(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給されたお湯を貯える抽出タンク内をお湯の流通を自在にして上下に仕切るセット部を前記抽出タンクから引き上げ、引き上げた前記セット部にだし汁を抽出するためのだしの原料を載せて前記抽出タンク内に戻す工程と、
前記抽出タンクにお湯を供給する工程と、
前記抽出タンク内における前記セット部の上方に位置する正圧室の底面と下方に位置する負圧室の側面とに隣接する房(へや)形状を有し、前記負圧室の側面に連絡する部分を入口とし、前記正圧室の底面に連絡する部分を出口として前記負圧室と前記正圧室とを連絡させる連絡路に介在し、中心部分に設けられた吸水口を前記入口に対面させて外周部分に備える複数個の吐出口を前記出口に対面させて前記連絡路の内部に回転自在に配置されたインペラを前記抽出タンクの外部に配置されたモータで駆動して回転させる循環ポンプを作動させ、前記モータに駆動されて回転する前記インペラが前記吸水口から前記負圧室のお湯を吸引して前記吐出口から吐出することで前記正圧室に戻す工程と、
前記抽出タンクに貯えられたお湯を抽出ヒータで加熱する工程と、
前記抽出タンクに貯えられたお湯の温度をだし汁温度センサで計測する工程と、
前記だし汁温度センサの計測値に応じて前記抽出ヒータのオンオフを制御し、前記抽出タンクに貯えられたお湯の温度を沸騰に至らない温度に維持する工程と、
を備えることを特徴とするだし汁製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず
図1(a)(b)に基づいて本実施の形態のだし汁製造装置によるだし汁製造方法の原理を説明し、続いて
図2〜
図10に基づいて実施の形態を詳しく説明する。
図11及び
図12には変形例を示す。
【0017】
説明の項目は次のとおりである。
1.だし汁製造方法の原理
2.実施の形態
(1)外観構成
(2)内部構成
(a)抽出タンク
(b)貯湯タンク
(c)保温タンク
(d)操作部(第1操作パネル)
(3)ハードウェア構成
(4)プログラム処理
(a)貯湯処理
(b)湯移送処理、抽出処理、撹拌処理、だし汁移送処理、白だし注ぎ出し処理
(b−1)湯移送処理
(b−2)抽出処理
(b−3)撹拌処理とだし汁移送処理
(b−4)白だし注ぎ出し処理
(c)だし汁保温処理、だし汁注ぎ出し処理
(c−1)だし汁保温処理
(c−2)だし汁注ぎ出し処理
(5)効果
(6)変形例
(a)変形例1
(b)変形例2
(c)変形例3
(d)変形例4
(e)変形例5
【0018】
1.だし汁製造方法の原理
本実施の形態のだし汁製造装置1は、供給されたお湯を貯える抽出タンク101を備え、この抽出タンク101の内部でだしの原料dmからだし汁を抽出する。だしの原料dmとしては、だしパックdm1(
図1(a)(b)、
図3、
図4、
図12参照)、又は削り節dm2(
図11参照)が用いられる。
【0019】
抽出タンク101はだしの原料dmを載せるセット部102を備えており、このセット部102によって内部を上下に仕切っている。セット部102の上方に位置するのが正圧室103、下方に位置するのが負圧室104である。セット部102は、だしの原料dmを収納する程度の深さを持った筐体状のもので、正圧室103と負圧室104との間でお湯を自由に流通させることができるように、底部に流通部材102aを備えている。流通部材102aは多孔質のもの、例えば金網やパンチメタルなどによって形成されている。
【0020】
だし汁製造装置1は、正圧室103と負圧室104とを管状の連絡路105で連絡し、連絡路105に循環ポンプP1(
図6も参照)を介在させている。循環ポンプP1は羽根車を回転させて遠心力によって流体を移送する遠心ポンプである。
【0021】
このような構成の下、だし汁を得るには、まずセット部102にだしの原料dmを載せる。
次いで抽出タンク101にお湯HWを供給する。お湯HWはだしの原料dmとセット部102の底部に設けた流通部材102aとを流通し、正圧室103と負圧室104とに満たされる。
抽出タンク101にお湯HWが満ちたならば、循環ポンプP1を作動させる。すると抽出タンク101内のお湯HWが循環ポンプP1の吸入側に吸引されて連絡路105に吸い込まれ、循環ポンプP1の吐出側から吐き出されて正圧室103に戻される。このとき負圧室104は負圧になるので、正圧室103から負圧室104にお湯HWが流れ込む。こうして負圧室104と正圧室103との間をお湯HWが循環する。
【0022】
この際、お湯HWが正圧室103から負圧室104に流通する過程でだしの原料dmの有効成分がお湯HWに溶け込み、だしが抽出される。そしてだしの原料dmの有効成分が溶け込んだお湯HWが正圧室103に戻され、再びだしの原料dmを通って負圧室104に流通するという循環を繰り返すことで、抽出されるだしの濃度が次第に高まっていく。
したがって、有効成分が十分に溶け出した濃度の高いだし汁が短時間のうちに抽出される。
【0023】
このように本実施の形態は負圧を利用した循環方式、いわば「負圧循環抽出方式」と呼ぶべき動作原理によってだし汁を製造する。負圧循環抽出方式は煮出し抽出方式と異なり、だしの抽出に際してだしの原料dmを煮出す必要がない。
これによって、
・濃度の高いだし汁を短時間で抽出することができる
という効果が得られる。
【0024】
とりわけだしパックを用いた場合にこの効果は絶大である。
何故ならば、煮出し抽出方式はお湯の対流を利用してだしの原料にお湯を巡らせながら徐々にだしを抽出することから、だしパックを用いた場合にはその内部までお湯が巡りにくく、だしの抽出までに長時間を要する。
これに対して負圧循環抽出方式では、負圧室104に発生する負圧を利用して正圧室103から負圧室104にお湯HWを引き込むので、だしパックdm1がセット部102の流通部材102aに吸着され、吸着されただしパックdm1の全面をお湯HWが通り抜ける。
このためだしパックdm1の内部まで万遍なくお湯HWを行き渡らせることができ、比較的短時間でだしを抽出することができるからである。
【0025】
その他にも、煮出し抽出方式と比較して、負圧循環抽出方式によるだしの抽出手法は、
・完成後のだし汁への灰汁(あく)の混入量が少ない
・吹きこぼれや煮つまりの心配がない
・風味が逃げにくい
という点で優れている。
【0026】
負圧循環抽出方式によるだしの抽出手法は、ドリップ抽出方式とも明確に異なる。
ドリップ抽出方式ではだしの原料(本実施の形態のだしの原料dmに相当)に一度だけしかお湯が通らない。このためお湯の流通に長い時間をかけたとしても、有効成分が十分に溶け出した濃度の高いだし汁を抽出しがたい傾向がある。
これに対して負圧循環抽出方式によるだしの抽出手法は、ドリップ抽出方式と比較しても、
・濃度の高いだし汁を短時間で抽出することができる
という効果を発揮する。
【0027】
ドリップ抽出方式のもう一つの問題は、だしの原料に対するお湯の流通に十分な時間をかけなければならないため、製造後のだし汁の温度が下がってしまうということである。
これに対して負圧循環抽出方式によるだしの抽出手法によれば、抽出タンク101の内部にヒータ(抽出ヒータH1)を設置することで、循環するだし抽出中のお湯HWを加熱することができる(
図6も参照)。そればかりか、抽出タンク101の内部に測温体(だし汁温度センサTS1)を設けてお湯HWの温度を計測し、計測結果に応じて抽出ヒータH1の駆動を断続すれば、循環するだし抽出中のお湯HWを一定の温度に管理することも可能となる(
図6も参照)。
図1(a)は負圧室104に抽出ヒータH1及びだし汁温度センサTS1を設置した一例、
図1(b)は正圧室103に抽出ヒータH1及びだし汁温度センサTS1を設置した一例をそれぞれ示す。
したがって負圧循環抽出方式によるだしの抽出手法によれば、
・製造後のだし汁が冷めてしまうことを防止し、高温に維持することができる
という効果も得られる。
【0028】
2.実施の形態
(1)外観構成
図2及び
図3に示すように、本実施の形態のだし汁製造装置1は、四隅の脚部11に支えられた板金製のハウジング12に各部を収納している。ハウジング12は上部ハウジング12aと下部ハウジング12bとからなり、ほぼ正立方体形状をした下部ハウジング12bに奥行き寸法が短い直方体形状の上部ハウジング12aを載せたような形状をしている。上部ハウジング12aは奥側にオフセット配置され、下部ハウジング12bの上面に空間を形成している。
【0029】
ハウジング12は前述した抽出タンク101を上部ハウジング12aに収納し、貯湯タンク201と保温タンク301とを下部ハウジング12bに収納している(
図3、
図4参照)。
貯湯タンク201はお湯HWを貯留するタンクである。ここに貯留されているお湯HWは、だし汁の抽出のために抽出タンク101に移送される。
保温タンク301は製造しただし汁を貯留するタンクである。ここに貯留されているだし汁は、必要に応じてどんぶりDなどに排出される。
【0030】
上部ハウジング12aの上面には、抽出タンク蓋13が着脱自在に取り付けられている。抽出タンク蓋13は抽出タンク101の上面を開閉自在に覆い、セット部102の出し入れを可能にする。
【0031】
図2及び
図3中、符号102bで示すものはセット部102の把手である。把手102bをつかんで引き上げることで、セット部102を抽出タンク101から取り出すことができる。取り出したセット部102は、抽出タンク蓋13に隣接して上部ハウジング12aの上面に配置されたトレイ14に置くことができ、この状態でだしの原料dmであるだしパックdm1の交換が可能である。
【0032】
図2及び
図3中、抽出タンク蓋13に隣接する管は貯湯タンク201から抽出タンク101にお湯HWを供給するための給湯管151であり、トレイ14の後方には掃除用に水道の蛇口15が用意されている。
【0033】
上部ハウジング12aの正面右側には、操作部としての第1操作パネル401が配置されている。第1操作パネル401については、
図5に基づいて後に詳しく述べる。
