特許第5996910号(P5996910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5996910
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】警報器、及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/16 20060101AFI20160908BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   G08B21/16
   G08B17/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-86027(P2012-86027)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-218389(P2013-218389A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】大江 英城
(72)【発明者】
【氏名】小畑 滋男
(72)【発明者】
【氏名】松井 巧
(72)【発明者】
【氏名】高林 亘
(72)【発明者】
【氏名】田中 彰一
(72)【発明者】
【氏名】草次 将典
(72)【発明者】
【氏名】水沼 昭仁
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4721664(JP,B2)
【文献】 特開2010−108516(JP,A)
【文献】 特開2008−123279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B21/16
G08B17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における異常状態の発生をセンサ部からの信号に基づいて検出した場合にその旨を報知する報知手段と、監視領域における異常状態を検出していないときに第1電圧を外部機器に出力し、監視領域における異常状態を検出したときには前記第1電圧と異なる第2電圧を外部機器に出力する有電圧出力手段と、定期的に故障箇所の有無を判断し、故障箇所を検出した場合に前記報知手段から故障を報知させる自動点検手段と、を備えた警報器であって、
操作可能に設けられた点検スイッチに対して規定の操作が行われた場合に、点検操作を受け付ける点検受付手段と、
前記点検受付手段により点検操作が受け付けられた場合、前記報知手段から警報音及び警報表示の少なくとも一方を出力させる点検動作を実行させると共に、当該点検動作の実行開始時点から所定時間遅れて、前記有電圧出力手段から前記外部機器に第2電圧を出力させる制御手段と、
を備えることを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記有電圧出力手段から前記外部機器に対して前記第2電圧を出力させる動作を停止させる停止操作を受け付ける停止受付手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
監視領域における異常状態の発生をセンサ部からの信号に基づいて検出した場合にその旨を報知する報知手段と、監視領域における異常状態を検出していないときに第1電圧を外部機器に出力し、監視領域における異常状態を検出したときには前記第1電圧と異なる第2電圧を外部機器に出力する有電圧出力手段と、定期的に故障箇所の有無を判断し、故障箇所を検出した場合に前記報知手段から故障を報知させる自動点検手段と、を備えた警報器の制御方法であって、
操作可能に設けられた点検スイッチに対して規定の操作が行われた場合に、点検操作を受け付ける点検受付工程と、
前記点検受付工程において点検操作が受け付けられた場合、前記報知手段から警報音及び警報表示の少なくとも一方を出力させる点検動作を実行させると共に、当該点検動作の実行開始時点から所定時間遅れて、前記有電圧出力手段から前記外部機器に第2電圧を出力させる制御工程と、
を備えることを特徴とする警報器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異常状態の発生時に警報を発する警報器が提案されている。この警報器には、外部機器と連動するために外部機器に有電圧出力を行うものがある。より詳細に説明すると、警報器がガス火災一体型の警報器である場合、通常時には6V電圧を有電圧出力回路からガスメータ(外部機器)に出力しており、所定濃度以上のガスが検出されるとガスメータの遮断弁を閉じるべく12V又は18Vの電圧を有電圧出力回路からガスメータに出力する。
