特許第5996875号(P5996875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996875
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】収容体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/26 20060101AFI20160908BHJP
   B21D 22/20 20060101ALI20160908BHJP
   B21D 33/00 20060101ALI20160908BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20160908BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20160908BHJP
   B65D 1/34 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   B21D22/26 C
   B21D22/20 G
   B21D33/00
   B65D1/26 120
   B65D1/00 120
   B65D1/34
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-20541(P2012-20541)
(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公開番号】特開2013-158781(P2013-158781A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】谷 元進
(72)【発明者】
【氏名】篠原 隆昌
(72)【発明者】
【氏名】荒内 隆志
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−043186(JP,A)
【文献】 特開2010−110763(JP,A)
【文献】 特開平03−000430(JP,A)
【文献】 特開平09−122760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 33/00
B21D 22/26
B21D 22/20
B65D 1/00− 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚のシートをプレス成型することによって形成され、底面と、底面の周縁から上方に立ち上がる側壁とを有し、上方が開放され、前記底面を隆起させることにより対向する前記側壁の一方から他方にかけて形成された第1の仕切りと、前記第1の仕切りにより区分けされた部分の一方である第1の収容部と、前記第1の仕切りにより区分けされた部分の他方である第2の収容部とを少なくとも備えた収容体の製造方法であって、
前記シートを準備する第1の工程と、
前記第1の収容部の底面となる部分を挟むようにして押さえる第2の工程と、
前記第1の収容部の底面となる部分の近傍において前記シートをプレスして、前記第1の仕切りを形成する第3の工程と、
前記第2の収容部の底面となる部分を挟むようにして押さえる第4の工程と、
前記第1の収容部の底面となる部分及び前記第2の収容部の底面となる部分の周縁において前記シートをプレスして、前記側壁を形成する第5の工程とを備えた、収容体の製造方法。
【請求項2】
少なくとも1枚のシートをプレス成型することによって形成される、底面と、底面の周縁から上方に立ち上がる側壁とを有し、上方が開放され、前記底面を隆起させることにより、対向する前記側壁の一方から他方にかけて形成された第1の仕切りと、前記第1の仕切りの形成位置とは異なる部分において前記第1の仕切りと同様に形成された第2の仕切りと、前記第1の仕切りにより区分けされた部分の一方であり、かつ、前記第2の仕切りにより区分けされた部分の一方である第1の収容部と、前記第1の仕切りにより区分けされた部分の他方である第2の収容部と、前記第2の仕切りにより区分けされた部分の他方である第3の収容部とを備えた収容体の製造方法であって、
前記シートを準備する第1の工程と、
前記第1の収容部の底面となる部分を挟むようにして押さえる第2の工程と、
前記第1の収容部の底面となる部分の近傍において、前記シートをプレスして前記第1の仕切り及び前記第2の仕切りを形成する第3の工程と、
前記第2の収容部の底面となる部分及び前記第3の収容部の底面となる部分を挟むようにして押さえる第4の工程と、
前記第1の収容部の底面となる部分、前記第2の収容部の底面となる部分及び前記第3の収容部の底面となる部分の周縁において、前記シートをプレスして前記側壁を形成する第5の工程とを備えた、収容体の製造方法。
【請求項3】
