(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも0.25重量%の、全炭素として表される、ポリカルボン酸+相当するカルボキシレ−トの含有率(C)を示すことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載される沈澱シリカ。
用いられる前記メチルグルタル酸の一部またはすべてが、酸無水物、エステル、アルカリ金属塩(カルボキシレ−ト)またはアンモニウム塩(カルボキシレ−ト)形態にある、請求項8〜12のいずれか一項に記載される方法。
請求項1〜7のいずれか一項に記載されるまたは請求項8〜14のいずれか一項に記載される方法によって得られる沈澱シリカの、エラストマー用の強化充填材としての使用。
請求項1〜7のいずれか一項に記載されるまたは請求項8〜14のいずれか一項に記載される方法によって得られる沈澱シリカの、ポリマー組成物での前記組成物の粘度を下げるための使用。
請求項17に記載される少なくとも1つの組成物を含む物品であって、この物品が、履物底、床仕上げ材、ガスバリア、難燃性材料、空中ケーブル用のローラー、家庭電化製品用のシール、液体またはガスパイプ用のシール、ブレーキシステムシール、パイプ、被覆材料、ケーブル、エンジンサポート、電池セパレーター、コンベヤーベルト、伝動ベルトまたは、タイヤからなる物品。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明によれば、濾過ケーキは液状化操作にかけられ、その操作中にアルミニウム化合物およびメチルグルタル酸が導入されるかまたはその操作後にメチルグルタル酸が導入される。そのとき得られた混合物(沈澱シリカの懸濁液)は好ましくは、その後乾燥させられる(一般に噴霧化により)。
【0008】
液状化操作は、流体化または液状化操作であり、その操作で濾過ケーキが液体とされ、沈澱シリカは再び懸濁液とされる。
【0009】
本発明の2つの第1代替形態では、この液状化操作は、好ましくは懸濁シリカの粒度の減少を普通はもたらす機械的作用(たとえば、連続攪拌槽をまたはコロイド型のミルを通過させることによる)に加えて、アルミニウム化合物、たとえばアルミン酸ナトリウムの、およびメチルグルタル酸の添加による化学作用に濾過ケーキをかけることによって実施される。液状化後に得られた懸濁液(特に水性懸濁液)は、比較的低い粘度を示す。
【0010】
第1の代替形態では、液状化操作中に、アルミニウム化合物およびメチルグルタル酸は、濾過ケーキに同時に添加(共添加)される。
【0011】
第2の代替形態では、液状化操作中に、アルミニウム化合物は、メチルグルタル酸の添加前に濾過ケーキに添加される。
【0012】
第3の(好ましい)代替形態では、この液状化操作は、好ましくは懸濁シリカの粒度の減少を普通はもたらす機械的作用(たとえば、連続攪拌槽をまたはコロイド型のミルを通過させることによる)に加えて、アルミニウム化合物、たとえばアルミン酸ナトリウムの添加による化学作用に濾過ケーキをかけることによって実施される。
【0013】
この第3代替形態では、メチルグルタル酸は、液状化操作後に、すなわち、砕解シリカケーキに添加される。
【0014】
液状化操作にかけられなければならない濾過ケーキは、いくつかの濾過ケーキの混合物からなることができ、前記ケーキのそれぞれは、上に得られた沈澱シリカの懸濁液の一部の濾過によって得られる。
【0015】
本発明によれば、メチルグルタル酸は好ましくは、別のカルボン酸の補充添加なしに使用される。
【0016】
本発明により用いられるメチルグルタル酸は、酸無水物、エステル、アルカリ金属(たとえばナトリウムもしくはカリウム)塩(カルボキシレ−ト)またはアンモニウム塩(カルボキシレ−ト)形態にあり得る。
【0017】
本発明に使用されるメチルグルタル酸は任意選択的に、それが濾過ケーキに添加される前に(特にそれを、たとえば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム型の塩基で前処理することによって)予め中和することができる。これは特に、得られるシリカのpHを調整することを可能にする。
【0018】
メチルグルタル酸は、水溶液の形態で用いることができる。
【0019】
本発明によれば、アルミニウム化合物は好ましくは、アルカリ金属アルミン酸塩から選択される。特に、アルミニウム化合物はアルミン酸ナトリウムである。
【0020】
本発明によれば、使用されるアルミニウム化合物(特にアルミン酸ナトリウム)の量は一般に、アルミニウム化合物対、濾過ケーキ中に存在する、SiO
2として表される、シリカの量の比が、0.20重量%〜0.50重量%、好ましくは0.25重量%〜0.45重量%であるようなものである。
【0021】
用いられるメチルグルタル酸の量は一般に、メチルグルタル酸対、(メチルグルタル酸の添加時に)濾過ケーキ中に存在する、SiO
2として表される、シリカの量の比が、0.75重量%〜2重量%、好ましくは1重量%〜1.75重量%、特に1.1重量%〜1.5重量%であるようなものである。
【0022】
本発明では、濾過ケーキは任意選択的に、洗浄することができる。
【0023】
液状化操作後にこのようにして得られた沈澱シリカは、その後乾燥させられる。この乾燥操作は、それ自体公知の任意の手段によって実施することができる。
【0024】
好ましくは、乾燥操作は、噴霧化によって実施される。この目的のために、任意の種類の好適な噴霧器、特に回転、ノズル、液体圧力または二流体噴霧器が用いられてもよい。一般に、濾過がフィルタープレスを用いて実施される場合、ノズル噴霧器が用いられ、濾過が真空フィルターを用いて実施される場合、回転噴霧器が用いられる。
【0025】
乾燥操作がノズル噴霧器を用いて実施される場合、そのとき得ることができる沈澱シリカは通常、実質的に球形のビーズの形態で存在する。
【0026】
この乾燥操作の終わりに、回収された生成物をミルにかけるという工程を実施することが任意選択的に可能であり;そのとき得ることができる沈澱シリカは一般に、粉末の形態で存在する。
【0027】
乾燥操作が回転噴霧器を用いて実施される場合、そのとき得ることができるシリカは、粉末の形態で存在することができる。
【0028】
最後に、上に示されたように乾燥させられた(特に回転噴霧器によって)またはミルにかけられた生成物は、たとえば、直接圧縮、湿式造粒(すなわち、水、シリカ懸濁液などの、バインダーを使っての)、押出または、好ましくは、乾式圧縮を含む集塊化工程に任意選択的にかけることができる。後者の技法が用いられる場合、圧縮を実施する前に、後者の中に含まれる空気を除去するためにそしてより一様な圧縮を提供するために粉状生成物を脱気すること(前圧縮または脱ガスとも言われる操作)が適切であると分かり得る。