【0034】
第1操作パネル401の上方にあるのはだし注ぎ出しレバー411である。だし注ぎ出しレバー411は、水平軸を中心に揺動自在に取り付けられて手動で押し下げることができ、手を離せば図示しないスプリングの付勢力によって上方の初期位置に復帰する。このようなだし注ぎ出しレバー411を押し下げると、保温タンク301に貯留されているだし汁をだし注ぎ出し管302から注ぎ出すことができる。だし注ぎ出し管302は保温タンク301に連絡して設けられた配管であり、下部ハウジング12bの上面から上方に向けて延出し、上部がU字形状に屈曲して出口を下方に向けている。上部ハウジング12aはだし注ぎ出し管302の出口の下方に食器置き台16を用意し、食器置き台16に置かれた例えばどんぶりDにだし注ぎ出し管302からだし汁を排出できるようにしている。
【0035】
下部ハウジング12bの上面には、カバー17が被されている。カバー17は保温タンク301の開口した上面を開閉自在に覆う蓋であり、二重構造になっている。カバー17を取り外すと保温タンク301が露出し、そのメンテナンスが可能となる。
【0036】
カバー17の上部に配置されている管状のものは、だし汁移送管18である。だし汁移送管18はその根元部分を上部ハウジング12aの正面右下方に配置されただし排出コネクタ19に嵌め込まれて連結され、先端部のだし排出口18aをカバー17に形成した図示しない連結口に嵌め込んでいる。
【0037】
だし排出コネクタ19は抽出タンク101の下面に連結し、抽出タンク101に貯留されただし汁を自重に任せて排出させる構造物である。もちろん抽出タンク101からだし汁を垂れ流すわけにはいないので、通常はだし排出コネクタ19が内蔵するだし汁弁19a(
図4、
図11、
図12参照)によってだし汁の流出をせき止めている。だし汁弁19aはだし汁排出ハンドル19bを左右に回転させることによって開閉する。だし汁排出ハンドル19bを時計回りに回転させるとだし汁弁19aが閉じ、だし汁排出ハンドル19bを反時計回りに回転させるとだし汁弁19aが開く。
【0038】
だし汁移送管18はその根元部分をだし排出コネクタ19に連結させているため、だし汁排出ハンドル19bを反時計方向に回転させてだし汁弁19aを開くと、だし排出口18aからだし汁が排出される。だし排出口18aは前述したとおり、カバー17に形成した連結口(図示せず)に嵌め込まれており、この連絡口は保温タンク301に連絡している。したがってだし汁排出ハンドル19bを反時計方向に回転させてだし汁弁19aを開くと、抽出タンク101で製造されただし汁はだし汁移送管18を通って保温タンク301に移送される。
【0039】
もっとも、だし汁移送管18は蛇腹状に形成された柔軟構造を有している。このためカバー17に形成した連絡口からだし排出口18aを取り外すことで、だし汁移送管18の可動範囲内であればどこでもだし汁を排出することが可能である。そこで本実施の形態では、下部ハウジング12bの正面右側に容器台20を設け、この容器台20に載せた容器Cにだし汁を排出できるようにしている。したがってだし汁移送管18は、容器台20に載せた容器Cの真上に排出口18aを位置付けることができる長さに形成されている。
【0040】
ところで容器台20であるが、これは折り畳み式となっている。
つまり容器台20は容器Cを載せる台座20aとこれを支えるストッパ20bとからなり、これらの台座20aとストッパ20bとは、それぞれの上縁が水平軸周りに回転自在となるように下部ハウジング12bのフロントパネルに取り付けられている。
台座20a及びストッパ20bは、下部ハウジング12bのフロントパネルに沿う状態が折り畳まれた状態であり、容器台20の不使用時には折り畳まれた状態にされている。
この状態から台座20aを回転させて水平状態まで起こし、ストッパ20bを45度程度回転させて起こすと、台座20aにストッパ20bが引っ掛かり、台座20aをその状態に維持することが可能となる。この状態が容器台20の使用状態である。
【0041】
下部ハウジング12bの正面には、左上方位置に操作部としての第2操作パネル421が配置されている。第2操作パネル421には電源スイッチ422が配置され、操作表示部423が設けられている。
電源スイッチ422はだし汁製造装置1全体の給電をオンオフするためのスイッチである。電源スイッチ422が投入されている限り、電子部品に対する必要最小限の給電が行われる。
操作表示部423は、「(3)ハードウェア構成」の項目で後述する保温用調温ユニット553(
図6参照)の一部をなす部品で、保温タンク301が貯留するだし汁の温度を設定したり表示したりする。
【0042】
下部ハウジング12bには、正面左方に位置させて、だしゲージ21が設けられている。だしゲージ21は、水頭管21aとゲージ21bとを備え、保温タンク301に貯留されているだし汁の量を示す。
水頭管21aは、保温タンク301の下面から上面までの高さと位置を合わせて垂直に配置された透明な管であり、保温タンク301の内部と連結している。これによって保温タンク301と水頭管21aとは水頭位置が一致し、保温タンク301に貯留されただし汁の水位が水頭管21aに示される。
ゲージ21bは、水頭管21aの水頭位置を保温タンク301が貯留するだし汁の残量に置き換えて表示するゲージである。
したがって水頭管21aの水頭位置に対応するゲージ21bの値を読み取ることで、保温タンク301が貯留するだし汁の残量を知ることができる。
【0043】
下部ハウジング12bの正面左下方位置には、ドレイン操作口22が配置されている。
ドレイン操作口22から手を伸ばすことができる下部ハウジング12bの内部位置には、排水コック23が配置されている。排水コック23は図示しないレバーを備え、このレバーを捻ることによって、保温タンク301からだし汁を排水させる。
【0044】
(2)内部構成
図3及び
図4に示すように、本実施の形態のだし汁製造装置1は、上部ハウジング12aに抽出タンク101を収納して保持し、下部ハウジング12bに貯湯タンク201と保温タンク301とを収納して保持している。
【0045】
(a)抽出タンク
抽出タンク101は、前述したようにだしを抽出するためのタンクである。上部ハウジング12aの上面に設けた抽出タンク蓋13を開閉することで、抽出タンク101の上部からセット部102を出し入れすることができる。
【0046】
本実施の形態は、セット部102にセットするだしの原料dmとして、だしパックdm1を利用する。セット部102は底部に流通部材102aを備え、だしパックdm1を三個重ねて流通部材102aに載せた状態で収納する。もっともだしパックdm1を何個使うかは任意であり、一個でも二個でももちろん三個でもセット部102にセットすることができる。
【0047】
したがって抽出タンク101は、その内部をセット部102とだしパックdm1とによって上下に仕切られ、上方部分に正圧室103、下方部分に負圧室104をそれぞれ形成する。正圧室103と負圧室104との間の連絡空間にはセット部102の外側面が隙間なく嵌まり込み、正圧室103と負圧室104とを分断している。
【0048】
この場合に重要なことは、セット部102が正圧室103と負圧室104とをどの程度仕切るのかということである。
本実施の形態では、セット部102の側壁102cを金属製の板状部材により形成し、流体(本実施の形態ではお湯HW)の流通を阻止するようにしている。つまりセット部102は上下面のみが開口し、開口する下面に流通部材102aを配置している。
そして流通部材102aをだしパックdm1によって完全に覆われる大きさに形成している。
したがって流通部材102aにだしパックdm1を載せた状態でセット部102を抽出タンク101内に配置すると、正圧室103と負圧室104とが完全に分断された状態になる。ということは、負圧室104と正圧室103との間にお湯HWを流通させると、お湯HWは必ずだしパックdm1のみを通り抜けることになる。その結果、短時間でだしパックdm1からだしを抽出することが可能となる。
【0049】
もっとも、流通するお湯HWに対してだしパックdm1は抵抗になるわけで、だしパックdm1の種類によってはお湯HWに与える抵抗が強すぎる場合が想定される。この場合には、例えばセット部102の側壁102cに孔を開けたり、流通部材102aの面積をだしパックdm1の面積よりも大きくしたりすることで、だしパックdm1の部分以外にもお湯HWの流通経路を形成するようにすればよい。あるいはセットするだしパックdm1の個数を調整するようにしてもよい。
セット部102が正圧室103と負圧室104とをどの程度仕切るかは、循環ポンプP1(
図4等参照)のパワーやだしパックdm1の種類などの各種要因を考慮して適宜設定する。
【0050】
こうしてセット部102によって仕切られた正圧室103と負圧室104とは、連絡路105によって連絡している。
図1(a)(b)では管状の連絡路105を例示したが、連絡路105は必ずしも管状である必要はない。
図4に示すように、本実施の形態の連絡路105は、正圧室103の底面と負圧室104の側面とを連絡させる房形状に形成されている。負圧室104の側面に連絡する部分が連絡路105の入口105aであり、正圧室103の底面に連絡する部分が連絡路105の出口105bである。
【0051】
連絡路105の入口105aには循環ポンプP1のインペラ106が配置され、その中心部分に設けられた吸水口106aを入口105aに対面させている。インペラ106は外周部分に複数個の吐出口106bを備え、これらの吐出口106bを連絡路105の出口105bに対面させている。
インペラ106は抽出タンク101の外側面に固定されたモータ107に駆動されて回転し、回転することによって連絡路105の入口105aからお湯HWを吸水口106aに引き込み、吐出口106bから吐出する。したがって循環ポンプP1を作動させることで、負圧室104から正圧室103へとお湯HWを移送することができる。
【0052】
図1(a)では抽出ヒータH1とだし汁温度センサTS1とを負圧室104に配置した一例を、