前記製造方法は、第1の金型と、前記第1の金型の近傍に設けられた第2の金型と、前記第2の金型の近傍に設けられた第3の金型と、前記第1の金型、前記第2の金型及び前記第3の金型の各々をまとめて囲うように設けられた第4の金型とからなる上金型と、下金型とからなり、前記第1の金型、前記第2の金型、前記第3の金型、前記第4の金型の順に前記上金型のプレスのタイミングが遅れるように各々の金型が作動する金型装置を前提として実施され、
前記第1の工程は、前記下金型に前記シートを載置する工程を更に含み、
前記第2の工程は、前記第1の金型により行われ、
前記第3の工程は、前記第2の金型により行われ、
前記第4の工程は、前記第3の金型により行われ、
前記第5の工程は、前記第4の金型により行われる、請求項1又は請求項2記載の収容体の製造方法。
【請求項4】
前記下金型は少なくとも2以上の収容部形成金型を備え、
前記収容部形成金型は、略四角錐台の側壁の各々の接続部で構成される角の周辺部分が平面視において、内方側に凹むものとなる形状を有し、
前記第4の金型は、プレス時に前記角の周辺部分に近接する部分が平面視において内方に突出た円弧形状を有する、請求項3記載の収容体の製造方法。
【請求項5】
前記シートは複数枚よりなり、積層状態で前記下金型に載置される、請求項4記載の収容体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は収容体の製造方法に関し、特にシートよりなる収容体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図26は、特許文献1に示されているような従来の収容体の外観形状を示す斜視図である。
図を参照して、収容体80は、アルミ箔よりなるシートをプレス成型したものよりなり、底面部83と、底面部83の周縁から上方に立ち上がる側壁部87とを有し、上方が開放され、収容体80の幅方向に底面部83を上方に山形に膨出して形成された区画部81を備える。側壁部87の上周端縁には、縁巻あるいはループ状に屈曲させた補強縁90が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−14380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような収容体は、区画部の形成のために1枚のシートに対して1サイクルのプレス成型で形成されており、生産効率の悪いものとなっていた。そこで、複数枚のシートを重ね合わせて1サイクルのプレス成型で複数の収容体を同時に形成する方法が望まれている。しかし、区画部を備える収容体のような複雑な形状のものについては制御困難な皺が成型時に発生する。よって、複数枚のシートを重ね合わせて1サイクルのプレス成型を行うと、成型時に発生する皺の移動が拘束された結果、プレス時にシートにかかる力が上手く分散できずにシートに破れが生じる。又、上下で重なり合う収容体の同じ位置に皺が発生するため、皺同士が噛み合って収容体同士が密着し、収容体の束から各々の収容体を剥離する際にブロッキングが生じる。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、仕切り(区画部)形成時にシートが、破れにくくなる収容体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、少なくとも1枚のシートをプレス成型することによって形成され、底面と、底面の周縁から上方に立ち上がる側壁とを有し、上方が開放され、底面を隆起させることにより対向する側壁の一方から他方にかけて形成された第1の仕切りと、第1の仕切りにより区分けされた部分の一方である第1の収容部と、第1の仕切りにより区分けされた部分の他方である第2の収容部とを少なくとも備えた収容体の製造方法であって、シートを準備する第1の工程と、第1の収容部の底面となる部分を挟むようにして押さえる第2の工程と、第1の収容部の底面となる部分の近傍においてシートをプレスして、第1の仕切りを形成する第3の工程と、第2の収容部の底面となる部分を挟むようにして押さえる第4の工程と、第1の収容部の底面となる部分及び第2の収容部の底面となる部分の周縁においてシートをプレスして、側壁を形成する第5の工程とを備えたものである。
【0007】
このように構成すると、第1の仕切り形成時に第1の収容部の底面となる部分のみが固定される。
【0008】
