(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、巻き寿司を店頭で販売する場合には、例えば特許文献1のように巻き寿司と握り寿司を上面開口の長方形の箱体中に収納し、略透明のフィルム状の袋体で包装したり、巻き寿司を上面開口の長方形の箱体中に切削面を上下とするようにして収納し、略透明の袋体で包装するものが開示又は実施されている。また、特許文献2のように個々の巻き寿司単体を包装したものが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の包装体においては、握り寿司や巻き寿司の形を考慮して上面開口の箱体の底部に複数の凹状部を設けて、当該部分に巻き寿司等を収納することで巻き寿司等の動きを規制し、輸送時の振動等により巻き寿司等が箱体の中で意図せず動いて他の巻き寿司等や箱体との衝突により変形等しないような工夫がなされている。
【0004】
また、特許文献2に記載の包装体においては、食べる直前に寿司ご飯(以下、シャリとする)に海苔が巻かれるような構成にすることで出来たての状態に似た海苔の食感を得ることが出来るような工夫がなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような巻き寿司の包装体においては、店頭での陳列の際に一定の制限を有することになる。以下の説明においては、巻き寿司とは本発明に係る巻き寿司包装体に収納される上面を斜めに切削した巻き寿司を示し、第一の巻き寿司とは上下端部に略水平な切削面若しくは切削されていない端面を有する特許文献1に記載の巻き寿司を示し、第二の巻き寿司とは左右端部が切削されていない端面を有する特許文献2に記載の巻き寿司を示すものとする。
【0007】
例えば特許文献1のような包装体で包装された第一の巻き寿司の場合、
図11(a)、
図11(b)に示すように視野角βは第一の巻き寿司23の真上から略45°程度、すなわち第一の巻き寿司23の切削断面5若しくは端面22の全周にわたり略90°程度の範囲なので、包装体のほぼ真上から第一の巻き寿司23の切削断面等5,22を視認できるように陳列されている場合は、第一の巻き寿司23の切削断面等5,22からどのような具2が入っているのかを視認して第一の巻き寿司23の種類を確認することが容易である。しかし、
図11(c)に示すように視野角βを越えた角度近傍の上方のみからしか包装体に入った第一の巻き寿司23の切削断面等5,22を視認することができないように陳列されている場合にあっては、第一の巻き寿司23の切削断面等5,22の視認性は上述の視野角β内から切削断面等5,22を視認できる場合に比して大幅に劣るので、どのような具2が入っているのか第一の巻き寿司23の種類を確認することが困難となる。なお、
図11(d)に示すように前方から包装体に入った第一の巻き寿司23を見ても当然に切削断面等5,22を視認することはできない。
【0008】
また、陳列棚の棚板上に巻き寿司が収納された包装体(以下、包装体には巻き寿司が収納されたものとする)を陳列する場合には、水平、若しくはディスプレイ効果を向上させるために前方にかけて下方に傾斜させている棚板であっても、包装体の箱体底部が長方形であることから、陳列棚の棚板の上面に包装体を安定して載置するには充分な底面積を有している。更に、包装体の上方に同一形状の別の包装体を当接して載置しても、載置面となる下段の包装体の箱体の上面開口を覆う略透明の袋体部分は、箱体の底面積と略同一面積を有するので同一形状の別の包装体を上方に載置するには充分な載置面積を有している。しかしながら、袋体はフィルム状なので上方に同一形状の別の包装体を載置するとその重量によって下段の包装体の袋体が下方に向かって撓むこととなる。撓み量は袋体の張力等によって変化するものであるが、多くの場合、下段の任意の第一の巻き寿司の上部が下方に撓んだ袋体と接触した後に、その接触部分を中心として第一の巻き寿司自体が上方からの重量の多くを受け止めることになる。従って、段積みされた下段の第一の巻き寿司は、上段の包装体の重量によって変形する可能性が高くなるため、特許文献1のような包装体では段積みは良好な陳列方法とは言えず、陳列スペースの有効活用ができない。また、斜め上方から視認できるように陳列されている場合にあっては、上述したように視認性が思わしくないため、段積みした状態であれば更に包装体上方の別の棚板等が視界を狭めることとなり、最上段の第一の巻き寿司の種類を確認することはほとんど不可能である。
