【実施例1】
【0027】
本発明の実施の形態に係る実施例1の被覆屑回収具について、
図1を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る被覆屑回収具を側面視した場合の外観図である。
図1に示すように、本実施例に係る被覆屑回収具1は、皮剥ぎ器50の排出口53から排出された被覆電線60の被覆屑を回収するために、皮剥ぎ器50に取り付けられる。以下、皮剥ぎ器50の構成について説明する。
皮剥ぎ器50は、被覆電線60が挿入される挿入口51と、挿入口51へ挿入された被覆電線60の被覆60aを剥ぎ取り、芯線60bを露出させる刃体52と、刃体52によって剥ぎ取られた被覆屑を排出する排出口53と、を備える皮剥ぎ部54と、皮剥ぎ部54の下端54aに連設されるとともに、間接活線操作棒61の先端軸61aに装着されるアダプタ62の上端62aへ挿入される挿入軸55と、から構成される。なお、被覆電線60は、被覆60aを精度良く剥ぎ取るために、挿入口51の中心軸Aに沿って挿入されることが望ましい。また、皮剥ぎ部54と挿入軸55は、アタッチメント56を介して連結される。
【0028】
より詳細には、アダプタ62の上端62a付近には、アタッチメント56を固定するためのピン部材63が取り付けられる。ピン部材63は、軸体63aと、軸体63aの周囲にこれと一体的に設けられる外周部63bと、から構成される。また、アタッチメント56の周面には軸体63aの先端が嵌入する嵌入孔56aが設けられている。なお、嵌入孔56aの閉止端と軸体63aの先端は、軸体63aの先端を嵌入孔56aの閉止端へ接近させる方向へ付勢するコイルばね(図示せず)によって接続される。
したがって、ピン部材63を引っ張らない場合では、嵌入孔56aへ軸体63aが嵌入し、アタッチメント56がアダプタ62へ固定される。一方、ピン部材63を引っ張ると、嵌入孔56aから軸体63aが抜き出され、アタッチメント56がアダプタ62から取り外される。このとき、ピン部材63の外周部63bは、軸体63aとともに引き出され、アダプタ62の表面から隙間を空けて離隔した状態となる。
さらに、アダプタ62の下端62bには、略T字状の装着溝62cが切り欠かれている。この装着溝62cの図中左右両末端部のいずれかに対し、先端軸61aの表面に突出する取付ピン61bが係止されることで、アダプタ62が間接活線操作棒61の先端軸61aへ連結される。
【0029】
次に、被覆屑回収具1の構成について詳細に説明する。被覆屑回収具1は、被覆屑が収容される空間を有する筒形状をなし、排出口53の周囲に取り付けられる胴部2と、胴部2の一端2aに開口し被覆電線60を挿入口51へ導入する導入部3と、胴部2の他端2bに設けられ皮剥ぎ器50に嵌合される嵌合部4と、を備える。
導入部3と嵌合部4は、それぞれ円形状の開口部3aと開口部4aが設けられる。開口部3aの開口面積及び開口部4aの開口面積は、それぞれ胴部2の横断面積よりも小さく形成される。より詳細には、開口部3aの開口面積は、皮剥ぎ部54の横断面積と同等であって、被覆電線60が通過可能に構成される。また、開口部4aの開口面積は、アダプタ62の横断面積と同等に構成され、嵌合部4とアダプタ62との間に隙間が形成されない構造となっている。すなわち、胴部2は、導入部3と嵌合部4によって両端が狭められ、それらの間が膨隆した形状を成している。また、胴部2はその長手方向の中心軸Bが挿入口51の中心軸Aと一致するように、アタッチメント56へ取り付けられる。
なお、胴部2、導入部3及び嵌合部4は、いずれも透明のポリエチレンフタレート(以下、PETという)によって形成される。また、周知のように、このPETは、絶縁性と、ある程度の柔軟性及び形状回復性を備えている。
【0030】
また、胴部2は、導入部3が備えられる蓋部5と、嵌合部4が備えられる底部6と、に分割される。蓋部5は、導入部3と反対端に接合部7を備え、底部6は、嵌合部4の反対端に接合部7に対向する接合部8を備える。接合部7と接合部8は、それぞれ内周面及び外周面に螺合部が形成されることによって、互いに離隔可能に接合される。なお、蓋部5と底部6の容積は、ほぼ均等である。