図1(b)ではそれらの抽出ヒータH1とだし汁温度センサTS1とを正圧室103に配置した一例をそれぞれ示した。
図3に示すように、本実施の形態では、抽出タンク101の底面下部に抽出ヒータH1を配置し、抽出タンク101が貯留するお湯HWを外部から加熱する。
図4では負圧室104の内部に抽出ヒータH1が配置されているように示しているが、これは模式的に示すものである。これに対して、だし汁温度センサTS1については
図1(a)に示す一例と同様に、負圧室104の内部に配置している。
【0053】
抽出タンク101は四つの水位センサS1〜S4を備えている。
水位センサS1は、抽出タンク101に6リットルのお湯HWが貯えられると反応するセンサである(
図3及び
図4参照)。
水位センサS2は、抽出タンク101に12リットルのお湯HWが貯えられると反応するセンサである(
図3及び
図4参照)。
水位センサS3は、抽出タンク101に18リットルのお湯HWが貯えられると反応するセンサである(
図3及び
図4参照)。
水位センサS4は、抽出タンク101にある程度の分量のお湯HWが貯えられる反応するとセンサである。空焚き検出用に用いられる(
図3参照)。
【0054】
前述したとおり、抽出タンク101で製造されただし汁はだし汁移送管18によって保温タンク301に移送され、あるいは容器Cに移される。このためだし汁移送管18が連結される排出コネクタ19の配置位置まで抽出タンク101内のだし汁を移送する必要がある。そのための構造として本実施の形態では、抽出タンク101の底部と排出コネクタ19との間を連絡管108で連絡している。したがってだし汁排出ハンドル19bを回転させて排出コネクタ19のだし汁弁19aを開けば、抽出タンク101に貯留されただし汁が自重で落下し、連絡管108、排出コネクタ19及びだし汁移送管18を通ってだし排出口18aから排出される。
このときのだし汁弁19aの開閉は、だし移送センサS10(
図6参照)によって検出される。だし移送センサS10としては、各種方式のものを用いることが可能である。例えば排出コネクタ19の内部に設けた流量センサ、だし汁排出ハンドル19bの開閉状態を検知するロータリスイッチなどをだし移送センサS10として用いることができる。
【0055】
(b)貯湯タンク
貯湯タンク201は、抽出タンク101に供給するお湯HWを貯留しておくタンクである。
【0056】
貯湯タンク201には水道水Wが給水される。そのための構造として、水道から貯湯タンク201に給水する給水管202が設けられ、この給水管202に給水電磁弁V1が介在して設けられている。したがって給水電磁弁V1を駆動して開けば、水道水Wが貯湯タンク201に流れ込む。
【0057】
貯湯タンク201には、供給された水道水Wを加熱してお湯HWにするヒータ(水加熱ヒータH2)が設けられ、この水加熱ヒータH2によって加熱したお湯HWの温度を測定する測温体(お湯温度センサTS2)が取り付けられている(
図6も参照)。
図3及び
図4に示すように、水加熱ヒータH2は貯湯タンク201の内部底面近くに配置されている。お湯温度センサTS2の配置位置も貯湯タンク201の内部である。
【0058】
貯湯タンク201は四つの水位センサS5〜S8を備えている。
水位センサS5は、貯湯タンク201に6リットル+αの水道水Wが貯えられると反応するセンサである(
図3及び
図4参照)。
水位センサS6は、貯湯タンク201に12リットル+αの水道水Wが貯えられると反応するセンサである(
図3及び
図4参照)。
水位センサS7は、貯湯タンク201に18リットル+αの水道水Wが貯えられると反応するセンサである(
図3及び
図4参照)。
水位センサS8は、貯湯タンク201にある程度の分量の水道水Wが貯えられる反応するとセンサである。空焚き検出用に用いられる(
図3参照)。
これらの水位センサS5〜S8には、例えばフロートスイッチを用いることができる。
【0059】
貯湯タンク201で湧かされて貯留されているお湯HWを抽出タンク101に移送するために、だし汁製造装置1は湯移送部152を備えている。湯移送部152は、貯湯タンク201の底部に連結する前述の給湯管151に移送ポンプP2を介在させて設けたものである。移送ポンプP2は例えば遠心ポンプであり、その作動によって貯湯タンク201が貯湯するお湯HWを吸い上げ、給湯管151を介して抽出タンク101に移送する。
【0060】
貯湯タンク201は更に、オーバーフロー管203を備えている。オーバーフロー管203は水位センサS7が反応する水位よりも更に上位の水位の位置にオーバーフロー口203aを開け、オーバーフロー口203aにまで達した水道水W(お湯HW)を外部に排水する。
【0061】
(c)保温タンク
保温タンク301は、抽出タンク101から移送されただし汁を貯留し、保温できるようにしたタンクである。
【0062】
保温タンク301には、貯留するだし汁を加熱して保温するヒータ(保温ヒータH3)が設けられ、この保温ヒータH3によって保温されているだし汁の温度を測定する測温体(保温センサTS3)が取り付けられている(
図6も参照)。保温ヒータH3は保温タンク301の底面下部に配置され、保温タンク301が貯留するだし汁を外部から加熱するようになっている。これに対して保温センサTS3は保温タンク301の内部に配置されている。
【0063】
前述したように、だし注ぎ出しレバー411を押し下げると、保温タンク301に貯留されているだし汁をだし注ぎ出し管302から注ぎだすことができる。そのための仕組みとしてだし汁製造装置1は、だし注ぎ出しスイッチ412とだし注ぎ出しポンプP3とを設けている(
図6参照)。だし注ぎ出しスイッチ412は、だし注ぎ出しレバー411を押し下げることでオンになるスイッチである。だし注ぎ出しポンプP3は、例えば遠心ポンプであり、保温タンク301の底面に形成した開口(図示せず)に給水口(図示せず)を連結させ、吐出口(図示せず)をだし注ぎ出し管302に連絡させている。したがってだし注ぎ出しレバー411が押し下げられると出し注ぎ出しスイッチ412がオンになり、これに応じてだし注ぎ出しポンプP3を作動させることで、保温タンク301に貯留されているだし汁をだし注ぎ出し管302に吸引してその出口より注ぎ出すことが可能となる。
【0064】
保温タンク301は水位センサS9を備えている。この水位センサS9は、保温タンク301の底部に配置され、保温タンク301にだし汁が供給されると反応するとセンサである。空焚き検出用に用いられる(
図3参照)。
【0065】
(d)操作部(第1操作パネル)
図5に示すように、第1操作パネル401は三つの領域に区分けされている。抽出準備領域401a、抽出領域401b、そして排だし領域401cである。
【0066】
抽出準備領域401aは、だしの抽出準備段階での操作を受け付け、その段階の情報を提供する領域である。
【0067】
操作を受け付けるために抽出準備領域401aが用意しているのは、切替スイッチ402である。この切替スイッチ402は、だし汁の抽出量を6リットル、12リットル、そして18リットルの三段階に切り替えるためのロータリスイッチである。その切替位置を視覚的に示すように、切替スイッチ402の切り替え位置には「6L」「12L」「18L」の切替表示402aが記されている。
【0068】
情報を提供するために抽出準備領域401aが用意しているのは、報知部としての三個の報知ランプ403(6Lランプ403a,12Lランプ403b,18Lランプ403c)である。
これらの報知ランプ403(6Lランプ403a,12Lランプ403b,18Lランプ403c)は、切替表示402aの「6L」「12L」「18L」の位置に対応させてそれぞれ配列され、貯湯タンク201でのお湯HWの準備状態を報知する。「(4)プログラム処理」の項目で詳しく述べるが、報知ランプ403a,403b,403cは点滅によってお湯HWが準備中であることを示し、点灯によってお湯HWの準備が整ったことを示す。
準備中であるかどうか、準備が整ったかどうかは、お湯HWの量と温度とで判断する。
【0069】
抽出領域401bは、だしの抽出段階及び撹拌段階での操作を受け付け、その段階の情報を提供する領域である。
【0070】
操作を受け付けるために抽出領域401bが用意しているのは、スタートボタン404である。スタートボタン404は、だしの抽出動作の開始を指示し、製造されただし汁とかえし汁との撹拌動作の開始を指示するスイッチである。
【0071】
情報を提供するために抽出領域401bが用意しているのは、だし抽出ランプ405及び撹拌ランプ406である。
だし抽出ランプ405は、スタートボタン404が投入されてだしの抽出動作中であることを点滅によって示し、だしの抽出動作が完了したことを点灯によって示す。
撹拌ランプ406は、スタートボタン404が投入されてだし汁とかえし汁との撹拌動作中であることを点滅によって示し、撹拌動作が完了したことを点灯によって示す。
【0072】
排だし領域401cは、抽出タンク101からだし汁を排出する段階の情報を提供する領域である。この排だし領域401cには、ハンドル開閉表示ランプ407が「ダシ排水後はハンドルを閉じること」という注意書きと共に設けられている。
ハンドル開閉表示ランプ407は、だし汁排出ハンドル19bを反時計方向に回転させてだし汁弁19aを開き、だし排出口18aからだし汁を排出させた場合、これを点滅によって示す。だし汁排出ハンドル19bを時計方向に回転させてだし汁弁19aを閉じると、ハンドル開閉表示ランプ407が消灯する。
【0073】
(3)ハードウェア構成
だし汁製造装置1は制御部501を備え、この制御部501によって各部を制御する。
制御部501は、各種演算処理を実行して各部を集中的に制御するCPU502にROM503とRAM504とEEPROM505が接続されて構成されている。
ROM503はデータを固定的に記憶する記憶媒体で、だし汁製造のためのコンピュータプログラムを格納している。
