(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の技術においては、発光装置の光取り出しに関して以下に述べる問題がある。
二酸化チタン(TiO
2)等を金属反射膜の表面に被覆しても、その被覆の箇所によっては、基体や導体部等により光の吸収損失がおこり、光取り出し効率が十分に向上しない。
【0014】
発光素子を配置させる基体には、発光素子実装面に、またFD素子のダイスでは、ダイスの底面およびその周辺に、電極部材における正極と負極との絶縁を確保するため、例えば数百ミクロン程度の絶縁領域(以下、適宜、導電部スリット(溝部)という)が必要になり、この絶縁領域により、基体が露出してしまう。この露出した部分(漏れ部)では、光が基体から漏れ、かつこの光の漏れる方向が光を取り出す方向と逆となるため、光の損失となる。
【0015】
また、保護素子や発光素子の導通において、Au等の青色領域の光吸収能が高い材料をワイヤに用いた場合、このワイヤは発光素子の近傍に存在するため、光の吸収損失が起こり、光取り出し効率が低下するという問題もある。
さらに、上記特許文献4〜6においては、これらの問題については解決策が示されていない。また、特許文献6に提案される高反射性樹脂層は、樹脂と粉体との混合物であるため、成形性の問題があり、特に高反射性粉体材料を多く含有させた場合には成形性が低下する傾向があることが開示されている(段落0022等)。
【0016】
特許文献7においては、発光素子から照射される光が、導電性バンプやリードに吸収される。そのため、導電性バンプやリード等の部材による光の吸収を低減し、光取り出し効率を向上させることが要望されている。
また、照明分野では、均一な配光色の要望も高くなってきている。
【0017】
また、発光素子への反射部材の被覆について着目した場合、発光素子を構成する透光性基板や半導体層において、透光性基板の側面の全てや上面がTiO
2等の反射部材で被覆されると、反射部材による光の吸収により、光取り出し効率が低下する。また、導電部材等を樹脂で被覆しようとすると、透光性基板の側面まで樹脂が這い上がり、側面の全てが被覆されてしまう。なお、樹脂が這い上がらないような粘度に調整した場合、粘度を高くするために反射性物質の含有量が多くなり、薄く導電部材全面に被覆することが難しくなる。さらに、半導体層の側面が反射部材で被覆されないように反射部材を設けると、透光性部材に蛍光体を含有する場合に、蛍光体が沈降することで半導体層が蛍光体に埋もれてしまう。そのため、蛍光体下層での励起・発光割合が増え、厚い蛍光体層を通り抜ける間に再び蛍光体に光が吸収されてしまい、光取り出し効率が低下する。
【0018】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、発光素子からの光を効率よく外部に取り出すことができる発光装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
また、基体上の導電部材等を反射部材、例えば絶縁性のフィラーで被覆することで、発光装置を構成する部材の劣化やこの部材による光の吸収を抑制し、また発光素子の透光性基板の側面の一部や上面を露出することで、発光素子からの光を効率良く外部に取り出すことができると共に、信頼性の高い発光装置および発光装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、半導体層と透光性基板とを有する発光素子と、前記透光性基板の側面の少なくとも一部及び上面を露出し、かつ、前記半導体層の側面を被覆する反射部材と、前記透光性基板のうち、前記反射部材から露出された部分を被覆する透光性部材と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、透光性基板の側面の少なくとも一部及び上面が露出していることで、反射部材による光の吸収が抑制され、光取り出し効率の低下が抑制される。
【0021】
本発明に係る発光装置は、さらに、基体と、前記基体上に設けられた導電部材と、を有し、前記発光素子が前記導電部材上に載置され、前記導電部材の表面において、少なくとも前記発光素子が載置されていない部位を前記反射部材である絶縁性のフィラーが被覆しており、前記透光性部材が前記発光素子を被覆している構成であってもよい。
ここで、「発光素子が載置されていない部位」とは、発光装置の上面側から見て、発光素子の外形よりも外側にある部位のことをいうものとする。つまり、上面側から見たときに、発光素子の直下となり隠れる部位については、必ずしも絶縁性のフィラーが被覆されていなくてもよい。ただし、発光素子の直下となる部位についても絶縁性のフィラーが被覆されていてもよい。
【0022】
このような構成によれば、基体上に形成された導電部材の表面に絶縁性のフィラーが被覆されているため、導電部材における光の反射効率が向上する。また、導電部材の表面に絶縁性のフィラーが被覆されているため、導電部材には反射率の高い特定の部材を必ずしも用いる必要がなく、劣化や腐食がおこりにくい安定した部材を用いることができる。また、導電部材の表面がフィラーで被覆されているため、導電部材の一部が劣化や腐食したとしても、フィラーによる光の反射により、発光装置の光の取り出し効率が低下することを抑制することができる。
【0023】
本発明に係る発光装置は、前記基体が凹部を有し、前記導電部材が前記凹部の底面及び側面に設けられ、前記発光素子が前記凹部の底面に載置されている構成であってもよい。
そして、前記凹部の側面において、前記凹部の上端面と接する部分には、導電部材が形成されていない領域を有することが好ましく、前記凹部の側面において、前記凹部の底面と接する部分には、導電部材が形成されていない領域を有することが好ましい。
【0024】
また、前記凹部の上端面側において、前記凹部の側面に段差を有しており、前記段差の側面には、導電部材が形成されていない領域を有することが好ましい。さらに、前記段差の底面のうち、最も上方に位置する面と、前記透光性部材の表面との最短距離が、前記凹部の高さの1/5以下であることが好ましく、前記透光性部材の表面が凹形状であることが好ましい。
また、前記フィラーは5μm以上の厚みで被覆されていることが好ましい。
【0025】
前記発光装置は、前記フィラーの反射率が、発光波長の光に対して50%以上であることが好ましい。
このような構成によれば、発光装置の光の取り出し効率が向上する。
【0026】
前記発光装置は、前記フィラーが、前記発光素子の表面を被覆しており、1つの発光素子における前記フィラーに被覆された表面積が、前記1つの発光素子の全体の表面積の50%未満であることが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、発光素子からの発光がフィラーにより妨げられる割合が低いため、発光素子からの光の出力低下が抑制される。
【0028】
さらに、前記発光装置は、前記導電部材が、正の電極と、負の電極と、を有しており、これらの電極が前記基体上で離間して設けられ、前記電極間の少なくとも一部に、前記フィラーが被覆されていることが好ましい。
【0029】
このような構成によれば、前記電極間に生じる導電部スリット(溝部)にもフィラーが被覆されるため、この導電部スリット(溝部)を介して、基体の底部から光が漏れることが抑制される。これにより、さらに光の取り出し効率を向上させることができる。
【0030】
そして、前記電極間の距離、すなわち、導電部スリット(溝部)の幅は、200μm以下とするのが好ましい。
導電部スリット(溝部)の幅を200μm以下とすることで、フィラーが溝部を被覆し易くなる。
【0031】
前記発光装置は、前記発光素子が、フリップチップ実装された発光素子であることが好ましい。
このような構成によれば、発光素子をワイヤレスにすることができ、発光素子の導電性ワイヤによる光吸収が防止され、光取り出し面側から発光した光を効率良く取り出すことができる。また、フリップ実装された発光素子の外周部や下部はフィラーで被覆されているため、発光素子の発光面側からの光を反射して外部に効率良く取り出すことができる。
【0032】
前記発光装置には、保護素子が実装されており、この保護素子における表面の50%以上を前記フィラーが被覆していることが好ましい。
このような構成によれば、保護素子による光の吸収損失を抑制することができる。
【0033】
前記フィラーの少なくとも一部は、遮光性部材により被覆されていることが好ましい。
このような構成によれば、フィラーと遮光性部材によって発光素子からの光を反射するため、光取り出し効率を向上させることができる。
【0034】
前記遮光性部材は、前記基体の側壁を被覆していることが好ましい。
このような構成によれば、発光素子からの光を遮光性部材により反射して光の取り出し効率を向上させることができる。
【0035】
前記透光性部材は、前記発光素子の他に、前記フィラーを被覆していることが好ましい。
このような構成によれば、フィラーの表面を保護することができる。
【0036】
本発明に係る発光装置は、基体と、前記基体上に設けられた導電部材と、前記導電部材上に載置された発光素子と、前記導電部材の電極となる部位と前記発光素子の電極端子とを電気的に接続するワイヤと、前記発光素子が載置されていない導電部位及び前記ワイヤの下面を被覆する絶縁性のフィラーと、前記発光素子及び前記フィラーを被覆する透光性部材と、を備えることを特徴とする。
【0037】
このような構成によれば、ワイヤの下面をフィラーで被覆することにより、発光素子からワイヤに直接照射される光がワイヤに吸収される吸収量を低減することができる。特に、ワイヤの下面は発光素子からの光が直接照射される位置になるため、このワイヤ下面にフィラーが形成されているとワイヤによる光吸収を効果的に抑制することができる。
【0038】
前記フィラーの隙間部には透光性部材が含浸していることが好ましい。
このような構成によれば、フィラーと透光性部材との密着力を向上させることができる。透光性部材は、発光素子からの光を透過させて外部に取り出す部材であり、また発光素子を封止する部材であるため、封止部材と呼ぶこともある。
また、発光装置に遮光性部材を有する場合には、フィラーの隙間部には遮光性部材も含浸しているため、フィラーと遮光性部材との密着力を向上させることができる。
【0039】
さらに、前記フィラーが被覆されている領域において、前記フィラーは前記含浸された透光性部材に対して、50体積%よりも多く含有されていることが好ましい。
【0040】
本発明は、半導体層と、前記半導体層の表面に配置される正電極及び負電極と、を有する発光素子と、前記正電極及び負電極に接合される導電部材と、前記正電極及び負電極の側面と前記導電部材の側面とを被覆する反射部材と、前記発光素子における前記電極が形成された面と対向する上面及び側面を覆う透光性部材と、を有することを特徴とする。
【0041】
かかる構成によれば、発光素子の電極の周囲に反射部材を形成するので、発光素子の下方に光が漏れにくい構造とすることができる。よって、発光素子の下方に光が入射することにより生じる光の損失を低減することができる。また、反射部材が、発光素子の下方に入射する光を反射することで光取り出し効率を高めることができる。
【0042】
また、本発明に係る発光装置は、前記反射部材は、前記発光装置の側面に露出していることが好ましい。かかる構成によれば、発光装置の下方での光の吸収が抑制される。
【0043】
また、本発明に係る発光装置は、前記透光性部材と前記反射部材との界面が、前記発光素子の側面側に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、発光素子の上面及び側面から光を取り出すことができる。
【0044】
また、本発明に係る発光装置は、前記発光素子の上面から前記透光性部材の上面までの厚みが、前記発光素子の側面から前記透光性部材の側面までの厚みと略同一であることが好ましい。かかる構成によれば、ニアフィールドにおいて良好な配光特性を得ることができる。
一方、前記発光素子の側面から前記透光性部材の側面までの厚みが、前記発光素子の上面から前記透光性部材の上面までの厚みよりも薄くなるように形成することで、ファーフィールドにおいて良好な配光特性を得ることができるため、このように形成してもよい。
【0045】
また、本発明に係る発光装置において、前記透光性部材は、波長変換部材が含有されてなることが好ましい。かかる構成によれば、所望の波長を有する光を出射できる発光装置となる。また、実装基板上に載置する前に色選別を行うことが可能であるため、発光素子を実装後の歩留まりが向上する。
【0046】
本発明に係る発光装置の製造方法は、支持基板の上に複数の発光素子の電極を接着する工程と、前記支持基板の上に、少なくとも前記発光素子の電極の周囲に反射部材を、電解鍍金法、電着塗装法又は静電塗装法によって形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0047】
かかる手順によれば、発光素子の電極の周囲に反射部材を形成するので、発光素子の下方に光が進行することにより生じる光の損失を低減することができる。また、反射部材を形成する工程の直前の状態において露出している導電部に反射部材を容易に形成することができる。
【0048】
本発明に係る発光装置の製造方法は、支持基板である基体上に導電部材を形成する工程と、前記導電部材上に、発光素子を載置するダイボンディング工程と、前記導電部材の表面のうち、前記発光素子が形成されていない部位を、電解鍍金法、電着塗装法又は静電塗装法により反射部材である絶縁性のフィラーで被覆する工程と、前記発光素子を透光性部材で被覆する工程と、を具備することを特徴とする。
【0049】
このような発光装置の製造方法によれば、上述した所定の効果を奏する発光装置を提供することができる。
【0050】
また、前記基体が凹部を有し、前記凹部の底面及び側面に導電部材を形成し、前記凹部の底面に発光素子を載置することが好ましい。また、前記フィラーは5μm以上の厚みで被覆されていることが好ましい。
【0051】
また、前記ダイボンディング工程の後に、前記導電部材の電極となる部位と前記発光素子の電極端子とをワイヤにより電気的に接続するワイヤボンディング工程を有し、前記フィラー被覆工程において、前記ワイヤの下面を被覆するようにフィラーを形成することが好ましい。また、前記フィラーを遮光性部材で被覆する工程を有することが好ましい。
【0052】
本発明に係る発光装置の製造方法は、前記反射部材の上に、透光性部材を形成することにより、前記発光素子の側面及び上面を被覆する工程と、前記支持基板を除去し、前記反射部材及び透光性部材を分割することにより前記発光素子を個片化する工程と、を含むものとしてもよい。
【0053】
また、本発明に係る発光装置の製造方法は、前記透光性部材を形成する工程において、前記反射部材に前記透光性部材を含浸させることが好ましい。