【0009】
また、例えば特許文献2のような包装体で包装された第二の巻き寿司の場合、
図12(a)、
図12(b)、
図12(c)に示すように陳列棚21の棚板25上に第二の巻き寿司24を長手方向を左右とするように並べて陳列した場合には、第二の巻き寿司24の左右側方の端面22から視認できる具2が前方からは視認できないので、第二の巻き寿司24の種類を確認できない。従って、客は第二の巻き寿司24を一品ずつ手に取って種類を確認することになり、目的とする第二の巻き寿司24が見つかるまでこの作業を繰り返すことになる。
【0010】
また、第二の巻き寿司は比較的長い円柱状であることから、陳列棚の棚板上への段積みは俵積みをすることになるが、俵積みで安定して高く積み上げることは困難であるので陳列スペースを有効に活用できないといった面も有している。更には、上述のように、店頭における陳列棚の棚板はディスプレイ効果を向上させるために前方にかけて下方に傾斜させているものが多く使用されているが、このような場合にあっては、第二の巻き寿司は前方に回転して進むエネルギーを有する。従って、上述のような俵積みによる陳列方法では段積みが不安定となるばかりか、客による目的の第二の巻き寿司探しの作業時に俵積みが崩れる等、非常に煩わしいものとなってしまう。
【0011】
上述のような巻き寿司の包装体において、特に特許文献2のような包装体で包装された第二の巻き寿司の場合にあっては、陳列状態で種類を確認することが困難であることから袋体表面に第二の巻き寿司の種類を明示する表示ラベルを貼り付けることで、客が目的の種類の第二の巻き寿司を容易に探せるように工夫されている。しかしながら、上述したように第二の巻き寿司は比較的長い円柱状なので、陳列時に客が第二の巻き寿司に触れずに表示ラベルによる第二の巻き寿司の種類を確認できるようにするためには、俵積みする全ての第二の巻き寿司の表示ラベルを客が視認しやすいように前方に向けて並べなければならないが、このような作業は非常に煩雑なものである。更には、不安定な俵積みに対して客が目的の種類の第二の巻き寿司を手に取ることになるので、表示ラベルを前方に向けて俵積みしても直ぐに崩れてしまい、定期的に陳列作業を行わなければならない等、陳列に対して多くの課題を有している。
【0012】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、店頭での陳列に際して巻き寿司の種類を容易に確認することができると共に、陳列スペースを有効活用できる巻き寿司の包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上のような目的を達成するために、本発明は以下のようなものを提供する。
【0014】
請求項1に係る本発明では、
左右方向を長手方向とする前面開口の長方形の
箱状に形成された箱体
と、
前記箱体の前面開口を被覆するように前記箱体を包装する略透明の袋体と、を備え、前記箱体は、斜めに切削
された切削断面を有する柱状の巻き寿
司を、前記切削断面を上前側に向けて立った状態で左右方向に複数個
一列に並べて収納
し、前記袋体は
、前記箱体の左右下隅部に対応する左右角部に
形成されたガゼットを
有し、前記箱体に巻き寿司を収納した状態で自立することを特徴とする巻き寿司包装体。
【0015】
請求項2に係る本発明では、前記箱体の内部に、各巻き寿司単体を仕切るための仕切り壁を配設したことを特徴とする請求項1に記載の巻き寿司包装体。
【0016】
請求項3に係る本発明では、前記袋体の左右側端部に配設した縦シール部のうち少なくとも1箇所以上に開封用ノッチを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻き寿司包装体。
【0017】