【0031】
続いて、実施例1に係る被覆屑回収具1の作用について詳細に説明する。本実施例の被覆屑回収具1においては、被覆電線60の被覆を剥ぎ取る場合、まず被覆屑回収具1が装着された皮剥ぎ器50を上昇させて、被覆電線60を被覆屑回収具1の導入部3へ挿入する。さらに、そのまま被覆電線60が皮剥ぎ器50の挿入口51の中心軸Aに沿って平行に挿入されるように皮剥ぎ器50を上昇させ、被覆電線60の先端を皮剥ぎ部54の刃体52へ当接させる。このとき、導入部3が透明のPETで形成されていることから、被覆電線60の挿入方向が視認され、正確な挿入が行われる。
次に、間接活線操作棒61を操作し刃体52を、被覆電線60を中心として回転させることにより、被覆60aが剥ぎ取られ螺旋状の被覆屑となって排出口53より排出される。
【0032】
さらに、この被覆屑が排出口53より排出されると、嵌合部4とアダプタ62との間に隙間が形成されないため、接合部7と接合部8が互いに螺合している場合、被覆屑は胴部2の底部6から蓋部5にかけて回収される。このように、被覆屑が胴部2によって回収される際に、胴部2が透明のPETで形成されていることから、被覆電線60の剥ぎ取り状況が目視により容易に確認される。
しかし、被覆屑が排出口53付近に充満すると被覆屑の排出の妨げとなり、また被覆電線60の剥ぎ取り状況が視認不能となる。そのため、ひとつの作業箇所から次の作業箇所に移動する間等、適切なタイミングで被覆電線60を開口部3aから一旦抜き、接合部7と接合部8の螺合を緩めて接合部7,8を完全に分離し、回収された被覆屑を取り除くことが望ましい。被覆屑を取り除いた後は、接合部7に接合部8を螺合させると、再び胴部2に被覆屑を収容可能な空間が形成される。
【0033】
さらに、実施例1に係る被覆屑回収具1の効果について詳細に説明する。本実施例の被覆屑回収具1によれば、胴部2、導入部3及び嵌合部4は、PETにより形成されるため全体的に軽量であり、被覆電線60の被覆屑が胴部2へ回収された場合であっても、荷重により間接活線操作棒61の操作が困難となるおそれが殆んどない。また、使用済の飲料用PETボトルを加工し被覆屑回収具1として容易に再利用する場合には、製造コストを極めて廉価に抑制することができる。
また、導入部3は透明材料で形成されていることから、挿入口51と被覆電線60の位置関係を正確に把握することが可能である。そのため、挿入口51に対する被覆電線60の挿入角度のずれを作業者が直ちに矯正可能である。したがって、剥ぎ取りのやり直しを防止可能であり、被覆電線60に対する1本当たりの作業時間を短縮可能であるとともに、剥ぎ取り作業に対する作業者の心的ストレスを軽減することができる。
さらに、胴部2も透明材料で形成されていることから、被覆電線60の剥ぎ取り状況について目視による確認を行うことができる。そのため、不安定な手の感覚に頼って剥ぎ取りの完了を判断したり、剥ぎ取り途中の被覆電線60を一旦挿入口51から引き抜いて剥ぎ取りの長さを確認したりする必要がない。すなわち、剥ぎ取り不足による被覆電線60の挿入口への再挿入を抑制することができるので、芯線損傷を防止して健全な電線設備の形成が可能となる。
【0034】
また、剥ぎ取りによって発生した被覆屑は、排出口53より排出されると直ちに胴部2に回収されることから、被覆屑が周囲へ散乱することを防止することができる。しかも、胴部2は導入部3と嵌合部4の間が膨隆した形状であるため、胴部2に多量の被覆屑を回収することが可能である。さらに、胴部2の上部に形成される開口部3aの開口面積は、皮剥ぎ部54の横断面積と同等であって、被覆電線60が通過可能に構成されるため、作業中に間接活線操作棒を傾斜させた場合であっても被覆屑が開口部3aから飛び出し難いと同時に、被覆電線60の速やかな挿入を妨げない。