【0029】
この集塊化工程によってそのとき得ることができる沈澱シリカは一般に、顆粒の形態で存在する。
【0030】
本発明の別の主題は、それによって沈澱シリカの懸濁液が得られる、シリケートと酸性化剤との間の沈澱反応、引き続くこの懸濁液の分離および乾燥を含むタイプの沈澱シリカの特有の製造方法であって、それが次の逐次工程:
− 沈澱反応が次の方式:
(i)反応に関与するシリケートの総量の少なくとも一部と電解質とを含む初期容器端部が形成され、前記初期容器端部におけるシリケートの濃度(SiO
2として表される)が100g/L未満であり、好ましくは、前記初期容器端部における電解質の濃度が19g/L未満であり、
(ii)酸性化剤が、少なくとも7.0の、特に7.0〜8.5の反応媒体のpHについての値が得られるまで前記容器端部に添加され、
(iii)酸性化剤および、適切な場合、同時にシリケートの残りの量が、反応媒体に添加される
方式で実施される工程と、
− 得られたシリカ懸濁液が濾過される工程と、
− 濾過の終わりに得られた濾過ケーキが、アルミニウム化合物の添加を含む液状化操作にかけられる工程と、
− 最大でも25重量%の固形分を好ましくは示す、このようにして得られた濾過ケーキは、乾燥させられる工程と
を含むことを特徴とし、
前記方法が、液状化操作中か、または液状化操作後および乾燥工程の前かのいずれかで、メチルグルタル酸が濾過ケーキに添加されることを特徴とする方法である。
【0031】
液状化操作の、メチルグルタル酸の混合物の添加のおよび本方法の3つの代替形態の主題に関する上の説明に示されているものは、本発明による本方法に適用される。
【0032】
酸性化剤のおよびシリケートの選択は、それ自体周知の方法で行われる。
【0033】
一般に、酸性化剤として、硫酸、硝酸または塩酸などの、強無機酸、または、酢酸、ギ酸または炭酸などの、有機酸が使用される。
【0034】
酸性化剤は、希釈又は濃縮されてもよく;その規定度は、0.4〜36N、たとえば0.6〜1.5Nであり得る。
【0035】
特に、酸性化剤が硫酸である場合には、その濃度は、40〜180g/L、たとえば60〜130g/Lであり得る。
【0036】
シリケートとして、メタシリケート、ジシリケートなどの、任意の普通型のシリケート、および有利にはアルカリ金属シリケート、特にケイ酸ナトリウムもしくはケイ酸カリウムが使用されてもよい。
【0037】
シリケートは、40〜330g/L、たとえば60〜300g/Lの濃度(SiO
2として表される)を示すことができる。
【0038】
好ましくは、シリケートとして、ケイ酸ナトリウムが使用される。
【0039】
ケイ酸ナトリウムが使用される場合には、後者は一般に、2〜4、特に2.4〜3.9、たとえば3.1〜3.8のSiO
2/Na
2O重量比を示す。
【0040】
工程(i)中に、シリケートと電解質とを含む容器端部が形成される。初期容器端部中に存在するシリケートの量は有利には、反応に関与するシリケートの総量のほんの一部を表すにすぎない。
【0041】
初期容器端部(工程(i))中に存在する電解質に関しては、この用語は、普通に受け入れられるように、すなわち、それは、それが溶液中にある場合、分解してまたは解離してイオンまたは荷電粒子を形成する任意のイオンまたは分子物質を意味すると本明細書では理解され;電解質として、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の群の塩、特に出発シリケート金属のおよび酸性化剤の塩、たとえば、ケイ酸ナトリウムと塩酸との反応の場合には塩化ナトリウムまたは、好ましくは、ケイ酸ナトリウムと硫酸との反応の場合には硫酸ナトリウムが挙げられてもよい。
【0042】
この製造方法の一特性によれば、初期容器端部における電解質の濃度は、19g/L未満、特に18g/L未満、とりわけ17g/L未満、たとえば15g/L未満である(一方、一般に6g/L超である)。
【0043】
この方法の別の特性によれば、初期容器端部におけるシリケートの濃度(SiO
2として表される)は、100g/L未満である。好ましくは、この濃度は80g/L未満、特に70g/L未満である。特に、中和のために使用される酸が高濃度、特に70%超を示す場合、そのSiO
2濃度が80g/L未満である、シリケートの初期容器端部で作業することが推奨される。
【0044】
工程(ii)での酸性化剤の添加は、反応媒体のpHの相関低下をもたらし、少なくとも7の、特に7〜8.5の、たとえば7.5〜8.5の反応媒体のpHについての値に達するまで実施される。
【0045】
所望のpH値に達するとすぐに、そして関与するシリケートの総量の一部のみを含む出発容器端部の場合には、酸性化剤のおよび残りの量のシリケートの同時添加が次に有利には工程(iii)で実施される。
【0046】
この同時添加は一般に、反応媒体のpHの値が常に工程(ii)の終わりに達したものに等しい(±0.1以内まで)ような方法で実施される。
【0047】
工程(iii)の終わりにそして特に上述の同時添加の後に、得られた反応媒体(水性懸濁液)の熟成は、工程(iii)の終わりに得られたpHで、一般に攪拌しながら、たとえば2〜45分間、特に3〜30分間実施することができる。
【0048】
最後に、関与するシリケートの総量の一部のみを含む出発容器端部の場合には、および関与するシリケートの総量を含む出発容器端部の場合にはの両方で、沈澱後に、任意選択のその後の工程で、追加量の酸性化剤を反応媒体に添加することが可能である。この添加は一般に、3〜6.5、好ましくは4〜6.5のpH値が得られるまで実施される。
【0049】
反応媒体の温度は一般に、75〜97℃、好ましくは80〜96℃である。
【0050】
この製造方法の代替形態によれば、反応は、75〜97℃の一定温度で実施される。この方法の別の代替形態によれば、反応の終了時の温度は、反応の開始時の温度よりも高い;こうして、反応の開始時の温度は好ましくは、75〜90℃に維持され;次に、温度は、好ましくは90〜97℃の値まで、2、3分で上昇させられ、その温度にそれは反応の終わりまで維持される。
【0051】
すぐ前に記載された工程の終わりに、シリカスラリーが得られ、そのスラリーはその後分離される(液/固分離)。この分離は普通、任意の好適な方法を用いて、たとえばベルトフィルター、真空フィルターまたは、好ましくは、フィルタープレスを用いて実施される、濾過、引き続き、必要ならば、洗浄操作を含む。
【0052】
濾過ケーキは次に、アルミニウム化合物の添加を含む液状化操作にかけられる。上記説明に従って、メチルグルタル酸は、液状化操作中にまたは液状化操作後に添加される。好ましい代替形態によれば、メチルグルタル酸は、液状化操作後の砕解濾過ケーキに添加される。