請求項4に記載の本発明では、前記袋体は、前記箱体の左右上隅部に対応する左右角部においてガゼットを形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の巻き寿司包装体。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の本発明によれば、前面開口の長方形の箱体中に、縦方向の巻き寿司の上面を斜めに切削した巻き寿司単体を複数個並列に並べて収納すると共に、巻き寿司収納の長方形箱体を略透明の袋体で包装し、しかも袋体は長方形の箱体の左右下隅部に対応する左右角部においてガゼットを形成したことで袋体底部の面積を広く取ることができるので、巻き寿司包装体を安定して自立させることが可能となる。
【0019】
また、巻き寿司包装体の各構成部材を略透明のものとすることで、内部に収納された巻き寿司は外部からの視認性を害されることなく視認できることになり、更に、上面を斜めに切削した巻き寿司は、水平に切削したときよりも切削断面を広く取れ、断面が上方に向かって面しているので巻き寿司の具が露見する切削断面を巻き寿司の真上から正面にかけての略90°の連続した広範囲の視野角内において視認できることになる。従って、巻き寿司の種類を容易に確認できるので、店頭における様々な陳列方法に柔軟に対応することができる。
【0020】
また、店頭での陳列棚の棚板上への陳列に際しては、巻き寿司包装体を自立させた状態で前後左右に並べて陳列することができ、更に、その上に同様に段積みしても、巻き寿司の断面の視認性はほぼ維持されると共に、上段の巻き寿司の重量は下段の巻き寿司が収納されている長方形の箱体によって支持されることになり、箱体に収納された巻き寿司には段積みの押圧力が働かないので、段積みによる巻き寿司の変形を防止でき、更に陳列スペースを有効に活用することができる。
【0021】
また、巻き寿司は箱体に収納されており、箱体の前面開口は前方の袋体とで略被覆されていることから箱体の中での巻き寿司の動きが規制されるので、運搬時の振動等で巻き寿司が変形したり、具が飛び出したりすることを防止することができる。
【0022】
また、袋体上部と箱体上部との間に空間を有し、当該部分を摘み部として巻き寿司包装体を持つことが可能となる。従って、巻き寿司に力を加えることなく運搬時の梱包収納や店頭での陳列が容易にでき、巻き寿司の変形等を防止することができる。
【0023】
また、巻き寿司の上面が斜めに切削されているので食する際に口に入れやすく食しやすいと共に、巻き寿司は箱体中に縦方向で収納されているので、巻き寿司中の縦方向への水分流下によって巻き寿司底面は粘性を有することになり、巻き寿司底面と箱体との当接部分の乾燥による固着を防止でき、箱体からの巻き寿司の取り出しが容易となる。
【0024】
更に、箱体に収納された巻き寿司は、箱体の前面開口と前方の袋体とで略被覆されているので、袋体の中に直接巻き寿司を収納する場合に比して、巻き寿司中の水分が保持されやすく、巻き寿司の乾燥を防止することができる。特に、箱体の前面開口と前方の袋体とが前後密着するように構成されている場合には、巻き寿司の乾燥防止効果が更に向上する。
【0025】
請求項2記載の本発明によれば、箱体の内部に巻き寿司が個々に入るように複数の仕切り壁を設けているので、仕切り壁を設けていない場合に比して、更に箱体中での巻き寿司の動きが規制され、運搬時の巻き寿司の変形や具の飛び出し等を防止する効果が向上する。
【0026】
また、箱体に収納された隣接する巻き寿司は、巻き寿司の側面を覆う海苔同士の接触による密着が発生しないので、箱体からの巻き寿司の取り出しを容易に行うことができると共に、巻き寿司同士の接触による味移りや香り移りを防止することができる。
【0027】
請求項3記載の本発明によれば、袋体の左右の縦シール部のうち少なくとも1箇所以上に開封用ノッチを設けているので、巻き寿司を食べる際の袋体の開封が容易となる。
【0028】
また、開封用ノッチを左右に複数個連続して形成している場合には、任意の個所を開封することができるので、例えば、巻き寿司包装体に収納された巻き寿司の全てを食べきらない場合等においては、開封範囲を狭くして、残した巻き寿司の保存に備えることができる。
【0029】
更に、巻き寿司包装体を片方の手で持ちながら巻き寿司を食べる場合、袋体の上側を開封すれば巻き寿司包装体の下側には袋体の下側が残っており、当該部分を片方の手で持つことで他方の手で巻き寿司を取って食べることができる。
【0030】
