(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図8〜
図10は従来の内視鏡の一部を図示している。この内視鏡は、操作部と、操作部から延びる挿入部と、操作部から挿入部と反対側に向かって延びるユニバーサルチューブと、ユニバーサルチューブの先端部に接続するコネクタ部010と、を備えている。
コネクタ部010はその外形を構成する中空ケースであるコネクタカバー011を備えている。コネクタカバー011には円形の貫通孔012が穿設してあり、コネクタカバー011の表面の貫通孔012周縁部には環状凹部013が形成してある。コネクタカバー011の貫通孔012には弁機構014が装着してある。
弁機構014は、貫通孔012に固定状態で嵌合した接続筒015を備えている。接続筒015の外周面には、支持部材016が同軸状態で嵌合してあり、支持部材016のフランジ部が環状凹部013に嵌合している。
接続筒015の内部には、支持筒017の一部が固定状態で嵌合しており、支持筒017の内部には可動弁体018が支持筒017の軸線方向にスライド可能として設けてある。可動弁体018の先端部には傘状の弁部019が形成してあり、支持筒017の内部空間の底部と弁部019の裏面の間には圧縮コイルバネ020が縮設してある。さらに支持筒017及び弁部019には押え部材021が被せてあり、押え部材021が支持筒017に対して固定ネジ023により固定してある。
【0003】
可動弁体018に対して圧縮コイルバネ020以外の外力を及ぼさないとき、可動弁体018は圧縮コイルバネ020の付勢力によって、弁部019が押え部材021の逃がし孔022を塞ぐ閉位置に保持される。従って、通常の使用状態においてコネクタ部010の外側にある液体や気体が逃がし孔022を通じて弁機構014及びコネクタ部010の内部空間に侵入することはない。
一方、
図10に示すように、押え部材021に対してキャップ025を被せると、キャップ025の内面に一体的に突設した押圧突起026が逃がし孔022を通して可動弁体018の先端面を押圧するので、可動弁体018は弁部019が逃がし孔022を開放する開位置に移動する。この状態で内視鏡をEOG滅菌処理する等して内視鏡の内部空間の気圧が高まると、コネクタ部010の内部空間の気体が接続筒015、支持部材016、支持筒017、及び、押え部材021の内部空間を通り抜けて逃がし孔022から外部に排気される。そのため、EOG滅菌処理等に起因して内視鏡の内部空間の気圧が高まっても、内視鏡(例えば、ユニバーサルチューブやコネクタ部010)に大きな負荷が掛かることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、内視鏡をEOG滅菌処理する際に、術者が押え部材021にキャップ025を装着するのを忘れてしまうと、内視鏡(例えば、コネクタ部010やユニバーサルチューブ)が破損するおそれがあった。
【0006】
本発明は、コネクタ部の内圧と可動弁体に対する外圧の差が所定値以上の大きさになったときに内視鏡に大きな負荷が掛かるのを確実に防止できる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内視鏡は、操作部から延びるユニバーサルチューブの先端部に接続しかつビデオプロセッサに対して着脱可能なコネクタ部と、内側端部が上記コネクタ部の内部空間と連通しかつ外側端部が開口する、上記コネクタ部の表面に突設した支持筒と、該支持筒の内部に設けた、該支持筒の軸線に沿って閉位置と開位置との間をスライド自在な可動弁体と、該可動弁体に形成した、一端が上記内部空間と連通し、他端が、該可動弁体が上記閉位置に位置するときは上記支持筒の内面によって閉塞され、該可動弁体が上記開位置に位置するときは上記支持筒の外側に位置して開放状態となる弁体内部流路と、上記可動弁体に掛かる該可動弁体を上記閉位置から上記開位置へ移動させる方向
に働く第1の力と上記開位置から上記閉位置へ移動させる方向
