば、整形テーブルモジュール82の整形テーブルが2dBの利得圧縮で生成された場合、較正モジュール80は、電力増幅システムが実質的に利得圧縮がない状態で構成されたときに測定された出力電力よりも、電力検出器86によって測定された出力電力が約2dB低いときを決定することができる。
【0091】
整形テーブルモジュール82の整形テーブルを生成するのに用いられた利得圧縮と等しい電力増幅器の利得圧縮に対応付けられる較正データは、電力増幅システム内に、たとえば包絡線トラッカー22のメモリに、保存することができる。この較正データを用いて、電力増幅システムの包絡線振幅不整合を補償することができる。
【0092】
上記の較正スキームは相対的に低コストであり、相対的に短い時間を要し、様々な源からの包絡線振幅不整合誤りを考慮するために用いることができる。さらに、電力測定に電力検出器86を用いることは、較正を支持するために外部のテスト装置を用いる必要をなくすことができる。
【0093】
特定の実施において、較正モジュール80を用いて、製造の際に包絡線トラッカー22の工場レベルでの較正を行なうことができる。しかし、他の実施では、較正モジュール80はリアルタイム動作の際に包絡線トラッカー22を定期的に較正することができ、それにより温度や他の環境的要因による動的エラー、および/または経時的に包絡線振幅不整合誤りを動的に変動させる動作条件を考慮する。較正は適切な時間帯で、たとえば電力増幅システムがアンテナ14を介して信号を送信していない特定の時間に、行なうことができる。
【0094】
図7は、他の実施の形態に従う電力増幅システム99の概略ブロック図である。電力増幅システム99は、デュプレクサ12、トランシーバ13、アンテナ14、電池21、包絡線トラッカー22、VGA31、電力増幅器32、および方向性結合器88を含む。
【0095】
図示される包絡線トラッカー22は、スケーリングモジュール81、整形テーブルモジュール82、デジタル−アナログ変換器83、およびモジュレータ84を含む。
図7の電力増幅システムは、上記の
図6の電力増幅システムと類似し得る。しかし、
図6に示される電力増幅システム98に対して、
図7に示される電力増幅システム99は、VGA31の利得を制御するための、較正モジュール90および乗算器91を含む。
【0096】
較正モジュール90は、多様な値に設定できる較正データを含む。較正データを用いてVGA31の利得を選択することができ、それにより電力増幅段32に与えられる入力電力を制御する。較正モジュール
90を用いて、以下で説明するように、包絡線トラッカーの包絡線振幅不整合を修正する。
【0097】
較正モジュール90は較正データを用いて包絡線トラッカー22を較正し、多段較正処理で包絡線振幅不整合を修正する。たとえば、較正モジュール90はVGA31の利得をまず最大電力制御レベルに設定するのに対して、包絡線トラッカー22は公称値であり、電力増幅システムの目標電力と一致する電源電圧を生成するよう構成可能である。
【0098】
電力増幅システムが目標電力を有するよう構成されている場合、較正モジュール90はVGA31の利得を上げるよう較正データの状態を変えることができ、それにより電力増幅器32の入力電力を増加させる。
【0099】
入力電力の各増加に対して、電力検出器86は出力電力を測定し、その測定値を電力制御モジュール85に与えることができる。この情報を用いて、較正モジュール90または電力増幅システムの他の適切なコンポーメントは、較正データの値が、整形テーブルモジュール82の整形テーブルを生成するのに用いられた利得圧縮とほぼ等しい利得圧縮に対応したときを決定することができる。たとえば、電力増幅器の利得が入力電力の増加により目標電力に対応するものよりも下がると、電力増幅システムは電力増幅システムの利得圧縮点を超えている。
【0100】
整形テーブルを生成するのに用いられた利得圧縮とほぼ等しい電力増幅器の利得圧縮に対応する較正データは、電力増幅システム内に、たとえば包絡線トラッカー22またはトランシーバ13のメモリに、保存することができる。この較正データを用いて、電力増幅システム99の包絡線振幅不整合を補償することができる。電力制御モジュール85がVGA31の利得をも変更可能とするために、較正モジュール90および電力制御モジュール85の両方がVGA31の利得を制御するよう、乗算器91を含めることができる。しかし、特定の実施において、乗算器91は、加算器のように他のコンポーネントと置き換える、または省略することができる。
【0101】
図8は、一実施の形態に従う電力増幅システムを較正する方法100を示すフローチャートである。ここに記載されている方法はより多くのまたはより少ない動作を含むことができ、これら動作は必要に応じて任意の順序で行なうことができる。方法100は、たとえば
図6に示される電力増幅システム98を較正するために用いることができる。
【0102】