かかる手順によれば、反射部材を効率よく固着させることができる。
【0054】
また、本発明に係る発光装置の製造方法において、前記透光性部材は、波長変換部材が含有されてなることが好ましい。かかる手順によれば、発光素子を個片化する段階において、波長変換部材を含有する透光性部材の厚みを調整することができ、色ムラの少ない発光装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明に係る発光装置によれば、導電部材をはじめ、その他の導体部による光の吸収を抑制することができるため、発光素子からの光を効率良く取り出すことができ、高出力化を図ることができる。
さらに、本発明に係る発光装置によれば、導電部スリットをフィラーで被覆することで、基体の底面から漏れる光を抑制することができるため、発光素子からの光をさらに効率良く取り出すことができ、さらなる高出力化を図ることができる。
【0056】
また、この発光装置は、光を反射する絶縁性のフィラーを被覆することで、導電部材には反射率が高い特定の材料に限定しなくても、光の取り出し効率を向上させることができる。さらに、絶縁性のフィラーを厚膜で形成することにより、導電部材の変色や腐食が抑制される。これらにより、信頼性の向上を図ることができる。
【0057】
さらに本発明の発光装置によれば、発光素子の電極の周囲に反射部材を形成することで、発光素子の下方に光が漏れにくい構造とすることができる。よって、発光素子の下方に光が入射することにより生じる光の損失を低減することができる。また、反射部材が、発光素子の下方に入射する光を反射することで光取り出し効率を高めることができる。
【0058】
本発明に係る発光装置の製造方法によれば、高出力で信頼性の高い発光装置を製造することができる。
また、本発明の発光装置の製造方法によれば、発光素子の電極の周囲に反射部材を形成することで、発光素子の下方に光が進行することにより生じる光の損失を低減することができる。また、反射部材が、発光素子の下方に進行する光を反射することで光取り出し効率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明に係る発光装置およびその製造方法の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。ただし、第5、第6実施形態およびこれらの変形例については、便宜上、別の符号を付している場合がある。
【0061】
まず、基体を設ける形態のものとして、第1〜第4実施形態として説明する。なお、第1〜第4実施形態において、FD素子を用いた発光装置は符号100とし(第1、第3実施形態)、FU素子を用いた発光装置は符号200とする(第2、第4実施形態)。
【0062】
[第1実施形態]
第1実施形態では、FD素子を用いた発光装置について説明する。
まず、発光装置の全体構成について、各構成について取り上げながら説明し、その後、各部材等の材料等について説明する。
【0063】
<全体構成>
図1、
図2に示すように、発光装置100は、半導体層11と透光性基板(以下、適宜、基板という)10とを有する発光素子104と、透光性基板10の側面の少なくとも一部及び上面を露出し、かつ、半導体層11の側面を被覆する反射部材114と、透光性基板10のうち、反射部材114から露出された部分を被覆する透光性部材108と、を備えたものである。
【0064】
ここでは、
図1、
図2に示すように、発光装置100は、少なくとも1つの発光素子104(ここでは、2つ)を搭載した発光装置100であり、基体101と、基体101上に設けられた導電部材102a,102bと、導電部材102a,102b上に載置された発光素子104と、導電部材102a,102bの表面において、少なくとも発光素子104が載置されていない部位を被覆する反射部材(ここでは、絶縁性のフィラー114を用いるものとする)と、発光素子104を被覆する透光性部材108と、を主に備える。さらに、ここでは、基体101上の導電部材102a,102b上に設けられた金属部材103、保護素子105、ワイヤ106を備えている。
【0065】
[基体]
基体101は、発光素子104や保護素子105等の電子部品を収容して保護するものである。
【0066】
図2(a)に示すように、基体101は、上面を開口部とする凹部109を有しており、この凹部109により、底面120と側面130が形成されている。そして、この凹部109の底面120には、導電部材102a,102bが設けられている。
【0067】
基体101の材料としては、絶縁性部材が好ましく、発光素子104から放出される光や外光等が透過しにくい部材が好ましい。また、ある程度の強度を有するものが好ましい。より具体的には、セラミックス(Al
2O
3、AlN等)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン(bismaleimide triazine resin)、ポリフタルアミド(PPA)等の樹脂が挙げられる。なお、基体101の材料に樹脂を用いる場合は、ガラス繊維や、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3等の無機フィラーを樹脂に混合し、機械的強度の向上、熱膨張率の低減、光反射率の向上等を図ることもできる。
【0068】
[導電部材]
導電部材102a,102bは、外部と、発光素子104や保護素子105等の電子部品とを電気的に接続し、これら電子部品に、外部からの電流(電力)を供給するための部材であるとともに、その表面に絶縁性のフィラーを被覆させるための部材である。すなわち、外部から通電させるための電極またはその一部としての役割を担うものである。
【0069】
図2(a)に示すように、導電部材102a,102bは、基体101の裏面140にも設けられ、凹部109の底面120の導電部材102a,102bとは、基体101内部で、それぞれ電気的に連続するように(一体となるように)設けられている。このような構成により、導電部材102a,102bを、通電させるための電極材として用いる以外に、放熱部材としての機能を付与させることもできる。また、導電部材102a,102bを基体101の凹部109内の側面(側壁)130にも延在させてもよい。
【0070】
また、ここでは、導電部材102a,102bが、正の電極と、負の電極と、を有しており、これらの電極が基体101上で離間して設けられ、前記電極間の少なくとも一部に、フィラー114が被覆されている。すなわち、導電部材102a,102bは、正の電極(アノード)としての導電部材102aと、負の電極(カソード)としての導電部材102bとに、基体101上に水平に(横方向に)分別されて設けられている。これにより、電極間(導電部材102a,102b間)に、導電部スリット(溝部)Gが形成されている。そして、この導電部材102a,102bに跨がるように、発光素子104が載置されている。
【0071】
この電極間(導電部材102a,102b間)、すなわち、導電部スリット(溝部)Gの少なくとも一部は、後記するように、フィラー114により被覆されていることが好ましい。(
図5(b)参照)。これにより、この溝部Gを介して光が漏れるのを防止することができる。また、溝部Gがフィラー114により完全に被覆されている場合には、この溝部Gを介して下部方向に光が漏れることをより効果的に防止することができる。さらに、溝部Gが完全に被覆され、かつ、発光素子104を除く発光装置内の光が照射される領域の80%以上をフィラーが被覆していることが好ましい。この溝部Gの幅は、200μm以下とするのが好ましい。溝部Gの幅が200μm以下であると、フィラー114が溝部を被覆し易くなる。また、溝部Gの幅を100μm以下とすることで、フィラーが溝部をより被覆し易くなり、さらに好ましい。溝部Gは、フィラーで完全に被覆されていることがより好ましい。
【0072】
また、下限については、限定されるものではないが、電極同士の接触を防止する観点から、30μm以上が好ましい。なお、発光素子104の下部(下方)に位置する溝部Gにもフィラー114は回り込んで被覆されてもよい。発光素子104の下部(下方)に位置する溝部Gおよび接合部材111間は、フィラーの114の他に透光性部材108で封止される。また、溝部Gは、フィラー114で被覆されなくても良く、透光性部材108で充填されなくてもよい。さらに、溝部Gがフィラー114で被覆されない場合に、遮光性樹脂を塗布することで、溝部Gを被覆してもよい。
【0073】
導電部材102a,102bの材料は、基体101として用いられる材料や、発光装置100の製造方法等によって適宜選択することができる。例えば、基体101の材料としてセラミックを用いる場合は、導電部材102a,102bの材料は、セラミックスシートの焼成温度にも耐え得る高融点を有する材料が好ましく、例えば、タングステン、モリブデンのような高融点の金属を用いるのが好ましい。
【0074】
また、基体101の材料としてガラスエポキシ樹脂等を用いる場合は、導電部材102a,102bの材料は、加工し易い材料が好ましく、また、基体101の材料として射出成型されたエポキシ樹脂を用いる場合は、導電部材102a,102bの材料は、打ち抜き加工、エッチング加工、屈曲加工等の加工がし易く、かつ、比較的大きい機械的強度を有する部材が好ましい。具体例としては、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属、または、鉄−ニッケル合金、りん青銅、鉄入り銅、モリブデン等が挙げられる。
【0075】
[金属部材]
また、導電部材の表面を被覆する金属部材をさらに設けてもよい。本明細書中において、「導電部材の表面を被覆するフィラー」とは、導電部材の上に金属部材を介し、金属部材の表面にフィラーが被覆されているものも含むものとする。ただし、この金属部材は省略することが可能である。
【0076】
金属部材103は、導電部材102a,102bの表面を被覆することで、導電部材102a,102bにおける光反射の効率を向上させるものである。ただし、この金属部材103は省略することが可能である。また、この金属部材103は反射率の高い部材とする必要はなく、導電部材102a,102bと一体化させたものとしてもよい。
【0077】
図2(a)に示すように、基体101上、すなわち、凹部109の底面120の導電部材102a,102b上には、金属部材103が設けられている。また、
図2(a)に示すように、基体101の裏面140に露出した導電部材102a,102bの表面にも、金属部材103を被覆してもよい。なお、金属部材103は基体101内に埋設されている導電部材102a,102bにまで設ける必要はない。
【0078】
金属部材103の材料としては、鍍金ができるものであれば特に限定されないが、例えば、銀のみ、あるいは、銀と、銅、金、アルミニウム、ロジウム等との高反射率の金属との合金、または、これら、銀や各合金を用いた多層膜等を用いることができる。好ましくは、熱伝導率等に優れた金を単体で用いることである。また、金属部材103の膜厚は、0.05μm〜50μm程度の金属箔であることが好ましく、多層膜とする場合は、層全体の厚さをこの範囲内とするのが好ましい。また、金属部材103の形成方法は、鍍金法の他にスパッタ法や蒸着法等を用いることができる。
なお、金属部材103として反射性に優れる銀を用いなくても、光反射性を有する絶縁性のフィラー114を被覆するため、光取り出し効率の低下が抑制される。
【0079】
[発光素子]
発光素子104は、一方の主面にパターニングされた電極を有するFD素子であり、凹部109の底面120に、接合部材111により接合されて載置(フリップチップ実装)され、接合部材111および金属部材103を介して、導電部材102a,102bと接続されている。
【0080】
発光素子104は、
図2(b)に示すように、基板10と、基板10の上に積層された半導体層11を有する。この半導体層11はn型半導体層、活性層、p型半導体層が順に積層されており、n型半導体層にn型電極16が形成されており、p型半導体層にはp型電極14が形成されている。フェースダウン実装するFD素子の場合、半導体層11上に形成された電極が導電部材102a,102b上に実装される。この発光素子104の実装方法は、
図4(a)に示すように接合部材111として半田ペーストを用いた実装や、半田等を用いたバンプによる実装が用いられる。また、発光素子104の半導体層11は、
図2(b)に示すように絶縁性の保護膜13で被覆されていることが好ましい。なお、
図2(b)に示すFD素子の発光素子104を他の図面では更に簡略化して示す。
【0081】
発光素子104としては、発光ダイオードを用いるのが好ましく、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色(波長430nm〜490nmの光)、緑色(波長490nm〜570nmの光)の発光素子104としては、ZnSe、窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaP等を用いることができる。また、赤色(波長620nm〜750nmの光)の発光素子104としては、GaAlAs、AlInGaP等を用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。
【0082】
なお、蛍光物質を用いた発光装置100とする場合には、その蛍光物質を効率良く励起できる短波長の発光が可能な窒化物半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に用いられる。そして、半導体層11の材料やその混晶を調整することによって、発光波長を種々選択することができる。また、発光素子104の構造は、基板10上に積層した半導体層11上に両電極を形成した構造、または半導体層11上面と基板10面とで上下方向に電極を設ける構造のどちらを選択してもよい。さらに、これら以外の材料からなる発光素子104を用いることもできる。なお、用いる発光素子104の成分組成や発光色、大きさ、個数等は、目的に応じて適宜選択することができる。
また、可視光領域の光だけでなく、紫外線や赤外線を出力する発光素子104とすることもできる。
【0083】
[フィラー(反射部材)]
フィラー114は、絶縁性であり、発光装置100の導体部を被覆するものであり、光の取り出し効率の低下を抑制する役割を担う。なお、反射部材114は、白色のフィラーであることが好ましく、また、主として無機化合物を用いることが好ましい。
【0084】
図2(a)に示すように、凹部109の底面120に形成された導電部材102a,102bにおける金属部材103の表面のうち、発光素子104や保護素子105が載置されていない部位は、フィラー114で被覆されている。発光素子104の周辺領域や接合部材111の側面、導電部スリットの露出部は、フィラー114により被覆されている。