請求項2記載の発明は、少なくとも1枚のシートをプレス成型することによって形成される、底面と、底面の周縁から上方に立ち上がる側壁とを有し、上方が開放され、底面を隆起させることにより、対向する側壁の一方から他方にかけて形成された第1の仕切りと、第1の仕切りの形成位置とは異なる部分において第1の仕切りと同様に形成された第2の仕切りと、第1の仕切りにより区分けされた部分の一方であり、かつ、第2の仕切りにより区分けされた部分の一方である第1の収容部と、第1の仕切りにより区分けされた部分の他方である第2の収容部と、第2の仕切りにより区分けされた部分の他方である第3の収容部とを備えた収容体の製造方法であって、シートを準備する第1の工程と、第1の収容部の底面となる部分を挟むようにして押さえる第2の工程と、第1の収容部の底面となる部分の近傍において、シートをプレスして第1の仕切り及び第2の仕切りを形成する第3の工程と、第2の収容部の底面となる部分及び第3の収容部の底面となる部分を挟むようにして押さえる第4の工程と、第1の収容部の底面となる部分、第2の収容部の底面となる部分及び第3の収容部の底面となる部分の周縁において、シートをプレスして側壁を形成する第5の工程とを備えたものである。
【0009】
このように構成すると、複数の仕切りが形成できる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、製造方法は、第1の金型と、第1の金型の近傍に設けられた第2の金型と、第2の金型の近傍に設けられた第3の金型と、第1の金型、第2の金型及び第3の金型の各々をまとめて囲うように設けられた第4の金型とからなる上金型と、下金型とからなり、第1の金型、第2の金型、第3の金型、第4の金型の順に上金型のプレスのタイミングが遅れるように各々の金型が作動する金型装置を前提として実施され、第1の工程は、下金型にシートを載置する工程を更に含み、第2の工程は、第1の金型により行われ、第3の工程は、第2の金型により行われ、第4の工程は、第3の金型により行われ、第5の工程は、第4の金型により行われるものである。
【0011】
このように構成すると、一つの金型装置にて収容体が形成できる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、下金型は少なくとも2以上の収容部形成金型を備え、収容部形成金型は、略四角錐台の側壁の各々の接続部で構成される角の周辺部分が平面視において、内方側に凹むものとなる形状を有し、第4の金型は、プレス時に角の周辺部分に近接する部分が平面視において内方に突出た円弧形状を有するものである。
【0013】
このように構成すると、収容体のコーナー部に生じる皺が上下方向に形成される。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、シートは複数枚よりなり、積層状態で下金型に載置されるものである。
【0015】
このように構成すると、収容体に生じる皺がずれながら上下方向に形成される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、第1の仕切り形成時に第1の収容部の底面となる部分のみが固定されるので、第1の仕切り形成時にシートが突っ張らないため、破れにくくなる。
【0021】
請求項2記載の発明は、複数の仕切りが形成できるので、より複雑な収容体が形成できる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、一つの金型装置にて収容体が形成できるので、製造効率が向上する。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、収容体のコーナー部に生じる皺が上下方向に形成されるので、収容体の美観が向上する。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、収容体に生じる皺がずれながら上下方向に形成されるので、収容体同士は破れることなく、互いのブロッキングが生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明の第1の実施の形態による収容体の外観形状を示す斜視図である。
図2図1に示した収容体の元となるシートの外観形状を示す平面図である。
図3図1に示した収容体をプレス成型する金型装置の外観形状を示す正面図である。
図4図3に示したIV−IVラインの断面図である。
図5図3に示したV−Vラインの断面図である。
図6図3で示した金型装置に図2で示したシートを載置した状態を示す模式正面図である。
図7図6で示したシートの載置状態から更に第1の金型を下ろした状態を示す模式正面図である。
図8図7で示したVIII−VIIIラインの端面図である。
図9図7で示したIX−IXラインの端面図である。
図10図7で示したX−Xラインの端面図である。
図11図7で示した第1の金型を下ろした状態から更に第2の金型及び第3の金型を下ろした状態を示す模式正面図である。
図12図11で示したXII−XIIラインの端面図である。
図13図11で示したXIII−XIIIラインの端面図である。
図14図11で示したXIV−XIVラインの端面図である。
図15図11で示したXV−XVラインの端面図である。
図16図11で示した第2の金型及び第3の金型を下ろした状態から更に左右側壁形成金型を下ろした状態を示す模式正面図である。
図17図16で示したXVII−XVIIラインの端面図である。
図18図16で示したXVIII−XVIIIラインの端面図である。