当該方法100はブロック102で始まる。次のブロック104では、所望の利得圧縮で生成される整形テーブルを含む包絡線トラッカーを用いて電力増幅器の供給電圧が生成される。電力増幅器の利得圧縮は、線形領域を超えて電力増幅器を過剰駆動させることによって引起される差動利得の減少を指し得る。こうして、整形テーブルは設計について利得圧縮の許容可能なレベルであると決定される所望の利得圧縮で較正することができ、包絡線整形テーブルは包絡線信号振幅を、所望の利得圧縮に対応する電源電圧レベルにマッピングすることができる。整形テーブルは、複数のスケーリングされた包絡線信号振幅を複数の目標電源電圧レベルに対応付ける整形データを含むことができる。
【0103】
次のブロック106において、電力増幅器の供給電圧は、PAの実質的にゼロの利得圧縮に対応付けられる第1の電圧レベルで動作される。たとえば、電力増幅器を最大電源電圧で動作させて、増幅された信号に対して最大のヘッドルームおよび実質的にゼロの利得圧縮を与えることができる。
【0104】
図8の方法100はブロック108に続き、そこで電力増幅器の出力電力は第1の電圧レベルで測定される。たとえば、電力検出器を用いて出力電力を測定することができる。当業者なら、出力電力の測定は、電力に対して演算的に関連する電流、電圧、および/または他のパラメータを測定し、その測定値から電力を計算することを含むと理解できるであろう。
【0105】
次のブロック110において、供給電圧の電圧レベルは、1回以上減少させることができ、各電圧レベルでの出力電力を測定することができる。電圧レベルは別個に減少させることができ、各減少の後に電力測定がなされる。しかし、特定の実施において、電圧レベルは、連続的に減少させることができ、測定は別個の点で、または連続的に行なうことができる。電力測定は、電力検出器または他の適切なコンポーネントを用いて行なうことができる。一実施の形態において、供給電圧は、電力増幅システムの較正モジュールにおける較正データを変えることにより減少させられる。
【0106】
当該方法100はブロック112に続き、そこで包絡線整形テーブルを生成するために用いられた利得圧縮とほぼ等しい利得圧縮に対応する、電源供給の第2の電圧レベルが決定される。たとえば、電圧レベルは、測定出力電力が包絡線整形テーブルの利得圧縮にほぼ等しい量だけ第1の供給電圧での出力電力より下がるまで、減少させることができる。
【0107】
次のブロック114において、包絡線トラッカーは、決定に基づき較正される。たとえば、第2の電圧レベルでのシステムの状態に対応する較正データを記憶し、電力増幅システムを較正するために用いることができる。方法100は116で終わる。
【0108】
図9は、他の実施形態に従う電力増幅システムを較正する方法を示すフローチャートである。ここに記載されている方法はより多くのまたはより少ない動作を含むことができ、これら動作は必要に応じて任意の順序で行なうことができる。方法150は、たとえば
図7に示される電力増幅システム99を較正するために用いることができる。
【0109】
当該方法150はブロック152で始まる。次のブロック154では、所望の利得圧縮点で生成される整形テーブルを含む包絡線トラッカーを用いて電力増幅器の供給電圧が生成される。整形テーブルは、複数のスケーリングされた包絡線信号振幅を複数の所望供給電圧レベルに対応付ける整形データを含むことができる。
【0110】
次のブロック156において、電力増幅器の供給電圧は、第1の電圧レベルおよび目標電力に対応付けられる第1の入力電力レベルで動作される。たとえば、電力増幅器は、最大値より低い供給電圧レベルで、および目標電力と整合する相対的に低い入力電力で、動作可能である。
【0111】
図9の方法150はブロック158に続き、そこでは電力増幅器の出力電力は、第1の電圧レベルおよび第1の入力電力レベルで測定されて、電力利得を決定する。たとえば、電力検出器を用いて出力電力を測定することができる。
【0112】
次のブロック160において、電力増幅器の入力電力が1回以上増加させられ、出力電力は各電圧レベルで測定することができる。入力電力は適切な方法、たとえば、電力増幅器の入力を駆動するよう構成されている可変利得増幅器の利得を変えることにより、増加させることができる。
【0113】
方法150はブロック162に続き、そこでは包絡線整形テーブルを生成するのに用いられた利得圧縮とほぼ等しい利得圧縮に対応する、電源の第2の入力電力レベルが決定される。たとえば、入力電力は利得が減少し始めるまで下げることができ、それにより利得圧縮は包絡線整形テーブルを決定するのに用いられた利得圧縮を超えたことが示される。
【0114】
次のブロック164において、包絡線トラッカーは決定に基づき較正される。たとえば、第2の入力電力レベルでのシステムの状態に対応する較正データを保存し、それを用いて電力増幅システムを較正することができる。当該方法150は166で終わる。
【0115】
用途