に働く第2の力の差が所定値より小さいときは上記可動弁体を上記閉位置
と上記開位置に
選択的に保持し、
上記可動弁体が上記閉位置にある状態で、上記第1の力が上記第2の力よりも大きくかつ上記差が上記所定値以上になったときに上記可動弁体が上記開位置に移動するのを許容
し、上記可動弁体が上記開位置にある状態で、上記第2の力が上記第1の力よりも大きくかつ上記差が上記所定値以上になったときに上記可動弁体が上記閉位置に移動するのを許容する弁体保持手段と、上記可動弁体
が上記閉位置に位置するときに上記支持筒に当接して、該可動弁体が上記閉位置を挟んで上記開位置と反対側にスライドするのを規制する、上記可動弁体に設けた閉位置ストッパ部と、を備え
、上記弁体保持手段は、上記可動弁体の外周面に装着され、自由状態で上記可動弁体の径方向に一定の径を有し、上記第1の力と上記第2の力の上記差が上記所定値以上になったときに径方向内側に弾性変形して上記閉位置と上記開位置との間の上記可動弁体の移動を許容する縮径方向変形手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
上記弁体保持手段
はさらに、上記支持筒の内面に上記スライド方向に並べて形成した、閉位置保持凹部及び開位置保持凹部
を備えており、上記閉位置保持凹部と上記開位置保持凹部に対して
上記縮径方向変形手段が選択的に係合することにより上記可動弁体を上記閉位置と上記開位置に選択的に保持し、かつ、
上記第1の力と上記第2の力の上記差が上記所定値以上になったときに
上記縮径方向変形手段が径方向内側に弾性変形して上記閉位置保持凹部及び上記開位置保持凹部から脱出する
構成とすることが好ましい。
【0009】
上記縮径方向変形手段がスナップリングであってもよい。
【0010】
上記コネクタ部の外形を構成し、かつ、該コネクタ部の内部部品を収納する、一方向に直線的に移動させることにより該コネクタ部に対して着脱可能なケース部材と、該ケース部材を上記直線方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔に挿入した、該貫通孔より外側に位置する部分が該貫通孔より小径である上記支持筒と、該支持筒に支持した、該貫通孔より小径である上記可動弁体と、を備えてもよい。
【0011】
上記支持筒の外側に位置する上記閉位置ストッパ部の断面形状が、上記支持筒の上記貫通孔の外側に位置する部分の断面形状と同一であり、かつ、上記支持筒と可動弁体が同軸をなしていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の内視鏡は、可動弁体が閉位置に位置する状態で(EOG滅菌処理や飛行機による輸送等を行うことにより)コネクタ部の内圧と可動弁体に対する外圧の差(内圧>外圧)が所定値以上の大きさになると、弁体保持手段の働きにより可動弁体が自動的に開位置に移動する。このようにEOG滅菌処理や飛行機による輸送等を行う際に内視鏡に付属品(従来技術のキャップ)を装着する必要がないため、コネクタ部の内圧と可動弁体に対する外圧の差が所定値以上の大きさになったときにコネクタ部に大きな負荷が掛かるのを確実に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1〜
図6を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
内視鏡10は、操作部11と、操作部11から延びる柔軟な挿入部12と、操作部11から挿入部12と反対側に向かって延びる柔軟なユニバーサルチューブ13と、ユニバーサルチューブ13の先端部の外周面に固定した、ユニバーサルチューブ13より硬い材質(ゴム製)の(ユニバーサルチューブ13の操作部11側端部の急激な折れを防ぐための)接続用筒部材13aと、ユニバーサルチューブ13の先端部(及び接続用筒部材13a)に接続するコネクタ部14と、を備えている。