【0085】
このように、導電部材をフィラー114で被覆することで、光吸収を抑制することができる。なお、フィラー114で被覆する領域は、発光装置100の光取り出し面側において、主に導体部(導電体)が露出している領域である。少なくとも導電体露出部の50%以上を被覆することが好ましい。更には、露出されている導電体の表面のほぼ全域を被覆することが好ましい。なお、絶縁部材が被覆された部位には、後記する電着塗装等ができないため、フィラー114はほとんど被覆されない。
【0086】
さらには、フィラー114によって、保護素子105や導電性ワイヤ106を被覆していることが好ましい。また、基体101の裏面に露出している導電部材102a,102bにはフィラー114を被覆させない。
【0087】
発光素子104においては、半導体層11には、保護膜(絶縁膜)13が被覆されている。ここで、本発明においては、透光性基板10の側面の少なくとも一部及び上面は露出しており、かつ、半導体層11の側面はフィラー114で被覆されている。すなわち、ここでは、半導体層11の側面の全てがフィラー114で被覆されるとともに、基板10の側面の一部はフィラー114により被覆されており、基板10の側面の他の部位及び上面はフィラー114から露出されている。
【0088】
基板10の側面の少なくとも一部及び上面が露出していることで、フィラー(反射部材)114による光の吸収が抑制されるため、光取り出し効率の低下を抑制することができる。すなわち、側面の少なくとも一部及び上面がフィラー114から露出していることで、発光素子104からの発光がフィラー114により妨げられず、発光素子104からの光の出力低下を抑制することができる。
【0089】
また、導電部材102a,102b等を樹脂で被覆しようとすると、基板10の側面まで樹脂が這い上がり、側面の全てが被覆されてしまう。なお、樹脂が這い上がらないような粘度に調整した場合、粘度を高くするために反射性物質の含有量が多くなり、薄く導電部材全面に被覆することが難しくなる。本発明においては、樹脂を用いないため、基板10の側面の全てを被覆することなく、導電部材102a,102b等にフィラー114を被覆することができる。
また、半導体層11の側面がフィラー114で被覆されていることで、光の取り出し効率を向上させることができる。また、透光性部材108が蛍光体を含有する場合に、蛍光体が沈降しても半導体層11が蛍光体に埋もれてしまうことがない。そのため、蛍光体による光の吸収が抑制され、光取り出し効率の低下を抑制することができる。また、蛍光体による光変換をなるべく光取り出し側で行うことができるという点でも、光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0090】
サファイア基板等の絶縁性基板は、後記する電着塗装等ができないため、電着塗装等によっては、基板10にはフィラー114は被覆されないが、フィラー114の塗布量や厚み等によっては、基板10の表面(基板10側面の一部(基板10の下部))がフィラー114によって被覆される。また、保護膜13で被覆されていない半導体層11は、フィラー114に被覆される。また、
図8(b)に示すように、発光素子204にFU素子を用いた場合に、発光素子を載置させるために、基板20の下部(裏面)に導電体である接合層123を設けた場合には、基板20の裏面における接合層123にもフィラー114の一部が付着する。
【0091】
フィラー114としては、白色のフィラーであれば、光がより反射され易くなり、光の取り出し効率の向上を図ることができる。また、フィラー114としては、無機化合物を用いるのが好ましい。ここでの白色とは、フィラー自体が白色であっても良いし、また透明であった場合でも、フィラーの周りの材料と屈折率差がある場合に散乱で白色に見える物も含む。
【0092】
ここで、フィラー114の反射率は、発光波長の光に対して50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。このようにすれば、発光装置100の光の取り出し効率が向上する。
【0093】
さらに、1つの発光素子104におけるフィラー114に被覆された表面積は、前記1つの発光素子104の全体の表面積の50%未満であることが好ましい。このようにすれば、発光素子104からの発光がフィラー114により妨げられる割合が低く、発光素子104からの光の出力低下を抑制することができる。複数の発光素子104を搭載している場合、全ての発光素子のそれぞれにおいて、フィラー114の被覆された表面積が1つの発光素子104の全体の表面積の50%未満であることが好ましい。また、フィラー114は、保護素子105における表面(露出部)の50%以上を被覆していることが好ましい。このようにすれば、保護素子105による光の吸収損失を抑制することができる。
【0094】
このような無機化合物のフィラー114に含有される材料としては、具体的には、SiO
2、Al
2O
3、Al(OH)
3、MgCO
3、TiO
2、ZrO
2、ZnO
2、Nb
2O
5、MgO、Mg(OH)
2、SrO、In
2O
3、TaO
2、HfO、SeO、Y
2O
3等の酸化物、SiN、AlN、AlON等の窒化物、MgF
2等のフッ化物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。あるいは、これらを積層させるようにしてもよい。
【0095】
また、フィラー114の粒径は、φ1nm〜10μm程度が好ましい。フィラー114の粒径をこの範囲とすることで、被覆するのに適度な粒径であるため、フィラー114の被覆が容易となる。なお、フィラー114の粒径は、好ましくは、φ100nm〜5μm、さらに好ましくはφ200nm〜2μmである。また、フィラーの形状は、球形でも鱗片形状でもよい。
【0096】
ここで、
図29(a)、(b)に、フィラー114が堆積されている状態の一例として、発光装置100の凹部109における底面120近傍の断面のSEMによる部分拡大写真を示す。なお、
図29(a)は、1目盛2μm、(b)は、1目盛0.2μmである。
【0097】
この写真では、粒径φ250nm程度のフィラー114(球形、鱗片形状を含む)を、導電部材102a上(ここでは、金属部材103が形成されているため、金属部材103上)に電気泳動により堆積させ、透光性部材108をフィラー114に含浸させている。このとき、フィラー114は含浸される透光性部材108に対して、50体積%よりも多く含有することが好ましく、さらに65体積%以上含有していることが好ましい。また、別の観点から、透光性部材108を含浸させた後のフィラー114が堆積された部分の断面観察において、断面積の50%以上にフィラー114が露出されていることが好ましく、65%より多いことがさらに好ましい。
【0098】
ここで、樹脂材料にフィラー114を含有させ、それを塗布するような場合は、樹脂材料に対して65体積%より多くフィラー114を含有させると、成形性が低下する。また、65体積%以下の場合であっても、樹脂量の制御が困難であり、さらに、所定量の樹脂を、所望の箇所に適切に配置することも困難である。しかしながら、後記する本実施の形態の製造方法によれば、フィラー114を高密度に被覆することが可能であり、その厚みも薄くすることが可能である。
【0099】
[透光性部材]
透光性部材108は、基体101に載置された発光素子104、保護素子105、ワイヤ106、フィラー114等を、塵芥、水分、外力等から保護する部材である。
図2(a)に示すように、基体101の凹部109内部は、透光性部材108により、被覆(封止)されている。また、フィラー114と透光性部材108との密着力を向上させるため、フィラー114とフィラー114の間、すなわちフィラー114の隙間部に透光性部材108が含浸していることが好ましい。なお、発光素子104をFD素子とし、発光素子104の外周を遮光性部材で被覆する構造においては、透光性部材108は、省略することもできる。
【0100】
透光性部材108の材質は、発光素子104からの光を透過可能な透光性を有するものが好ましい。具体的な材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂等を挙げることができる。このような材料に加え、所望に応じて着色剤、光拡散剤、フィラー、蛍光部材等を含有させることもできる。なお、透光性部材108は単一の部材で形成することもできるし、あるいは、2層以上の複数の層として形成することもできる。また、透光性部材108の充填量は、基体101の凹部に載置される発光素子104、保護素子105、ワイヤ106等が被覆される量であればよい。なお、透光性部材108にレンズ機能をもたせる場合には、透光性部材108の表面を盛り上がらせて砲弾型形状や凸レンズ形状としてもよい。
【0101】
[ワイヤ]
ワイヤ106、206(
図8参照)は、FU素子や保護素子105における電極端子と、基体101の凹部109に配される導電部材102a,102bの電極となる部位とを電気的に接続するものである。ワイヤ106、206の材料は、金、銅、白金、アルミニウム等の金属、および、それらの合金を用いたものが挙げられるが、特に、熱伝導率等に優れた金を用いるのが好ましい。
【0102】
[保護素子]
保護素子105は、例えば、ツェナーダイオード等の役割を担うものであり、必要に応じて設ければよい。
図4(b)に示すように、保護素子105は、凹部109の底面120に、接合部材110、例えば、Agペーストにより接合されて載置(実装)され、保護素子105の底面に設けられた金属層(図示省略)および金属部材103を介して、導電部材102aと接続されている。また、保護素子105の上面には、ワイヤ106が接続されており、このワイヤ106が、金属部材103を介して導電部材102bに接続されて、保護素子105と導電部材102bとが、電気的に接続されている。
【0103】
[接合部材]
接合部材(ダイボンド部材)111は、発光素子104をFD素子とする場合、発光素子104の電極と導電部材102a,102bとを電気的に接続するものであり、また発光素子104を基体101に接着させる部材である。この接合部材111には導電性の部材を用い、具体的な材料としては、Au含有合金、Ag含有合金、Pd含有合金、In含有合金、Pb−Pd含有合金、Au−Ga含有合金、Au−Sn含有合金、Sn含有合金、Au−Ge含有合金、Au−Si含有合金、Al含有合金、Cu−In含有合金、金属とフラックスの混合物等を挙げることができる。
【0104】
発光装置をフェースアップ実装する場合、接合部材111には、必ずしも導電性の部材を用いる必要はなく、絶縁性のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂(樹脂組成物)を用いることができる。
【0105】
また、接合部材111としては、液状、ペースト状、固体状(シート状、ブロック状、粉末状)のものを用いることができ、組成や基体101の形状等に応じて、適宜選択することができる。また、これらの接合部材111は、単一部材で形成してもよく、あるいは、数種のものを組み合わせて用いてもよい。さらに、特に透光性の接合部材を用いる場合は、その中に発光素子からの光を吸収して異なる波長の光を発光する蛍光部材を含有させることもできる。
【0106】
[波長変換部材]
前記した透光性部材108や、後記する遮光性部材207(
図8(a)参照)中に、波長変換部材として発光素子104からの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を発する蛍光部材を含有させることもできる。
【0107】
蛍光部材としては、発光素子104からの光を、より長波長に変換させるものの方が効率がよい。蛍光部材は、1種の蛍光物質等を単層で形成してもよいし、2種以上の蛍光物質等が混合されたものを単層として形成してもよい。あるいは、1種の蛍光物質等を含有する単層を2層以上積層させてもよいし、2種以上の蛍光物質等がそれぞれ混合された単層を2層以上積層させてもよい。
【0108】
蛍光部材としては、例えば、窒化物系半導体を半導体層とする半導体発光素子からの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換するものであればよい。
蛍光部材は、例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される、窒化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体を用いることができる。より具体的には、大別して下記(1)〜(3)にそれぞれ記載された中から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。
【0109】
(1)Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活される、アルカリ土類ハロゲンアパタイト、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン、アルカリ土類金属アルミン酸塩、アルカリ土類金属硫化物、アルカリ土類金属チオガレート、アルカリ土類金属窒化ケイ素、ゲルマン酸塩等の蛍光体
(2)Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される、希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩、アルカリ土類金属希土類ケイ酸塩等の蛍光体
(3)Eu等のランタノイド系元素で主に賦活される、有機または有機錯体等の蛍光体
【0110】
中でも、前記(2)のCe等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体であるYAG(Yttrium Aluminum Garnet)系蛍光体が好ましい。YAG系蛍光体は、次の(21)〜(24)などの組成式で表される。
(21)Y
3Al
5O
12:Ce
(22)(Y
0.8Gd
0.2)
3Al
5O
12:Ce
(23)Y
3(Al
0.8Ga
0.2)
5O
12:Ce
(24)(Y,Gd)
3(Al,Ga)
5O
12:Ce
【0111】
また、例えば、Yの一部または全部をTb、Lu等で置換してもよい。具体的には、Tb
3Al
5O
12:Ce、Lu
3Al
5O
12:Ce等でもよい。さらに、前記した蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、作用、効果を有する蛍光体も使用することができる。
【0112】
≪発光装置の製造方法≫