上記の実施の形態の一部は、携帯電話に関連した実施例を提供している。しかし、当該実施の形態の原理および利点は、電力増幅システムを必要とする他のシステムまたは装置に向けて用いることができる。
【0116】
このような電力増幅システムはさまざまな電子装置で実施できる。電子装置の例として、消費家電製品、消費家電製品の一部、電子テスト装置などを挙げることができるが、これらに限定されない。電子装置としてさらに、メモリチップ、メモリモジュール、光ネットワークまたは他の通信ネットワークの回路、およびディスクドライバ回路を挙げることができるが、これらに限定されない。消費家電製品は、携帯電話、電話、テレビ、コンピュータモニタ、コンピュータ、携帯コンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、電子レンジ、冷蔵庫、自動車、ステレオシステム、カセットレコーダまたはプレーヤ、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、VCR、MP3プレーヤ、ラジオ、カムコーダ、カメラ、デジカメラ、携帯メモリチップ、洗濯機、ドライヤー、洗濯機/乾燥機、コピー機、ファクシミリ、スキャナ、多機能周辺機器、腕時計、時計、乾燥機、コピー機などを含むが、これらに限定されない。さらに電子装置は半製品を含むことができる。
【0117】
まとめ
本明細書において、内容が明確に他のものを示さない限り、「備える」、「含む」などの文言は、占有的および排他的な意味ではなく、包括する意味として解釈される、すなわち「含むが、限定されない」の意味がある。「結合」の文言はここで一般に用いられるように、直接接続される、または1つ以上の介在するエレメントによって接続される2つ以上のエレメントに対して用いられる。同様に、「接続」の文言も、直接接続される、または1つ以上の介在するエレメントによって接続される2つ以上のエレメントに対して用いられる。さらに、本願で用いられる「ここに」、「上」、「下」および同様の文言は、全体として本願を指し、本願の特定の部分を指すものではない。文脈に照らして、単数または複数を用いた詳細な説明の文言は、それぞれ複数形または単数形をも含み得る。2つ以上の項目の列挙に対する「または」の文言は、その文言の以下の解釈すべてを網羅する、すなわち、列挙されている項目のいずれか、列挙されている項目のすべて、および列挙されている項目の任意の組合せを網羅する。
【0118】
さらに、ここで用いられる条件付き文言、たとえば「可能」、「できる」、「得る」、「可能」、「例」、「たとえば」、「など」等は、具体的にそうでないと示されない限り、または用いられる内容に照らしてそうでないと理解されない限り、その特定の実施の形態は特定の特徴、エレメントおよび/または状態を含むが、他の実施の形態は、その特定の特徴、エレメントおよび/または状態を含まないことを伝える意図がある。こうして、このような条件付き文言は特徴、エレメント、および/または状態が1つ以上の実施の形態において必要であることを意味するものではなく、さらに1つ以上の実施の形態は書き手が挿入しているまたは示唆しているか否に係わらず、これらの特徴、エレメント、および/または状態が特定の実施の形態において含まれるのかまたは行なわれるのかを判断するための論理を必ずしも含むことを意味するものではない。
【0119】
本発明の実施の形態の上記の詳細な説明は、余すところがないわけではなく、また上記の開示されているそのままの形に本発明を限定する意図はない。上記の本発明の特定の実施の形態および実施例は例示的目的のために説明されるが、当業者によって認識されるように、多様な均等の変形は本発明の範囲内において可能である。たとえば、工程やブロックは所与の順序で提示されているが、代替の実施の形態では、異なる順序でステップを有するルーチン、または異なるブロックを有するシステムを用いることができ、一部の工程やブロックは削除、移動、追加、さらに分割、組合せる、および/または変形できる。これらの工程やブロックの各々は、多様な異なる方法で実施できる。さらに、工程やブロックは時には順番に行なわれるよう示されているが、これらの工程やブロックは並行して行なうことができる、または異なるときに行なうことができる。
【0120】
ここに示される本発明の教示は、必ずしも上記のシステムではなく、他のシステムに適用できる。上記のさまざまな実施の形態のエレメントおよび動作を組合せて、さらなる実施の形態を提供することができる。
【0121】
本発明の特定の実施の形態が説明されたが、これらの実施の形態は例示的なものとして提示されており、本開示の範囲を制限するものではない。ここに記載されている新規の方法およびシステムは他の多様な形で実現することができ、さらにここに記載されている方法およびシステムの形のさまざまな省略、置き換え、および変更が、本開示の精神から逸脱することなく行なうことができる。添付の特許請求の範囲および均等物は、本開示の範囲および精神に含まれるこのような形または変形を網羅することが意図される。