【0003】
また、警報器には点検スイッチ等が設けられており、点検スイッチの押下時においても正常に有電圧出力されるか点検するために、12V又は18Vの電圧を有電圧出力回路からガスメータに出力するようになっている。
【0004】
しかし、一度ガスメータの遮断弁が閉じられると、一般ユーザでは弁開することが困難である。このため、点検スイッチが押下された場合において、警報器の電源がオンされてから25分以内のときには12V又は18Vの電圧を有電圧出力し、警報器の電源がオンされてから25分を超えるときには6Vの電圧を有電圧出力する警報器が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
この警報器によれば、電源オンから25分以内である場合、作業者が近くにいると想定できることから、12V又は18Vの電圧を有電圧出力して遮断弁を閉じることにより正常に有電圧出力されて遮断弁が閉じられたかを点検することができる。一方、電源オンから25分を超える場合、作業者が近くにいないと想定できることから、6Vの電圧を有電圧出力して遮断弁を閉じず一般ユーザへの便宜を図ることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4721664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の警報器において、例えば停電等が発生した後、警報器は、初期遅延動作後、通常の監視状態になったことを知らせるため、ブザー又は音声にて報知している。一般ユーザは突然警報器が発報したため、点検(故障確認)をしようと思い、点検スイッチを押下してしまった場合には、ガスメータの遮断弁が閉じられてしまい、遮断弁を開けるなど外部機器を通常の状態に戻さなければならず、ユーザへの便宜が充分に図られているとはいえない。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ユーザが不用意に点検動作を実行してしまう可能性を低減して、より一層ユーザへの便宜を図ることが可能な警報器及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の警報器は、監視領域における異常状態の発生をセンサ部からの信号に基づいて検出した場合にその旨を報知する報知手段と、監視領域における異常状態を検出していないときに第1電圧を外部機器に出力し、監視領域における異常状態を検出したときには第1電圧と異なる第2電圧を外部機器に出力する有電圧出力手段と、定期的に故障箇所の有無を判断し、故障箇所を検出した場合に報知手段から故障を報知させる自動点検手段と、を備えた警報器であって、操作可能に設けられた点検スイッチに対して規定の操作が行われた場合に、点検操作を受け付ける点検受付手段と、点検受付手段により点検操作が受け付けられた場合、報知手段から警報音及び警報表示の少なくとも一方を出力させる点検動作を実行させると共に、当該点検動作の実行開始時点から所定時間遅れて、有電圧出力手段から外部機器に第2電圧を出力させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この警報器によれば、操作可能に設けられた点検スイッチに対して規定の操作が行われ点検操作が受け付けられた場合に、外部機器に第2電圧を出力させるため、規定の操作をユーザが不用意に行ってしまえない内容とすることにより、ガスメータなどの外部機器が動作すること無く外部機器を通常の状態に戻す必要が無くなる。また、定期的に故障箇所の有無を判断し、故障箇所を検出した場合に報知手段から故障を報知させる自動点検手段を備えるため、警報器の単独による点検を行う必要性を無くすことができる。すなわち、警報器の単独の点検は、警報表示や警報音の出力等により行われ故障が発生しているかを確認するものであるが、そもそもこの点検は警報器が定期的に自己で点検を行うことにより、ユーザに行わせる必要が無い。よって、ユーザが警報器を単独で点検させようと操作することが無くなり、より一層ユーザが不用意に規定の操作を行ってしまう可能性を低減することができる。従って、ユーザが不用意に点検動作を実行してしまう可能性を低減して、より一層ユーザへの便宜を図ることができる。さらに、点検動作の実行開始時点から所定時間遅れて、外部機器に対して第2電圧を出力させるため、仮にユーザが誤って点検操作を行ったとしても、点検動作の実行開始時点からすぐに第2電圧が出力されないこととなり、例えば外部機器が第2電圧により動作してしまう前に警報器の電源を落とすことが可能となる。これにより、ユーザは、遮断弁を開けるなど外部機器を通常の状態に戻す必要が無くなる。従って、より一層ユーザへの便宜を図ることができる。