請求項4記載の本発明によれば、袋体は、箱体の左右上隅部に対応する左右角部においてガゼットを形成しているので、袋体上部にガゼットを設けていない場合に比して袋体上部の面積を広げることができる。従って、店頭での陳列棚の棚板上への陳列における段積み時に、上段の巻き寿司包装体の底部と下段の該包装体の上部とが互いに広い面積で当接することになるので、袋体底部の左右角部にのみガゼットを有する請求項1に記載の巻き寿司包装体に比して、更に安定した段積みが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係る第一の実施形態である巻き寿司包装体の正面側斜視図。
【
図2】(a)本発明に係る第一の実施形態である巻き寿司包装体の正面図。(b)本発明に係る第一の実施形態である巻き寿司包装体の背面図。
【
図3】本発明に係る第一の実施形態である巻き寿司包装体の平面図。
【
図4】巻き寿司包装体の袋体上部を開封した状態を示す正面図。
【
図5】(a)仕切壁を有さない箱体の正面側斜視図。(b)仕切壁を有する箱体の正面側斜視図。
【
図6】本発明に係る第二の実施形態である巻き寿司包装体の正面側斜視図。
【
図7】(a)本発明に係る第二の実施形態である巻き寿司包装体の正面図。(b)本発明に係る第二の実施形態である巻き寿司包装体の背面図。
【
図8】本発明に係る第二の実施形態である巻き寿司包装体の平面図。
【
図9】(a)巻き寿司包装体Aの陳列した状態例を示す斜視図。(b)巻き寿司包装体Aを段積みして陳列した状態例を示す斜視図。
【
図10】(a)上面を斜めに切削した巻き寿司を真上から見ている状態、及び切削断面の視認性を示す概略図。(b)上面を斜めに切削した巻き寿司を斜め上方から見ている状態、及び切削断面の視認性を示す概略図。(c)上面を斜めに切削した巻き寿司を前方から見ている状態、及び切削断面の視認性を示す概略図。
【
図11】(a)縦方向に円柱状とする第一の巻き寿司を真上から見ている状態、及び切削断面等の視認性を示す概略図。(b)縦方向に円柱状とする第一の巻き寿司を視野角内の斜め上方から見ている状態、及び切削断面等の視認性を示す概略図。(c)縦方向に円柱状とする第一の巻き寿司を視野角外の斜め上方から見ている状態、及び切削断面等の視認性を示す概略図。(d)縦方向に円柱状とする第一の巻き寿司を前方から見ている状態、及び切削断面等の視認性を示す概略図。
【
図12】(a)長手方向を左右とする第二の巻き寿司を真上から見ている状態、及び端面の視認性を示す概略図。(b)長手方向を左右とする第二の巻き寿司を斜め上方から見ている状態、及び端面の視認性を示す概略図。(c)長手方向を左右とする第二の巻き寿司を前方から見ている状態、及び端面の視認性を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の要旨は、前面開口の長方形の箱体6中に、縦方向の巻き寿司の上面を斜めに切削した巻き寿司1単体を複数個並列に並べて収納すると共に、巻き寿司1収納の長方形箱体6を略透明の袋体10で包装し、しかも袋体10は長方形の箱体6の左右下隅部7,7に対応する左右角部19,19においてガゼット15,15を形成したことにある。すなわち、店頭での陳列に際して巻き寿司1の種類を容易に確認することができると共に、陳列スペースを有効活用できる巻き寿司1の包装体に関するものである。
【0033】
以下、本実施形態に係る巻き寿司包装体A,Bについて図面を参照しながら詳説する。
【0034】
[第一の実施形態]
第一の実施形態に係る巻き寿司包装体Aは、
図1に示すように自立しており、自立した状態で
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)に示すように巻き寿司1単体の切削断面5が前方から上方にかけて視認できるように構成されたものである。
【0035】
巻き寿司1は、寿司ネタである具2を寿司ご飯(以下、シャリ3とする)とシャリ3の側面を覆う海苔4で巻いた円柱状の一般的なものであり、上面を斜めに切削して断面5から具2が視認できるようにしたものである。なお、巻き寿司包装体Aの前方から上方にかけて切削断面5を有効に視認できるようにするには、