図19図16で示したXIX−XIXラインの端面図である。
図20図16で示した左右側壁形成金型を下ろした状態から更に前後側壁形成金型を下ろした状態を示す模式正面図である。
図21図20で示したXXI−XXIラインの端面図である。
図22図20で示したXXII−XXIIラインの端面図である。
図23図20で示したXXIII−XXIIIラインの端面図である。
図24図23で示した“X”部分の拡大図である。
図25図16で示した前後側壁形成金型を下ろした状態の後、上金型を引き上げた状態を示す模式正面図である。
図26】従来の収容体の外観形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、この発明の第1の実施の形態による収容体の外観形状を示す斜視図であり、図2は、図1に示した収容体の元となるシートの外観形状を示す平面図である。
【0029】
これらの図を参照して、収容体10は、複数枚のアルミ箔よりなるシート1を積層状態にしたものを一度にプレス成型することによって複数個同時に形成されたものの一つであり、底面13と、底面13の周縁から上方に立ち上がる側壁17とを有し、上方が開放されたものである。尚、収容体10は、底面13を隆起させることにより、対向する側壁17の一方から他方にかけて形成された第1の仕切り11と、第1の仕切り11の形成位置とは異なる部分において第1の仕切り11と同様に形成された第2の仕切り12と、第1の仕切り11により区分けされた部分の一方であり、かつ、第2の仕切り12により区分けされた部分の一方である第1の収容部14と、第1の仕切り11により区分けされた部分の他方である第2の収容部15と、第2の仕切り12により区分けされた部分の他方である第3の収容部16とを備える。
【0030】
このように構成すると、収容部が3つの収容体10となり、収容物を分けて収容しやすくなる。
【0031】
シート1は、図2に示すように、平面視略八角形形状が3つ連なった形状を有する。尚、中央の平面視略八角形形状の部分が第1の収容部の底面形成部4、左側の平面視略八角形形状の部分が第2の収容部の底面形成部5、右側の平面視略八角形形状の部分が第3の収容部の底面形成部6となる。
【0032】
図3は、図1に示した収容体をプレス成型する金型装置の外観形状を示す正面図であり、図4は、図3に示したIV−IVラインの断面図であり、図5は、図3に示したV−Vラインの断面図である。
【0033】
まず、図3を参照して、金型装置20は、上下に対向して配置され接近自在の上金型28と下金型31とからなる。上金型28はベース体29と、ベース体29の下面に取付けられた第1の金型21、第2の金型22a及び22b、第3の金型23a及び23b、第4の金型24及び下金型31とからなる。尚、第4の金型24は、左右側壁形成金型25a及び25bと前後側壁形成金型26とからなる。
【0034】
ここで、図3及び図4を参照して、下金型31は、ベース体34と、ベース体34の上面に取付けられた3つの収容部形成金型32a、32b、32cとからなる。収容部形成金型32a、32b、32cの各々は略四角錐台の側壁の各々の接続部で構成される角の周辺部分33が平面視形状において内方側に凹むものとなる形状を有している。このように構成したことによる効果は後述する。
【0035】
次に、図3及び図5を参照して、第2の金型22a及び22bの各々は第1の金型21の左右に、第3の金型23aは第2の金型22aの近傍に、第3の金型23bは第2の金型22bの近傍に、第4の金型24は第1の金型21と、第2の金型22a及び22bと、第3の金型23a及び23bとの各々をまとめて囲うように、それぞれ配置されている。又、第1の金型21、第2の金型22a及び22b、第3の金型23a及び23b、左右側壁形成金型25a及び25b、前後側壁形成金型26の順に各々の金型が作動(下降)するように(プレスのタイミングが遅れるように)、各々の金型の下端に対向する下金型31の上面からの距離は、第1の金型21、第2の金型22a及び22b、第3の金型23a及び23b、左右側壁形成金型25a及び25b、前後側壁形成金型26の順に遠くなるように設定されている。このように構成すると、後述する収容体の形成工程が一つの金型装置20で行えるので、製造効率が向上する。
【0036】
前後側壁形成金型26は、プレス時に図4に示した収容部形成金型32a、32b、32cの各々をまとめて囲んで近接するものであり、プレス時に角周辺部分33に近接する部分が、平面視において内方に突出た円弧形状の円弧部分27を有する。このように構成したことによる効果も後述する。
【0037】
図6は、図3で示した金型装置に図2で示したシートを載置した状態を示す模式正面図である。
【0038】