【0013】
また、本発明の警報器において、有電圧出力手段から外部機器に対して第2電圧を出力させる動作を停止させる停止操作を受け付ける停止受付手段をさらに備えることが好ましい。
【0014】
この警報器によれば、外部機器に対して第2電圧を出力させる動作を停止させる停止操作を受け付ける停止受付手段をさらに備えるため、仮にユーザが誤って点検操作を行ったとしても、例えば外部機器が第2電圧により動作してしまう前に停止操作を行うことで外部機器の動作を禁止することができる。従って、より一層ユーザへの便宜を図ることができる。
【0015】
本発明の警報器の制御方法は、監視領域における異常状態の発生をセンサ部からの信号に基づいて検出した場合にその旨を報知する報知手段と、監視領域における異常状態を検出していないときに第1電圧を外部機器に出力し、監視領域における異常状態を検出したときには第1電圧と異なる第2電圧を外部機器に出力する有電圧出力手段と、定期的に故障箇所の有無を判断し、故障箇所を検出した場合に報知手段から故障を報知させる自動点検手段と、を備えた警報器の制御方法であって、操作可能に設けられた点検スイッチに対して規定の操作が行われた場合に、点検操作を受け付ける点検受付工程と、点検受付工程において点検操作が受け付けられた場合、報知手段から警報音及び警報表示の少なくとも一方を出力させる点検動作を実行させると共に、当該点検動作の実行開始時点から所定時間遅れて、有電圧出力手段から外部機器に第2電圧を出力させる制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この警報器の制御方法によれば、操作可能に設けられた点検スイッチに対して規定の操作が行われ点検操作が受け付けられた場合に、外部機器に第2電圧を出力させるため、規定の操作をユーザが不用意に行ってしまえない内容とすることにより、ガスメータなどの外部機器が動作すること無く外部機器を通常の状態に戻す必要が無くなる。また、定期的に故障箇所の有無を判断し、故障箇所を検出した場合に報知手段から故障を報知させる自動点検手段を備えるため、警報器の単独による点検を行う必要性を無くすことができる。すなわち、警報器の単独の点検は、警報表示や警報音の出力等により行われ故障が発生しているかを確認するものであるが、そもそもこの点検は警報器が定期的に自己で点検を行うことにより、ユーザに行わせる必要が無い。よって、ユーザが警報器を単独で点検させようと操作することが無くなり、より一層ユーザが不用意に規定の操作を行ってしまう可能性を低減することができる。従って、ユーザが不用意に点検動作を実行してしまう可能性を低減して、より一層ユーザへの便宜を図ることができる。さらに、点検動作の実行開始時点から所定時間遅れて、外部機器に対して第2電圧を出力させるため、仮にユーザが誤って点検操作を行ったとしても、点検動作の実行開始時点からすぐに第2電圧が出力されないこととなり、例えば外部機器が第2電圧により動作してしまう前に警報器の電源を落とすことが可能となる。これにより、ユーザは、遮断弁を開けるなど外部機器を通常の状態に戻す必要が無くなる。従って、より一層ユーザへの便宜を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、より一層ユーザへの便宜を図ることが可能な警報器及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る警報器を含む警報システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係るガス火災警報器の制御方法を示すフローチャートであって、点検に関する処理を示している。
図3】本実施形態に係るガス火災警報器の制御方法を示す第1のタイミングチャートである。
図4】本実施形態に係るガス火災警報器の制御方法を示す第2のタイミングチャートである。
図5】本実施形態に係るガス火災警報器の制御方法を示す第3のタイミングチャートである。
図6】本実施形態の変形例に係るガス火災警報器の制御方法を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る警報器の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る警報器を含む警報システムの構成を示すブロック図である。図1に示す警報システム1は、ガス火災警報器10と、複数の火災警報器20とからなっており、ガス火災警報器10にてガス漏れ(異常状態)を検出した場合にはその旨を報知すると共に、戸外に設けられるガスメータ(外部機器)30に対して遮断弁を閉じるべく有電圧出力を行うものである。また、警報システム1は、ガス火災警報器10、及び複数の火災警報器20のいずれか1つにより火災(異常状態)が検出された場合には、これらすべての警報器10,20からその旨を報知する構成となっている。