さらに、胴部2では、接合部7と接合部8の螺合を自在に締緩することにより、回収された被覆屑を一気に取り出し、その後被覆屑が収容可能な空間を胴部2に再形成することができるので、取り扱いが極めて簡易であるとともに、複数箇所に亘る剥ぎ取り作業全体の時間的ロスを軽減させることができる。
【0035】
次に、実施例1に係る第1乃至第3の変形例について、
図2を用いて詳細に説明する。
図2(a)乃至
図2(c)は、それぞれ本発明の実施例1に係る被覆屑回収具の第1乃至第3の変形例である。なお、
図1で示した構成要素については、
図2においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2(a)に示すように、本実施例の第1の変形例に係る被覆屑回収具1aは、ノブ部9aとネジ部9bからなるノブボルト9と、接合部7a,8aをそれぞれ貫通するボルト孔10a,10bと、ネジ部9bが螺合可能なナット10cと、が設けられる。なお、接合部7a,8aにそれぞれ接合部7,8のような螺合部は設けられていない。また、ノブボルト9及びナット10cは樹脂製又は金属製であって、このうちナット10cは接合部7aに接着剤を用いて固着されている。
図2(b)に示すように、本実施例の第2の変形例に係る被覆屑回収具1bは、接合部7bの内周面に断面が半球状の凸部11aが周設され、接合部8bの外周面にこの凸部11aが嵌合する凹部11bが周設される。なお、接合部7b,8bにそれぞれ螺合部は設けられておらず、凸部11aはリング状に形成された合成樹脂材が接着剤で接合部7bに固着されたものである。このほか、凸部11aは、接合部7bに一体的に形成されたものでも良い。
図2(c)に示すように、本実施例の第3の変形例に係る被覆屑回収具1cは、接合部7cの内周面に接触面12aが周設され、接合部8cの外周面に接触面12bが周設される。接触面12a,12bには、それぞれ複数の微小な凹凸が面上に分布している。具体的には、接触面12a,12bは、面ファスナーが接合部7cの内周面及び接合部8cの外周面に対し接着剤を用いて固着されたものである。なお、接合部7c,8cに、それぞれ螺合部は設けられていない。
被覆屑回収具1a〜1cにおけるこの他の構成は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0036】
続いて、被覆屑回収具1a〜1cの作用について詳細に説明する。被覆屑回収具1aにおいては、接合部7a,8aがある程度の柔軟性及び形状回復性を有するPETで形成されていることから、接合部7aの内側に接合部8aを押し込むことが可能であり、重複部Cが形成される。この重複部Cでは、接合部7aが接合部8aによって外側方向へ押されているため、接合部7aの内周面と接合部8aの外周面が密着した状態となる。このような作用は、被覆屑回収具1b,1cにおいても同様である。以下、被覆屑回収具1a〜1cの作用について、さらに詳細に説明する。
まず、被覆屑回収具1aにおいては、重複部Cが形成された後、ボルト孔10a,10bにネジ部9bを貫通させ、ノブ部9aを回動してネジ部9bを接合部7aから接合部8a側へねじ込む。この場合にも、接合部8aが接合部7aに密着し、かつネジ部9bはナット10cへ螺合しているため、接合部7aと接合部8aが移動不能に接合される。また、これと逆方向にノブ部9aを回動させると、ネジ部9bが接合部7a,8aより抜去され、接合部7aと接合部8aが分離可能となる。
次に、被覆屑回収具1bにおいては、凸部11aが凹部11bへ嵌合するように重複部Cが形成されることで、接合部7bと接合部8bが接合される。また、接合部8bから接合部7bを引き出すことにより、凸部11aが凹部11bから外れ、接合部7bと接合部8bが分離される。
続いて、被覆屑回収具1cにおいては、接触面12aが接触面12bへ接触し互いに摩擦するように重複部Cが形成されることで、接合部7cと接合部8cが接合される。また、接触面12a,12b同士の摩擦力に逆らって接合部8cから接合部7cを引き出すことにより、接触面12aが接触面12bから離れ、接合部7cと接合部8cが分離される。