図を参照して、収容体の製造方法の第1の工程として、下金型31にシート1を載置する。尚、このシート1は複数枚よりなり、積層状態で下金型31に載置されるが、図示の便宜上、一枚のものとして表現している。この時、第1の収容部の底面形成部4を中央の収容部形成金型32aの上面に、第2の収容部の底面形成部5を左側の収容部形成金型32bの側に、第3の収容部の底面形成部6を右側の収容部形成金型32cの側に、それぞれ位置するようにシート1を載置する。この場合、シート1の位置決めをするための枠体を下金型31に設けておけばより効率的である。
【0039】
図7は、図6で示したシートの載置状態から更に第1の金型を下ろした状態を示す模式正面図であり、図8は、図7で示したVIII−VIIIラインの端面図であり、図9は、図7で示したIX−IXラインの端面図であり、図10は、図7で示したX−Xラインの端面図である。
【0040】
まず、図7及び図8を参照して、収容体の製造方法の第2の工程として、第1の金型21を下ろして第1の金型21と中央の収容部形成金型32aとで第1の収容部の底面形成部4を挟むようにして押さえる。尚、図7図9及び図10に示すように、この時点では第2の金型22a及び22bと、第3の金型23a及び23bと、第4の金型24とはいずれもシート1に接していない。
【0041】
図11は、図7で示した第1の金型を下ろした状態から更に第2の金型及び第3の金型を下ろした状態を示す模式正面図であり、図12は、図11で示したXII−XIIラインの端面図であり、図13は、図11で示したXIII−XIIIラインの端面図であり、図14は、図11で示したXIV−XIVラインの端面図であり、図15は、図11で示したXV−XVラインの端面図である。
【0042】
まず、図11を参照して、収容体の製造方法の第3の工程として、シート1に当接した状態で第2の金型22a及び22bの各々を下ろす。すると、上述したように、この時点では第1の収容部の底面形成部4のみが図12に示すように固定されているから、図11に示すように、シート1は図の二点鎖線で示した位置から実線で示した位置まで引き込まれる。尚、この引き込み時に左側の収容部形成金型32bの上面に第2の収容部の底面形成部5が、右側の収容部形成金型32cの上面に第3の収容部の底面形成部6が、それぞれ位置するようになる。そうして、図11及び図13を参照して、中央の収容部形成金型32a及び左側の収容部形成金型32bの間に引き込まれた部分が第2の金型22aにプレスされて第1の仕切り11が、中央の収容部形成金型32a及び右側の収容部形成金型32cの間に引き込まれた部分が第2の金型22bにプレスされて第2の仕切り12が、それぞれ形成される。
【0043】
このように構成すると、第1の仕切り11及び第2の仕切り12形成時にシート1が突っ張らないため、破れにくくなる。又、複数の仕切りが形成できるため、より複雑な収容体が形成できる。
【0044】
そして、第2の金型22a及び22bの各々が下がりきった後、収容体の製造方法の第4の工程として、第3の金型23a及び23bの各々を下げて、図11及び図14に示すように第3の金型23aと左側の収容部形成金型32bとで第2の収容部の底面形成部5を、第3の金型23bと右側の収容部形成金型32cとで第3の収容部の底面形成部6を、それぞれ挟むようにして押さえる。この時点では、図11及び図15に示すように、第4の金型24はシート1に接していない。
【0045】
図16は、図11で示した第2の金型及び第3の金型を下ろした状態から更に左右側壁形成金型を下ろした状態を示す模式正面図であり、図17は、図16で示したXVII−XVIIラインの端面図であり、図18は、図16で示したXVIII−XVIIIラインの端面図であり、図19は、図16で示したXIX−XIXラインの端面図である。
【0046】
まず、図16を参照して、収容体の製造方法の第5の工程の前半として、左右側壁形成金型25a及び25bの各々を下ろす。すると、図16及び図19に示すように、シート1が左右側壁形成金型25aと左側の収容部形成金型32bとに、左右側壁形成金型25bと右側の収容部形成金型32cとにそれぞれプレスされて側壁17の左右の部分が形成される。尚、この時に図16図17及び図18に示すように、前後側壁形成金型26も下降し始め、側壁17の前後の部分も形成され始める。
【0047】
図20は、図16で示した左右側壁形成金型を下ろした状態から更に前後側壁形成金型を下ろした状態を示す模式正面図であり、図21は、図20で示したXXI−XXIラインの端面図であり、図22は、図20で示したXXII−XXIIラインの端面図であり、図23は、図20で示したXXIII−XXIIIラインの端面図であり、図24は、図23で示した“X”部分の拡大図であり、図25は、図16で示した前後側壁形成金型を下ろした状態の後、上金型を引き上げた状態を示す模式正面図である。
【0048】
まず、図20を参照して、収容体の製造方法の第5の工程の後半として、前後側壁形成金型26を下ろす。すると、図20図21及び図22に示すように、シート1が前後側壁形成金型26と収容部形成金型32a、32b及び32cの各々とにプレスされて側壁17の前後の部分が形成される。