RAM504はデータを書き換え自在に記憶する記憶媒体で、ROM503が格納するコンピュータプログラムの実行に際してワークエリアとして利用される。
EEPROM505はデータを書き換え自在に記憶してその記憶内容を保存可能な記憶媒体で、例えば、
・負圧循環方式によるだし汁の抽出動作時間、つまり循環ポンプP1の稼働時間(
図8のフローチャート中のステップS217〜S218参照)
・だし汁とかえし汁との撹拌時間、つまり循環ポンプP1の稼働時間(
図9のフローチャート中のステップS225〜S226参照)
などを書き換え自在に記憶する。
このような制御部501には、タイマ506が接続している。
【0074】
抽出タンク101が貯留するお湯HW(だし汁)を循環させる循環ポンプP1、貯湯タンク201が貯留するお湯HWを抽出タンク101に移送する移送ポンプP2、及び保温タンク301が貯留するだし汁を注ぎ出させるためのだし注ぎ出しポンプP3は、ポンプ駆動回路511を介して制御部501に接続している。
ポンプ駆動回路511は、CPU502から送られてきた駆動信号に応じて循環ポンプP1、移送ポンプP2、及びだし注ぎ出しポンプP3を駆動する回路である。
【0075】
貯湯タンク201に水道水Wを供給するための給水電磁弁V1は、バルブ駆動回路521を介して制御部501に接続している。
バルブ駆動回路521は、CPU502から送られてきた駆動信号に応じて給水電磁弁V1を駆動する回路である。
【0076】
抽出タンク101内に配置された四つの水位センサS1〜S4、貯湯タンク201内に配置された四つの水位センサS5〜S8、それに保温タンク301内に配置された水位センサS9は、センサ入力回路531を介して制御部501に接続している。だし汁弁19aの開閉状態を検出するだし移送センサS10もセンサ入力回路531を介して制御部501に接続している。
センサ入力回路531は、水位センサS1〜S9及びだし移送センサS10が出力するアナログ信号を二値化してCPU502の入力ポートに入力する回路である。
先に述べたとおり、水位センサS1〜S9はそれぞれの水位に反応するセンサである。センサ入力回路531は、水位センサS1〜S9がそれぞれの水位に反応した場合、オン信号を出力するように回路を構成している。
【0077】
だし注ぎ出しレバー411の押し下げを検出するだし注ぎ出しスイッチ412と第1操作パネル401とは、入出力回路541を介して制御部501に接続している。
入出力回路541は、だし注ぎ出しスイッチ412と第1操作パネル401とから取り込んだアナログ信号を二値化してCPU502の入力ポートに入力する。
【0078】
だし汁製造装置1は、三つの調温ユニット551,552,553を備えている。抽出タンク101用の抽出用調温ユニット551、貯湯タンク201用の貯湯用調温ユニット552、そして保温タンク301用の保温用調温ユニット553である。
【0079】
抽出用調温ユニット551は、制御部として機能する制御回路を内蔵する調温器551aと駆動回路を内蔵する操作器551bとを備え、調温器551aの制御のもと、操作器551bに抽出ヒータH1を駆動させて抽出タンク101が貯留するお湯HW(だし汁)を加熱し、その温度をだし汁温度センサTS1によって計測し、その計測値が予め決められた温度になるように調温器551aが抽出ヒータH1をオンオフ制御するユニットである。
調温器551aはEEPROM(図示せず)を備え、「予め決められた温度」をEEPROMに書き換え自在に記憶する。したがって調温器551aを操作することで、調温する温度をEEPROMに自由に設定することができる。
もっとも「予めきられた温度」は、抽出タンク101が貯留するお湯HW(だし汁)が沸騰に至らない温度範囲で設定される。このような温度設定のための作業はユーザに任せるわけではなく、サービスマンによって行われる。
【0080】
貯湯用調温ユニット552は、制御部として機能する制御回路を内蔵する調温器552aと駆動回路を内蔵する操作器552bとを備え、調温器552aの制御のもと、操作器552bに水加熱ヒータH2を駆動させて貯湯タンク201が貯留する水道水Wを加熱し、その温度をお湯温度センサTS2によって計測し、その計測値が予め決められた温度になるように調温器552aが水加熱ヒータH2をオンオフ制御するユニットである。
調温器552aはEEPROM(図示せず)を備え、「予め決められた温度」をEEPROMに書き換え自在に記憶する。したがって調温器552aを操作することで、調温する温度をEEPROMに自由に設定することができる。
もっとも「予めきられた温度」は、貯湯タンク201が貯留する水道水Wが沸騰に至らない温度範囲で設定される。このような温度設定のための作業はユーザに任せるわけではなく、サービスマンによって行われる。
【0081】
保温用調温ユニット553は、制御部として機能する制御回路を内蔵する調温器553aと駆動回路を内蔵する操作器553bとを備え、調温器553aの制御のもと、操作器553bに保温ヒータH3を駆動させて保温タンク301が貯留するだし汁を加熱し、その温度を保温センサTS3によって計測し、その計測値が予め決められた温度になるように調温器553aが保温ヒータH3をオンオフ制御するユニットである。
調温器553aには第2操作パネル421に配置された操作表示部423が接続している。操作表示部423は表示領域を備え、この表示領域にだし汁の設定温度を大きく表示し、保温タンク301が貯留しているだし汁の現在の温度を小さく表示する。操作表示部423は入力ボタンも有しており、調温するだし汁の設定温度を入力ボタンによって入力することができる。
調温器553aはEEPROM(図示せず)を備え、「予め決められた温度」、つまり入力ボタンによって入力した設定温度をEEPROMに書き換え自在に記憶する。したがって操作表示部423に設けられた入力ボタンを操作することで、調温する温度をEEPROMに自由に設定することができる。この作業は操作表示部423の入力ボタンでの作業となるため、サービスマンのみならず、ユーザにも解放されている。
【0082】
(4)プログラム処理
制御部501は、ROM503に格納するコンピュータプログラムにしたがい、「貯湯処理」「湯移送処理」「抽出処理」「撹拌処理」「だし汁移送処理」「白だし注ぎ出し処理」「だし汁保温処理」「だし汁注ぎ出し処理」を実行する。これらの各処理のうち、「だし汁移送処理」「白だし注ぎ出し処理」以外の処理に際して、制御部501は「温度維持処理」も実行する。
【0083】
貯湯処理は、貯湯タンク201に水道水Wを給水する処理である(
図7参照)。
この際、給水された水道水Wを貯湯用調温ユニット552の設定温度まで加熱し、貯湯タンク201に貯えられたお湯HWの温度を沸騰に至らない予め決められた温度に維持する温度維持処理も実行される。
【0084】
湯移送処理は、第1操作パネル401のだし汁抽出動作の開始指示にしたがい移送ポンプP2を作動させ、貯湯タンク201から抽出タンク101の正圧室103に予め決められた分量のお湯を移送する処理である(
図8参照)。
この際、抽出タンク101に貯えられたお湯HWの温度を沸騰に至らない予め決められた温度に維持する温度維持処理も実行される。
【0085】
抽出処理は、抽出タンク101で負圧循環方式によるだし汁の製造を行うための処理である(
図8参照)。
この際、抽出タンク101に貯えられたお湯HWの温度を沸騰に至らない予め決められた温度に維持する温度維持処理も実行される。
【0086】
撹拌処理は、抽出タンク101内でだし汁とかえし汁とを撹拌して混ぜ合わせるための処理である(
図9参照)。
この際、抽出タンク101に貯えられたお湯HWの温度を沸騰に至らない予め決められた温度に維持する温度維持処理も実行される。
【0087】
だし汁移送処理は、抽出タンク101から保温タンク301に、だし汁の移送を行う処理である(
図9参照)。
【0088】
白だし注ぎ出し処理は、抽出タンク101から白だし(かえし汁を混合しないだし汁)の注ぎ出しを行うための処理である(
図9参照)。
【0089】
だし汁保温処理は、保温タンク301でだし汁の保温を行うための処理である(
図10参照)。
この際、保温タンク301に貯えられただし汁の温度を予め決められた温度に維持する温度維持処理も実行される。
【0090】
だし汁注ぎ出し処理は、保温タンク301からだし汁の注ぎ出しを行うための処理である(
図10参照)。
この際にも、保温タンク301に貯えられただし汁の温度を予め決められた温度に維持する温度維持処理が引き続き実行される。
【0091】
以下、それぞれの処理について、作業者による作業も交えながら説明する。
【0092】
まず、これらの処理を実行する前提として、あるいはこれらの処理と並列して、作業者はだしの原料dmであるだしパックdm1をだし汁製造装置1にセットする。抽出タンク蓋13を開け、把手102bを掴んでセット部102を抽出タンク101から引き上げ、所望の個数のだしパックdm1をセット部102の流通部材102aに載せる。そして把手102bを掴んでセット部102を抽出タンク101に戻し、抽出タンク蓋13を閉じればだしパックdm1のセット作業が完了する。
【0093】
(a)貯湯処理
図7のフローチャートに示すように、だし汁製造装置1の電源スイッチ422を投入すると、制御部501はイニシャライズを実行した後、給水電磁弁V1を開く(ステップS101)。これによって貯湯タンク201に水道水Wが給水される。
【0094】
このときCPU502は、切替スイッチ402の切り替え状態、つまり6リットル、12リットル、又は18リットルのうち何リットルのだし汁製造が選択されているのかを判定する(ステップS102〜S104)。
【0095】
6リットルが選択されていると判定した場合(ステップS102のYES)、CPU502は入出力回路541に信号を与え、第1操作パネル401の抽出準備領域401aに設けた報知ランプ403のうち、6Lランプ403aを点灯させる(ステップS106)。