【0020】
以下、詳細に説明する。まず、ガス火災警報器10は、センサ部11と、制御部(制御手段)12と、報知部(報知手段)13と、音声出力回路14とを備えている。センサ部11は、家庭等に供給されるガス(例えば都市ガスの主成分となるメタン)や火災時に発生する一酸化炭素等を被検出対象ガスとし、これらのガスの濃度に応じた信号を制御部12に出力するものである。また、センサ部11は、煙についても検出する機能を有し、煙濃度に応じた信号を制御部12に出力する構成となっている。
【0021】
制御部12は、ガス火災警報器10の全体を制御するものであって、センサ部11からの信号に基づいて、監視領域における異常状態の発生を検出する機能を有する。また、制御部12は、監視領域が異常状態であると判断した場合、その旨の信号を報知部13に送信する。
【0022】
報知部13は、監視領域における異常状態の発生時にその旨を報知するものであり、表示部13aと音声出力部13bとを備えている。表示部13aは、例えば緑や黄色のLED(Light Emitting Diode)により構成され、点灯や点滅により異常状態を報知する。また、音声出力部13bはスピーカやブザーによって構成され、制御部12からの信号を音声出力回路14を介して入力し、音声メッセージやブザー音により異常状態を報知する。
【0023】
また、ガス火災警報器10は、有電圧出力回路(有電圧出力手段)16と、連動信号送受信回路17とを備えている。有電圧出力回路16は、外部機器であるガスメータ30に対して有電圧出力を行うものである。具体的に有電圧出力回路16は、通常時においてガスメータ30に例えば6Vのロウレベル電圧(第1電圧)を有電圧出力しており、異常状態の検出時には例えば12V又は18Vのハイレベル電圧(第2電圧)を有電圧出力する。ガスメータ30は、ハイレベル電圧を入力すると異常状態の悪化を防止すべく遮断弁を閉じることとなる。なお、ガス火災警報器10自体の故障や断線などの異常が発生している場合、有電圧出力回路16からは0V電圧(第2電圧)が出力される。
【0024】
連動信号送受信回路17は、火災警報器20との連動点検を行う際に火災連動信号を送受信するものである。具体的に制御部12は、連動点検を行うと判断した場合、報知部13から報知動作を行わせると共に、連動信号送受信回路17から火災警報器20に対して火災連動信号を送信する。これにより、火災警報器20は、ガス火災警報器10と同様に報知動作を行うこととなる。なお、火災連動信号は、ガス火災警報器10により実際に火災が検出された場合にも出力されることはいうまでもない。
【0025】
また、図1に示すように、ガス火災警報器10は、点検スイッチ18と、停止スイッチ19とを備えている。さらに、制御部12は、点検受付部(点検受付手段)12aと、停止受付部(停止受付手段)12bとを備えている。
【0026】
点検スイッチ18及び停止スイッチ19は、ガス火災警報器10の外部に露出した状態で、ユーザ等により操作可能に設けられたスイッチである。点検受付部12aは、点検スイッチ18の操作内容に基づいて点検操作を受け付けるものである。停止受付部12bは、停止スイッチ19の操作内容に基づいて点検動作の停止操作を受け付けるものである。
【0027】
ここで、本実施形態に係る点検受付部12aは、点検スイッチ18に対して規定の操作が行われた場合に点検操作を受け付け、制御部12は、点検操作が受け付けられた場合に、点検動作を実行する。この際、制御部12は、警報音及び警報表示の少なくとも一方を行うと共に、点検動作の実行開始時点から所定時間遅れて、有電圧出力回路16からガスメータ30に対してハイレベル電圧を出力させる(連動点検動作を実行する)。これにより、ガスメータ30の遮断弁を動作させる。
【0028】
なお、規定の操作とは、規定時間(例えば3秒)以上の点検スイッチ18のオン、規定時間(例えば3〜6秒)だけ点検スイッチ18のオン、規定時間(例えば3〜6秒)中における規定回数(2回以上)の点検スイッチ18のオン、規定タイミングでの点検スイッチ18のオン(例えば、電源オン時に点検スイッチ18をオン、初期遅延終了後5秒以内に点検スイッチ18をオンなど)などが該当する。これら操作は、ユーザが不用意に点検スイッチ18に触れてしまった場合に点検受付部12aが点検操作を受け付けない内容とされている。
【0029】