【0053】
砕解濾過ケーキはその後、乾燥させられる。
【0054】
好ましくは、この製造方法では、液状化操作後に得られた沈澱シリカの懸濁液は、それが乾燥させられる直前に、最大でも25重量%の、特に最大でも24重量%の、とりわけ最大でも23重量%の、たとえば最大でも22重量%の固形分を示すべきである。
【0055】
この乾燥操作は、それ自体公知の任意の手段に従って実施することができる。好ましくは、乾燥操作は、噴霧化によって実施される。この目的のために、任意の種類の好適な噴霧器、特に回転、ノズル、液体圧力または二流体噴霧器が用いられてもよい。一般に、濾過がフィルタープレスを用いて実施される場合、ノズル噴霧器が用いられ、濾過が真空フィルターを用いて実施される場合、回転噴霧器が用いられる。
【0056】
乾燥操作がノズル噴霧器を用いて実施される場合、そのとき得ることができる沈澱シリカは通常、実質的に球形のビーズの形態で存在する。この乾燥操作の終わりに、回収された生成物をミルにかけるという工程を実施することが任意選択的に可能であり;そのとき得ることができる沈澱シリカは一般に、粉末の形態で存在する。
【0057】
乾燥操作が回転噴霧器を用いて実施される場合、そのとき得ることができる沈澱シリカは、粉末の形態で存在することができる。
【0058】
最後に、上に示されたように乾燥させられた(特に回転噴霧器によって)またはミルにかけられた生成物は、たとえば、直接圧縮、湿式造粒(すなわち、水、シリカ懸濁液などの、バインダーを使っての)、押出または、好ましくは、乾式圧縮からなる、集塊化工程に任意選択的にかけることができる。後者の技法が用いられる場合、圧縮を実施する前に、後者の中に含まれる空気を除去するためにそしてより一様な圧縮を提供するために粉状生成物を脱気すること(前圧縮または脱ガスとも言われる操作)が適切であると分かり得る。
【0059】
この集塊化工程によってそのとき得ることができる沈澱シリカは一般に、顆粒の形態で存在する。
【0060】
本発明はまた、本発明による方法によって得られるまたは得ることができる沈澱シリカに関する。
【0061】
一般に、これらの沈澱シリカは、それらの表面で、メチルグルタル酸のおよび/またはメチルグルタル酸に相当するカルボキシレ−トの分子を示す。
【0062】
本発明の追加の主題は、ポリマー組成物用の代替充填材として特に使用することができ、有利にはそれらに、それらの機械的特性を保持しながら、それらの粘度の低下およびそれらの動的特性の改善を提供する、特有の特性を持った沈澱シリカである。
【0063】
次に来る説明では、BET比表面積は、The Journal of the American Chemical Society,Vol.60,ページ309,1938年2月に記載されている、そして標準NF ISO 5794−1,Appendix D(2010年6月)に相当するBrunauer−Emmett−Teller法に従って測定される。標準NF ISO 5794−1,Appendix G(2010年6月)に従って測定することができる、CTAB比表面積は、外面である。
【0064】
全炭素として表される、(C)で示されるポリカルボン酸+相当するカルボキシレ−トの含有率は、Horiba EMIA 320 V2などの、炭素/硫黄分析計を用いて測定することができる。炭素/硫黄分析計の原理は、誘導炉(おおよそ170mAに調整された)中でおよび燃焼促進剤(おおよそ2グラムのタングステン(特にLecocel 763−266)およびおおよそ1グラムの鉄)の存在下で酸素の流れ中での固体試料の燃焼をベースとしている。この分析は、おおよそ1分続く。
【0065】
分析される試料(おおよそ0.2グラムの重量)中に存在する炭素は、酸素と化合してCO
2、COを形成する。これらの減圧ガスはその後、赤外線検出器によって分析される。
【0066】
試料およびこれらの酸化反応中に生成した水からの水分は、赤外線計測を妨げないように脱水剤(過塩素酸マグネシウム)を含むカートリッジ上を通すことによって除去される。
【0067】
結果は、元素炭素の重量百分率として表される。
【0068】
(Al)と示される、アルミニウムの含有率は、たとえばPanalytical 2400分光計を使って、好ましくは、Panalytical MagixPro PW2540分光計を使って、波長分散X線蛍光によって測定することができる。X線蛍光による測定方法の主構は次の通りである:
− シリカが実質的に球形のビーズ(マイクロビーズ)のまたは顆粒の形態で提供される場合、均一な粉末が得られるまで、シリカのすり潰しが必要である。すり潰しは、坩堝乳鉢(おおよそ2分の時間15グラムのシリカのすり潰し)またはアルミニウムを含まない任意のタイプのグラインダーを使って実施することができ、
− 粉末は、37mmの照射径で、ヘリウム雰囲気下に、6μmの厚さのポリプロピレンフィルム付きの40mmの直径を有する容器中でそのまま分析され、分析されるシリカの量は、9cm
3である。最大でも5分を要する、アルミニウム含有率の測定は、Kα線(2θ角=145°、PE002結晶、550μmコリメータ、ガスフロー検出器、ロジウム管、32kVおよび125mA)から得られる。この線の強度は、アルミニウム含有率に比例する。ICP−AES(誘導結合プラズマ−原子発光分光法)などの、別の測定方法を用いて実施されたプレキャリブレーションを用いることが可能である。
【0069】
アルミニウム含有率はまた、任意の他の好適な方法によって、たとえばフッ化水素酸の存在下で水に溶解させた後にICP−AESによって測定することができる。
【0070】
酸形態でのおよび/またはカルボキシレ−ト形態でのメチルグルタル酸の存在は、表面赤外線またはダイヤモンド−ATR(減衰全反射)赤外線によって確定することができる。
【0071】
表面赤外線分析(透過による)は、純生成物のペレットに関するBruker Equinox 55分光計で実施される。ペレットは、坩堝乳鉢中でそのままシリカをすり潰し、そして10秒間2T/cm
2でペレット化した後に得られる。ペレットの直径は17mmである。ペレットの重量は10〜20mgである。このようにして得られたペレットは、透過による分析の前に周囲温度で1時間、分光計の高真空チャンバー(10
−7ミリバール)中に入れられる。取得は高真空下で行われる(取得条件:400cm
−1〜6000cm
−1;スキャン数:100;解像度:2cm
−1)。
【0072】
Bruker Tensor 27分光計で実施される、ダイヤモンド−ATR分析は、坩堝乳鉢で予めすり潰したへら先端のシリカを、ダイヤモンド上に、堆積させることに、そして次に圧力をかけることを含む。赤外線スペクトルは、650cm
−1から4000cm
−1まで、20スキャンで分光計で記録される。解像度は4cm
