(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996907
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構
(51)【国際特許分類】
G03B 17/02 20060101AFI20160908BHJP
G02B 7/02 20060101ALI20160908BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20160908BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20160908BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20160908BHJP
G03B 17/00 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
G03B17/02
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
G03B15/00 P
H04N5/232 E
H04N5/225 D
G03B17/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-83482(P2012-83482)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-213890(P2013-213890A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純一
【審査官】
小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−182878(JP,A)
【文献】
特開2007−148020(JP,A)
【文献】
特開平04−346578(JP,A)
【文献】
特開昭51−027020(JP,A)
【文献】
実開昭57−168369(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/00
G03B 17/00
H04N 5/225
H04N 5/232
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントフレームに光学ブロックを取り付け、前記光学ブロックの光軸周りの傾斜を、偏心ピンを用いて調整する放送用のポータブルカメラの画像傾斜調整機構において、
前記光学ブロックに対して前記光軸周りに固定されるローテーション調整板と、
前記ローテーション調整板を挟み、前記フロントフレームに対して前記光軸周りに固定される調整板固定プレートと、
偏心した回転ピン部を有する偏心ピンと、
前記偏心ピンが嵌めこまれる偏心ピン嵌めこみ穴を有し、前記フロントフレームの側面に設けられる偏心ピン固定板と、
光軸方向に長く前記偏心ピンの前記回転ピン部が嵌めこまれる偏心ピン可動穴を有し、前記ローテーション調整板の側面に設けられる偏心ピン可動板と、
を有し、
前記ローテーション調整板は、前記調整板固定プレートを挟み込んだ状態で、前記調整板固定プレートを光軸周りの回転方向に拘束しないように、前記光学ブロックに固定され、
前記偏心ピンが前記フロントフレームの側面方向から前記偏心ピン嵌めこみ穴に嵌めこまれ、前記回転ピン部が前記偏心ピン可動穴に嵌めこまれた状態で、前記偏心ピンを回転することによって、前記光学ブロックの光軸周りの傾斜を調整することを特徴とする放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送用ポータブルカメラに関わり、特に放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図1A、
図1B及び
図5によって、従来の放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構について説明する。
図1Aは、従来の放送用ポータブルカメラの一例を示す斜視図である。また、
図1Bは、
図1Aの放送用ポータブルカメラの光学ブロックとフロントフレームの分解斜視図である。さらに
図5は、画像の傾斜の一例を示す図である。100はカメラヘッド部、101はフロントフレーム、102は光学ブロック、103はフロントフレーム101に光学ブロック102を取り付けるための光学ブロック取り付けネジ、104は光学ブロック取り付けネジ103で光学ブロック102を取り付けるためにフロントフレーム101に設けられた光学ブロック取り付け用穴、105は光学ブロック102に光学ブロック取り付けネジ103を取り付ける光学ブロック取り付け用穴、106はカメラヘッド筺体部、151はフロントフレーム101をカメラヘッド筺体部106に取り付けるためのフロントフレーム固定ネジ、152はフロントフレーム固定ネジ151でカメラヘッド筺体部106に固定するためにフロントフレーム101に設けられたフロントフレーム固定ネジ用穴、153はフロントフレーム固定ネジ151でフロントフレーム101を固定するためにカメラヘッド筺体部106に設けられたフロントフレーム固定ネジ穴、501はモニタ画面に表示された傾斜が無い画像、502はモニタ画面に表示された左に角度θ傾斜した画像である。
