特許第5996806号(P5996806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996806
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】導電性粒子、導電材料及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/00 20060101AFI20160908BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20160908BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20160908BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   H01B5/00 B
   H01B1/00 B
   H01B1/00 G
   H01B1/00 M
   H01B1/22 A
   H01B5/00 G
   H01B5/00 M
   H01R11/01 501C
   H01R11/01 501E
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-528783(P2015-528783)
(86)(22)【出願日】2015年4月15日
(86)【国際出願番号】JP2015061580
(87)【国際公開番号】WO2015174195
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2015年9月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-98524(P2014-98524)
(32)【優先日】2014年5月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 暁舸
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭幸
(72)【発明者】
【氏名】上野山 伸也
(72)【発明者】
【氏名】永井 康彦
【審査官】 藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/015304(WO,A1)
【文献】 特開2010−027569(JP,A)
【文献】 特開2013−119594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/00
H01B 1/00
H01B 1/22
H01B 5/16
H01R 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備え、
前記基材粒子が、シリコーンアルコキシオリゴマーを用いた有機無機ハイブリッド粒子であり、
3mN荷重時における圧縮弾性率が5000N/mm以上、30000N/mm以下であり、
圧縮速度0.33mN/sで3mN荷重時の下記式より求められる反発エネルギーが0.8以上、1.6以下である、導電性粒子。
反発エネルギー=3mN×3mN荷重時における変位μm×3mN荷重時における圧縮回復率%
【請求項2】
前記導電部の外表面に突起を有する、請求項1に記載の導電性粒子。
【請求項3】
前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備える、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、導電材料。
【請求項5】
第1の接続対象部材と、
第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1〜のいずれか1項に記載の導電性粒子により形成されているか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている、接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材粒子の表面上に導電部が配置されている導電性粒子に関する。また、本発明は、上記導電性粒子を用いた導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー樹脂中に複数の導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用されている。
【0004】
上記異方性導電材料により、例えば、半導体チップの電極とガラス基板の電極とを電気的に接続する際には、ガラス基板上に、導電性粒子を含む異方性導電材料を配置する。次に、半導体チップを積層して、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電材料を硬化させて、導電性粒子を介して電極間を電気的に接続して接続構造体を得る。
【0005】
上記導電性粒子の一例として、下記の特許文献1には、重合体粒子と、重合体粒子の表面に導電性金属層とを有する導電性粒子が開示されている。上記重合体粒子の破壊点荷重は9.8mN(1.0gf)以下である。また、特許文献1では、上記重合体粒子の10%K値が7350N/mm(750kgf/mm)〜49000N/mm(5000kgf/mm)であってもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2012/020799A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のような従来の導電性粒子を用いて、電極間を接続して接続構造体を得た場合には、初期の接続抵抗が高くなったり、導通信頼性が低くなったりすることがある。例えば、接続構造体が85℃及び湿度85%の条件に500時間晒されたときに、電極間の接続抵抗が上昇することがあり、導通信頼性が低いことがある。
【0008】
また、近年、電子部品の小型化が進行している。このため、電子部品における導電性粒子により接続される配線において、配線が形成されたライン(L)の幅と、配線が形成されていないスペース(S)の幅とを示すL/Sが小さくなってきている。このような微細な配線が形成されている場合に、従来の導電性粒子を用いて導電接続を行うと、充分な導通信頼性を確保することが困難である。
【0009】
本発明の目的は、電極間を電気的に接続した場合に、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる導電性粒子を提供することである。
【0010】
また、本発明は、上記導電性粒子を用いた導電材料及び接続構造体を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の広い局面によれば、基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備え、3mN荷重時における圧縮弾性率が5000N/mm以上、30000N/mm以下であり、圧縮速度0.33mN/sで3mN荷重時の下記式より求められる反発エネルギーが0.8以上、1.6以下である、導電性粒子が提供される。