−1である。
【0073】
(R)で示される比は、次の関係:
[式中:
− Nは、メチルグルタル酸のカルボキシル官能基の数であり(Nは2に等しく)、
− (C)および(Al)は、上に定義されたような含有率であり、
− C
Tは、メチルグルタル酸の炭素含有率であり、
− M
Alは、アルミニウムの分子量であり、
− M
Acは、メチルグルタル酸の分子量である]
で求められる。
【0074】
表面エネルギーの分散成分
は、逆ガスクロマトグラフィーによって測定される。シリカのすり潰しは一般に、それが顆粒の形態で提供される場合に必要であり、これに、たとえば106μm〜250μmでの、ふるい分けが続く。
【0075】
表面エネルギーの分散成分
を計算するために用いられる技法は、6〜10個の炭素原子の範囲の一連のアルカン(ノルマルアルカン)を使用する110℃でのInverse Gas Chromatography at Infinite Dilution(IGC−ID)(無限希釈での逆ガスクロマトグラフィー)、ガスクロマトグラフィーをベースとする技法であるが、この場合移動相のおよび固定相(パッキング)の役割は逆である。この場合には、カラム中の固定相は、分析されるべき(固体)材料、この場合には沈澱シリカで置き換えられる。移動相に関しては、それは、キャリアガス(ヘリウム)から、およびそれらの相互作用能力の関数として選択される「プローブ」分子からなる。測定は、各プローブ分子を使って引き続いて実施される。各測定のために、各プローブ分子が、メタンとの混合物として、非常に少量(無限希釈)で、カラム中へ注入される。メタンが、t0、カラムの不感時間を測定するために使用される。
【0076】
注入されたプローブの保持時間からのこの不感時間t0の引き算は、後者の正味保持時間(t
N)をもたらす。
【0077】
無限希釈に特有の、これらの操作条件は、これらの保持時間が、単にこれらの分子に関する試料の相互作用性を反映していることを意味する。物理的には、t
Nは、プローブ分子が固定相(分析される固体)と接触して費やした平均時間に相当する。注入される各プローブ分子について、3つの正味保持時間t
Nが測定される。平均値および相当する標準偏差が、次の関係(式[1]):
に基づいて比保持容量(V
g0)を求めるために用いられる。
【0078】
後者は、固定相(検討される固体)の1グラム当たりプローブ分子を溶離するために必要な(0℃に戻される)キャリアガスの容積に相当する。この標準量は、どんなキャリアガスの流量および使用される固定相の重量でも、結果を比較することを可能にする。式[1]は、M
sカラム中の固体の重量、D
cキャリアガスの流量およびT測定温度を含む。
【0079】
比保持容量はその後、カラム中に存在する固体に関して、Rが普遍的な理想ガス定数(R=8.314J.K
−1.モル
−1)の、式[2]に従って、ΔG
a、プローブの吸着の自由エンタルピーの変動にアクセスするために用いられる。
【0080】
この量ΔG
aは、表面エネルギーの分散成分
の測定のための出発点である。後者は、下表に示されるような、n−アルカンプローブの炭素数n
cの関数として吸収の自由エンタルピーの変動(ΔG
a)を表す直線をプロットすることによって得られる。
【0082】
次に、110℃の測定温度について得られた、メチレン基の吸着の自由エンタルピーに相当する、ノルマルアルカンの直線の傾斜
から表面エネルギーの分散成分
を求めることが可能である。
【0083】
表面エネルギーの分散成分
は次に、次の関係:
[N
Aは、アボガドロ数(6.02×10
23モル
−1)であり、
は、吸着されたメチレン基によって占有される面積(0.06nm
2)であり、
は、もっぱらメチレン基からなる固体の表面エネルギーであり、ポリエチレンに関して測定されている(20℃で35.6mJ/m
2)]
によってメチレン基の吸着の自由エンタルピー
と関連付けられる(Dorris and Gray method,J.Colloid Interface Sci.,77(180),353−362)。
【0084】
アルミニウムの配位数は、固体アルミニウムNMRによって測定される。
【0085】
吸水量を測定するために用いられる技法は一般に、予め乾燥させたシリカ試料を、所定時間、所与の相対湿度条件下に置くことにあり;シリカはそのとき水和し、それは、試料の重量を初期値w(乾燥状態での)から最終値w+dwへと変化させる。シリカの「吸水量」は具体的には、特に勘定の継続の初めから終わりまで、測定方法中に、次の条件:
− 予備乾燥:150℃で、8時間;
− 水和:20℃で、および70%の相対湿度下に、24時間
にさらされたシリカ試料について計算される、百分率として表される、dw/w比(すなわち、乾燥状態の試料の重量に対して試料中に組み入れられた水の重量)を意味する。
【0086】
用いられる実験プロトコルは、引き続いて:
− おおよそ2グラムの試験されるシリカを正確に秤量すること;
− 105℃の温度に調節されるオーブン中でこのように秤取されたシリカを、8時間乾燥させること;
− この乾燥操作の終わりに得られたシリカの重量wを測定すること;
− 密閉媒体の相対湿度が70%であるように、水/グリセロール混合物を含む、デシケーターなどの、密閉容器中に乾燥シリカを、20℃で、24時間入れること;
− 24時間70%相対湿度でのこの処理の後で得られたシリカの重量(w+dw)を測定すること(この重量の測定は、70%相対湿度での媒体と実験室の雰囲気との間の水分計測における変化の影響下でのシリカの重量の変動を防ぐために、デシケーターからシリカを取り出した後直ちに実施される)
にある。
【0087】
細孔容積および孔径は、Micromeritics Autopore 9520ポロシメーターを用いる水銀(Hg)多孔度測定によって測定され、130°に等しい接触角シータおよび484ダイン/cmに等しい表面張力ガンマとのWashburn関係によって計算される(標準DIN 66133)。各試料の調製は、次の通り実施される:各試料は、200℃で2時間オーブン中で前乾燥させられる。
【0088】
シリカの分散能力および解集塊化能力は、下の特有の解集塊化を用いて定量化することができる。
【0089】
粒度測定は、超音波処理によってあらかじめ解集塊化されたシリカの懸濁液に関して(レーザー回折によって)実施され;シリカの解集塊化(0.1〜数十ミクロンへの物体の開裂)能力はこのようにして測定される。超音波下の解集塊化は、19mmの直径を有する探触子を備えたVibracell Bioblock(600W)超音波破砕機を用いて実施される。粒度測定は、Fraunhofer理論を用いて、(R3(0.9〜175μm)型の光学レンズを備えた)Sympatec Helios/BF粒度計でレーザー回折によって実施される。