被覆屑回収具1a〜1cにおけるこの他の作用は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0037】
以上説明したように、被覆屑回収具1a〜1cによれば、いずれも簡易な操作によって接合部7a〜7c,8a〜8c同士をそれぞれ接合及び分離することができる。このうち、接合部7a〜7c,8a〜8c同士がそれぞれ接合された状態では、操作を加えなければ接合部7a〜7c,8a〜8cが分離しないので、胴部2に収容された被覆屑が不意に散乱することを防止可能である。また、被覆屑回収具1a〜1cは簡易な構造であるため、例えば使用済みの飲料用PETボトルを再利用する場合、わずかな加工のみで製造可能である。
被覆屑回収具1a〜1cにおけるこの他の効果は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0038】
なお、本実施例及びその変形例に係る被覆屑回収具1,1a〜1cの構造は本実施例に示すものに限定されない。例えば、胴部2は、PET以外の軽量かつ透明な材料で形成されても良く、被覆電線60の挿入及び剥ぎ取り状況を目視可能であれば多少着色されていても良い。また、胴部2を構成する蓋部5と底部6の容積は、必ずしも均等でなくて良い。
さらに、被覆屑回収具1aにおいて、ナット10cは必ずしも設けられなくても良い。また、被覆屑回収具1bにおいては、凸部11a,凹部11bは、接合部7b,8bに周設されるのではなく、それらの周面の一部に設けられても良い。同様に、被覆屑回収具1cにおける接触面12a,12bも、それらの周面の一部に設けられても良い。
【実施例2】
【0039】
本発明の実施の形態に係る実施例2の被覆屑回収具について、
図3乃至
図5を用いて詳細に説明する。
図3(a)及び
図3(b)は、それぞれ本発明の実施例2に係る被覆屑回収具を構成する連結体の側面図である。なお、
図1及び
図2で示した構成要素については、
図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、実施例2に係る被覆屑回収具13は、接合部7dと接合部8dが、コイルばね14を介して互いに連結されることで、コイルばね14の長さの範囲内で離隔可能に連結される。このコイルばね14は、接合部7d,8d同士を近接させる方向へ付勢する引きばねである。
また、コイルばね14の両端は、それぞれ接合部7d,8dに設けられる係止ピン15a,15bへそれぞれ係止される。これらのコイルばね14及び係止ピン15a,15bは、胴部2の外周面に、中心軸B(
図1参照)を挟んで対称的に計2箇所設けられる。この他の構成は、実施例1の第2の変形例に係る被覆屑回収具1bと同様である。
【0040】
続いて、実施例2に係る被覆屑回収具13の作用について詳細に説明する。本実施例の被覆屑回収具13においては、
図3(a)に示すように、接合部7dと接合部8dが接合する場合は、コイルばね14の付勢と、凸部11a及び凹部11bとによって、接合部7d,8dの接合が保持される。また、
図3(b)に示すように、接合部8dから接合部7dを引き出すことで凸部11aが凹部11bから外れ、接合部7d,8d同士が離隔される。しかし、コイルばね14によって接合部7d,8d同士が連結された状態が維持されている。この他の作用は、実施例1の第2の変形例に係る被覆屑回収具1bと同様である。
【0041】
以上説明したように、被覆屑回収具13によれば、接合部7d,8dの接合がコイルばね14等によって保持されるため、胴部2に被覆屑を確実に保持することが可能である。さらに、接合部7d,8d同士を離隔するためには、蓋部5(
図1参照)を引っ張るのみで良く、これにより容易に被覆屑を取り出すことができる。その後、蓋部5から手を放すと接合部7dが直ちに接合部8dの方へ引き戻される。したがって、実施例1に係る被覆屑回収具1と比較すると、被覆屑回収具13の方が作業性が良好である。