【0012】
反発エネルギー=3mN×3mN荷重時における変位μm×3mN荷重時における圧縮回復率%
【0013】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記基材粒子が、樹脂粒子、又は有機無機ハイブリッド粒子である。
【0014】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電部の外表面に突起を有する。
【0015】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備える。
【0016】
本発明の広い局面によれば、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、導電材料が提供される。
【0017】
本発明の広い局面によれば、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部が、上述した導電性粒子により形成されているか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている、接続構造体が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る導電性粒子では、基材粒子の表面上に導電部が配置されており、3mN荷重時における圧縮弾性率が5000N/mm以上、30000N/mm以下であり、圧縮速度0.33mN/sで3mN荷重時の反発エネルギーが0.8以上、1.6以下であるので、本発明に係る導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の詳細を説明する。なお、本明細書において「(
メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(
メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
【0021】
(導電性粒子)
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電部とを備える。
【0022】
本発明に係る導電性粒子では、3mN荷重時における圧縮弾性率が5000N/mm以上、30000N/mm以下である。本発明に係る導電性粒子では、圧縮速度0.33mN/sで3mN荷重時の下記式より求められる反発エネルギーが0.8以上、1.6以下である。
【0023】
反発エネルギー=3mN×3mN荷重時における変位μm×3mN荷重時における圧縮回復率%
【0024】
本発明に係る導電性粒子は、比較的硬質でありながら、低い反発エネルギーを示す。本発明に係る導電性粒子は、従来備えられていなかった新たな性質を備えている。
【0025】
本発明では、上述した構成が備えられているため、本発明に係る導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。例えば、本発明に係る導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した接続構造体に関して、接続構造体が85℃及び湿度85%の条件に500時間晒されたときに、電極間の接続抵抗が上昇するのを抑えることができる。
【0026】
上記のような効果が発現するのは、半導体チップ及びガラス基板などの接続対象部材が薄い場合などに、導電性粒子のスプリングバックによる抵抗値の上昇が抑えられるためである。
【0027】
また、本発明に係る導電性粒子では、比較的硬質であることなどから、導電接続後に電極に適度な圧痕を形成することができる。このことによっても、初期の接続抵抗を低くすることができ、更に導通信頼性を高めることができる。
【0028】
接続抵抗をより一層低くし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の3mN荷重時における圧縮弾性率(K値)は、好ましくは7000N/mm以上、より好ましくは9000N/mm以上、好ましくは25000N/mm以下、より好ましくは20000N/mm以下である。
【0029】
接続抵抗をより一層低くし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の上記反発エネルギーは好ましくは0.9以上、より好ましくは1.0以上、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下である。
【0030】
上記導電性粒子における3mN荷重時の変位、並びに上記導電性粒子における3mN荷重時の上記圧縮弾性率は、以下のようにして測定できる。
【0031】
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃で、最大試験荷重90mNを30秒かけて負荷する条件で、導電性粒子1個を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0032】
K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:荷重値、0.003(N)
S:導電性粒子が3mNで圧縮したときの圧縮変位(mm)
R:導電性粒子の半径(mm)
【0033】
上記圧縮弾性率は、導電性粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、導電性粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
【0034】
上記反発エネルギーを求めるための上記圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
【0035】
試料台上に導電性粒子を散布する。散布された導電性粒子1個について、微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃で、導電性粒子の中心方向に、導電性粒子に3mN負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重−圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0036】
圧縮回復率(%)=[(L1−L2)/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでのまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
【0037】
本発明に係る導電性粒子のような、比較的硬質でありながら、低い反発エネルギーを示す粒子は、基材粒子の重合条件及び導電部の硬度を適宜調整することにより得ることができる。
【0038】
基材粒子に関しては、例えば上記基材粒子が後述する金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、縮合反応条件、焼成時の酸素分圧、焼成温度、焼成時間の調整を行うことで、縮合反応時はラジカル重合反応を抑えつつ、焼成工程でラジカル重合反応が行われるようにすることができ、結果として比較的硬質でありながら、低い反発エネルギーを示す導電性粒子を得ることが可能な基材粒子を容易に得ることができる。