【0090】
2グラム(±0.1グラム)のシリカが、50mlビーカー(高さ:7.5cmおよび直径:4.5cm)へ導入され、重量が、48グラム(±0.1グラム)の脱イオン水の添加によって50グラムに調製される。4%水性シリカ懸濁液はこのようにして得られる。
【0091】
超音波下での解集塊化がその後次の通り実施される:超音波破砕機の「TIMER」ボタンが押され、時間が5分30秒に合わせられる。探触子の振幅(名目電力に相当する)が80%に合わせられ、次に超音波探触子が、ビーカー中に存在するシリカ懸濁液に5センチメートル超浸漬される。超音波探触子が次にスイッチを入れられ、解集塊化が、探触子の80%振幅で5分30秒間実施される。
【0092】
粒度測定はその後、容積V(ml単位で表される)の懸濁液を、粒度計の容器中へ導入することによって実施され、この容積Vは、8%の光学密度が粒度計で達成されるようなものである。
【0093】
超音波での解集塊化後の、中央径φ
50は、容積で粒子の50%がφ
50未満のサイズを有し、50%がφ
50よりも大きいサイズを有するようなものである。得られる中央径φ
50の値は、シリカの解集塊化能力が増加するのに比例して低下する。
【0094】
比(10×V/粒度計によって検出される懸濁液の光学密度)を測定することもまた可能であり、この光学密度は、シリカの導入中に粒度計によって検出される真値に対応する。
【0095】
この比(解集塊化係数F
D)は、粒度計によって検出されない0.1μm未満のサイズの粒子の含有率を示す。この比は、シリカの解集塊化能力が増加するのに比例して増加する。
【0096】
pHは、標準ISO 787/9に由来する以下の方法に従って測定される(水中5%懸濁液のpH):
装置:
− 較正されたpHメーター(100分の1までの読取精度)
− 複合ガラス電極
− 200mlビーカー
− 100mlメスシリンダー
− 約0.01g以内までの精度の天秤
【0097】
手順:
5グラムのシリカが、約0.01グラム以内まで200mlビーカーへ秤量される。目盛り付きメスシリンダーから測られた、95mlの水が次にシリカ粉末に添加される。このようにして得られた懸濁液が10分間激しく攪拌される(磁気攪拌)。pH測定が次に実施される。
【0098】
本発明による沈澱シリカは、それが、
− 45〜550m
2/g、特に70〜370m
2/g、とりわけ80〜300m
2/gのBET比表面積、
− 少なくとも0.15重量%の、特に少なくとも0.20重量%の、全炭素として表される、ポリカルボン酸+相当するカルボキシレ−トの含有率(C)、
− 少なくとも0.20重量%の、特に少なくとも0.25重量%のアルミニウム(Al)含有率
を有することを特徴とする。
【0099】
本発明による沈澱シリカは特に、100〜240m
2/g、特に120〜190m
2/g、たとえば130〜170m
2/gのBET比表面積を示すことができる。
【0100】
本発明による沈澱シリカは特に、少なくとも0.25重量%の、特に少なくとも0.30重量%の、たとえば少なくとも0.35重量%の、実に少なくとも0.45重量%さえの、全炭素として表される、ポリカルボン酸+相当するカルボキシレ−トの含有率(C)を示すことができる。
【0101】
本発明に従った沈澱シリカは特に、少なくとも0.30重量%の、特に少なくとも0.33重量%のアルミニウム(Al)含有率を示すことができる。それは一般に、1重量%未満の、特に最大でも0.50重量%の、たとえば最大でも0.45重量%のアルミニウム(Al)含有率を示す。
【0102】
本発明によるシリカの表面でのポリカルボン酸のおよび/またはポリカルボン酸に相当するカルボキシレ−トの存在は、表面(透過)赤外線またはダイヤモンド−ATR赤外線によって特に得られる、赤外線スペクトルに見られる、C−OおよびC=O結合に特徴的なショルダー(特にC−Oについては1540〜1590cm
−1および1380〜1420cm
−1、ならびにC=Oについては1700〜1750cm
−1)の存在によって例示され得る。
【0103】
一般に、本発明による沈澱シリカは、その表面で、酸形態のおよび/またはカルボキシレ−ト形態のメチルグルタル酸の分子を示す。
【0104】
一般に、本発明による沈澱シリカは、40〜525m
2/g、特に70〜350m
2/g、とりわけ80〜310m
2/g、たとえば100〜240m
2/gのCTAB比表面積を有する。それは特に、130〜200m
2/g、たとえば140〜190m
2/gであり得る。
【0105】
一般に、本発明による沈澱シリカは、0.9〜1.2のBET比表面積/CTAB比表面積比を示す、すなわち、それは低い微細孔性を示す。
【0106】
好ましくは、本発明による沈澱シリカは、0.4〜3.5,特に0.4〜2.5の比(R)を有する。この比(R)はまた、0.5〜3.5、特に0.5〜2.5、とりわけ0.5〜2、たとえば0.8〜2、実に0.8〜1.8さえ、または0.8〜1.6であり得る。
【0107】
好ましくは、本発明により沈澱シリカは、43mJ/m
2未満の、特に42mJ/m
2未満の表面エネルギーの分散成分
を示す。
【0108】
それは、少なくとも40mJ/m
2の、43mJ/m
2未満の、特に厳密には40〜43mJ/m
2の、たとえば厳密には40〜42mJ/m
2の表面エネルギーの分散成分
を示すことができる。
【0109】
好ましくは、本発明によるシリカは、40mJ/m
2未満の、特に35mJ/m
2未満の表面エネルギーの分散成分
を示す。
【0110】
本発明による沈澱シリカは、固体アルミニウムNMRによって測定される、アルミニウムの配位数の特有の分布を有することができる。一般に、本発明によるシリカのアルミニウム原子の、最大でも数で85%、特に最大でも数で80%、特に数で70%〜85%は、たとえば数で70%〜80%は、四面体配位数を示すことができる、すなわち、四面体サイトにあることができる。特に、本発明によるシリカのアルミニウム原子の、数で15%〜30%、たとえば数で20%〜30%は、五面体もしくは八面体配位数を示すことができる、すなわち、五面体もしくは八面体サイトにあることができる。
【0111】
本発明による沈澱シリカは、6%超の、特に7%超の、とりわけ7.5%超の、たとえば8%超の、実に8.5%超さえの吸水量を示すことができる。
【0112】
一般に、本発明による沈澱シリカは、高い分散能力(特にエラストマーにおいて)および解集塊化能力を示す。
【0113】
本発明による沈澱シリカは、最大でも5μmの、好ましくは最大でも4μmの、特に3.5〜2.5μmの、超音波での解集塊化後の直径φ
50を示すことができる。
【0114】
本発明による沈澱シリカは、5.5ml超の、特に7.5ml超の、たとえば12ml超の超音波解集塊化係数F