挿入部12の先端部には観察光学系(対物レンズ)と観察光学系の直後に位置する撮像素子が設けてあり、撮像素子から後方に延びる画像信号用ケーブルの後端部が、挿入部12、操作部11、ユニバーサルチューブ13、及び、コネクタ部14の内部空間を通り抜けてコネクタ部14に突設した画像処理用接続スリーブ15に接続している。
さらに挿入部12の先端部には一対の照明レンズが設けてあり、挿入部12、操作部11、ユニバーサルチューブ13、及び、コネクタ部14の内部空間に配設した一対のライトガイドファイバの先端が各照明レンズにそれぞれ接続している。各ライトガイドファイバの後端はコネクタ部14に突設した光源用接続スリーブ16に接続している。
コネクタ部14の画像処理用接続スリーブ15と光源用接続スリーブ16は、内視鏡10とは別体で、かつ光源及び画像処理手段を具備するビデオプロセッサ(図示略)に対して着脱可能である。コネクタ部14(画像処理用接続スリーブ15、光源用接続スリーブ16)をビデオプロセッサに接続した上で、ビデオプロセッサのメインスイッチをONにすると共にビデオプロセッサに設けた光源スイッチをONにすると、光源が発した光が光源用接続スリーブ16内のライトガイドファイバに供給されるので、操作部11の先端部に設けた一対の照明レンズが照明光を照射する。さらに観察光学系(対物レンズ)を透過した観察像が上記撮像素子によって撮像され、撮像データが上記画像信号用ケーブルを介してビデオプロセッサの上記画像処理手段に送られる。画像処理手段によって処理された画像データは、ビデオプロセッサに接続するモニタ(図示略)に表示される。
【0015】
操作部11、挿入部12、ユニバーサルチューブ13、及び、コネクタ部14の内部には、これらを貫通する送気管路と送水管路が設けてある。送気管路の中間部は操作部11の内部において、操作部11に固定した送気シリンダ18に接続しており、送気シリンダ18には送気ボタン19がスライド自在に設けてある。送水管路の中間部は操作部11の内部において、操作部11に固定した送水シリンダ20に接続しており、送水シリンダ20には送水ボタン21がスライド自在に設けてある。
コネクタ部14に圧縮空気源と送水ボトルを接続した上で、送気ボタン19を送気シリンダ18の内側に押し込むと、圧縮空気源で発生した圧縮空気が操作部11の先端面において開口する送気管路の前端から排出され、送水ボタン21を送水シリンダ20の内側に押し込むと、送水ボトル内の水が操作部11の先端面において開口する送水管路の前端から排出される。
【0016】
続いて、コネクタ部14の詳しい構造について説明する。
コネクタ部14の内部には、ユニバーサルチューブ13の先端部に対して別の部材(図示略)を介して固定したベース板25が設けてある。ベース板25の一方側の面には制御基板26が固定してある。制御基板26には画像処理のための各種電子部品を実装してある。
【0017】
ベース板25の他方側の面には、絶縁板31、接続筒33、支持筒38、Oリング42、Oリング43、可動弁体45、及び、スナップリング60を具備する弁機構30が固定してある。
弁機構30は、ベース板25の他方側の面に接触し、かつ空気流通孔32を有する絶縁板31と、絶縁板31に接触し、かつ空気流通孔32と連通する空気流通孔34を有する接続筒33と、を備えており、絶縁板31と接続筒33は2本の固定ネジ36によってベース板25に固定してある。
図示するように接続筒33は中心軸Aを中心とする回転対称体であり、接続筒33に突設した小径筒部33aの外周面に形成した雄ネジ溝35には、支持筒38の端部の内周面に形成した雌ネジ溝39が螺合している。
図4、
図6に示すように接続筒33に対して支持筒38を固定すると、支持筒38の内周面に形成した環状凸部38aが接続筒33の小径筒部33aの内周面より内周側に位置するので、小径筒部33aの内周面と環状凸部38aの間に環状凹部からなる閉位置保持凹部37(弁体保持手段)が形成される。支持筒38の外周面と内周面には環状凹部40、41が凹設してあり、環状凹部40、41にはOリング42、43がそれぞれ装着してある。さらに支持筒38の内周面には、環状凸部38aを挟んで閉位置保持凹部37と反対側に位置する環状凹部である開位置保持凹部44(弁体保持手段)が形成してある。