なお、光学ブロック取り付け用穴104は、光学ブロック取り付けネジ103に対して、クリアランスを設ける。これに対して、光学ブロック102の光学ブロック取り付け用穴105は、光学ブロック取り付けネジ103がネジ締めできるようにネジ穴が形成されている。
【0003】
図1A及び
図1Bは、放送用ポータブルカメラのカメラヘッド部100だけ示している。放送用ポータブルカメラは、通常、カメラヘッド部100の背面にカメラアダプタ(CA)(図示せず)を取り付け、カメラマンが操作する。さらに、スタジオ外で使用する場合には、カメラヘッド部100の背面にカメラレコーダ(CR)(図示せず)を取り付け、カメラマンが肩に担ぐ等、持ち運び操作する。
【0004】
図1において、放送用ポータブルカメラ100の出荷調整時には、フロントフレーム101に、光学ブロック取り付けネジ103によって光学ブロック102が取り付けられる。取り付け後、カメラヘッド部100は水平な場所に置かれ、光学ブロック取り付けネジ103により光学ブロック102を締め付けて固定する。
固定する際に、光学ブロック102の傾き(画像傾斜)をモニタで撮像した画像で確認しながら、光学ブロック取り付けネジ103を締め付け、光学ブロック102を水平に固定する。
例えば、
図5の画像傾斜の確認を行う画面の一例に示すように、
モニタ画面に傾きのない画像501を表示し、その画像501と実際に撮像した画像502との傾斜(∠θ)を、調整員が確認する。
【0005】
なお、光学ブロック102の光軸周りの傾きの調整は、フロントフレーム101に光学ブロック102を仮固定した後、フロントフレーム101をカメラヘッド筺体部106に、フロントフレーム固定ネジ151、フロントフレーム固定ネジ用穴152、及びフロントフレーム固定ネジ穴153によって固定した後に実行する。そのため、光学ブロック102の調整に必要な部分は、フロントフレーム101の前面にとび出している。
さらに、出荷後、放送用ポータブルカメラを使用中に光学ブロック取り付けネジ103等のネジの緩み等によって、光学ブロック102が傾斜していることが確認された場合には、再度画像傾斜を確認しながら光学ブロック取り付けネジ103を締め付け、光学ブロック102を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−306417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術の放送用ポータブルカメラのカメラヘッド部100では、光学ブロック102は、フロントフレーム101に直接固定する構成となっている。光学ブロック取り付け用穴104と光学ブロック取り付けネジ103とのクリアランス分での調整であり、調整には熟練した技術が必要であった。さらに、光学ブロック取り付けネジ103で直接光学ブロック102を締め付けている。このため、ネジの締付時に発生する摩擦や回転により、光学ブロック102を固定する位置が、回転方向にずれ易い。このため、調整が難しく、熟練の調整員を必要としていた。
特許文献1は、デジタル一眼レフカメラにおいて、撮像素子が光軸周りに傾いて取り付けられていても、前記撮像素子が光軸周りに回動するようにカメラ本体に回動自在に支持された保持部材と、前記保持部材の回動位置を調整して、前記保持部材に保持された前記撮像素子の光軸周りの傾きを調整する調整手段を備えている。しかし、回転方向の調整がいつでも自由に可能な利点があるが、調整角度が比較的粗く、バックラッシもあり、使用中に簡単にずれる可能性が大きい。また、カメラに比して調整機構の占める容積が大きすぎる問題があった。
本発明では、上記問題に鑑み、熟練した技量が無くとも簡単に光学ブロックの傾き(画像傾斜)の調整ができる放送用ポータブルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構は、光学ブロックの取付け調整を行う部分に、調整板を設け画像傾斜を独立して調整できる構造とした。
さらに、直接光学ブロックを締め上げるのではなく、調整板を介して固定することにより、ネジの締付時に発生する摩擦による光学ブロック位置の狂いを押さえることができる構造とした。
【0009】