Dを示すことができる。
【0115】
本発明による沈澱シリカの別のパラメーターは、その細孔容積の分布におよび特に、400Å以下の直径を有する細孔によって生み出される細孔容積の分布にあり得る。後者の容積は、エラストマーの強化に用いられる充填材の有用な細孔容積に相当する。一般に、ポログラムの解析は、このシリカが、実質的に球形のビーズ(マイクロビーズ)の、粉末のもしくは顆粒の形態で同様に良好に、175〜275Åの直径を有する細孔によって生み出される細孔容積(V2)が、400Å以下の直径の細孔によって生み出される細孔容積(V1)の、少なくとも50%、特に少なくとも55%、とりわけ55%〜65%、たとえば55%〜60%を表すような細孔分布を好ましくは有することを示す。本発明による沈澱シリカが顆粒の形態で提供される場合、それは任意選択的に、175〜275Åの直径を有する細孔によって生み出される細孔容積(V2)が、400Å以下の直径の細孔によって生み出される細孔容積(V1)の少なくとも60%を表すような細孔分布を有することができる。
【0116】
本発明による沈澱シリカは好ましくは、3.5〜7.5、より好ましくはさらに4〜7、特に4.5〜6のpHを示す。
【0117】
本発明による沈澱シリカは、任意の物理的状態で提供することができる、すなわち、それは、実質的に球形のビーズ(マイクロビーズ)の、粉末のもしくは顆粒の形態で提供することができる。
【0118】
それはしたがって、少なくとも80μmの、好ましくは少なくとも150μmの、特に150〜270μmの平均サイズの実質的に球形のビーズの形態で提供することができ;この平均サイズは、乾式ふるい分けおよび50%の累積オーバーサイズに相当する直径の測定によって標準NF X 11507(1970年12月)に従って測定される。
【0119】
それはまた、少なくとも3μmの、特に少なくとも10μmの、好ましくは少なくとも15μmの平均サイズの粉末の形態で提供することができる。
【0120】
それは、特にそれらの最大寸法の軸に沿って、少なくとも1mmの、たとえば1〜10mmのサイズの顆粒の(一般に実質的に平行六面体形状の)形態で提供することができる。
【0121】
本発明によるシリカは好ましくは、上述の方法、特に特有の製造方法によって得られる。
【0122】
有利には、本発明によるまたは上述の本発明による方法によって得られる(得ることができる)沈澱シリカは、それらが導入されているポリマー(エラストマー)組成物に、それらの機械的特性を保持しながら、特性の非常に満足できる折衷、特にそれらの粘度の低下および好ましくはそれらの動的特性の改善を与える。それらはしたがって有利には、加工/強化/ヒステリシス特性折衷の改善を可能にする。好ましくは、それらは、ポリマー(エラストマー)組成物において良好な分散能力および解集塊化能力を示す。
【0123】
本発明によるまたは本発明に従って上述の方法によって得られる(得ることができる)沈澱シリカは、多数の用途に使用することができる。
【0124】
それらは、たとえば、触媒担体として、ポリマー、とりわけエラストマー、もしくはシリコーン組成物中の、活性物質用の吸収剤(特に、ビタミン(ビタミンE)もしくは塩化コリンなどの、とりわけ食品中に使用される、液体用の担体)として、粘性化剤、テクスチャライジング剤もしくは凝固防止剤として、電池セパレーター構成部品として、または練り歯磨き、コンクリートもしくは紙用の添加剤として用いることができる。
【0125】
しかし、それらは、天然もしくは合成ポリマーの強化に特に有利な用途を見いだす。
【0126】
それらが、特に強化充填材として用いられ得るポリマー組成物は一般に、−150℃〜+300℃、たとえば−150℃〜+20℃の少なくとも1つのガラス遷移温度を好ましくは示す、1つ以上のポリマーもしくはコポリマー(とりわけバイポリマーもしくはターポリマー)を、特に1つ以上のエラストマーをベースとしている。
【0127】
可能なポリマーとして、ジエンポリマー、特にジエンエラストマーが特に言及されてもよい。
【0128】
たとえば、少なくとも1つの不飽和を含む脂肪族もしくは芳香族モノマー(特に、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、イソブチレンもしくは酢酸ビニルなどの)に由来するポリマーもしくはコポリマー(特にバイポリマーもしくはターポリマー)、ポリブチルアクリレート、またはそれらの混合物が使用されてもよく;シリコーンエラストマー、たとえば、高分子鎖に沿っておよび/またはその末端の1つ以上に配置された化学基によって(たとえばシリカの表面と反応することができる官能基によって)官能化された、官能化エラストマー、およびハロゲン化ポリマーがまた言及されてもよい。ポリアミドが言及されてもよい。
【0129】
ポリマー(コポリマー)は、バルクポリマー(コポリマー)、ポリマー(コポリマー)ラテックスあるいは水中のまたは任意の他の適切な分散液体中のポリマー(コポリマー)の溶液であり得る。
【0130】
ジエンエラストマーとして、たとえば、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、またはそれらの混合物、特にスチレン/ブタジエンコポリマー(SBR、特にESBR(エマルジョン)もしくはSSBR(溶液))、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)、およびまた関連官能化ポリマー(たとえば、シリカと相互作用することができる、鎖末端にペンダント極性基もしくは極性基を示す)が言及されてもよい。
【0131】
天然ゴム(NR)およびエポキシ化天然ゴム(ENR)がまた言及されてもよい。
【0132】
ポリマー組成物は、硫黄で加硫する(加硫物がそのとき得られる)または、特に過酸化物もしくは他の架橋系(たとえばジアミンもしくはフェノール樹脂)で架橋することができる。
【0133】
一般に、ポリマー組成物はさらに、少なくとも1つの(シリカ/ポリマー)カップリング剤および/または少なくとも1つの被覆剤を含み;それらはまた、とりわけ、酸化防止剤を含むことができる。
【0134】
カップリング剤として、非限定的な例として、「対称」もしくは「非対称」シランポリスルフィドが使用されてもよく;より具体的には、トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィドなどの、たとえば、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ポリスルフィドもしくはビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ポリスルフィドなどの、ビス((C