本実施形態に係るガス火災警報器10は、上記のように構成することでユーザに対して便宜を図っている。すなわち、ユーザのようにガスメータ30の操作に不慣れな者は、ガスメータ30の弁開を行うことが困難である。このため、誤って点検スイッチ18に対して規定の操作を行ってしまった場合に、すぐにハイレベル電圧が出力されてしまうと、遮断弁が閉じてしまい弁開操作を行わなければならず、弁開に多大な時間を要してしまったり、弁開できなかったりしてしまう。
【0030】
しかし、本実施形態に係るガス火災警報器10は、点検動作の実行開始時点から所定時間遅れてハイレベル電圧が出力される。このため、ユーザは、例えばガスメータ30がハイレベル電圧により動作してしまう前にガス火災警報器10の電源を落とすことが可能となる。これにより、ユーザは、遮断弁が閉じてしまうことを防止でき、遮断弁を開ける必要が無くなる。
【0031】
一方、ユーザがガスメータ30との連動を点検したい場合には、ガス火災警報器10の電源を落とすなどすることなく、単に所定時間待てばよく、ガスメータ30との連動確認を実施しやすいといえる。
【0032】
また、点検操作は、点検スイッチ18に対して規定の操作を行うことにより受け付けられるため、例えばガス火災警報器10の点検スイッチ18に不用意に触ってしまったとしても、規定の操作を行っていなければハイレベル電圧が出力されない。このため、例えばユーザが短時間だけ点検スイッチ18に触ってしまったような場合には遮断弁を閉じず、一層ユーザに便宜を図っている。
【0033】
また、本実施形態に係る停止受付部12bは、点検動作を停止させる停止操作を受け付ける。このため、ユーザが誤って点検スイッチ18を操作してしまったとしても、停止スイッチ19を操作することにより、停止受付部12bよって停止操作が受け付けられて点検動作が停止される。故に、ガス火災警報器10の電源を落とさなくとも、停止スイッチ19を操作することにより遮断弁が閉じてしまうことを防止することができる。
【0034】
なお、停止受付部12bは、操作時間に拘わらず、単に停止スイッチ19を操作(押下)することにより停止操作を受け付けるが、これに限らず、例えば特定時間以上に亘って操作された場合(具体的には3秒以上の長押し操作された場合)に停止操作を受け付けるようになっていてもよいし、特定時間以内に所定の複数回以上停止スイッチ19が操作された場合に停止操作を受け付ける構成であってもよい。また、上記実施形態では点検スイッチ18と操作スイッチ19とを別個に設けているが、これに限らず、点検スイッチ18と操作スイッチ19とは同じスイッチにより構成されていてもよい。
【0035】
さらに、図1に示すように、本実施形態において制御部12は、自動点検部(自動点検手段)12cを備えている。この自動点検部12cは、センサ部11、報知部13、音声出力回路14、有電圧出力回路16、連動信号出力回路17等において故障が発生しているか否かを定期的に自己判断し、故障箇所を検出した場合に報知部13から故障を報知させるものである。具体的に自動点検部12cは、LED故障検出、スピーカ断線、音声回路故障、音声IC故障、センサ故障、ヒータ故障、電源回路故障、有電圧故障、及び火災連動回路故障の9つの故障検出を実行するようになっている。一例を説明すると、例えば自動点検部12cは実際に通電を行ってスピーカ13bから音声を出力させる。この際、自動点検部12cは、通電状態を確認してスピーカ13bに断線が生じていないかを判断する。なお、これら9つの故障検出は周知であるため、説明を省略する。
【0036】
このように、本実施形態に係るガス火災警報器10は、定期的に故障箇所の有無を判断し、故障箇所を検出した場合に報知手段から故障を報知させるため、警報器10の単独による点検(いわゆる単独点検)を行う必要性を無くすことができる。すなわち、単独点検では警報表示や警報音の出力等が行われ、ユーザは、表示や音を確認することにより故障が発生しているかを判断するものであるが、そもそもこの単独点検は警報器10が定期的に自己で点検を行うことにより、ユーザに行わせる必要が無いものである。よって、自己診断機能を備えることにより単独点検を無くすことが可能となり、ユーザが警報器10を単独で点検させようと操作することが無くなる。従って、より一層ユーザが不用意に規定の操作を行ってしまう可能性を低減することができる。
【0037】
次いで、火災警報器20の詳細を説明する。火災警報器20は、センサ部21、制御部22、表示部23a及び音声出力部23bを有する報知部23、音声出力部24、並びに連動信号送受信回路27を備えている。これら構成についてはガス火災警報器10と同様であるため説明を省略する。
【0038】