図10に示すように切削角度γを略45°程度にすることが望ましく、また、巻き寿司1の高さLの略2分の1の切削高さL1において巻き寿司1の上面を斜めに切削すると、斜めに切削しない下部高さL2を有する巻き寿司1外周の海苔4部分が持ちやすくなり食しやすい。このような巻き寿司1の切削角度γや切削高さL1は、巻き寿司の太さや高さ、又は陳列態様に応じて適宜変更することができる。
【0036】
箱体6は
図1、
図5(a)に示すように長方形の左右方向を長手方向とした前面開口を有する略透明の箱状に形成し、例えばポリエチレン等の樹脂材料で箱状に形成されており、上述のように上面を切削した縦方向の巻き寿司1単体を、箱体6の前方から切削断面5が視認できるように左右方向に複数個並列に並べて収納されている。なお、本実施形態においては、
図3に示すように箱体6の奥行きD1に対して巻き寿司1が前面開口から前方に巻き寿司1の直径の略3分の1程度突出するように構成している。また、箱体6は、巻き寿司包装体Aを斜め上方から真上にかけて見たときに切削断面5の視認性を確保するためにも略透明であることが望ましい。
【0037】
また、巻き寿司1を収納した箱体6は、
図1、
図2(a)、(b)に示すように略透明の1枚のフィルム状の例えばポリプロピレン等の樹脂材料である袋体10で全体を密封して包装している。具体的には、袋体10は略四角形のシート状態(図示せず)から左右方向が開口した筒状とするために、シートの上下側端部(横シール部18となる部分)を熱溶着等でシールされた袋体10背面に形成した一定の幅を有する横シール部18と、開口した左右側方を熱溶着等でシールされた一定の幅を有する左右縦シール部17,17とによって密封されている。このような包装は、例えば一般的な三方シール機(図示せず)によって行うことができる。また、袋体10は箱体6の左右下隅部7,7に対応する左右角部19,19において、略三角錐状の凹部空間Q,Qを有する「マチ」となる所謂ガゼット15,15を形成している。ガゼット15は袋体底部11の左右角部19,19を各々内側上方に折り込み、前記縦シール部17,17形成時に同時に熱溶着等することで形成することができる。
【0038】
なお、本実施形態においては袋体10をフィルム状の略四角形のシート状態から左右方向が開口した筒状に形成しているが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、例えば一般的な二方シール機(図示せず)によって、当初より筒状となったフィルム状の袋体材料を使用して横シール部18を有さない袋体10としてもよい。
【0039】
このように、袋体底部11の左右角部19,19にガゼット15,15を設けたことで袋体10の底部面積S1を広げることができ、巻き寿司包装体Aが単独で自立できるようになる。
【0040】
また、巻き寿司包装体Aの各構成部材(6,10)を略透明のものとすることで、内部に収納された巻き寿司1は外部からの視認性を害されることなく視認できることになり、更に、
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)に示すように、上面を斜めに切削した巻き寿司1は、水平に切削したときよりも切削断面5を広く取れ、断面5が上方に向かって面しているので巻き寿司1の具2が露見する切削断面5を巻き寿司1の真上から正面にかけての略90°の連続した広範囲の視野角α内において視認できることになる。従って、巻き寿司1の種類を容易に確認できるので、店頭における様々な陳列方法に柔軟に対応することができる。
【0041】
また、店頭での陳列に際しては、
図9(a)に示すように巻き寿司包装体Aを自立させた状態で前後左右に並べて陳列棚21の棚板25上に陳列することができ、更に、
図9(b)に示すように、上方に段積みしても、巻き寿司1の断面5の視認性はほぼ維持されると共に、上段の巻き寿司1の重量は下段の巻き寿司1が収納されている長方形の箱体6によって支持されることになり、箱体6に収納された巻き寿司1には段積みの押圧力が働かないので、段積みによる巻き寿司1の変形を防止でき、更に陳列スペースを有効に活用することが出来る。なお、陳列棚21の棚板25が前方にかけて下方に傾斜させているものであっても同様の効果が得られる。
【0042】
また、巻き寿司1は箱体6に収納されており、箱体6の前面開口は前方の袋体10で略被覆されていることから箱体6の中での巻き寿司1の動きが規制されるので、運搬時の振動等で巻き寿司1が変形したり、具2が飛び出したりすることを防止することができる。