【0049】
この時、図23及び図24を参照して、収容部形成金型32a、32b及び32cの各々の角の周辺部分33の内側に前後側壁形成金型26の円弧部分27が入り込んで、シート1が角の周辺部分33と円弧部分27とでプレスされる。すると、シート1は角の周辺部分33と円弧部分27との近接部分から角の周辺部分33の内方側に収縮するように折り込まれて、シート1に皺19が形成される。すなわち、上述してきたように各部分を順に押さえてシート1をプレスすることにより、皺19の発生位置を制御できるから、図25及び図1に示すように、上金型28を引き上げて収容体10の形成工程を終了した時には、収容体10のコーナー部18に集中して皺19が上下方向に形成される。よって、収容体10の美観が向上する。又、上述したようにシート1は複数枚よりなり積層状態でプレスされているが、収容体10の各々に生じる皺19は互いにずれながら上下方向に形成されるので、収容体10同士は破れることなく、互いのブロッキングが生じにくくなるため分離が容易となる。
【0050】
尚、上記の第1の実施の形態では、シートは複数枚が積層状態で下金型に載置されるものであったが、少なくとも一枚が下金型に載置されてもよい。
【0051】
又、上記の第1の実施の形態では、収容体は第1の仕切り及び第2の仕切りにより区分けされ、3つの収容部を備えるものであったが、第1の仕切りにより区分けされた第1の収容部と第2の収容部とを少なくとも備えるものであればよい。この収容体を製造する場合、製造方法の第3の工程は、第1の収容部の底面形成部の近傍においてシートをプレスして、第1の仕切りを形成するものに、第4の工程は、第2の収容部の底面形成部を挟むようにして押さえるものに、第5の工程は、第1の収容部の底面形成部及び第2の収容部の底面形成部の周縁においてシートをプレスして側壁を形成するものに、それぞれなる。このように構成すると、収容部が複数の収容体となるので、収容物を分けて収容しやすくなる。
【0052】
更に、上記の第1の実施の形態では、収容体は第1の仕切り及び第2の仕切りにより区分けされ、第1の収容部、第2の収容部及び第3の収容部の3つの収容部を備えるものとして捉えていたが、第1の仕切りにより区分けされ、第1の収容部(元の第2の収容部)と、仕切りを有する第2の収容部(元の第1の収容部及び第3の収容部)との、2つの収容部を備えるものとして捉えてもよい。
【0053】
更に、上記の第1の実施の形態では、収容体は第1の仕切り及び第2の仕切りにより区分けされ、3つの収容部を備えるものであったが、仕切りの数を増やして更に多くの収容部を備えるものとしてもよい。このように構成すると、収容部が増加した収容体となるので、更に収容物を分けて収容しやすくなる。
【0054】
更に、上記の第1の実施の形態では、収容体はアルミ箔よりなるシートから形成されるものであったが、アルミ箔以外の金属箔や樹脂フィルム、紙、又はこれらを貼り合わせたシートから形成されるものであってもよい。
【0055】
更に、上記の第1の実施の形態では、下金型からの距離を金型毎に変えることで各々の金型の作動順序を設定していたが、他の方法により金型の作動順序(プレスのタイミング)を設定してもよい。
【0056】
更に、上記の第1の実施の形態では、収容部形成金型及び前後側壁形成金型は特定の形状を有するものであったが、他の形状であってもよい。
【0057】
更に、上記の第1の実施の形態では、下金型は3つの収容部形成金型を備えるものであったが、形成する収容部の数に合わせて、少なくとも2以上の収容部形成金型を備えるものであればよい。
【0058】
更に、上記の第1の実施の形態では、仕切りを含めた収容体は特定形状のものであったが、例えば、平面視L字形状やT字形状のように収容体が直交するように配置されるものであったり、仕切りが斜めに形成されていたり、仕切りの高さが側壁の上周端縁よりも低いものであったり、収容部が略円形であったりとするような、他の形状であってもよい。この場合、金型は収容体の形状に対応したものとすればよい。
【符号の説明】
【0059】
1…シート
4…第1の収容部の底面形成部
5…第2の収容部の底面形成部
6…第3の収容部の底面形成部
10…収容体
11…第1の仕切り
12…第2の仕切り
13…底面
14…第1の収容部
15…第2の収容部
16…第3の収容部
17…側壁
20…金型装置
21…第1の金型
22a、22b…第2の金型
23a、23b…第3の金型
24…第4の金型
25a、25b…左右側壁形成金型
26…前後側壁形成金型
27…円弧部分
28…上金型
31…下金型
32a、32b、32c…収容部形成金型
33…角の周辺部分
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
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