【0018】
支持筒38には、基端部構成部材46、中間部構成部材50、及び、閉位置ストッパ部55を構成要素として有する可動弁体45が、支持筒38と同軸状態でスライド自在に取り付けてある。
中心軸Aを中心とする回転対称体である基端部構成部材46は、一方の端部を構成しかつ中間部より大径のフランジ47と、他方の端部を構成しかつ中間部より小径の雄ネジ部48と、を備えており、基端部構成部材46の中心部を空気流通孔49が貫通している。
中心軸Aを中心とする回転対称体である中間部構成部材50の一方の端面に形成した凹部の内周面には、雄ネジ部48に対して螺合する雌ネジ溝51が形成してある。中間部構成部材50の他方の端部には雄ネジ溝52が形成してある。さらに中間部構成部材50の内部には、上記凹部から他方の端部側に向かって延びた後に直角に屈曲し、中間部構成部材50の周面の2カ所において開口する弁体内部流路53が形成してある。弁体内部流路53の空気流通孔49側の端部は空気流通孔49と連通している。
中心軸Aを中心とする回転対称体である閉位置ストッパ部55の外径は、基端部構成部材46及び中間部構成部材50の外径より大きく、かつ支持筒38の環状凹部40を挟んで雄ネジ溝35と反対側の部分と同径である(閉位置ストッパ部55の外形の断面形状は、支持筒38の当該部分の外形の断面形状と同一である)。閉位置ストッパ部55の中間部構成部材50側の端面に形成した凹部の内周面には、雄ネジ溝52が螺合する雌ネジ溝56が形成してある。
可動弁体45は、
図3及び
図4に示す閉位置と、
図5及び
図6に示す開位置と、の間を中心軸Aに沿って支持筒38に対してスライド自在である。可動弁体45がいずれの位置に位置するときも、Oリング43が中間部構成部材50の外周面に接触するので、支持筒38の内周面と中間部構成部材50の外周面の間は気密状態(水密状態)に保持される。可動弁体45が閉位置に位置するとき、接続筒33の空気流通孔34と基端部構成部材46の空気流通孔49が連通するものの、弁体内部流路53の二つの先端開口が支持筒38の内周面と対向するので、弁体内部流路53の先端開口と弁機構30の外側の間の気体(及び液体)の連通は遮断される。一方、可動弁体45が開位置に位置するときは、弁体内部流路53の二つの先端開口が支持筒38の外側に位置するので、ベース板25側から空気流通孔32に流入した気体は弁体内部流路53の先端開口から外部に排気可能になる。
【0019】
可動弁体45のフランジ47と中間部構成部材50の間に形成された環状凹部には、断面C字形をなすスナップリング60(弁体保持手段
、縮径方向変形手段)が装着してある。スナップリング60は金属材料によって構成したものであり、可動弁体45の上記環状凹部に取り付けたときに
所定の径を有する自由状態となる。
可動弁体45が閉位置に位置するとき、環状凸部38aの内周面より大径であるスナップリング60が閉位置保持凹部37内に位置するので、スナップリング60(及び閉位置保持凹部37)によって可動弁体45は閉位置に保持される。そのため、内視鏡10が水中に水没することによりコネクタ部14に水圧による外圧(>コネクタ部14の内圧)が掛かっても、可動弁体45は閉位置に保持される。
また、この内圧(可動弁体45を閉位置から開位置へ移動させる方向に働く第1の力)と外圧(可動弁体45を開位置から閉位置へ移動させる方向に働く第2の力)の差が所定値よりも小さいときには、可動弁体45は閉位置に保持され続ける。一方、可動弁体45をベース板25と反対側に向けて付勢する力(コネクタ部14の内圧
、第1の力)
が可動弁体45を逆方向に押圧する力
(第2の力)である外圧
よりも大きく(
外圧<コネクタ部14の内圧)
、かつその差が所定値以上の大きさになった場合は、スナップリング60が環状凸部38aと接触しながら縮径方向に弾性変形し、
閉位置から開位置への可動弁体45の移動を許容する。スナップリング60が開位置保持凹部44と対向する位置まで可動弁体45がスライドしたとき