12リットルが選択されていると判定した場合(ステップS103のYES)、CPU502は入出力回路541に信号を与え、第1操作パネル401の抽出準備領域401aに設けた報知ランプ403のうち、12Lランプ403bを点灯させる(ステップS107)。
18リットルが選択されていると判定した場合(ステップS104のYES)、CPU502は入出力回路541に信号を与え、第1操作パネル401の抽出準備領域401aに設けた報知ランプ403のうち、18Lランプ403cを点灯させる(ステップS108)。
切替スイッチ402の切り替え状態が6リットル、12リットル、又は18リットルのいずれでもなければエラーと推定されるので、エラー処理を実行する(ステップS105)。
【0096】
こうして報知ランプ403を点滅させることで、お湯HWの準備中であることを作業者に示すことができる。
【0097】
ついでCPU502は、水位センサS8がオンになったこと、つまり空焚きの心配がなくなったことを判定したならば(ステップS109のYES)、貯湯用調温ユニット552に調温開始指示を与える(ステップS110)。
【0098】
これに応じての貯湯用調温ユニット552の調温器552aは操作器552bに駆動命令を与え、水加熱ヒータH2を駆動させる。すると水加熱ヒータH2は貯湯タンク201に貯留されている水道水Wを加熱し、お湯HWにする。このとき調温器552aは、お湯HWの温度をお湯温度センサTS2によって測定し、貯湯用調温ユニット552の設定温度に達したら水加熱ヒータH2の駆動を停止し、温度が下がったら再び水加熱ヒータH2を駆動するという処理を繰り返す。つまり調温動作を実行し、貯湯タンク201が貯留するお湯HWの温度を予め設定された既定の温度に維持するわけである。
こうして貯湯タンク201に貯えられたお湯HWの温度を沸騰に至らない予め決められた温度に維持する温度維持処理が実行される。
【0099】
貯湯用調温ユニット552の調温器552aが調温動作を実行している間にも、CPU502は再び切替スイッチ402の切り替え状態、つまり6リットル、12リットル、又は18リットルのうち何リットルのだし汁製造が選択されているのかを判定する(ステップS111〜ステップS113)。
【0100】
6リットルが選択されていると判定した場合(ステップS111のYES)、CPU502は水位センサS5の状態を判定し、オンになったならば(ステップS114のYES)、給水電磁弁V1を閉じるようにバルブ駆動回路521に信号を与える(ステップS114)。これによって6リットル+αの分量の水道水Wが貯湯タンク201に貯留される。
12リットルが選択されていると判定した場合(ステップS112のYES)、CPU502は水位センサS6の状態を判定し、オンになったならば(ステップS115のYES)、給水電磁弁V1を閉じるようにバルブ駆動回路521に信号を与える(ステップS115)。これによって12リットル+αの分量の水道水Wが貯湯タンク201に貯留される。
18リットルが選択されていると判定した場合(ステップS113のYES)、CPU502は水位センサS7の状態を判定し、オンになったならば(ステップS116のYES)、給水電磁弁V1を閉じるようにバルブ駆動回路521に信号を与える(ステップS116)。これによって18リットル+αの分量の水道水Wが貯湯タンク201に貯留される。
切替スイッチ402の切り替え状態が6リットル、12リットル、又は18リットルのいずれでもなければエラーと推定されるので、CPU502はエラー処理を実行する(ステップS105)。
【0101】
制御部501がこのような給水処理を実行している間にも、貯湯用調温ユニット552では調温処理を実行している。
そこでCPU502は、貯湯タンク201に貯留されている水道水Wが予め決められた規定の温度になっているかどうかを判定する(ステップS118)。この処理は、貯湯用調温ユニット552から送信される、お湯HWが規定の設定温度になったかどうかの信号を受け取ることによって行われる。
【0102】
貯湯タンク201に貯留されている水道水Wが予め決められた規定の温度になっていると判定した場合(ステップS118のYES)、お湯HWの準備が整ったことになるので、CPU502はいままで点滅させていた報知ランプ403の状態を点滅から点灯に変更する(ステップS119)。つまり6Lランプ403aを点滅させていたのであればこれを点灯状態にし、12Lランプ403bを点滅させていたのであればこれを点灯状態にし、18Lランプ403cを点滅させていたのであればこれを点灯状態にするわけである。
これによって作業者は、お湯HWの準備が整ったことを知ることができる。
【0103】
その後CPU502は、給水許可宣言(
図8のフローチャート中のステップS216参照)の有無の判定に待機し(ステップS120)、給水許可がなされた場合には(ステップS120のYES)、給水電磁弁V1を開く(ステップS121)。給水許可がなされる状況では、貯湯タンク201に貯留されていたお湯HWが抽出タンク101に移送されて消費され、貯湯タンク201内には僅かな分量のお湯HWしか残っていないからである。
【0104】
給水電磁弁V1を開く処理を実行したCPU502は、切替スイッチ402の切り替え状態、つまり6リットル、12リットル、又は18リットルのうち何リットルのだし汁製造が選択されているのかを判定するステップS111〜S113の処理にリターンする。
これによって貯湯タンク201には再び水道水Wが給水されて加熱され、切替スイッチ402によって選択された規定の分量のお湯HWが貯えられ、だし汁抽出の準備が整えられる。
【0105】
(b)湯移送処理、抽出処理、撹拌処理、だし汁移送処理、白だし注ぎ出し処理
作業者は、第1操作パネル401の報知ランプ403の状態を見ることで、お湯HWの準備が整っているかどうかを一見して知ることができる。つまり切替スイッチ402の切り替えによって選択されている分量の報知ランプ403(6Lランプ403a、12Lランプ403b、又は18Lランプ403c)が点滅から点灯に変わっていれば、お湯HWの準備が整っていることがわかる。
そこでお湯HWの準備が整っていることを確認したならば、作業者は第1操作パネル401のスタートボタン404を押下する。
【0106】
CPU502は、
図7のフローチャートに示す貯湯処理とマルチタスクで
図8及び
図9に示す「湯移送処理」「抽出処理」「撹拌処理」「だし汁移送処理」「白だし注ぎ出し処理」を実行する。
【0107】
(b−1)湯移送処理
図8のフローチャートに示すように、CPU502はスタートボタン404の押下有無の判定処理に待機している(ステップS201)。
【0108】
スタートボタン404の押下(ステップS201のYES)を判定したCPU502は、稼動条件が充足されているかとどうか、つまり貯湯タンク201においてお湯HWの準備が整っているかどうかを判定する(ステップS202)。
【0109】
貯湯タンク201においてお湯HWの準備が整っているかどうかの判定は、
図7のフローチャート中、ステップS118でお湯HWが設定温度になっていると判定されたこと(ステップS118のYES)をもって行われる。
つまり制御部501は、
図7中のステップS118の判定結果をRAM504に一時的に記憶し、これを
図8のステップS202で参照するわけである。
【0110】
CPU502は、お湯HWの準備が整っておらず、稼動条件が充足されていないと判定した場合(ステップS202のNO)、スタートボタン404の押下を無効として扱い(ステップS203)、ステップS201の処理にリターンする。
つまり貯湯タンク201においてお湯HWの準備が整っていないのにも拘らずスタートボタン404が押された場合、この操作を無効とし、だし汁の抽出動作を開始しない。
【0111】
これに対してCPU502は、お湯HWの準備が整い、稼動条件が充足されていると判定した場合(ステップS202のYES)、第1操作パネル401の抽出領域401bに設けただし抽出ランプ405を点滅させ(ステップS204)、ポンプ駆動回路511に駆動信号を与えて移送ポンプP2を駆動する(ステップS205)。
これによって貯湯タンク201に貯留されているお湯HWが移送ポンプP2に吸引され、抽出タンク101に移送される。だし汁の抽出準備が始まるわけである。
だし汁の抽出準備が始まったことは、だし抽出ランプ405の点滅によって作業者に示される。
【0112】
ついでCPU502は、水位センサS4がオンになったこと、つまり空焚きの心配がなくなったことを判定したならば(ステップS206のYES)、抽出用調温ユニット551に調温開始指示を与える(ステップS207)。
【0113】
これに応じての抽出用調温ユニット551の調温器551aは操作器551bに駆動命令を与え、抽出ヒータH1を駆動させる。すると抽出ヒータH1は抽出タンク101に貯留されているお湯HWを加熱し、その温度を維持する。このとき調温器551aは、お湯HWの温度をだし汁温度センサTS1によって測定し、抽出用調温ユニット551の設定温度に達したら抽出ヒータH1の駆動を停止し、温度が下がったら再びだし抽出ヒータH1を駆動するという処理を繰り返す。つまり調温動作を実行し、抽出タンク101が貯留するお湯HWの温度を予め設定された既定の温度に維持するわけである。
こうして抽出タンク101に貯えられたお湯HWの温度を沸騰に至らない予め決められた温度に維持する温度維持処理が実行される。
【0114】
抽出用調温ユニット551の調温器551aが調温動作を実行している間にも、CPU502は切替スイッチ402の切り替え状態、つまり6リットル、12リットル、又は18リットルのうち何リットルのだし汁製造が選択されているのかを判定する(ステップS208〜S210)。
【0115】
6リットルが選択されていると判定した場合(ステップS208のYES)、CPU502は水位センサS1の状態を判定し、オンになったならば(ステップS212のYES)、移送ポンプP2の駆動を停止する(ステップS215)。これによって丁度6リットルの分量のお湯HWが貯湯タンク201に貯留される。