1〜C
4)アルコキシル(C
1〜C
4)アルキルシリル(C
1〜C
4)アルキル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィドもしくはテトラスルフィド)が言及されてもよい。モノエトキシジメチルシリルプロピルテトラスルフィドがまた言及されてもよい。マスクされたまたは遊離のチオール官能基を含むシランがまた言及されてもよい。
【0135】
カップリング剤は、ポリマーにあらかじめグラフトすることができる。
【0136】
それはまた、遊離状態で(すなわち、あらかじめグラフトされていない)またはシリカの表面でグラフトされた状態で用いることができる。それは、任意選択の被覆剤用と同じものである。
【0137】
カップリング剤は任意選択的に、適切な「カップリング活性化剤」、すなわち、このカップリング剤と混合されて、後者の有効性を増加させる化合物と組み合わせることができる。
【0138】
ポリマー組成物中のシリカの重量割合は、かなり広い範囲内で変わることができる。それは普通は、ポリマーの量の、10%〜200%、特に20%〜150%、とりわけ20%〜80%(たとえば30%〜70%)または80%〜120%(たとえば90%〜110%)を表す。
【0139】
本発明によるシリカは有利には、ポリマー組成物の強化無機充填材のすべておよび強化充填材のすべてさえも構成することができる。
【0140】
しかし、本発明によるこのシリカは任意選択的に、たとえば、Z1165MPもしくはZ1115MPなどの、特に、市販の高分散性シリカ、処理された沈澱シリカ(たとえば、アルミニウムなどの、カチオンを使用して「ドープされた」沈澱シリカ)などの、少なくとも1つの他の強化充填材;たとえば、アルミナなどの、別の強化無機充填材、実に強化有機充填材、特にカーボンブラック(たとえばシリカの無機層で任意選択的に被覆された)さえと組み合わせることができる。本発明によるシリカはそのとき好ましくは、強化充填材のすべての、少なくとも50重量%、実に少なくとも80重量%さえも構成する。
【0141】
上記の(特に上述の加硫物をベースとする)前記ポリマー組成物の少なくとも1つを含む(特に前記ポリマー組成物をベースとする)最終物品の非限定的な例として、履物底(好ましくは(シリカ/ポリマー)カップリング剤、たとえばトリエトキシシリルプロピルテトラスルフィドの存在下での)、床仕上げ材、ガスバリア、難燃性材料およびまた、空中ケーブル用のローラー、家庭電化製品用のシール、液体またはガスパイプ用のシール、ブレーキシステムシール、パイプ(可撓性)、被覆材料(特にケーブル被覆材料)、ケーブル、エンジンサポート、電池セパレーター、コンベヤーベルト、伝動ベルトまたは、好ましくは、タイヤ、特にタイヤトレッド(とりわけ軽自動車用のもしくは重量物運搬車(たとえばトラック)などの、エンジニアリング構成部品が挙げられてもよい。
【0142】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、その範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0143】
実施例1
使用される沈澱シリカの懸濁液は、Z1165MPシリカの製造プロセス中の濾過段階の終わりに得られる、シリカケーキ(23重量%の固形分を有する)である。
【0144】
液状化操作の前に、メチルグルタル酸の50重量%溶液を、メチルグルタル酸を攪拌しながら水(35℃での)に溶解させることによって調製する。
【0145】
濾過段階で得られたケーキ(303キログラム)を、1740グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(0.32%のAl/SiO
2重量比)で連続の激しく攪拌される反応器中での液状化操作にかける(おおよそ3時間)。
【0146】
液状化が実施されてしまうとすぐに、730gの先に調製されたメチルグルタル酸溶液(1.20%のメチルグルタル酸/SiO
2重量比)を、砕解ケーキの一部(125リットル)に添加する。
【0147】
砕解ケーキのこの被処理部分(22重量%の固形分を有する)をその後、ノズル噴霧器を用いて、流量のおよび温度の次の平均条件:
平均入口温度:569℃
平均出口温度:159℃
平均流量:211L/h
下に35分間25バールの圧力で1.5mmノズルを通して砕解ケーキを噴霧することによって乾燥させる。
【0148】
(実質的に球形のビーズの形態で)得られたシリカS1の特性は、そのとき下記である。
【0149】
【0150】
実施例2(比較)
使用される沈澱シリカの懸濁液は、Z1165MPシリカの製造プロセス中の濾過段階の終わりに得られるシリカケーキ(23重量%の固形分を有する)である。
【0151】
液状化操作の前に、100g/Lマレイン酸溶液を、マレイン酸を攪拌しながら水(35℃での)に溶解させることによって調製する。
【0152】
濾過段階で得られたケーキを、4400グラムの100g/Lマレイン酸溶液(1.0%のマレイン酸/SiO
2重量比)をケーキに添加して連続の激しく攪拌される反応器中での液状化操作にかける(おおよそ90分間)。
【0153】
この砕解ケーキ(22重量%の固形分を有する)をその後、ノズル噴霧器を用いて、流量のおよび温度の次の平均条件:
平均入口温度:577℃
平均出口温度:157℃
平均流量:220L/h
下に25バールの圧力で1.5mmノズルを通して砕解ケーキを噴霧することによって乾燥させる。
【0154】
(実質的に球形のビーズの形態で)得られたシリカC1の特性は、そのとき下記である。
【0155】
【0156】
実施例3
エラストマーの100部当たりの重量部(phr)として表される、その組成が下表Iに示される、エラストマー組成物を、Haake型の内部ミキサー(380ml)で調製する。
【0157】
【0158】
エラストマー組成物の調製方法:
ゴム組成物の調製方法は、2つの逐次調製工程で実施する。第1工程は、高温熱機械作業の工程からなる。それに、110℃未満の温度での機械作業の第2工程が続く。この工程は、加硫系の導入を可能にする。
【0159】
第1工程は、Thermofischer Haakeブランドの、内部ミキサー型の、混合装置(380mlの容量)を用いて実施する。充填率は0.6である。初期温度およびローターのスピードは、それぞれの場合に、おおよそ140〜160℃の混合物の低下温度を達成するようにセットする。
【0160】
ここで2パスに分けられる場合、第1工程は、第1パスで、カップリング剤およびステアリン酸とともにエラストマーを次に強化充填材を組み入れること(数回に分けての導入)を可能にする。このパスについては、継続時間は4〜10分である。
【0161】