次に、本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、ここでは発光装置1つを用いて説明しているが、最終工程で分割するまでは基体は集合体となっており、分割することで基体の外側面が表出する。
【0113】
図3〜
図6は、発光装置100の製造工程を示す断面図であり、
図3(a)、(b)は、
図1(b)に示す発光装置のX2−X2断面矢視図に相当する。
図4(a)は、
図1(b)に示す発光装置のX2−X2断面矢視図に相当し、
図4(b)は、
図1(b)に示す発光装置のX1−X1断面矢視図に相当する。
図5(a)は、
図1(b)に示す発光装置のX2−X2断面矢視図に相当し、
図5(b)は、
図1(b)に示す発光装置のX3−X3断面矢視図に相当する。
図6(a)は、
図1(b)に示す発光装置のX1−X1断面矢視図に相当する。
図6(b)は、
図1(b)に示す発光装置のX2−X2断面矢視図に相当する。
また、
図3〜
図6は、発光装置100の製造工程を時系列で示しており、基本的に、
図3(a)〜
図6(b)の順で製造される。ただし、
図5(a)、(b)、
図6(a)は、フィラーを被覆する工程であるため、ほぼ同時に行われる。
【0114】
本発明に係る発光装置100の製造方法は、導電部材形成工程と、ダイボンディング工程と、フィラー被覆工程と、透光性部材形成工程と、を具備する。また、第1実施形態では、金属部材103および保護素子105を設けているため、金属部材形成工程、保護素子接合工程およびワイヤボンディング工程を含む。以下、各工程について説明する。
【0115】
<導電部材形成工程>
図3(a)に示すように、導電部材形成工程は、基体101上に導電部材102a,102bを形成する工程である。また、導電部材102a,102bを基体101の裏面140等にも形成させる場合は、この工程により行う。すなわち、この工程は、基体101に導電部材102a,102bを設ける工程である。
【0116】
導電部材102a,102bは、例えば、セラミックからなる基体101を用いる場合、未焼成のセラミックスグリーンシートの段階で、タングステン、モリブデンのような高融点金属の微粒子を含む導体ペーストを所定のパターンに塗布したものを焼成することにより得ることができる。あるいは、あらかじめ焼成されたセラミックスの板材に、導電部材102a,102bを形成することもでき、例えば、真空蒸着、スパッタリング、鍍金などの方法で形成することができる。
【0117】
また、基体の凹部109は、例えば、セラミックスグリーンシートに種々の大きさのスルーホールを形成して積層させることにより形成することができる。凹部の側面130についても、側面130に底面120と同様にして導電部材102a,102bを形成することができる。
【0118】
また、ガラスエポキシ樹脂からなる基体101を用いる場合は、硝子クロス入りエポキシ樹脂やエポキシ樹脂を半硬化させたプリプレグに銅板を貼り付けて熱硬化させ、その後、フォトリソグラフィ法を用いて銅等の金属部材を所定の形状にパターニングすることにより、導電部材102a,102bを形成することができる。
【0119】
<金属部材形成工程>
図3(b)に示すように、金属部材形成工程は、基体101上の導電部材102a,102b上に、ボンディング可能な金属部材103を形成する工程である。また、基体101の裏面140等の導電部材102a,102bにも金属部材103を形成させる場合は、この工程により行う。すなわち、この工程は、導電部材102a,102bの表面に、金属部材103を設ける工程である。
【0120】
金属部材103を設ける方法としては、鍍金法、スパッタ法、蒸着法、薄膜を接合させる方法等を用いることができる。鍍金法を用いる場合、電解鍍金、無電解鍍金のいずれの方法でも用いることができる。例えば、導電部材102a,102b上の該当部位を電気的に接続した上で、電解鍍金法を用いるのが最も簡便である。また、無電解鍍金法やスパッタ法、蒸着法を用いる場合は、フォトリソグラフィ法により、導電部材102a,102b上のみに設けることができる。なお、パターン形成されていない導電部材102a,102b上に金属部材103を設けた後、導電部材102a,102bと金属部材103を所定の形状にパターニングしてもよい。
金属部材103上にワイヤボンディングをしたり、発光素子104との電極を直接接続させる場合には、ワイヤボンディングやフリップチップ実装が可能な金属材料である必要があるが、これらを行わない導電部材102a,102bは、金属の種類を特に限定する必要はない。
【0121】
<ダイボンディング工程>
図4(a)に示すように、ダイボンディング工程は、金属部材103を形成した後の基体101上(金属部材103を形成しない場合は導電部材102a,102b上)に、発光素子104を載置して接合する工程である。
【0122】
ダイボンディング工程は、基体101上に、発光素子104を載置する発光素子載置工程と、発光素子104を載置した後、加熱により、発光素子104を接合する加熱工程と、からなる。
【0123】
[発光素子載置工程]
発光素子載置工程は、基体101上に、接合部材111を介して、発光素子104を載置する工程である。接合部材111は、例えば、ロジン(松脂)若しくは熱硬化性樹脂を含み、さらに必要に応じて、粘度調整のための溶剤や各種添加剤、有機酸などの活性剤を含有させてもよい。さらには金属(例えば粉末状)を含有させても良い。
【0124】
発光素子104は、接合部材111により、基体101上の導電部材102a,102b(金属部材103)と接合する。なお、発光素子104の裏面には、予め、フラックスを塗布しておいてもよい。
【0125】
ここで、接合部材111は、金属部材103を介して導電部材102a,102bと発光素子104との間に介在するように設ければよいため、導電部材102a,102b上のうち、発光素子104を載置する領域に設けてもよく、発光素子104側に設けてもよい。あるいは、その両方に設けてもよい。 以下、発光素子104の接合方法について説明する。
【0126】
図4(a)は、液状またはペースト状の樹脂組成物(接合部材)111を導電部材102a,102b上に設けた状態を示している。液状またはペースト状の接合部材111を導電部材102a,102b上に設ける場合、粘度等に応じてポッティング法、印刷法、転写法等の方法から適宜選択することができる。そして、接合部材111を設けた箇所に発光素子104を載置する。この発光素子104の接合面には電極が形成されており、この電極と導電部材102a,102bとは電気的に接続されることになる。なお、固体状の接合部材111を用いる場合も、固体状の接合部材111を載置した後、液状またはペースト状の接合部材111を用いる場合と同じ要領で、導電部材102a,102b上に発光素子104を載置することができる。また、固体状やペースト状の接合部材111は、加熱等により一度溶融させることで、発光素子104を導電部材102a,102b上の所望の位置に固定させてもよい。
【0127】
樹脂組成物の量としては、発光素子104が接合された後に、発光素子104の接合面積と同等か、それ以上の面積となるように調整することが好ましい。複数の発光素子を液状又はペースト状の樹脂組成物を用いて載置する場合は、液状又はペースト状の樹脂組成物の表面張力等により発光素子が動いて所定の位置からずれてしまうことを防ぐため、各発光素子104を独立した接合部材111で接合することが好ましい。なお、接合部材の厚みは接合部材の種類によって適した厚みが異なるため、また、発光素子を載置した際に押し潰されて横方向に広がる場合や、基材の凹凸に追従する場合等を考慮して調整する。
【0128】
[加熱工程]
加熱工程は、発光素子104を載置した後に、接合部材111を加熱し、発光素子104を基体101上に接合する工程である。
【0129】
図10(a)に示すように、発光素子をFU素子とする場合には、接合部材111は絶縁性部材であってもよく、加熱工程における加熱は、接合部材111の少なくとも一部が揮発する温度よりも高い温度で行う。また、接合部材111が熱硬化性樹脂を含有する場合は、熱硬化性樹脂の硬化が起こる温度以上に加熱することが好ましい。このようにすることで、発光素子104を熱硬化性樹脂で接着固定することができる。
【0130】
また、接合部材111として、例えばロジンを含有する樹脂組成物と、低融点の金属とを用いた場合において、導電部材102a,102b上(金属部材103上)に、この低融点の金属が載置されている場合、この低融点の金属が溶融する温度以上に加熱することが好ましい。
【0131】
ここで、特に接合部材111がロジンを含有し、発光素子側に金属が設けられている場合、例えば、サファイア基板を用いた窒化ガリウム系半導体素子のサファイア面に金属膜を形成している場合や、シリコーン基板を用いた窒化ガリウム系半導体素子のシリコーン面に金属膜を形成している場合などは、加熱によって接合部材中のロジン成分の働きと、金属同士が相互拡散しようとする現象によって、絶縁部材が除去されつつ導電部材と金属膜との金属結合が形成できる。これにより、より強固に発光素子を固定でき、また、導通も可能となる。
【0132】
また、加熱工程において、前記加熱に続けて、さらに洗浄工程を行うことができる。
例えば、接合部材111に樹脂組成物を用いた場合、加熱により樹脂組成物の一部を揮発によって消失させた後に、残留した樹脂組成物を、さらに洗浄等によって除去してもよい(残留接合部材洗浄工程)。特に、樹脂組成物がロジン含有の場合には、加熱後に洗浄するのが好ましい。洗浄液としては、グリコールエーテル系有機溶剤等を用いるのが好ましい。
【0133】
<保護素子接合工程>
図4(b)に示すように、保護素子接合工程は、金属部材103を形成した後(金属部材103を形成しない場合は導電部材102a,102bを形成した後)の基体101上に、保護素子105を載置して接合する工程である。すなわち、保護素子105を、金属部材103を介して導電部材102a上に載置して接合する工程である。
【0134】
<ワイヤボンディング工程>
図4(b)に示すように、ワイヤボンディング工程は、保護素子105上部にある電極端子と導電部材102bの電極となる部位とをワイヤ106で接続する工程である。ワイヤ106の接続方法は、特に限定されるものではなく、通常用いられる方法で行えばよい。
【0135】
<フィラー被覆工程>
図5(a)に示すように、フィラー被覆工程は、導電部材102a,102bにおける金属部材103の表面のうち、発光素子104が形成されていない部位を、電解鍍金法、電着塗装法又は静電塗装法によりフィラー114で被覆する工程である。この工程により、発光素子104を接合部材111により載置した後に、基体101上の金属部材103の露出面を(金属部材103を形成しない場合は導電部材102a,102b上に)フィラー114で被覆する。この際、透光性基板10の側面の少なくとも一部及び上面は露出し、かつ、半導体層11の側面はフィラー114で被覆される。
【0136】
また、
図5(b)に示すように、このフィラー被覆工程において、電極間(導電部材102a,102b間)の溝部Gも被覆するのが好ましく、さらには、
図6(a)に示すように、保護素子105およびワイヤ106も被覆するのが好ましい。
フィラー114を被覆する方法としては、電解鍍金法、静電塗装、電着法等の成膜方法を用いることができる。
【0137】
フィラー被覆工程は、例えば、フィラーを含む溶液中に、発光装置100を配置させる工程と、その溶液中における電気泳動により、フィラーを発光装置100に堆積させる工程と、を具備することで形成される。
このようなフィラーを堆積させる方法は、溶液中において、発光装置100と対向配置される電極を配置し、この電極に電圧を印加することにより、溶液中で帯電されたフィラーを電気泳動させることで導電部材102a,102bにおける金属部材103が露出した部位にフィラー114を堆積させるものである。
ここで、堆積したフィラー114の厚みは、堆積条件や時間により適宜調整することができるが、少なくとも5μm以上の厚みであることが好ましい。更に好ましくは10μm以上の厚みであることが好ましい。フィラーの反射率の高い材料を用いて形成することで、堆積したフィラー114により、光反射層が形成される。
上述したフィラー114の電着による形成工程の後、フィラー114以外の部材を電着により形成してもよい。
【0138】
電着用の電解液には、フィラーを分散させた混合液を用いる。この電解液には、その中を帯電されたフィラーが静電気力を受けて移動することができるものであれば特に材料は限定されない。
例えば、電解液にフィラーを溶解させる酸やアルカリ、例えば、アルカリ土類金属のイオン(Mg
2+など)を含んだ硝酸を含有させたりすることができる。
また、電解液には金属アルコキシドを含有されてもよい。具体的には、Al、Sn、Si、Ti、Y、Pbあるいはアルカリ土類金属から選択される元素を構成元素として含む有機金属材料である。電解液に含まれる材料としては、その他にも、金属アルコレート、あるいは金属アルコキサイドと有機溶剤とを所定の割合で混合してなるゾル中にフィラーを分散させた混合液を電解液とすることもできる。
その他にも、電解液はイソプロピルアルコールを母液とする溶液に、有機溶剤としてアセトン、有機金属材料としてアルミナゾルおよびフィラーを含有させた混合溶液とすることができる。
なお、本実施形態では、最終工程で分割するまでは基体は集合体であるため、複数の発光装置に対して一度にフィラー114を被覆することができるため、量産性に優れたものである。
【0139】
<透光性部材形成工程>
図6(b)に示すように、透光性部材形成工程は、基体101上に透光性部材108を形成し、発光素子104を透光性部材108で被覆する工程である。すなわち、発光素子104、保護素子105、ワイヤ106等を被覆する透光性部材108を、基体101の凹部109内に溶融樹脂を注入し、その後加熱や光照射等によって硬化する工程である。
【0140】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
すなわち、前記に示す発光装置およびその製造方法は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置およびその製造方法を例示するものであって、本発明は、発光装置およびその製造方法を前記に限定するものではない。また、請求の範囲に示される部材等を、実施の形態の部材に特定するものではない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0141】
例えば、前記記載では、主にFD素子を用いた発光装置について説明したが、本発明は、FU素子を用いた発光装置としてもよい。また、発光装置に搭載される発光素子の数量は適宜調整されるものであり、発光素子を3以上の複数搭載する発光装置もある。以下、代表的な変形例として、FU素子を用いた発光装置およびその製造方法について、第2実施形態として説明する。