【0039】
導電部に関しては、導電部の材料である金属種、導電部の厚みを適宜調整することにより、上記導電粒子の物性が上記基材粒子の物性と相まって、所望の反発エネルギー物性を得ることができる。
【0040】
上記金属種としては、ニッケルを含む材料が好ましい例として挙げられ、ニッケルの他、ニッケルリン合金、ニッケルボロン合金、ニッケルとボロンとタングステンとの合金及びそれらの組合せが挙げられる。
【0041】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施形態のみに限定されず、本発明の特徴を損なわない程度に、以下の実施形態は適宜変更、改良等されてもよい。
【0042】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0043】
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、導電部3とを有する。導電部3は、基材粒子2の表面上に配置されている。第1の実施形態では、導電部3は、基材粒子2の表面に接している。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が導電部3により被覆された被覆粒子である。導電性粒子1では、導電部3は、単層の導電部(導電層)である。
【0044】
導電性粒子1は、後述する導電性粒子11,21とは異なり、芯物質を有さない。導電性粒子1は導電性の表面に突起を有さず、導電部3の外表面に突起を有さない。導電性粒子1は球状である。
【0045】
このように、本発明に係る導電性粒子は、導電性の表面に突起を有していなくてもよく、導電部の外表面に突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。また、導電性粒子1は、後述する導電性粒子11,21とは異なり、絶縁性物質を有さない。但し、導電性粒子1は、導電部3の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
【0046】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0047】
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、導電部12と、複数の芯物質13と、複数の絶縁性物質14とを有する。導電部12は、基材粒子2の表面上に基材粒子2に接するように配置されている。導電性粒子11では、導電部12は、単層の導電部(導電層)である。
【0048】
導電性粒子11は、導電性の表面に、複数の突起11aを有する。導電性粒子11は、導電部12は外表面に、複数の突起12aを有する。複数の芯物質13が、基材粒子2の表面上に配置されている。複数の芯物質13は導電部12内に埋め込まれている。芯物質13は、突起11a,12aの内側に配置されている。導電部12は、複数の芯物質13を被覆している。複数の芯物質13により導電部12の外表面が隆起されており、突起11a,12aが形成されている。
【0049】
導電性粒子11は、導電部12の外表面上に配置された絶縁性物質14を有する。導電部12の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質14により被覆されている。絶縁性物質14は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、本発明に係る導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。但し、本発明に係る導電性粒子は、絶縁性物質を必ずしも有していなくてもよい。
【0050】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0051】
図3に示す導電性粒子21は、基材粒子2と、導電部22と、複数の芯物質13と、複数の絶縁性物質14とを有する。導電部22は全体で、基材粒子2側に第1の導電部22Aと、基材粒子2側とは反対側に第2の導電部22Bとを有する。
【0052】
導電性粒子11と導電性粒子21とでは、導電部のみが異なっている。すなわち、導電性粒子11では、1層構造の導電部が形成されているのに対し、導電性粒子21では、2層構造の第1の導電部22A及び第2の導電部22Bが形成されている。第1の導電部22Aと第2の導電部22Bとは別の導電部として形成されている。
【0053】
第1の導電部22Aは、基材粒子2の表面上に配置されている。基材粒子2と第2の導電部22Bとの間に、第1の導電部22Aが配置されている。第1の導電部22Aは、基材粒子2に接している。従って、基材粒子2の表面上に第1の導電部22Aが配置されており、第1の導電部22Aの表面上に第2の導電部22Bが配置されている。導電性粒子21は、導電性の表面に、複数の突起21aを有する。導電性粒子21は、導電部22は外表面に、複数の突起22aを有する。第1の導電部22Aは外表面に、突起22Aaを有する。第2の導電部22Bは外表面に、複数の突起22Baを有する。導電性粒子21では、導電部22は、2層の導電部(導電層)である。
【0054】
以下、導電性粒子の他の詳細について説明する。
【0055】
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよい。上記シェルが無機シェルであってもよい。なかでも、金属粒子を除く基材粒子が好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子がより好ましい。本発明の効果により一層優れることから、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子が特に好ましい。
【0056】
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。上記基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。
【0057】
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
【0058】
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0059】
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
【0060】
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
【0061】
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
【0062】
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0063】