即ち、本発明の放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構は、フロントフレームに光学ブロックを取り付け、前記光学ブロックの光軸周りの傾斜を調整する放送用のポータブルカメラの画像傾斜調整機構において、前記光学ブロックに対して前記光軸周りに固定されるローテーション調整板と、前記ローテーション調整板を挟み、前記フロントフレームに対して前記光軸周りに固定される調整板固定プレートとを有し、前記調整板固定プレート及び前記ローテーション調整板を介して、前記光学ブロックの光軸周りの傾斜を調整することを特徴とする。
【0010】
また、上記本発明の放送用のポータブルカメラの画像傾斜調整機構において、前記光学ブロックの前記光軸周りの外周に設けた前記光軸方向に長い長方形の溝と、前記フロントフレームの一方の側面に設けた偏心ピン固定板と、前記ローテーション調整板の前記側面に設けた偏心ピン可動板とを備え、偏心した回転ピン部が前記偏心ピン可動板に設けたピン穴、及び前記溝に嵌まるように前記偏心ピン固定板に固定された調整偏芯ピンを具備し、前記調整偏芯ピンを回転することによって、前記光学ブロックの光軸周りの傾斜を調整することを本発明の第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、調整板を設けることにより、熟練した技量が無くとも簡単に画像傾斜の調整ができ、調整完了後、固定ネジ締め付けによる光学ブロック位置のずれも小さく固定でき、より正確に、かつ効率良く画像傾斜の調整をすることが可能となる。また、カメラに比して調整機構の占める容積を小さくすることができる。その結果、カメラマンは、ファインダで確認した画像と実際に撮像された画像との間に傾き差が発生せず、カメラマンが意図した画像と異なる画像が撮像されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】従来の放送用ポータブルカメラの一例を示す斜視図である。
【
図1B】
図1Aの放送用ポータブルカメラの光学ブロックとフロントフレームの分解斜視図である。
【
図2A】本発明の放送用ポータブルカメラの一実施例を示す斜視図である。
【
図2B】
図1Aの放送用ポータブルカメラの光学ブロックとフロントフレームの一実施例の分解斜視図である。
【
図3A】
図2Bの本発明の放送用ポータブルカメラの一実施例の光学ブロックとフロントフレームの斜視図である。
【
図3B】
図3Aの4半分を切り取って内部を示した斜視図である。
【
図3C】
図2Aの本発明の放送用ポータブルカメラの一実施例でフロントフレーム側から見た正面図と断面図、及び、回転傾斜調整部側の側面図を示す図である。
【
図4】本発明の放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構の一実施例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、光学ブロックを筺体のフロントフレームに取り付ける際に、偏心ピンを使ってローテーション調整する放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構に関するものである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、従来例として説明した
図1A、
図1B、及び
図5を含め、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避ける。
【0014】
以下、本発明の放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構の一実施例を
図2A、
図2Bによって説明する。
図2Aは、本発明の放送用ポータブルカメラの一実施例を示す斜視図である。また、
図2Bは、
図2Aの放送用ポータブルカメラの光学ブロックとフロントフレームの分解斜視図である。200はカメラヘッド部、201はフロントフレーム、202は光学ブロック、221はローテーション調整板、211は調整板固定プレート、203はローテーション調整板221を挟んで調整板固定プレート211にフロントフレーム201を固定するための調整板固定ネジ、204は調整板固定ネジ203で光学ブロック202を取り付けるためにフロントフレーム201に設けられた光学ブロック取り付け用穴、205はローテーション調整板211に設けられた調整板固定ネジ203を通す調整板固定ネジ用穴、206はフロントフレーム201を調整板固定プレート211にネジ固定するための調整板固定ネジ穴、222は調整板固定プレート211を光学ブロック202に固定するための光学ブロック固定ネジ、223は光学ブロック固定ネジ222を通すためにローテーション調整板211に設けられた光学ブロック固定ネジ用穴、224はローテーション調整板211を光学ブロック202にネジ固定するための