【0142】
[第2実施形態]
第2実施形態では、FU素子を用いた発光装置について説明する。本実施形態に係る発光装置の一例の斜視図を
図13に示す。
まず、発光装置の全体構成について、各構成について取り上げながら説明し、その後、各部材等の材料等について説明する。なお、ここでは、前記した発光装置100の実施形態と主に異なる事項について説明する。
【0143】
<全体構成>
図7、
図8に示すように、発光装置200は、少なくとも1つの発光素子204(ここでは、2つ)を搭載した発光装置200であり、基体201と、基体201上に設けられた導電部材202a,202b,202cと、導電部材202a,202b,202c上に載置された発光素子204と、導電部材202bの電極となる部位と発光素子204の電極端子とを電気的に接続するワイヤ206と、発光素子204が載置されていない金属部材103およびワイヤ206の下面を被覆する絶縁性のフィラー114と、発光素子204およびフィラー114を被覆する透光性部材108と、を主に備える。さらに、ここでは、遮光性部材207を備えている。
【0144】
[基体]
図8(a)に示すように、基体201は、上面を開口部とする凹部209aと、さらに凹部209a内部に凹部209b,209cを有しており、この凹部209aにより、底面220aと側面230aが形成されている。さらに、この凹部209b,209cにより、底面220b,220cと、側面230b,230cが形成されており、底面220aと、底面220b,220cとの間で、段差が形成されている。そして、この凹部209aの底面220aには、導電部材202aが、凹部209bの底面220bには、導電部材202bが、凹部209cの底面220cには、導電部材202cが、それぞれ設けられている。
【0145】
[導電部材]
図8(a)に示すように、導電部材202b、202cは、基体201の裏面240にも設けられ、凹部209b,209cの底面220b,220cの導電部材202b,202cとは、基体内部で、それぞれ電気的に連続するように(一体となるように)設けられている。
【0146】
[金属部材]
図8(a)に示すように、基体201上、すなわち、凹部209a,209b,209cの底面220a,220b,220cの導電部材202a,202b,202c上には、金属部材103が設けられている。また、
図8(a)に示すように、基体201の裏面240に設けられた導電部材202b,202cの表面にも、金属部材103を被覆してもよい。なお、金属部材103は基体201内に埋設されている導電部材202b,202cにまで設けるものではない。この金属部材103は導電部材202b,202cと一体化したものとしてもよく、または金属部材103は省略してもよい。
【0147】
[発光素子]
発光素子204は、
図8(a)、(b)に示すように、その上面に電極を有するFU素子であり、発光素子204の下面には、接合層123が形成されている。この発光素子204に形成された接合層123は、凹部209aの底面220aに、導電部材202a、金属部材103、接合部材111の順に形成されている中の表面にある接合部材111と接続されている。ただし、第2実施形態の発光装置200を示す図面においては接合部材111は図示していない。
【0148】
図8(b)に示すように、発光素子204は、基板20と、基板20の上に積層された半導体層21を有する。また、基板20の裏面には、例えば、パターニングされたAg/Pt/AuSn膜(左から順に積層)を成膜することができる。また、半導体層21の一側には、電極端子であるn電極(nパッド電極)25bが設けられ、他側には、電極24を介して、電極端子であるpパッド電極25aが設けられている。このパッド電極25a,25bは、半導体層21の同一面側に形成されており、ワイヤ206(
図7(b)参照)により導電部材202b、202cの電極となる部位と電気的に接続されている。そして、発光素子204の半導体層21における、各パッド電極25a,25bのワイヤ206で接続する部位以外は、絶縁性の保護膜(絶縁膜)23で被覆されている。なお、
図8(b)に示すFU素子の発光素子204を他の図面では更に簡略化して示す。
【0149】
そして、ここでは、発光素子204の下面側に配された接合層(反射層22a、バリア層22b、接着層22c)の幅は、発光素子204の幅、つまり基板20の幅よりも狭く構成されている。このように、接合層の幅を基板20の幅よりも狭くすると、ウェハーから個々の発光素子に分離する工程において、接合層を切断することがないため、分離工程において接合層の剥がれが発生するおそれを回避することができる。
接合層123は、発光素子にFU素子を用いる場合、発光素子204を基体201に接合させる接着層22cの他にも、反射層22aやバリア層22bを備えた多層構造としてもよい。
【0150】
反射層22aは、発光素子204によって発光した光を効率的に基板20や半導体層21の内部に反射させる層である。このようにすることで、発光素子204の反射層22aが形成されている以外の端面から光を外部に取り出すことができる。具体的な材料としては、Ag,Al,Rh,Pt,Pd等を用いることが好ましい。例えば、AgまたはAg合金を用いると、反射率が高く、光取り出しの良好な素子を得ることができる。
【0151】
バリア層22bは、他の部材、特に接着層22cの材料の拡散を防止するための層である。具体的な材料としては、W,Mo等の高融点を有する材料や、Pt,Ni,Rh,Au等が好ましい。
【0152】
接着層22cは、発光素子204を基体201に接着する層である。具体的な材料としては、In、Pb−Pd系、Au−Ga系、AuとGe,Si,In,Zn,Snとの系、AlとZn,Ge,Mg,Si,Inとの系、CuとGe,Inとの系、Ag−Ge系、Cu−In系の合金を挙げることができる。好ましくは、共晶合金膜が挙げられ、例えば、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等が挙げられる。中でもAuSnが特に好ましい。
【0153】
[フィラー]
図8(a)に示すように、凹部209a,209b,209cの底面220a,220b,220cに形成された導電部材202a,202b,202cにおける金属部材103の表面のうち、発光素子204が載置されていない部位が、フィラー114で被覆されている。さらに、フィラー114は、ワイヤ206の下面をはじめ、表面全体を被覆しており、発光素子204の周辺領域、また発光素子204の下部の接合層123の側面も被覆している。
すなわち、導電部材202a,202b,202cにおける発光素子204が載置された領域以外の部位が(導電部位)フィラー114によって被覆されている。
【0154】
[透光性部材]
図8(a)に示すように、基体201の凹部209a内部は、透光性部材108により、封止されている。なお、遮光性部材207が埋設されている部位には、透光性部材108は形成されないが、遮光性部材207を設けない場合には、この部位(凹部209b,209c内部)にも、透光性部材108を形成する。なお、透光性部材108は、必要に応じて設ければよい。
【0155】
[遮光性部材]
遮光性部材207は、光反射機能をもつ部材であることが好ましく、基体201の凹部209b,209cに埋設し、凹部209b,209cの側面230a,230b,230cに露出する基体201の露出部を覆う部材である。基体201の露出部(側面230a,230b,230c)は、光が透過することで光の損失を起こす光透過損失源となるため、この部位に光反射機能をもつ遮光性部材207を設けることで、光の透過や吸収による損失を抑制することができる。このように基体201の側壁や、また、フィラー114の少なくとも一部は、遮光性部材207により被覆されていることが好ましい。これにより、発光素子204からの光を遮光性部材207により反射して光の取り出し効率を向上させることができる。この遮光性部材207は、本実施形態に限らず、第1の実施形態に係る発光装置においても用いることができる。
【0156】
図8(a)に示すように、基体201の凹部209b,209c内部には、遮光性部材207が埋設されている。遮光性部材207は、凹部209b,209cが全て埋設するように形成するのが好ましく、さらには、側面230aの露出部が、全て被覆されるように形成するのが好ましい。
【0157】
遮光性部材207は、発光素子204から照射された光を効率よく反射する部材であり、光吸収が少なく、光や熱に強い絶縁材料が好ましい。具体的な材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂等を挙げることができる。このような材料に加え、所望に応じて着色剤、光拡散剤、フィラー、蛍光部材等を含有させることもできる。なお、遮光性部材207は、単一の部材で形成することもできるし、あるいは、2層以上の複数の層として形成することもできる。
【0158】
以上説明した本発明の発光装置200によれば、発光装置200を駆動したときに、発光素子204からあらゆる方向に進む光のうち、上方へ進む光は、発光装置200の上方の外部に取り出される。また、下方や横方向等に進む光は、基体201の凹部209a,209b,209cの底面220a,220b,220cや側面230a,230b,230c、あるいは遮光性部材207で反射して、発光装置200の上方の外部に取り出されることになる。このとき、導電部材202a,202b,202cにおける金属部材103や、ワイヤ206等の導体部(導電体)にフィラー114が被覆されているため、この部位による光の吸収が抑制されると共に、フィラー114により光が反射される。これにより、発光素子204からの光が効率良く取り出される。
【0159】
≪発光装置の製方法≫
次に、本発明の第2の実施形態に係る発光装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、ここでは発光装置1つを用いて説明しているが、最終工程で分割するまでは基体は集合体となっており、分割することで基体の外側面が表出する。
【0160】
図9〜
図12は、発光装置200の製造工程を示す断面図であり、
図7(b)に示す発光装置のY−Y断面矢視図に相当する。
また、
図9〜
図12は、発光装置200の製造工程を時系列で示しており、基本的に、
図9(a)〜
図12の順で製造される。
【0161】
本発明に係る発光装置200の製造方法は、導電部材形成工程と、ダイボンディング工程と、フィラー被覆工程と、透光性部材形成工程と、を具備する。また、第2実施形態では、FU素子を用いるため、ワイヤボンディング工程を含み、また、第2実施形態では、遮光性部材207を設けているため、遮光性部材形成工程を含む。以下、各工程について説明する。
【0162】
<導電部材形成工程>
図9(a)に示すように、導電部材形成工程は、基体201上に導電部材202a,202b,202cを形成する工程である。また、導電部材202b,202cを基体201の裏面240等にも形成させる場合は、この工程により行う。すなわち、この工程は、基体201に導電部材202a,202b,202cを設ける工程である。
その他については、前記した第1実施形態と同様である。
【0163】
<金属部材形成工程>
図9(b)に示すように、金属部材形成工程は、基体201上の導電部材202a,202b,202c上に、ボンディング可能な金属部材103を形成する工程である。また、基体201の裏面240等の導電部材202b,202cにも形成させる場合は、この工程により行う。すなわち、この工程は、導電部材202a,202b,202cの表面に、金属部材103を設ける工程である。
その他については、前記した第1実施形態と同様である。
【0164】
<ダイボンディング工程>
図10(a)に示すように、ダイボンディング工程は、金属部材103を形成した後の基体201上(導電部材202a上)に、発光素子204を載置して接合する工程である。すなわち基体201の凹部209aの底面220aの金属部材103上に接合部材111を介して、発光素子204を載置して接合する工程である。
その他については、前記した第1実施形態と同様である。
【0165】
<ワイヤボンディング工程>
図10(b)に示すように、ワイヤボンディング工程は、導電部材202bの電極となる部位と、発光素子204上部にある電極端子(パッド電極)とを、ワイヤ206で電気的に接続する工程である。同じく、発光素子204上部にある電極端子(パッド電極)と導電部材202cの電極となる部位とを、ワイヤ206で電気的に接続する工程である(図示省略)。
その他については、前記した第1実施形態と同様である。
【0166】
<フィラー被覆工程>
図11(a)に示すように、フィラー被覆工程は、導電部材202a,202b,202c上の金属部材103の表面のうち、発光素子204が形成されていない部位を、電解鍍金法、電着塗装法又は静電塗装法によりフィラー114で被覆する工程である。この工程により、発光素子204を接合した後に、導電部材202a,202b,202cの上に形成されている金属部材103の表面、その他の部材の導電部を、フィラー114で被覆する。また、発光素子204の導電部やワイヤ206の下面をはじめとする表面もフィラー114で被覆するのが好ましい。
その他については、前記第1実施形態と同様である。
【0167】
<遮光性部材形成工程>
図11(b)に示すように、遮光性部材形成工程は、基体201の凹部209b,209cに遮光性部材207を形成し、フィラー114を被覆する工程である。この工程は、凹部209b,209cの側面230a,230b,230cに露出する基体201の露出部を遮光性部材207で被覆する工程である。さらには、凹部209aの側面230aの露出部の全てを被覆するように形成してもよい。これらの領域を遮光性部材207で被覆することで、前記したように、基体201の露出部からの光の透過による、光の損失を抑制することができ、光の取り出し効率を向上させることができる。なお、この遮光性部材207は、他の部材の構成や組み合わせによっては省略してもよい。
このような遮光性部材207には樹脂を用いるのが好ましく、その形成方法は、ポッティング法、印刷法等により行うことができる。
【0168】
<透光性部材形成工程>
図12に示すように、透光性部材形成工程は、基体201上に透光性部材108を形成、発光素子204を透光性部材108で被覆する工程である。すなわち、発光素子204、ワイヤ206等を被覆する透光性部材108を、基体201の凹部209aに形成し硬化する工程である。
透光性部材形成工程は、遮光性部材(例えば、発光波長の光を反射する樹脂)207を形成する場合は、遮光性部材207が形成された後に、基体201の凹部209aに透光性部材108を形成すること以外については、前記した第1実施形態と同様である。