【0043】
また、ガゼット15による袋体10の底部面積S1の広がりは、収納できる巻き寿司1の太さの許容範囲も広げることになるが、
図1、
図2(a)、
図3、
図5(a)に示すように巻き寿司1は箱体6に収納されており、箱体6の前面開口は袋体10で略被覆されていることから、箱体6の奥行きD1に対して巻き寿司1の直径が小さすぎると巻き寿司1前方の袋体10との間に空間ができ、運搬時の振動等で巻き寿司1が動きやすくなる。すなわち、箱体6の奥行きD1と袋体10の底部奥行きD2が略同一となるような場合にあっては、箱体6に収納できる巻き寿司1の直径が箱体6の奥行きD1に近いものに限定されてしまうことになる。
【0044】
従って、箱体6の奥行きD1は袋体10の底部奥行きD2に対して略3分の2程度とすることが望ましい。このように構成しても箱体6に収納された巻き寿司1は前方の袋体10との接触により保持され、運搬時の振動等でも動き難く、変形したり、具2が飛び出したりすることはない。従って、巻き寿司1の太さに対して使用できる箱体6の許容範囲も広がるので、共通した箱体6を様々な太さの巻き寿司1に使用することができるようになり、生産コストの低減を図ることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、上述したように箱体6の奥行きD1に対して巻き寿司1が箱体6の前面開口から前方に直径の略3分の1程度突出するように構成しているが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0046】
また、
図1、
図2(a)、
図2(b)に示すように、袋体上部12にはガゼット15を形成していないので、袋体上部12と箱体上部20との間に空間を有し、当該部分を摘み部14として巻き寿司包装体Aを持つことが可能となる。従って、巻き寿司1に力を加えることなく運搬時の梱包収納や店頭での陳列が容易にでき、巻き寿司1の変形等を防止することができる。
【0047】
また、巻き寿司1の上面が斜めに切削されているので食する際に口に入れやすく食しやすいと共に、巻き寿司1は箱体6中に縦方向で収納されているので、巻き寿司1中の縦方向への水分流下によって巻き寿司1底面は粘性を有することになり、巻き寿司1底面と箱体との当接部分の乾燥による固着を防止でき、箱体6からの巻き寿司1の取り出しが容易となる。
【0048】
更に、箱体6に収納された巻き寿司1は、箱体6の前面開口と前方の袋体10とで略被覆されているので、袋体10の中に直接巻き寿司1を収納する場合に比して、巻き寿司1中の水分が保持されやすく、巻き寿司1の乾燥を防止することができる。特に、箱体6の前面開口と前方の袋体10とが前後密着するように構成されている場合には、巻き寿司1の乾燥防止効果が更に向上する。
【0049】
箱体6は
図5(b)に示すように前面開口で長方形の左右方向を長手方向としたときに、内部に収納される巻き寿司1を左右方向に均等な間隔で個々に仕切ることができる複数の仕切壁9を箱体6内部に設けた仕切壁付箱体13としてもよい。
【0050】
上述のように構成することで、仕切壁9を設けていない
図5(a)のような箱体6に比して、更に仕切壁付箱体13中での巻き寿司1の動きが規制され、運搬時の巻き寿司の変形や具2の飛び出し等を防止する効果が向上する。
【0051】
また、仕切壁付箱体13に収納された隣接する巻き寿司1は、巻き寿司1の側面を覆う海苔4同士の接触による密着が発生しないので、仕切壁付箱体13からの巻き寿司1の取り出しを容易に行うことができると共に、巻き寿司1同士の接触による味移りや香り移りを防止することができる。
【0052】
袋体10の左右縦シール部17,17の縁端部には、
図1、
図2(a)、
図2(b)に示すように、袋体開封用ノッチとしてのVノッチ16を複数個連続して形成している。
【0053】
Vノッチ16は、例えば左右縦シール部17,17の形成時における熱溶着のためのプレスと同時にVノッチ16に対応した抜き型(図示せず)を使用することによって形成することができる。
【0054】
上述のように構成することで、
図4に示すように、袋体10の左右縦シール部17,17のいずれかのVノッチ16を使用して他方の縦シール部17側へ略水平方向に引き裂くことで袋体10を容易に開封することができる。