光学ブロック固定ネジ穴、241はフロントフレーム201の側面に設けられた偏心ピン固定板、231は調整偏心ピン、232は偏心ピン固定プレート、233は偏心ピン固定プレート232を偏心ピン固定板230に取り付けるための偏心ピン固定ネジ、234は調整偏心ピン231の頭部を偏心ピン固定プレート232から露出させる回転させるための回転調整用穴、235は偏心ピン固定プレート232を偏心ピン固定ネジ233で偏心ピン固定板241に固定するために通すための穴、236は調整偏心ピン231を嵌めこむために偏心ピン固定板241に設けた偏心ピン嵌めこみ穴、237は偏心ピン固定ネジ233を偏心ピン固定板241に固定するための偏心ピン固定ネジ穴、242は調整板固定プレート211の側面に設けられた偏心ピン可動板、243は偏心ピン可動板242に設けられた偏心ピン可動穴、251は偏心ピン231の回転軸である。
【0015】
図2A及び
図2Bにおいて、まず、ローテーション調整板221は、調整板固定プレート211を挟みこんだ状態で、光学ブロック固定ネジ222によって、光学ブロック202に固定される。光学ブロック固定ネジ用穴223の穴径は、光学ブロック固定ネジ222がカメラの光軸周りを回転調整可能なクリアランスを設けている。また、光学ブロック固定ネジ222は、調整板固定プレート211の光軸周りの外側を通っている。このため、調整板固定プレート211は、光学ブロック固定ネジ222の締め付けによって光軸周りの回転方向に拘束されない。これに対して、光学ブロック202の光学ブロック固定ネジ穴224は、光学ブロック固定ネジ222がネジ締めできるようにネジ穴が形成されている。
【0016】
次に、フロントフレーム201は、ローテーション調整板221を挟みこんだ状態で、調整板固定ネジ203によって、調整板固定プレート211に固定される。光学ブロック取り付け用穴204及び調整板固定ネジ用穴205の穴径は、調整板固定ネジ203がカメラの光軸周りを回転調整可能なクリアランスを設けている。このため、フロントフレーム201及び調整板固定プレート211は、光学ブロック固定ネジ222の締め付けによって光軸周りの回転方向に拘束されない。一方、調整板固定プレート211の調整板固定ネジ穴206は、光学ブロック固定ネジ222がネジ締めできるようにネジ穴が形成され、フロントフレーム201及び調整板固定プレート211は、光軸周りの回転方向に一体化して回転する。
【0017】
そして、光学ブロック202の光軸周りの傾きの調整は、フロントフレーム201に光学ブロック202を仮固定した後、フロントフレーム201をカメラヘッド筺体部106に、図示しないフロントフレーム固定ネジ151、フロントフレーム固定ネジ用穴152、及びフロントフレーム固定ネジ穴153によって、
図1A及び
図1Bと同様に固定した後に実行する。そのため、光学ブロック202の調整に必要な部分は、フロントフレーム201の前面及び前側面にとび出している。
【0018】
図2A及び
図2Bにおいて、フロントフレーム201の側面に設けられた偏心ピン固定板241はローテーション調整板221の側面に設けられた偏心ピン可動板242と、偏心ピン嵌めこみ穴236及び偏心ピン可動穴243に調整偏心ピン231が嵌まるように、それらの中心が一致するように配置されている。即ち、フロントフレーム201の左側面または右側面には、調整偏心ピン231を納めることができるように、偏心ピン可動板242及び偏心ピン可動穴243が構成され、偏心ピン固定プレート232により固定されている。
この調整偏心ピン231の頭部はスリット状に加工され、調整員が一般工具によりフロントフレーム201に対して回転運動させることができる。またローテーション調整板221の左側面または右側面に形成された偏心ピン可動板242の溝(偏心ピン可動穴243)は、光学ブロック202に対し前後方向に構成されている。
【0019】
この偏心ピン231の回転による本発明の画像傾斜調整機構さらに、本発明の放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構の一実施例を
図3A、
図3B、
図3C、及び
図4によって説明する。また、
図3Bは、
図3Aの4半分を切り取って内部を示した斜視図である。また、
図3Cは、
図2Aの本発明の放送用ポータブルカメラの一実施例でフロントフレーム側から見た正面図と断面図、及び、回転傾斜調整部側の側面図を示す図である。さらに、
図4は、本発明の放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整機構の一実施例を説明するための断面図である。