【0169】
[第3実施形態]
第3実施形態では、FD素子を用いた発光装置について説明する。
まず、発光装置の全体構成について、各構成について取り上げながら説明し、その後、各部材等の材料等について説明する。なお、ここでは、前記した発光装置100の実施形態と主に異なる事項について説明する。
【0170】
<全体構成>
図14、
図15に示すように、発光装置100は、半導体層11と透光性基板10とを有する発光素子104と、透光性基板10の側面の少なくとも一部及び上面を露出し、かつ、半導体層11の側面を被覆する反射部材114と、透光性基板10のうち、反射部材114から露出された部分を被覆する透光性部材108と、を備えたものである。
【0171】
ここでは、
図14、
図15に示すように、発光装置100は、少なくとも1つの発光素子104(ここでは、1つ)を搭載した発光装置100であり、凹部109を有する基体101と、凹部109の底面に設けられた導電部材102a,102bと、凹部109の側面に設けられた導電部材102bと、凹部109の底面に載置された発光素子104と、導電部材102a,102bの表面において、少なくとも発光素子104が載置されていない部位を被覆する反射部材(ここでは、絶縁性のフィラー114を用いるものとする)と、発光素子104を被覆する透光性部材108と、を主に備える。さらに、ここでは、保護素子105、ワイヤ106を備えている。
【0172】
[基体]
図15(a)に示すように、基体101は、上面を開口部とする凹部109を有しており、この凹部109により、底面120と側面130が形成されている。そして、この凹部109の底面120には、導電部材102a,102bが設けられており、凹部109の側面には、導電部材102bが設けられている。
【0173】
また、発光素子104や導電性ワイヤ106などが、凹部109の内部に配置されている。したがって、凹部109は、発光素子をダイボンド機器などで直接載置などすると共に、発光素子との電気的接続をワイヤボンディングなどで採れるだけの十分な大きさがあれば良く、その形状は限定されない。例えば、凹部の開口方向から見て、凹部の開口の形状が、略四角形、円形などの形状が挙げられる。
なお、側面130の角度も、特に限定されない。例えば、開口方向に向かって広がるように傾斜されていても良いし、例えばパラボラ状のように側面が放物面であってもよいし、底面120と略垂直とされていてもよい。
【0174】
[導電部材]
図15(a)に示すように、凹部109内の側面(側壁)130に設ける導電部材は、導電部材102a,102bのいずれか一方を凹部109内の側面(側壁)130に延在させてもよいし、別の導電部材を配置してもよい。つまり、底面120に設けられる導電部材102a及び102bは、通常、電極として機能させるが、側面130に設けられる導電部材は、必ずしも電極としての機能を有しなくてもよい。
【0175】
導電部材102aは、基体101の底面120において、島状に設けられており、導電部材102aの周囲と、側面130とを連続して覆うように、導電部材102bが設けられている。つまり、本実施形態の発光装置では、側面に設けられた導電部材102bは、負の極性を有している。
【0176】
本実施形態の発光装置では、凹部109の側面130に導電部材が形成されていることにより、電着塗装等の方法を用いることで、凹部109の側面にフィラー114を均一にかつ高密度に配置させることができる。また、側面に導電部材が形成されていることで、凹部の側面から光が抜けることを抑制することができる。
【0177】
[フィラー]
また、凹部109の側面130に形成された導電部材102bの表面にも、フィラー114が被覆されている。発光素子104の半導体層11の露出部や接合部材111の側面、導電部スリット溝部Gは、フィラー114により被覆されている。
【0178】
図15(a)に示すように、凹部109の側面130の上端部にまで導電部材102bが形成されている場合に、後記する電着塗装等を行うと、フィラー114は基材上面に露出した導電部材102bを覆うように形成される。また、さらに透光性部材108を充填すると、基材上面に位置するフィラー114に透光性部材が含浸する。このようにして上面にはみ出したフィラー114と透光性部材108は、そのままにしておいても良いし、基材101の上面を研磨して、基材101の最上面よりも透光性部材108やフィラー114がはみ出さないようにすることもできる。また、
図15(b)に示すように、第1実施形態で説明したとおり、保護素子105にもフィラー114が被覆される。
【0179】
≪発光装置の製造方法≫
次に、本発明の第3の実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
本発明に係る発光装置100の製造方法は、導電部材形成工程と、ダイボンディング工程と、フィラー被覆工程と、透光性部材形成工程と、を具備する。また、第1実施形態では、金属部材103および保護素子105を設けているため、金属部材形成工程、保護素子接合工程およびワイヤボンディング工程を含む。なお、ここでは前記第1実施形態の製造方法と主に異なる事項について説明する。
【0180】
ここでは、凹部の底面及び側面に導電部材を形成し、凹部の底面に発光素子104を載置する。そして、金属部材形成工程においては、金属部材103を設ける方法として、凹部の底面、側面にかかわらず、鍍金法、スパッタ法、蒸着法、薄膜を接合させる方法等を用いることができる。また、フィラー被覆工程においては、導電部材102a,102bの表面のうち、凹部109の側面130を含む、発光素子104が形成されていない部位を、フィラー114で被覆する。その他については、前記第1実施形態の製造方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0181】
次に、第3実施形態の発光装置100についてのSEM写真を
図30、
図31に示す。
図31(a)、(b)は、それぞれ、
図30の「a
1」、「a
2」の部位の拡大図である。なお、
図30は二次電子像であり、
図31は反射電子像である。
図30、
図31に示すように、透光性基板10の側面の少なくとも一部及び上面は露出しており、かつ、半導体層11の側面は反射部材(フィラー)114で被覆されている。なお、符号KTは蛍光体を示している。
【0182】
[第4実施形態]
第4実施形態では、FU素子を用いた発光装置について説明する。本実施形態に係る発光装置の一例の斜視図を
図18(a)に示す。
まず、発光装置の全体構成について、各構成について取り上げながら説明し、その後、各部材等の材料等について説明する。なお、ここでは、前記した発光装置200の実施形態と主に異なる事項について説明する。なお、第4実施形態の発光装置200を示す図面においては、金属部材103及び接合部材111は図示していない。
【0183】
<全体構成>
図18(a)、(b)、
図19に示すように、発光装置200は、少なくとも1つの発光素子204(ここでは、2つ)を搭載した発光装置200であり、基体201と、基体201の凹部209の底面に設けられた導電部材202a,202b,202cと、導電部材202a上に載置された発光素子204と、凹部209の側面に設けられた導電部材202dと、導電部材202b、202cの電極となる部位と発光素子204の電極端子とを電気的に接続するワイヤ206と、発光素子204が載置されていない導電部材およびワイヤ206の下面を被覆する絶縁性のフィラー114と、発光素子204およびフィラー114を被覆する透光性部材108と、を主に備える。
【0184】
[基体]
図19に示すように、基体201は、上面を開口部とする凹部209を有しており、この凹部209により、底面220と側面230が形成されている。そして、この凹部209の底面220には、導電部材202a、導電部材202b、導電部材202cが設けられている。また、凹部209の側面230には、導電部材202dが設けられている。
【0185】
[導電部材]
図19に示すように、導電部材202a、202bは、基体201の裏面にも設けられ、凹部209の底面220の導電部材202a,202bとは、基体内部で、それぞれ電気的に連続するように(一体となるように)設けられている。
また、導電部材202dは、電極としての機能を有しておらず、底面220から離間して、凹部209の側面を被覆している。
【0186】
[フィラー]
図19に示すように、凹部209の底面220に形成された導電部材202a,202b,202cにおける金属部材の表面のうち、発光素子204が載置されていない部位が、フィラー114で被覆されている。また、凹部209の側面230に形成された導電部材202dも、フィラー114で被覆されている。さらに、フィラー114は、ワイヤ206の表面全体を被覆しており、発光素子204の周辺領域、また発光素子204の下部の接合層123の側面も被覆している。
すなわち、導電部材202a,202b,202c、202dにおける発光素子204が載置された領域以外の部位がフィラー114によって被覆されている。
【0187】
≪発光装置の製造方法≫
次に、本発明の第4の実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
本発明に係る発光装置200の製造方法は、導電部材形成工程と、ダイボンディング工程と、フィラー被覆工程と、透光性部材形成工程と、を具備する。また、第4実施形態では、FU素子を用いるため、ワイヤボンディング工程を含む。なお、ここでは前記第2実施形態の製造方法と主に異なる事項について説明する。
【0188】
導電部材形成工程は、基体201上に導電部材202a,202b,202c、202dを形成する工程である。金属部材形成工程は、基体201上の導電部材202a,202b,202c上に、金属部材を形成する工程である。また、基体201の裏面240等の導電部材202a,202bにも形成させる場合は、この工程により行う。ダイボンディング工程は、基体201の凹部209の底面220の金属部材上に接合部材111を介して、発光素子204を載置して接合する工程である。ワイヤボンディング工程は、導電部材202aの電極となる部位と、発光素子204上部にある電極端子(パッド電極)とを、ワイヤ206で電気的に接続する工程である。同じく、発光素子204上部にある電極端子(パッド電極)と導電部材202b、202cの電極となる部位とを、ワイヤ206で電気的に接続する工程である。
【0189】
フィラー被覆工程は、導電部材202a,202b,202c、202d上の表面のうち、発光素子204が形成されていない部位を、フィラー114で被覆する工程である。この工程により、発光素子204を接合した後に、導電部材202a,202b,202c、202dの表面、その他の部材の導電部を、フィラー114で被覆する。また、発光素子204の導電部やワイヤ206の表面もフィラー114で被覆するのが好ましい。なお、導電部材の表面を金属部材で被覆し、その上をフィラー114で被覆していてもよい。その他については、前記第1実施形態および第2実施形態の製造方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0190】
≪第3、第4実施形態に関するその他の変形例≫
第3、第4実施形態に関するその他の変形例として、基体の凹部の上端部に導電部材が形成されない領域を有する構成について説明する。
例えば、第3実施形態、第4実施形態では、凹部109、209の側面全面に導電部材が形成されている例を説明したが、凹部の側面130、230の側面の一部には導電部材が形成されていなくても良い。
【0191】
特に、凹部の側面において、凹部109、209の上端面と接する部分には、導電部材が形成されていない領域を有することが好ましい。これにより、電着塗装等によりフィラーが基体101、201の上面の上に配置されることを防止し、高さバラツキの原因となることを防止することができる。なお、フィラーが基体101、201の上面の上に配置されていると、透光性部材108を凹部に充填する際に、フィラー中に透光性部材が含浸して、基体上面に樹脂がはみ出してしまうおそれがある。特に、シリコーン樹脂等のタック性をもった樹脂の場合、製造工程内で発光装置同士がくっついたりゴミが基体上面にはみ出した樹脂にくっついたりする等の不具合が生じるおそれがあるため、樹脂が基体の上面に配置されていないことが好ましい。
【0192】
さらに、凹部の上端面側において、凹部の側面130、230に段差を有し、その段差の側面には、導電部材が形成されていない領域を有することが好ましい。第3実施形態において段差を設けた例について説明する。
【0193】
図16の発光装置100では、凹部109の上端面側において、凹部109の側面130に段差150が形成されており、段差150の側面160には、導電部材102bが形成されない領域を有している。このように、導電部材が形成されない領域を凹部109の上端部に形成する一方、段差の底面170には導電部材を形成することで、凹部109の上端部近傍にもフィラーを被覆することができる。導電部材を被覆するフィラーは、段差150に配置されることとなるので、基材101の上面からフィラー114や透光性部材108がはみ出ることもない。
【0194】
このとき、段差の底面170と、透光性部材180の表面との最短距離が、凹部109の高さの1/5以下であることが好ましい。段差の底面170と、凹部109の上端面との距離が大きいと、導電部材の形成されない領域も多くなる。ここで、導電部材が形成されていない領域には、フィラー114が形成されていないので、段差の側面160に当たった光は、基材101内部で吸収される。特に、導電部材と基材との界面には、密着性等の観点からタングステンの様な反射率の低い導電部材が使われることが多く、基材に漏れ出した光は基材内を乱反射し、反射率の低い導電部材に吸収されてしまう。
【0195】
そこで、光がなるべく段差の側面160に当たらないように設定する。光は、透光性部材180を伝播するので、凹部109の発光素子104が載置された部分から段差の側面160に至る部分を狭くして、光の伝播される経路を狭くする。これにより、仮に透光性部材の充填量が多くなったとしても、光の漏れも最小限に止めることができる。
ここで、
図16に示すように、段差の底面170と、透光性部材180の表面との最短距離K1が、凹部109の高さK3の1/5以下とする。これにより、光を外側に抜けにくくさせることができる。なお、段差の底面170の上には導電部材102b(場合によってはさらに金属部材)の厚みにフィラー114が堆積される厚みを加えた距離K2がある。K1−K2が小さいほど、外側に抜ける光は少なくなるため好ましく、K1=K2とすることがさらに好ましい。なお、K2は基体の上面よりも高くならないように設定することが好ましい。