(開位置まで達したとき)に、スナップリング60は自身の弾性復帰力により自由状態に復帰し開位置保持凹部44内に位置する。そのため、可動弁体45をベース板25側に向けて付勢する力(外圧
、第2の力)
が可動弁体45を逆方向に押圧する力(コネクタ部14の内圧
、第1の力)
よりも大きく(コネクタ部14の内圧<外圧)、かつその差が上記所定値以上の大きさとなるような力(可動弁体45をベース板25側に向けて付勢する力)が可動弁体45に対して掛からない限り、可動弁体45はスナップリング60と開位置保持凹部44によって開位置に保持される。
【0020】
コネクタ部14の外形を構成するコネクタカバー63は、(画像処理用接続スリーブ15と光源用接続スリーブ16を固定状態で支持した)ベース板25が固定されたベース部材64と、画像処理用接続スリーブ15及び光源用接続スリーブ16の長手方向に直線的にスライドさせることによりベース部材64に対してその開口端部(ベース部材64側の端部)を着脱可能なケース部材65と、を有している。
ケース部材65のベース部材64と反対側面には貫通孔(図示略)が穿設してある。この貫通孔を接続用筒部材13aが貫通しており、ケース部材65の開口端部をベース部材64に接続した状態でケース部材65と接続用筒部材13aをネジ止めすることにより、ベース部材64とケース部材65を固定している。ケース部材65はベース部材64に固定することにより、自身の内部にベース板25、制御基板26、及び、支持筒38(の一部)を収納する部材であり、ケース部材65のベース部材64と反対面には支持筒38及び閉位置ストッパ部55より僅かに大径の円形孔66が穿設してある。図示するようにケース部材65をベース部材64に対して固定すると、支持筒38の一部及び閉位置ストッパ部55が円形孔66を通してコネクタ部14の外側に位置し、Oリング42が円形孔66に対して気密状態(水密状態)で接触する。
ケース部材65をベース部材64に固定してコネクタカバー63を構成すると、コネクタカバー63(コネクタ部14)の内部空間はユニバーサルチューブ13、操作部11、及び、挿入部12の内部空間と連通するが、上記送気管路及び送水管路とは非連通となる。
【0021】
可動弁体45を閉位置に位置させた状態で内視鏡10をEOG滅菌処理すると、それまでは上記所定値より小さかったコネクタ部14(ケース部材65)の内圧と可動弁体45に対する外圧(<コネクタ部14の内圧)の差が上記所定値以上の大きさになる。するとケース部材65(コネクタ部14)内にある空気が空気流通孔32、空気流通孔34、及び、空気流通孔49を介して弁体内部流路53側に流れるので、可動弁体45がスナップリング60を縮径方向に弾性変形させながらベース板25と反対側にスライドし、スナップリング60が開位置保持凹部44内に位置する
開位置までスライドする。すると弁体内部流路53の二つの先端開口が支持筒38の外側に位置し、ベース板25側から空気流通孔32に流入した気体が弁体内部流路53の先端開口から弁機構30の外部に排気される。
EOG滅菌処理が終わったら、可動弁体45に対する外圧(可動弁体45を閉位置側に押圧する力)とコネクタ部14の内圧(<可動弁体45に対する外圧)の差が上記所定値以上の大きさとなるように、手で閉位置ストッパ部55をベース板25側に押し込み、可動弁体45を閉位置まで移動させる。
【0022】
このように本実施形態の内視鏡10は、EOG滅菌処理(または飛行機等で輸送する等)することによりコネクタ部14(ケース部材65)の内圧と可動弁体45に対する外圧(<内圧)の差が所定値以上の大きさになる場合に、内視鏡10とは別の付属品(従来技術のキャップなど)を装着する必要がない。そのため、内視鏡10の内圧によって内視鏡10(例えば、ユニバーサルチューブ13やコネクタ部14)に大きな負荷が掛かり、内視鏡10(例えば、ユニバーサルチューブ13やコネクタ部14)が破損するのを確実に防止できる。
【0023】
また弁機構30は可動弁体45を