また、接合部7d,8d同士が離隔した場合にもこれらが連結された状態が常に維持されていることから、例えば胴部2を傾斜させて被覆屑を取り出す場合等に、接合部7dが地面に落下することを防止できる。この他の効果は、実施例1の第2の変形例に係る被覆屑回収具1bと同様である。
【0042】
続いて、実施例2に係る第1の変形例について、
図4を用いて詳細に説明する。
図4(a)及び
図4(b)は、それぞれ本発明の実施例2に係る被覆屑回収具の第1の変形例である。なお、
図1乃至
図3で示した構成要素については、
図4においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4(a)に示すように、本実施例の第1の変形例に係る被覆屑回収具13aは、接合部7eと接合部8eが、連結体16を介して互いに連結されることで、連結体16の長さの範囲内で離隔可能に連結される。この連結体16は、接合部8eと同一のPETより形成され、接合部8eから嵌合部4と反対方向へ突出する略短冊状をなしている。さらに、連結体16の先端部には、接合部8eの半径方向に沿って外側へ突出する先端突起16aが備えられる。この連結体16は、胴部2の中心軸Bを挟んで対称的に計2箇所設けられる。
また、接合部7eには、係止溝17が、胴部2の中心軸Bを挟んで対称的に計2箇所設けられる。この係止溝17は、導入部3の方向へ略J字状に切り欠かれており、最も奥まった部分に先端突起16aが係止される係止端17aが形成される。なお、接合部7e,8eにそれぞれ螺合部は設けられていない。この他の構成は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0043】
続いて、被覆屑回収具13aの作用について詳細に説明する。
図4(b)に示すように、被覆屑回収具13aにおいては、連結体16が係止溝17へ挿入された後、先端突起16aが係止端17aに係止されるよう、蓋部5を胴部2の中心軸Bを中心として回動させると、接合部7eと接合部8eが接合される。また、接合部7eと接合部8eの分離は、上記と逆の手順で行われる。この他の作用は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0044】
以上説明したように、被覆屑回収具13aによれば、蓋部5を回動させるという簡易な操作で、被覆屑を胴部2から取り出したり、その後に接合部7e,8e同士を連結することができる。よって、被覆屑回収具13と同様に、作業性が良好である。この他の効果は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0045】
さらに、本発明の実施例2の変形例に係る被覆屑回収具について、
図5を用いて詳細に説明する。
図5は、本発明の実施例2に係る被覆屑回収具の第2の変形例である。なお、
図1乃至
図4で示した構成要素については、
図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5に示すように、実施例2の第2の変形例に係る被覆屑回収具13bは、接合部7fと接合部8fが、弾性体18を介して互いに連結されることで、弾性体18の長さの範囲内で離隔可能に連結される。接合部7f,8fにそれぞれ螺合部は設けられておらず、接合部7fの内側に接合部8fを押し込むことで、重複部Cが形成される。なお、弾性体18は、リング状に形成されたゴム材である。この他の構成は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0046】
続いて、被覆屑回収具13bの作用及び効果について詳細に説明する。被覆屑回収具13bにおいては、重複部Cが形成された後、弾性体18が導入部3と嵌合部4へ掛止されることで、接合部7fと接合部8fの接合が強化される。また、弾性体18を取り外すことで、接合部7fと接合部8fの分離が可能な状態となる。