混合物を冷却した後(100℃未満の温度)、第2パスは、酸化亜鉛および保護剤/酸化防止剤(特に6−PPD)を組み入れることを可能にする。このパスの継続時間は2〜5分である。
【0162】
混合物を冷却した後(100℃未満の温度)、第2工程は、加硫系(硫黄および、CBSなどの、促進剤)の導入を可能にする。それは、50℃に予熱された、オープンミルで実施する。この工程の継続時間は2〜6分である。
【0163】
各最終混合物をその後、2〜3mmの厚さのプラークの形態にカレンダー仕上げする。
【0164】
得られたこれらの「生の」混合物に関して、それらのレオロジー特性の評価は、加硫時間および加硫温度を最適化することを可能にする。
【0165】
その後、硬化最適条件で加硫された混合物(T98)の機械的および動的特性を測定する。
【0166】
レオロジー特性
− 生の混合物の粘度:
Mooney粘度は、MV 2000レオメーターを用いて100℃で生の状態の組成物に関して測定し、そしてまた標準NF ISO 289によるMooney応力−緩和速度の測定。
【0167】
1分間の予熱後4分の終わりに読み取られる、トルクの値(Mooney Large(1+4)−100℃での)を表IIに示す。この試験は、生の混合物を調製した後、そして次に23±3℃の温度で3週間熟成した後に実施する。
【0168】
【0169】
本発明のシリカS1(組成物1)は、対照混合物の値に対して、初期生の粘度のかなり大きい低下を可能にすることが分かる。
【0170】
本発明のシリカS1(組成物1)は、3週間の貯蔵後に、対照混合物の値に対して、生の粘度の低下での利点を保持することを可能にすることがまた分かる。
【0171】
このタイプの経時挙動は、シリカを含むゴム混合物の加工の場合には当業者に大いに役立つ。
【0172】
− 組成物の流動測定:
測定は、生の状態の組成物に関して実施する。標準NF ISO 3417に従ってMonsanto ODRレオメーターを用いて160℃で実施される、レオロジー試験に関する結果は、表IIIに示されている。
【0173】
この試験によれば、試験組成物を30分間、160℃の温度に調整される試験チャンバーに入れ、試験チャンバーに含まれる二円錐ローターの低い振幅(3°)振動に対して組成物によって逆らわれる抵抗トルクを測定する。組成物は、検討中のチャンバーを完全に満たしている。
【0174】
下記は、時間の関数としてのトルクの変動の曲線から求められる:
− 検討中の温度での組成物の粘度を反映する、最小トルク(Tmin);
− 最大トルク(Tmax);
− 架橋系のおよび、必要があれば、カップリング剤の作用によってもたらされる架橋の程度を反映する、デルタトルク(ΔT=Tmax−Tmin);
− 完全加硫の98%に相当する加硫状態を得るために必要な時間T98(この時間は、加硫最適条件と見なされる);
− ならびに、検討中の温度(160℃)で最小トルクよりも2ポイント上に上昇するために必要な時間に相当する、そしてその間に生の混合物を、加硫を開始させることなくこの温度で加工することが可能である時間を反映する、スコーチ時間TS2(混合物はTS2から硬化する)。
【0175】
得られた結果を表IIIに示す。
【0176】
【0177】
本発明によって生じる組成物(組成物1)は、レオロジー特性の満足できる組み合わせを示すことが分かる。
【0178】
特に、生の粘度を低下させながら、それは、調製混合物のより大きい加工性を反映する、対照混合物のそれらよりも低い最小トルク値および高い最大トルク値を示す。
【0179】
本発明のシリカS1(組成物1)の使用は、加硫挙動を損傷することなく対照混合物に対して、最小粘度を下げること(生の粘度の改善のサイン)を可能にする。
【0180】
加硫物の機械的特性:
測定は、160℃の温度について最適加硫組成物(T98)に関して実施する。
【0181】
一軸引張試験は、Instron 5564装置で500mm/分の速度にてH2型の試験検体を使って標準NF ISO 37の教示に従って実施する。x%の引張歪みで測定される応力に相当する、x%弾性率は、MPa単位で表される。300%歪みでの弾性率対100%歪みでの弾性率の比に等しい強化指数(RI)を測定することが可能である。
【0182】
加硫物に関するショア(Shore)A硬度測定は、標準ASTM D 2240の教示に従って実施する。与えられる値は、15秒で測定する。
【0183】
測定された特性を表IVにまとめる。
【0184】
【0185】
本発明によって生じる組成物(組成物1)は、対照混合物で得られるものに対して、機械的特性の満足できる折衷を示すことが分かる。
【0186】
組成物1はこのように、比較的低い10%および100%弾性率ならびに比較的高い300%弾性率、それ故に良好な強化指数を示す。
【0187】
本発明のシリカS1(組成物1)の使用は、対照混合物に対して、300%弾性率を大いに向上させることにより満足できるレベルの強化を得ることを可能にする。
【0188】
加硫物の動的特性:
動的特性は、標準ASTM D5992に従って粘度分析計(Metravib VA3000)で測定する。
【0189】
損失率(tan δ)についての値を、加硫試料(95mm
2の横断面および14mmの高さの円筒形試験検体)に関して記録する。試料を、最初に10%予歪みに、次にプラスまたはマイナス2%の交互圧縮での正弦波歪みにかける。測定は、60℃でおよび10Hzの周波数で実施する。
【0190】
表Vに示される、結果は損失率(tan δ、60℃、10Hz)である。
【0191】
損失率(tan δ)についてのおよび動的剪断弾性率の振幅(ΔG’)についての値を、加硫試料(8mm
2の横断面および7mmの高さの平行六面体試験検体)に関して記録する。試料を、40℃の温度でおよび10Hzの周波数で二重交互正弦波剪断歪みにかける。歪み振幅掃引プロセスを、0.1%から50%まで外側に進み、そして次に50%から0.1%まで戻る、アウトワード−リターンサイクルに従って実施する。
【0192】
表Vに示される、結果は、リターン歪み振幅掃引によって生じるものであり、損失率の最大値(tan δmaxリターン、40℃、10Hz)にならびに0.1%歪みおよび50%歪みでの値間の弾性率の振幅(ΔG’、40℃、10Hz)(Payne効果)に関連している。
【0193】
【0194】
本発明のシリカS1(組成物1)の使用は、対照混合物に対して、動的圧縮の損失率の最大値、弾性率の振幅またはPayne効果およびTan δ maxリターン損失率を改善することを可能にする。
【0195】
様々な表II〜Vの検討は、本発明に従った組成物(組成物1)が、対照混合物に対して、良好な加工/強化/ヒステリシス特性折衷、および特に、経時的に貯蔵時に安定した状態を保つ、生の粘度のかなり大きい増加を得ることを可能にすることを示す。