350は放送用ポータブルカメラの光軸、351は光軸350周りの回転方向を示す矢印、252は偏心ピン231の回転軸251の回転方向を示す矢印、370は放送用ポータブルカメラのフロントフレーム側から見た正面図、371は放送用ポータブルカメラの側面図、381は放送用ポータブルカメラのA−A断面図、382は放送用ポータブルカメラのB−B断面図、450は調整偏心ピン231の回転ピン部部、451は回転ピン部450の回転方向の移動方向を示す矢印(移動幅:T)、471は偏心ピン231を側面から見た側面図である。
【0020】
調整員は、調整対象の放送用ポータブルカメラを、平らなテーブルに静置し、所定のテストパターンを撮像する。撮像した画像は、図示しないモニタに表示される。調整員は、モニタに表示された画像を見て、画像傾斜があると判断した場合には、調整偏心ピン231を回転する。その結果、
図3Aに示すように、調整偏心ピン231の回転によって、光学ブロック202は、光軸350を中心に矢印351の方向に回転する。
【0021】
以下、調整偏心ピン231の回転によって、光学ブロック202が回転する機構について、
図4を主に用いて説明する。
まず、調整員は、調整方法は、調整板固定ネジ203を緩める。
次に、調整員は、一般工具によって、調整偏心ピン231のスリット状の頭部を回転する。その結果、回転ピン部450は中心より偏った距離t分だけ、回転軸251を中心に円運動をする。即ち、調整偏心ピン231は、回転中心251を中心に回転し、その回転によって調整偏心ピン231の回転中心から偏心している回転ピン部450(450’)は、矢印451のように回転する。その結果、最大で垂直方向に偏心した距離tの2倍(最大距離T=2t)移動することができる。この回転ピン部450は、ローテーション調整板221の偏心ピン可動板242に設けた偏心ピン可動穴243に嵌まっている。この偏心ピン可動穴243は、側面
図471に示す破線の枠のように横方向(水平方向)に十分長く、垂直方向(高さ方向)には回転ピン部450の直径に近い寸法の長方形の溝である。このため、回転ピン部450が回転すると、ローテーション調整板221は、横方向には移動しないが、高さ方向に力が加わる。この結果、ローテーション調整板221は、光軸周りに回転する。
【0022】
回転調整後、調整員は、再び、所定のテストパターンを撮像する。そして、調整員は、モニタに表示された画像を見て、まだ画像傾斜があると判断した場合には、調整偏心ピン231を再び回転し、調整を繰り返す。また、調整員は、モニタに表示された画像を見て、画像傾斜がないと判断した場合には、調整板固定ネジ203をしっかりと締め、全体を固定し、調整を終了する。
【0023】
上述の実施例によれば、放送用のポータブルカメラにおいて、カメラ本体に対して組立時または使用時に起こる光学ブロックの傾き(画像傾斜)を特殊な技量を要することなく、素早く合わせることができる。即ち、熟練の調整員によらず、調整後のずれを心配せず、容易、かつ迅速に、放送用ポータブルカメラの画像傾斜調整が可能となる。
なお、本発明の画像傾斜調整機構は、3板式のカラーカメラ等、放送用ポータブルカメラを対象とした技術であるが、放送用ポータブルカメラに限らず、産業用カメラあるいは単板式カラーカメラでも適用可能である。
【0024】
以上、本発明を実施例によって詳細に説明した。しかし、本発明は、上述の実施例に限定されるわけではなく、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神に基づいて、本発明を修正若しくは変更できる発明が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
100:カメラヘッド部、 101:フロントフレーム、 102:光学ブロック、 103:光学ブロック取り付けネジ、 104、105:光学ブロック取り付け用穴、 106:カメラヘッド筺体部、 151:フロントフレーム固定ネジ、 152:フロントフレーム固定ネジ用穴、 153:フロントフレーム固定ネジ穴、 200:カメラヘッド部、 201:フロントフレーム、 202:光学ブロック、 203:調整板固定ネジ、 204:光学ブロック取り付け用穴、 205:調整板固定ネジ用穴、 206:調整板固定ネジ穴、 211:調整板固定プレート、 221:ローテーション調整板、 222:光学ブロック固定ネジ、 223:光学ブロック固定ネジ用穴、 224:光学ブロック固定ネジ穴、 231:調整偏心ピン、 232:偏心ピン固定プレート、 233:偏心ピン固定ネジ、 234:回転調整用穴、 235:偏心ピン固定ネジ用穴、 236:偏心ピン嵌めこみ穴、 237:偏心ピン固定ネジ穴、 241:偏心ピン固定板、 242:偏心ピン可動板、 243:偏心ピン可動穴、 251:回転軸、 252:矢印、 350:光軸、 351:矢印、 370:正面図、 371:側面図、 381:A−A断面図、 382:B−B断面図、 450:回転ピン部、 451:矢印、 471:偏心ピン231を側面から見た側面図。