12リットルが選択されていると判定した場合(ステップS209のYES)、CPU502は水位センサS2の状態を判定し、オンになったならば(ステップS213のYES)、移送ポンプP2の駆動を停止する(ステップS215)。これによって丁度12リットルの分量のお湯HWが貯湯タンク201に貯留される。
18リットルが選択されていると判定した場合(ステップS210のYES)、CPU502は水位センサS3の状態を判定し、オンになったならば(ステップS214のYES)、移送ポンプP2の駆動を停止する(ステップS215)。これによって丁度18リットルの分量のお湯HWが貯湯タンク201に貯留される。
切替スイッチ402の切り替え状態が6リットル、12リットル、又は18リットルのいずれでもなければエラーと推定されるので、CPU502はエラー処理を実行する(ステップS211)。
【0116】
ステップS212、ステップS213、又はステップS214の段階に至ると、必要な分量のお湯HWが貯湯タンク201から抽出タンク101に移送される。
そこでCPU502は、給水許可を宣言する(ステップS216)。
するとだし汁抽出処理(
図8及び
図9のフローチャート)とマルチタスクで実行されている
図7のフローチャートに示す貯湯処理において、CPU502は給水許可宣言ありと判定し(
図7のフローチャート中のステップS120のYES)、給水電磁弁V1を開く(
図7のフローチャート中のステップS121)。これによって貯湯タンク201に対する給水が再び開始され、いずれお湯HWの準備が整うことになる。
【0117】
(b−2)抽出処理
必要な分量のお湯HWが貯湯タンク201から抽出タンク101に移送されたならば(ステップS215参照)、CPU502はポンプ駆動回路511に駆動信号を出力し、循環ポンプP1を駆動する(ステップS217)。
すると抽出タンク101内のお湯HWが循環ポンプP1の吸入側に吸引されて連絡路105に吸い込まれ、循環ポンプP1の吐出側から吐き出されて正圧室103に戻される。このとき負圧室104は負圧になるので、正圧室103から負圧室104にお湯HWが流れ込む。こうして負圧室104と正圧室103との間をお湯HWが循環する。
【0118】
この際、お湯HWが正圧室103から負圧室104に流通する過程でだしの原料dmの有効成分がお湯HWに溶け込み、だしが抽出される。そしてだしの原料dmの有効成分が溶け込んだお湯HWが正圧室103に戻され、再びだしの原料dmを通って負圧室104に流通するという循環を繰り返すことで、抽出されるだしの濃度が次第に高まっていく。
したがって、有効成分が十分に溶け出した濃度の高いだし汁が短時間のうちに抽出される。
【0119】
このような負圧循環方式のだし汁抽出動作は、予め決められた時間のタイムアップまで実行される(ステップS218)。
つまりCPU502は、循環ポンプP1を駆動してのだし汁抽出動作(ステップS217)の開始後、経過時間をタイマ506でカウントし、EEPROM505に設定されている予め決められた時間のタイムアップを監視する。そしてタイムアップを判定したならば(ステップS218のYES)、循環ポンプP1の駆動を停止する(ステップS219)。こうしてだし汁抽出動作が完了する。
そこでCPU502は、第1操作パネル401の抽出領域401bで点滅しているだし抽出ランプ405を点灯状態に状態遷移させ(ステップS220)、だし汁の抽出動作の完了を作業者に知らせる。
こうしてだし汁の抽出動作が完了し、セット部102にセットしただしパックdm1の有効成分が溶け込んだだし汁が抽出される。このときだし汁は、抽出タンク101に貯留されている。
【0120】
制御部501のCPU502及び抽出用調温ユニット551の調温器551aは、このような抽出処理に際しても温度維持処理を継続して実行し、抽出タンク101に貯えられたお湯HW(だし汁)の温度を沸騰に至らない予め決められた温度に維持している。
【0121】
この段階で作業者には、二つの選択肢が与えられる。
【0122】
二つの選択肢のうちの一つは、だしパックdm1からの有効成分を抽出しただし汁にかえし汁を混ぜ合わせ、即座に使用可能なだし汁を完成させるという選択肢である(以下、「選択肢1」と呼ぶ)。
【0123】
選択肢1を選択する場合、作業者は四つの作業を行う。
【0124】
一つ目の作業は、抽出タンク101からだしパックdm1を取り出し、抽出タンク101内のだし汁にかえし汁を投入する作業である。
つまり抽出タンク蓋13を開け、把手102bを掴んでセット部102を抽出タンク101から取り出す。取り出したセット部102は、例えばトレイ14の上に置いておく。そして抽出タンク101内のだし汁にかえし汁を投入し、抽出タンク蓋13を閉じる。
この際、だし汁の抽出作業を続行する場合には、セット部102をトレイ14の上に置いたまま、だしパックdm1を新しいものに交換しておくとよい。
【0125】
二つ目の作業は、だし汁移送管18の排出口18aがカバー17に形成された図示しない連結口に嵌め込まれているかどうかを確認し、嵌め込まれていない場合には連絡口に嵌め込む作業である(
図2、
図3参照)。
つまりだし汁移送管18の排出口18aが保温タンク301に連絡していることを確認し、連絡していない場合には連絡させるわけである。
【0126】
一つ目の作業と二つ目の作業とは、どちらを先に行うべきということはなく、いずれを先に行ってもよい。
【0127】
三つ目の作業は、だし汁とかえし汁との撹拌を指示する作業である。
この作業は、第1操作パネル401の抽出領域401bに設けたスタートボタン404を押し下げることによって行う。
この作業は、一つ目の作業と二つ目の作業とを完了した後に行う。
【0128】
四つ目の作業は、かえし汁と混ぜ合わされただし汁を抽出タンク101から保温タンク301に移送する作業である。
この作業は、だし汁排出ハンドル19bを反時計方向に回転させ、排出コネクタ19のだし汁弁19aを開くことによって行う。すると抽出タンク101に貯留されているだし汁が連絡管108、排出コネクタ19、及びだし汁移送管18を通って自重で落下し、保温タンク301に移送される。
この作業は、三つ目の作業を完了した後に行う。
【0129】
二つの選択肢のうちもう一つの選択肢は、だしパックdm1から有効成分を抽出しただし汁を例えば容器Cに取り出し、いわゆる「白だし」として利用するという選択肢である(以下、「選択肢2」と呼ぶ)。
選択肢2を選択する場合、作業者は容器台20を用意して容器Cを載せ、だし汁移送管18の排出口18aを容器Cの上に位置付ける(
図2、
図3参照)。
そしてだし汁排出ハンドル19bを反時計方向に回転させ、排出コネクタ19のだし汁弁19aを開く。
すると抽出タンク101に貯留されているだし汁が連絡管108、排出コネクタ19、及びだし汁移送管18を通って自重で落下し、白だしとして容器Cに供給される。
【0130】
図9のフローチャートに示すように、CPU502はこのような二つの選択肢(選択肢1と選択肢2)のいずれが選択されるのかを見極めるために、だし汁排出ハンドル19bが開かれたかどうかの判定処理に待機している(ステップS221)。
だし汁排出ハンドル19bの開閉に応じただし汁弁19aの開閉はだし移送センサS10によって検知されるので、ステップS221の処理は、だし移送センサS10から送られる信号を参照することによって実行される。
【0131】
(b−3)撹拌処理とだし汁移送処理
選択肢1が選択される場合の処理の流れは次のとおりである。
【0132】
図9のフローチャートに示すように、ステップS221で、CPU502は移送センサS10の出力を参照し、だし汁排出ハンドル19bが開かれていないと判定(ステップS221のNO)した後、スタートボタン404の押下を判定する(ステップS222のYES)。
これによってCPU502は、選択肢1が選択された場合の処理である「撹拌処理」「だし汁移送処理」を実行する。
【0133】
≪撹拌処理≫
CPU502はまず、第1操作パネル401の抽出領域401bで点灯しているだし抽出ランプ405を消灯する(ステップS223)。
撹拌処理という新たな段階に入るからである。
【0134】
ついでCPU502は、第1操作パネル401の抽出領域401bに配置されている撹拌ランプ406を点滅させる(ステップS224)。
だし汁とかえし汁との攪拌中であることを作業者に知らせるためである。
【0135】
その後CPU502はポンプ駆動回路511に駆動信号を出力し、循環ポンプP1を駆動する(ステップS225)。
すると抽出タンク101が貯留するかえし汁を投入しただし汁が循環ポンプP1の吸入側に吸引されて連絡路105に吸い込まれ、循環ポンプP1の吐出側から吐き出されて正圧室103に戻される。この動作が繰り返されることで負圧室104と正圧室103との間をだし汁が循環し、だし汁とかえし汁とが撹拌されて混合される。
【0136】
このような撹拌動作は、予め決められた時間のタイムアップまで実行される(ステップS226)。つまりCPU502は、循環ポンプP1を駆動しての撹拌動作(ステップS225)の開始後、経過時間をタイマ506でカウントし、EEPROM505に設定されている予め決められた時間のタイムアップを監視する。そしてタイムアップを判定したならば(ステップS226のYES)、循環ポンプP1の駆動を停止する(ステップS227)。こうして撹拌動作が完了する。
そこでCPU502は、第1操作パネル401の抽出領域401bで点滅している撹拌ランプ406を点灯状態に状態遷移させ(ステップS228)、撹拌動作の完了を作業者に知らせる。
【0137】
制御部501のCPU502及び抽出用調温ユニット551の調温器551aは、このような抽出処理に際しても温度維持処理を継続して実行し、抽出タンク101に貯えられたお湯HW(だし汁)の温度を沸騰に至らない予め決められた温度に維持している。
【0138】
ここで作業者は、上記「四つ目の作業」、つまりかえし汁と混ぜ合わされただし汁を抽出タンク101から保温タンク301に移送する作業を行う。だし汁排出ハンドル19bを反時計方向に回転させ、排出コネクタ19のだし汁弁19aを開くわけである。