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましく、銅粒子ではないことが好ましい。
【0064】
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに基材粒子の表面に導電部を無電解めっきにより形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。上記基材粒子の粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子が充分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗がより一層低くなり、更に電極間の間隔が小さくなる。
【0065】
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
【0066】
上記基材粒子の粒子径は、1μm以上、5μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の粒子径が1〜5μmの範囲内であると、電極間の間隔が小さくなり、かつ導電部の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子が得られる。
【0067】
[導電部]
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。
【0068】
導電性粒子1,11のように、上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子21のように、導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
【0069】
上記基材粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0070】
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは520μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。また、導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に使用可能である。
【0071】
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には直径を意味し、導電性粒子が真球状以外の形状である場合には最大径を意味する。
【0072】
上記導電部の厚み(導電部全体の厚み)は、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みは、導電部が多層である場合には導電層全体の厚みである。導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
【0073】
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、上記最外層が金層である場合に、金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
【0074】
上記導電部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
【0075】
導電性を効果的に高める観点からは、上記導電性粒子は、ニッケルを含む導電部を有することが好ましい。ニッケルを含む導電部100重量%中、ニッケルの含有量は好ましくは50重量%以上、より好ましくは65重量%以上、より一層好ましくは70重量%以上、更に好ましくは75重量%以上、更に一層好ましくは80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記ニッケルを含む導電部100重量%中、ニッケルの含有量は好ましくは100重量%(全量)以下であり、99重量%以下であってもよく、95重量%以下であってもよい。ニッケルの含有量が上記下限以上であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、電極や導電部の表面における酸化被膜が少ない場合には、ニッケルの含有量が多いほど電極間の接続抵抗が低くなる傾向がある。
【0076】
上記導電部に含まれる金属の含有量の測定方法は、既知の種々の分析法を用いることができ、特に限定されない。この測定方法として、吸光分析法又はスペクトル分析法等が挙げられる。上記吸光分析法では、フレーム吸光光度計及び電気加熱炉吸光光度計等を用いることができる。上記スペクトル分析法としては、プラズマ発光分析法及びプラズマイオン源質量分析法等が挙げられる。
【0077】
上記導電部に含まれる金属の平均含有量を測定する際には、ICP発光分析装置を用いることが好ましい。ICP発光分析装置の市販品としては、HORIBA社製のICP発光分析装置等が挙げられる。
【0078】
上記導電部は、ニッケルに加えて、リン又はボロンを含んでいてもよい。また、上記導電部は、ニッケル以外の金属を含んでいてもよい。上記導電部において、複数の金属が含まれる場合に、複数の金属は合金化していてもよい。
【0079】
ニッケルとリン又はボロンとを含む導電部100重量%中、リン又はボロンの含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。リン又はボロンの含有量が上記下限及び上記上限以下であると、導電部の抵抗がより一層低くなり、上記導電部が接続抵抗の低減に寄与する。
【0080】
[芯物質]
上記導電性粒子は、導電性の表面に、突起を有することが好ましい。上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に、突起を有することが好ましい。上記突起は複数であることが好ましい。上記導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。さらに、上記導電性粒子の導電部の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。上記突起を有する導電性粒子の使用により、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、上記導電性粒子が表面に絶縁性物質を有する場合、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0081】
上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部が外表面に複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、導電性粒子の導電性の表面及び導電部の表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
【0082】
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成する途中段階で芯物質を添加する方法等が挙げられる。