すなわち、被覆屑回収具13bによれば、接合部7f,8f同士の接合及び分離を極めて容易に行うことができる。また、実施例1及びその変形例に係る被覆屑回収具1,1a〜1c、実施例2及びその変形例に係る被覆屑回収具13,13aと比較して、最も簡易な構成であるため、速やかな導入が可能となる。この他の作用及び効果は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0047】
なお、本実施例及びその変形例に係る被覆屑回収具13,13a,13bの構造は本実施例に示すものに限定されない。例えば、被覆屑回収具13,13aでは、コイルばね14及び係止ピン15a,15bと、連結体16及び係止溝17は、それぞれ胴部2の中心軸Bを挟んで対称的に計2箇所以上設けられても良い。また、被覆屑回収具13の接合部7d,8dに、凸部11a及び凹部11bの代わりに、接触面12a,12bが設けられても良い。さらに、被覆屑回収具13a,13bでは、凸部11a及び凹部11b、または接触面12a,12bが設けられても良い。
【実施例3】
【0048】
本発明の実施の形態に係る実施例3の被覆屑回収具について、
図6を用いて詳細に説明する。
図6(a)及び
図6(b)は、それぞれ本発明の実施例3に係る被覆屑回収具及びその変形例である。なお、
図1乃至
図5で示した構成要素については、
図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6(a)に示すように、皮剥ぎ器50には、アダプタ62の周面を貫通し、挿入軸55と連結されたアタッチメント56に対して先端を圧接可能にピン部材63が設けられている。
本実施例に係る被覆屑回収具19は、嵌合部4にピン部材63を係止可能に係止溝4bが形成されている。係止溝4bの横幅は、ピン部材63の軸体63aの直径と略同等である。
図6(b)に示すように、本実施例の変形例に係る被覆屑回収具19aは、嵌合部4に取付ネジ20が貫通する貫通孔4cが設けられる。取付ネジ20は、アダプタ62に対し嵌合部4を圧接することで嵌合部4がアダプタ62に固定される。被覆屑回収具19,19aにおけるこの他の構成は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0049】
次に、被覆屑回収具19,19aの作用について詳細に説明する。被覆屑回収具19においては、ピン部材63を引っ張ることで嵌入孔56a(
図6(b)参照)から軸体63aが抜き出されると、外周部63bも引き出され、アダプタ62の表面から隙間を空けて離隔した状態となる。この隙間において露出する軸体63aへ係止溝4bを係止し、その後ピン部材63を放すと、係止溝4bが外周部63bとアダプタ62の表面との間に挟持される。
そして、被覆屑回収具19aにおいては、取付ネジ20を回動させて貫通孔4cに沿って進入させると、取付ネジ20とアダプタ62との間に嵌合部4が挟持される。これにより、前述したように嵌合部4がアダプタ62に固定される。被覆屑回収具19,19aにおけるこの他の作用は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0050】
以上説明したように、被覆屑回収具19によれば、嵌合部4に係止溝4bを設けることによって、既設のピン部材63を利用して被覆屑回収具19を間接活線操作棒61に対し固定することができる。すなわち、嵌合部4の他に新たな取付用部材が不要であるため、経済的である。
また、被覆屑回収具19aによれば、取付ネジ20が嵌合部を圧接することにより、被覆屑回収具19aを間接活線操作棒61へ確実に固定可能である。したがって、剥ぎ取り作業中における被覆屑回収具19aの落下を防止することが可能である。被覆屑回収具19,19aにおけるこの他の効果は、実施例1に係る被覆屑回収具1と同様である。
【0051】
なお、本実施例及びその変形例に係る被覆屑回収具19,19aの構造は本実施例に示すものに限定されない。例えば、被覆屑回収具19において、ピン部材63を引っ張った場合に、外周部63bが軸体63aとともに引き出されずに、アダプタ62の表面へ密着している場合は、係止溝4bの横幅は外周部63bの直径と略同等としても良い。