【0139】
≪だし汁移送処理≫
CPU502は移送センサS10の出力を参照し、だし汁排出ハンドル19bが開かれたかどうかを監視しており(ステップS229)、だし汁排出ハンドル19bが開かれたと判定すると(ステップS229のYES)、撹拌ランプ406を消灯する(ステップS230)。
だし汁移送処理という新たな段階に入るからである。
【0140】
ついでCPU502は、第1操作パネル401の排だし領域401cに配置されているハンドル開閉表示ランプ407を点滅させる(ステップS232)。
だし汁排出ハンドル19bが開いていること、正確に言うとだし汁排出ハンドル19bが反時計方向に回転してだし汁弁19aが開いていることを作業者に知らせ、だし汁排出ハンドル19bの閉じ忘れに対して注意を喚起するためである。
【0141】
その後CPU502は、抽出タンク101の調温動作を司る抽出用調温ユニット551の調温器551aに対して調温停止指示を与える(ステップS233)。
抽出タンク101が直に空になるため、抽出ヒータH1による空焚きを防止するためである。
【0142】
このとき作業者は、抽出タンク蓋13を開けて抽出タンク101内が空になったことを見届け、だし汁排出ハンドル19bを閉じる。つまりだし汁排出ハンドル19bを時計方向に回転し、だし汁弁19aを閉じる。
【0143】
CPU502はだし汁排出ハンドル19bが閉じられたことを確認したら(ステップS234のYES)、ハンドル開閉表示ランプ407を消灯し(ステップS235)、だし汁移送処理を完了する。
【0144】
(b−4)白だし注ぎ出し処理
選択肢2が選択される場合の処理の流れは次のとおりである。
【0145】
図9のフローチャートに示すように、ステップS221で、CPU502はだし汁排出ハンドル19bが開かれたと判定する(ステップS221のYES)。
これによってCPU502は、選択肢2が選択された場合の処理である「白だし注ぎだし処理」を実行する。
【0146】
ステップS221で、CPU502は移送センサS10の出力値を参照し、だし汁排出ハンドル19bが開かれたと判定すると(ステップS221のYES)、第1操作パネル401の抽出領域401bで点灯しているだし抽出ランプ405を消灯する(ステップS221)。
白だし注ぎ出し処理という新たな段階に入るからである。
【0147】
ついでCPU502は、第1操作パネル401の排だし領域401cに配置されているハンドル開閉表示ランプ407を点滅させる(ステップS232)。
だし汁排出ハンドル19bが開いていること、正確に言うとだし汁排出ハンドル19bが反時計方向に回転してだし汁弁19aが開いていることを作業者に知らせ、だし汁排出ハンドル19bの閉じ忘れに対して注意を喚起するためである。
【0148】
その後CPU502は、抽出タンク101の調温動作を司る抽出用調温ユニット551の調温器551aに対して調温停止指示を与える(ステップS233)。
抽出タンク101が直に空になるため、抽出ヒータH1による空焚きを防止するためである。
【0149】
このとき作業者は、抽出タンク蓋13を開けて抽出タンク101内が空になったことを見届け、だし汁排出ハンドル19bを閉じる。つまりだし汁排出ハンドル19bを時計方向に回転し、だし汁弁19aを閉じる。
【0150】
CPU502はだし汁排出ハンドル19bが閉じられたことを確認したら(ステップS234のYES)、ハンドル開閉表示ランプ407を消灯し(ステップS235)、白だし注ぎ出し処理を完了する。
【0151】
(c)だし汁保温処理、だし汁注ぎ出し処理
保温タンク301では、だし汁の保温と注ぎ出しとを行う。
【0152】
(c−1)だし汁保温処理
図10のフローチャートに示すように、CPU502は保温タンク301の底部に配置したと水位センサS9の出力を参照し、保温タンク301が空なのか(水位センサS9がオフの状態)、それとも保温タンク301にだし汁が貯留されているのか(水位センサS9がオンの状態)を見極める(ステップS301)。
【0153】
水位センサS9がオフの場合、つまり保温タンク301が空の場合には(ステップS301のNO)、保温用調温ユニット553が調温動作を実行していると空焚きの危険性が発生する。
そこでCPU502は、調温動作中であると判定した場合(ステップS302のYES)には保温用調温ユニット553に調温停止指示を与え(ステップS303)、調温動作中ではないと判定した場合(ステップS302のNO)にはそのままステップS301の判定処理にリターンする。
【0154】
水位センサS9がオンの場合、つまり保温タンク301にだし汁が貯留されている場合には(ステップS301のYES)、保温用調温ユニット553による調温動作が必要になる。
そこでCPU502は調温動作中であるかないかを判定し(ステップS304)、調温動作中でないならば(ステップS304のNO)保温用調温ユニット553に調温開始指示を与えた後(ステップS305)、調温動作中であるならばそのままステップS306の処理に進む。
【0155】
保温用調温ユニット553は、保温タンク301に貯留されただし汁を保温ヒータH3で加熱し、その温度を保温センサTS3で計測し、だし汁の温度が第2操作パネル421の操作表示部423によって設定された温度に維持されるよう、調温器553aが保温ヒータH3のオンオフを制御する。
したがって保温タンク301にだし汁が貯留されている場合(ステップS301のYES)、だし汁の温度は保温用調温ユニット553によって調温され、操作表示部423によって入力された設定温度に維持される。
このような保温用調温ユニット553は、CPU502からの調温開始指示に応じて調温動作を開始し、調温停止指示に応じて調温動作を停止する。
【0156】
ステップS306の処理は、作業者がだしの注ぎ出しを意図しているかどうかを見極める処理である。
つまりCPU502はステップS306で、だし注ぎ出しレバー411が押し下げられてだし注ぎ出しスイッチ412がオンになったかどうかを判定する。
【0157】
(c−2)だし汁注ぎ出し処理
CPU502は、だし注ぎ出しスイッチ412がオンであると判定すると(ステップS306のYES)、ポンプ駆動回路511に駆動信号を与え、だし注ぎ出しポンプP3を駆動する。これによって保温タンク301に貯留されているだし汁がだし注ぎ出しポンプP3に吸引され、だし注ぎ出し管302から注ぎ出される。
そこで食器置き台16にどんぶりDを置いておけば、だし注ぎ出し管302からどんぶりDにだし汁を注ぎ出すことができる。
【0158】
だし注ぎ出しレバー411は前述したように、押し下げた状態から手を離せば、スプリング(図示せず)の付勢力によって元の位置に復帰する。だし注ぎ出しレバー411が元の位置に復帰すればだし注ぎ出しスイッチ412がオフになる。
そこでCPU502は、だし注ぎ出しスイッチ412がオフになったことを判定すると(ステップS308のYES)、だし注ぎ出しポンプP3の駆動を停止し(ステップS309)、処理を終了する。
【0159】
(5)効果
本実施の形態によれば、前述したように、セット部102の流通部材102aに載せられだしパックdm1を何度もお湯が通過して循環するので、だしパックdm1から有効成分が十分に溶け出しただし汁を短時間のうちに抽出することができる。
この際、パックdm1よりもお湯HWの流通経路の下流側となる負圧室104に完成後のだし汁を貯留することができるので、完成しただし汁に対する灰汁(あく)の混入を防止することができる。
まただし汁の製造は密閉性の高い抽出タンク101内で行われるため、完成しただし汁から風味成分が飛んでしまいにくくなり、美味なだし汁を製造することが可能である。
風味を逃がさないということに関しては、抽出タンク101に貯えたお湯HW(製造過程のだし汁)の温度が沸騰に至らない温度に維持されることも一役買っている。
しかも沸騰に至らない温度維持という温度管理は、循環ポンプP1に生ずることがあるキャビテーションの防止にも貢献している。
こうしてだし汁の抽出過程においては、お湯HW(製造過程のだし汁)を加熱してその温度を予め決められた温度に維持しているため、だし汁の抽出過程でお湯HW(製造過程のだし汁)の温度を低下させてしまうことがなく、製造直後から適正な温度のだし汁を得ることができる。
この際、制御部として機能する抽出用調温ユニット551の調温器551aは、抽出タンク101に貯えられたお湯HW(だし汁)の設定温度を可変自在にすることから、例えば昆布だしなら60〜80℃、鰹だしなら90℃という具合に、だしの原料dmに適した最適な温度のお湯HWでだし汁を抽出することができ、風味が損なわれない美味なだし汁を製造することができる。
【0160】
その他、本実施の形態のだし汁製造装置1はいくつかの特有な構成を備え、このような構成によって技術的な効果を発揮する。以下、このような構成と効果とを列挙する。
【0161】
本実施の形態によれば、制御部として機能する抽出用調温ユニット551の調温器551aは、抽出タンク101に貯えられたお湯HW(だし汁)の設定温度を可変することができる。
したがって、例えば昆布だしなら60〜80℃、鰹だしなら90℃という具合に、だしの原料dmに適した最適な温度のお湯HWでだし汁を抽出することができ、美味なだし汁を製造することができる。
【0162】
本実施の形態によれば、貯湯タンク201と、水加熱ヒータH2と、湯移送部152と、操作部としての第1操作パネル401(スタートボタン404)と、制御部501とを備えている。
そして制御部501は、スタートボタン404を押下してのだし汁抽出動作の開始指示にしたがい(
図8のフローチャート中のステップS201参照)移送ポンプP2を作動させ、貯湯タンク201から正圧室103に予め決められた分量のお湯HWを移送する湯移送処理(
図8のフローチャート中のステップS205参照)と、お湯HWの移送後に循環ポンプP1を作動させ、だし汁を抽出する抽出処理(
図9のフローチャート中のステップS217参照)とを実行する。