【0083】
上記芯物質の材料としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。上記芯物質の材料である金属としては、上記導電材料の材料として挙げた金属を適宜使用可能である。
【0084】
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
【0085】
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
【0086】
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
【0087】
上記導電性粒子1個当たりの上記の突起の数は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。上記突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
【0088】
複数の上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
【0089】
[絶縁性物質]
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡をより一層防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。上記導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。
【0090】
電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
【0091】
上記絶縁性物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
【0092】
上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。上記絶縁性物質の平均径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。上記絶縁性粒子の平均径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁性物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
【0093】
上記絶縁性物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁性物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
【0094】
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電性粒子及び上記導電材料はそれぞれ、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
【0095】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。
【0096】
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0097】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0098】
上記導電材料及び上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分又は熱硬化性成分を含むことが好ましい。上記導電材料及び上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分を含んでいてもよく、熱硬化性成分を含んでいてもよい。上記導電材料及び上記バインダー樹脂は、熱硬化性成分を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、加熱により硬化可能な硬化性化合物と熱硬化剤とを含むことが好ましい。上記加熱により硬化可能な硬化性化合物と上記熱硬化剤とは、上記バインダー樹脂が硬化するように適宜の配合比で用いられる。
【0099】
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0100】
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。上記導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0101】
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の導通信頼性がより一層高くなる。
【0102】
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0103】
(接続構造体)
上記導電性粒子を用いて、又は上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0104】
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部が本発明の導電性粒子により形成されているか、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。
【0105】
図4に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
【0106】
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1を含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子11,21等を用いてもよい。
【0107】
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0108】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。上記接続構造体の製造方法の一例としては、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×10〜4.9×10Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
【0109】
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
【0110】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0111】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0112】
(実施例1)
