【実施例1】
【0010】
以下、
図1、
図2、
図3、
図4、
図5及び
図6に基づいて本発明における実施例1の振出式シャープペンシルを説明する。尚、
図1の左側を前方とし、右側を後方とする。先ず、黄銅等の金属製のチャック1の前部を3分割し、頭部1Aと撓み可能な弾性片1Bを構成する。また、頭部1Aには後方に行くに従って細径となるテーパー部を形成する。更に、チャック1の芯保持部1Cにはネジ等により凹凸を形成する。
【0011】
前記チャック1の後部には合成樹脂製のコネクター2が圧入固着される。また、チャック1の頭部1Aには締具3が外嵌され、締具3を受け止めるワッシャー4とコネクター2の前端との間に100g程度の取付時荷重でチャックスプリング5が取り付けられる。したがって、通常チャックスプリング5により後方に付勢されるチャック1の頭部1Aは、締具3に押圧され閉じられることによって芯6を保持する。更に、前記コネクター2の後部に合成樹脂製のパイプからなる芯タンク7が圧入固着される。この芯タンク7の外側に重量体8が長手方向に摺動可能に外嵌され、振出式シャープペンシルの機構部が構成される。
【0012】
前記機構部を、ゴム製のグリップ9を把持部に取り付けた前軸10の前方より挿入し、ワッシャー4を前軸10の前端に当接する。更に、前軸10の前部に先部材11を着脱可能に螺合し、先部材11の内段11Aと前軸10の前端によりワッシャー4を挟持する。また、先部材11には芯6を軽く保持する芯ホルダー12が内蔵される。
【0013】
更に、後軸13の側壁後部に長手方向に伸びた摺動窓13Aを形成する。また、後軸13の細径の中間部には前方から後方に伸びた凹溝13Bが上下に互いに対向して形成される。更に、後軸13の細径部には後方から前方に伸びたキー溝13Cが内面両側に互いに対向して形成される。
【0014】
また、摺動部材14は
図3及び
図4に示したように、上下の相対位置に並列した切溝14Aをそれぞれ形成し、この切溝14Aの間に前端が傾斜し後端が垂直の突起14Bを上下の相対位置に形成する。この摺動部材14の中間部両側に外方に突出したキー14Cを形成する。更に、摺動部材14の後部に後方に突出した2つの片14Dを並列に形成し、この片14Dのそれぞれの両外側面に円柱形の隆起部14Eを相対位置に形成するとともに、それぞれの内側に断面円弧状の凹陥部14Fを形成する。また、2つの片14Dの下方に後方に突出した棒状突起14Gを形成する。
【0015】
前記後軸13に中駒15を前方より挿入して圧入固着する。また、後軸13の後方から前記摺動部材14を挿入し、摺動部材14のキー14Cを後軸13のキー溝13Cに挿入する。したがって、後軸13と摺動部材14は回動不能に構成されるので、摺動部材14の上下に形成した突起14Bが後軸13の凹溝13Bに容易に合わされ互いに係合する。そして、中駒15の内鍔15Aと摺動部材14の内段14Hとの間に取付時荷重250g程度で後スプリング16を取り付け、摺動部材14を長手方向後方に付勢して突起14Bを後軸13の凹溝13B後端縁13Dに当接させる。
【0016】
クリップ17は、前部下側に受部17Aを突出させるとともに、後部下側に固定部17Bを形成する。この固定部17Bは空洞で、かつ両側壁部に互いに対向する係止孔17Cが形成される。
【0017】
このクリップ17の固定部17Bを後軸13の摺動窓13Aより挿入し、前記摺動部材14の2つの片14Dに形成した円柱形の隆起部14Eにクリップ17の固定部17Bに形成した係止孔17Cを嵌め込み、隆起部14Eを係止孔17Cに回動自在に取り付ける。更に、摺動部材14の棒状突起14Gにコイルスプリング18を挿入し、このコイルスプリング18をクリップ17の固定部17B前端と摺動部材14の端面との間に取付時荷重850g程度で取り付け、通常クリップ17の固定部17B下側を後方に付勢することによって摺動部材14の隆起部14Eを軸にしてクリップ17の前部が下方に押され、クリップ17の受部17Aが後軸13の表面に押し付けられて閉じられる。
【0018】