また、火災警報器20は、電池28によって駆動する構成となっている。さらに、火災警報器20は、点検回路25、及び点検スイッチ29を備えており、この点検スイッチ29が操作されたことを点検回路25が判断することで、制御部22は単独点検や連動点検を実施することとなる。
【0039】
なお、上記では火災警報器20における点検動作についても、ガス火災警報器10と同様にされていてもよい。例えば、火災警報器20が点検受付部12a及び停止受付部12bを有していてもよい。また、点検操作が受け付けられた場合、点検スイッチ29を再操作することにより点検動作を停止するようになっていてもよい。さらには、火災警報器20が自動点検部12cを備えていてもよい。
【0040】
以下、本実施形態に係るガス火災警報器10の制御方法について説明する。図2は、本実施形態に係るガス火災警報器10の制御方法を示すフローチャートであって、点検に関する処理を示している。なお、図2には示していないが、ガス火災警報器10は、自動点検部12cにより故障箇所の有無が判断されており、故障が確認された場合には、その旨を報知する処理が実行される。
【0041】
まず、図2に示すように、本実施形態において制御部12の点検受付部12aは、点検スイッチ18に対して規定の操作があったか否かを判断する(S1)。規定の操作がなかったと判断した場合(S1:NO)、規定の操作があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0042】
一方、規定の操作があったと判断した場合(S1:YES)、点検動作が開始する。すなわち、制御部12は、表示部13aであるLEDを点灯させ、且つ、スピーカ13bから音声出力させる(S2)。次いで、停止受付部12bは、停止スイッチ19が操作されたか否かを判断する(S3)。
【0043】
停止スイッチ19が操作されたと判断した場合(S3:YES)、制御部12は、表示部13aであるLEDを消灯させ、且つ、スピーカ13bからの音声出力を停止させる(S7)。そして、図2に示す処理は終了する。
【0044】
停止スイッチ19が操作されていないと判断した場合(S3:NO)、制御部12は、ステップS2から所定時間経過したか否かを判断する(S4)。所定時間経過していないと判断した場合(S4:NO)、処理はステップS3に移行する。
【0045】
所定時間経過したと判断した場合(S4:YES)、制御部12は、有電圧出力回路16からハイレベル電圧を出力させる(S5)。これにより、ガスメータ30は、遮断弁を閉じることとなる。次いで、制御部12は、点検動作が終了であるか否かを判断する(S6)。点検動作が終了でないと判断した場合(S6:NO)、処理はステップS3に移行する。
【0046】
一方、点検動作が終了であると判断した場合(S6:YES)、制御部12は、表示部13aであるLEDを消灯させ、且つ、スピーカ13bからの音声出力を停止させる(S7)。また、制御部12は、出力していたハイレベル電圧をロウレベルとする(S7)。その後、図2に示す処理は終了する。
【0047】
次に、図3図5を参照して本実施形態に係るガス火災警報器10の制御方法を説明する。図3は、本実施形態に係るガス火災警報器10の制御方法を示す第1のタイミングチャートである。なお、図3において規定の操作は3秒以上の長押しであるとする。図3に示すように、時刻t1において点検スイッチ18が操作されたとする。そして、3秒(規定時間)に亘り長押しされ、時刻t2に至ったとする。この場合、点検受付部12aは点検操作を受け付けることとなり、制御部12は、時刻t2から点検表示と点検音声を出力する。
【0048】
そして、制御部12は、図3に示す例において時刻t3において点検音声の出力を終了させる。なお、音声出力は時刻t8まで継続されてもよいし、時刻t3以降時刻t8までの任意の時刻に終了するようになっていてもよい。
【0049】
次いで、点検操作が受け付けられた時刻t2から、所定時間が経過する直前の時刻t4において制御部12は、スピーカ13bから「ピッ」という音声を出力させる。この音声は、所定時間が経過することを示すものであり、ハイレベル電圧がガスメータ30に出力されることを示す音声である。
【0050】
そして、時刻t5において制御部12は、有電圧出力回路16からハイレベル電圧を出力させる。また、本実施形態に係る制御部12は、ハイレベル電圧を出力すると共に、連動信号送受信回路17から連動信号を出力する。他の火災警報器20は、連動信号を入力すると、報知部23から点検表示と点検音声を出力することとなる。なお、上記では連動信号を例に挙げているが、無電圧接点出力としてもよい。
【0051】