攪拌機及び温度計が取り付けられた500mLの反応容器内に、0.13重量%のアンモニア水溶液300gを入れた。次に、反応容器内のアンモニア水溶液中に、メチルトリメトキシシラン3.8gと、ビニルトリメトキシシラン10.8gと、シリコーンアルコキシオリゴマーA(信越化学工業社製「X−41−1053」、メトキシ基とエトキシ基とエポキシ基と珪素原子に直接結合したアルキル基とを有する、重量平均分子量:約1600)0.4gとの混合物をゆっくりと添加した。撹拌しながら、加水分解及び縮合反応を進行させた後、25重量%アンモニア水溶液1.6mL添加した後、アンモニア水溶液中から粒子を単離して、得られた粒子を酸素分圧10−10atm、450℃(焼成温度)で2時間(焼成時間)焼成して、有機無機ハイブリッド粒子(基材粒子)を得た。得られた有機無機ハイブリッド粒子の粒子径は3.00μmであった。
【0113】
得られた有機無機ハイブリッド粒子を用いて、無電解めっき法により、有機無機ハイブリッド粒子の表面に、ニッケル層を形成した。ニッケル層の厚さは0.10μmであった。
【0114】
(実施例2〜5)
実施例1の導電性粒子の作製方法の条件を、表2の条件に変更して、有機無機ハイブリッド粒子を作製し、下記の表1に記載の物性値としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5の導電性粒子を得た。
【0115】
(実施例6)
実施例1と同様の基材粒子を用意した。パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記基材粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子を取り出した。次いで、基材粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(平均粒子径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された基材粒子を得た。芯物質が付着された基材粒子を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。基材粒子を上記芯物質が付着された基材粒子に変更して、下記の表1に記載の物性値としたこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0116】
(実施例7)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
【0117】
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
【0118】
実施例6で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。0.3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁性粒子が付着した導電性粒子を得た。
【0119】
走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は40%であった。
【0120】
(実施例8)
有機無機ハイブリッド粒子の粒子径を2.25μmに変更して、下記の表1に記載の物性値としたこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0121】
(実施例9)
有機無機ハイブリッド粒子の作製時に、メチルトリメトキシシランをフェニルトリメトキシシランに変更して、下記の表1に記載の物性値としたこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0122】
(実施例10)
有機無機ハイブリッド粒子の作製時に、シリコーンアルコキシオリゴマーAを有機置換基がメチル/アクリロイル基でアルコキシ基がメトキシ基であるシリコーンアルコキシオリゴマーB(信越化学工業社製「KR−513」)に変更して、下記の表1に記載の物性値としたこと以外は実施例1同様にして、導電性粒子を得た。
【0123】
(比較例1)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水804重量部と、25%アンモニア水1.2重量部と、メタノール336.6重量部とを入れ、攪拌下、滴下口から3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM503」)80重量部及びメタノール59.4重量部の混合液を添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を行って、メタクリロイル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を調製した。反応開始から2時間後、得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、粒子径を測定したところ、粒子径は2.25μmであった。
【0124】
次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノール(登録商標)NF−08」)の20%水溶液2重量部をイオン交換水80重量部で溶解した溶液に、シアヌル酸トリアリル(TAC)56重量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)1.6重量部を溶解した溶液を加え、乳化分散させて単量体成分の乳化液を調製した。
【0125】
得られた乳化液を、重合性ポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに攪拌を行った。乳化液の添加から1時間後、混合液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、重合性ポリシロキサン粒子が単量体を吸収して肥大化していることが確認された。
【0126】
次いで、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩の20%水溶液8重量部、イオン交換水20.6重量部を加え、窒素雰囲気下で反応液を65℃まで昇温させて、65℃で2時間保持し、単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、120℃で2時間真空乾燥させて重合体粒子である基材粒子を得た。得られた基材粒子の粒子径は3.00μmであった。
【0127】
上記基材粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0128】
(比較例2)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水680重量部、25%アンモニア水1.2重量部と、メタノール520重量部とを入れ、25℃に保持した。その中へ架橋性シラン系単量体であるビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM1003」)60重量部を滴下し、内温を25℃で15分保持した後、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノールNF−08」)の20%水溶液を32重量部添加し、さらに15分撹拌することにより、ビニルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を行い、ビニル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を作製した。得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、粒子径を測定したところ、粒子径は2.25μmであった。