閉位置側に移動付勢する付勢手段(従来例の圧縮コイルバネ020に相当する部材)を具備しないので、可動弁体45の支持筒38に対する組立作業は容易である。
さらに、弁機構30の隣接する構成部品間に負荷を及ぼす付勢手段(弁部019と押え部材021の間や、押え部材021と固定ネジ023の間に負荷を及ぼす、従来例の圧縮コイルバネ020に相当する部材)を具備しないので、弁機構30に掛かる負担が従来の弁機構より小さい。
【0024】
また、コネクタ部14の内部部品(例えば制御基板26)に不具合が生じた場合に、ケース部材65と接続用筒部材13aの間の上記ネジを外した上で、ケース部材65を画像処理用接続スリーブ15及び光源用接続スリーブ16の長手方向に沿ってベース部材64から離れる方向に直線的にスライドさせると(ケース部材65の上記貫通孔を接続用筒部材13aに対して操作部11側に移動させると)、円形孔66を支持筒38及び閉位置ストッパ部55に対して接触することなく(円形孔66の移動が支持筒38及び閉位置ストッパ部55によって妨げられることなく)ケース部材65をベース部材64から分離して内部部品を露出させることができる。即ち、弁機構30を分解することなくケース部材65をベース部材64からユニバーサルチューブ13側に分離できるので、当該内部部品の交換や修理を行うのが容易である。
さらに、当該内部部品の交換や修理が終わった場合には、ケース部材65をベース部材64側にスライドさせるだけで(弁機構30を分解することなく)ケース部材65をベース部材64に取り付けることができる(コネクタ部14を再度組み立てることができる)。
なお、従来例の弁機構は、押え部材021(及び支持部材016)が貫通孔012より大径であるため、コネクタカバー011をコネクタ部010から取り外す際には、支持部材016、支持筒017、及び、押え部材021を弁機構014から分離し、その上でコネクタカバー011を取り外す(接続筒015の先端側にスライドさせる)必要があった。従来例の弁機構は可動弁体018の外側に押え部材021を被せる構造であるため、本質的に弁機構014を小径化するのが難しい構造であるが、各構成部品を小型化する等の工夫をすれば、全体を小径化することは不可能ではない。しかし、各構成部品を小型化することは決して容易でなく、しかも各構成部品を小型化すると弁機構014の組立及び分解がより困難になるので、このような態様で実施するのは現実的ではない。これに対して本実施形態の弁機構30は、可動弁体45の外側に別の部材を被せない構造であるため小径化が容易である。
【0025】
以上、上記実施形態を利用して本発明を説明したが、本発明は様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば、スナップリング60の代わりの縮径方向変形手段として
図7に示す弾性リング部材70(弁体保持手段)を用いてもよい。この弾性リング部材70は中心軸Aを中心とする回転対称体(リング体)である。弾性リング部材70の一方の端面には複数の切れ込みが入れてあり、隣り合う切れ込みの間には自由状態においてその他の部分より大径となる(外周側に広がる)複数の弾性変形片71が形成してある。この弾性リング部材70は、スナップリング60と同様に可動弁体45の上記環状凹部に装着して使用するものであり、可動弁体45が閉位置に位置するときは、各弾性変形片71が閉位置保持凹部37内に位置することにより可動弁体45を閉位置に保持し、かつ、可動弁体45が開位置に位置するときは、各弾性変形片71が開位置保持凹部44内に位置することにより可動弁体45を開位置に保持する。
【0026】
支持筒38及び閉位置ストッパ部55の外径が円形孔66より小径であれば、閉位置ストッパ部55の外形の断面形状は、支持筒38の環状凹部40を挟んで雄ネジ溝35と反対側の部分の外形の断面形状と厳密に同一である必要はない。さらにケース部材65に形成する貫通孔として、円形孔66の代わりに非円形孔を形成してもよい。
また、接続筒33と支持筒38を一体成形品としてもよい。