次いで、制御部12は、時刻t6においてスピーカ13bから「ピッ」という音声を出力させる。この音声は、LED(表示部13a)による点検表示を終了することを示す音声である。そして、時刻t7において制御部12は、鳴動原因表示を行う。鳴動原因表示とは、過去の最新又は最新から数回分の警報履歴を表示するための機能である。この表示により、ユーザ等は過去の警報履歴を知ることができる。なお、本実施形態では鳴動原因表示を行っているが、鳴動原因表示を行わなくともよく、点検表示が時刻t8まで継続するようになっていてもよい。また、点検表示は、時刻t2〜時刻t8までの任意の時刻に終了するようになっていてもよい。
【0052】
そして、時刻t8において制御部12は、スピーカ13bから「ピー」という音声を出力させる。この音声は、点検動作の終了を示す音声である。その後、ガス火災警報器10は、通常の監視状態に移行することとなる。
【0053】
図4は、本実施形態に係るガス火災警報器10の制御方法を示す第2のタイミングチャートである。なお、図4において規定の操作は3秒以上の長押しであるとする。まず、図4に示す時刻t1〜時刻t3の動作は、図3に示す動作と同様である。
【0054】
まず、所定時間が経過する前の時刻t9において停止スイッチ19が操作されたとする。この場合、時刻t10において制御部12は、点検表示を停止させる。すなわち、制御部12はLEDを消灯させる。また、図4に示す例では時刻t9が時刻3以降であるため、点検表示のみを停止させているが、時刻t9が時刻t3以前である場合、制御部12は、点検表示のみならず点検音声の出力についても停止させる。
【0055】
このように、本実施形態では点検動作の実行開始時刻t2からすぐにハイレベル電圧が出力されないため、所定時間が経過するまでに停止スイッチ19を操作することにより、ハイレベル電圧の出力を禁止させることができ、ユーザに便宜を図ることができる。なお、図4に示す時刻t9においてガス火災警報器10の電源を落とすことによってもハイレベル電圧の出力を禁止させることができる。
【0056】
図5は、本実施形態に係るガス火災警報器10の制御方法を示す第3のタイミングチャートである。なお、図5において規定の操作は3秒以上の長押しであるとする。まず、図5に示す時刻t1〜時刻t5の動作は、図3に示す動作と同様である。
【0057】
所定時間経過後の時刻t11において停止スイッチ19が操作されたとすると、時刻t12において制御部12は点検表示を停止させる。すなわち、制御部12はLEDを消灯させる。また、時刻t12時点ではハイレベル電圧がガスメータ30に出力されており、連動信号についても出力されている。このため、制御部12は、ハイレベル電圧の出力及び連動信号の出力についても停止させる。すなわち、制御部12は、有電圧出力回路16からロウレベル電圧を出力させると共に、連動信号送受信回路17は連動信号をオフさせる。
【0058】
このように、本実施形態では所定時間経過後であってもハイレベル電圧の出力を停止できるように構成されている。ここで、一般には有電圧出力回路16とガスメータ30との間には信号変換器が介在されている。この信号変換器は、ハイレベル電圧を入力してから遅延時間を経て、ガスメータ30に対して遮断弁を閉じる旨の信号を出力するものが大多数である。このため、ハイレベル電圧が出力されても遅延時間が経過する前にハイレベル電圧の出力を停止すれば、ガスメータ30は遮断弁を閉じることなく、ユーザに弁開操作などの煩わしさを与えないようにすることができる。よって、本実施形態に係るガス火災警報器10は、所定時間経過後であっても停止スイッチ19の操作によりハイレベル電圧の出力を停止できるようになっている。
【0059】
なお、信号変換器は、遅延時間経過後に遮断弁を閉じる旨の信号をガスメータ30に送信することだけでなく、集中監視盤や、NCUに接続され、ガス管理センター(外部機器の1つ)などに通報するシステムが構成されている場合もある。このため、所定時間経過後、遅延時間経過前にハイレベル電圧の出力を停止することで、ガス管理センターへの通報についても停止させることができる。
【0060】
信号変換器以外にも、戸外ブザーなどは、ハイレベル電圧の入力にて、警報器の異常を発報する機能を備えている。このため戸外ブザーからの発報を確認した後、即時にハイレベル電圧の出力を停止することで、短時間での確認ができ、近所迷惑にならない。
【0061】