【0055】
また、本実施形態のように開封用ノッチを左右に複数個連続して形成している場合には、任意の個所を開封することができるので、例えば、巻き寿司包装体Aに収納された巻き寿司1の全てを食べきらない場合等においては、開封範囲を狭くして、残した巻き寿司1の保存に備えることができる。
【0056】
更に、巻き寿司包装体Aを片方の手で持ちながら巻き寿司1を食べる場合、
図4に示すように、袋体10の上側を開封すれば巻き寿司包装体Aの下側には袋体10の下側が残っており、当該部分を片方の手で持つことで他方の手で巻き寿司1を取って食べることができる。
【0057】
なお、本実施形態では開封用ノッチとしてVノッチを使用しているが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、その他の方法による開封用ノッチを使用してもよい。
【0058】
また、本実施形態では開封用ノッチであるVノッチ16を袋体10の左右縦シール部17,17に複数個連続して形成しているが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、左右縦シール部17,17のうち少なくとも1箇所以上の開封用ノッチを有していればよい。
【0059】
次に、第二の実施形態に係る巻き寿司包装体Bについて詳説する。
【0060】
[第二の実施形態]
図6に示す巻き寿司包装体Bは第一の実施形態に係る巻き寿司包装体Aと同様に自立可能であり、自立した状態で
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)に示すように巻き寿司1単体の切削断面5が前方から上方にかけて視認できるように構成されたものであるが、箱体6の左右上隅部8,8に対応する袋体10の左右角部19,19においてもガゼット15,15を形成した点で第一の実施形態に係る巻き寿司包装体Aと相違するものである。なお、第一の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【0061】
図5(a)、(b)、
図6、
図7(a)、(b)、
図8に示すように、第二の実施形態に係る巻き寿司包装体Bにおいて、袋体10は箱体6の左右上隅部8,8に対応する左右角部19,19においても、略三角錐状の凹部空間Q,Qを有するガゼット15,15を形成している。ガゼット15は袋体上部12の左右角部19,19を各々内側下方に折り込み、前記縦シール部17,17形成時に同時に熱溶着等することで形成することができる。
【0062】
このように、袋体上部12の左右角部19,19にガゼット15,15を設けたことで、袋体上部12にガゼット15を設けていない第一の実施形態Aに係る巻き寿司包装体Aに比して袋体10の上部面積S2を広げることができる。従って、店頭での陳列棚21の棚板25上への陳列において、巻き寿司包装体Bの上に更に巻き寿司包装体Bを段積みする場合に、上段の巻き寿司包装体Bの袋体底部11と下段の巻き寿司包装体Bの袋体上部12とが互いに広い面積S1,S2で当接することになるので、
図9(b)に示す、箱体6の左右下隅部7,7に対応する袋体10の左右角部19,19においてのみガゼット15,15を有する第一の実施形態に係る巻き寿司包装体Aによる段積み時よりも更に安定した段積みが可能となる。また、段積みしても、巻き寿司1の断面5の視認性はほぼ維持されると共に、上段の巻き寿司1の重量は下段の巻き寿司1が収納されている長方形の箱体6によって支持されることになり、箱体6に収納された巻き寿司1には段積みの押圧力が働かないので、段積みによる巻き寿司1の変形を防止でき、更に陳列スペースを有効に活用することが出来る。なお、陳列棚21の棚板25が前方にかけて下方に傾斜させているものであっても同様の効果が得られる。
【0063】
以上、本発明の各実施形態について説明してきたが、本発明の技術範囲は上述した第一、第二の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能なものである。
【0064】
例えば、巻き寿司包装体A,Bの中に巻き寿司1と共に小袋に入ったショウガや醤油等を同包することや、箱体の色を変更すること等は当然に本発明の範囲内である。