したがって、抽出タンク101にお湯HWを導き入れる作業が不要となり、作業性が良好なばかりか安全性を向上させることができる。
【0163】
しかも制御部501は、お湯温度センサTS2の計測値に応じて水加熱ヒータH2のオンオフを制御し、貯湯タンク201に貯えられた水道水W(お湯HW)の温度を沸騰に至らない予め決められた温度に維持する温度維持処理も実行する。
したがって、抽出タンク101でのお湯HW(だし汁)の設定温度と貯湯タンク201での水道水W(お湯HW)の設定温度とを合わせておけば、貯湯タンク201から抽出タンク101にお湯HWを移送後、抽出タンク101でのだし汁抽出動作を速やかに完遂させ、その作業効率を高めることができる。
【0164】
本実施の形態によれば、制御部として機能する貯湯用調温ユニット552の調温器552aは、貯湯タンク201に貯えられた水道水W(お湯HW)の設定温度を可変することができる。
したがって、抽出タンク101でのお湯HW(だし汁)の設定温度が可変されたとしても、これに合わせて貯湯タンク201での水道水W(お湯HW)の設定温度を追従させることができる。
【0165】
本実施の形態によれば、情報を報知する報知部としての報知ランプ403(6Lランプ403a,12Lランプ403b,18Lランプ403c)を備え、制御部501は、貯湯タンク201に貯えられたお湯HWの温度が予め決められた温度になったことを報知ランプ403に報知させる。
したがって、だし汁抽出動作の開始指示(
図8のフローチャート中のステップS201参照)を与えるタイミングを作業者に知らせることができる。
【0166】
本実施の形態によれば、制御部501は、貯湯タンク201に貯えられたお湯の温度が予め決められた温度になったことを条件に、だし汁抽出動作の開始指示を有効にする。
したがって、貯湯タンク201でお湯HWの準備が整わないのにだし汁抽出動作が開始されてしまう不都合を未然に防止することができる。
【0167】
本実施の形態によれば、水道から貯湯タンク201に給水する給水管202に介在する給水電磁弁V1を備え、制御部501は給水電磁弁V1を制御し、製造するだし汁の量に応じた分量の水道水Wのみを貯湯タンク201に供給することで、湯移送処理に際して貯湯タンク201から正圧室103に予め決められた分量のお湯HWを移送する。
したがって、貯湯タンク201では必要最小限の水を沸かすことになるので、エネルギー効率を向上させることができる。
【0168】
本実施の形態によれば、制御部501は、第1操作パネル401(切替スイッチ402)でのだし汁抽出量を指定する指示に応じて製造するだし汁の量を複数段階に切り替える(
図7のフローチャート中のステップS111〜S117、
図8のフローチャート中のステップS208〜S215参照)。
したがって、そのときどきに応じた最適な量のだし汁を製造することができ、無駄を省くことができる。
【0169】
本実施の形態によれば、制御部501は、だし汁を抽出する抽出処理に際して、製造するだし汁の量に応じて予め決められた時間の経過に伴い循環ポンプP1の作動を停止させる。
したがって、作業者によるだし汁抽出時間の管理を要することなく、ということはつまりだし汁の製造に関する特別なノウハウを要求することなく、誰が作業を行っても最適な濃度の均質なだし汁をいつでも得ることができる。
【0170】
本実施の形態によれば、制御部501は、第1操作パネル401(スタートボタン404)によるだし汁とかえし汁との撹拌動作の開始指示に応じて循環ポンプP1を作動させ、製造されただし汁と抽出タンク101に後から投入されたかえし汁とを撹拌する撹拌処理を実行する。
したがって、だし汁抽出のためのメカニズム(循環ポンプP1)を利用して、だし汁とかえし汁とを撹拌することができる。
【0171】
本実施の形態によれば、制御部501は撹拌処理に際して、予め決められた時間の経過に伴い循環ポンプP1の作動を停止させる。
したがって、作業者による撹拌時間の管理を要することなく、だし汁とかえし汁とを十分に撹拌して混合することができる。
【0172】
(6)変形例
実施に際しては、各種の変形及び変更が可能である。
以下、いくつかの変形例を例示する。
【0173】
(a)変形例1
図11に基づいて、本実施の形態のだし汁製造装置1の変形例を説明する。
図1〜
図10に基づいて説明した部分と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0174】
本例は、だしの原料dmとして、だしパックdm1に代えて削り節dm2を用いた一例である。
そこでセット部102には、底部のみならず側部にまでまたがって流通部材102aが設けられている。この流通部材102aは、削り節dm2をセット部102に留めておく必要性から、きわめて目が細かいものが用いられる。
【0175】
(b)変形例2
図12に基づいて、本実施の形態のだし汁製造装置1の別の変形例を説明する。
図1〜
図10に基づいて説明した部分と同一部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0176】
本例は、貯湯タンク201に代えて、温水器251を利用した一例である。
温水器251は先止め式の電気温水器であり、その排湯口252を抽出タンク101の正圧室103に連絡している。
温水器251の排湯口252と抽出タンク101の正圧室103とを連絡させているのは配管161である。配管161には移送用電磁弁V2が介在しており、温水器251から抽出タンク101へのお湯HWの移送を制御している。移送用電磁弁V2はバルブ駆動回路521に接続され、制御部501にその制御が司られる。
【0177】
このように本例は温水器251を用いたために、貯湯タンク201とその周辺構造、例えば給水管202、給水電磁弁V1、水位センサS5〜S8、お湯温度センサTS2、水加熱ヒータH2、移送ポンプP2、及び給湯管151などが不要となっている。
また温水器251とその周辺構造物に対する制御は不要となるため、制御部501は
図7のフローチャートに示す処理を実行しない。
【0178】
図12では、温水器251を下部ハウジング12bに収納した一例を示しているが、実施に際しては、温水器251はどこに配置されていてもよい。例えばだし汁製造装置1のハウジング12の外部に温水器251を配置することも可能である。
【0179】
このような構造のものは、制御部501が移送用電磁弁V2を駆動して配管161を開閉することで、抽出タンク101に所望の分量のお湯HWを給水することができる(湯移送処理)。
この際、制御部501は、第1操作パネル401(切替スイッチ402)でのだし汁抽出量を指定する指示に応じて温水器251から正圧室103に移送するお湯の分量を複数段階に切り替えるようにすることも可能である(
図8のフローチャート中のステップS208〜S215参照)。これによって、そのときどきに応じた最適な量のだし汁を製造することができ、無駄を省くことができる。
【0180】
(c)変形例3
報知ランプ403による報知として、本実施の形態では、切替スイッチ402の切り替え状態によって選択された6リットル、12リットル、又は18リットルに対応する6Lランプ403a、12Lランプ403b、又は18Lランプ403cのみを点滅及び点灯させる例を示した。
【0181】
これに対して、実施に際してはこれに限定されず、切替スイッチ402の切り替え位置とは無関係に6Lランプ403a、12Lランプ403b、及び18Lランプ403cを点滅させたり、点灯させたりするようにしてもよい。例えば切替スイッチ402によって12リットルが選択されている場合であっても、お湯HWの準備中には6Lランプ403a、12Lランプ403b、及び18Lランプ403cのすべてを点滅させ、6リットルのお湯HWの準備が整った場合には6Lランプ403aを点滅から点灯に状態遷移させ、12リットルのお湯HWの準備が整った時点で12Lランプ403bも点滅から点灯に状態遷移させるような報知であってもよい。このとき18Lランプ403cは、点滅状態のまま維持しても、消灯させてもよい。
【0182】
また本実施の形態では、報知ランプ403a,403b,403cの点滅によってお湯HWが準備中であることを示し、点灯によってお湯HWの準備が整ったことを示す一例を示したが、実施に際してはこれに限定されない。例えばお湯HWの準備中には報知ランプ403a,403b,403cを消灯状態に維持するようにしてもよい。
【0183】
(d)変形例4
図7のフローチャート中のステップS118は、制御部501のCPU502が、お湯HWが規定の設定温度になったかどうかの信号を貯湯用調温ユニット552から受け取り、貯湯タンク201に貯留されている水道水Wが予め決められた規定の温度になっているかどうかを判定する処理を例示した。
【0184】
これに対して、実施に際してはこの処理に限定されず、貯湯タンク201に貯留されている水道水Wが予め決められた規定の温度になっているかどうかを判定するあらゆる処理を採用することが可能である。例えば制御部501のCPU502から貯湯用調温ユニット552に問い合わせを送り、貯湯用調温ユニット552から貯湯タンク201に貯留されている水道水Wが予め決められた規定の温度になっているかどうかの回答を得るようにしてもよい。あるいは貯湯用調温ユニット552からはお湯温度センサTS2による測定温度のデータのみを受け取り、貯湯タンク201に貯留されている水道水Wが予め決められた規定の温度になっているかどうかを制御部501が自ら判定するようにしてもよい。
【0185】
(e)変形例5
本実施の形態では、各種の機能や処理を実行するハードウェア資源として、制御部501(CPU502,ROM503,RAM504,EEPROM505)、タイマ506、抽出用調温ユニット551、貯湯用調温ユニット552、及び保温用調温ユニット553の利用を例示した。
【0186】
これに対して、実施に際してはこれに限定されず、同一又は類似の機能及び処理を実行できるものであれば、あらゆるハードウェア資源を用いることが可能である。