このようにして、本実施形態に係るガス火災警報器10及びその制御方法によれば、操作可能に設けられた点検スイッチ18に対して規定の操作が行われ点検操作が受け付けられた場合に、ガスメータ30にハイレベル電圧を出力させるため、規定の操作をユーザが不用意に行ってしまえない内容とすることにより、ガスメータ30が動作すること無くガスメータ30の遮断弁を復帰させる必要が無くなる。また、定期的に故障箇所の有無を判断し、故障箇所を検出した場合に報知手段から故障を報知させる自動点検部12cを備えるため、ガス火災警報器10の単独による点検を行う必要性を無くすことができる。すなわち、ガス火災警報器10の単独の点検は、警報表示や警報音の出力等により行われ故障が発生しているかを確認するものであるが、そもそもこの点検はガス火災警報器10が定期的に自己で点検を行うことにより、ユーザに行わせる必要が無い。よって、ユーザがガス火災警報器10を単独で点検させようと操作することが無くなり、より一層ユーザが不用意に規定の操作を行ってしまう可能性を低減することができる。従って、ユーザが不用意に点検動作を実行してしまう可能性を低減して、より一層ユーザへの便宜を図ることができる。
【0062】
また、点検動作の実行開始時点から所定時間遅れて、ガスメータ30に対してハイレベル電圧を出力させるため、仮にユーザが誤って点検操作を行ったとしても、点検動作の実行開始時点からすぐにハイレベル電圧が出力されないこととなり、例えばガスメータ30がハイレベル電圧により動作してしまう前にガス火災警報器10の電源を落とすことが可能となる。これにより、ユーザは、遮断弁を開けるなどガスメータ30を通常の状態に戻す必要が無くなる。従って、より一層ユーザへの便宜を図ることができる。
【0063】
また、ガスメータ30に対してハイレベル電圧を出力させる動作を停止させる停止操作を受け付ける停止受付部12bをさらに備えるため、仮にユーザが誤って点検操作を行ったとしても、例えばガスメータ30がハイレベル電圧により動作してしまう前に停止操作を行うことでガスメータ30の弁閉動作を禁止することができる。従って、より一層ユーザへの便宜を図ることができる。
【0064】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0065】
例えば、本実施形態では図4に示す動作を説明したが、図6に示す動作を実行するようになっていてもよい。図6は、本実施形態の変形例に係るガス火災警報器10の制御方法を示すタイミングチャートである。
【0066】
まず、図6に示す時刻t1〜時刻t3及び時刻t9の動作は、図4に示す動作と同様である。変形例では時刻t9において停止スイッチ19が操作された場合、その後制御部12は、ハイレベル電圧の出力及び連動信号の出力を停止させないこととしている。このような変形例であっても、例えばガスメータ30がハイレベル電圧により動作してしまう前にガス火災警報器10の電源を落とすことにより遮断弁が閉じてしまうことを防止できるからである。
【0067】
また、本実施形態ではガス火災警報器10を警報器の一例として挙げたが、これに限らず、ガス警報器であってもよいし、火災警報器であってもよい。さらには、人等の侵入を検出する防犯警報器等であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では外部機器としてガスメータ30を例に説明したが、外部機器は例えば特にガスメータに限られず、例えば火災警報器20やガス管理センターであってもよいし、他の機器であってもよい。
【0069】
また、本実施形態においてガス火災警報器10は商用電源により駆動しているが、電池駆動式のものであってもよい。同様に、火災警報器20は、電池28により駆動するが、商用電源により駆動するものであってもよい。
【0070】
加えて、本実施形態では停止操作が受け付けられた場合、点検動作の全てを停止するが、これに限らず、ハイレベル電圧の出力のみを停止するように構成されていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態において示した各種音声は、「ピッ」「ピー」だけでなく多種多様に実現可能である。さらに、上記実施形態において音声出力を示していない時刻(例えば時刻t1)において音声出力を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 警報システム
10 ガス火災警報器
11 センサ部
12 制御部(制御手段)
12a 点検受付部(点検受付手段)
12b 停止受付部(停止受付手段)
12c 自動点検部(自動点検手段)
13 報知部(報知手段)
13a 表示部
13b 音声出力部
14 音声出力回路
16 有電圧出力回路(有電圧出力手段)
17 連動信号送受信回路
20 火災警報器
21 センサ部
22 制御部
23 報知部
23a 表示部
23b 音声出力部
24 音声出力回路
25 点検回路
27 連動信号送受信回路
28 電池
29 点検スイッチ
30 ガスメータ(外部機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6