また、透光性部材108の表面が凹形状とされていることが好ましい。凹形状とすることで樹脂上面が基体101または201の上面を超えることが無く、発光装置同士がくっつく等の不具合を回避することができる。
【0196】
図17(a)は、
図16の発光装置の導電部材の形状を変更したものであり、その他の部分は
図16と同様である。この発光装置100では、段差150の底面の一部に導電部材が設けられている。言い換えると、段差の底面に、導電部材の上面が露出されている領域と、導電部材が露出されていない領域と、を有する。また、凹部の底面に形成された導電部材102a及び102bを跨ぐように発光素子104が接合部材111を介して載置されている。さらに、凹部の側面には、導電部材102cが、導電部材102a、102bと底面にて離間するように、形成されている。側面に形成される導電部材は、どのような方法によって形成されてもよく、例えばメタライズにより形成される。
【0197】
図17(b)もまた、
図16の発光装置の導電部材の形状を変更したものであり、その他の部分は
図16と同様である。この発光装置100では、側面に形成された102dの下部にて導電部材が形成されておらず、凹部底面に形成された導電部材との絶縁性を保っている。例えば、コファイアセラミックスの基材を用いて形成される。
【0198】
≪その他の変形例≫
その他の変形例として、例えば、基体101,201については、第1〜第4実施形態では、凹部109や凹部209,209a,209b,209cを有するものについて説明したが、凹部109や凹部209,209a,209b,209cを有さない板状の基体を用いてもよい。なお、この場合、透光性部材108は、板状の基体の上面に堆積させればよい。さらには、透光性部材108を設けない構成としてもよい。
【0199】
また、第1、第3実施形態では、保護素子105を設けたものについて説明したが、第2、第4実施形態においても、保護素子を備える構成としてもよく、さらに、第1〜第4実施形態において、ツェナーダイオード等の保護素子等を設けてもよい。
さらに、前記第1〜第4実施形態では、1つまたは2つの発光素子104,104(204,204)を備える構成としたが、発光素子は、それぞれ、3つ以上設けられていてもよい。また、発光装置に搭載される発光素子が2以上の複数個である場合には、各発光素子の発光波長は異なるものであってもよい。例えば、RGBの3原色を発光する3つの発光素子を搭載する発光装置である。
【0200】
また、発光装置200において、発光素子204の下面側に配された接合層123(反射層22a、バリア層22b、接着層22c)の幅は、発光素子204の幅よりも狭いこととしたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、発光素子204の下面側に配された接合層123の幅と、発光素子204の幅とを等しくするように変形することができる。このようにすることで、フィラー114が、接合層123の側面を被覆し易くなる。
【0201】
また、前記実施形態に係る発光装置100(200)は、可視光領域の光を出力する発光素子104(204)を備えるものとしたが、紫外線や赤外線を出力する発光素子を備える構成とすることもできる。さらに、透光性部材108は、ここでは凹部全体を被覆(封止)するように充填しているが、発光素子104(204)を一つずつ、あるいは、複数個をまとめて被覆していてもよい。
【0202】
発光装置の製造方法においては、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、前記した工程以外の工程を含めてもよい。例えば、基体101,201を洗浄する基体洗浄工程や、ごみ等の不要物を除去する不要物除去工程や、発光素子104,204や保護素子105の載置位置を調整する載置位置調整工程等、他の工程を含めてもよい。
なお、これらの変形例は、以下に説明する第5、第6実施形態およびその変形例等にも、これらの形態に合わせて適宜、適用することができる。
【0203】
次に、基体を設けない形態のものとして、第5、第6実施形態について説明した後、第5、第6実施形態に関するその他の変形例について説明する。なお、これらの実施形態にかかる発光装置は、符号100A〜300Aとする。また、ここでは、前記した第1〜第4実施形態と主に異なる事項について説明する。
【0204】
[第5実施形態]
図20は、本発明の第5の実施の形態に係る発光装置を示す概略断面である。
【0205】
<発光装置の構造>
本実施の形態において、発光装置100Aは、半導体層104bの表面に電極104cが配置される発光素子104Aと、発光素子104Aの電極104cに接合される導電部材102と、発光素子104Aの電極104c及び導電部材102の周囲を被覆する反射部材114と、発光素子104Aにおける電極104cが形成された面と対向する上面及び側面を覆う透光性部材108と、を備えて構成される。
【0206】
発光素子104Aは、対向する一対の主面を有する透光性基板104aの一方の主面上に、半導体層104bが形成されてなる。さらに半導体層104bの表面に正電極及び負電極(以下、電極ともいう)が形成されている。本発明の発光装置100Aにおいて、発光素子104Aは、電極形成面と対向する透光性基板104a側を主光取り出し面として配置する。具体的に、
図20の発光素子100Aでは、透光性基板104aの上面が発光素子104Aの上面を形成している。透光性基板104aの下面側に、第1の半導体層、活性層、第2の半導体層とを順に備える半導体層104bが積層されている。また、第1の半導体層及び第2の半導体層には、負電極及び正電極が各々設けられている。発光素子100Aの電極104cは、反射率の高い金属により形成されていることが好ましく、例えばAg又はAlを含むものが好適である。これにより、発光素子104Aからの光を電極104cによって反射して、透光性基板104a側から取り出すことができる。
【0207】
導電部材102は、例えば鍍金により形成され、発光素子104Aの正電極及び負電極に、導電性のダイボンド部材111を介して接着されている。導電部材102は、発光素子104Aと接続され、発光装置100Aの電極端子として機能する。導電部材102の下面は外部に露出しており、発光装置100Aの外表面の一部を形成している。
【0208】
反射部材114は、絶縁性を有しており、少なくとも導電部材102及びダイボンド部材111等の導電部の側面を被覆している。本実施の形態においては、反射部材114は、さらに発光素子104Aの電極104cの側面を被覆している。さらに、反射部材114は、発光装置100Aの側面に露出するように下方において延設されている。
【0209】
透光性部材108は、発光素子104A及びその周囲に設けられた反射部材114の上、に設けられる。透光性部材108には、蛍光体などが含有されていてもよい。
本実施の形態においては、透光性部材108は、発光素子104Aにおける透光性基板104aの上面及び側面と、半導体層104bの側面と、を被覆している。透光性部材108と反射部材114との界面は、電極104cと半導体層104bとの界面と同一若しくは界面よりも上に配置されている。
【0210】
このように本実施の形態に係る発光装置100Aは、導電部材102及びダイボンド部材111の側面が反射部材114で被覆されている。これにより、発光素子104Aからの光が導電部材102やダイボンド部材111に入射することにより生じる光の損失を低減することができる。なお、
図20に示すように、透光性部材108の下面は、略全面で反射部材114に被覆されていることが好ましい。発光素子104Aの下方に進行する光を高反射率の反射部材114または電極104cによって反射させることによって、効率よく光を取り出すことができる。
また、一般的に、発光素子と波長変換部材を用いた光源は、セラミックスや樹脂を用いたパッケージに発光素子を実装し、その後、波長変換部材を設けているが、本発明の発光装置を各種パッケージ等に実装することにより、パッケージに実装する前の段階において色選別を行うことが可能であるため、パッケージ実装後の歩留まりが向上する。
【0211】
≪発光装置の製造方法≫
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
図21〜24は、本実施の形態に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
本実施形態に係る発光装置の製造方法は、主として、支持基板101の上に複数の発光素子104Aの電極104cを接着する工程(第1の工程)と、支持基板101の上に少なくとも発光素子104Aの電極104cの周囲が被覆される高さまで反射部材114を電解鍍金法、電着塗装法又は静電塗装法によって形成する工程(第2の工程)と、を有する。さらにここでは、反射部材114の上に透光性部材108を形成することにより、発光素子104Aの上面及び側面を被覆する工程(第3の工程)と、支持基板101を除去し、反射部材114及び透光性部材108を分割することにより発光素子104Aを個片化する工程(第4の工程)と、を有する。
【0212】
<第1の工程>
まず、支持基板101を準備する。支持基板101は、板状又はシート状の部材であり、本実施の形態に係る発光装置の製造工程において、発光装置を保持する役割を持つ。支持基板101は、発光装置を個片化する前に除去されるため、発光装置には具備されていない部材である。
【0213】
支持基板101は、導電性を有する基板であることが好ましい。支持基板101としては、金属又は合金の単層又は積層によって構成されるものを用いることができる。また、支持基板101は、樹脂と金属とを積層したものでもよい。支持基板101に用いる金属の一例としては、SUS、Cu等が挙げられる。
【0214】
支持基板101上に、保護膜として感光性のレジストを貼り付ける。その上方に、所定のパターン形状のフォトマスクを直接又は間接的に配置し、紫外線を照射して露光する。その後、現像処理を行って、互いに離間する複数の開口部を有するレジストを形成する。保護膜(レジスト)がフォトリソグラフィによって形成されるレジストの場合、ポジ型、ネガ型のいずれを用いてもよい。
【0215】
その後、レジストの開口部内に、導電部材102を選択的に形成する。導電部材102は、0.1〜500μmの厚みで形成することが好ましい。導電部材102は、電解鍍金法によって形成することが好ましい。鍍金の材料、積層構造、条件等は、当該分野で公知の方法によって適宜調整することができる。導電部材102の形成後、保護膜であるレジストを除去する。これにより、互いに離間する導電部材102を形成する。
【0216】
次いで、導電部材102の上に、ダイボンド部材111を用いて発光素子104Aを接着する。ダイボンド部材としては、Au−Sn等のハンダ材料や、Au等の金属バンプ等が挙げられる。ダイボンド部材111は、導電部材102と発光素子104Aとの間に介在するように形成すればよい。そのため、ダイボンド部材111は、(A)導電部材102側に設けてもよく、(B)発光素子104Aの電極104c側に設けてもよく、又は、(C)導電部材102と発光素子104Aの電極104cの両方に設けてもよい。
【0217】
ダイボンド部材111は、ペースト状、固体状(シート状、ブロック状、粉末状)のものを用いることができ、ダイボンド部材111の組成や導電部材102の形状等に応じて、適宜選択することができる。
【0218】
ここで、ダイボンド部材111を形成する部位が、上述した(A)のように導電部材102側である場合について、ダイボンド部材111としてペースト状のハンダ材料を用いた接着方法について説明する。まず、導電部材102の上に、ペースト状のハンダ材料111を形成する。ハンダ材料111を形成する方法は、ディスペンス、印刷、鍍金、電着、静電塗装等から適宜選択することができる。続いて、ハンダ材料111を形成した箇所に発光素子104Aの電極104cを接着する。その後、ハンダ材料111が溶融する温度まで昇温し、一定時間保持した後、室温まで降温する。そして、ハンダ材料111の周りに残ったフラックス等を洗浄して除去する。
【0219】
<第2の工程>
次に、第1の工程において露出した導電部材102やダイボンド部材111等の導電部を被覆するように、絶縁性の反射部材114を設ける。
図22(b)は、この第2の工程が完了した状態を示している。
【0220】
導電部材102やダイボンド部材111等の導電部が露出した部位を反射部材114で被覆することで、この部位に光が入射することにより生じる光の損失を低減することができる。従って、この第2の工程を行う段階において露出している導電部の全面積のうち、少なくとも40%以上の面積の領域を被覆するように反射部材114を形成することが好ましい。さらには、この段階における導電部の露出領域のうち、ほぼ全域を被覆するように反射部材114を形成することがより好ましい。ここで露出領域とは、外側から視認できる領域のことを指し、発光素子104Aの表面における絶縁性の保護膜が施された領域を除く。反射部材114は、支持基板101の上に、発光素子104Aの電極104cの周囲が被覆される高さまで形成することが好ましい。本実施の形態においては、反射部材114は、発光素子104Aの半導体層104bの側面を被覆する高さまで形成する。
【0221】
反射部材114を形成する方法としては、電解鍍金法、静電塗装法、電着塗装法等を用いることができる。これらの方法用いることにより、例えば、導電部材102やダイボンド部材111等の導電部に対して選択的に、効率よく反射部材114を堆積させることができる。
また、反射部材114を保持するために、形成された反射部材114の層に樹脂や無機材料のバインダーを添加あるいは含浸させてもよい。また、後述する第3の工程において使用する透光性部材108を反射部材114に含浸させてもよい。
【0222】
<第3の工程>
次に、発光素子104Aを被覆する透光性部材108を形成し硬化する。
図23(a)は、反射部材114の上に透光性部材108を形成し、発光素子104Aを被覆したことを示す図である。透光性部材108は、反射部材114から露出した発光素子104Aの上面及び側面を被覆する高さまで形成することが好ましい。透光性部材108の形成方法としては、ポッティング、印刷、圧縮成型、トランスファーモールド、射出成形、溶射、電着、キャスト、スピンコート等を用いることができる。形成された透光性部材108は、加熱や光照射等によって硬化させることができる。なお、透光性部材108は単一の部材で形成することもできるし、または、2層以上の複数層として形成することもできる。
【0223】
透光性部材108を加熱により硬化する場合は、昇温または降温の温度や時間、雰囲気等について、適宜選択することができる。また、透光性部材108を光照射により硬化する場合は、光照射時間や照射光の波長等について、用いる材料に応じて適宜選択することができる。また、加熱と光照射の両方を用いて透光性部材108を硬化してもよい。