更に、後軸13の後方から頭冠19を挿入し、頭冠19の芯挿入筒部19Aを摺動部材14の2つの片14Dに形成した断面円弧状の凹陥部14Fに挿入するとともに、上方に隆起した隆起部19Bを2つの片14Dの間に位置させる。そして、隆起部19Bの上部に形成した係止部19Cを後軸13の摺動窓13Aに係止するとともに、頭冠19の外鍔19Dを後軸13の後端に当接し、後軸13に頭冠19を取り付ける。この頭冠19には消しゴム20が取り付けられるとともに、消しゴム20を覆うノブ21が着脱可能に螺合される。
【0019】
この後軸13を前記前軸10に着脱可能に螺合し、芯タンク7を中駒15の内鍔15Aを挿通して摺動部材14の前部内孔14I内に挿入される。この前軸10と後軸13により軸筒を構成する。前記芯タンク7の後端と摺動部材14の内鍔14Jとの間は適宜離間して構成され、振出式シャープペンシルが構成される。
【0020】
次にクリップ17の開閉操作を説明すると、
図5のクリップ17が閉じた状態からクリップ17の後部17Dを下方に押圧すると、摺動部材14の隆起部14Eを軸にしてクリップ17の前部が上方に開くとともにクリップ17の固定部17B下側でコイルスプリング18を圧縮させ
図6に示した状態となる。また、クリップ17の後方の押圧を止めればコイルスプリング18に押されてクリップ17が閉じられ
図5の状態に復帰する。
【0021】
この振出式シャープペンシルで芯6を繰り出すには、前軸10と後軸13からなる軸筒を振ることにより重量体8がコネクター2の外鍔2Aと中駒15の内鍔15Aとの間を摺動し、重量体8の慣性力によりチャック1、コネクター2及び芯タンク7を前進させて芯6を繰り出す。また、使用中の芯6が消耗して短くなった場合には、クリップ17を前方に移動させ、クリップ17とともに摺動部材14を前進させる。すると、摺動部材14の内鍔14Jが芯タンク7の後端に当接し、芯タンク7、コネクター2及びチャック1を前進させ、芯タンク7内の芯6をチャック1内に追従させる。
【0022】
また、芯タンク7内に芯6を補充する場合は、頭冠19からノブ21及び消しゴム20を外し、頭冠19の芯挿入筒部19Aより芯タンク7内に芯6を挿入する。
【0023】
この実施例1の場合には、コイルスプリング18が下方に位置されて芯6の挿入孔を構成できるので、クリップ17が開閉可能にもかかわらず芯タンク7内に確実に芯6を挿入することができる。
【実施例2】
【0024】
以下、
図7に基づいて本発明における実施例2の振出式シャープペンシルを説明する。尚、
図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。摺動部材114の後部に後方に突出した2つの片114Dを並列に形成し、この片114Dの両外側面に円形の穴部114Kを相対位置に形成するとともに、内側に断面円弧状の凹陥部114Fを形成する。また、2つの片114Dの下方に後方に突出した棒状突起114Gを形成する。この摺動部材114を後軸13の後方から挿入し、摺動部材114のキー114Cを後軸13のキー溝13Cに挿入する。
【0025】
クリップ117は、後部下側に固定部117Bを形成し、この固定部117Bは空洞で、かつ固定部117Bの両側壁部内側に互いに対向する係止突起117Eを形成する。
【0026】
このクリップ117の固定部117Bを後軸13の摺動窓13Aより挿入し、前記摺動部材114の2つの片114Dに形成した穴部114Kにクリップ117の固定部117Bに形成した係止突起117Eを嵌め込み、クリップ117の係止突起117Eを摺動部材114の穴部114Kに回動自在に取り付ける。
【0027】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、前軸、後軸、グリップ、中駒、摺動部材、クリップ、頭冠、ノブといった部材は複数の部材を固着して一体化しても良い。また、前軸と後軸を一体に構成して軸筒を構成しても良い。更に、先部材の一部に弾性片を形成して芯ホルダーとしても良い。更にまた、コネクターと芯タンクを一体に構成しても良い。