【0129】
続いて、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノールNF−08」)の20%水溶液1.0重量部をイオン交換水42重量部で溶解した溶液に、DVB960(新日鐡住金化学社製、ジビニルベンゼン含量96重量%)24重量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)1.0重量部とを溶解した溶液を加えて、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により8000rpmで5分間乳化分散させて、モノマーエマルションを調製した。このモノマーエマルションをポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から1時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察したところ、特定ポリシロキサン粒子が単量体組成物を吸収して肥大化していることが確認された。
【0130】
次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持することによりラジカル重合を行った。反応液を冷却した後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、120℃で2時間乾燥し、さらに窒素雰囲気下350℃で3時間加熱処理を施すことで、重合体粒子である基材粒子を得た。得られた基材粒子の粒子径は3.00μmであった。
【0131】
(評価)
(1)3mN荷重時の圧縮弾性率(K値)、3mN荷重時の変位、及び圧縮回復率
導電性粒子の3mN荷重時の圧縮弾性率(K値)、導電性粒子の3mN荷重時の変位、及び導電性粒子の圧縮回復率を上述した方法で、23℃で測定した。導電性粒子の3mN荷重時の変位と導電性粒子の圧縮回復率とから反発エネルギーを算出した。
【0132】
(2)圧痕の状態
接続構造体の作製:
熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「EP−3300P」)10重量部と、熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP−4032D」)10重量部と、熱硬化性化合物である化合物(四日市合成社製「エポゴーセーPT」、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル)15重量部と、硬化剤である熱カチオン発生剤(三新化学社製 サンエイド「SI−60」)5重量部と、フィラーであるシリカ(平均粒子径0.25μm)20重量部とを配合し、さらに得られた導電性粒子を配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストを得た。
【0133】
L/Sが20μm/20μmのAl−Ti4%電極パターン(Al−Ti4%電極厚み1μm)を上面に有するガラス基板を用意した。また、L/Sが20μm/20μmの金電極パターン(金電極厚み20μm)を下面に有する半導体チップを用意した。
【0134】
上記ガラス基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ20μmとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。次に、異方性導電材料層の上面に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が170℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.5MPaの圧力をかけて、異方性導電材料層を170℃で硬化させ、接続構造体を得た。
【0135】
微分干渉顕微鏡を用いて、得られた接続構造体のガラス基板側から、ガラス基板に設けられた電極を観察し、導電性粒子が接触した電極の圧痕の形成の有無を観察した。圧痕の状態を下記の基準で判定した。
【0136】
[圧痕の状態の判定基準]
○○○:信頼性試験実施前(初期)に、50バンプ中、粒子圧痕が鮮明に出ない箇所が0箇所。信頼性試験実施後、50バンプ中、粒子圧痕が鮮明に出ない箇所が0箇所
○○:信頼性試験実施前(初期)に、50バンプ中、粒子圧痕が鮮明に出ない箇所が0箇所。信頼性試験実施後、50バンプ中、粒子圧痕が鮮明に出ない箇所が5箇所未満
○:信頼性試験実施前(初期)に、50バンプ中、粒子圧痕が鮮明に出ない箇所が0箇所。信頼性試験実施後、50バンプ中、粒子圧痕が鮮明に出ない箇所が5箇所以上、10箇所以下
△:信頼性試験実施前(初期)に、50バンプ中、粒子圧痕が鮮明に出ない箇所が1箇所以上、5箇所未満
×:信頼性試験実施前(初期)に、50バンプ中、粒子圧が痕鮮明に出ない箇所が5箇所以上
【0137】
なお、上記信頼性試験とは、上記接続構造体を気温85℃及び湿度85%の条件に500時間暴露することをいう。
【0138】
(3)初期の接続抵抗A
接続抵抗の測定:
上記(2)圧痕形成の有無の評価で得られた接続構造体の対向する電極間の接続抵抗Aを4端子法により測定した。また、初期の接続抵抗Aを下記の基準で判定した。
【0139】
[初期の接続抵抗Aの評価基準]
○○○:接続抵抗Aが2.0Ω以下
○○:接続抵抗Aが2.0Ωを超え、3.0Ω以下
○:接続抵抗Aが3.0Ωを超え、5.0Ω以下
△:接続抵抗Aが5.0Ωを超え、10Ω以下
×:接続抵抗Aが10Ωを超える
【0140】
(4)85℃及び湿度85%の条件に500時間晒された後の接続抵抗(長期信頼性)
上記(2)圧痕形成の有無の評価で得られた接続構造体を85℃及び湿度85%の条件に500時間放置した。放置後の接続構造体において、接続構造体の対向する電極間の接続抵抗Bを4端子法により測定した。また、85℃及び湿度85%の条件に500時間晒された後の接続抵抗を下記の基準で判定した。
【0141】
[85℃及び湿度85%の条件に500時間晒された後の接続抵抗の評価基準]
○○○:接続抵抗Bが接続抵抗Aの1倍未満
○○:接続抵抗Bが接続抵抗Aの1倍以上、1.5倍未満
○:接続抵抗Bが接続抵抗Aの1.5倍以上、2倍未満
△:接続抵抗Bが接続抵抗Aの2倍以上、5倍未満
×:接続抵抗Bが接続抵抗Aの5倍以上
【0142】
結果を下記の表1,表2に示す。
【0143】
【表1】
【0144】
【表2】
【符号の説明】
【0145】
1…導電性粒子
2…基材粒子
3…導電部
11…導電性粒子
11a…突起
12…導電部
12a…突起
13…芯物質
14…絶縁性物質
21…導電性粒子
21a…突起
22…導電部
22a…突起
22A…第1の導電部
22Aa…突起
図1
図2
図3
図4