【0224】
また、透光性部材108の中に着色剤、光拡散剤、フィラー、波長変換部材(蛍光部材)等を含有させてもよい。透光性部材108は、研磨等によって厚みを制御してもよいし、マイクロレンズアレイを含むレンズ状や粗面化等のように光配向を制御する光学機能を付与することもできる。
【0225】
<第4の工程>
第3の工程の後、支持基板101を除去する。これにより、導電部材102の底面が露出する。
図23(b)は、支持基板101を除去した状態を示す図である。支持基板101を除去する方法としては、物理的に剥がす方法、エッチングにより選択的に支持基板101を除去する方法等を用いることができる。
【0226】
得られた発光装置の集合体にダイシングシート112を貼り付ける(
図24(a))。その後、
図24(b)に示す分離部118、つまり、発光素子104A間の反射部材114及び透光性部材108を分割するような位置で切断することで発光素子104Aを個片化し、
図20に示すような発光装置100Aとする。個片化の方法としては、ブレードによるダイシング、レーザ光によるダイシング等種々の公知の方法を用いることができる。
図24(b)では発光素子104Aを個々に分割した状態を示しているが、目的によって2個毎や4個毎等のアレイや集合体として切り分けてもよい。
【0227】
以下、発光装置の各構成部材について詳述する。なお、ここでも前記した第1〜第4実施形態と同様の箇所は、適宜記載を省略する。
【0228】
[発光素子]
本実施の形態に用いられる発光素子は、透光性基板に半導体材料を積層させてチップ化したものが好ましい。窒化物半導体を積層させるための基板の材料として、例えば、サファイア、スピネルなどの絶縁性基板や、GaN、SiC、Si、ZnOなどの導電性基板が好適に用いられる。
【0229】
正電極及び負電極に適した材料は、導電性を有している材料であれば限定されないが、例えば例えばAu、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Ti、Ag、Alのいずれかの金属またはこれらの合金やそれらの組み合わせを利用することができる。特に、反射率の高いAg、Alを含むことが好適である。反射率の高い金属から形成すると、電極によって遮られる光を反射して、基板側から取り出せるので、発光装置の光取り出し効率が向上するため好ましい。
また、導電部材又はダイボンド部材との接続領域となる電極の表面を除いて発光素子のほぼ全面に絶縁性の保護膜を形成してもよい。保護膜にはSiO
2、TiO
2、Al
2O
3、ポリイミド等が利用できる。
【0230】
発光素子は、半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。透光性部材中に蛍光物質を含有させた発光装置とする場合には、発光層に用いる半導体として、短波長が発光可能な窒化物半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が、その蛍光物質を効率良く励起させる好適なものとして挙げられる。
【0231】
また、可視光領域の光だけでなく、紫外線や赤外線を出力する発光素子とすることができる。さらには、発光素子とともに、ツェナーダイオードなどの保護素子や受光素子などを搭載することができる。
【0232】
[導電部材]
導電部材は、発光素子の正電極及び負電極に接着され、外部電極と電気的に接続するための発光装置の電極として機能するものである。導電部材の少なくとも一つは、発光素子の正電極が直接又はダイボンド部材等を介して載置される。また、導電部材の他の少なくとも一つは、発光素子の負電極が直接又はダイボンド部材を介して載置される。
【0233】
導電部材は、支持基板から剥離しやすい材料や、支持基板をエッチングにより除去する場合は、溶液に対して選択性を有する材料を支持基板との接触部に設けたものを用いる必要がある。具体的には、Au、Pt、Rh、Ir、Pd等の貴金属系及びそれらを含む合金がよい。また、その上には別の金属を成膜してもよい。具体的にはNiやCu、Ag、Cr、W等が挙げられる。導電部材の膜厚は、0.1μm〜500μm程度が好ましい。
【0234】
導電部材は、例えば、発光素子の電極が載置される上面と、発光装置の外表面を形成する下面とを有している。導電部材の上面は、発光素子の電極が載置可能な面積以上の大きさであればよい。導電部材の下面は、反射部材等で被覆されずに外部に露出している。
導電部材の側面は、平坦な面でもよいが、微細な凹凸等が形成されていてもよい。また、導電部材の側面は、下面側に側面が傾斜又は湾曲する形状であってもよい。これにより、反射部材と導電部材との剥離を防止することができる。
【0235】
[ダイボンド部材]
導電部材と発光素子の電極とを接着するためにダイボンド部材を用いることが好ましい。導電性を有するダイボンド部材を用いることで導電部材と発光素子とを導通させることができる。ダイボンド部材としては、Au−Sn等のハンダ材料、Au等の金属バンプ等が挙げられる。特に、Au−Sn等の高融点材料を用いることが好ましい。ダイボンド部材の厚みは、0.5μm〜500μm程度であることが好ましい。
【0236】
[反射部材]
反射部材は、絶縁性を有しており、主として導電部材の側面を被覆するように設けられるものである。導電部材が発光素子の電極にダイボンド部材を介して接着されている場合は、ダイボンド部材の側面も被覆するように反射部材を設けることが好ましい。反射部材は、発光素子から出射された光、または波長変換部材で波長変換された光を反射させる効果を持つ。これにより、導電部材等に光が入射することにより生じる光の損失を低減することができる。また、反射部材は、発光素子の電極の周囲を被覆するように設けることが好ましい。
また、発光装置の下面において、導電部材が配置されていない部分に、反射部材を設けることが好ましい。このような位置に反射部材を設けることにより、発光素子からの光が、発光装置の下面側から外部に漏れ出すのを防止することができ、上面方向への光の取り出し効率を向上させることができる。
反射部材は、その反射率が、430nm〜490nmの波長域の光(青色光)に対して50%以上であることが好ましい。
フィラーとしては、粒径が10nm〜10μm程度の範囲のものを用いることが好ましい。さらに好ましくは100nm〜5μmである。これにより、光を良好に散乱させることができる。
【0237】
[透光性部材]
透光性部材は、発光素子における上面及び側面を被覆している。また、透光性部材と反射部材との界面は、発光素子の側面側に配置されている。
発光素子の上面から透光性部材の上面までの厚みは、発光素子の側面から透光性部材の側面までの厚みと略同一であることが好ましい。これにより、ニアフィールドにおいて良好な配光特性を得ることができ、発光素子の発光面の各方位において均一な発光を得ることができる。
しかしながら、発光素子の側面から透光性部材の側面までの厚みが、発光素子の上面から透光性部材の上面までの厚みよりも薄くなるように形成してもよい。これにより、ファーフィールドにおいて良好な配光特性を得ることができ、発光素子の発光面の各方位において均一な発光を得ることができる。
透光性部材の厚みは、少なくとも10μm以上であることが好ましい。また、30μm〜300μm程度の範囲であることがより好ましい。
【0238】
[第6実施形態]
図25(a)は、本発明の第6の実施の形態に係る発光装置を示す概略断面図である。第5実施形態と重複する説明は省略することもある。
【0239】
本実施の形態において、発光装置200Aは、半導体層204bの表面に電極204cが配置される発光素子204Aと、発光素子204Aの電極204cに直接又はダイボンド部材111を介して接合される導電部材102と、発光素子204Aの電極204c及び導電部材102の周囲を被覆する反射部材114と、発光素子204Aにおける電極204cが形成された面と対向する上面及び側面を覆う透光性部材108と、を備えて構成される。
すなわち、この構成も、半導体層204bと透光性基板204aとを有する発光素子204Aと、透光性基板204aの側面の少なくとも一部及び上面を露出し、かつ、半導体層204bの側面を被覆する反射部材114と、透光性基板204aのうち、反射部材114から露出された部分を被覆する透光性部材108と、を備えたものである。
【0240】
反射部材114は、少なくとも導電部材102及びダイボンド部材111等の導電部の側面を被覆している。本実施の形態においては、反射部材114は、さらに発光素子204Aの電極204cの側面及び半導体層204bの側面を被覆している。
透光性部材108は、発光素子204Aにおける透光性基板204aの上面及び側面を被覆している。透光性部材108と反射部材114との界面は、半導体層204bと透光性基板204aとの界面と同一若しくは界面よりも上に配置されている。半導体層204b内を進行する光は、反射部材114から露出された透光性基板204aを介して出射される。
【0241】
このように本実施の形態に係る発光装置200Aは、導電部材102及びダイボンド部材111の側面が反射部材114で被覆されているため、発光素子204Aからの光が導電部材102やダイボンド部材111に入射することにより生じる光の損失を低減することができる。また、発光素子204Aの下方に進行する光を高反射率の反射部材114または電極204cによって反射させることにより、効率よく光を取り出すことができる。また、本実施の形態においては、反射部材114が半導体層204bの側面を被覆する高さまで形成されているため、発光素子204Aから下方に出射する光を低減することができ、光取り出し効率を高めることができる。
【0242】
以上、本発明の第5、第6実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲でさまざまに実施することができる。例えば、反射部材は、発光素子の側面を直接覆っていてもよいが、発光素子の電極や半導体層の側面に絶縁性の保護膜が施されている場合は、反射部材は、この保護膜を介して発光素子の側面を間接的に覆っていてもよい。
【0243】
また、
図25(b)に示すように、発光素子304Aの周囲に設けられる反射部材114の上面は、外側に向かって低くなるように傾斜あるいは湾曲するように形成してもよい。この変形例の発光装置300Aでは、反射部材114は、少なくとも導電部材102及びダイボンド部材111の側面を被覆している。反射部材114は、さらに発光素子の電極304c、及び半導体層304bの側面を被覆していてもよい。透光性部材108は、発光素子304Aにおける透光性基板304aの上面及び側面を被覆している。透光性部材108と反射部材114との界面は、発光素子304Aから遠ざかるにつれて低くなるように傾斜あるいは湾曲するように形成している。
この変形例の発光装置300Aのように、反射部材114の上面が発光装置の外側に向かって傾斜又は湾曲していることにより、透光性部材108の表面や波長変換部材で反射されて反射部材114側に向かう光を、外部に取り出しやすくすることができる。
【0244】
また、発光素子は、電極が形成される面側において、電極から露出している半導体層の表面を、反射部材で被覆することが好ましいが、
図26に示すように、電極404cから露出している半導体層404bの表面の少なくとも一部が反射部材114から露出していてもよい。この変形例の発光装置400Aでは、反射部材114は、導電部材102、ダイボンド部材111及び電極404c等の導電部の側面を被覆する薄膜として形成されている。このように反射部材114を薄膜として形成することにより、少量の反射部材114によって、導電部材102やダイボンド部材111への光の入射を防止することができる。この発光装置400Aの下面において、導電部材102が配置されていない部分に、薄膜の反射部材114が設けられていることが好ましい。これにより、発光素子404Aからの光が、発光装置400Aの下面側から外部に漏れ出すのを防止することができ、上面方向への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0245】
また、本明細書は、請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に、実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨で記載されたものではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、膜厚、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0246】
以上説明したように、本発明においては、基体を有する形態と、基体を有さない形態のものがある。そして例えば、基体を剥離する第5、第6実施形態の発光装置においても、基体を剥離せずに分割したものとしてもよい。例えば、
図27(a)、(b)に示すように、発光装置300Aの構成(
図25(b)参照)に、基体である基板101aや保護素子機能を有するSi基板101bを備える発光装置300B、300Cとしてもよい。具体的に基体(基板101a,Si基板101b)として用いることのできる材料として、ガラスエポキシ基板以外にも紙フェノール、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、BTレジン、テフロン(登録商標)、シリコーン、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、LTCC等を用いることができる。また、Siのように能動・受動素子機能を基体自体に持たせてもよい。
また、さらに、
図28(a)、(b)に示すように、基体をSi基板101bとし、Siの異方性エッチングにより、テーパー状の基板とすることもできる。
図28(a)のように台形状の基板とすることで、発光装置300Dから放出される光の配光角を広げることができる。また、
図28(b)のようにリフレクター形状とすることで、発光装置300Eから放出される光の配光角が狭まり、正面輝度を高めることができ、二次光学系への光の取り込み量を増やすことができる。
【0247】
次に、発光装置300BについてのSEM写真を
図32に示す。
図32(b)は、
図32(a)の「a
3」の部位の拡大図である。
図32(a)、(b)に示すように、透光性基板304aの側面の少なくとも一部及び上面は露出しており、かつ、半導体層304bの側面は反射部材(フィラー)114で被覆されている。なお、ここでの写真では、反射部材114は電極304cと接しておらず、電極304cの周囲に反射部材114が形成された形態のものを例示しているが、反射部材114が電極304cと接している形態であってもよい。なお、符号KTは蛍光体を示している。